JPH07292774A - ラチスシェル構造物および節点部材 - Google Patents

ラチスシェル構造物および節点部材

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JPH07292774A
JPH07292774A JP9010894A JP9010894A JPH07292774A JP H07292774 A JPH07292774 A JP H07292774A JP 9010894 A JP9010894 A JP 9010894A JP 9010894 A JP9010894 A JP 9010894A JP H07292774 A JPH07292774 A JP H07292774A
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Toshiro Suzuki
敏郎 鈴木
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 単層ラチスシェルを基本とするラチスシェル
構造物について、複層節点部材を利用して補強すること
で、ラチスシェルの設計における自由度を増し、大型構
造物への適用を可能とするとともに、施工性を改善す
る。 【構成】 単層ラチスシェルの節点に部材接続部として
の球継手3a,3bを上下2段に設けた複層節点部材3
を配置する。節点間の一部について軸部材2a,2bを
上下平行に配置して補強する。この軸部材2a,2bを
上下複層とする部分を、曲面全体に均等に配置すること
で、ラチスシェル全体としての形状の安定化を図る。他
の部分については、軸部材2で隣り合う複層節点部材3
どうしの上側の球継手3aと下側の球継手3bを連結す
ることで、軸部材2どうしの交角を大きくとり、局所座
屈が生じ難い構造とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願発明は、ドームその他大型の
屋根構造等に用いられるラチスシェル構造物の骨組の補
強構造およびその補強構造に使用される節点部材に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】図19は、従来のラチスシェルの一例と
して略正三角形グリッドで構成された単層ラチスシェル
の一部を示したもので、多数の節点1’と、節点1’間
を連結する軸部材2(ラチス部材)とで骨組を形成して
いる。
【0003】このような単層ラチスシェルの座屈には、
全体座屈、局所座屈、個材座屈がある。
【0004】図20は、単層ラチスシェルの構造的弱点
である局所座屈の説明図である。局所座屈は、節点座屈
とも言い、図20(b) に示すようにラチス節点1’とそ
れを囲む軸部材2との関わりで節点1’に生ずる反転現
象であり、飛移座屈とも言う。
【0005】この局所座屈には、ラチス節点1’での軸
部材2相互の交差角(以下、部材交角または単に交角と
いう)が深く関与し、交角2θが小さくなるのに伴い局
所座屈の危険度が増す。従って、単層ラチスシェルでは
交角2θをある程度以上(例えば3〜5°)確保する必
要がある。このことが、従来、単層ラチスシェルで自由
な曲面を構成する上で、設計上大きな障害となってい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ラチス部材としての軸
部材の交角をある程度以上に確保することは、ラチスグ
リッドの大きさに応じて曲面の曲率をある程度の大きさ
とする必要を生じ、本来自由であるべき単層シェルの形
状に制約を加えることになる。
【0007】偏平度の高いシェル、曲率が反転するシェ
ル等、軸部材の交角が確保できない曲面は単層ラチスシ
ェルでは不可能とされ、ある規模以下のラチスドーム等
が主な対象とされている。また、曲面の大きさに比し、
ラチスを構成するグリッドが小さくなっても部材交角は
小さくなる。従って、大型ラチスシェルは局所座屈上、
設計が困難となる。
【0008】このようなことから、構造物の規模が大き
くなると、立体トラス構造として設計せざるを得なくな
るのが実状であるが、立体トラス構造の場合、上下の弦
材に斜材等が加わり、部材数が非常に多くなる他、自重
も増加し、それに耐える構造としなければならない。
【0009】また、設計の問題よりむしろ施工の問題が
大きく、立体トラスの場合、1つの節点に多方向の軸部
材が集中するため、軸部材の寸法精度、施工精度につい
て高い精度が要求される反面、軸部材の移動が拘束され
るため節点における部材の接続が非常に困難となる。
【0010】さらに、節点部材自体、多方向の軸部材が
集中する位置では、軸部材の太さにより軸部材どうしが
干渉するため、従来の球継手では節点部材としての設計
が困難となる場合が多い。
【0011】本願発明は、上述のような課題の解決を図
ったものであり、単層ラチスシェルを基本とするラチス
シェル構造物について、複層節点部材を利用して部分的
または全体的に補強することで、ラチスシェルの設計に
おける自由度を増し、大型構造物への適用を可能とする
とともに、施工性を改善することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】本願の請求項1のラチス
シェル構造物は、所定の曲面に対応する網目状の骨組を
形成した単層ラチスシェルに対し、節点の一部または全
部について部材接続位置を上下に設けた複層節点部材
(以下、単に複層節点部材という)を配置し、複層節点
部材間の上段または下段をさらに軸部材で連結すること
で、近接させた複層のラチスシェル面を形成して補強し
たことを特徴とする。
【0013】各ラチスシェル面において複層節点部材の
上段または下段をつなぐ軸部材は、それぞれの層につい
て構造的に安定させることができ、1つの層を構成する
ラチスシェルが他の層のラチスシェルを補強する。
【0014】施工においては、例えば下層のラチスシェ
ルを先に組み立てた後、これを足場として上層のラチス
シェルを組むといったことが可能となり、また逆に上層
のラチスシェルを足場として下層のラチスシェルを組む
ことも可能である。
【0015】本願の請求項2のラチスシェル構造物は、
所定の曲面に対応する網目状の骨組を形成した単層ラチ
スシェルに対し、節点に複層節点部材を配置し、複層節
点部材間を上下並列に配置した軸部材で連結することで
骨組を部分的に複層として補強したことを特徴とする。
この場合も、複層にする節点は、全節点でも一部の節点
のみでもよい。また、節点における部材の接続位置は上
下2点にのみこだわるものではない。
【0016】上下並列に配置した軸部材による複層部分
を曲面全体にバランス良く配置することで、均一な補強
が可能となる。また、複層とならない部分について、軸
部材で隣り合う複層節点部材の上段と下段を連結するよ
うにすれば、軸部材どうしの交角が大きくなり、局所座
屈が生じ難い構造となる。
【0017】さらに、この場合、ラチスシェルの節点位
置において、複層節点部材を近接させて複数配置し、こ
れらを短尺の軸部材で連結することも考えられる。節点
位置を複層で止め付けることにより、軸部材どうしの交
角を確保しつつ、節点位置での変形を拘束することがで
き、安定した構造となる。
【0018】本願の請求項3のラチスシェル構造物は、
上記請求項2において、複層節点部材を平面的にみて多
角形の枠組を多数構成するように配置し、枠組状に補強
した骨組を形成したものである。この場合、枠として構
造的な安定性を与えることで、ラチスシェル全体として
安定した構造となる。
【0019】本願の請求項4のラチスシェル構造物は、
多数の軸部材と、複数の軸部材が集まる多数の節点と
で、所定の曲面に対応する網目状の骨組を形成した単層
ラチスシェルに対し、節点の一部または全部について複
層節点部材を配置し、その上下いずれか一方の部材接続
位置を利用して、シェル曲面の曲率中心側に隣接位置に
ない2つの節点間をつなぐ緊張材をほぼ均等に、かつ各
緊張材の止め付け位置を他の緊張材が跨ぐように配置し
たことを特徴とする。
【0020】この場合、緊張材を均一に配置すること
で、ラチスシェル面全体の面内応力をほぼ均等とするこ
とができ、非常に効率の良い補強となる。
【0021】本願の請求項5〜8の発明は、上記請求項
1〜4のラチスシェル構造物に適した節点部材に関する
ものである。
【0022】請求項5の複層節点部材は、複数方向に部
材接続部を形成した球継手を連結部材を介して上下方向
に近接させて複数個直列に接続してなることを特徴とす
る。上下の間隔は連結部材の長さによって調整すること
ができる。
【0023】請求項6の節点部材は、複数方向に部材接
続部を形成した偏平な回転体または多面体からなること
を特徴とする。偏平な回転体または多面体の場合、ラチ
ス材としての軸部材が多方向から集まる場合において、
軸部材どうしの干渉が少ないという利点がある。
【0024】この節点部材は、例えば請求項1〜4のラ
チスシェル構造物において複層節点部材を用いる節点以
外に用いたり、あるいは複層節点部材を構成する部材と
して用いることができる。
【0025】請求項7の複層節点部材は、同様の球継手
を上下方向に複数個直接接続し、一体化したものであ
り、複層部分の上下の間隔が狭い場合に用いる。
【0026】上述した請求項5、7における上下の球継
手としては、完全な球に近い形状のものの他、平面形状
が多角形となるものや、請求項6の節点部材のように偏
平な回転体または多面体の形状を有するものでもよい。
【0027】なお、軸部材の接続位置は上下2点にのみ
に限定する必要はない。
【0028】請求項8の複層節点部材は、上下方向に延
びる棒状体または管状体に部材接続位置を上下複数段に
形成し、それぞれの段について複数方向に部材接続部を
形成したものである。この場合、製作、取扱いにおいて
一体の金物として取り扱うことができ、量産化も可能で
ある。
【0029】なお、これらの節点部材は、本願発明とし
てのラチスシェル構造物に限らず、例えば本願発明者に
よる先願である特願平4−340001号の単層ラチス
シェルのようにラチスシェルにおける軸部材どうしの交
角を大きくするために用いる場合や、あるいは節点に集
まる軸部材が多くなる場合等において軸部材の接続位置
を上下に分けることで、軸部材の集中に対処する場合等
にも適している。
【0030】
【作用】本願のラチスシェル構造物の作用を2つのケー
スについて、計算例を基に説明する。
【0031】図17は単層ラチスドームの3方向の経に
ついて、軸部材を複層に配置して補強した場合の力学性
状を求めたものである。
【0032】ドームの基本形状は六角形平面の球形ドー
ムで、おおよその寸法は、スパンL=1200cm、部材
長l=200cm、ライズH=95cm、曲率半径R=19
500cm、半開角θ=18°である。
【0033】Aタイプは複層による補強がない従来型の
単層ラチスドームで、Bタイプが3方向の経について軸
部材を複層に配置して補強した場合である。なお、この
Bタイプは形状的には後述する図4の実施例において緯
方向の補強を除いた形に相当する。
【0034】また、複層節点部材の束、すなわち連結部
材の長さh=20cmで、複層部分における上下の軸部材
どうしは平行に配置している。
【0035】ラチス部材としての軸部材は、φ−8.9
1×0.28(断面積A=7.59cm2 、断面2次モー
メントI=70.8cm4 )、ヤング率E=2100t/
cm2、歪硬化勾配Est=21t/cm2 、降伏応力度σy
=2.4t/cm2 の鋼管とした。部材接合部は球継手に
よる剛接合とし、支持条件は周辺を固定支持としてお
り、荷重方式はドーム中央点における鉛直集中荷重であ
る。
【0036】グラフ縦軸は集中荷重P(ton)、横軸は中
央点の鉛直変位δ(cm)である。
【0037】Aタイプの耐力に比べ、軸部材を複層に設
けたBタイプの耐力は約2倍となっており、また弾性剛
性も高く、補強の効果は大きい。
【0038】図18は複層節点部材を配置し、六角平面
の単層ラチスの基本ユニット7個でラチスドームを構成
し、ユニットどうしを複層節点部材の上下2層で止め付
け、構造の安定化を図った場合の力学性状を求めたもの
である。
【0039】ドームの基本形状は、図17のケースと同
じであり、Aタイプは前例と同じ単層ラチスドームで、
部材形状、材料定数等も同様である。
【0040】Cタイプは後述する図3の実施例に相当す
るものであり、複層節点部材を節点位置において2個ず
つ近接させて配置し、その部分を上下2層で止め付けて
いる。上下の部材接合部間の距離(束の長さ)によって
C1(h=10cm)、C2(h=20cm)、C4(h=
40cm)の3ケースを示している。
【0041】部材接合部は剛接合で、周辺は固定支持と
し、ドーム中央点での鉛直集中荷重である。グラフ縦軸
は集中荷重P(ton)、横軸は鉛直変位δ(cm)である。
【0042】Aタイプに対し、Cタイプは力学的に安定
しており、部材接合部間の距離hが大きくなるにつれ、
最大荷重も大きくなり、その後の耐力劣化の割合も小さ
くなり、ついには単層ラチスシェル特有の局所座屈を引
き起こすスナップスルー挙動が消え、安定した力学性状
となる。ただし、節点での偏心距離が大きくなることか
ら初期剛性は低下して行く。
【0043】また、これは、ラチス材としての軸部材で
両端節点の上側と下側とを連結し、軸部材どうしの交角
を大きくした効果以上に、隣接した複層節点部材を上下
2層で止め付けた節点を曲面全体にバランス良く配した
効果が大きい。
【0044】
【実施例】次に、図示した実施例について説明する。
【0045】図1は本願の請求項1に対応するラチスシ
ェル構造物の一実施例において、ラチスシェルの骨組を
下方から見上げたものである。
【0046】本実施例では所定の曲面に対応する網目状
の骨組を形成した単層ラチスシェルに対し、節点の一部
について球継手3a,3bからなる部材接続部を上下2
段に設けた複層節点部材3を用い、通常の節点部材1と
複層節点部材3および上側の軸部材2aとで上側のシェ
ル曲面を形成し、これとほぼ平行に複層節点部材3の下
側の球継手3bどうしを軸部材2bで連結し、下側にも
シェル曲面を形成して補強したものである。
【0047】下側の軸部材2bは引張、圧縮の双方の軸
力に抵抗する部材の場合と、主として引張に抵抗する緊
張材の場合とがある。
【0048】図示した実施例では下層のラチスシェルの
軸部材2bが上層のラチスシェルの補強となっている
が、上下2層のラチスシェルはそれぞれ構造的に安定さ
せている。
【0049】施工方法としては、上層のラチスシェルを
組み立てた後、下層の軸部材2bを配してもよいし、下
層のラチスシェルを組み立てた後に、これを足場として
上層のラチスシェルを組んでもよい。
【0050】図2は本願の請求項2に対応するラチスシ
ェル構造物の一実施例において、ラチスシェルの骨組を
上から見たものである。
【0051】本実施例は、単層ラチスシェルの全節点に
球継手3a,3bからなる部材接続部を上下2段に設け
た複層節点部材3を置き、節点間の一部について軸部材
2a,2bを上下複層に配した場合である。軸部材2
a,2bを上下複層とする部分は、曲面全体にバランス
よく配することが望ましい。
【0052】他の部分については、軸部材2で隣り合う
複層節点部材3の上側の球継手3aと下側の球継手3b
を連結するようにして、軸部材2どうしの交角を大きく
とり、局所座屈が生じない構造としている。
【0053】図3は同じく本願の請求項2に対応するラ
チスシェル構造物の実施例を示したものであるが、複層
節点部材3を節点位置において2個ずつ近接させて配置
し、その部分を短尺の軸部材2a’,2b’で複層に止
め付け、節点位置を安定させることで、全体の安定を図
っている。
【0054】本実施例においても、他の部分について
は、軸部材2で隣り合う複層節点部材3の上側の球継手
3aと下側の球継手3bを連結するようにして、軸部材
2どうしの交角を大きくとり、局所座屈が生じない構造
としている。
【0055】複層に補強した節点部は、曲面全体にバラ
ンスよく配することで、単層ラチスシェルの強度、剛性
上、有効に機能する。
【0056】図4も同じく本願の請求項2に対応するラ
チスシェル構造物の実施例を示したもので、複層節点部
材3および補強ラチス部材としての下側の軸部材2bを
経および緯の方向に配した例である。
【0057】すなわち、経および緯の方向については、
複層節点部材3間に上下並列に軸部材2a,2bを配置
し、それ以外の部分については通常の節点部材1どうし
または通常の節点部材1と複層節点部材3の上側の球継
手3aを軸部材2で連結している。
【0058】図5は本願の請求項3に対応するラチスシ
ェル構造物の一実施例を示したもので、複層節点部材3
を平面的にみて多角形の枠組を形成するように配置し、
複層節点部材3どうしを上下の軸部材2a,2bで枠組
状に補強し、このような枠組状の補強を複数段積み上げ
た形としている。
【0059】枠組の形状は任意であるが、対称的でかつ
連続することが望ましい。
【0060】図6は本願の請求項4に対応するラチスシ
ェル構造物の一実施例において、ラチスシェルの骨組を
緊張材4で補強するときの効果的な配置を鉛直断面で示
したものである。
【0061】本実施例では節点部材1と軸部材2とで構
成される単層ラチスシェルに対し、節点部材1の一部ま
たは全部(本実施例では1つおき)を複層節点部材3に
置き換え、複層節点部材3の下側の部材接続部としての
球継手3bに鋼棒あるいはワイヤー等の緊張材4を止め
付けている。
【0062】この補強用の緊張材4をラチスシェル面の
経緯方向またはラチスシェル面全体にバランスよく配
し、また各緊張材4の止め付け部を他の緊張材4が挟み
込むようにする。
【0063】こうすることで、局所的不均等な外力に対
し、力を均質に流し、局部荷重に弱点を持つ単層ラチス
シェルを効果的に補強することができる。
【0064】また、緊張材4を連続的に配して初期張力
を与えれば、シェル全体の剛性を高めることができる。
【0065】図7〜図9は、複層節点部材3により複層
に配したラチス材としての軸部材2a,2bの関係を示
したもので、例えば図2、図4、図5の実施例等におい
て並列する2本の軸部材2a,2bはほぼ平行に配置し
ても(図7(a),(b) 参照)、傾斜して配置してトラス的
効果を期待してもよい(図8(a),(b) 参照)。
【0066】また、軸部材2a,2bどうしを部材間の
任意の箇所で連結プレート5やボルト6を用いて止め付
け、強度、剛性を確保することも有効である(図9(a),
(b)参照)。
【0067】図10は本願の請求項5に対応する複層節
点部材3の一実施例を示したもので、上下の球継手3
a,3bからなる部材接続部を連結部材3cでつないで
おり、上下層の位置関係は連結部材3cの長さで調整す
る。
【0068】本実施例の部材接続部は複数の接続孔7を
有する通常の球継手3a,3bであるが、本願における
複層節点部材3はこれに限定されるものではなく、球継
手3a,3b部分を後述する図11に示すような偏平な
回転体からなる球継手とすれば、ラチス材としての軸部
材が多方向から集まる場合において、軸部材どうしの干
渉が少ない。
【0069】また、軸部材が取り付く位置も必ずしも上
下2層に限定されず、3層以上とすることも可能であ
る。
【0070】図11は本願の請求項6に対応する節点部
材11の一実施例を示したもので、複数方向に接続孔7
を形成した偏平な回転体からなり、従来の球継手を上下
方向に潰したような形態を有する。回転体の代わりに偏
平な多面体でも良い。
【0071】図12は本願の請求項7に対応する複層節
点部材3’の一実施例を示したもので、図10の場合と
同様の球継手を上下方向に密着させてボルト8で一体化
したものであり、複層部分の上下の間隔が狭い場合等に
用いる。
【0072】図13は本願の請求項7に対応する複層節
点部材3’の他の実施例を示したものである。図12の
球継手3a,3bの代わりに偏平な回転体からなる球継
手3a’,3b’をボルト8で一体化したものに相当
し、平面的にも軸部材どうしの干渉が少ない。
【0073】図14〜図16はそれぞれ本願の請求項8
に対応する複層節点部材3”の実施例を示したものであ
る。
【0074】図14の複層節点部材3”は、球継手を縦
に接続した形状の一体型の管状体に複数の接続孔7を上
下2段に設けたものである。
【0075】図15の複層節点部材3”は、鉛直断面が
H形の管状体に複数の接続孔7を上下2段に設けたもの
である。
【0076】図16の複層節点部材3”は、上部が開口
した断面が楕円状の回転体に接続孔7を上下2段に設け
たものである。
【0077】これらは製作、取扱いにおいて一体の金物
として取り扱うことができ、量産化も可能である。
【0078】
【発明の効果】 本願のラチスシェル構造物は単層ラチスシェルの基
本構造に対し、軸部材を上下2層に配置して補強するこ
とで、立体トラスのように構造を複雑にすることなく補
強を行うことができ、部材数の増加も抑えられるので、
中規模以上のラチスシェル構造物において、経済的な設
計が可能である。
【0079】 立体トラスに比べ、多方向からの部材
集中が少ない上、複層節点部材との組み合わせで、節点
位置での部材の集中が緩和されることから、施工が容易
であり、また寸法精度、施工精度も、立体トラスほど高
い精度が要求されない。
【0080】 請求項1のラチスシェル構造物の場
合、施工において上下2層のラチスシェル面を形成する
一方のラチスシェルを先に組み立て、これを足場として
他方のラチスシェルを組むといったことが可能であり、
施工における仮設材等を減少させることができる。
【0081】 請求項2のラチスシェル構造物の場
合、上下並列に配置した軸部材による複層部分を曲面全
体にバランス良く配置することで、均一な補強が可能と
なり、また、複層とならない部分について、軸部材で隣
り合う複層節点部材の上段と下段を連結するようにすれ
ば、軸部材どうしの交角が大きくなり、局所座屈が生じ
難い構造となる。
【0082】さらに、節点位置を複層で止め付けた場合
も、軸部材どうしの交角を確保しつつ、節点位置での変
形を拘束することができ、安定した構造となる。
【0083】 請求項3のラチスシェル構造物の場
合、枠組状に補強し、枠として構造的な安定性を与える
ことで、ラチスシェル全体として安定した構造となる。
【0084】 請求項4のラチスシェル構造物の場
合、緊張材を均一に配置することで、ラチスシェル面全
体の面内応力をほぼ均等とすることができ、非常に効率
の良い補強となる。
【0085】 請求項5、7、8の複層節点部材は、
節点に集まる軸部材を上下層に分けて接続するため、接
続位置における軸部材の集中を緩和でき、節点における
剛節度の向上、施工性等の面で有利である。
【0086】 請求項6の節点部材は、球継手を偏平
な回転体または多面体で構成したものに相当し、ラチス
材としての軸部材が平面的に多方向から集まる場合にお
いて、軸部材どうしの干渉が少なく、節点に関する設
計、施工が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本願の請求項1に対応するラチスシェル構造
物の一実施例を下方から見上げた斜視図である。
【図2】 本願の請求項2に対応するラチスシェル構造
物の一実施例を示す斜視図である。
【図3】 本願の請求項2に対応するラチスシェル構造
物の他の実施例を示す斜視図である。
【図4】 本願の請求項2に対応するラチスシェル構造
物のさらに他の実施例を示す斜視図である。
【図5】 本願の請求項3に対応するラチスシェル構造
物の一実施例を示す斜視図である。
【図6】 本願の請求項4に対応するラチスシェル構造
物の一実施例を示す鉛直断面図である。
【図7】 本願発明における並列する軸部材(ラチス部
材)の位置関係の一例を示したもので、(a) は正面図、
(b) は側面図である。
【図8】 本願発明における並列する軸部材の位置関係
の他の例を示したもので、(a) は正面図、(b) は側面図
である。
【図9】 本願発明における並列する軸部材どうしの関
係のさらに他の例を示したもので、(a) は正面図、(b)
は断面図である。
【図10】 本願の請求項5に対応する複層節点部材の
一実施例を示したもので、(a) は正面図(上部のみ)、
(b) はそのA−A断面図、(c) は鉛直断面図である。
【図11】 本願の請求項6に対応する節点部材の一実
施例を示したもので、(a) は鉛直断面図、(b) は水平断
面図である。
【図12】 本願の請求項7に対応する複層節点部材の
一実施例を示す鉛直断面図である。
【図13】 本願の請求項7に対応する複層節点部材の
他の実施例を示したもので、(a) は鉛直断面図、(b) は
水平断面図である。
【図14】 本願の請求項8に対応する複層節点部材の
一実施例を示したもので、(a) は鉛直断面図、(b) は水
平断面図である。
【図15】 本願の請求項8に対応する複層節点部材の
他の実施例を示したもので、(a) は鉛直断面図、(b) は
水平断面図である。
【図16】 本願の請求項8に対応する複層節点部材の
さらに他の実施例を示したもので、(a) は鉛直断面図、
(b) は水平断面図である。
【図17】 単層ラチスドームの3方向の経について、
軸部材を複層に配置して補強した場合の力学性状を求め
たもので、(a) は計算モデルの概要図、(b)はドーム中
央点における鉛直集中荷重P(ton)と中央点の鉛直変位
δ(cm)の関係を示すグラフである。
【図18】 複層節点部材を節点位置において2個ずつ
近接させて配置し、上下2層で止め付けて補強した場合
の力学性状を求めたもので、(a) は計算モデルの概要
図、(b) はドーム中央点における鉛直集中荷重P(ton)
と中央点の鉛直変位δ(cm)の関係を示すグラフであ
る。
【図19】 従来の単層ラチスシェルの一例を示す斜視
図である。
【図20】 (a) 、(b) は単層ラチスシェルの局所座屈
の説明図である。
【符号の説明】
1…節点部材、 2…軸部材、2a,2a’…軸部材(上側)、2b、2
b’…軸部材(下側)、 3…複層節点部材、3a…上側の球継手(部材接続
部)、3b…下側の球継手(部材接続部)、3’…複層
節点部材、3”…複層節点部材、 4…緊張材、 5…連結プレート、6…ボルト、 7…接続孔、8…ボルト、 11…節点部材

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多数の軸部材と、複数の軸部材が集まる
    多数の節点とで、所定の曲面に対応する網目状の骨組を
    形成した単層ラチスシェルに対し、前記節点の一部また
    は全部について部材接続位置を上下に設けた複層節点部
    材を配置し、前記複層節点部材間の上段または下段をさ
    らに軸部材で連結することで、近接させた複層のラチス
    シェル面を形成して補強したことを特徴とするラチスシ
    ェル構造物。
  2. 【請求項2】 多数の軸部材と、複数の軸部材が集まる
    多数の節点とで、所定の曲面に対応する網目状の骨組を
    形成した単層ラチスシェルに対し、前記節点の一部また
    は全部について部材接続位置を上下に設けた複層節点部
    材を配置し、前記複層節点部材間を上下並列に配置した
    軸部材で連結することで前記骨組を部分的に複層として
    補強したことを特徴とするラチスシェル構造物。
  3. 【請求項3】 前記複層節点部材を平面的にみて多角形
    の枠組を多数構成するように配置し、枠組状に補強した
    骨組を形成した請求項2記載のラチスシェル構造物。
  4. 【請求項4】 多数の軸部材と、複数の軸部材が集まる
    多数の節点とで、所定の曲面に対応する網目状の骨組を
    形成した単層ラチスシェルに対し、前記節点の一部また
    は全部について部材接続位置を上下に設けた複層節点部
    材を配置し、前記複層節点部材の一方の部材接続位置を
    利用して、前記骨組によって形成されるシェル曲面の曲
    率中心側に隣接位置にない2つの節点間をつなぐ緊張材
    をほぼ均等に、かつ各緊張材の止め付け位置を他の緊張
    材が跨ぐように配置したことを特徴とするラチスシェル
    構造物。
  5. 【請求項5】 複数方向に部材接続部を形成した球継手
    を連結部材を介して上下方向に近接させて複数個直列に
    接続してなることを特徴とする複層節点部材。
  6. 【請求項6】 複数方向に部材接続部を形成した偏平な
    回転体または多面体からなることを特徴とする節点部
    材。
  7. 【請求項7】 複数方向に部材接続部を形成した球継手
    を上下方向に複数個直接接続し、一体化してなることを
    特徴とする複層節点部材。
  8. 【請求項8】 上下方向に延びる棒状体または管状体に
    部材接続位置を上下複数段に形成し、それぞれの段につ
    いて複数方向に部材接続部を形成してなることを特徴と
    する複層節点部材。
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