JP2001081865A - 屋根構造物およびその構築工法 - Google Patents

屋根構造物およびその構築工法

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JP2001081865A
JP2001081865A JP25864199A JP25864199A JP2001081865A JP 2001081865 A JP2001081865 A JP 2001081865A JP 25864199 A JP25864199 A JP 25864199A JP 25864199 A JP25864199 A JP 25864199A JP 2001081865 A JP2001081865 A JP 2001081865A
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Japan
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roof
roof structure
construction method
prestress
eaves
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JP25864199A
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English (en)
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Toshiyuki Kawazoe
俊之 川添
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Original Assignee
Tomoe Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 総足場工法やリフトアップ工法などの大規模
工法によらないで、比較的大きな屋根もきわめて効率的
に構築できるよにうした屋根構造物の構築工法を提供す
る。 【解決手段】 トラス枠材4を複数、軒先部側から棟部
側に順に平面網目状に配置し、このトラス枠材4の各接
点部間に周方向つなぎ材5をそれぞれ設置して周方向に
連続するコンプレッションリング6を軒先部側から棟部
側に順に同心円状に複数配置する。このコンプレッショ
ンリング6に軒先部側から棟部側に順にプレストレスを
導入する。また、周方向つなぎ材5の上弦材5aと下弦
材5bを折れ曲がった状態から真っ直ぐな状態に変形さ
せて、各コンプレッションリング6にプレストレスを導
入する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は屋根構造物および
その構築工法に関し、特に上弦材、下弦材、腹材で構成
されるトラス枠材、または形鋼などの形材や鋼管などが
複数、平面網目状に配置されて球形ドーム状または円錐
形ドーム状をなす屋根構造物とその構築工法で、比較的
的大きな屋根構造物もこれまでのような総足場工法やリ
フトアップ工法などによらないできわめて効率的に構築
できるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】この
種の屋根構造物の構築工法として、これまで構造物を建
設する建設予定個所の地上に仮設支柱を立設し、その上
に足場を構築し、この足場上にクレーン等の揚重機など
を用いて屋根構造物の骨組部材を吊り上げ、かつ骨組を
組み立てて屋根全体を構築する総足場工法や、最初に屋
根構造物の外側部または外郭部に当たる部分を構築し、
これら外側部または外殻部の上方に、仮設支柱やジャッ
キアップ架台を構築し、その上にジャッキアップ装置を
据え付け、地上で組み立てた屋根構造物の内側部または
内郭部に当たる部分をジャッキアップ装置で吊り上げ、
そして、屋根構造物の内側部または内殻部と外側部また
は外郭部とを繋ぎ材で接合して屋根全体を構築するリフ
トアップ工法などが知られている。
【0003】しかし、これらの工法で球形ドームをした
屋根構造物を構築する場合、いずれの工法によっても、
屋根の形状を変形させずに設計当初の形態を維持したま
ま構築することはかなり困難である。
【0004】当出願人もこれまで、この種の構造物をリ
フトアップ工法で構築する場合に、屋根の形状を変形さ
せずに可能な限り設計当初の形態を維持できるようにし
た構築工法をいくつか開発してきた。
【0005】例えば、リフトアップ工法で屋根構造物を
構築する場合、屋根下面に垂設した束材と鋼材(ケーブ
ル可)を使って構格を作り、束材の下部から屋根構造体
の周辺に緊張材を張設した張弦梁構造を提案したものも
あるが、通常は、構築を進めながら構造物骨組の接点下
面にベントなどの仮設支柱をあてがい、支えながら多少
設計時の構造寸法より大きめ(高さ位置を高めに)に屋
根構造物を構築している。
【0006】その理由は屋根構造物が完成し、仮設支柱
を外すジャッキダウン作業をした場合、屋根構造物自体
の自重で屋根構造物が変形することから、その構造物の
変形を所定の設計高さに保持させるために、変形する量
だけ屋根高を高めに構築しておくものである。
【0007】また、無サポート足場工法を目的としたも
ので、外周部にテンションリングを構築し、その内側に
コンプレッションリングを構築しながら、テンションリ
ングとコンプレッションリングとで挟まれたリング状部
分の骨組を配置させ、コンプレッションリングを順次、
内側に構築しながら構造的に自立させる構築工法も知ら
れている(例えば、特開平11−22011号参照)。
【0008】しかし、これらの工法はいずれも、構築過
程での安定性に問題があり、特に後者の無サポート足場
工法を目的とした工法は、建方途中の屋根の形状を変形
させないための対策、例えば部分的なサポートなどによ
って形状を維持させる必要があり、立体トラス構造の屋
根には必ずしも適したものではなかった。
【0009】この発明は、以上の課題を解決するために
なされたもので、特にこれまでの総足場工法やリフトア
ップ工法などの大掛かりな工法によらないで、比較的大
きな屋根構造物もきわめて効率的に構築できるようにし
た屋根構造物の構築工法を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】以上の課題を解決するた
めの手段として、この発明に係る屋根構造物は、トラス
枠材、形材または鋼管を複数、平面網目状に配置し、こ
れらの部材の各接点部間に周方向つなぎ材をそれぞれ設
置して周方向に連続するコンプレッションリングを同心
円状に複数配置し、かつこのコンプレッションリングに
プレストレスをそれぞれ導入する。
【0011】この発明に係る屋根構造物の構築工法は、
請求項2として、トラス枠材、形材または鋼管を複数、
軒先部側から棟部側に平面網目状に配置し、これらの部
材の各接点部間に周方向つなぎ材をそれぞれ設置して周
方向に連続するコンプレッションリングを軒先部側から
棟部側に順に同心円状に複数配置し、かつこのコンプレ
ッションリングに軒先部側から棟部側に順にプレストレ
スを導入する。
【0012】請求項3として、請求項2の屋根構造物の
構築工法において、周方向つなぎ材を折れ曲がった状態
から真っ直ぐな状態に変形させて、各コンプレッション
リングにプレストレスを導入する。
【0013】
【発明の実施の形体】図1〜9は、複数のトラス枠材ま
たは形鋼などの形材、あるいは鋼管などを平面網目状に
配置して球形ドーム状に構築される屋根構造物およびそ
の構築工法の一例を示し、図において、外周に外壁に相
当する建屋躯体1が所定の高さに構築され、この建屋躯
体1の上に球形ドーム状の屋根(小屋組)2が構築さ
れ、その軒先部(外周部)は建屋躯体1の上端部に碇部
材3を介して強固に固定されている。
【0014】建屋躯体1は屋根2を安全に支持できる強
度を有し、例えば鉄筋コンクリートなどで構築されてい
る。また、碇部材3は屋根2の軒先部を建屋躯体1の上
端部に強固に固定して屋根2からの荷重を建屋躯体1に
確実に伝達できる強度を有し、例えば鉄骨材などで構築
されている。
【0015】屋根2は、屋根勾配方向に沿って架け渡さ
れる上弦材4aと下弦材4b、この上弦材4aと下弦材
4b間にラチス状に架け渡される複数の腹材4cとで構
成される複数のトラス枠材、または複数の形鋼や鋼管な
ど(以下「トラス枠材4」という)を平面網目状に配置
し、さらにトラス枠材4と4との各接点部間に周方向つ
なぎ材5を屋根2の円周方向に沿ってそれぞれ架け渡し
て構築されている。
【0016】こうして構築される屋根2の軒先部(外周
部)と棟部(中心部)との間には、トラス枠材4と4と
の各接点部間に周方向つなぎ材5がそれぞれ架け渡され
ていることで、複数の周方向つなぎ材5からなる、屋根
2の円周方向に連続するコンプレッションリング6が同
心円状に複数配置されている。
【0017】また、屋根2の網目はトラス枠材4の配置
形態により、平面視して格子網目状、菱網目状など様々
な形状に形成されるが、図ではトラス枠材4と4との各
接点部間に周方向つなぎ材5がそれぞれ架け渡されてい
ることもあって一つの網目が三角形状に形成されてい
る。
【0018】周方向つなぎ材5は、トラス枠材4の上弦
材4aと4aとの各接点部間、および下弦材4bと4b
との各接点部間にそれぞれ架け渡される上弦材5aと5
b、およびこの上弦材5aと下弦材5b間に斜めに架け
渡される複数のラチス材5cとでトラス梁状に構成され
ている。
【0019】また、上弦材5aと下弦材5bはともに、
トラス枠材4の接点部間距離Lよりやや長めに形成され
ているとともに、中間部において屋根2の面外方向(屋
根2の内外方向)に自由に折れ曲がるように、中間部よ
り両側部分を接合プレートと接合ボルトによるボルト接
合、または単にピン接合する等することにより形成され
ている。
【0020】なお図では、上弦材5aと下弦材5bはと
もに、中間部より両側部分を接合プレートと複数の接合
ボルトで接合し、接合ボルトを本締めする前、中間部に
おいて自由に折れ曲がるように形成されている。
【0021】また、上弦材5aの中間部と下弦材5bの
中間部との間に引っ張り部材7が架け渡されている。そ
して、上弦材5aと下弦材5bの中間部が屋根2の外側
と内側にそれぞれ折れ曲がった状態から真っ直ぐな状態
に引っ張り部材7によって引っ張られることで、各周方
向つなぎ材5の上弦材5aと下弦材5bにプレストレス
が導入され、さらに複数の周方向つなぎ材5からなる各
コンプレッションリング6にプレストレスが導入されて
いる。
【0022】このように、屋根2の軒先部と棟部との間
にコンプレッションリング6が同心円状に配置され、そ
のそれぞれにプレストレスが導入されていることで、屋
根2の全体が迫り上げられるため、屋根2の構築時に特
に大規模な支保工で支えなくても屋根骨組の垂れ下がり
を防止することでき、施工中常に屋根2の姿勢を設計時
の状態に維持することができ、施工精度が大幅に向上す
る。
【0023】また、同様の理由により、構築後において
も屋根骨組の垂れ下がりを防止することでき、屋根2の
姿勢を常に設計時の状態に維持することができる。引っ
張り部材7は、例えばタイロッドや鉄筋、あるいは鋼材
などで形成され、特にタイロッドや鉄筋で形成されるも
のには、例えば図4と図5に図示するように長さ調整が
可能なように端部または中間部にターンバックル8が取
り付けられている。
【0024】そして、上弦材5aと下弦材5bの両端が
トラス枠材4の接点部に連結され、拘束された状態で、
ターンバックル8を締め付けることにより上弦材5aと
下弦材5bを折れ曲がった状態から真っ直ぐな状態に変
形させることで、上弦材5aと下弦材5bにプレストレ
スが導入されている。
【0025】また、こうして上弦材5aと下弦材5bに
プレストレスが導入された後、上弦材5aと下弦材5b
がもとに戻らないように、中間部の接合ボルトが本締め
され、かつ複数の固定部材9aと9bが取り付けられて
いる。
【0026】図6は、引っ張り部材7が鋼材で形成され
ている場合で、上弦材5aと下弦材5bの中間部に、上
弦材5aと下弦材5b間の内法高よりやや短い引っ張り
部材7の上側部分7aと上側部分7bがそれぞれ取り付
けられ、かつこの上側部分7aと上側部分7bが複数の
長ボルト10で連結されている。
【0027】そして、この長ボルト10を締め付けて上
弦材5aと下弦材5bを折れ曲がった状態から真っ直ぐ
な状態に変形させることで、上弦材5aと下弦材5bに
プレストレスが導入されている。また、上弦材5aと下
弦材5bにプレストレスが導入された後、上弦材5aと
下弦材5bがもとに戻らないように固定部材9aが取り
付けられている。
【0028】図7は、上弦材5aと下弦材5bの中間部
の両側に、引っ張り部材7としてターンバックル8を取
り付けた複数の鉄筋がたすき掛けに架け渡されている場
合で、ターンバックル8を締め付けて上弦材5aと下弦
材5bを折れ曲がった状態から真っ直ぐな状態に変形さ
せることで、上弦材5aと下弦材5bにプレストレスが
導入されている。この場合も、上弦材5aと下弦材5b
にプレストレスが導入された後、上弦材5aと下弦材5
bがもとに戻らないように固定部材9bが取り付けられ
ている。
【0029】このような構成において、施工に際して
は、複数のトラス枠材4は必要に応じて周方向つなぎ材
5も含めて予め地上で互いに接合して所定大きさの屋根
構造体Aにブッロク組みされ、それぞれクレーン等の揚
重機11で吊り上げられ、所定の位置に設置され、かつ
隣接する屋根構造体Aと互いに接合されている。
【0030】また特に、屋根2の軒先部に設置された屋
根構造体Aは建屋躯体1の上端部に碇部材3を介して強
固に固定されている。なお、屋根構造体Aは様々な形状
にブロック組みすることができるが、図では平面V字型
状(または平面W字型状)にブロック組みされている。
【0031】なお、こうしてブロック組みされた各屋根
構造体Aには、例えば図8と図9に図示するように、屋
根2の軒先部に設置されるものから屋根2の棟部側に設
置されるものへと順に、水平引っ張り部材12と斜め引
っ張り部材13が交互に取り付けられている。その際、
特に屋根2の軒先部に設置される屋根構造体Aには水平
引っ張り材12が取り付けられている。
【0032】水平引っ張り部材12と斜め引っ張り部材
13はともに、コンプレッションリング6と同様に屋根
2の構築時および構築後の屋根骨組の垂れ下がりを防止
するもので、例えばタイロッドやワイヤーケーブル等で
形成され、かつ長さ調整が可能なようにターンバックル
14が取り付けられている。
【0033】また、水平引っ張り部材12は上弦材4a
どうしの接点部と上弦材5aとの間に屋根面に沿って
(上弦材4aと同じ高さで)架け渡され、その軒先側端
部12aは上弦材4aどうしの接点部に、棟部側端部1
2bは上弦材5aの中央部にそれぞれ連結され、特に、
屋根2の軒先部に設置された屋根構造体Aに取り付けら
れている水平引っ張り材12の軒先側端部12aは、碇
部材3の上端部に強固に連結されている。
【0034】また、斜め引っ張り部材13は上弦材5a
と下弦材4bどうしの接点部との間に屋根の内側に向か
って(上弦材4a側から下弦材4b側に向かって)斜め
に架け渡され、その軒先側端部13aは上弦材5aの中
央部に連結され、さらに軒先側に隣接する屋根構造体A
に取り付けられた水平引っ張り部材12に連結されてい
る。
【0035】また、斜め引っ張り部材13の棟部側端部
13bは下弦材4bどうしの接点部に連結されている。
さらに、水平引っ張り部材12と斜め引っ張り部材13
にはターンバックル14を締めつけることにより一定の
張力が導入されている。なおその際、屋根2の構築後で
も、必要に応じてターンバックル14を締め付けること
により再度張力が導入されることもある。
【0036】このようにして、各屋根構造体Aに水平引
っ張り部材12と斜め引っ張り部材13が取り付けられ
ていることによっても、屋根2の構築時および構築後の
各屋根構造体Aの垂れ下がりを防止することでき、これ
により屋根2の姿勢を常に設計時の状態に維持すること
ができ、施工精度が大幅に向上する。
【0037】このような構成において、次にこの発明に
係る屋根構造物の構築工法を順を追って説明する。 最初に、屋根構造物の外壁に当たる外周の建屋躯体
1を構築し、その上端部に碇部材3を設置する。
【0038】 また、地上では、複数のトラス枠材4
を互いに接合して平面V字型状の屋根構造体Aをブロッ
ク組みする。その際、周方向つなぎ部材5も同時に組み
込むとよい。むしろ、周方向つなぎ部材5を地上で取り
付けておく方が屋根構造体Aの形状を保持でき、クレー
ン等の揚重機11で吊り上げる際などに変形したりする
のを防止でき、施工精度が増す。また、屋根構造体Aの
組み立てと同時に各屋根構造体Aに水平引っ張り部材1
2または斜め引っ張り部材13を取り付ける(図8、図
9参照)。
【0039】 次に、水平引っ張り部材12を取り付
けた屋根構造体Aを揚重機11で吊り上げ、建屋躯体1
の棟部側(内側)に設置し、かつ軒先側を碇部材3に強
固に固定する。また、水平引っ張り部材12の軒先側端
部12aと棟部側端部12bを碇部材3の上端部と上弦
材5aの中央部にそれぞれ連結する(図8、図9参
照)。さらに、引っ張り部材7のターンバックル8を締
め付けて上弦材5aと下弦材5bを折れ曲がった状態か
ら真っ直ぐな状態に変形させることで、上弦材5aと下
弦材5bにプレストレスを導入する(例えば、図4参
照)。これにより、屋根構造体Aは建屋躯体1の棟部
(内側)に強固に接合され、またその棟部側端部が水平
引っ張り部材12によって屋根2の外側に引っ張られ、
さらにコンプレッションリング6にプレストレスが導入
されて迫り上げられることで、屋根構造体Aが垂れ下が
ることがない。
【0040】 次に、斜め引っ張り部材13を取り付
けた屋根構造体Aを新たに揚重機11で吊り上げ、先に
設置した屋根構造体Aの棟部側に設置する。そして、そ
の軒先側端部を先に取り付けた屋根構造体Aの棟側端部
に接合する(図8、図9参照)。また、斜め引っ張り部
材13の軒先側端部13aを先に設置した屋根構造体A
の上弦材5aと水平引っ張り12の両方に連結し、棟部
側端部13bを下弦材4bどうしの接点部に連結する。
さらに、引っ張り部材7のターンバックル8を締め付け
て上弦材5aと下弦材5bを折れ曲がった状態から真っ
直ぐな状態に変形させることで、上弦材5aと下弦材5
bにプレストレスを導入する。これにより、新たに設置
された屋根構造体Aは、先に設置された屋根構造体Aの
棟部側の端部に強固に接合され、またその棟部側端部が
斜め引っ張り部材13によって屋根2の外側に引っ張ら
れ、さらにコンプレッションリング6にプレストレスが
導入されて迫り上げられることで、新たに設置された屋
根構造体Aも垂れ下がることがない。
【0041】 次に、水平引っ張り部材12を取り付
けた屋根構造体Aを、さらに新たに揚重機11で吊り上
げ、先に設置した屋根構造体Aの棟部側に設置する。そ
して、その軒先側を先に取り付けた屋根構造体Aの棟部
側に強固に接合する。また、水平引っ張り部材12の軒
先側端部12aを先に設置した屋根構造体Aの上弦材4
aどうしの接点部に連結し、また棟部側端部12bを上
弦材5aの中央部に連結する。これにより、さらに新た
に設置された屋根構造体Aは先に設置された屋根構造体
Aの棟部側に強固に接合され、またその棟部側端部が水
平引っ張り部材12によって屋根2の外側に引っ張ら
れ、さらにコンプレッションリング6にプレストレスが
導入されることで、垂れ下がることがない。
【0042】 以下同様にして、斜め引っ張り部材1
3を取り付けた屋根構造体Aと水平引っ張り部材12を
取り付けた屋根構造体Aを屋根2の軒先側から棟部側へ
と順に、コンプレッションリング6にプレストレスを導
入しつつ設置することにより屋根2の全体を構築する。
なお、各コンプレッションリング6にプレストレスを導
入するだけでも、屋根構造体Aの垂れ下がりは防止で
き、水平引っ張り部材12と斜め引っ張り部材13は必
ずしも必要ではないが、特に大規模な屋根構造物の場合
には、コンプレッションリング6の他に水平引っ張り部
材12と斜め引っ張り部材13を設置することにより、
施工の安全性と施工精度の向上が図れる。また、特に軒
先部に設置される屋根構造体Aにのみ水平引っ張り部材
12を取り付け、これより棟側に順に取り付けられる屋
根構造体Aには特に取りつけず、コンプレッションリン
グ6のみを設置するだけでもよい。さらに、コンプレッ
ションリング6にプレストレスを導入する個所は、トラ
ス枠材4,4の各接点部間の1ないし2個所おきとし
て、他は真っ直ぐな部材からなる周方向つなぎ材として
もよい。
【0043】
【発明の効果】この発明は以上説明した通りであり、特
に軒先部側から棟部側に向かって順に平面網目状に配置
されるトラス枠材、形材または鋼管の各接点部間に周方
向つなぎ材をそれぞれ設置して周方向に連続するコンプ
レッションリングを軒先部側から棟部側に同心円状に順
に複数配置し、これらのコンプレッションリングに軒先
部側から棟部側に順にプレストレスを導入するので、屋
根骨組の構築された部分はあえて支えなくても段階的に
自立性(形状保持力)を有する。
【0044】したがって、これまでのような総足場によ
る足場工法やリフトアップ工法などの大規模工法によら
なくても、比較的大きな屋根構造物も設計当初の形態を
維持したままで、きわめて効率的に構築でき、また工期
の大幅な短縮化とコスト低減化が図れる等の効果があ
る。
【0045】また、周方向つなぎ材を折れ曲がった状態
から真っ直ぐな状態に変形させてコンプレッションリン
グにプレストレスを導入することができ、プレストレス
の導入も比較的容易にかつ確実に行うことができて施工
性もよい。
【0046】さらに、複数のトラス枠材を予め地上でV
字型状または平面W字型状の屋根構造体にブロック組み
し、これを屋根の軒先側から棟部側へと順に接合しなが
ら設置することにより、施工効率をより高めることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】球形ドーム状をなす屋根構造物を示し、(a)
はその一部平面図、(b)はその縦断面図である。
【図2】円錐形ドーム状をなす屋根構造物を示し、
(a)はその一部平面図、(b)はその縦断面図であ
る。
【図3】平面網目状に形成された屋根を示し、(a)は
その一部平面図、(b)は軒先部の縦断面図、(c)は
(a)におけるイ−イ線断面図である。
【図4】(a),(b)は図3(c)の拡大図で、
(a)は上弦材と下弦材にプレストレスを導入する前、
(b)は上弦材と下弦材にプレストレスを導入した後の
状態をそれぞれ示す断面図、(c)は(a)、(b)の
平面図である。
【図5】(a),(b)は図3(c)の拡大図で、
(a)は上弦材と下弦材にプレストレスを導入する前、
(b)は上弦材と下弦材にプレストレスを導入した後の
状態をそれぞれ示す断面図である。
【図6】(a),(b)は図3(c)の拡大図で、
(a)は上弦材と下弦材にプレストレスを導入する前、
(b)は上弦材と下弦材にプレストレスを導入した後の
状態をそれぞれ示す断面図である。
【図7】(a),(b)は図3(c)の拡大図で、
(a)は上弦材と下弦材にプレストレスを導入する前、
(b)は上弦材と下弦材にプレストレスを導入した後の
状態をそれぞれ示す断面図である。
【図8】平面網目状に形成された屋根を示し、(a)は
その一部平面図、(b)は軒先部の縦断面図である。
【図9】平面網目状に形成された屋根構造物の一部平面
図である。
【符号の説明】
1 建屋躯体 2 屋根(小屋組) 3 碇部材 4 トラス枠材(トラス枠材、形鋼または鋼管) 4a 上弦材 4b 下弦材 4c 腹材 5 周方向つなぎ材 5a 上弦材 5b 下弦材 5c ラチス材 6 コンプレッションリング 7 引っ張り部材 7a 引っ張り部材の上側部分 7b 引っ張り部材の下側部分 8 ターンバックル 9a 固定部材 9b 固定部材 10 長ボルト 11 揚重機 12 水平引っ張り部材 12a 軒先側端部 12b 棟側端部 13 斜め引っ張り部材 13a 軒先側端部 13b 棟側端部 14 ターンバックル

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トラス枠材、形材または鋼管を複数、平
    面網目状に配置して円形状または多角形状に構築される
    屋根構造物において、トラス枠材、形材または鋼管の各
    接点部間に周方向つなぎ材をそれぞれ設置して周方向に
    連続するコンプレッションリングを同心円状に複数配置
    し、かつこのコンプレッションリングにプレストレスを
    それぞれ導入してなることを特徴とする屋根構造物。
  2. 【請求項2】 トラス枠材、形材または鋼管を複数、軒
    先部側から棟部側に順に平面網目状に配置し、このトラ
    ス枠材、形材または鋼管の各接点部間に周方向つなぎ材
    をそれぞれ設置して周方向に連続するコンプレッション
    リングを軒先部側から棟部側に順に同心円状に複数配置
    し、かつこのコンプレッションリングに軒先部側から棟
    部側に順にプレストレスを導入することを特徴とする屋
    根構造物の構築工法。
  3. 【請求項3】 周方向つなぎ材を折れ曲がった状態から
    真っ直ぐな状態に変形させて、各コンプレッションリン
    グにプレストレスを導入することを特徴とする請求項2
    記載の屋根構造物の構築工法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN101158195B (zh) * 2007-11-16 2010-07-07 北京工业大学 弦支穹顶多次预应力施工方法
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WO2013149592A1 (zh) * 2012-04-04 2013-10-10 中国航空规划建设发展有限公司 一种基于张拉和承载全过程分析的索穹顶预应力确定方法
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