JP4844902B2 - 内燃機関用ピストンリング材 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関に使用されるピストンリング、あるいはさらに摺動面を窒化処理して使用されるピストンリングに関して、特に、製造時の冷間における引抜きや圧延加工性に加え、ピストンリングとして優れた特性を兼ね備えた材料に関する。
内燃機関、特に自動車エンジンに使用されるピストンリングは、従来の鋳鉄製から鋼平線といった線材をリング状に加工して用いられる、いわゆるスチールピストンリングへと移行が進んでいる。これは内燃機関の軽量化、低燃費化、高速化、高出力化等の要求に対応するためのリングの薄肉化や機械的強度の向上の必要性が背景にあり、さらにリング製造工程の大幅短縮の効果もその大きな原因となっている。
スチールピストンリングへの移行は、高負荷領域にあるトップリングやオイルリングにおいて先行しており、その材質としてはSi−Cr鋼や11〜17%Crのマルテンサイト系ステンレス鋼が用いられている。さらにこのような素材にクロムメッキあるいは窒化処理を施したピストンリングが多く用いられている。一般にピストンリング材には、耐スカッフィング性や耐摩耗性が要求されており、Cr、C添加量の増加に伴う炭化物量の増加および粗大化によりこれらの特性が向上する傾向にある。しかし、このような炭化物の形態は、ピストンリング材の疲労特性を悪化させる原因となりまた、ピストンリング材を線材加工して所定のリング形状に成形する曲げ加工の際に折損する原因にもなりうる。
そこで、このような問題に対して、マルテンサイト系ステンレス鋼に窒素Nと炭素Cを複合添加することで、疲労特性および窒化処理後の耐スカッフィング性を両立させた発明が開示されている(特許文献1を参照)。また同様に、マルテンサイト系ステンレスにNを添加し、Cr炭化物を微細化する技術を背景に、窒化層中の窒化物を微細化し、数多く存在させるとともに、窒化層中の層状粒界化合物が微細となるような顕微鏡組織とすることによって、耐摩耗性、耐スカッフィング性、耐クラッキング性、疲労特性に優れるマルテンサイト鋼製窒化ピストンリングが開示されている(特許文献2を参照)。
特開2001−271144号公報 特開2002−030394号公報
ピストンリングの一般的な製造工程の一例としては、所定の組成に調整したインゴットを製造し、熱間圧延、焼鈍、冷間における引抜き、圧延を行い所定のピストンリングの断面形状としその後、焼入れ、焼戻しが行われ、そしてリング形状へコイリングした後、素材内に蓄積された残留応力を除去するための歪取り熱処理、粗加工、窒化前酸処理、ガス窒化、側面窒化層除去加工および、仕上げ加工が行われている。上述したN添加鋼よりなるピストンリングは、機械的特性、特に耐摩耗性、耐スカッフィング性、そして疲労特性に優れるものであるが、線材加工における引抜きや圧延加工等の冷間加工性が悪く、結果としてこの工程中に多数の焼鈍工程を必要とするため、コストが高くなるという問題があった。更に素材内の残留応力を除去する歪取り熱処理において、熱処理後に形状が不安定になる問題があり、依然として改善の余地があることが明らかになってきた。
本発明の目的は、ピストンリング製品としての優れた機械的性質を損なうことなく、線材製造時の冷間における引抜き加工や圧延加工性を向上し、製造コストの低減を図るとともに、歪取り熱処理後の形状安定性を兼ね備えることが可能であるピストンリング材を提供することである。
本発明者は、ピストンリングの製造においてその冷間における加工性に及ぼす各成分の影響について詳細に検討を行った。さらに上記素材の歪取り熱処理における形状安定性に及ぼす各成分の影響を詳細に研究を行った。その結果、ピストンリング材の主要構成元素で炭化物、窒化物を形成するC、Cr、Nの個々の添加量に加えて、それらの相互関係こそを厳格に管理することで、ピストンリングとしての機械的特性を損なうことなく、極めて良好な冷間加工性および歪取り熱処理後も安定した形状を得ることができることを見いだし、本発明に至った。
すなわち、本発明は、質量%で、C:0.5%以上、0.7%未満、Si:1.0%以下、Mn:1.0%以下、Cr:12.0〜16.0%、Moおよび/またはWを(Mo+1/2W):3.0%以下、N:0.02〜0.14%を含み、残部はFeおよび不可避的不純物からなる内燃機関用ピストンリング材であって、その含まれるC、N、Crの関係が、
25≦43.22C(%)+42.45N(%)−0.02Cr(%)≦40、且つ、
0.15≦0.92C(%)+0.67N(%)−0.03Cr(%)≦0.30
の式を満たす内燃機関用ピストンリング材である。
好ましくは、質量%で、C:0.60〜0.68%、Si:0.1〜1.0%、Cr:14.0〜16.0%、Moおよび/またはWを(Mo+1/2W):1.5超〜3.0%(より好ましくは1.6〜2.5%)、N:0.04〜0.13%のうちのいずれか1つ以上を満たすものである。あるいはさらに、その含まれるC、N、Crの関係が、
29≦43.22C(%)+42.45N(%)−0.02Cr(%)≦35、
および/または、
0.18≦0.92C(%)+0.67N(%)−0.03Cr(%)≦0.30
の各式を満たすものとする。もちろん、これらの要件の全てを満たした内燃機関用ピストンリング材が望ましい。あるいはさらに、Moおよび/またはWは、Moを選択することが望ましい。
本発明によれば、ピストンリング製品とした際には優れた特性を維持し、尚且つピストンリング用線材としての製造時には優れた冷間加工性と、そして熱処理後の形状安定性を具備しているため、ピストンリングの性能向上、製造工程の簡略化つまり低コスト化に大きく貢献するものである。
本発明の特徴は、ピストンリング材の主要構成元素である、炭化物を形成するC、Crに対しては、特に窒化物を形成するNが特性に大きな相互影響を与えることを知見し、よって、それら元素種の相互関係こそを厳格に管理することで、ピストンリングの製造時における冷間加工性かつ、熱処理後の形状安定性にも優れるピストンリング材を提供することにある。以下に本発明を詳しく説明する。
Cは、炭化物を形成して耐スカッフィング性や耐摩耗性を高めるだけでなく、一部が基地中に固溶することで強度ならびに疲労特性の向上に寄与する、本発明の重要な元素である。このためには少なくとも0.5%が必要である。しかしながら、0.7%以上になると、平線への加工性やリングへの加工性を困難にする。特にピストンリングにおいては製造性を高めることにより安価に製造できることが重要であるので0.7%未満とした。好ましい範囲は0.60〜0.68%である。
Siは、通常脱酸剤として添加されるが、一方では鋼の焼戻し軟化挙動にも影響し、特に低合金鋼においてはSiの影響は重要である。焼戻し軟化を防ぎ耐熱強度を高めるためにSiは必要である。しかしながら、過度に添加すると冷間加工性を低下させるのでSiの上限を1.2%以下に規定した。望ましくは1.0%以下である。一方で好ましい下限は、0.1%以上である。
MnもSiと同様、脱酸剤として使用されるため必要な元素であるが、過度に添加すると熱間における加工性を害する。そのためMnの上限を1.0%以下に規定した。
Crは、一部がCと結合して炭化物を形成し耐摩耗性を高め、一部は基地に固溶して耐食性を高める。また焼戻し軟化抵抗を高めることからピストンリングの耐熱ヘタリ性の向上や、焼入れ性を確保し十分な熱処理硬さを得るために必要である。そして、窒化処理を行う場合には、窒化層内で微細な窒化物を形成するため、ピストンリングの更なる耐スカッフィング性、耐摩耗性の向上に効果がある。これらの効果を得るためには、少なくとも12.0%が必要であるが、過度の添加は熱伝導率を低下させることにより摺動による接触面の昇温を助長し、耐焼付き性を害するばかりか炭化物あるいは粒径の増加・増大を招き、加工性を極端に低下させるため16.0%を上限とした。好ましい範囲は14.0〜16.0%である。
MoおよびWは、それ自体がCと結び付き硬質の炭化物を形成するだけでなく、一部はCr炭化物中へ固溶するため、Cr炭化物自身が強化されて耐摩耗性を向上させる元素である。また、焼戻しの際、二次硬化元素として寄与するため、ピストンリングの耐熱ヘタリ性の向上にも有効である。さらに鋼製ピストンリング材は一般にピストンリングとしての耐摩耗性、耐スカッフィング性および疲労特性の付与のため、900〜1100℃に加熱し、急冷焼入れを行った後、比較的高温で焼戻しを行って、硬さ35〜45HRCに調整されるが、MoおよびWはこの際の焼入れ組織を安定にする効果がある。これは900〜1100℃で析出する2次炭化物を粒径が微細なM23とすることを可能とし、Mの析出を抑制することができる。つまり、900〜1100℃の温度域で形成される2次炭化物を固定することで、焼入れ温度が多少変化しても安定した組織を得ることが可能になる。
また、本発明のCおよびCr量を基礎にしてなる合金鋼は、その1000℃付近の上記加熱温度が焼入れ性、すなわち機械的特性を得るのに適している。つまり、この温度が低すぎると十分な硬さが得られず、また逆に高すぎるとオーステナイト粒が粗大化してしまい、靭性が低下するため、両特性のバランスを考慮し、上記の焼入れ温度域を適用すると良い。上述した効果を得るためにMoおよびWの添加は必要であり、特には下限の調整が重要である。(Mo+1/2W)の関係式で管理した時のMoおよび/またはWの下限は好ましくは1.5%超であり、1.6%以上が望ましい。しかし、過度の添加は、硬質炭化物の増加を招き、シリンダの摩耗量を著しく増加させるだけでなく、加工性の低下をも引き起こす原因となる。よって、本発明は、(Mo+1/2W)の関係式で管理した時のMoおよび/またはWの上限を3.0%に規定した。好ましくは2.5%以下である。なお、Moは、Wの半分の添加量で同等の効果を得ることができることに加えて、軟化抵抗を向上させる効果があり、焼戻しや歪取り熱処理時の熱ヘタリを抑制することが可能であることから、コストおよび熱処理特性面における有利性より、Wは採用しない、Mo単独の添加が望ましい。
Nは、高温でも比較的安定で、熱間加工温度や熱処理温度による形態制御が困難である共晶Cr炭化物(M)の初晶オーステナイト粒界への晶出を抑制する元素である。これにより粗大なCr炭化物が存在することに起因する耐スカッフィング性の極端な低下や加工性の低下を抑制することができる。また炭化物を微細化する効果があるため、疲労特性が向上するばかりか機械的特性の向上にも効果があり、加工性を低下させることなく引張強度が向上する。この効果を得るためには少なくとも0.02%が必要であるが、過度の添加は鋼塊にガス穴が形成され、また大気中での溶製が困難になりコストアップに繋がるため0.14%以下とした。好ましい範囲は0.04〜0.13%である。
本発明材においては、上述の元素の他、残部はFeとしているが、当然のことながら不可避的に含有される不純物は存在する。そして、ピストンリングとして使用する際に衝撃的な応力が加わる場合、靭性を向上する目的でNiを2.0%以下の範囲で添加してもよく、マトリックスを強化し、耐熱ヘタリ性の向上の目的でCuを4%以下の範囲で添加してもよい。
また、更なる耐摩耗性の要求に対しては、それ自体がCと結び付き炭化物を形成するだけでなく、その一部がCr炭化物中へ固溶し、炭化物を強化するV、Nbのうちいずれか1種以上を、合計で3.0%以下の範囲で添加してもよい。そして、鋼製ピストンリングで耐摩耗性付与の目的で行われる窒化処理により、鋼表面に形成される窒化層硬さを向上させるためにAlを1.5%以下の範囲で添加してもよい。更に、耐食性を向上させるためにCoを1.0%以下で添加してもよく、またマトリックスの硬さを向上させるためにBを100ppm以下で添加してもよい。
なお、不純物元素であるP、Sは、できるだけ低い方が好ましいが、極度に低減するには厳選した高価な原料を使用しなければならず、また、溶解精錬にも多くの費用がかかることとなる。しかしながら、本発明においては、特性上および製造上で特に大きな問題はない、P≦0.1%、S≦0.1%の範囲であれば、含有しても構わない。
加えて、本発明は、ピストンリング製品としての機械的特性だけでなく、ピストンリング材としての線材製造時の冷間加工性に加え、熱処理後における形状安定性をも兼ね備えた材料を提供するものである。そして、本発明の最大の特徴は、これらの特性を得るためピストンリング材として含まれるC、Cr、Nの添加量を適確に調整するところにこそある。以下にその理由を詳しく説明する。
ピストンリング材の線材製造における冷間加工性は、鋼中の炭化物量やサイズに起因するところが大きく、この炭化物を形成している、主にCrやCの含有量に支配される。またNは炭化物の微細化に有効であり、またそれ自体が微細な窒化物を形成し炭化物の凝集粗大化を抑制するため、この3つの元素を適確な範囲に管理することでピストンリング製品としての機械的特性を維持した状態で、上記の加工性向上が可能となる。そこで、これらの効果を最大限に発揮できるC、Cr、N量の最適関係を研究した結果、それは加工性を目的変数とし、C、Cr、Nを説明変数としたときの重回帰分析によって得られた、的確な係数による関係で評価でき、よって、この関係を厳密に管理することが必要であることを、つきとめた。
すなわち、鋼中のC、N、Crのお互いの含有量が、25≦43.22C(%)+42.45N(%)−0.02Cr(%)≦40を満たすように調整することである。この値が25よりも小さいと、加工性は良いがピストンリングとしての機械的特性や耐摩耗性、耐スカッフィング性が低下し、また40よりも大きくなると加工性が低下するため線材製造時における引抜きや圧延が困難となり、そのため複数回の焼鈍工程が必要となりコストが高くなる。好ましい範囲は、上記式による値が29〜35である。
そして、ピストンリングの製造においては、リング形状へコイリングした後、素材内に蓄積された残留応力を除去するための歪取り熱処理が行われているが、この処理後に形状が不安定になる問題がある。そして、この形状変形のメカニズムは、上述した加工性と同様、主に鋼中の炭化物量やサイズに影響されることが本発明者の検討により確認されている。そこで主として炭化物を形成するCr、Cと、炭化物を微細にするNの添加量を適確な範囲に相互管理することで、ピストンリングとしての機械的特性を維持した状態で、歪取り熱処理後も安定した形状を得ることが可能であることを、本発明者はつきとめた。
すなわち、鋼中のC、Cr、Nの含有量が、上記に同様の、機械的特性を目的変数とし、C、Cr、Nを説明変数としたときの重回帰分析によって得られた的確な係数を用いた関係において、0.15≦0.92C(%)+0.67N(%)−0.03Cr(%)≦0.30の相互関係を満たすように調整することである。この値が0.15よりも小さいと形状安定性が得られず、0.30よりも大きくなるとピストンリングとしての機械的特性が低下してしまう。好ましい範囲は、上記式による値が0.18〜0.30である。
上述した2つの式を満たすよう、適確にC、Cr、Nを調整することで、製品特性を落とさずに、更には加工性および形状安定性の両特性を兼ね備えたピストンリング材を提供することができる。この結果、特性の安定したピストンリング材の供給が可能となる。
成分組成に特徴を有する本発明のピストンリング材にとっては、その溶製工程には、成分の微調整が可能な手法を適用することが望ましい。例えば、溶解工程においては、外界からの不純物混入が少ない誘導炉や、真空炉を経ることが望ましい。また、鋳造工程においては、普通造塊法に加えては、偏析や非金属介在物の低減に有利な、再溶解法、連続鋳造法を適用してもよい。
高周波真空誘導溶解により、10kgインゴットを溶製した。そして、これらのインゴットに熱間加工を施して、15mm角の棒状素材を得た。続いて焼きなまし処理後に、所定の焼入れ(1000〜1060℃)と、焼戻し(600〜640℃)処理により硬さを40HRC前後に調整した試料No.1〜7を作製した。各試料の化学組成およびC、Cr、Nの含有量から計算したα、β値(表1の脚注参照)を併せて表1に示す。
Figure 0004844902
ピストンリング材としての線材加工性の評価として、引張り試験による絞り(%)を評価した。焼鈍後の素材からJIS14A縮小型試験片(全長:110mm、平行部長:45mm、平行部直径:7mm、標点距離:35mm)を採取し、そして室温にて引張試験を行い、各試料の絞り(%)の値を採取した。なお、ピストンリング用途においては、この値が45%以上あれば冷間における引抜きや圧延加工に対し問題が無いため、この値を優れた加工性の指標とした。
次に、ピストンリングの形状安定性評価として、以下に示すV字曲げ試験を行った。40HRCに硬さ調整を行った素材から、図1に示すように3mm角×80mm長さの試験片を採取し、試験片側面に50mmの長さのケガキをつけ、リング加工を想定して、図2に示すように押し込み量が10mmとなるよう一定速度で押し込んだ。そして、ケガキ間距離(上部L0Aと下部L0Bの平均値)Lを測定し、その後付与された残留応力を除去するための歪取り熱処理を模擬した熱処理をAr雰囲気中で600℃×1時間行った後、再びケガキ間距離Lを測定した。このようにして得られたL、Lから次式により変化率を求めた。
{(L−L)/L}×100(%)
なお、熱処理温度600℃におけるこの変化率は、本発明者の検討によれば、0.15〜0.3%の範囲であればピストンリング用途としての形状安定性に問題が無いことを確認している。よって、形状安定性を示す指標としては、0.15〜0.3を目標値とした。
上述した加工性(絞り)および形状安定性(変化率)の評価結果を図3に示す。これより、C、N、Cr量が厳格に調整された本発明のピストンリング材は、比較材と比べて、冷間加工性および熱処理前後の形状安定性に優れていることがわかる。
高周波真空誘導溶解により、10kgインゴットを溶製した。そして、これらのインゴットに熱間加工を施して、15mm角の棒状素材を得た。続いて焼きなまし処理後に、所定の焼入れ(1000〜1060℃)と、焼戻し(600〜640℃)処理により硬さを40HRC前後に調整した試料No.8〜13を作製した。各試料の化学組成およびC、Cr、Nの含有量から計算したα、β値(表2の脚注参照)を併せて表2に示す。
Figure 0004844902
そして、ピストンリングの加工性および形状安定性を評価するため、上記と同様の引張り試験およびV字曲げ試験を行った。その結果を図4に示す。これより、C、N、Cr量が厳格に調整され、尚且つMo量が適正添加された本発明のピストンリング材は、冷間加工性および熱処理前後の形状安定性の両特性が安定して得られることがわかる。
大気溶解炉により、2600kgインゴットを溶製した。そして、このインゴットに熱間加工を施して、直径15mmの棒状素材を得、これを試料No.14とした。化学組成およびC、Cr、Nの含有量から計算したα、β値(表3の脚注参照)を表3に示す。
Figure 0004844902
続いては、焼きなまし処理後に、所定の焼入れ(1040℃)と、焼戻し処理(600℃〜640℃)を施して、硬さを40HRCに調整した棒状素材の、縦断面の炭化物分布を測定した。測定には光学顕微鏡を用い、200倍(図5)および1000倍(図6)でそれぞれ無作為に6視野観察した組織視野中の炭化物サイズを、円相当径により求めた。なお、観察領域はそれぞれ8×10−3mm(200倍)、3.2×10−3mm(1000倍)である。測定結果をそれぞれ図7、8に示す。これより素材中に形成される炭化物はその多くが1μm以下であり、微細に分布していることがわかる。本発明のピストンリング材は、この炭化物の微細化によって、線材製造時の冷間加工性と、コイリング後の歪取り熱処理時の形状安定性が、ともに向上する。
実施例1、2での、V字曲げ試験に使用する試験片形状の模式図である。 実施例1、2での、V字曲げ試験の試験方法を示した模式図である。 実施例1での、本発明および比較例のピストンリング材における冷間加工性(絞り)と形状安定性(変化率)の関係を示した図である。 実施例2での、本発明のピストンリング材における冷間加工性(絞り)と形状安定性(変化率)の関係を示した図である。 実施例3における、本発明のピストンリング材の組織写真(200倍)である。 実施例3における、本発明のピストンリング材の組織写真(1000倍)である。 実施例3における、本発明のピストンリング材の炭化物サイズ分布(200倍で観察)を示した図である。 実施例3における、本発明のピストンリング材の炭化物サイズ分布(1000倍で観察)を示した図である。
符号の説明
1.試験片(3mm角×80mmL)、2.ケガキ、3.ポンチ

Claims (11)

  1. 質量%で、C:0.5%以上、0.7%未満、Si:1.2%以下、Mn:1.0%以下、Cr:12.0〜16.0%、Moおよび/またはWを(Mo+1/2W):3.0%以下、N:0.04〜0.14%を含み、残部はFeおよび不可避的不純物からなる内燃機関用ピストンリング材であって、そこに添加されたC、N、Crの含有量の関係が、
    25≦43.22C(%)+42.45N(%)−0.02Cr(%)≦40、且つ、
    0.15≦0.92C(%)+0.67N(%)−0.03Cr(%)≦0.30
    の式を満たすように調整されていることを特徴とする内燃機関用ピストンリング材。
  2. 質量%で、C:0.60〜0.68%であることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用ピストンリング材。
  3. 質量%で、Cr:14.0〜16.0%であることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用ピストンリング材。
  4. 質量%で、N:0.04〜0.13%であることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用ピストンリング材。
  5. 質量%で、そこに添加されたC,Cr,Nの含有量の関係が、
    29≦43.22C(%)+42.45N(%)−0.02Cr(%)≦35
    の式を満たすように調整されていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用ピストンリング材。
  6. 質量%で、そこに添加されたC,Cr,Nの含有量の関係が、
    0.18≦0.92C(%)+0.67N(%)−0.03Cr(%)≦0.30
    の式を満たすように調整されていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用ピストンリング材。
  7. 質量%で、Moおよび/またはWが(Mo+1/2W):1.5超〜3.0%であることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用ピストンリング材。
  8. 質量%で、Moおよび/またはWが(Mo+1/2W):1.6〜2.5%であることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用ピストンリング材。
  9. Moおよび/またはWは、Moを選択することを特徴とする請求項1、7、8のいずれかに記載の内燃機関用ピストンリング材。
  10. 質量%で、Si:0.1〜1.0%であることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用ピストンリング材。
  11. 質量%で、C:0.60〜0.68%、Si:0.1〜1.0%、Mn:1.0%以下、Cr:14.0〜16.0%、Mo:1.6〜2.5%、N:0.04〜0.13%を含み、残部はFeおよび不可避的不純物からなる内燃機関用ピストンリング材であって、そこに添加されたC,Cr,Nの含有量の関係が、
    29≦43.22C(%)+42.45N(%)−0.02Cr(%)≦35、且つ、
    0.18≦0.92C(%)+0.67N(%)−0.03Cr(%)≦0.30
    の式を満たすように調整されていることを特徴とする内燃機関用ピストンリング材。
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