JP2552811Y2 - 船舶のトランクピストン型操舵装置 - Google Patents

船舶のトランクピストン型操舵装置

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JP2552811Y2
JP2552811Y2 JP3707891U JP3707891U JP2552811Y2 JP 2552811 Y2 JP2552811 Y2 JP 2552811Y2 JP 3707891 U JP3707891 U JP 3707891U JP 3707891 U JP3707891 U JP 3707891U JP 2552811 Y2 JP2552811 Y2 JP 2552811Y2
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、船舶のトランクピスト
ン型操舵装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】船舶の操舵装置のうち比較的大型の船舶
の操舵装置では、一般に油圧式のラプソンスライド型操
舵装置やトランクピストン型操舵装置が用いられてお
り、前者は舵柄の両端部のフォーク部に係合させたピン
部材を夫々1対の油圧シリンダでつまり4つの油圧シリ
ンダで駆動する形式のものであり、また後者は舵柄の両
端部に1対の複動型油圧シリンダを連結し、これら1対
の油圧シリンダのシリンダ本体の基端部を夫々回動自在
にピン結合し、両油圧シリンダにより駆動する形式のも
のである。前記ラプソンスライド型操舵装置における流
量制御方式には、通常バルブ制御方式とポンプ制御方式
とが適用される。例えば、実開平1−76397号公報
には、ラプソンスライド型操舵装置の流量制御をポンプ
制御方式で行うようにしたものが記載されている。
【0003】一方、トランクピストン型操舵装置におけ
る流量制御方式には、通常バルブ制御方式が適用され、
このトランクピストン型操舵装置は通常±35度程度の
比較的小さい舵角で使用される。ところで、このトラン
クピストン型操舵装置を大舵角(±45度以上)の操舵
装置に適用すると、大舵角の時に油圧低下を招くことか
ら、この操舵装置の油圧回路の要部は、例えば図に示
すように構成される。可変容量型油圧ポンプ100の吐
出量は舵角指令信号に従って吐出量制御装置101によ
り制御され、油圧ポンプ100の吐出ポート10aが
1対の油圧シリンダ102・103の油室102a・1
03bに接続されまた吐出ポート10bが1対の油室
102b・103aに接続され、圧油は両シリンダ10
2・103とポンプ100とに亙って循環する。同一回
動角に対し前記シリンダ102のストロークとシリンダ
103のストロークとが等しくないことから、油室10
2a・103bの容積と油室102b・103aの容積
とが等しくなく、その容積差の変動に起因して、シリン
ダ内容量に過不足を来す。不足に対してはブーストポン
プ104からリリーフ型の減圧弁とチェック弁を介して
油圧シリンダ102・103への油圧回路へブースト油
圧が供給され、また過剰に対してはフラッシングバルブ
と減圧弁を介してタンクへリリーフされる。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】油圧ポンプから略一定
の吐出量を供給して舵角を変化させていくものとする
と、トランクピストン型の構造により、舵角角速度は実
施例に係る図7の曲線FとGに示すように、大舵角にな
るのに応じて急激に増大する。そして、この舵角角速度
の増大は操舵装置にとって特に必要ではなく、またトラ
ンクピストン型操舵装置の機械的機構の制約から生じる
ものであるにもかかわらず、この舵角角速度の増大に応
じて充填側の油室の油圧低下が著しくなるので、それを
防ぐ為にそれだけブーストポンプを大型化しなければな
らないという問題がある。
【0005】本考案の目的は、前記ブーストポンプを小
型化でき且つ大舵角時の操舵精度を向上し得るような船
舶のトランクピストン型操舵装置を提供することであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る船舶のト
ランクピストン型操舵装置は、船舶の舵の舵柄の両端部
に連結された1対の複動型油圧シリンダと、これら油圧
シリンダに油圧を供給する油圧ポンプと、油圧シリンダ
への油圧回路へブースト油圧を供給するブーストポンプ
と、油圧ポンプの吐出量を調整する為のレギュレータと
を備えた船舶のトランクピストン型操舵装置において、
前記レギュレータの制御入力部を操作するトルクモータ
と、舵角を検出する舵角検出手段と、外部からの舵角指
令信号と舵角検出手段からの舵角信号とを受けて舵角が
指令舵角となるようにトルクモータを介してレギュレー
タを制御する制御手段と、この制御手段からトルクモー
タへの出力回路に切換えスイッチを介して並列接続され
出力回路の出力信号に相互に異なるレベルの制限を付加
する為の複数のリミッタ回路と、舵角検出手段からの舵
角信号を受け且つ舵角の増大に応じて低いレベルの制限
を加えるように予め設定された舵角レンジとリミッタ回
路との対応関係に基づいて、舵角に対応するリミッタ回
路を選択するように切換えスイッチを切換える切換手段
とを備えたことを特徴とするものである
【0007】
【作用】請求項1に係る船舶のトランクピストン型操舵
装置においては、船舶の舵の舵柄の両端部に1対の複動
型油圧シリンダが夫々連結され、これら油圧シリンダへ
は油圧ポンプから油圧が供給され、またブーストポンプ
からは油圧シリンダへの油圧回路へブースト油圧が供給
されるから大舵角時にも油圧低下が生じない。前記油圧
ポンプの吐出量はレギュレータにより調整されるが、こ
のレギュレータの制御入力部を操作する為のトルクモー
タが設けられている。
【0008】そして、制御手段は、外部からの舵角指令
信号と舵角検出手段からの舵角信号とを受けて舵角が指
令舵角となるようにトルクモータを介してレギュレータ
を制御する。
【0009】ここで、前記制御手段からトルクモータへ
の出力回路に切換えスイッチを介して並列接続され出力
回路の出力信号に相互に異なるレベルの制限を付加する
為の複数のリミッタ回路と、舵角検出手段からの舵角信
号を受け且つ舵角の増大に応じて低いレベルの制限を加
えるように予め設定された舵角レンジとリミッタ回路と
の対応関係に基づいて、舵角に対応するリミッタ回路を
選択するように切換えスイッチを切換える切換手段とが
設けられているので、舵角の増大に応じて、トルクモー
タへ供給される出力信号に低いレベルの制限が段階的に
付加されることになる。従って、舵角の増大に応じて舵
角角速度が段階的に低く切り換えられるから、ブースト
ポンプでバックアップすべき油圧低下の速度が小さくな
るため、ブーストポンプを小型化することが可能にな
る。
【0010】このように、複数のリミッタ回路と切換え
スイッチと切換手段とを主体とする簡単な構成によって
ブーストポンプの小型化を実現し得る。一方、前記のよ
うにリミッタ回路を介して出力信号に制限を付加するの
で、大舵角時の油圧ポンプの先進角を大きくする必要は
なく、これにより操舵角全域での操舵精度を向上させる
ことが出来る
【0011】
【考案の効果】前記作用の項で説明したように、次のよ
うな効果が得られる。請求項1に係る船舶のトランクピ
ストン型操舵装置によれば、複数のリミッタ回路と切換
えスイッチと切換手段とを主体とする簡単な構成によっ
てブーストポンプの小型化を実現し得る。また、前記の
ようにリミッタ回路を介して出力信号に制限を付加する
ことにより、大舵角時の油圧ポンプの先進角を小さくで
き、大舵角時の操舵精度を向上させることが出来る
【0012】
【実施例】以下、本考案の実施例について図面に基づい
て説明する。図1は、船舶のトランクピストン型操舵装
置SMを示し、この操舵装置SMにおいて、舵Kの舵軸
1の上端部には舵柄2が固着され、舵柄2の両端部には
夫々複動型の油圧シリンダ3・4のピストンロッドが連
結され、舵Kはこの1対の油圧シリンダ3・4により回
動操作される。
【0013】斜軸型のアキシャルピストンポンプからな
る可変容量ポンプ5は、モータ95で駆動されるが、こ
のポンプ5のポート5aは油路6によりシリンダ3のロ
ッド側油室3aとシリンダ4のヘッド側油室4bとに接
続され、またポート5bは油路7によりシリンダ3のヘ
ッド側油室3bとシリンダ4のロッド側油室4aとに接
続され、油路6・7には供給位置と非供給位置とに切り
換え可能なパイロット式の切換弁8が介設され、切換弁
8は電磁パイロット弁9により切り換えられる。油圧ポ
ンプ5の傾転角を変えてその吐出量を調整する為の後述
のレギュレータ40にサーボ油圧を供給する為のサーボ
ポンプとシリンダ3・4の油路6・7の油圧低下を防ぐ
為のブースト圧を供給するブーストポンプとを兼ねるブ
ースト兼サーボポンプ20は、ギヤポンプからなり、モ
ータ21で駆動されるが、その吐出路11に接続された
ブースト油路22には、絞り弁23と減圧弁24とが介
設され、油路22はチェック弁25を有する油路26に
より油路6に接続されるとともにチェック弁27を有す
る油路28により油路7に接続され、所定圧(例えば、
1MPa)のブースト圧が油路6・7に供給される。一
方、シリンダの低圧側圧力制御用にフラッシングバルブ
29が油路22に接続され、その1次側は油路30・3
1を介して夫々油路26・28に接続され、2次側は減
圧弁24に接続されている。また、舵Kに作用する外部
負荷などによりシリンダ3・4の油圧が異常上昇したと
きにその異常圧をリリーフさせる為のリリーフ弁90・
91が設けられている。尚、前記パイロット弁9は油路
10により油路11に接続されている。
【0014】次に、油圧ポンプ5の吐出量を変える為の
レギュレータ40について説明すると、レギュレータ4
0は、スプール・スリーブ弁機構からなるパイロット部
41と、油圧ポンプ5の傾転ピンに連結されたサーボピ
ストン43を有するサーボシリンダ42を備えている。
サーボシリンダ42において、そのサーボピストン43
のピストン部43aのロッド側には小室42aがまたヘ
ッド側には大室42bが形成され、ピストンロッド43
bは油圧ポンプ5の傾転ピンに連結されている。
【0015】パイロット部41において、スプール44
はスリーブ46内に摺動自在に装着され、スリーブ46
はハウジング内に摺動自在に装着され、スプール44は
弱いバネ力の1対の中立復帰バネ47・48により中立
位置に付勢され、スプール44の途中部にはランド部4
4aがまた左端部には制御入力部としてのパイロットピ
ストン部45が形成され、ポート59は油路11に接続
された油路57により小室42aに接続され、またポー
ト60は油路58により大室42bに接続され、フィー
ドバックレバー50の上端部はピン51によりハウジン
グに連結され、レバー50の途中部のピン52はスリー
ブ46の外周溝に係合され、レバー50の下端部のピン
53はピストンロッド43bの外周溝に係合されてい
る。更に、パイロットピストン部45を操作する操作レ
バー54の上端部のピン55はハウジングに枢支される
とともにトルクモータ83で回動駆動されるようにモー
タ83の出力軸に機械的に連結され、操作レバー54の
下端部のピン56はパイロットピストン部45の外周溝
に係合されている。尚、リリーフ弁49はサーボポンプ
吐出圧を設定圧に調節する為のものであり、スプール4
4の右端部には、その移動ストロークを電気的に検出す
る為の差動トランス75が設けられている。
【0016】次に制御系について説明する。操舵室の操
舵輪70からの信号に基づいて操舵方向と指令舵角θc
とを指令する舵角指令信号Sθcを発生させる指令信号
発生回路71が設けられ、また舵Kの実際の舵角θを検
出する為ポテンショメータからなる舵角センサ72が舵
軸1に連係して設けられ、舵角指令信号Sθcと舵角セ
ンサ72で検出された舵角信号Sθとの偏差信号Δθ
が減算器73からサーボ増幅器74に供給される。減算
器76において、サーボ増幅器74からのトルクモータ
傾転角信号Ssから差動トランス75からのストローク
信号Stが減算されてトルクモータ駆動回路77に供給
され、この駆動回路77はモータ駆動信号Mdをトルク
モータ83へ出力する。トルクモータ83は駆動信号M
dで指令される角度と方向に右回りまたは左回りに回動
して操作レバー54を回動させる。
【0017】減算器76からトルクモータ83へ至る出
力ライン84のうち駆動回路77より上流側部分には、
切換えスイッチ80を介して第1リミッタ回路81と第
2リミッタ回路82とが並列接続され、舵角センサ72
の舵角信号Sθを受ける判別回路78によりリレーコイ
ル79が操作され、リレーコイル79により切換えスイ
ッチ80が切り換え操作されるようになっている。第1
リミッタ回路81は、モータ駆動信号Mdに対して、図
2に実線Aで示すように0〜θa(例えば、θa=±5
5度)の舵角レンジにおいて通常と同様の高い第1リミ
ット値Kθ1の上限ガードを付加する為のものであり、
第2リミッタ回路82は、モータ駆動信号Mdに対し
て、図2に鎖線Bで示すようにθa超の舵角レンジにお
いて上記第1リミット値Kθ1の1/2〜1/3の低い
第2リミット値Kθ2の上限ガードを付加する為のもの
であり、判別回路78は、リレーコイル79を介して舵
角θが0〜θaの範囲のときには第1リミッタ回路81
をまた舵角θがθaより大のときには第2リミッタ回路
82を接続するように切換えスイッチ80を切り換え操
作する。
【0018】次に、以上説明した操舵装置SMの作用に
ついて説明する。先ず、油圧ポンプ5は、操舵方向に対
応して士の両方向に傾転され、モータ95は所定の一方
向に回転駆動され、操舵装置の電源の投入によりパイロ
ット弁9は、切換弁8を供給位置にする位置に切り換え
られる。切換弁8が供給位置にあるとき、油圧ポンプ5
の吐出ポート5aから吐出されると舵Kは図1にて右回
りに操舵され、また吐出ポート5から吐出されると舵
Kは左回りに操舵される。
【0019】次に、レギュレータ40に関して、これは
可変容量型油圧ポンプの傾転角(吐出量)を制御する一
般的なレギュレータと同様に作動するものなので簡単に
説明すると、図1の状態において、スプール44のラン
ド部44aによりポート孔46aは塞がれており、例え
ばトルクモータ83が右回りに回動して操作レバー54
を介してスプール44が左方へ移動すると、ポート孔4
6aが開いてサーボ油圧が油路58から大室42bへ追
加充填されてサーボピストン43が左方へ移動して傾転
角が増加し、その傾転角増加分に相当する油量がシリン
ダ3・4へ供給され舵角θが増加するが、モータ83の
操作トルクに相当するストロークだけサーボピストン4
3が移動した後には、フィードバックレバー50のフィ
ードバック作用によりスリーブ46が左方へ移動してポ
ート孔46aは再びランド部44aにより封鎖され、そ
の後モータ83により操作レバー54が原位置(左回り
に)へ復帰操作されると、ポート孔46aはドレン側へ
開かれ、大室42bの圧油の一部は油路58とポート6
0とポート孔46aとを経てドレンポート46bへ排出
され、サーボピストン43は原位置へ復帰し、その後フ
ィードバックレバー50のフィードバック作用によりス
リーブ46が右方へ移動してポート孔46aは再びラン
ド部44aにより封鎖され、このように転舵後の舵Kの
位置は保持される。但し、図1の状態において、モータ
83が左回りに操作されると、上記とは逆の作用により
油圧ポンプ5は上記と反対方向へ傾転することになる。
【0020】次に、制御系と関連づけた作用について説
明する。舵Kの舵角θが図示のように零の状態から、仮
に操舵輪70から舵Kを右回りに指令舵角θcまで転舵
する指令が入ると、それに対応する舵角信号Sθcが減
算器73に出力されるが、当初検出される舵角θが小さ
く、指令舵角θcと舵角θとの偏差Δθが大きいので、
また判別回路78により第1リミッタ回路81が接続さ
れているので、駆動回路77からは大きなモータ駆動信
号Mdが出力される。駆動信号Mdは図2の実線Aに対
応する第1リミット値Kθ1で制限され、その後駆動信
号Mdにより信号Mdに対応するトルクでモータ83は
右回りに回動され、前記の如くレギュレータ40のサー
ボピストン43が左方へ移動し、ポンプ5の傾転角は略
最大に操作されて、舵角θは図3のように増加してい
く。その後舵角θの増大により偏差信号SΔθが低減し
ていくのでトルクモータ傾転角信号Ssも低減して、ポ
ンプ傾転角は徐々に減少し、最後には、偏差信号SΔθ
が零となり、トルクモータ83は中立に復帰し前記の如
くスプール44は再び図1の状態に復帰して整定し、ポ
ンプ5の傾転角は再び零となり、舵Kは指令舵角θcの
位置を保持することになる。ここで、指令舵角θcがθ
aよりも大きい場合には前記と同様にして舵角θが指令
舵角θcとなるようにフィードバック制御されるが、舵
角θがθaを越えた時点において切換えスイッチ80が
第2リミッタ回路82の方へ切り換えられ、駆動信号M
dは大幅に低い第2リミット値Kθ2で制限されるの
で、モータ83のトルクは小さく切り換えられてポンプ
5の傾転角も小さく切り換えられる。
【0021】次に、ブースト油圧について説明すると、
トランクピストン型操舵装置SMでは、1対のシリンダ
3・4を図1・図4に示すように逆「ハ」字状に配置す
ることになるが、シリンダ3・4の回動角が対称でない
ことから、図4において充填側油室3b・4aの容積V
1と排出側油室3a・4bの容積V2との容積差ΔV=
V1−V2は、舵角θを変数として図5の実線Cのよう
になり、それを時間微分したブースト必要油量及び排出
必要油量が図6の実線Dのように得られる。即ち、舵角
θがθa以下のとき容積差ΔVの時間微分が正となるの
で、ポンプ5を介してシリンダ3・4へ過剰の油量が供
給されるためシリンダ3・4内の油圧が上昇し前記フラ
ッシングバルブ29と減圧弁24を介してリリーフされ
る。これに対して、舵角θがθaより大のときには、容
積差ΔVの時間微分が負となるので、油圧シリンダ内へ
十分な油量を供給出来なくなる。そこで、ポンプ20か
らブースト油圧が油室3a・4b又は3b・4aに供給
されることになる。図6から判るように、舵角θがθa
より大のとき舵角θの増大に応じてブースト必要油量が
急増するが、前記のようにこのとき第2リミッタ回路8
2に切り換えることで、ポンプ5の傾転角を小さくして
舵角角速度を小さくできるから、ブースト必要油量を鎖
線Eのような特性にできる。尚、図7は所定のモータ駆
動信号Mdにより転舵するときの舵角角速度を示し、第
1リミッタ回路81だけの場合には実線FとGのように
なるが、第2リミッタ回路82に切り換えることで鎖線
Hのようになる。
【0022】以上説明したように、本実施例のトランク
ピストン型操舵装置SMにおいては、ポンプ20からシ
リンダ3・4へブースト油圧を供給するように構成して
あるので、舵角θが大きな大舵角時における油圧低下を
防止できる。また、大舵角時に第2リミッタ回路82に
切り換えることで大舵角時のブースト必要油量を少なく
して、ポンプ20の小型化を図ることが出来る。また、
差動トランス75のストローク信号Stを減算器76に
供給してモータ20の駆動信号Mdの形成に用いるの
で、ポンプ5に対する傾転角制御の応答性を向上でき
る。また、小舵角時に第1リミッタ回路81を適用しま
た大舵角時に大舵角時に第2リミッタ回路82を適用す
るので、小舵角時のポンプ先進角αを適正に設定してハ
ンチングや応答遅れを防止しつつ、大舵角時のポンプ先
進角βを小さくして操舵の応答性つまり操舵精度を高め
ることが出来る。更に、フラッシングバルブ29を設け
たので、前記容積差ΔVの変動によりシリンダ3・4に
発生する異常に高い油圧をリリーフできる。尚、前記リ
ミッタ回路としては、相互に異なるリミット値の3つ以
上のリミッタ回路を前記同様に並列接続して設け、舵角
θの増大に応じて段階的に小さいリミット値に切り換え
るように構成してもよい 、前記サーボ弁41の代わ
りに、ロータリ式のサーボ弁機構を用いることができる
ことはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】トランクピストン型操舵装置の全体構成図であ
る。
【図2】舵角偏差に対するポンプ傾転量の特性を示す線
図である。
【図3】指令舵角に制御する時の舵角のタイムチャート
である。
【図4】舵と舵軸と舵柄と操舵用油圧シリンダの配置説
明図である。
【図5】油圧シリンダの油室の容積差の線図である。
【図6】ブースト必要油量の線図である。
【図7】舵角に対する舵角角速度の特性を示す線図であ
る。
【図8】従来技術に係るトランクピストン型操舵装置の
要部構成図である。
【符号の説明】
SM トランクピストン型操舵装置 K 舵 1 舵軸 2 舵柄 3・4 油圧シリンダ 5 油圧ポンプ 6・7 油路 20 ブースト兼サーボポンプ 40 レギュレータ 45 パイロットピストン部 72 舵角センサ 73 減算器 74 サーボ増幅器 76 減算器 77 トルクモータ駆動回路 78 判別回路 79 リレーコイル 80 切換えスイッチ 81 第1リミッタ回路 82 第2リミッタ回路 83 トルクモー

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 船舶の舵の舵柄の両端部に連結された1
    対の複動型油圧シリンダと、これら油圧シリンダに油圧
    を供給する油圧ポンプと、油圧シリンダへの油圧回路へ
    ブースト油圧を供給するブーストポンプと、油圧ポンプ
    の吐出量を調整する為のレギュレータとを備えた船舶の
    トランクピストン型操舵装置において、 前記レギュレータの制御入力部を操作するトルクモータ
    と、舵角を検出する舵角検出手段と、外部からの舵角指
    令信号と舵角検出手段からの舵角信号とを受けて舵角が
    指令舵角となるようにトルクモータを介してレギュレー
    タを制御する制御手段と、この制御手段からトルクモー
    タへの出力回路に切換えスイッチを介して並列接続され
    出力回路の出力信号に相互に異なるレベルの制限を付加
    する為の複数のリミッタ回路と、舵角検出手段からの舵
    角信号を受け且つ舵角の増大に応じて低いレベルの制限
    を加えるように予め設定された舵角レンジとリミッタ回
    路との対応関係に基づいて、舵角に対応するリミッタ回
    路を選択するように切換えスイッチを切換える切換手段
    とを備えたことを特徴とする船舶のトランクピストン型
    操舵装置
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