JP2553332Y2 - 注液定着式支保部材 - Google Patents

注液定着式支保部材

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JP2553332Y2
JP2553332Y2 JP1992081130U JP8113092U JP2553332Y2 JP 2553332 Y2 JP2553332 Y2 JP 2553332Y2 JP 1992081130 U JP1992081130 U JP 1992081130U JP 8113092 U JP8113092 U JP 8113092U JP 2553332 Y2 JP2553332 Y2 JP 2553332Y2
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徹 羽馬
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案はトンネル工事、擁壁工事
等で用いるロックボルト等を本体とした注液定着式支保
部材に係り、特に定着用の注入液がロックボルト等の本
体と岩盤、地盤等の間の隙間から洩れ出ないようにした
注液定着式支保部材に関する。
【0002】
【従来の技術】山岳等のトンネル工事で一般的なナトム
工法(NATM工法)では、地山を掘削したあと(必要
な場合は壁をセメントで固めた後)、壁から岩盤内部へ
垂直に多数のロックボルトを打ち込み、モルタル、定着
剤等の所定の注入液で定着させて内壁周辺の崩落を防ぐ
ようにしている。ロックボルトは、予め、穿岩機等で岩
盤に孔(ボアホール)をあけておき、該穴に後からロッ
クボルトを打ち込んだり、アダプタを介して穿岩機で自
穿孔ロックボルトを回転させ、該自穿孔ロックボルトの
先端に装着したビットで岩盤を掘削しながら打ち込んだ
りするようになっている。
【0003】図8は、予め岩盤にボアホールを穿設して
おく場合のロックボルト使用例を示す。地山10に掘削
したトンネル12の内壁14から該内壁14に対し垂直
に岩盤内部へ所定深さのボアホール16を穿孔したの
ち、ロックボルト18を打ち込む。ロックボルト18に
は、予め、注入パイプ20、排気パイプ22、パッカー
24が取りつけてある。パッカー24は、図9に示す如
く、布部材をロックボルト18の口元所定箇所に袋状と
なるようにテープ等で装着したものであり、ロックボル
ト18での該パッカー24の装着位置に当たる注入パイ
プ20には孔26が形成されている。
【0004】排気パイプ22からボアホール内の空気を
排気しながら、注入パイプ20より注入液(モルタル、
定着剤等)を注入すると、注入パイプ20の孔26から
注入液がパッカー24の内部に入り、該パッカー24を
膨大させる。これにより、ロックボルト18の口元付近
で、ロックボルト18とボアホール16の間の隙間が塞
がれる。一方、注入パイプ20の先端からも注入液がボ
アホール内に出て、該ボアホール16とロックボルト1
8の間の隙間に充填されていく。この際、ボアホール1
6内の空気は排気パイプ22を通ってトンネル12内に
排気される。但し、注入液で膨らんだパッカー24がシ
ールの働きをするので、ボアホール内に注入液の充填不
良箇所が生じることはない。
【0005】排気パイプ22から注入液が漏れ出て来る
ようになれば、作業完了であり、注入液の注入を止め
る。その後、注入液が硬化すれば、ロックボルト18と
内壁周辺が一体的に固着し、ロックボルト先端部の打ち
込まれた固い内部岩盤に支えられることで、内壁周辺の
崩落が防止される。
【0006】図10はパッカーの他の例を示す説明図で
ある。パッカー28はゴム部材をロックボルト18の口
元所定箇所に袋状となるようにテープ等で装着したもの
で、この際、パッカー28の内部に開口する注入パイプ
30も一緒に取りつけておく。そして、注入液の注入開
始前から注入が完了するまでの間、注入パイプ30を通
してエア、水等をパッカー28の内部に送り込み、該パ
ッカー28を膨大させる。これにより、ロックボルト1
8の口元付近で、ロックボルト18とボアホール16の
間の隙間を塞ぐことができ、注入液の充填不良を防止で
きる。
【0007】
【考案が解決しようとする課題】ところで、従来のパッ
カー24、28は、ロックボルト18をボアホール16
に挿入し、打ち込んだ後、内部に注入液やエア、水等を
送り込んで風船の如く、袋状に膨らますことができるよ
うにするため、布、ゴム等の比較的柔軟な膜部材でしか
形成できない。一方、岩盤に穿孔するボアホール16を
きれいな孔壁とするのは難しく、尖った岩が内部に露出
していたり、砕けた岩が落ちていたりすることが多い。
このため、ロックボルト18をボアホール16に挿入
し、打ち込む際に、パッカー24、28が尖った岩や砕
けた岩に擦れて一部が破損し、注入液やエア、水等を送
り込んでも膨大させられなくなる場合があった。
【0008】かかる場合、パッカー24、28がシール
効果を発揮せず、注入パイプ20を通してボアホール1
6の隙間に送り込んだ注入液が当該ボアホール16の口
元から漏れ出てしまい、ボアホール16とロックボルト
18間の隙間に充填不良が生じてしまう。このとき、ウ
エスを口元から詰め込んだりしなければならず、余計な
手間が掛かるとともに、ウエスの詰め込み不良で注入液
の漏れを防げなかった場合には、ロックボルト16と内
壁周辺との固着不良で所期の支保強度を確保できなくな
ってしまうという問題があった。
【0009】一方、自穿孔ロックボルトでは、回転させ
るため、よりパッカーを破損する危険性が高く、そもそ
もパッカーの装着ができず、打ち込み後、ボアホールの
口元にウエスや急結性のセメントを詰め込んでいたため
作業負担が大きく、また、作業のバラツキにより詰め込
み不良で注入液が漏れ出てしまう恐れもあった。
【0010】以上から本考案の目的は、作業者に負担を
掛けることなく、確実に注入液をシールすることのでき
る注液定着式支保部材を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題は本考案におい
ては、ロックボルト、アンカー、グラウト管等の注液定
着式支保部材本体の所定箇所の外面に、多孔質弾性部材
または吸水膨張性部材を装着したことにより達成され
る。
【0012】
【作用】本考案によれば、多孔質弾性部材が外力で容易
に圧縮されるので、注液定着式支保部材を打ち込む場合
に、妨げになることはなく、また、打ち込み時に、例
え、多孔質弾性部材の一部が破損したとしても、該多孔
質弾性部材に十分な長さが取ってあれば、弾性復元力で
ボアホールと注液定着式支保部材本体の間の隙間を塞ぐ
ことができ、その後ボアホール内に注入される注入液の
滲み込みで多孔質弾性部材が目詰まりしたり、硬化した
りすることと合わせて、十分なシールド作用を発揮する
ので、注入液が洩れて、注液定着式支保部材本体とボア
ホールの間の隙間に注入液の充填不良が生じることはな
い。よって、従来の如き、パッカーを膨らませたり、パ
ッカーが破れた場合の漏れ止めをしたり、注液定着式支
保部材本体が自穿孔式の場合のように、ウエスや急結性
セメントを詰めたりしなくて済み、現場での作業負担が
大幅に軽減する。
【0013】また、注液定着式支保部材本体の所定箇所
の外面に、吸水膨張性部材を装着したので、打ち込み完
了後、吸水膨張性部材を注水膨張させるなどして、ボア
ホールと注液定着式支保部材本体の間の隙間を短時間に
より確実にシールドすることができる。
【0014】また、ロックボルト、アンカー、グラウト
管等の注液定着式支保部材本体の所定箇所の外面に、圧
縮により縮小状態とした多孔質弾性部材または吸水膨張
性部材を装着し、多孔質弾性部材または吸水膨張性部材
を縮小状態を保つように保持する保持部材を設け、該保
持部材を、取り外し、または破壊等で所定時に多孔質弾
性部材または吸水膨張性部材を縮小状態から解放可能に
形成しておくように構成したから、予め穿設されたボア
ホールに注液定着式支保部材を挿入し、打ち込む場合、
多孔質弾性部材または吸水膨張性部材を縮小状態に保ち
ながら注液定着式支保部材をボアホールに容易に挿入
し、打ち込むことができ、現場作業が簡単となり、か
つ、打ち込み後、保持部材の取り外し、又は破壊等で多
孔質弾性部材または吸水性膨張部材を弾性復元させ、吸
水性膨張部材に対しては更に吸水膨張させるなどして、
容易にボアホールと注液定着式支保部材本体の間の隙間
を塞ぐことができる。また、自穿孔式の注液定着式支保
部材本体であっても、保持部材を取り外し式とし、か
つ、十分な強度を持たせておくことで、注液定着式支保
部材の回転による多孔質弾性部材または吸水膨張性部材
の破損を防ぐことができ、打ち込み完了後、保持部材を
取り外せば、多孔質弾性部材または吸水性膨張部材が弾
性復元し、吸水性膨張部材に対しては更に吸水膨張させ
るなどして、ボアホールと注液定着式支保部材本体の間
の隙間を確実に塞ぐことができ、ウエスや急結性セメン
トを詰め込む等の作業が不要となる。
【0015】また、ロックボルト、アンカー、グラウト
管等の注液定着式支保部材本体の所定箇所の外面に、吸
水膨張性部材を装着し、該吸水膨張性部材の外面を着脱
自在の保護部材で保護するように構成したから、吸水膨
張性部材の打ち込み時の破損を防止することで、より一
層、確実に注入液の洩れを防止できる。
【0016】
【実施例】図1は本考案の第1実施例に係わる注液定着
式支保部材の外観斜視図である。図1は岩盤に予め、穿
設したボアホールに挿入するタイプのロックボルトを注
液定着式支保部材本体としたものである。図1におい
て、30はロックボルトであり、該ロックボルトの外面
に長手方向に沿って、ボアホール内に注入液を注入する
ための注入パイプ32と、ボアホール内からエアを排気
するための排気パイプ34がテープ巻き等で取りつけら
れている。36は、ロックボルト30の手元側(ボアホ
ールの口元側に対応)所定箇所を、注入パイプ32と排
気パイプ34とともに包み込むようにして接着された、
所定長さで所定厚さの多孔質弾性部材である。この多孔
質弾性部材36は、例えば、通常のスポンジ材(連続気
泡体)で良く、吸水膨張性を合わせ持つ部材でも良い。
多孔質弾性部材36の厚さは、ロックボルト30に接着
後の外径がボアホールの孔径より十分大きくなるように
してあり、ボアホールに挿入する際、孔壁の乱れに関わ
らず、確実に、ロックボルト30とボアホールの間を塞
ぐことができるようになっている。
【0017】多孔質弾性部材36のロックボルト30へ
の装着は、図2に示す如く、予め、円筒形に形成したも
のをロックボルト30に嵌め込むようにしたり、角形の
ものをロックボルト30に巻きつけるようにすればよ
い。
【0018】若し、注入パイプ32や排気パイプ34の
外径が大きく、多孔質弾性部材36とロックボルト30
の間に隙間ができるときは、図3に示す如く、発泡プラ
スチック等の充填材38を当該隙間に充填すればよく、
該充填材38により、ロックボルト30に接着後の多孔
質弾性部材36の断面形状を、より円に近い形に整形す
ることもできる。
【0019】図4は本実施例の使用状態説明図である。
地山10に掘削したトンネル12の内壁14から該内壁
14に対し垂直に岩盤内部へ所定深さのボアホール16
を穿孔する(図4(1)参照)。次いで、ロックボルト
30、注入パイプ32、排気パイプ34、多孔質弾性部
材36を一体化した注液定着式支保部材を、ボアホール
16に挿入し、打ち込む(図4(2)参照)。この際、
多孔質弾性部材36が孔壁から受ける外力で容易に圧縮
されるので、挿入、打ち込みの妨げになることはなく、
また、挿入、打ち込み時に、たとえ、多孔質弾性部材3
6の一部が破損したとしても、多孔質弾性部材36の厚
さは、ロックボルト30に接着後の外径がボアホールの
孔径より十分大きくしたあるので、該多孔質弾性部材3
6に十分な長さが取ってあれば、弾性復元力でボアホー
ル16とロックボルト30の間の隙間を確実に塞ぐこと
ができる。
【0020】この後、排気パイプ34からボアホール内
の空気を排気しながら、注入パイプ32より注入液(モ
ルタル、定着剤等)を注入すると、注入パイプ32の先
端から注入液がボアホール内に出て、該ボアホール16
とロックボルト30の間の隙間に充填されていく。この
際、ボアホール16内の空気は排気パイプ34を通って
トンネル12内に排気される(図4(3)参照)。ボア
ホール16への注入が進むと、多孔質弾性部材36に注
入液が滲み込み、多孔質弾性部材36が目詰まりし、ま
た、多孔質弾性部材36の内部で注入液が硬化したりす
るので、ボアホール16の口元付近において、ロックボ
ルト30とボアホール16の間の隙間が十分にシールド
される。よって、注入液がボアホール16の口元から漏
れて、ロックボルト30とボアホール16の間に注入液
の充填不良が生じることはない。よって、従来の如き、
パッカーを膨らませたり、パッカーが破れた場合の漏れ
止め等を要せず、現場での作業負担が大幅に軽減する。
【0021】排気パイプ34から注入液が漏れ出て来る
ようになれば、作業完了であり、注入液の注入を止め
る。その後、ボアホール内の注入液全体が硬化すれば、
ロックボルト30とトンネルの内壁周辺が一体的に固着
し、ロックボルト先端部の打ち込まれた固い内部岩盤に
支えられることで、内壁周辺の崩落が防止される。
【0022】なお、多孔質弾性部材36は、接着でロッ
クボルト30に装着するほか、両端部分でテープ巻きす
ることで装着するようにしてもよい。また、多孔質弾性
部材を、それほど弾性を有しない吸水膨張性部材に代え
れば、予め、ロックボルトに装着した吸水膨張性部材の
断面外径をボアホールの孔径より小さくしておくこと
で、ボアホールに注液定着式支保部材を挿入し、打ち込
む作業をスムースに行うことができ、吸水膨張性部材が
破損し難くなり、また、打ち込み完了後、吸水膨張性部
材を水や注入液等を吸収させて膨張させることで、ボア
ホールとロックボルトの間の隙間を短時間でより確実に
シールドすることができる。勿論、吸水膨張性部材が比
較的大きな弾性を有する場合、ロックボルトに装着した
吸水膨張性部材の断面外径をボアホールの孔径と同じ程
度か大きくしておくこともできる。
【0023】また、図5に示す如く、角形の多孔質弾性
部材36をビニルシート等で形成された袋体40に入
れ、口元から内部のエアをポンプ等で吸引することで、
多孔質弾性部材36を大気圧で圧縮し十分に縮小せしめ
たのち、袋体40の口元を密閉する(例えば、袋体の内
面に熱溶融性樹脂シートを貼りつけておけば熱融着させ
ることができる)。そして、袋体40を多孔質弾性部材
36の縮小状態を保つ保持部材としながら、該袋体ご
と、ロックボルト30の所定箇所に接着しながら巻き付
けて、注液定着式支保部材とする。このようにすれば、
多孔質弾性部材36が薄くなるので、注液定着式支保部
材をボアホールに容易に挿入し、打ち込むことができ、
現場作業が簡単となり、かつ、挿入後、袋体40を破る
と多孔質弾性部材36を弾性復元するので(エア、水等
を袋体40内に送り込んで復元を助長するしてもよ
い)、容易にボアホールとロックボルト30の間の隙間
を塞ぐことができる。
【0024】図6は本考案の第2実施例に係る注液定着
式支保部材の一部省略した断面図である。図6は自身が
回転しながら先端のビットで岩盤を穿孔するタイプの自
穿孔ロックボルトを注液定着式支保部材本体としたもの
である。30Aは中空の自穿孔ロックボルトであり、中
空内部42を通して注入液をボアホール内に圧入するよ
うになっており、注入パイプや排気パイプは不要であ
る。36は、自穿孔ロックボルト30Aの手元側(ボア
ホールの口元側)の所定箇所を包み込むようにして接着
された、所定長さで所定厚さの多孔質弾性部材である。
この多孔質弾性部材36は、例えば、通常のスポンジ材
(連続気泡体)で良いが、吸水膨張性を合わせ持つ部材
であっても良い。多孔質弾性部材36の厚さは、自穿孔
ロックボルト30Aに接着した段階(後述するカラーを
被せる前)での外径がボアホールの孔径より大きくなる
ようにしてある。
【0025】44は多孔質弾性部材36の外側に着脱自
在に被せた薄肉鋼管、剛性有るプラスチックパイプ等か
ら成るカラーであり、該カラー44の外径はボアホール
の孔径より少し小さくしてあり、穿孔作業の妨げになら
ないようにしてある。カラー44を多孔質弾性部材36
に被せることで、多孔質弾性部材36は圧縮され、縮小
状態となるので、図5の如く、吸引で圧縮し、縮小する
手間が省ける。また、外力を加えて引き抜くことで、多
孔質弾性部材36に被せたカラー44を簡単に取り外す
こともできる。
【0026】図7は第2実施例の使用状態説明図であ
る。多孔質弾性部材36、カラー44を装着した自穿孔
ロックボルト30Aを、アダプタ46を介して穿岩機4
8で回転させ、該自穿孔ロックボルト30Aの先端に装
着したビット50で岩盤を掘削させながら所定深さまで
打ち込んでいく(図7(1)参照)。この際、多孔質弾
性部材36が縮小状態となっており、かつ、ビット50
で穿孔されるボアホール16の孔径より外径が小さく強
度有るカラー44で保護されているので、打ち込み作業
の妨げになることはなく、また、多孔質弾性部材36が
破損することもない。また、カラー44はアダプタ46
に押されるので、自穿孔ロックボルト30Aを岩盤に打
ち込んでも該カラー44が多孔質弾性部材36から抜け
ることはない。
【0027】自穿孔ロックボルト30Aの打ち込みが完
了したならば、アダプタ46、カラー44を取り外す
(図7(2)、(3)参照)。すると、多孔質弾性部材
36が弾性復元し、ボアホール16の口元付近における
該ボアホール16と自穿孔ロックボルト30Aの間の隙
間を塞ぐことができる。自穿孔ロックボルト30Aを打
ち込む際、多孔質弾性部材36にカラー44を被せてあ
ったことから、多孔質弾性部材36に傷みが生じず、隙
間を確実に塞ぐことができ、また、図1に示した第1実
施例に比して、多孔質弾性部材36の長さが短かくて済
む。
【0028】この後、自穿孔ロックボルト30Aの中空
内部42を通して、注入液(モルタル、定着剤等)を圧
入すると、自穿孔ロックボルト30Aの先端部から注入
液がボアホール内に出て、該ボアホール16と自穿孔ロ
ックボルト30Aの間の隙間に充填されていく(図7
(4)参照)。
【0029】ボアホール16への注液が進むと、多孔質
弾性部材36に注入液が滲み込み、多孔質弾性部材36
が目詰まりし、また、多孔質弾性部材36の内部で注入
液が硬化したりするので、ボアホール16の口元付近に
おいて、自穿孔ロックボルト30Aとボアホール16の
間の隙間が十分にシールドされる。よって、注入液がボ
アホール16の口元から洩れて、ロックボルト30とボ
アホール16の間に注入液の充填不良が生じることはな
い。よって、従来の如き、ウエスや急結性セメントを詰
め込んだりしなくて済み、現場での作業負担が大幅に軽
減する。
【0030】多孔質弾性部材36から注入液が滲み出て
来るようになれば、作業完了であり、注入液の圧入を止
める。その後、ボアホール内の注入液全体が硬化すれ
ば、自穿孔ロックボルト30Aとトンネルの内壁周辺が
一体的に固着し、自穿孔ロックボルト先端部の打ち込ま
れた固い内部岩盤に支えられることで、内壁周辺の崩落
が防止される。
【0031】なお、多孔質弾性部材36は、接着で自穿
孔ロックボルト30Aに装着するほか、両端部分でテー
プ巻きすることで装着するようにしてもよい。また、多
孔質弾性部材を、弾性をそれほど有しない吸水膨張性部
材に代えれば、カラーを簡単に被せることができるよう
になるとともに、自穿孔ロックボルトを打ち込み、カラ
ーを外したあと、水や注入液等を吸水膨張性部材に吸収
させて膨張させることで、ボアホールと自穿孔ロックボ
ルトの間の隙間を短時間でより確実にシールドできるよ
うになる。また、多孔質弾性部材(比較的大きな弾性を
有する吸水膨張性部材を含む)を、図5と同様に、予
め、袋体内で圧縮し、縮小させた状態としておけば、カ
ラーを簡単に被せることもできる。更に、自穿孔ロック
ボルトにおいても、第1実施例の場合と同様に、単に自
穿孔ロックボルトの外面に多孔質弾性部材や吸水膨張性
部材を装着しただけとし、カラーを設けないようにして
もよい。
【0032】なお、上記した各実施例では、ナトム工法
によるトンネル工事等で使用するロックボルトを例に挙
げたが、擁壁工事等に使用するアンカー、地山改良工事
や地盤補強工事等に使用するグラウト管等、他の種類の
注液定着式支保部材本体にも同様に適用することができ
る。
【0033】
【考案の効果】以上本考案によれば、ロックボルト、ア
ンカー、グラウト管等の注液定着式支保部材本体の所定
箇所の外面に、多孔質弾性部材を装着したことにより、
多孔質弾性部材が外力で容易に圧縮されるので、注液定
着式支保部材を打ち込む場合に、妨げになることはな
く、また、打ち込み時に、例え、多孔質弾性部材の一部
が破損したとしても、該多孔質弾性部材に十分な長さが
取ってあれば、弾性復元力でボアホールと注液定着式支
保部材本体の間の隙間を塞ぐことができ、その後ボアホ
ール内に注入される注入液の滲み込みで多孔質弾性部材
が目詰まりしたり、硬化したりすることと合わせて、十
分なシールド作用を発揮するので、注入液が洩れて、注
液定着式支保部材本体とボアホールの間の隙間に注入液
の充填不良が生じることはない。よって、従来の如き、
パッカーを膨らませたり、パッカーが破れた場合の漏れ
止めをしたり、注液定着式支保部材本体が自穿孔式の場
合のように、ウエスや急結性セメントを詰めたりしなく
て済み、現場での作業負担が大幅に軽減する。
【0034】また、注液定着式支保部材本体の所定箇所
の外面に、吸水膨張性部材を装着したので、打ち込み完
了後、吸水膨張性部材を注水等で膨張させることで、ボ
アホールと注液定着式支保部材本体の間の隙間を短時間
でより確実にシールドすることができる。
【0035】また、ロックボルト、アンカー、グラウト
管等の注液定着式支保部材本体の所定箇所の外面に、圧
縮により縮小状態とした多孔質弾性部材または吸水膨張
性部材を装着し、多孔質弾性部材または吸水膨張性部材
を縮小状態を保つように保持する保持部材を設け、該保
持部材を、取り外し、または破壊等で所定時に多孔質弾
性部材または吸水膨張性部材を縮小状態から解放可能に
形成しておくように構成したから、予め穿設されたボア
ホールに注液定着式支保部材を挿入し、打ち込む場合、
多孔質弾性部材または吸水膨張性部材を縮小状態に保っ
て注液定着式支保部材をボアホールに容易に挿入し、打
ち込むことができ、現場作業が簡単となり、かつ、打ち
込み後、保持部材の取り外し、又は破壊等で多孔質弾性
部材または吸水膨張性部材を弾性復元させ、吸水膨張性
部材の場合は更に吸水膨張させるなどして、容易にボア
ホールと注液定着式支保部材本体の間の隙間を塞ぐこと
ができる。また、自穿孔式の注液定着式支保部材本体で
あっても、保持部材を取り外し式とし、かつ、十分な強
度を持たせておくことで、注液定着式支保部材の回転に
よる多孔質弾性部材または吸水膨張性部材の破損を防ぐ
ことができ、打ち込み完了後、保持部材を取り外せば、
多孔質弾性部材または吸水膨張性部材が弾性復元し、吸
水膨張性部材の場合は更に吸水膨張させるなどして、ボ
アホールと注液定着式支保部材本体の間の隙間を確実に
塞ぐことができ、ウエスや急結性セメントを詰め込む等
の作業が不要となる。
【0036】また、ロックボルト、アンカー、グラウト
管等の注液定着式支保部材本体の所定箇所の外面に、吸
水膨張性部材を装着し、該吸水膨張性部材の外面を着脱
自在の保護部材で保護するように構成したから、吸水膨
張性部材の打ち込み時の破損を防止することで、より一
層、確実に注入液の洩れを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の第1実施例の係る注液定着式支保部材
の外観斜視図である。
【図2】多孔質弾性部材のロックボルトへの装着方法の
説明図である。
【図3】図1の注液定着式支保部材の断面図である。
【図4】第1実施例の注液定着式支保部材の使用状態説
明図である。
【図5】第1実施例の変形例説明図である。
【図6】本考案の第2実施例の係る注液定着式支保部材
の一部省略した断面図である。
【図7】第2実施例の注液定着式支保部材の使用状態説
明図である。
【図8】従来の注液定着式支保部材の使用例を示す説明
図である。
【図9】図8中のパッカーの構成図である。
【図10】他の種類のパッカーの構成図である。
【符号の説明】
30 ロックボルト 30A 自穿孔ロックボルト 36 多孔質弾性部材 40 袋体 44 カラー

Claims (2)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ロックボルト、アンカー、グラウト管等
    の注液定着式支保部材本体と、 該注液定着式支保部材本体の所定箇所の外面に装着され
    る圧縮により縮小状態とした多孔質弾性部材または吸水
    膨張性部材と、 該多孔質弾性部材または吸水膨張性部材を縮小状態を保
    つように保持する保持部材と、 を有し、 前記保持部材を、取り外し、または破壊等で所定時に多
    孔質弾性部材または吸水膨張性部材を縮小状態から解放
    可能に形成したこと、 を特徴とする注液定着式支保部材。
  2. 【請求項2】 ロックボルト、アンカー、グラウト管等
    の注液定着式支保部材本体と、 該注液定着式支保部材本体の所定箇所の外面に装着され
    る吸水膨張性部材と、 該吸水膨張性部材の外面を保護する保護部材と、 を有し、 前記保護部材を、着脱自在としたこと、 を特徴とする注液定着式支保部材。
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