JP2552373B2 - シェル構造およびその構築方法 - Google Patents

シェル構造およびその構築方法

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JP2552373B2 JP50873789A JP50873789A JP2552373B2 JP 2552373 B2 JP2552373 B2 JP 2552373B2 JP 50873789 A JP50873789 A JP 50873789A JP 50873789 A JP50873789 A JP 50873789A JP 2552373 B2 JP2552373 B2 JP 2552373B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は曲げおよびねじれ変形の容易な薄板材を用い
たシェル構造およびその構築方法に関するもので、建築
構造物の骨組あるいは構造体などとして用いられる。
〔従来の技術〕
シェルなどの骨組を構成するネット状構造物として
は、立体トラス形式の剛節構造のもの、二方向の鉄骨材
の各交点を着脱自在に連結固定し必要箇所を緊定杆で緊
張した籠構造式鉄骨シェル(特公昭36−8775号公報参
照)、格子状に交差させた二方向のケーブルを用い膜構
造などと組み合わせたもの、複数の吊り帯板とこれと交
差する複数の押え帯板とで構成したもの(特開昭62−24
2035号公報、特開昭62−242036号公報参照)などがあ
る。この他、特公昭31−3979号公報には鉄板編建築法と
して二方向に配した薄肉帯状鉄板の交点をボルト締めし
て蒲鉾状の外形を有する構造とし、その上に鉄板および
ベニヤ板の堰板で桝形の型枠を構成し、コンクリートの
打設および防水層の施工を行う工法が開示されている。
また、日経アーキテクチュア1988年4月4日号、第17
6〜181頁には単層トラスドームとケーブルネット補強張
力膜とを結合させたドーム構造が、ドーム建築の歴史的
発展過程とともに記載され、日経アーキテクチュア1988
年5月2日号、第102〜108頁には種々の形式の木造格子
シェル構造が記載されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
前述した特公昭36−8775号公報には鉄骨材としてアン
グルを使用したものが記載されているが、軽量化による
経済的効果を期待したものであり、施工性についてはあ
まり考慮されていない。また、特開昭62−242035号公
報、特開昭62−242036号公報記載の発明による構造は二
方向に配した帯板の一方を吊り材、他方を押え材として
使用する構造であるため、屋根形状について設計の自由
度が少なく、施工も煩雑となる。また、特公昭31−3979
号公報記載の発明は薄肉の鉄板を複雑な構造の型枠の一
部として利用したもので、施工が煩雑となる。また、こ
れらはいずれもあらかじめ決められた形状に沿って組み
立てられるものであり、基本的にはトラス構造のシェル
と同様、曲面形成における自由度が少ない。
また、ケーブルを用いる形式の構造では、ケーブルの
支持および固定方法、ケーブルと屋根材との固定方法な
どが複雑となる。
木造格子シェルでは、例えば断面が厚さ35mm、幅70mm
の木材を用い、平面的に組んだ格子をリフトアップする
ことにより、曲面を形成する手法なども採用されている
が、部材断面が大きいため、部材の取合い部分などの設
計が難しく、また局部破壊を問題もある。
さらに、従来の一般的な立体トラス構造のシェルで
は、各部材寸法などに高い精度が要求され、経済性、施
工性に問題がある。
本発明は上述のような従来技術の問題点を解決するこ
とを目的としたものである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明のシェル構造は曲げおよびねじれ変形が比較的
容易な薄板材の特性を利用し、二方向以上の鋼板または
軽金属板からなる帯状の薄板材を交互に編み、または編
んだと同様の仕口としてシェルの骨組としてのネット状
の版を構成するものである。
各部材は直交ないしは斜交して網目を構成する。部材
配置の間隔は編みやすさを考慮した上で、編んだ効果に
より部材相互の位置が大きくずれない程度が望ましい。
各薄板材は交点で面が重なり合うが、施工過程におい
ては完全に止め付ける必要はない。二方向の薄板材を通
常の編み方で交互に編み上げた場合、薄板材は交点にお
いて、面内方向に若干の変位が可能であり、若干の角度
変化も可能である。
シェル構造物の周辺部はたが状に拘束するなどして、
所定の構造形状を維持できるようにする。なお、周辺の
一部をたがから解放することも可能である。また、組み
上げた状態では風や地震により大変形が生じないよう、
必要に応じ各節点をボルトで固定したり、部分的あるい
は全体に筋かいを入れたり、ワイヤーその他の緊張材を
使用することも考えられる。
なお、薄板材の材質、断面、作業性などの制約から通
常の編み方で編み上げるのが困難な場合には、編んだと
同様な仕口とすることにより対処することができる。編
んだと同様な仕口とするためには、基本的には二方向以
上の鋼板または軽金属板からなる帯状の薄板材を互いの
面どうしを重ね合わせて配置した状態において、交点に
おける薄板材どうしの面外方向への相対変位を拘束し、
かつ面内方向の若干の変位や若干の角度変化を許容する
ような接合手段で拘束すればよい。なお、ここでいう二
方向以上の薄板材の互いの面どうしを重ね合わせるとい
うのは、原則的には面どうしが接触することであるが、
間に他の部材が介在したり、接合条件によっては若干の
隙間が生じる場合も含むものとする。
薄板材の材料は鋼(帯鋼板)などの金属板、軽金属板
などが考えられる。また、編む効果を阻害しない範囲で
薄板材の幅方向両端などにフランジ状のリブを設けても
よく、ボルトなどの接合手段を用いる場合の断面欠損を
補償することもできる。
編んだと同様の仕口とするための接合手段の一例とし
ては、例えば薄板材どうしの交点を跨がるように、一方
の薄板材に沿って配した接合板とボルトとから構成され
るようなものが考えられ、前記一の薄板材と接合板とに
より他の薄板材を挟み込み、挟み込んだ両端部を前記ボ
ルトで締め付けて接合するものなどが考えられる。な
お、このような構造は薄板材が木製、接合板が金属製の
場合などにも適用可能である。
また、薄板材は各方向について、それぞれ2枚ずつあ
るいは3枚以上重ね合わせて用いてもよく、その場合、
各交点において各方向複数枚の薄板材の面どうしを交互
に重ね合わせて互いに挟み込むような形で、面外方向の
相対変位を接合手段により拘束することができる。この
場合の接合手段は交点位置を拘束する場合に限らず、重
なり合う同一方向の薄板材どうしを隣り合う交点間の中
間位置において接合する形式のものでもよい。さらに、
薄板材は運搬性の問題などからある程度の長さに分割し
たものを接合したり、取扱いの容易さや施工性を考慮し
てあらかじめ複数の薄板材を仮止め状態でたたみ込んだ
ものを接合して行くことなども考えられるが、その場合
も基本的には帯状の薄板材としての連続性が極力維持さ
れる必要があり、薄板材の材質、寸法などにより、曲げ
やすい場合はそのまま溶接することができるが、曲げ難
い場合にはあらかじめ塑性加工を施しておくことも考え
られる。
本シェル構造の適用対象としては、球、円筒、HPシェ
ルなど、各種曲版屋根あるいはサイロなどが挙げられ
る。特に、軽量で高強度の金属材料を使用することによ
り、超大スパンのドームも可能となる。また、シェルの
骨組自体がある程度の幅を有する薄肉の部材で版状に形
成されているため、膜構造の屋根を併用する場合にも膜
材の取付け機構が簡単となり、あらかじめ膜材を取り付
けた状態で組み上げることもできる。なお、薄板材を組
み上げた状態の骨組については、必要に応じ交点間を連
結する筋交を設けたり、あるいは薄板材の所定区間を結
ぶ弦材を張るなどして、シェルとしての形状を保つよう
にする。また特に、膜材と併用した場合には、従来、例
えば内外圧差によって張られる膜材を薄板材の骨組で張
ることができ、一方、薄板材からなる骨組の柔らかさを
膜材が補強し、両者の構造的な問題を互いに補うため、
効率のよい経済的な構造を実現することができる。
また、施工においては、地上で編まれた、または編ん
だと同様の仕口としたネット状の平版を、中間部の何箇
所かをリフトアップし、最終的に所定の周辺部位置にス
ライドさせて固定することにより、所望の曲面を有する
シェル構造物を構築することができる。すなわち、地上
で重ね合わせた帯状長尺の薄板材は面内方向の変位およ
び若干の回転が可能な状態であり、この面内方向の変位
および若干の回転、さらに薄板材の曲げやすさ、ねじれ
やすさを利用し、徐々にリフトアップしながら、所望の
シェル形状とすることができる。前述したように、組み
上げた状態においては、必要に応じ筋交、弦材などで補
強される。なお、このとき前述した膜材をあらかじめセ
ットしておくことにより、さらに効率のよい施工が行え
る。
本構造をコンクリート構造と組み合わせる場合には、
薄板材によって構成される骨組を鉄筋の代わりに、ある
いは鉄筋とともにコンクリートの補強材として利用する
こともできる。さらに、本構造を例えばコンクリートシ
ェルの型枠として利用すれば、編んだ後でも任意の曲面
が形成できるという本構造の特徴を生かし、コンクリー
ト打設後、周囲のたがをはずすことにより編成式の型枠
の取りはずしを行うということも可能である。
また、この編んだ、または編んだと同様の仕口を有す
る帯状長尺の薄板材の特性を生かした他の施工方法とし
ては、順次薄板材の所定区間を弦材で結びながら立体的
なシェルの骨組を組み上げて行くことができる。すなわ
ち、薄板材の所定区間を湾曲させながら弦材を張ること
により、その区間を所定の曲率の円弧形状とすることが
でき、このように弦材を張った二方向または二方向以上
の薄板材を順次重ね合わせ、止め付けて行くことにより
シェルの骨組を構築することができる。
以上の構成における特徴をまとめると次のようにな
る。
(1) 任意曲面の構成 帯状の長尺の薄板材を編んだ編成式構造であるため、
面内剛性が小さく、全体に柔らかく、編んだ後でも任意
の曲面を構成しやすい。
また、編まれた薄板材の接触部で交差する角度や格子
(網目)の材長の若干のずれが許されるので、曲面を構
成する際、シェルを構成する部材に局所ひずみが生じ難
い。
シェルは薄板材で組まれているため、局部の格子(網
目)も格子隅部の僅かな角度変化で全体曲面の曲率変化
になじみ、単純な格子形状で曲面を無理なく覆うことが
できる。また、版剛性も小さく、構造全体が柔らかいの
で、通常の立体トラスのように、各部材、各節点の空間
的位置をきめ細かくおさえることなく、曲版屋根を組み
上げることができる。
(2) 編成式シェル構造の力学的特徴 本構造は版剛性が小さく構造全体が柔らかなことが特
徴で、荷重を受けたときの変形は大きいものの、連続体
構造や剛節トラス構造にみられる複雑な応力状態や局所
応力集中を回避できる。
面内力はシェルを構成する部材の伸縮により直応力で
釣合い、応力状態が単純である。さらに、薄板材の交点
は原則として完全には止め付けられていないので、変形
に伴う2次応力も小さい。
薄板材の交点では、部材どうしが面外変形を拘束しあ
うので、骨組を構成する薄板材各部材が細かく配置され
れば、圧縮材の座屈長さを小さくでき、急激な耐力低下
を防ぐことができる。また、座屈後の応力再分配もスム
ーズに行く。
平版、曲版の面外への曲げに対しては、薄板材が面で
重なり合っているため、交差する各部材の曲げとねじり
により平面的に周辺部に伝達することができる。
(3) 振動減衰性能 筋交や弦材などの拘束部材が少ない場合、構造全体が
柔らかくなり、風や地震の揺れに対して変形は大きいも
のの、網目を構成する部材どうしの接触による摩擦で、
大きな減衰効果を見込むことができる。
従って、サイロなど、構造全体である程度大きい変形
が許されるものは、この摩擦減衰を耐震設計上、積極的
に利用できる。
〔発明の実施の形態〕
第1図は本発明をドーム屋根の骨組としてのシェル構
造物に適用した場合の一実施例を示したもので、薄肉の
帯鋼板からなる二方向の鋼板からなる帯状長尺の薄板材
2を交互に格子状に編み、その周辺部を鋼材などからな
るたが4で拘束して、シェル構造物1を構成している。
施工中は、薄板材2どうしは原則として相互に固定せ
ず、単に編む形とし、所定の形状に組み上げる。第2図
中、矢印で示すように編んだ状態においては、各交点3
における面内の若干のずれおよび回転が許容される。組
み上げた状態では風あるいは地震などによる大変形を防
止するため、必要に応じ各交点3をボルトで固定した
り、筋交や弦材を用いて形状を保持することが望まし
い。シェル構造物1の周辺部については、各薄板材2の
両端をたが4に、ボルトまたは溶接などで固定する。
施工方法の一例としてはまず多数の長尺の薄板材2を
地上で交互に編み上げ、平面状の版を形成する。次に第
13図に示すように、この平面状の版の中央部など、数箇
所をクレーンなどで吊り上げるが、または下から支持す
るなどして版を曲面状に変形させる。このように吊り上
げ、または支持した状態で、版の周辺部を水平方向にス
ライドさせ、たが4に固定することにより、所定の曲面
形状を有するシェル構造物1を構築することができる。
この構築方法においては原則として、組み上げた後に各
交点をボルトで固定したり、あるいは筋交、弦材などを
利用して形状を保持するようにする。膜屋根の骨組とし
て利用する場合は、薄板材2を地上で編み上げる際に、
あらかじめ膜材を取り付けておくことにより、骨組の形
成と膜材の展張を同時に行うことができ、構造上も必ず
しも内外圧差を設けることなく膜材を張ることができ、
かつ膜材が薄板材からなる骨組の柔らかさを補うという
利点がある。
第3図は三方向の鋼板からなる帯状長尺の薄板材2を
編み上げたもので、各交点3においては二方向の薄板材
2のみ重なる形となっている。ところで、編み上げて行
く場合においても薄板材どうしをある程度拘束すること
により、編み上げおよび曲面形成の作業が容易となる。
例えば、第3図に部分的に示したように二方向(図中、
斜めの二方向)の薄板材2のみ交点3をボルト5で止め
付けた場合、ボルト5位置における薄板材2の回転を許
容することにより、二点鎖線で示すような面内変形が可
能となる。すなわち、四角形の頂点をボルト5で止め付
けても回転を許容することにより、面内の剛性がないた
め、変形が容易であり、薄板材2事態の曲げやすさ、ね
じれやすさと組み合わせて任意の曲面を容易に形成する
ことができる。
以上の例は通常の編み方により編んだ場合の例である
が、仕口を工夫することにより編んだと同様の効果を得
ることができる。すなわち、第2図を参照した場合、編
んだ場合の交点3においては前述したように、面内方向
の若干のずれと回転が可能であり、曲面の形成を容易に
しているが、同様に面内方向のずれと回転を許容する仕
口を工夫すればよい。また、例えば前述した第3図の例
で説明したように、面内剛性を持たせないような止め付
け方の場合には、仕口部分の回転のみ許容した状態もあ
り得る。
第4図の例は編んだと同様の仕口の具体例を示したも
のである。
この例では二方向の帯状長尺の薄板材2を編むことな
く、単に重ね合わせ、各交点3を接合板10とボルト11に
より拘束している。接合板10は鋼板または軽金属板など
からなり、薄板材2の交点3を跨がるように、一方の薄
板材2に沿って配され、薄板材2とこの接合板10で他方
の薄板材2を挟み込んで両端をボルト11で固定してい
る。
図から明らかなように面内における若干のずれと回転
が可能であり、編んだと同様の仕口となっている。な
お、この仕口は必らずしも全ての交点3に適用する必要
はなく、例えば第5図に示すように1つおきとしてもよ
い。
第6図は編んだと同様の仕口の他の具体例を示したも
のである。
この例では帯状長尺の薄板材2を各方向について、そ
れぞれ2枚ずつ面どうしを重ね合わせて配置し、各交点
3において各方向2枚の薄板材2の面どうしを交互に重
ね合わせ、隣り合う交点3間をボルト12で固定してい
る。この場合も面内における若干のずれと回転が可能で
あり、また同一方向の薄板材2を2枚重ね合わせること
により、曲げやすさとねじれやすさはそのままで、部材
断面が大きくなり、版としての強度を高めている。
第7図の例は二方向の薄板材2どうしの各交点3をボ
ルト13で止め付けた例であるが、ボルト13位置での回転
を許容することにより、第3図の場合と同様、ボルト13
で囲まれる四角形形状を拘束しないため、編んだと同様
の仕口として、曲面形成を容易にしている。なお、この
場合もボルト13を通すための穴を長穴またはばか穴とす
ることにより、面内方向の変位として交点3位置での角
度変化に加え、僅かなずれも可能となる。
以上の例では薄板材として鋼板などからなる帯状の平
板の例を上げていたが、第8図〜第10図に示すように、
幅方向両端にフランジ状のリブ15を設けた薄板材14を用
いることもできる。この場合、平板に比べ曲げ性能が若
干劣るが、材質や接合方法によっては有効であり、ボル
ト接合のための断面欠損なども補うことができる。
なお、この例ではボルト16とボルト穴との間に隙間17
を設け、面内の回転および若干のずれを許容する構造と
なっている。第9図および第10図の薄板材14が溝形断面
であるのに対し、第11図および第12図の例はフランジ15
aを有するI形断面の薄板材14aを場合である。図中、18
はスペーサーである。
前述した第13図の構築方法に対し、第14図は本発明の
シェル構造に適する他の構築方法の概要を示したもので
ある。前述したように、本発明のシェル構造は組み上げ
た状態においては、何らかの方法で形状を保持するよう
拘束することが望ましい。弦材を用いる場合、第14図に
示すように立体的なシェルの骨組を組みあげる段階で、
順次、薄板材2の所定区間を弦材19で結び、薄板材2の
所定区間を湾曲させながら弦材19を張って行くことによ
り効率よく骨組を構築することができる。この場合、あ
らかじめ立体的に組み上げたシェルにおける薄板材2各
点の空間におせる位置関係を把握しておくことにより、
施工作業が容易となる。
第15図は本発明の構造をサイロ20の側壁に適用した場
合の実施例を示したもので、縦横に編んだ鋼板からなる
帯状の薄板材を湾曲させ、円筒状に形成するとともに、
上下をたが24で固定したものである。また、図示してい
ないが、湾曲させた円周方向の薄板材22の端部どうしは
溶接あるいはボルト接合などにより、固定することがで
きる。各交点23においては二方向の薄板材が面で接触
し、縦方向すなわち高さ方向の薄板材21とこれを直交す
る円周方向の薄板材22が互いの曲げ変形を拘束しあい、
座屈を防止している。また、これらの交点23では面で接
触する薄板材21,22間で摩擦力が生じ、例えば地震力な
どに対しては変形が大きくなる可能性があるものの、交
点23における摩擦減衰が期待でき、サイロ20のようにあ
る程度大きい変形が許容される構造物については摩擦減
衰を耐震設計上積極的に利用することができる。
〔発明の効果〕
本発明のシェル構造およびその構築方法は各種建築物
の屋根あるいは構造体のを構成する骨組およびその施工
に利用することができ、応力集中の少ない均質な版のよ
うに作用し、従来の構造に比べ軽量化および大スパン化
の面で有利であり、また鋼板または軽金属板からなる帯
状の薄板材の曲げやすさ、ねじれやすさを利用して、大
幅な施工簡略化が図れる。
図面の簡単な説明 第1図は一実施例として本発明のシェル構造を大スパ
ンの屋根構造に適用した場合の概要を示す斜視図、第2
図は鋼板からなる薄板材を編んだ状態を示す斜視図、第
3図は3方向の薄板材を編んだ例を示す図、第4図は編
んだと同様の仕口の例を示す斜視図、第5図はそのシェ
ルへの適用例を示す斜視図、第6図は薄板材を各方向2
枚ずつ重ね合わせて編んだと同様の仕口とした場合の例
を示す斜視図、第7図は格子状に組んだ二方向の薄板材
の面内変形を説明するための斜視図、第8図〜第10図は
それぞれリブ付の薄板材を用いた場合の例を示す平面図
および互いに直交する方向の断面図、第11図および第12
図は同じくリブ付の薄板材を用いた場合の他の例におけ
る互いに直交する方向の断面図、第13図は本発明のシェ
ル構造の構築方法を説明するための図、第14図はもう1
つの構築方法を説明するための図、第15図は本発明の構
造をサイロの側壁に適用した場合の実施例を示す斜視図
である。
1……シェル構造物、2……薄板材、3……交点、4
……だが、5……ボルト、10……接合板、11……ボル
ト、12……ボルト、13……ボルト、14……薄板材、14a
……薄板材、15……リブ、15a……フランジ、16……ボ
ルト、17……隙間、18……スペーサー、19……弦材、20
……サイロ、21……薄板材、22……薄板材、23……交
点、24……たが

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】所定の曲面を形成するネット状の骨組を有
    するシェル構造において、前記骨組として二方向以上の
    鋼板または軽金属板からなる帯状の薄板材を各交点にお
    いて互いの面どうしを重ね合わせて交互に編み、各交点
    における前記薄板材どうしの面内方向の若干のずれまた
    は若干の回転を許容してなることを特徴とするシェル構
    造。
  2. 【請求項2】交互に編んだ前記各薄板材は所定の曲面を
    形成した状態において、薄板材どうしの交点の一部また
    は全部を接合手段により拘束してある請求項1記載のシ
    ェル構造。
  3. 【請求項3】前記薄板材は所定区間を弦材で結ぶことに
    より、該所定区間にける円弧形状を保持している請求項
    1または2記載のシェル構造。
  4. 【請求項4】所定の曲面を形成するネット状の骨組を有
    するシェル構造において、前記骨組として二方向以上の
    鋼板または軽金属板からなる帯状の薄板材を各交点にお
    いて互いの面どうしを重ね合わせ、接合手段により前記
    各交点における前記薄板材どうしの面外方向への相対変
    位を拘束しつつ、面内方向の若干のずれまたは若干の回
    転を許容することで、前記薄板材どうしの交点を編んだ
    と同様の仕口としたことを特徴とするシェル構造。
  5. 【請求項5】前記接合手段は前記薄板材どうしの交点を
    跨がるように、一の薄板材に沿って配された接合板とボ
    ルトとからなり、前記一の薄板材と接合板とにより他の
    薄板材を挟み込み、挟み込んだ両端部を前記ボルトで締
    め付けて接合するよう構成したものである請求項4記載
    のシェル構造。
  6. 【請求項6】前記薄板材は各方向について、それぞれ2
    枚または3枚以上、面どうしを重ね合わせて配置してあ
    る請求項5記載のシェル構造。
  7. 【請求項7】前記薄板材は各交点において各方向複数枚
    の薄板材の面どうしを交互に重ね合わせて配置し、接合
    手段により前記各薄板材どうしの交点における面外方向
    の相対変位を拘束している請求項6記載のシェル構造。
  8. 【請求項8】前記薄板材は各交点において各方向複数枚
    の薄板材の面どうしを交互に重ね合わせて配置し、隣り
    合う交点間において重なり合う同一方向の薄板材どうし
    を接合手段により接合してある請求項6記載のシェル構
    造。
  9. 【請求項9】薄板材の幅方向両端にはフランジ状のリブ
    が設けられている請求項4記載のシェル構造。
  10. 【請求項10】前記薄板材は所定区間を弦材で結ぶこと
    により、該所定区間における円弧形状を保持している請
    求項4〜9のいずれか1項記載のシェル構造。
  11. 【請求項11】まず地上で二方向以上の帯状長尺の薄板
    材を、各交点において互いの面どうしを重ね合わせ、か
    つ各交点における各薄板材どうしの面内方向のずれおよ
    び若干の回転を許容するようにネット状の平版を形成
    し、前記平版の中間部の1箇所または数箇所を吊り上げ
    ながら、前記各交点における各薄板材どうしの面内方向
    のずれおよび回転を利用して、前記平版の周辺部を所定
    の位置までスライドさせて固定することにより、所定の
    曲面を有するシェル構造の骨組を構築することを特徴と
    する請求項1または4記載のシェル構造の構築方法。
  12. 【請求項12】前記平版の周辺部を所定位置までスライ
    ドさせて固定した後、前記各薄板材を前記各交点で接合
    手段により固定する請求項11記載のシェル構造の構築方
    法。
  13. 【請求項13】前記薄板材を互いの面どうしが重なり合
    うように組み、順次薄板材の所定区間を弦材で結ぶこと
    により、該所定区間における所定の曲率の円弧形状を形
    成しながら、所定の曲面を有するシェル構造の骨組を組
    み上げて行くことを特徴とする請求項3または10記載の
    シェル構造の構築方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110424542A (zh) * 2019-08-30 2019-11-08 清华大学 一种多层自体成型弹性杆空间曲面编织结构体系及其工法

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS501519A (ja) * 1973-05-10 1975-01-09

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