JP2552700Y2 - 管継手 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、ガスケットおよびガ
スケット保持器を備えた管継手に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、上記管継手が分解されて次に再組
立される場合には、ガスケットを新しいものに交換する
ことが一般に行われていた。これは、管継手の組立中、
ガスケット押え用環状突起で押さえられるガスケットの
面にわずかな凹みが生じ、再組立時にガスケット押え用
環状突起とガスケットの凹みとがずれてシール効果に不
利な影響を及ぼすことがあるためである。

【０００３】しかしながら、再組立時にガスケットを新
しいものに交換するためには、交換用ガスケットを各サ
イズおよび各材質別に準備しておかなければならない
し、交換する手間がかかるし、不経済でもあった。

【０００４】このため、管継手が分解されて次に再組立
されるときガスケットを正確に再位置決めしてガスケッ
トの交換の必要を無くする目的のものとして、例えば特
公平２−６２７５６号公報に、環状端壁と、環状端壁に
対してほぼ直角方向に端壁の外側へ延びる円筒形側壁
と、円筒形側壁からさらに外側へ延びかつ継手構成要素
との係合手段を有する複数の保持脚部とよりなり、環状
端壁と円筒形側壁とによりガスケットが径方向に移動し
ないようにガスケットを保持する凹所が形成されている
ガスケット保持器が開示されている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、上記ガ
スケット保持器では、ガスケット保持器とガスケットの
間には、わずかな遊びが存在し、この遊び量がガスケッ
ト保持器の円筒形側壁の内径およびガスケットの外径に
影響されやすいため、ガスケットの径方向の移動を完全
になくすことはできないと考えられる。

【０００６】この考案の目的は、ガスケット保持器内に
おいてガスケットが移動せず、したがって、再組立時に
ガスケットを交換する必要がない管継手を提供すること
にある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】第１の考案による管継手
は、突き合わせ端面にガスケット押え用環状突起が設け
られた一対の管状継手部材と、両継手部材の突き合わせ
端面に介在させられる円環状ガスケットと、ガスケット
を保持しかついずれか一方の継手部材に保持されるガス
ケット保持器と、両継手部材を連結するねじ手段とを備
えている管継手において、ガスケットの外周面に環状溝
が形成され、ガスケット保持器は、ガスケットの外径よ
り大きい内径を有するリング部と、リング部の一端に設
けられかつガスケットの環状溝に嵌合する嵌合部と、リ
ング部の他端に設けられかついずれか一方の継手部材の
外周に係合する係合部とよりなり、嵌合部は、先端部が
内方に直角に屈曲した複数個の略Ｌ字形部材がリング部
周方向に間隔をおいて設けられることにより形成されて
おり、係合部は、中間部が内方に屈曲した複数個の略Ｖ
字形部材がリング部周方向に間隔をおいて設けられるこ
とにより形成されていることを特徴とするものである。

【０００８】第２の考案による管継手は、突き合わせ端
面にガスケット押え用環状突起が設けられた一対の管状
継手部材と、両継手部材の突き合わせ端面に介在させら
れる円環状ガスケットと、ガスケットを保持しかついず
れか一方の継手部材に保持されるガスケット保持器と、
両継手部材を連結するねじ手段とを備えている管継手に
おいて、ガスケットの外周面に環状溝が形成され、ガス
ケット保持器の一端に内方に屈曲しガスケットの環状溝
に嵌合する嵌合部が、ガスケット保持器の他端に第１継
手部材外周または第２継手部材の外周に係合する係合部
が形成されており、ガスケット保持器に軸線方向にのび
るスリットが形成されることにより、嵌 合部および係合
部に弾性が付与されていることを特徴とするものであ
る。

【０００９】

【作用】第１の考案の管継手によると、嵌合部は、先端
部が内方に屈曲した複数個の略Ｌ字形部材がリング部周
方向に間隔をおいて設けられることにより形成されてお
り、係合部は、中間部が内方に屈曲した複数個の略Ｖ字
形部材がリング部周方向に間隔をおいて設けられること
により形成されているから、ガスケット保持器の嵌合部
および係合部が共に弾性を有している。

【００１０】また、第２の考案の管継手によると、ガス
ケット保持器に軸線方向にのびるスリットが形成される
ことにより、嵌合部および係合部に弾性が付与されてい
る。

【００１１】したがって、第１および第２の管継手によ
ると、ガスケットに形成された環状溝に、ガスケット保
持器の嵌合部を嵌め合わせると、嵌合部の弾性力により
ガスケットの外周面が押え付けられ、ガスケット保持器
内におけるガスケットの移動が阻止される。この状態
で、係合部を継手部材の外周に係合させると、係合部の
弾性力によりガスケット保持器が継手部材に保持され
る。こうして、ガスケット保持器およびガスケット保持
器内に保持されたガスケットが継手部材の端部に保持さ
れる。

【００１２】

【実施例】以下、図面を参照して、この考案の実施例に
ついて説明する。なお、以下の説明において、図面の左
右を左右とする。

【００１３】図１および図２は、第１実施例を示してい
る。

【００１４】図１および図２において、第１管状継手部
材(1) の右端面と第２管状継手部材(2) の左端面が円環
状ガスケット(3) を挟んで突合わされ、第２継手部材
(2) 側から第１継手部材(1) にねじはめられたナット
(4) により第２継手部材(2) が第１継手部材(1) に固定
されている。第１継手部材(1) と第２継手部材(2) の突
合わせ端面には、断面半円形のガスケット押え用環状突
起(6)(7)がそれぞれ形成されている。また、ガスケット
(3) は、リング状のガスケット保持器(5) によって第１
継手部材(1) の右端部に保持されている。

【００１５】ガスケット(3) の外周面中央部には、全周
にわたる環状溝(8) が形成されている。

【００１６】ガスケット保持器(5) は、薄肉の金属製
で、リング部(9) と、リング部(9) の一端に設けられガ
スケット(3) の環状溝(8) に嵌合する嵌合部(10)と、リ
ング部(9) の他端に設けられ第１継手部材(1) 外周に係
合する係合部(11)とよりなる。

【００１７】リング部(9) の幅は、第１継手部材(1) の
ガスケット押え用環状突起(6) の高さにほぼ等しく、リ
ング部(9) の内径は、ガスケット(3) の外径よりやや大
きい。

【００１８】嵌合部(10)は、一端がリング部(9) に連な
り他端が内方に直角に屈曲した４個の略Ｌ字形部材がリ
ング部(9) 周縁に沿って等間隔に設けられることにより
形成されている。対向する嵌合部(10)の内のりはガスケ
ット(3) の環状溝(8) の内径よりわずかに小さい。

【００１９】係合部(11)は、一端がリング部(9) に連な
り左右の中間部が内方に屈曲した４個の略Ｖ字形部材が
リング部(9) 周縁に等間隔に設けられることにより形成
されている。対向する係合部(11)の内のりは第１継手部
材(1) 右端面の外径よりもやや小さい。

【００２０】ガスケット保持器(5) は薄肉の金属製であ
るため、嵌合部(10)および係合部(11)は若干の弾性を有
している。

【００２１】ガスケット(3) に形成された環状溝(8)
に、ガスケット保持器(5) の嵌合部(10)を嵌め合わせる
と、嵌合部(10)は外方に拡大され、弾性力によりガスケ
ット(3) がガスケット保持器(5) 内の所定位置に保持さ
れ、ガスケット保持器(5) 内におけるガスケット(3) の
移動が阻止される。

【００２２】ガスケット保持器(5) の係合部(11)を第１
継手部材(1) に嵌め入れると、係合部(11)は外方に拡大
され、弾性力により係合部(11)が第１継手部材(1) 右端
部の外周に係合され、ガスケット保持器(5) 内に保持さ
れたガスケット(3) が第１継手部材(1) の右端部に保持
される。

【００２３】第２継手部材(2) 側から第１継手部材(1)
にねじはめられたナット(4) を締付けると、第１継手部
材(1) の環状突起(6) および第２継手部材(2) の環状突
起(7) がガスケット(3) をその両面から押圧し、流体密
の連結が果たされる。

【００２４】図３および図４は第２実施例を示す。

【００２５】第２実施例の場合、ガスケット保持器(5)
の嵌合部(12)は、一端がリング部(9) に連なり他端が内
方に直角に屈曲した断面Ｌ字形のリング状のものであ
り、その内径はガスケット(3) の環状溝(8) の内径より
やや小さい。

【００２６】係合部(13)は、一端がリング部(9) に連な
り中間部が内方に屈曲した断面Ｖ字形のリング状のもの
であり、その内径は第１継手部材(1) 右端面の外径より
も若干小さい。

【００２７】そして、軸線方向にスリット(14)が形成さ
れることにより、嵌合部(12)および係合部(13)に径方向
の弾性が付与されている。

【００２８】その他は第１実施例と同一である。

【００２９】

【考案の効果】ガスケットの外周面を弾性力により押え
付けるので、ガスケット保持器内におけるガスケットの
移動が完全に阻止される。また、係合部の弾性力により
ガスケット保持器が継手部材に保持されるので、継手部
材に対するガスケット保持器の移動も阻止される。した
がって、継手が分解されて次に再組立される場合でも、
ガスケットに形成された凹みとガスケット押え用環状突
起とがずれてシール効果に不利な影響を及ぼすことがな
く、したがって、ガスケットを交換する必要がない。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の実施例を示す管継手の縦断面図であ
る。

【図２】ガスケットおよびガスケット保持器の分解斜視
図である。

【図３】この考案の他の実施例を示すガスケットおよび
ガスケット保持器の断面図である。

【図４】同分解斜視図である。

【符号の説明】

(1) 第１管状継手部材 (2) 第２管状継手部材 (3) 円環状ガスケット (4) ナット (5) ガスケット保持器 (6)(7) ガスケット押え用環状突起 (8) 環状溝(9) リング部 (10)(12) 嵌合部 (11)(13) 係合部 (14) スリット

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】突き合わせ端面にガスケット押え用環状突
   起(6)(7)が設けられた一対の管状継手部材(1)(2)と、両
   継手部材(1)(2)の突き合わせ端面に介在させられる円環
   状ガスケット(3) と、ガスケット(3) を保持しかついず
   れか一方の継手部材(1)(2)に保持されるガスケット保持
   器(5) と、両継手部材(1)(2)を連結するねじ手段(4)と
   を備えている管継手において、 ガスケット(3) の外周面に環状溝(8) が形成され、ガス
   ケット保持器(5) は、ガスケット(3) の外径より大きい
   内径を有するリング部(9) と、リング部(9) の一端に設
   けられかつガスケット(3) の環状溝(8) に嵌合する嵌合
   部(10)と、リング部(9) の他端に設けられかついずれか
   一方の継手部材(1)(2)の外周に係合する係合部(11)とよ
   りなり、嵌合部(10)は、先端部が内方に屈曲した複数個
   の略Ｌ字形部材がリング部(9) 周方向に間隔をおいて設
   けられることにより形成されており、係合部(11)は、中
   間部が内方に屈曲した複数個の略Ｖ字形部材がリング部
   (9) 周方向に間隔をおいて設けられることにより形成さ
   れていることを特徴とする管継手。
2. 【請求項２】突き合わせ端面にガスケット押え用環状突
   起(6)(7)が設けられた一対の管状継手部材(1)(2)と、両
   継手部材(1)(2)の突き合わせ端面に介在させられる円環
   状ガスケット(3) と、ガスケット(3) を保持しかついず
   れか一方の継手部材(1)(2)に保持されるガスケット保持
   器(5) と、両継手部材(1)(2)を連結するねじ手段(4)と
   を備えている管継手において、 ガスケット(3) の外周面に環状溝(8) が形成され、ガス
   ケット保持器(5) の一端に内方に屈曲しガスケット(3)
   の環状溝(8) に嵌合する嵌合部(12)が、ガスケット保持
   器(5) の他端にいずれか一方の継手部材(1)(2)の外周に
   係合する係合部(13)が形成されており、ガスケット保持
   器(5) に軸線方向にのびるスリット(14) が形成されるこ
   とにより、嵌合部(12)および係合部(13)に弾性が付与さ
   れていることを特徴とする管継手。