JP2551538B2 - メタロセン錯体およびラングミュア・ブロジェット膜 - Google Patents

メタロセン錯体およびラングミュア・ブロジェット膜

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Description

【発明の詳細な説明】 I 発明の背景 技術分野 本発明は新規な錯体およびそれを含むラングミュア・
ブロジェット膜に関する。
先行技術とその問題点 金属錯体は、エネルギー変換材料、電気化学的触媒等
の高機能材料として注目され盛んに研究されている[N,
Oyama,S.Yamaguchi,M.Kaneko,A.Yamada,J.Electroanal,
Chem.,139,215(1982),K.Itaya,N.Shoji,I.Uchida,J.A
m.Chem.Soc.,106,3423(1984)等]。
そして、これらを薄膜化し規則的な配向をもつ分子集
合体を形成することによって、さらに高度な機能の発現
が期待される。そのため、実際、薄膜形成の試みがなさ
れている。このような薄膜の製造方法には、真空蒸着、
懸濁吹き付け、ポリマー中への分散、機械的ラビングな
どがあるが、いずれも膜厚の均一性、微結晶分布の形態
の再現性に問題がある。
そこで、これらの問題を解消するものとして、電界効
果型トランジスター、表示素子、光変換素子、非線形光
学素子、二次元磁性体、生物物理化学などの分野におい
て、ラングミュア・プロジェット(LB)法による再現性
のある安定した分子配向性膜の形成が近年注目されてい
る[G.G.Roberts,Sensors and Actuators,4131(198
3);Contemp.Phys.,25,109,(1984);G.G.Roberts,et a
l.,I.E.E.Proc.,128,I,197(1981):H.Kuhn,et al,J.Ch
em.Phys.,61,5009(1974);ibid,68,3918(1978);F.Ka
jzar,et al,Opt.Commun.,45,133(1983);J.Phys.,44,C
−3,709(1983):M.Pomerantz,Solid State Commun.,3
9,707(1981);Surf.Sci.,142,556(1984)]。
LB法は、両親媒性(親水性と親油性)のバランスが適
度に保たれ物質を揮発性の溶媒に溶かして水面上に滴下
し、単分子膜を形成し、膜に表面圧を十分かけて固体状
態に保ちながら、水面を横切る方向に基板を上下するな
どして単分子膜を累積する方法である。
また、この他、水面と平行な方向に基板を配置して単
分子膜を形成する水平付着法も知られている。これらLB
法および水平付着法により形成された膜をラングミュア
・プロジェット(LB)膜という。
このようなことからLB膜の形成には、有機溶媒に対す
る溶解性が要求される。またLB膜は累積後の処理により
成膜分子の分子配向を変化させることなく重合させて重
合LB膜を形成すると、膜の機械的強度、堅牢性が向上
し、すぐれた機能性膜が実現する。従って、このような
点での処理性、機械的強度、耐熱性、耐食性等の特質も
必要である。
ところで、機能性錯体としてはフェロセン等のメタロ
セン錯体が知られている。このメタロセン錯体は、混合
原子価をもちうること、導電性をもつこと、磁性を発現
しうることなどの点で電極材料、導電性材料、センサ
ー、生理活性触媒等としての機能が期待されており、実
際LB膜化した旨も報告されている[Thin Solid Films.1
33,(1985)]。
従って、LB膜化が可能であって、しかもLB膜化後、分
子の配向を保持したまま重合、特に光重合可能なメタロ
セン錯体が実現すれば、すぐれた機能性膜が実現するこ
とになる。
II 発明の目的 本発明の目的は、高機能材料としての用途が期待さ
れ、ラングミュア・プロジェット膜の形成が可能で、成
膜後分子構造の変化なしに光重合可能な新規な化合物お
よびそれにより形成される高い耐久性を有するラングミ
ュア・ブロジェット膜を提供することにある。
III 発明の開示 このような目的は、下記の本発明によって達成され
る。
すなわち、第1の発明は、少なくとも一方のシクロペ
ンタジエニル環に、 (ただし、R1は炭素数1〜10のアルキレン基を、R2は炭
素数18以下のアルキル基を表わす。)で示される基を有
することを特徴とするメタロセン錯体。
また、第2の発明は、少なくとも一方のシクロペンタ
ジエニル環に、 (R1は炭素数1〜10のアルキレン基を、R2は炭素数18以
下のアルキル基を表わす。)で示される基を有するメタ
ロセン錯体を含むことを特徴とするラングミュア・ブロ
ジェット膜である。
IV 発明の具体的構成 以下、本発明の具体的構成について詳細に説明する。
本発明のメタロセン錯体は、 で示される基を、少なくとも一方のシクロペンタジエニ
ル環に有する。
ここに、R1は、置換もしくは非置換のアルキレン基を
表わすが、非置換のものが好ましい。
R1は炭素数1〜10であり、特に1〜5であることが好
ましく、直鎖でも分岐でもよい。
具体的には、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチ
レン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレ
ン、オクタメチレン等が挙げられ、これらのうち、特に
メチレンが好ましい。
また、R2は、置換もしくは非置換のアルキル基を表わ
すが、非置換のものが好ましい。
R2は、炭素数18以下、特に9〜18、さらには10〜16で
あることが好ましく、直鎖でも分岐でもよいが、直鎖の
ものが好ましい。
具体的には、n−ドデシル、n−トリデシル、n−ブ
タデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル等が挙
げられる。
このような上記式で示される基はメタロセン錯体を構
成するシクロペンタジエニル環に直接結合する。
本発明のメタロセン錯体は、中心金属原子を挾んで平
行に対向する1対のシクロペンタジエニル環のうちいず
れか一方が、上記式で示される基を少なくとも一つ有す
ればよい。
従って、上記式で示される基の置換数および置換位置
は種々のものが可能であるが、1つのシクロペンタジエ
ニル基はモノ置換であることが好ましく、1−または1,
1′−の置換位置であることが好ましい。
1−位置換のものは下記式〔I〕で示される。
上記式〔I〕においてMtは遷移金属、例えば、Co、N
i,Cu、Fe、Zn、Cr、Ru、Os等を表わす。
なお、上記したとおり、上記式〔I〕において下方に
位置するシクロペンタジエニル環には上記式で示される
基が結合してもよい。
また、上記において、シクロペンタジエニル環は、置
換体であってもよい。
置換基としては、Cl等のハロゲン、OCH3等のアルコキ
シ基、ニトロ基等が挙げられる。
次に、この錯体の合成法について説明する。
まず、合成法のスキームを模式的に示すと、以下のよ
うになる。
まず上記式で示される基に対応するアルコールを下記
のように合成する。
より具体的には、文献[W.Beckmann et al.,Synthesi
s 1975,423、T.H.Vaughm,J.Am.Chem.Soc.55,3456,(193
5)等]に従い合成した1−アルキル−2−ヨードアセ
チレンR2−C≡CI(例えば、1−ドデシル−2−ヨード
アセチレン等)を、あらかじめメタノールに溶解したア
セチレン誘導体CH≡C−R1−OH(例えば、プロパルギル
アルコール、3−ブチン−1−オール等)、塩化銅およ
びエチルアミンの混合溶液中に加え、撹拌する。溶液を
酸性にし、エーテルで抽出を行なった後、瀘過により不
純物を取り除き、溶媒をエバポレーションとし、目的と
する上記のアルコールを得る。
次のこのアルコールをメタロセンモノカルボン酸クロ
ライドと反応させる。
より具体的には上記アルコールとメタロセンモノカル
ボン酸クロライド(例えば、フェロセンモノカルボン酸
クロライド)を、有機溶媒(例えば、1,2−ジクロロエ
タン、酢酸エチル等)に溶解し、非酸化性雰囲気中(例
えばN2気流中等)にて、室温で2時間程度、その後、55
℃程度で16時間程度撹拌する。
このようにして得られた反応生成物を瀘別し、石油エ
ーテル、n−ヘキサン等により再結晶して目的とするメ
タロセン錯体を得る。
上記ではカルボン酸クロライドはメタロセンの1−位
に置換したものを用いるが、1,1′−位等に置換したも
のを用いれば、同様に対応したメタロセン錯体を得るこ
とができる。
このようにして得られるメタロセン錯体は、IRスペク
トル、電子スペクトル、H−NMR、マススペクトル、元
素分析等により容易に同定することができる。
なお、IRスペクトルはKBr錠剤法を用い、電子スペク
トルは、クロロホルム、ベンゼン等の溶媒中で測定す
る。
IRスペクトルには、1700〜1720cm-1のνc=0、2850
〜2920cm-1のν-CH2-を有する。
電子スペクトルには、いずれの溶媒においても300〜3
20nm、420〜460nmに吸収極大を有する。
本発明の錯体は、それ自身エネルギー変換材料、電気
化学的触媒などの高機能材料としての用途が期待される
ばかりでなく、次に述べるラングミュア・ブロジェット
膜を形成させる際の材料とすることもできる。
本発明の錯体は、ラングミュア・ブロジェット膜を形
成する際要求される有機溶媒(クロロホルム、ベンゼン
等)に対する溶解性も十分である(10-3M以上溶解可
能)。
上述の式(I)で示される錯体を用いたラングミュア
・ブロジェット(LB)膜の形成法について述べる。
本発明の錯体を用いてLB膜を作製するためには、通
常、水平付着法を用いる。この場合には、まず錯体を展
開溶媒(クロロホルム、ベンゼン、ピリジン−クロロホ
ルム混合溶媒等)に溶解し、水相に蒸留水を用い気液界
面に単分子膜を展開する。水相の温度は5〜20℃程度と
し、単分子膜が均一になるまで放置する。
その時間は、通常10分程度である。そして表面圧が、
例えば10〜30mN/mとなるように圧縮する。
その後基板(例えばジクロロジフェニルシランで疎水
処理をしたガラス、石英、アルミナ、シリコン等)を水
平に支え、膜を展開させた水面にできるだけ接近させ、
その一端から静かに単分子膜面に触れることにより単分
子膜を基板に付着させる。基板上に移し取った後、付着
した水が乾燥するまで放置し、同じ操作を繰り返して累
積膜を得る。
累積した層数と吸光度との間には直線関係が成立し、
このことから再現性のある安定した単分子膜が一回毎の
累積操作で基板上に移し取られていると考えられる。
また、電子スペクトルより、本発明のLB膜はモノメリ
ックな分子の比率が高く、均一なものであると考えられ
る。
なお、本発明のLB膜は上記式(I)で示されるメタロ
セン錯体のみから形成されるに限らず、上記式(I)で
示されるメタロセン錯体と、いわゆるマトリックスとか
ら形成されてもよい。
この場合、上記錯体:マトリックスの量比は、モル比
で1:1〜1:15程度である。
また、用いるマトリックスとしては、 R2−C≡C−C≡C−R1−OH(R1およびR2は上記に同
義)、 ステアリン酸等の脂肪酸、 ステアリン酸メチル等の脂肪酸エステル、 オクタデカン等のアルカン、 等が挙げられ、これらのうち、特にR2−C≡C−C≡C
−R1−OHが好ましい。
上記錯体とマトリックスとから形成されるこのような
LB膜は、凝集力が強まり、極限面積の小さい高い圧力ま
で安定な膜となり、さらには配向性が向上し、光重合性
が良好となるからであり、しかも上記錯体のみで形成さ
れたLB膜と同様な機能性を有するものである。
このような本発明のLB膜は、本発明のメタロセン錯体
がLB膜を形成する際に規則的に配向するため、光学的に
異方性を示す。
具体的には、シクロペンタジエニル環が膜面にほぼ垂
直に配向し、各分子のシクロペンタジエニル環が、各々
ほぼ平行に規則的に配向するものである。
本発明のLB膜がこのような構造をとることは、極限分
子占有面積測定、偏光、FTIR、UV等により推定できる。
また、後述する光重合に際し、このような規則的な配
向は保持されるので、重合膜中で規則的配向を強固に保
持することが可能となる。
また、メタロセン錯体はより密に充填されることにな
る。
また、本発明のLB膜は、いわゆるエレクトロクロミズ
ム(EC)機能等を有し、機能性材料として使用可能であ
る。
しかし、累積しただけの膜では堅牢性が不十分である
ため、光重合を行なうことが好ましい。
光重合には紫外線を用いることが好ましく、光源とし
ては水銀ランプ、Xeランプ、紫外線ランプ等を用いれば
よい。
このような光重合は、450〜650nmにおける吸収帯の出
現により確認することができる。
本発明のLB膜は、このような光重合を行なうことによ
り堅牢性が高いものとなり、上記のEC機能を利用したエ
レクトロクロミックディスプレイデバイス等において、
耐久性の高い機能性材料として用いることができる。
また、本発明のLB膜は、磁気デバイス、電子デバイ
ス、修飾電極、光伝導材料などの各種高機能材料として
の用途が期待される。
V 発明の具体的作用効果 本発明のメタロセン錯体は、新規な化合物であり、エ
レクトロクロミズム機能等を有するため、エレクトロク
ロミックディスプレイデバイス、磁気メモリー素子等の
機能性材料とすることができる。また、エネルギー変換
材料、電気化学的触媒等の高機能材料、あるいは酸化還
元を利用した機能材料とすることができる。
そして、これらの錯体はラングミュア・ブロジェット
膜の形成が可能である。
また、これらの錯体により形成されるラングミュア・
ブロジェット膜は、さらに高度の機能の発現が可能とな
り、EC機能を利用したメモリー素子、スイッチ素子、情
報変換素子等に使用でき、さらに、磁気デバイス、電子
デバイス、修飾電極、光伝導材料等の高機能材料となり
うる。
さらに、本発明のLB膜中では、本発明のメタロセン錯
体が規則的に配向しているため光学的に異方性を有し、
磁気デバイス、エレクトロクロミック材料等として利用
でき、その他、電気化学材料等としての利用の可能性を
有する。
また、本発明のLB膜は光重合により堅牢性を高めるこ
とができ、また、その際に分子の規則的な配向が保持さ
れるので耐久性の高い高機能材料とすることができるも
のである。
VI 発明の具体的実施例 以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明をさらに
詳細に説明する。
[実施例1] C12H25C≡C−C≡C−CH2−OH(ヘプタデカ−2,4−ジ
イン−1−オール)の合成 文献[W.Beckmann et al.,Synthesis1975,423、T.H.V
aughm,J.Am.Chem.Soc.55,3456,(1935)等]に従い合成
した1−ドデシル−2−ヨードアセチレン(1×10-1mo
l、5.61g)を、あらかじめメタノール(50ml)に溶解し
た等モルのプロパルギルアルコールならびに、塩酸ヒド
ロキシアミン(6.55×10-3mol、0.46g)塩化銅(2.27×
10-2mol、2.25g)およびエチルアミン(2.82×10-1mo
l、12.72g)の混合溶液中に加え撹拌した。
次に、この溶液に塩酸(20ml)を加えて酸性にし、エ
ーテルで抽出を行なった後、瀘過により不純物を取り除
き、溶媒をエバポレーションして、目的とするヘプタデ
カ−2,4−ジイン−1−オール(8.99g、3×10-2mol)
を得た。収率は31%であった。
の合成 フェロセンモノカルボン酸クロライド4.79g(2×10
-2mol)と、上記のように合成したジアセチレン誘導体
(ヘプタデカー2,4−ジイン−1−オール)4.97g(2×
10-2mol)とを、1,2−ジクロロエタン(20ml)に溶解さ
せ、窒素気流中にて室温で2時間、その後55℃にて16時
間撹拌した。
得られた粗生成物を、ベンゼン:アセトン=3:1の混
合溶媒を展開溶媒としてカラムクロマトグラフにより精
製し、n−ヘキサンにより再結晶して目的とする下記式
(II)で示されるメタロセン錯体(4.59g、1×10-3mo
l)を得た。収率は、96%であった。
この錯体について、C、Hに関する元素分析を行なっ
たところ、下記のとおりいずれも計算値と実験値との間
に約0.30%の差しかみられず、理論値とよく一致した。
また、KBr錠剤法によりIRスペクトル、アセトニトリ
ルを溶媒に用いて1×10-3Mの濃度で電子スペクトルを
それぞれ測定した。元素分析、IRスペクトルおよび電子
スペクトルの結果を、それぞれ下記に示す。
元素分析 (実験値/計算値) 73.18/72.88 7.90/8.08 IRスペクトル(cm-1) 1710(νc=c) 1105(νc-c) 電子スペクトル 吸収極大/nm 215、242、255、308、342、430 上記に示される結果より、上記式(II)で示される錯
体が得られたことが確認された。
また、上記の本発明の錯体は、エレクトロクロミズム
効果を有していたので、電極材料、エレクトロクロミッ
クディスプレイデバイス等として利用でき、また、磁気
メモリー素子等としての利用も可能であった。
[実施例2] LB膜の形成 上記式(II)で示される錯体をベンゼンに溶解し(濃
度3×10-3M)、これを蒸留水上に均一に落とし、単分
子膜を展開した。水相の温度を10℃とし、単分子膜が均
一になるまで10分間放置した。
この単分子膜で、協和界面化学(株)製表面膜圧力計
により表面圧−面積(π−A)曲線を測定した。水相の
温度を5℃、10℃、20℃とし、圧縮速度を20mm/minとし
たときの表面圧−面積曲線を第1図に示す。
表面圧−面積曲線の表面圧0の点への外挿によって求
めた1分子が界面で占有する面積である極限分子占有面
積は、水相の温度に関係なく約45Å2/moleculeとなり、
これにより、シクロペンタジエニル環が膜面に対して垂
直に近く配向している構造であることがわかった。
また、偏光分析等を行なった結果、各分子のシクロペ
ンタジエニル環がお互いに平行に規則的な配向をしてい
ることが確認された。
水相の温度が10℃および20℃のときは崩壊圧が14mN/m
であるのに対し、5℃では23mN/mと増大し、膜の崩壊圧
に温度依存性がみられた。
[実施例3] 上記錯体を用いて累積膜を形成した。
ガラス基板を水平に支え、その一端から静かに単分子
膜面に触れることにより単分子膜をガラス基板に吸着さ
せ、続けて上昇させて基板上に単分子膜を移し取った。
基板上に膜を移し取った後、付着した水が乾燥するま
で放置し、同じ操作を繰り返すことにより累積膜を得
た。
累積層数と吸光度の間に直線関係が成り立つことによ
り再現性のある累積膜形成が行われていると考えられ
る。
[実施例4] 実施例1で得られた錯体と、マトリックスとしてペン
タデカー2,4−ジイン−1−オールを用い、実施例2に
準じてLB膜を作製した。
量比は、錯体:マトリックス=1:5とした。
得られたLB膜は、凝集力が強くなり、極限面積が小さ
くなり、高圧まで安定であった。この場合も、フェロセ
ン錯体が規則的な配向をしていることが偏光分析により
確認された。
上記の実施例で得られたLB膜および累積膜に紫外線を
照射し、光重合を行なった。光源はXeランプを用い、こ
れを10分間照射した。
紫外線照射後、LB膜および累積膜には電子スペクトル
により540nmに吸収帯が認められ、またIRスペクトルの1
700cm-1付近にν(c=c)の吸収が認められた。
これらのことから、上記式(II)で示されるフェロセ
ン錯体は、下記のように光重合していると考えられた。
また、偏光等による分析の結果、光重合によっても分
子の配向は保持されており、機能的な光重合LB膜が実現
した。
なお、上記各実施例のLB膜の分子配向の確認には、π
−A曲線からの極限面積、IRスペクトルの吸収強度差か
らのアルキル鎖や官能基の膜面に対する配向度の推定、
偏光IRスペクトルによる配向度の推定、UVスペクトルの
二色性や偏光UVスペクトルの二色性による配向度の推
定、さらにはエリプソメトリーやX線回折による膜厚測
定、あるいは導電率測定による面内異方性の確認などに
よって行なうことができる。
上記の各実施例に準じネサ基板上に累積膜を形成し、
塩化テトラエチルアンモニウムを電解質とした溶液中で
ネサ電極を対向電極としてサイクリックボルタンメトリ
ーを行なったところ、負側で青色、正側で黄赤色を示
し、エレクトロクロミズム機能を有していることが確認
された。
また、混合原子価状態による磁気デバイス、電気化学
的触媒等としての電子デバイス、オプトエレクトロニク
ス材料等に使えることが判明した。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の錯体から形成された単分子膜につい
ての表面圧と面積との関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中原 弘雄 浦和市在家104 (72)発明者 福田 清成 東京都練馬区大泉町1−18−8 (72)発明者 白井 汪芳 長野県小県郡丸子町長瀬2496

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも一方のシクロペンタジエニル環
    に、 (ただし、R1は炭素数1〜10のアルキレン基を、R2は炭
    素数18以下のアルキル基を表わす。)で示される基を有
    することを特徴とするメタロセン錯体。
  2. 【請求項2】少なくとも一方のシクロペンタジエニル環
    に、 (R1は炭素数1〜10のアルキレン基を、R2は炭素数18以
    下のアルキル基を表わす。)で示される基を有するメタ
    ロセン錯体を含むことを特徴とするラングミュア・ブロ
    ジェット膜。
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