JP2552512B2 - ピストンリング用溶製鋼 - Google Patents

ピストンリング用溶製鋼

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、内燃機関のピストンリングに用いるマルテ
ンサイト系ピストンリング用鋼であって、特にNbを添加
することにより従来のものより耐磨耗性、耐スカッフィ
ング性および疲労強度を改善したピストンリング用鋼に
関するものである。
[従来の技術] 内燃機関用ピストンリングは、燃焼室の機密性を保持
するための圧力リングと、ピストンリングおよびシリン
ダーライナー間の潤滑油膜を調製するための油かきリン
グにより構成されている。このピストンリングのうち、
圧力リングはピストンヘッドの直下に遊嵌され燃焼ガス
の影響を大きく受けるものであり、耐磨耗性、耐スカッ
フィング性および疲労強度等が要求される。
近年、内燃機関の軽量化、高出力化および高回転化に
伴い、圧力リングの薄幅化が積極的に進められてきた。
このピストンリングの薄幅化は、ピストンリングを軽量
化し、ピストンリング構内でのピストンリングの挙動の
安定化、油膜厚さが薄くできることによる潤滑油消費量
の改善が図られる。
しかし、このようにピストンリングの薄幅化が進めら
れると、油膜厚さが薄くなり磨耗が増大し寿命が短くな
るので、従来一般的であった鋳鉄製のリングや、炭素
鋼、シリクローム鋼、あるいはオイルテンパー線製のリ
ングでは使用に耐えなくなってきた。すなわち、鋳鉄製
のリングでは軸方向に薄いものが製造しがたく、かつ耐
折損強度の点で不十分であり、シリクローム鋼リングは
高温での強度が小さいため比較的断面積の大きいものと
なり、慣性が大きくフラッタリング現象を起こしやす
い。そこで、最近ではピストンリングの材料として工具
鋼、ばね鋼およびステンレス鋼が用いられるようになっ
ており、特にステンレス鋼としては13Crマルテンサイト
系ステンレス鋼(0.65C−13.5Cr−0.3Mo−0.1V)が圧力
リングとして用いられ好結果が得られている。
しかし、これらマルテンサイト系ステンレス鋼製のピ
ストンリングも、摩擦磨耗の激しいエンジンに用いた場
合、未だ耐磨耗性および耐スカッフィング性の点におい
て不十分である。また、マルテンサイト系ステンレス鋼
を用いガス窒化処理した圧力リングでは、ピストンへの
組付強度が十分でなく、必要以上に合い口を広げると
(10T以上、実力11〜13T「T:リング幅(mm)」)折損す
るという問題がある。さらに、この圧力リングは耐スカ
ッフ性に対する要求が厳しい内燃機関に関しては、不十
分な性能で、スカッフするという問題があり、摺動面に
だけ薄いNi−PまたはNi−Co−Pめっき若しくはこれら
のベースめっきに硬質粒子(Si3N4)を分散させためっ
きを行っている。また、キーストンリングのごとく疲労
強度が問題となるピストンリングにおいては、特にガス
窒化処理材のごとく脆い材料の場合、および脆いNi−P
ベース複合めっきをシリンダボアとの摺動面にめっきし
た場合には、折損するという問題がある。このようなこ
とから、マルテンサイト系ステンレス鋼のピストンリン
グにおいては、さらに耐磨耗性および耐スカッフィング
性とを併せて組付強度および疲労強度を増してピストン
リングの長寿命化が望まれている。
[発明が解決しようとする問題] 本発明はマルテンサイト系ステンレス鋼製のピストン
リングの前記のごとき問題点に鑑みてなされたもので、
従来のマルテンサイト系ステンレス鋼製ピストンリング
の耐磨耗性および耐スカッフィング性と併せて組付強度
および疲労強度をさらに改善することによって、内燃機
関の高出力化および高速化を達成できる溶製材からなる
ピストンリング材料を提供することを目的とする。な
お、本発明において溶製とは、製鋼原料を溶解し、イン
ゴットに鋳造後、分塊圧延等の熱間圧延を行ってピスト
ンリング用素材を製造することを意味する。
[問題点を解決するための手段] 本発明は従来のマルテンサイト系ステンレス鋼の耐磨
耗性について鋭意研究を重ねた結果、高C高Crマルテン
サイト系ステンレス鋼においてNbを添加することにより
炭化物を微細析出せしめて耐磨耗性および耐スカッフ性
を大幅に改善できるとの着想の下に、0.55〜1.10C−16
〜19Crを基本組成とする高C高Crマルテンサイト系ステ
ンレス鋼に0.05〜1.10%のNbを添加し、Si、Mn、Ni、Mo
等についてもNb添加量との関連において熱間加工性およ
び冷間加工性を悪化させず良好な耐磨耗性、耐スカッフ
性および疲労強度を得ることのできる最適含有量の範囲
を見出だすことによって本発明を完成したものである。
すなわち、本発明のピストンリング用溶製鋼は第1発
明として重量比でC;0.55〜1.10%、Si;0.9%以下、Mn;
2.0%以下、Cr;16〜19%、Nb;0.05〜1.10%を含有し、
残部がFeおよび不純物元素からなることを要旨とする。
しかして、第2発明は第1発明にさらにMo;0.2〜3.0
%、Vo;0.25〜1.50%のうち1種または2種を含有せし
めたものであり、第3発明は第1発明にさらにNi;0.2〜
2.0%を含有せしめたものであり、第4発明は第2発明
にさらにNi;0.2〜2.0%を含有せしめたものである。な
お、第1〜第4発明鋼を用い、ピストンリングを製造す
る際には、ピストンリングの少なくともシリンダ壁との
摺動面に表面硬化処理を施して用いることもできる。
[作用] 本発明においてNbの添加は、狙いとする大幅な耐磨耗
性・耐スカッフ性の向上がえられるとともに、組付強度
・疲労強度を向上させるという点で優れた特性を有す
る。
上記効果をピストンリングとして適用した場合につい
て詳述すれば、次のことが言える (i)トップリング(第1圧力リング)について ピストンリングとして最も耐スカッフ性の要求される
リングはトップリングであり、その要求値は個々のエン
ジンによって大きな差があるが、従来の13Crマルテンサ
イト系ステンレス鋼の場合には、ガス窒化処理をしない
とスカッフを発生するという問題があったため、ガス窒
化処理を行うかもしくはシリンダボアと摺動する面にだ
け硬質クロムめっき、溶射、Ni−Pベース複合めっきと
いった表面処理をして使用していた。
本発明鋼はNbを添加することにより耐スカッフ性を
得、焼入れ焼戻し品でも、13Crマルテンサイト系ステン
レス鋼・ガス窒化処理相当の耐スカッフ性が得られるた
め、このままでも十分使用できるばかりでなく、ガス窒
化処理材にすれば、従来の硬質クロムめっき(焼付荷重
150kg)と同等以上の値(焼付き荷重150.0〜175.0kg)
が得られ、耐スカッフ性に対する要求の厳しいエンジン
に適用しても、スカッフを発生することもなく良好な結
果が得られる。
耐磨耗性も従来の13Crマルテンサイト系ステンレス鋼
では必ずしも十分でなく、要求の厳しいエンジンに対し
ては窒化深さを90μm、120μmと大きく対処してい
た。ところが窒化深さが大きくなるほどリング10合い口
12の組付け強度および疲労強度が低下するため、キース
トンリングのごとく、疲労強度が特に要求されるピスト
ンリングでは折損するという問題が発生することがあっ
た。本発明鋼は強度が向上しているので、従来と同じ窒
化深さでも、前記のように折損するという問題を発生す
ることがない。
本発明鋼はNbの添加にともない、炭化物の生成が促進
され、これによって大幅な耐磨耗性の向上を得ることが
できるため、窒化深さを浅くすることができ、強度がよ
り一層向上すると共に、ガス窒化処理時間の短縮がで
き、大量生産がより一層可能となる。また、磨耗量の減
少は磨耗に伴うオイル消費性能、ブローバイガス性能の
劣化を最小限にできるため、エンジン性能全般の劣化を
防止できる。
(ii)オイルリングについて オイルリングは張力による接触面圧が高く、エンジン
によってはトップリングよりも磨耗が大きくなる。しか
し、磨耗に伴う接触面圧の低下は、オイル消費量を増加
させるため、耐磨耗性に対する要求は極めて厳しいもの
がある。本発名鋼の耐磨耗性は極めて優れており上記問
題を解決できる。
スリーピースの組合せタイプのオイルリングのサイド
レールの場合、強度向上の制約により、ガス窒化処理を
行って使用する場合も、その窒化深さは30〜60μmが限
度である。したがって、長期間使用するエンジンにあっ
ては窒化層摩滅による母材(焼入れ焼戻し材)露出状態
での耐スカッフ性・耐磨耗性が重要であるが、前記トッ
プリングに述べたごとく良好な結果を得る。
なお、オイルリングの場合、シリンダボアとの摺動面
ばかりでなく、スリーピース組合せオイルリングでは、
サイドレールとスペーサエキスパンダの耳部との接触部
の耐磨耗性も要求されるが、本発明鋼はこの要求にも十
分に対応できる。
ピストンリング用線材成形時の冷間加工性(伸線時)
は、オイルリングのサイドルレールのごとく極めて断面
形状が小さいものをロール圧延もしくはダイス引き抜き
成形するに際しては極めて重要で、例えば高C高Cr材で
は、成形中に内部割れが発生してしまい、成形できない
という場合があるが、本発明鋼では問題なく成形でき
る。
本発明鋼はそのまま用いても充分な耐磨耗性を示す
が、さらに窒化、めっき、溶射等の表面処理を施して用
いると著しくその効果を向上させることができる。本発
明鋼は窒化処理を施す前に熱処理に供するとよい。熱処
理としては例えば焼入焼もどし、焼入れ(窒化処理にお
いて焼もどしを兼ねるもの。)が挙げられる。窒化処理
は摺動面を含む表面に施され、ガス窒化、ガス軟窒化、
塩浴窒化、タフトライドおよびイオン窒化のいずれも適
用することができる。
次に、本発明のピストンリング用鋼の化学成分の限定
理由について述べる。
C;0.55〜1.10% Cは焼入れにおいて必要な硬さを得ると同時に、炭化
物を形成して高強度と耐磨耗性を付与する元素である。
0.55%未満では炭化物生成量が少なく炭化物の存在によ
って得られる耐磨耗性が劣る。しかし、1.10%を越える
と炭化物の粒度が大きくなって相手材であるシリンダラ
イナを磨耗させ、かつピストンリング形状への冷間加工
性が不可能となるので上限を1.10%とした。
Si;0.9%以下 Siは精錬時に脱酸元素として添加され、耐熱性を与え
る元素であるが、多量に添加されると引き抜き等の冷間
加工性を害するので、上限を0.9%とした。
Mn;2.0%以下 MnはSiと同様に精錬時に脱酸元素として添加され、靭
性を増大させる元素であるが、多量に添加すると冷間加
工性を害するので、上限を2.0%とした。
Cr;16.0〜19.0% CrはCは結合して炭化物を形成し、耐磨耗性を向上す
ると共に、耐食性と生地強度を向上させ、さらには窒化
硬化層の硬さを増す効果を有する。16.0%以下では炭化
物形成元素の含有量を増大させても特に耐磨耗性の向上
効果が不十分なので16.0%以上を含有せしめた。一方多
量に含有すると、靭性が低下し、熱間加工性および冷間
加工性が低下し成形が困難となるため、Crの上限を19.0
%とした。
Nb;0.05〜1.10% Nbは炭化物を形成し、さらに微細化させる作用によ
り、耐磨耗性を向上させるうえ、相手攻撃性が小さくな
るという効果を有する。また、窒化処理により窒化物を
形成し窒化硬化層の硬さを増す効果を有する。0.05%以
下では上記効果が顕著でなく、1.10%以上では粗大な共
晶炭化物の生成により靭性が低下し、熱間および冷間加
工性が低下するので、上限を1.10%とした。
Mo;0.2〜3.0% MoはCrと同様に炭化物を形成し、窒化処理時に窒化層
硬度を高め、耐磨耗性を向上させるほか生地に固溶しマ
トリックスを強化し、組付強度・疲労強度を増強させる
元素であり、これらの効果を得るためには0.2%以上の
含有が必要である。しかし、3.0%以上含有させると前
記の効果が顕著でなくなると同時に熱間加工性を低下さ
せるので、上限を3.0%とした。
Ni;0.2〜2.0% Niは耐食性、靭性および焼入性を付与する元素であ
り、0.2%未満では前記の効果が小さいので下限を0.2%
とした。しかし、2.0%を越えて含有されると、冷間加
工性を害するので上限を2.0%とした。
V;0.25〜1.50%、 Vは焼もどし軟化抵抗および高温強度を増加させると
共に、炭化物を微細化するものであり、かつ窒化処理に
より窒化物を形成し、表面層硬さを高める元素である。
前記効果を得るために0.25%以上の含有が必要である。
しかし、1.5%以上を含有すると粗大な共晶炭化物の生
成により熱間加工性を低下させるので、上限を1.5%と
した。
[実施例] 次に本発明の効果を従来鋼、比較鋼と比較した実施例
により明らかにする。
第1表に示す化学成分からなる本発明鋼および従来鋼
として13Crマルテンサイト系ステンレス鋼を電気炉で溶
製した。第1表において、A〜B鋼は第1発明鋼、C〜
E鋼は第2発明鋼、F〜G鋼は第3発明鋼、H〜J鋼は
第4発明鋼である。また、K鋼は従来鋼で13Crマルテン
サイト系ステンレス鋼、L鋼は従来材の硬質クロムめっ
きである。
溶製した供試鋼は鋳造し熱間圧延を行い、焼入焼もど
しを施して(硬さの狙い値HV350〜450)磨耗試験用とし
て10×15.7×6.3mmの磨耗試験片および焼付試験片用と
して30×30×5mmの焼付試験片に加工した。得られた磨
耗試験片について次の条件により磨耗試験を行った。
(LWF−1磨耗試験機による磨耗試験) 相手材 FC 荷重 60kg 時間 120分 速度 0.3m/sec 潤滑油 低粘度エンジンオイル1.5cc/min供給 試験後に磨耗試験片について摺動面の磨耗量を測定
し、結果を第2表に示した。
続いて別の磨耗試験片をアンモニアガス気流中で530
〜590℃に加熱して5時間以上のガス窒化を施した。ガ
ス窒化後に表面硬さを測定したところ、HV1000以上であ
った。窒化処理後の磨耗試験片を前記と同様の条件で磨
耗試験に供した。試験後に測定した摺動面の磨耗量は、
第2表に併せて示した。
次に、磨耗試験片と同様にして製作した焼付試験片に
ついて、次の条件により焼付試験を行い、焼付荷重を第
2表に併せて示した。
(機械試験所型摩擦磨耗試験機による焼付試験) 相手材 ; FC 荷重 ; 2分毎に25kgづつ増大させ、焼付が発生
するまで行う 速度 ; 1.2m/sec 潤滑油 ; 低粘度エンジンオイルの滴下潤滑 焼付荷重 ; 摩擦係数が0.2以上に急上昇した荷重を
もって焼付荷重とする 第2表から明らかなように、磨耗試験で焼入れ焼戻し
材の磨耗深さについては、従来材が5.8μmであるのに
対し、本発明鋼であるA〜J鋼は1.70〜3.90μmであ
る。ガス窒化処理材の磨耗深さでは、従来材の3.5μm
に対し、本発明鋼であるA〜J鋼は0.80〜2.00μmであ
る。いづれの場合も、本発明鋼が優れた耐磨耗性を示す
ことが確認できた。
また、焼付試験で焼入れ焼戻し材の焼付荷重について
は、従来材が100.0kgにであるのに対し、本発明鋼であ
るA〜J鋼は137.5〜150.0kgである。ガス窒化処理材の
焼付荷重では、従来材の137.5kgに対し、本発明鋼であ
るA〜J鋼では162.5〜175.0kgである。いづれの場合
も、本発明鋼が優れた耐スカッフ性を示すことが確認で
きた。
次に、ピストンリングをピストンのリング溝に組み付
けるに際しては、その合い口を10T以上拡げることが必
要なため組付強度が必要である。焼入れ焼戻し材は十分
な組付強度を有するが、ガス窒化処理材は脆くなってお
り、従来材の場合11〜13Tでほとんど余裕がなく、材料
バラツキおよび拡げ量のバラツキによっては時として折
損するが、本発明鋼は第2表に示すごとく、20T以上で
ないと折損しないという優れた組付強度を有する。これ
はボア径φ86mm用のピストンリング(B寸法2.0mm、T
寸法3.15mm、窒化深さ90μm)について行った拡げ試験
結果である。
また、キーストンリングのごとく疲労強度が問題とな
るピストンリングにおいては、特にガス窒化処理材のご
とく脆い材料の場合および脆い複合めっきをシリンダ壁
との摺動面にめっきした場合には折損するという問題が
ある。前記ピストンリングについて稀硫酸水溶液中にて
振幅応力50kg/mm2一定で疲労試験を行った結果を第3表
に示す。
第3表から明らかなように、ガス窒化処理材では、従来
材の疲労強度2×105に対し、本発明鋼A〜J鋼の疲労
強度は2.5×106〜3.5×106と大幅に疲労強度が向上する
ことを確認した。
[発明の効果] 本発明のピストンリング用溶製鋼は、以上説明したよ
うに従来のマルテンサイト系ステンレス鋼製のピストン
リングの耐磨耗性、耐スカッフ性、疲労強度等の特性を
さらに向上し長寿命化を図るため、Nbを0.05〜1.10%添
加し、C、Si、Mn、Cr等についてNb含有量との関連にお
いて最適含有量の範囲を見出だしたものであって、Nbの
添加によって炭化物の生成が著しく促進されると共に炭
化物を微細化することにより従来鋼に比べて耐磨耗性お
よび耐スカッフ性が著しく向上する。また、ガス窒化処
理等の表面処理によって得られる窒化層の強度を高めさ
らに耐磨耗性および耐スカッフ性を向上するものであ
る。さらに、本発明鋼は耐磨耗性および耐スカッフ性と
相まって組付強度を大幅に向上させ、高い硬度を示すと
共に疲労強度においても従来鋼よりも優れた値を示す等
の数々の優れた効果を有するものであって、内燃機関の
高出力化および高速化を達成できるピストンリング材料
として極めて有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 不破 良雄 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 柴田 新次 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 青柳 光 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 前田 頼成 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (56)参考文献 特開 昭62−50447(JP,A) 特公 昭60−33181(JP,B2)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量比でC;0.55〜1.10%、Si;0.9%以下、
    Mn;2.0%以下、Cr;16〜19%、Nb;0.05〜1.10%を含有
    し、残部がFeおよおよび不純物元素からなることを特徴
    とするピストンリング用溶製鋼。
  2. 【請求項2】重量比でC;0.55〜1.10%、Si;0.9%以下、
    Mn;2.0%以下、Cr;16〜19%、Nb;0.05〜1.10%を含有
    し、さらにMo;0.2〜3.0%、V;0.25〜1.50%のうち1種
    または2種を含有し、残部がFeおよび不純物元素からな
    ることを特徴とするピストンリング用溶製鋼。
  3. 【請求項3】重量比でC;0.55〜1.10%、Si;0.9%以下、
    Mn;2.0%以下、Cr;16〜19%、Nb;0.05〜1.10%、Ni;0.2
    〜2.0%を含有し、残部がFeおよび不純物元素からなる
    ことを特徴とするピストンリング用溶製鋼。
  4. 【請求項4】重量比でC;0.55〜1.10%、Si;0.9%以下、
    Mn;2.0%以下、Cr;16〜19%、Nb;0.05〜1.10%、Ni;0.2
    〜2.0%を含有し、さらにMo;0.2〜3.0%、V;0.25〜1.50
    %のうち1種または2種を含有し、残部がFeおよび不純
    物元素からなることを特徴とするピストンリング用溶製
    鋼。
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