JP2552509B2 - ピストンリング用鋼 - Google Patents

ピストンリング用鋼

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JP2552509B2 JP62275979A JP27597987A JP2552509B2 JP 2552509 B2 JP2552509 B2 JP 2552509B2 JP 62275979 A JP62275979 A JP 62275979A JP 27597987 A JP27597987 A JP 27597987A JP 2552509 B2 JP2552509 B2 JP 2552509B2
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    • F16J9/00Piston-rings, e.g. non-metallic piston-rings, seats therefor; Ring sealings of similar construction
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、内燃機関のピストンリングに用いる13Crマ
ルテンサイト系ピストンリング用鋼であって、特にMoの
添加量を増すことにより従来のものより耐摩耗性、耐ス
カッフィング性および疲労強度を改善したピストンリン
グ用鋼に関するものである。
[従来の技術] 内燃機関用ピストンリングは、燃焼室の機密性を保持
するための圧力リングと、ピストンリングおよびシリン
ダーライナー間の潤滑油膜を調製するための油かきリン
グにより構成されている。このピストンリングのうち、
圧力リングはピストンヘッドの直下に遊嵌され燃焼ガス
の影響を大きく受けるものであり、耐摩耗性、耐スカッ
フィング性および疲労強度等が要求される。
近年、内燃機関の軽量化、高出力化および高回転化に
伴い、圧力リングの薄幅化が積極的に進められてきた。
このピストンリングの薄幅化は、ピストンリングを軽量
化し、ピストンリング溝内でのピストンリングの挙動の
安定化、油膜厚さが薄くできることによる潤滑油消費量
の改善が図られる。
しかし、このようにピストンリングの薄幅化が進めら
れると、油膜厚さが薄くなり摩耗が増大し寿命が短くな
るので、従来一般的であった鋳鉄製のリングや、炭素
鋼、シリクローム鋼、あるいはオイルテンパー線製のリ
ングでは使用に耐えなくなってきた。すなわち、鋳鉄製
のリングでは軸方向に薄いものが製造しがたく、かつ耐
折損強度の点で不十分であり、シリクローム鋼リングは
高温での強度が小さいため比較的断面積が大きいものと
なり、慣性が大きくフラッタリング現象を起こしやす
い。そこで、最近ではピストンリングの材料として工具
鋼、ばね鋼およびステンレス鋼が用いられるようになっ
ており、特にステンレス鋼としては13Crマルテンサイト
系ステンレス鋼(0.65C−13.5Cr−0.3Mo−0.1V)が圧力
リングとして用いられ好結果が得られている。
しかし、これらのマルテンサイト系のステンレス鋼製
のピストンリングも、摩擦摩耗の激しいエンジンに用い
た場合、未だ耐摩耗性および耐スカッフィング性の点に
おいて不十分である。また、マルテンサイト系ステンレ
ス鋼を用いガス窒化処理した圧力リングでは、ピストン
への組付強度が十分でなく、必要以上に合い口を広げる
と(10T以上、実力11〜13T「T:リング幅(mm)」)折損
するという問題がある。さらに、この圧力リングは耐ス
カッフ性に対する要求が厳しい内燃機関に関しては、不
十分な性能で、スカッフするという問題があり、摺動面
にだけ薄いNi−PまたはNi−Co−Pめっき若しくはこれ
らのベースめっきに硬質粒子(Si3N4)を分散させため
っきを行っている。また、キーストンリングのごとく疲
労強度が問題となるピストンリングにおいては、特にガ
ス窒化処理材のごとく脆い材料の場合、および脆いNi−
Pベース複合めっきをシリンダボアとの摺動面にめっき
した場合には、折損するという問題がある。このような
ことから、マルテンサイト系ステンレス鋼のピストンリ
ングにおいては、さらに耐摩耗性および耐スカッフィン
グ性と併せて組付強度および疲労強度を増してピストン
リングの長寿命化が望まれている。
[発明が解決しようとする問題点] 本発明はマルテンサイト系ステンレス鋼製のピストン
リングの前記のごとき問題点に鑑みてなされたもので、
従来のマルテンサイト系ステンレス鋼製ピストンリング
の耐摩耗性および耐スカッフィング性と併せて組付強度
および疲労強度をさらに改善することによって、内燃機
関の高出力化および高速化を達成できるピストンリング
材料を提供することを目的とする。
[問題点を解決するための手段] 本発明は従来のマルテンサイト系ステンレス鋼の耐摩
耗性について鋭意研究を重ねた結果、Moの添加量を多く
することによって、耐摩耗性、耐スカッフ性および疲労
強度を大幅に改善でき、しかも同等の耐摩耗性を有する
高C高Cr材に比べ、冷間加工性が改善されるとの着想の
もとに、C、Si、Mn、Cr等についてMo含有量との関連に
おいて最適含有の範囲を見出だすことによって本発明を
完成したものである。
すなわち、本発明のピストンリング用鋼は第1発明と
して重量比でC;0.55〜1.10%、Si;0.9%以下、Mn;2.0%
以下、Cr;11〜15%、Mo;1.6〜6.0%を含有し、残部がFe
および不純物元素からなることを要旨とする。しかし
て、第2発明は第1発明にさらにNi;0.2〜2.0%、V;0.1
〜1.5%、Nb;0.05〜0.7%のうち1種または2種以上を
含有し、残部がFeおよび不純物元素からなることを要旨
とする。なお、第1発明鋼または第2発明鋼を用い、ピ
ストンリングを製造する際には、ピストンリングの少な
くともシリンダ壁との摺動面に表面硬化処理を施して用
いることもできる。
[作用] 本発明においてMoの多量の添加は、11〜15%CrとCrの
添加量を低めに抑えながら、狙いとする大幅な耐摩耗性
・耐スカッフ性の向上がえられるとともに、組付強度・
疲労強度を向上させるという点で優れた特性を有する。
上記効果をピストンリングとして適用した場合につい
て詳述すれば、次のことが言える。
(i)トップリング(第1圧力リング)について ピストンリングとして最も耐スカッフ性の要求される
リングはトップリングであり、その要求値は個々のエン
ジンによって大きな差があるが、従来の13Crマルテンサ
イト系ステンレス鋼の場合には、ガス窒化処理をしない
とスカッフを発生するという問題があったため、ガス窒
化処理を行うかもしくはシリンダボアと摺動する面にだ
け硬質クロムめっき、溶射、Ni−Pベース複合めっきと
いった表面処理をして使用していた。
本発明鋼はMo添加量が高いほど優れた耐スカッフ性を
得、後で説明する実施例のC鋼、E鋼、F鋼は特にMo添
加量が多く、焼入れ焼戻し品でも、13Crマルテンサイト
系ステンレス鋼・ガス窒化処理相当の耐スカッフ性が得
られるため、このままでも十分使用できるばかりではな
く、ガス窒化処理材にすれば、従来の硬質クロムめっき
(焼付荷重150kg)と同等以上の値(焼付き荷重150.0〜
175.0kg)が得られ、耐スカッフ性に対する要求の厳し
いエンジンに適用しても、スカッフを発生することもな
く良好な結果が得られる。
耐摩耗性も従来の13Crマルテンサイト系ステンレス鋼
では必ずしも十分でなく、要求の厳しいエンジンに対し
ては窒化深さを90μm、120μmと大きく対処してい
た。ところが窒化深さが大きくなるほどリング10合い口
12の組付け強度および疲労強度が低下するため、キース
トンリングのごとく、疲労強度が特に要求されるピスト
ンリングでは折損するという問題が発生することがあっ
た。
本発明鋼は強度が向上しているので、従来と同じ窒化
深さでも、前記のように折損するという問題を発生する
ことがない。第1表に13Crマルテンサイト系ステンレス
鋼におけるMo添加量と粒径2μm以上の炭化物量(面積
率%)を示す。
第1表に示すごとく、本発明鋼はMoの添加にともな
い、炭化物の生成が促進され、これによって大幅な耐摩
耗性の向上を得ることができるため、窒化深さを浅くす
ることができ、強度がより一層向上すると共に、ガス窒
化処理時間の短縮ができ、大量生産がより一層可能とな
る。また、摩耗量の減少は摩耗に伴うオイル消費性能、
ブローバイガス性能の劣化を最小限にできるため、エン
ジン性能全般の劣化を防止できる。
(ii)オイルリングについて オイルリングは張力による接触面圧が高く、エンジン
によってはトップリングよりも摩耗が大きくなる。しか
し、摩耗に伴う接触面圧の低下は、オイル消費量を増加
させるため、耐摩耗性に対する要求は極めて厳しいもの
がある。本発明鋼の耐摩耗性は極めて優れており上記問
題を解決できる。
スリーピースの組合せタイプのオイルリングのサイド
レールの場合、強度向上の制約により、ガス窒化処理を
行って使用する場合も、その窒化深さは30〜60μmが限
度である。したがって、長期間使用するエンジンにあっ
ては窒化層摩滅による母材(焼入れ焼戻し材)露出状態
での耐スカッフ性・耐摩耗性が重要であるが、前記トッ
プリングに述べたごとく良好な結果を得る。
なお、オイルリングの場合、シリンダボアとの摺動面
ばかりでなく、スリーピース組合せオイルリングでは、
サイドレールとスペーサエキスパンダの耳部との接触部
の耐摩耗性も要求されるが、本発明鋼はこの要求にも十
分に対応できる。
ピストンリング用線材成形時の冷間加工性(伸線時)
は、オイルリングのサイドレールごとく極めて断面形状
が小さいものをロール圧延もしくはダイス引き抜き成形
するに際しては極めて重要で、例えば高C高Cr材では、
成形中に内部割れが発生してしまい、成形できないとい
う場合があるが、本発明鋼では問題なく成形できる。
本発明鋼はそのまま用いても充分な耐摩耗性を示す
が、さらに窒化、めっき、溶射等の表面処理を施して用
いると著しくその効果を向上させることができる。本発
明鋼は窒化処理を施す前に熱処理に供するとよい。熱処
理としては例えば焼入焼もどし、焼入れ(窒化処理にお
いて焼もどしを兼ねるもの。)が挙げられる。窒化処理
は摺動面を含む表面に施され、ガス窒化、ガス軟窒化、
塩浴窒化、タフトライドおよびイオン窒化のいずれも適
用することができる。
次に、本発明のピストンリング用鋼の化学成分の限定
理由について述べる。
C;0.55〜1.10% Cは焼入れにおいて必要な硬さを得ると同時に、炭化
物を形成して高強度と耐摩耗性を付与する元素である。
0.55%未満では炭化物生成量が少なく炭化物の存在によ
って得られる耐摩耗性が劣る。しかし、1.10%を越える
と炭化物の粒度が大きくなって相手材であるシリンダラ
イナを摩耗させ、かつピストンリング形状への冷間加工
性が不可能となるので上限を1.10%とした。
Si;0.9%以下 Siは精錬時に脱酸元素として添加され、耐熱性を与え
る元素であるが、多量に添加されると引き抜き等の冷間
加工性を害すので、上限を0.9%とした。
Mn;2.0%以下 MnはSiと同様に精錬時に脱酸元素として添加され、靱
性を増大させる元素であるが、多量に添加すると冷間加
工性を害するので、上限を2.0%とした。
Cr;11〜15% CrはCと結合して炭化物を形成し、耐摩耗性を向上す
ると共に、耐食性と生地強度を向上させ、さらには窒化
硬化層の硬さを増す効果を有する。11%以下ではMo;1.6
〜6.0%との相乗効果でもこれらの効果が充分表れない
ため、11%以上を含有せしめた。しかし、Mo;1.6〜6.0
%と合わせてCrを多量に含有させた場合、靱性が低下し
て熱間加工性を阻害するので、Crの上限を15.0%とし
た。
Mo;1.6〜6.0% MoはCrと同様に炭化物を形成し、窒化処理時に窒化層
硬度を高め、耐摩耗性を向上させるほか生地に固溶しマ
トリックスを強化し、組付強度・疲労強度を増強させる
元素であり、これらの効果を得るためには1.6%以上の
含有が必要である。しかし、6.0%以上含有させると前
記の効果が顕著でなくなると同時に熱間加工性を低下さ
せるので、上限を6.0%とした。
Ni;0.2〜2.0% Niは耐食性、靱性および焼入性を付与する元素であ
り、0.2%未満では前記の効果が小さいので下限を0.2%
とした。しかし、2.0%を越えて含有されると、冷間加
工性を害するので上限を2.0%とした。
V;0.10〜1.50%、Nb;0.05〜0.70% VおよびNbは焼もどし軟化抵抗および高温強度を増加
させると共に、炭化物を微細化するものであり、かつ窒
化処理により窒化物を形成し、表面層硬さを高める元素
である。前記効果を得るためにはV;0.10%以上、Nb;0.0
5%以上の含有が必要である。しかし、V;1.5%以上、N
b;0.70%以上を含有すると粗大な共晶炭化物の生成によ
り熱間加工性を低下させるので、上限をそれぞれ1.5%
および0.70%とした。
[実施例] 次に本発明の効果を従来鋼、比較鋼と比較した実施例
により明らかにする。
第2表に示す化学成分からなる本発明鋼および従来鋼
として13Crマルテンサイト系ステンレス鋼を電気炉で溶
製した。第2表において、A〜B鋼は第1発明鋼、C〜
G鋼は第2発明鋼である。また、H鋼は従来鋼で13Crマ
ルテンサイト系ステンレス鋼、I鋼は従来材の硬質クロ
ムめっきである。
溶製した供試鋼は鋳造し熱間圧延を行い、焼入焼もど
しを施して(硬さの狙い値HV350〜450)摩耗試験用とし
て10×15.7×6.3mmの摩耗試験片および焼付試験片用と
して30×30×5mmの焼付試験片に加工した。得られた摩
耗試験片について次の条件により摩耗試験を行った。
(LWF−1摩耗試験機による摩耗試験) 相手材 FC 荷重 60kg 時間 120分 速度 0.3m/sec 潤滑油 低粘度エンジンオイル1.5cc/min供給 試験後に摩耗試験片について摺動面の摩耗量を測定
し、結果を第3表に示した。
続いて別の摩耗試験片をアンモニアガス気流中で530
〜590℃に加熱して5時間以上のガス窒化を施した。ガ
ス窒化後に表面硬さを測定したところ、HV1000以上であ
った。窒化処理後の摩耗試験片を前記と同様の条件で摩
耗試験に供給した。試験後に測定した摺動面の摩耗量
は、第3表に併せて示した。
次に、摩耗試験片と同様にして製作した焼付試験片に
ついて、次の条件により焼付試験を行い、焼付荷重を第
3表に併せて示した。
(機械試験所型摩擦摩耗試験機による焼付試験) 相手材 ; FC 荷重 ; 2分毎に25kgづつ増大させ、焼付が発生
するまで行う 速度 ; 1.2m/sec 潤滑油 ; 低粘度エンジンオイルの滴下潤滑 焼付荷重 ; 摩擦係数が0.2以上に急上昇した荷重を
もって焼付荷重とする 第3表から明らかなように、摩耗試験では、焼入れ焼
戻し材の場合の摩耗深さで、従来材の5.8μmに対し、
本発明鋼であるA〜G鋼は3.30〜4.80μmである。ガス
窒化処理材の場合の摩擦深さでは、従来材の3.5μmに
対し、本発明鋼であるA〜G鋼は1.60〜3.00μmであ
る。いづれの場合も、本発明鋼が優れた耐摩耗性を示す
ことが確認できた。
また、焼付試験では、焼入れ焼戻し材の場合の焼付荷
重で、従来材の100.0kgに対し、本発明鋼であるA〜G
鋼は112.5〜137.5kgである。ガス窒化処理材の場合の焼
付荷重では、従来材の137.5kgに対し、150.0〜175.0kg
である。いづれの場合も、本発明鋼が優れた耐スカッフ
性を示すことが確認できた。
次に、ピストンリングをピストンのリングの溝に組み
付けるに際しては、その合い口を10T以上拡げることが
必要なため組付強度が必要である。焼入れ焼戻し材は十
分な組付強度を有するが、ガス窒化処理材は脆くなって
おり、従来材の場合11〜13Tでほとんど余裕がなく材料
バラツキおよび拡げ量のバラツキによっては時として折
損するが、本発明鋼は第3表に示すごとく、20T以上で
ないと折損しないという優れた組付強度を有する。これ
はボア径φ86mm用のピストンリング(B寸法2.0mm、T
寸法3.15mm、窒化深さ90μm)について行った拡げ試験
結果である。
また、キーストンリングのごとく疲労強度が問題とな
るピストンリングにおいては、特にガス窒化処理材のご
とく脆い材料の場合および脆い複合めっきをシリンダ壁
との摺動面にめっきした場合には折損するという問題が
ある。前記ピストンリングについて稀硫酸水溶液中にて
振幅応力50kg/mm2一定で疲労試験を行った結果を第4表
に示す。
第4表から明らかなように、ガス窒化処理材では、従
来材の疲労強度2×105に対し、本発明鋼A〜G鋼の疲
労強度は1.5×106〜3×106と大幅に疲労強度が向上す
ることを確認した。このような腐食雰囲気中での疲労強
度が向上するのは、Moの耐食性改善効果によるものと思
われ、特にディーゼルエンジンのようなエンジンオイル
中に稀硫酸が生成するような場合には重要である。
[発明の効果] 本発明のピストンリング用鋼は、以上説明したように
従来のマルテンサイト系ステンレス鋼製のピストンリン
グの耐摩耗性、耐スカッフ性、疲労強度等の特性をさら
に向上し長寿命化を図るため、Moを1.6〜6.0%添加し、
C、Si、Mn、Cr等についてMo含有量との関連において最
適含有量の範囲を見出したものであって、Moの添加によ
って炭化物の生成が著しく促進されると共に炭化物の球
状化、粒径の均一化により従来鋼に比べて耐摩耗性およ
び耐スカッフ性が著しく向上する。また、ガス窒化処理
等の表面処理によって得られる窒化層強度を高めさらに
耐摩耗性および耐スカッフ性を向上するものである。さ
らに、本発明鋼は耐摩耗性および耐スカッフ性と相まっ
て組付強度を大幅に向上させ、高い硬度を示すと共に疲
労強度においても従来鋼よりも優れた値を示す等の数々
の優れた効果を有するものであって、内燃機関の高出力
化および高速化を達成できるピストンリング材料として
極めて有用である。
フロントページの続き (72)発明者 不破 良雄 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 青柳 光 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 柴田 新次 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 前田 頼成 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (56)参考文献 特開 昭61−144470(JP,A) 特開 昭59−100257(JP,A) 特開 昭55−54551(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量比でC;0.55〜1.10%、Si;0.9%以下、
    Mn;2.0%以下、Cr;11〜15%、Mo;1.6〜6.0%を含有し、
    残部がFeおよび不純物元素からなることを特徴とするピ
    ストンリング用鋼。
  2. 【請求項2】重量比でC;0.55〜1.10%、Si;0.9%以下、
    Mn;2.0%以下、Cr;11〜15%、Mo;1.6〜6.0%を含有し、
    さらにNi;0.2〜2.0%、V;0.1〜0.5%、Nb;0.05〜0.7%
    のうち1種または2種以上を含有し、残部がFeおよび不
    純物元素からなることを特徴とするピストンリング用
    鋼。
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