JP2551432B2 - 食品の加熱加工方法及び装置 - Google Patents

食品の加熱加工方法及び装置

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JP2551432B2 JP62161105A JP16110587A JP2551432B2 JP 2551432 B2 JP2551432 B2 JP 2551432B2 JP 62161105 A JP62161105 A JP 62161105A JP 16110587 A JP16110587 A JP 16110587A JP 2551432 B2 JP2551432 B2 JP 2551432B2
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伸氏 坂本
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は食品の加熱加工方法及び装置、特に加熱加工
中における湿度コントロールを可能にした良品の加熱加
工方法及び装置に関するものである。
<従来の技術> 近年、加工済の食品や半加工済の食品が店頭に並べら
れ、消費者の料理の手間を省くことが出来るようなシス
テムが確立されているが、このような加工食品は時間の
経過と共に変質するのが一般的である。
この加熱による食品の変質の程度はクッキングバリュ
ーと呼ばれており、次の式で表わされる。
ここで Cv:クッキングバリュー t:食品の温度 θ:時間 Zc:品質の変質率の10倍の変化に対応する加熱温度の変
化量(℃) である。
<発明が解決しようとする問題点> 例えば、焼魚の骨を加熱すると軟化して来るが、この
加熱を行なおうとすると一般的に100前後のCv値が必要
であるのに対し、常圧での加熱では沸点が100℃に制限
されるのでCv値を100前後にするには長時間にわたる加
熱を要し、事実上不可能である。
他方、前記焼魚を加熱するのにレトルト加熱機を用い
ると、加圧することによって100℃以上に昇温すること
が出来るので短時間で加熱処理できるが、レトルト加熱
機は熱源として蒸気を用いるので、雰囲気の相対湿度が
100%に近く、処理中に焼魚が吸湿して劣化してしま
う。この吸湿による劣化を防止するために、焼魚をフィ
ルムで包装する方法もあるが、この方法だと雰囲気中の
湿度の影響は防止できるが、加熱中の食品内部からの水
分の移行により品質が劣化してしまう。
本発明はこのような従来の問題点に着目してなされた
もので、第1の発明の目的は、食品を加熱加工するに際
して、この食品を劣化させる諸要件をコントロールする
加熱加工方法を提供することである。
また本願第2の発明は、前記加熱加工方法を実施する
ための加熱装置を提供することを目的とする。
<問題点を解決するための手段> 本願第1の発明は前記目的を達成するため、加熱気体
の雰囲気中で食品を加熱加工するに際して、前記雰囲気
の温度、圧力及び湿度をコントロールするようにしたこ
とを要旨とする。また本願第2の発明は雰囲気の温度、
圧力、湿度のそれぞれを検出する手段と、食品の温度を
検出する手段と、これらの検出手段からの検出結果に基
づいて所定の設定値を算出する、演算制御手段とを有す
る食品の加熱加工装置を要旨とする。
<作用> 加圧下で食品を加熱するにはレトルト加熱機を用い
る。このレトルト加熱機による加熱中に前記検出手段に
よる検出結果に基づいて演算制御手段により制御を行
う。即ち、検出手段によっては雰囲気の温度、湿度、圧
力を計測し、設定温度になるように熱源をオン、オフし
制御する。また設定湿度になる様、加水源をオン、オフ
し制御する。また設定圧力になる様圧力源をオン、オフ
し制御する。
<実施例> 第1図は本発明の食品の加熱加工方法を実施するため
の加熱装置の概略構造を示す図である。この図におい
て、1は容器構造を有し装置本体としての機能を有する
レトルト、2はレトルト1内で加熱加工される食品、3
は熱水や加熱蒸気などの加熱媒体の温度を検出する手段
である第1の温度センサ、4はレトルト1内における湿
度を検出する湿度センサ、5はレトルト内の圧力を検出
する圧力センサ、6は加熱加工される食品2の温度を検
出する手段である第2の温度センサである。7はレトル
ト1内に加熱蒸気や加熱空気用の加熱媒体を供給制御す
る第1のバルブ、8はレトルト1内に湿り蒸気を供給制
御する第2のバルブ、9はレトルト1内に加圧空気を供
給制御する第3のバルブである。第1〜第3のバルブに
は電気的な制御可能な電磁バルブが使われる。温度セン
サ3,6、湿度センサ4、圧力センサ5の各検出手段と、
第1,第2,第3のバルブ7,8,9との間にはコントローラ10
が配設されている。このコントローラ10は、各検出手段
3,4,5,6から出力されたアナログ検出信号をデジタル信
号に変換するA/D変換器11と、食品2の加熱加工に必要
なデータ等が格納される記憶装置12と、検出信号と、記
憶装置12からのデータに基づいて制御信号を作成出力す
る演算制御装置13と、この演算制御装置13から出力され
た制御信号に基づいて第1,第2,第3の各バルブ7,8,9を
開閉制御するバルブ駆動装置14とから成る。
加熱媒体は密閉したレトルト1内に供給され、その供
給量を制御することで、レトルト1内の温度をコントロ
ールすると共に、このレトルト7内に収容された食品2
の加熱を行う。湿り蒸気は前記レトルト1内に供給さ
れ、その供給量を制御することでレトルト1内の湿度を
コントロールし、レトルト1内の食品2の品質劣化を防
止する。また加圧空気はレトルト1内に供給され、その
供給量を制御することでレトルト1内の圧力をコントロ
ールする。また食品2を収容したレトルト1内は、その
中心部付近が最も温度上昇が遅れる部位であるので、こ
の部位にある食品2の中心部の温度を第2の温度センサ
6によって検出する一方、この部位の加熱媒体の温度を
第1のセンサ3により検出することが食品の加熱を確実
に実施する上で望ましい。
かかる構成を有する食品加熱加工装置についてその動
作を説明する。
まずレトルト1内に食品2を収容し、レトルト1内に
第1の温度センサ3、湿度センサ4及び圧力センサ5を
配置し、食品2の中心部に第2の温度センサ6をセット
する。次いで第1のバルブ7を通じてレトルト1内に加
熱媒体を導入する。このときの加熱媒体の温度は、例え
ば第2図に示すように130℃付近であり、このとき充填
直後の食品2の中心部の温度が40℃であるとする。かか
る二つの温度データは、コントローラ10に取込まれ、そ
の内部のA/D変換器11によってアナログ・デジタル変換
されて演算制御装置13に送られ、ここで演算操作を受け
る。演算制御装置13はデジタル変換された前記二つの温
度データにもとづき、上記二つの温度の差を演算し、こ
の差が食品2の加熱加工にとって最適となるように、予
め設定した制御プログラムに従って、前記加熱媒体の中
心品温に応じた温度を逐次演算し、この演算結果に応じ
て第1のバルブ7に対するバルブ制御信号を出力する。
ここで予め設定した制御プログラムには、温度差の条件
によって食品2を昇温するに好適な昇温パターンが何種
類か記憶装置12内に格納されており、その時の温度によ
って最適な昇温パターンが得られる様制御プログラムが
選択される。
また、温度センサ4によって得られた湿度データは、
コントローラ10に取込まれ、その内部のA/D変換器11に
よってアナログ・デジタル変換された演算制御装置13に
送られ、ここで演算操作を受ける。演算制御装置13は、
デジタル変換された湿度データに基づき、又その時々の
温度データをも考慮しながら加熱される食品2の品質を
劣化させないようにするのに最適となる様に、予め設定
した制御プログラムに従って雰囲気温度に応じた湿度を
逐次演算し、この演算結果に応じて第2のバルブ8に対
応するバルブ制御信号を出力する。
更にまた、圧力センサ5によって得られた圧力データ
は、コントローラ10に取込まれ、その内部のA/D変換器1
1によってアナログ・デジタル変換されて演算制御装置1
3に送られ、ここで演算操作を受ける。演算制御装置13
は、デジタル変換された圧力データと記憶装置12から読
出された設定圧力データとを比較演算し、レトルト1内
が予め決められた圧力に維持される様逐次演算し、この
演算結果に応じて第3のバルブ9に対するバルブ制御信
号を出力する。
こうしてレトルト1内の温度、湿度、圧力をコントロ
ールしながら食品の加熱加工が実施される。
以下にいくつかの食品について加熱加工を行なった実
験例を挙げ、それぞれについて説明する。
実験例1 定法で焙焼した焼魚(アジ100g)を骨をやわらかくす
るために通常のレトルト加熱機で、 Cv=85 になるまで加熱した。
雰囲気圧力を0.7kg/cm2Gに設定して加熱蒸気で加熱し
た。蒸気には湿り蒸気を使用したところ相対湿度は98〜
100%となった。
加熱加工処理後焼魚を取出して見たところ骨はやわら
かくなっていたが表面が吸水して煮魚のような品質にな
っていた。
実験例2 前記実施例1と同じ条件の下で、焼魚をフィルムで包
装して加熱したが、品質は実験例1におけると同様煮魚
のような食感であった。外部からの吸水はフィルムによ
って防止できたが魚肉内部からの水分の移行が起ったた
めと考えられる。
実験例3 定法で焙焼した焼魚(アジ100g)を骨を軟らかくする
ために本発明の加熱加工装置で加熱した。Cv値は Cv=85 となるように加熱した。
また雰囲気圧力は0.7kg/cm2G、雰囲気温度は130℃、
雰囲気相対湿度は60%に設定して加熱を行なった。
加熱後、焼魚の骨は軟らかくなり、品質は焼魚表面が
やや吸湿していたが実験例1,2におけるような煮魚のよ
うにはならなかった。
実験例4 実験例3と同じ条件の下で焼魚表面の吸湿を防止する
ために相対湿度をさらに低下させ、雰囲気相対湿度30%
で加熱した。
加熱後、骨は軟らかくなり、表面の吸湿も少なくなっ
たが、焼魚内部の肉質が硬くしまっていた。雰囲気相対
湿度が低いため表面の吸湿による劣化は防止することが
出来たが、魚肉内部からの乾燥がおこり、品質が劣化し
たものと考えられる。
実験例5 実験例3において、加熱中は雰囲気相対湿度を60%に
設定し、加熱終了後冷却時の雰囲気相対湿度を10%以下
になるように冷却中に湿度を低下させるように制御した
(第2図中、範囲A)。
この処理後の焼魚は骨が軟らかく吸湿して煮魚のよう
になることもなく、しかも乾燥による魚肉の硬化も起ら
なかった。そして、所望の骨の軟らかい焼魚が得られ
た。
実験例6 ジャガイモをCv=40以上になるように常圧下で蒸気で
加熱した。雰囲気相対湿度は98〜100%であり、55分間
加熱した。
加熱後の品質は水分が多く軟弱な食感であった。
実験例7 実験例6に対して、レトルト加熱機で、加圧下でCv=
40以上になるように加熱した。雰囲気相対湿度は98〜10
0%であり、所要時間は30分であった。
加熱後の品質は実験例6におけると同様水分が多く軟
弱な食感であり、加熱後乾燥工程が必要であった。
実験例8 実験例7に対して、本発明の装置を用いてCvが40以上
になるように加熱した。雰囲気圧力を0.7kg/cm2G、雰囲
気相対湿度を40%、雰囲気温度を130℃として30分間加
熱した。
加熱後の品質は乾燥が適度にあり、加熱後さらに乾燥
させる必要はなかった。
<発明の効果> 以上説明したように、本発明によれば食品を加熱加工
するに際してレトルト内の湿度を制御するようにしたた
め、加熱後の食品に程よい湿度を保有させることがで
き、高品質の加工食品を製造することが出来る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明による食品加熱加工方法を実施するため
の加熱装置の一実施例を示すブロック図、第2図は前記
加熱装置によって食品の加熱を行った場合の処理動作例
を示すグラフ図である。 1……レトルト、2……食品、3……第1の温度セン
サ、4……湿度センサ、5……圧力センサ、6……第2
の温度センサ、7……第1のバルブ、8……第2のバル
ブ、9……第3のバルブ、10……コントローラ、11……
A/D変換器、12……記憶装置、13……演算制御装置、14
……バルブ駆動装置。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】加熱媒体雰囲気の中で、当該加熱媒体の温
    度と、雰囲気中の湿度と、圧力とを所定の制御プログラ
    ムに従って制御しながら食品を加熱し、食品を加熱加工
    する食品の加熱加工方法。
  2. 【請求項2】雰囲気圧力は常圧以上に設定されることを
    特徴とする特許請求の範囲第1項記載の食品の加熱加工
    方法。
  3. 【請求項3】雰囲気の圧力、温度、湿度を制御するため
    の複数のパターンが制御プログラムに納められ、前記圧
    力、温度、湿度の検出結果に応じて最適な制御パターン
    が選択されることを特徴とする特許請求の範囲第1項記
    載の食品の加熱加工方法。
  4. 【請求項4】雰囲気の温度を検出する手段と、 雰囲気の湿度を検出する手段と、 雰囲気の圧力を検出する手段と、 雰囲気内に配置された食品の温度を検出する手段と、 雰囲気制御を行うための制御データが格納される記憶手
    段と、 前記各検出手段によって検出された計測値に基づいて、
    前記記憶手段から制御データを読出し、演算処理する演
    算制御手段と、 を備えた食品の加熱加工装置。
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