JP4639462B2 - 発破工法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、発破工法に関し、特に、その施工能率の改善ないしは施工の自由度を広げる技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
発破によるトンネル掘削においては、余堀りや浮石を極力少なくするため、掘削断面の最外周にスムーズブラスティング工法を採用している。スムーズブラスティング工法には、例えば、社団法人、トンネル技術協会が発行しているトンネル爆破技術指針(昭和57年2月発行)のp123に記載されているように、いろいろな方法で施工されている。
【0003】
ところが、このようなスムーズブラスティング工法は、パッカーなどの特殊な装置や材料を必要とし、作業に時間がかかるという問題があった。このような問題を解決し、比較的装置が簡単で、施工時間もかからない発破工法が、例えば、特開平2000−88500号公報に提案されている。
【0004】
この公報に提案されている発破工法は、高分子吸水剤に水を含有させたゲル状物質を、爆薬装填後の空間部に充填する充填材として用いることが要旨になっている。
【0005】
このような充填材を用いると、水圧効果の低下を来たすことなく、作業時間が短縮できるが、以下に説明する技術的な課題もあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
すなわち、高分子吸水剤は、所定の吸水倍率までは吸水するが、それ以上の水は吸水しない。また、この材料は、吸水倍率以下の吸水状態でも粘性がさほど高くないので、水で希釈されると急激に流動し易くなる。一方、高分子吸水剤を富配合にして水を多少吸水できる状態で作製すると、流動性がなくなり、穿孔した発破孔内に充填することが非常に困難になる。
【0007】
高分子吸水剤がこのような性状を有しているので、上記公報に提案されている発破工法を、水が多く含まれた岩盤に適用すると、水によってゲル状物質が穿孔から流出することになり、これを回避して富配合にすると、施工性が悪くなり、その結果、適用できる岩盤に制約があった。
【0008】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、岩盤中の水分に左右されることがなく、広い範囲に適用することができる自由度の大きい発破工法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、予め穿孔した発破孔内に爆薬を装填した後に、爆薬装填後の前記発破孔内の空間部に充填材を充填して、前記爆薬に点火する発破工法において、前記充填材に水に、ベントナイトなどの膨潤性材料を所定量混合したものを用い、前記充填材の前記膨潤性材料が、完全に膨潤する前の未膨潤状態で前記空間部に充填し、前記空間部に充填した後に前記膨潤性材料をさらに膨潤させる発破工法であって、前記充填材は、前記膨潤性材料の一部を水に混合した貧配合状態の予備充填材を予め作製し、前記充填材を前記空間部に充填する直前に、残余の前記膨張性材料を加えるようにした。このように構成した発破工法では、充填材に水に、ベントナイトなどの膨潤性材料を所定量混合したものを用い、充填材の膨潤性材料が、完全に膨潤する前の未膨潤状態で空間部に充填し、空間部に充填した後に膨潤性材料をさらに膨潤させるようにする。この場合、空間部に充填した後に膨潤性材料をさらに膨潤させると、空間部内に拘束された状態で、膨潤性材料が膨潤してその体積が膨張することになり、この様な拘束状態での体積膨張により、密度が大きくなって、やや強度が発現されて、止水性が発揮される。このため、水の多い岩盤でも、充填材が流出することがなくなり、岩盤中の水分に左右されることがなく、広い範囲に適用することができる自由度が発揮される。前記膨潤性材料の膨潤状態の制御は、前記膨潤性材料を水に混合した後の膨潤時間、ないしは、添加する水の量のいずれかで行うことができる。前記充填材は、前記膨潤性材料の一部を水に混合した貧配合状態の予備充填材を予め作製し、前記充填材を前記空間部に充填する直前に、残余の前記膨張性材料を加えるので、膨潤性材料の膨潤状態の制御が簡単に行える。前記膨潤性材料は、ベントナイトであって、このベントナイトを1m3当たり350〜600kg混合することができる。この場合、ベントナイトの混合量が350kg未満の場合には、十分な体積膨張を確保することができず、所期の止水性が得られない。また、ベントナイトの混合量が600kgを超えると、流動性がなくなり、穿孔された発破孔内に充填することが難しくなる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明にかかる発破工法の一実施例を示している。同図に示した発破工法では、岩盤10に発破孔12が穿設される。
【0011】
発破孔12は、所定の直径で所定の長さに穿孔され、この穿孔が終了すると、発破孔12内には、爆薬14が装填される。この場合、爆薬14は、発破孔12の奥側に挿入され、爆薬14を装填した後の発破孔12内の空間部16には、充填材18が充填され、この後に爆薬14に点火される。
【0012】
本実施例で用いる充填材18は、膨潤性材料として顆粒状ベントナイトBを用い、この顆粒状ベントナイトBの所定量を水Wに混合したものが用いられる。また、本実施例の充填材18は、顆粒状ベントナイトBの一部を水Wとともに、予備タンク20内に収容して、混合攪拌することで貧配合の予備充填材22を作製する。
【0013】
そして、所定配合の充填材18として、空間部16内に充填する直前に、予備充填材22に、残余の顆粒状ベントナイトBを加え、ポンプ24により供給ホース25を介して、空間部16内に充填する。
【0014】
この場合、充填材18は、顆粒状ベントナイトBが、完全に膨潤する前の未膨潤状態で空間部16内に充填し、空間部16に充填した後に顆粒状ベントナイトBをさらに膨潤させる。
【0015】
このようなベントナイトBの膨潤状態の制御は、顆粒状ベントナイトBを水Wに混合した後の膨潤時間、ないしは、添加する水Wの量のいずれかで行うことができる。
【0016】
すなわち、顆粒状ベントナイトBの場合、吸収する水Wが十分あれば、5分程度で、その膨潤が完全に終了するので、5分を経過する前に空間部16内に充填すればよく、本実施例の場合には、予備充填材22の作製開始から、空間部16内に充填が終了するまでが、この膨潤時間5分となる。
【0017】
また、顆粒状ベントナイトBは、吸収する水Wが十分供給されなければ、完全な膨潤状態にならないので、例えば、空間部16内に充填するまでの間は、水の供給を制限して、未膨潤状態としておき、空間部16内に充填した後に、注水管24を介して、水を追加供給し、この給水で完全に膨潤させるようにしてもよい。
【0018】
また、空間部16内に充填した充填材18には、例えば、水の湧水量が予測した場合よりも多いときなどには、空間部16内に充填した後に、必要に応じて、顆粒状ベントナイトBを追加するようにしてもよい。
【0019】
なお、発破孔12の開口端には、必要に応じて、発破孔12内から充填材18が漏れ出さないように口元閉塞材26を装着する。顆粒状ベントナイトBは、充填材18の1m3当たり350〜600kg混合することが望ましい。
【0020】
この理由は、顆粒状ベントナイトBの混合量が350kg未満の場合には、十分な体積膨張を確保することができず、所期の止水性が得られず、また、ベントナイトBの混合量が600kgを超えると、充填材18に流動性がなくなり、穿孔された発破孔12内に充填することが難しくなるので、この範囲内にすることが望ましい。
【0021】
このような混合量のベントナイトBは、本実施例の場合には、例えば、予備充填材22に1m3当たり、150kg混合した場合には、残余のベントナイトBの後添加量を200〜300kgとする。
【0022】
このような配合比率の場合には、後添加量が200kgでは、5分以内に空間部16内に充填を完了させ、また、後添加量が300kgでは、2分30秒以内に空間部16内に充填を完了させると、良好な結果が得られることを確認している。
【0023】
また、予備充填材22に1m3当たり、200kg混合した場合には、残余のベントナイトBの後添加量を150〜200kgとし、後添加量が150kgでは、3分以内に空間部16内に充填を完了させ、また、後添加量が200kgでは、1分以内に空間部16内に充填を完了させると、良好な結果が得られることを確認している
なお、本実施例のように膨潤性材料として、顆粒状ベントナイトBを用いる場合には、充填材18に流動性および濃度調整用として粘土を添加してもよい。
【0024】
さて、以上のに構成した発破工法によれば、充填材18に水Wに、顆粒状ベントナイトB(膨潤性材料)を所定量混合したものを用い、充填材18の顆粒状ベントナイトB(膨潤性材料)が、完全に膨潤する前の未膨潤状態で空間部16に充填し、空間部16に充填した後に顆粒状ベントナイトB(膨潤性材料)をさらに膨潤させるようにする。
【0025】
この場合、空間部16に充填した後に顆粒状ベントナイトB(膨潤性材料)をさらに膨潤させると、空間部16内に外周が拘束された状態で、顆粒状ベントナイトB(膨潤性材料)が膨潤してその体積が膨張することになり、この様な拘束状態での体積膨張により、充填材18の密度が大きくなって、やや強度が発現されて、止水性が発揮される。
【0026】
このため、水の多い岩盤10でも、充填材18が流出することがなくなり、岩盤10中の水分に左右されることがなく、広い範囲に適用することができる自由度が発揮される。
【0027】
また、本実施例の場合には、充填材18は、顆粒状ベントナイトB(膨潤性材料)の一部を水Wに混合した貧配合状態の予備充填材22を予め作製し、充填材18を空間部16に充填する直前に、残余の顆粒状ベントナイトB(膨潤性材料)を加えている。
【0028】
このような構成によれば、充填材18を空間部16に充填する直前に、残余の顆粒状ベントナイトB(膨潤性材料)を加えることにより、顆粒状ベントナイトB(膨潤性材料)の膨潤状態の制御がより簡単に行える。
【0029】
【発明の効果】
以上、実施例で詳細に説明したように、本発明にかかる発破工法によれば、岩盤中の水分に左右されることがなく、広い範囲に適用することができ、適用の自由度が広がる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる発破工法の一実施例を示す施工状態の説明図である。
【符号の説明】
10 岩盤
12 発破孔
14 爆薬
16 空間部
18 充填材
20 予備タンク
22 予備充填材
Claims (2)
- 予め穿孔した発破孔内に爆薬を装填した後に、爆薬装填後の前記発破孔内の空間部に充填材を充填して、前記爆薬に点火する発破工法において、
前記充填材に水に、ベントナイトなどの膨潤性材料を所定量混合したものを用い、前記充填材の前記膨潤性材料が、完全に膨潤する前の未膨潤状態で前記空間部に充填し、前記空間部に充填した後に前記膨潤性材料をさらに膨潤させる発破工法であって、
前記充填材は、前記膨潤性材料の一部を水に混合した貧配合状態の予備充填材を予め作製し、前記充填材を前記空間部に充填する直前に、残余の前記膨張性材料を加えることを特徴とする発破工法。 - 前記膨潤性材料は、ベントナイトであって、このベントナイトを1m 3 当たり350〜600kg混合することを特徴とする請求項1記載の発破工法。
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- 2000-11-16 JP JP2000349180A patent/JP4639462B2/ja not_active Expired - Fee Related
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