JP2553560Y2 - 硬貨選別装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、自動販売機、両替機、サービス機器等に
使用される硬貨選別装置に関する。

〔従来の技術〕

一般に、自動販売機、両替機、サービス機器等に使用
される硬貨選別装置を機器内に装着するためには、第３
図で示すように機器の扉１に配設された硬貨投入口２
と、この扉１の内側に配設された硬貨選別装置３の硬貨
受入口４との間に上下方向に長い硬貨投入シュート５を
配設し、このシュート５の上流端5aを硬貨投入口２に臨
ませるとともに、下流端5bを硬貨選別装置３の硬貨受入
口４に臨ませ、これにより硬貨投入口２から投入された
硬貨Ａを、その自由落下により硬貨投入シュート５内を
通過する間に加速させて硬貨選別装置３の硬貨受入口４
内に投入させるようにしていた。

なお、ここで言う硬貨選別装置は、投入硬貨を金種別
に選別収容するとともに、選別収容された硬貨を釣銭と
して払い出す、いわゆる硬貨処理装置のうち、投入硬貨
を金種別に選別処理する硬貨選別部分に対応する。

ところで、上述した硬貨選別装置３によると硬貨投入
口２と硬貨受入口４との間に上下方向に長い硬貨投入シ
ュート５を配設しなければならないため、機器内におけ
る硬貨選別装置３の上下方向の取付スペースＳが大き
く、このため特に自動販売機においては、販売する商品
の収納スペースが制限されてしまう等の難点がある。

そこで、上述した難点を解消するため、硬貨投入口に
投入された硬貨を強制的に硬貨選別装置の装置本体内に
搬送する硬貨水平搬送手段を設け、これにより上下方向
に長い硬貨投入シュート５の使用を排除して、自動販売
機等の機器内における硬貨選別装置の取付スペースを大
巾に削減するようにした硬貨選別装置が提案されてい
る。

第４図は上述した硬貨水平搬送手段を有する硬貨選別
装置10の概念断面図である。

この硬貨選別装置10は、側面からみて全体が略Ｌ字形
に形成された装置本体11により構成されており、その左
先端に配設された硬貨投入口12が直接自動販売機等の機
器の図示せぬ扉に取付けられる。

一方、この硬貨選別装置10の装置本体11内には、硬貨
投入口12から挿入された硬貨Ａを一対の無端のベルト間
に把持して水平方向（図面の右方向）へ強制的に搬送す
る硬貨水平搬送手段14と、この硬貨水平搬送手段14から
搬送された硬貨を金種毎に振り分ける図示せぬ硬貨振分
手段が装着された１本の傾斜硬貨転送路15とが配設され
ている。

従って、上述した硬貨水平搬送手段14によると、一対
のローラ群を介し一対のベルト17、19を図示せぬモータ
等の駆動手段を介して回転させると、硬貨投入口12から
挿入された硬貨Ａはこの一対のベルト17、19間に把持さ
れて強制的に水平方向（図面の右方向）へ搬送されるこ
ととなる。

なお、前記硬貨水平搬送手段14の途中には、所定の間
隔を設けて発振コイル20と受信コイル21とからなる、い
わゆるコイルセンサーにより構成された硬貨判別手段22
が配設されており、この硬貨判別手段22により硬貨水平
搬送手段14を構成する一対のベルト17、19間に把持され
て強制搬送される硬貨Ａの正偽と、正貨と見なされた硬
貨の金種とが判別される。

なお、第４図で符号23は、前記硬貨判別手段22の検出
信号に基づいて作動される硬貨振分レバーで、この硬貨
振分レバー23は、前記硬貨水平搬送手段14から搬送され
た硬貨Ａが前記硬貨判別手段22の検出信号に基づき偽貨
と判断された場合は実線で示す位置に待機し、硬貨水平
搬送手段14から搬送された当該偽貨Ａを偽貨シュート24
へ導いて図示せぬ硬貨払い出し口へ排出するとともに、
前記硬貨水平搬送手段14から搬送された硬貨Ａが前記硬
貨判別手段22の検出信号に基づき正貨と判断された場合
は一点鎖線で示す位置に移動し、当該正貨Ａを金種毎に
硬貨を振り分ける図示せぬ硬貨振分手段が配設された傾
斜硬貨転送路15へ振り分けるものである。

〔考案が解決しようとする課題〕

ところで、上述した硬貨水平搬送手段14を有する硬貨
選別装置10によると、この硬貨水平搬送手段14を構成す
る上下に相対向して配設された一対のローラ群及びこの
ローラ群に巻回された一対のベルト17、19等は装置本体
11内に固定設置されているので、硬貨水平搬送手段14の
保守点検作業、すなわち一対のローラ群及びこれに巻回
されるベルト17、19等の清掃作業を行う際は、装置本体
11そのものを分解する等の大掛りな作業を行わなければ
ならず、その作業が極めて煩雑である難点があった。

この考案は、上述した事情に鑑み、簡単な操作で硬貨
水平搬送手段の保守点検作業が行える硬貨選別装置を提
供することを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

上述した課題を解決するため、この考案では、硬貨投
入口から投入された硬貨を互いに対向して配設された一
対の無端のベルト間に把持し、該無端のベルトを回転駆
動することにより強制的に硬貨を水平方向へ搬送させる
ようにした硬貨水平搬送手段を有する硬貨選別装置にお
いて、前記硬貨水平搬送手段を前記硬貨選別装置の装置
本体に対しスライド自在に配置するとともに、前記一対
の無端のベルト間を、該ベルトの一端側を中心に拡開自
在に配置するようにしている。

〔作用〕

上述した硬貨選別装置によると、硬貨水平搬送手段の
保守点検作業の際は、当該硬貨水平搬送手段を装置本体
内から引出し、さらに引き出した後一対の無端のベルト
間を拡開すれば、装置本体を分解する等の大掛りな作業
を行うことなく硬貨水平搬送手段を構成する各要素の保
守点検作業を極めて簡単に行えることとなる。

〔実施例〕

以下、この考案に係わる硬貨選別装置の一実施例を詳
述する。

第１図はこの考案に係わる硬貨選別装置30の概念断面
図で、第４図と同一部分を同一符号で示す。

この硬貨選別装置30では、硬貨投入口12に隣接した装
置本体31内に当該装置本体31とは別体に形成された上下
支承部材32、33がそれぞれ配設されている。

そして、この上下支承部32、33のうち、上支承部材32
には、当該上支承部材32のみに支承された軸16a′、16
b′、16c′、16d′を介し、硬貨水平搬送手段14を構成
する一対のローラ群のうち上方に配設されるローラ群16
a、16b、16c、16dが支承されている。

また下支承部材33には、当該下支承部材33のみに支承
された軸18a′、18b′、18c′、18e′を介し硬貨水平搬
送手段14を構成する一対のローラ群のうち下側に配設さ
れるローラ群18a、18b、18c、18e等が配設されている。
なお、硬貨判別手段22を構成する受信コイル20と発振コ
イル21のうち、受信コイル20は下支承部材33に支承さ
れ、発振コイル21は上支承部材32に支承されている。

なお、ローラ18dは受信コイル20を構成する筐体に支
承された図示せぬ軸に支承されている。

また投入硬貨を偽貨シュート24と金種別に硬貨を振り
分ける図示せぬ硬貨振分手段が配設された傾斜硬貨転送
路15とに振り分ける硬貨振分レバー23は下支承部材33に
支承されている。なお、ベルト17は上支承部材32に支承
されたローラ群16a、16b、16c、16dに巻回されており、
またベルト19はローラ群18a、18b、18c、18d、18eに巻
回されていることは言うまでもない。

一方、上述した上下支承部材32、33のうち上支承部材
32はその先端32aが下支承部材33の一端に支承された軸1
8a′に回動自在に支承されており、また、下支承部材33
の先端部33aには案内軸34が支承され、この案内軸34
は、下支承部材33の下方に位置する装置本体31に固着さ
れた案内部材35の溝36と係合している。なお、この案内
溝36は、図面の右方向に添って形成されている。

なお、第１図で符号40は、糸釣りによる投入硬貨の引
戻しを防止する硬貨引抜防止用のレバーである。

次に上述した硬貨選別装置30の作用を説明し、併せて
構成をより詳細に説明する。

硬貨水平搬送手段14の保守点検作業時に、第１図の上
下支承部材32、33を、矢印で示すように図面の右方向に
移動させると、第１図と同一部分を同一符号で示す第２
図のように、上下支承部材32、33は案内部材35の溝36に
沿って水平方向（図面の右方向）にスライドし、この上
下支承部材32、33に伴って硬貨水平搬送手段14も装置本
体31の背面から外部に露出する。

しかる後、上下支承部材32、33を矢印の如く上下方向
に離間させれば、上下支承部材32、33は、軸18a′を中
心に所定回転角度回転し、このため硬貨水平搬送手段14
を構成する無端のベルト17、19間が拡開することとな
る。

従って、この第２図で示す状態では無端のベルト17、
19間が大きく拡開するので、この間に治具等を挿入すれ
ばベルト、ローラ、硬貨判別手段等、硬貨水平搬送手段
14を構成する各要素の調整及び清掃等の保守点検作業が
極めて簡単に行うことができることとなる。

なお、硬貨水平搬送手段14の保守点検作業を終了した
後に、上述した硬貨水平搬送手段14を装置本体31内に再
び装着させるためには、上述した操作とは逆の操作を行
えばよい。

なお、上述した上下支承部材32、33は各ローラ群を支
承する前記軸16a′、16b′、16c′、16d′、18a′、18
b′、18c′、18e′を挾んで両側にそれぞれ配設されて
いることは言うまでもない。

〔考案の効果〕

以上説明したようにこの考案の硬貨選別装置では、硬
貨水平搬送手段そのものを装置本体に対しスライド自在
に支承させるとともに、硬貨水平搬送手段を構成する一
対のベルト間を拡開自在とするように配置したので、硬
貨水平搬送手段の保守点検作業の際は、装置本体内から
硬貨水平搬送手段をスライドさせて簡単に装置本体の外
部へ取り出すことができ、またそこで上下ベルト間を拡
開させることもできるので、ローラ群、及びローラ群に
巻回されたベルト等の硬貨水平搬送手段を構成する各要
素の保守点検作業を極めて簡単に行うことができ、この
ため硬貨水平搬送手段を有する硬貨選別装置の保守点検
作業性を大巾に向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この考案に係わる硬貨選別装置の概念断面
図、第２図はこの考案に係る硬貨選別装置の硬貨水平搬
送手段を装置本体から取り出した状態を示す概念断面
図、第３図及び第４図は従来の硬貨選別装置を示す概念
図及び概念断面図である。 12……硬貨投入口、14……硬貨水平搬送手段、17、18…
…ベルト、30……硬貨選別装置、31……装置本体。

Claims (3)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】硬貨投入口から投入された硬貨を互いに対
   向して配設された一対の無端のベルト間に把持し、該無
   端のベルトを回転駆動することにより強制的に投入硬貨
   を水平方向へ搬送させる硬貨水平搬送手段を有する硬貨
   選別装置において、 前記硬貨水平搬送手段を前記硬貨選別装置の装置本体に
   対しスライド自在に配置するとともに、前記一対の無端
   のベルト間を、該ベルトの一端側を中心に拡開自在に配
   置するようにしたことを特徴とする硬貨選別装置。
2. 【請求項２】前記一対の無端のベルトのうち、一方のベ
   ルトは、それぞれ別体に形成され前記装置本体に対しス
   ライド自在に配設された上下支承部材のうち、上支承部
   材に支承されたローラ群に巻回され、また他方のベルト
   は下支承部材に支承されたローラ群に巻回されているこ
   とを特徴とする特許請求の範囲第（１）項記載の硬貨選
   別装置。
3. 【請求項３】前記硬貨水平搬送手段の途中には所定の間
   隔を設けて発振コイルと受信コイルとからなる、硬貨判
   別手段が配設されていることを特徴とする特許請求の範
   囲第（１）項記載の硬貨選別装置。