JP2550392B2 - 自動変速機の油圧制御装置 - Google Patents

自動変速機の油圧制御装置

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JP2550392B2
JP2550392B2 JP63171396A JP17139688A JP2550392B2 JP 2550392 B2 JP2550392 B2 JP 2550392B2 JP 63171396 A JP63171396 A JP 63171396A JP 17139688 A JP17139688 A JP 17139688A JP 2550392 B2 JP2550392 B2 JP 2550392B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は自動変速機の油圧制御装置、特に前進3速以
上の変速段を有する自動変速機の油圧制御装置に関する
ものである。
〔従来技術とその問題点〕
従来、前進3速以上の変速段を有する自動変速機の場
合、1速状態においてワンウエイクラッチを介して動力
伝達され、かつ低スロットル開度域における3速からの
ダウンシフトが2速を経由をせずに1速へ変速されるよ
うに設定されたものが一般的である。このように1速状
態においてはワンウエイクラッチを介して動力伝達して
いるので、エンジンブレーキが効かず、3速から1速へ
直接ダウンシフトしてもエンブレショックを解消でき
る。
ところで、この種の自動変速機の問題は、32変速
時の高速点と23変速時の変速点との車速差、即ち2
−3速間のヒステリシスが大きく取れないことである。
即ち、上記のように3速1速へ直接ダウンシフトさせ
るために、低スロットル開度域の32変速時の変速点
を低車速側へ移行させる必要があるが、このため23
変速時の変速点も低車速側へ移行し、2−3速間のヒス
テリシスが大きく取れず、走行が不安定となるおそれが
ある。この原因は、2−3速間の切換を行う2−3シフ
トバルブに対してガバナ圧とスロットル圧とが対向方向
に作用しているに過ぎないため、低スロットル開度(低
スロットル圧)時にはアップシフトに必要なガバナ圧
(車速)も低くなり、大きなヒステリシスが得にくいか
らである。
〔発明の目的〕
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、その目
的は、低スロットル開度域におけるヒステリシスを大き
くとることができ、走行安定性を向上させることができ
る自動変速機の油圧制御装置を提供することにある。
〔発明の構成〕
上記目的を達成するため、本発明は、車速に応じて上
昇するガバナ圧を出力するガバナバルブと、スロットル
開度に応じて上昇するスロットル圧を出力するスロット
ルバルブと、スロットル開度が一定値までは一定圧で、
スロットル開度が一定値を越えるとスロットル開度に応
じて上昇するスロットルモジュレータ圧を出力するスロ
ットルモジュレータバルブと、摩擦要素に油圧を供給ま
たは排出し、2速以上の変速段を切り換えるシフトバル
ブとを備え、上記シフトバルブに対して、ダウンシフト
状態ではガバナ圧と対向する方向にスロットル圧とスロ
ットルモジュレータ圧とが導かれ、アップシフト状態で
はガバナ圧と対向する方向にスロットル圧のみが導かれ
ていることを特徴とするものである。
〔作用〕
即ち、シフトバルブに対して、ダウンシフト状態では
ガバナ圧と対向する方向にスロットル圧とスロットルモ
ジュレータ圧とが導かれるため、低スロットル開度にお
いても、ガバナ圧とスロットルモジュレータ圧とが対向
し、低スロットル開度域におけるアップシフト時の変速
点を高車速側へ移行させることができる。したがって、
アップシフトとダウンシフトとのヒステリシスが大きく
取れ、走行安定性が向上する。
〔実施例〕
第1図は本発明の一例である前進4速の変速段を有す
る自動変速機の油圧回路を示す。
この自動変速機の動力伝達機構は、エンジンによりト
ルクコンバータ1を介して駆動される入力軸2と、第1
〜第3のクラッチC1,C2,C3と、第1と第2のブレーキ
b1,B2と、第1ブレーキb1を締結,解放するサーボピス
トン3と、ラビニヨウ型遊星歯車機構4と、ワンウェイ
クラッチOWCと、出力軸5とで構成されている。
遊星歯車機構4の第1サンギヤ4aは入力軸2と第1ク
ラッチC1を介して連結されており、第2サンギヤ4bは入
力軸2と第2クラッチC2を介して連結され、キャリヤ4c
は第3クラッチC3を介して入力軸2と連結されている。
キャリヤ4cは第2ブレーキB2およびワンウェイクラッチ
OWCを介してケーシング等の固定部材に連結されてお
り、ワンウェイクラッチOWCはキャリヤ4cの正転(エン
ジン回転方向)のみを許容している。上記キャリヤ4cは
2種類のプラネタリギヤ4d,4eを支持しており、第1サ
ンギヤ4aは軸方向に長い第1プラネタリギヤ4dと噛み合
い、第2サンギヤ4bは第2プラネタリギヤ4eを介して第
1プラネタリギヤ4dと噛み合っている。第1プラネタリ
ギヤ4dのみと噛み合うリングギヤ4fは上記出力軸5に結
合されている。
上記動力伝達機構は、クラッチC1,C2,C3、ブレーキ
b1,B2およびワンウェイクラッチOWCの作動によって次表
のように前進4段、後退1段の変速段を実現している。
次表において、○は作動状態を示している。なお、B1
サーボピストン3の作動側油室、B1′はサーボピストン
3の解放側油室を示しており、双方の油室B1,B1′に油
圧が導かれた場合(3速時)には、解放側油室B1′の受
圧面積が大きくしかもスプリングが配置されているた
め、第1ブレーキb1は必ず解放される。
上記クラッチC1,C2,C3、およびブレーキb1,B2を作動
させるための油圧回路は、第1図のようにオイルポンプ
10、レギュレータバルブ11、マニュアルバルブ12、スロ
ットルバルブ13、スロットルモジュレータバルブ14、ガ
バナバルブ15、1−2シフトバルブ16、2−3シフトバ
ルブ17、3−4シフトバルブ18、モディファイヤーバル
ブ19、シーケンスバルブ20、セレクトタイミングバルブ
21、4−3タイミングバルブ22、3−2タイミングバル
ブ、サーボコントロールバルブ24、第2クラッチ用アキ
ュムレータ25、第1ブレーキ用アキュレータ26、第1ク
ラッチ用アキュムレータ27等で構成されている。
上記油圧回路のうち、スロットルバルブ13、スロット
ルモジュレータバルブ14、カバナバルブ15、2−3シフ
トバルブ17を除く構成は本発明と直接関係がないので、
詳しい説明は省略し、各油路の油圧を次のように列記す
るに留める。即ち、PLはライン圧、PL(R)は後退時の
ライン圧、PTはスロットル圧、PT′はキックダウン圧、
PTMはスロットルモジュレータ圧、PGはガバナ圧、PC1
第1クラッチ圧、PC2は第2クラッチ圧、PC3は第3クラ
ッチ圧、PB1は第1ブレーキ締結圧、PB1′は第1ブレ
ーキ解放圧、PB2は第2ブレーキ圧、PMはモディファイ
ヤー圧である。
スロットルバルブ13は、アクセルペダルと連動して左
方へ移動するプランジャ13aと、プランジャ13aからスプ
リング13bを介して左方へ押されるスプール13cと、スプ
ール13cを右方へ付勢するスプリング13dとを有してい
る。ポート13eにはライン圧PLが入力されており、ポー
ト13fよりスロットル圧PTを出力している。そして、ス
ロットル圧PTはスプール13cの連通穴を介してポート13g
にフィードバックされているので、スロットル圧PTは第
2図に示すように、スロットル開度の増大につれてほぼ
直線的に上昇する油圧となる。なお、スロットル圧PT
ポート13hからポート13iへも導かれており、キックダウ
ン時のようにスロットル開度を一定開度以上に開いた場
合にも、ポート13iからポート13jを経由してキックダウ
ン圧PT′を出力している。
スロットルモジュレータバルブ14のポート14aにはラ
イン圧PLが入力され、ポート14bにはスロットル圧PT
入力され、両ポート14a,14bの中間に位置するポート14c
からスロットルモジュレータ圧PTMを出力している。そ
して、スロットルモジュレータ圧PTMはスプール14dの連
通穴を介して右端ポート14eにフィードバックされてい
るので、スロットルモジュレータ圧PTMは、第3図のよ
うにスロットル開度が一定開度に到達するまではスプリ
ング14fのばね荷重と釣り合った一定油圧に保持され、
スロットル開度が一定開度を越えると、スロットル圧PT
と同等の油圧となる。
ガバナバルブ15は出力軸5に取り付けられており、出
力軸5の回転速度、即ち車速にほぼ比例したガバナ圧PG
(第4図参照)を発生している。なお、ガバナバルブ15
の構成は公知の通りであり、その詳細な説明は省略す
る。
2−3シフトバルブ17は2−3速を切り換えるための
バルブであり、第5図のように、スプリング17aにて右
方(2速側)へ付勢されたスプール17bを有しており、
ポート17cより出力される第3クラッチ圧PC3をON,OFF制
御している。右端ポート17dにはガバナ圧PGが入力さ
れ、ポート17e,17fにはスロットル圧PTが入力され、ポ
ート17g,17hにはスロットルモジュレータ圧PTMが入力さ
れ、ポート17iにはキックダウン圧PT′が入力され、ポ
ート17jには後退時にライン圧PL(R)が入力され、さ
らにポート17kには1−2シフトバルブ16から第1ブレ
ーキ締結圧PB1が入力されている。2速時(上半分で示
す)にはポート17cがドレーンされているため、第3ク
ラッチC3が解放され、3速時(下半分で示す)にはポー
ト17cより油圧PC3(PB1と同じ)が出力されるため、第
3クラッチC3が締結される。
次に上記構成の2−3シフトバルブ17の作動について
説明する。
まず、2速状態ではスプリング17aのばね荷重のスロ
ットル圧PTとスロットルモジュレータ圧PTMとがスプー
ル17bを右方へ押し、ガバナ圧PGがこれと対向するよう
にスプール17bを左方へ押している。なお、キックダウ
ン圧PT′もスプール17bを右方へ押しているが、キック
ダウン圧PT′は既に述べたとおりスロットル開度を一定
開度以上に開いた場合のみ作用するため、低スロットル
開度時には作用していない。一方、3速状態ではスロッ
トルモジュレータ圧PTMが入力されるポート17g,17hが閉
じられるため、スプリング荷重とスロットル圧PTとでス
プール17bを右方へ押し、ガバナ圧PGがこれに対向する
ように作用している。このようにスロットルモジュレー
タ圧PTMが2速状態のみしか作用しないため、第6図の
ようにダウンシフト時(3速2速時)とアップシフト
時(2速3速時)とでヒステリシスを与えることがで
きる。
本発明の場合、エンブレショックを解消するために3
速から1速へ直接ダウンシフトさせる必要があり、スロ
ットル全閉時における32変速時の変速点を、第6図
のように21変速時の変速点とほぼ同一車速に設定し
ている。つまり、スロットル全閉状態の時、所定車速V0
において1−2シフトバルブ16と2−3シフトバルブ17
とがほぼ同時にダウンシフトするように構成されてい
る。この場合に、もし2−3シフトバルブ17のポート17
g,17hにスロットル圧PTを作用させると、第6図二点鎖
線のように23変速時の変速線図は連続線状となるた
め、大きなヒステリシスが取れない。
これに対し、本発明のようにポート17g,17hにスロッ
トルモジュレータ圧PTMを作用させると、スロットルモ
ジュレータ圧PTMは第3図のように低スロットル開度で
は一定油圧を保持するため、23変速時の変速線図は
第6図実線のように折れ線状となる。したがって、低ス
ロットル開度域におけるアップシフト時(23変速
時)の変速点を高車速側へ移行させることができ、アッ
プシフトとダウンシフトとのヒステリシスHISが大きく
取れ、走行安定性が向上する。また、低スロットル開度
域における23変速時の変速点の勾配を高スロットル
開度域より大きくできるため、低スロットル開度時には
アップシフトが早く、高スロットル開度時にはアップシ
フトを遅くできる。つまり、運転者の意向に沿った運転
性能を実現できるという効果がある。
なお、上記実施例では2−3シフトバルブ17について
説明したが、本発明は3−4シフトバルブ18にも同様に
適用できる。
〔発明の効果〕
以上の説明で明らかなように、本発明によれば2速以
上の変速段を切り換えるシフトバルブにおいて、ダウシ
フト状態ではガバナ圧と対向する方向にスロットル圧と
スロットルモジュレータ圧とを導かれ、アップシフト状
態ではガバナ圧と対向する方向にスロットル圧のみが導
かれるようにし、スロットルモジュレータ圧はスロット
ル全閉時でも一定圧を保持するようにしたので、低スロ
ットル開度におけるアップシフト時の変速点を高速車速
側へ移行させることができる。したがって、低スロット
ル開度におけるアップシフトとダウンシフトのヒステリ
シスが大きく取れ、走行安定性が向上する。
また、低スロットル開度におけるアップシフト時の変
速点の勾配を高スロットル開度域より大きくできるた
め、低スロットル開度時はアップシフトが早く、高スロ
ットル開度時にはアップシフトを遅くでき、運転者の意
向に沿った運転性能を実現できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明にかかる自動変速機の油圧回路図、第2
図はスロットル圧の特性図、第3図はスロットルモジュ
レータ圧の特性図、第4図はガバナ圧の特性図、第5図
は2−3シフトバルブの詳細図、第6図は変速線図であ
る。 C1,C2,C3……クラッチ、b1,B2……ブレーキ、OWC……ワ
ンウェイクラッチ、3……サーボピストン、4……遊星
歯車機構、13……スロットルバルブ、14……スロットル
モジュレータバルブ、15……ガバナバルブ、17……2−
3シフトバルブ。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】前進3速以上の変速段を有する自動変速機
    において、 車速に応じて上昇するガバナ圧を出力するガバナバルブ
    と、スロットル開度に応じて上昇するスロットル圧を出
    力するスロットルバルブと、スロットル開度が一定値ま
    では一定圧で、スロットル開度が一定値を越えるとスロ
    ットル開度に応じて上昇するスロットルモジュレータ圧
    を出力するスロットルモジュレータバルブと、摩擦要素
    に油圧を供給または排出し、2速以上の変速段を切り換
    えるシフトバルブとを備え、上記シフトバルブに対し
    て、ダウンシフト状態ではガバナ圧と対向する方向にス
    ロットル圧とスロットルモジュレータ圧とが導かれ、ア
    ップシフト状態ではガバナ圧と対向する方向にスロット
    ル圧のみが導かれていることを特徴とする自動変速機の
    油圧制御装置。
JP63171396A 1988-07-08 1988-07-08 自動変速機の油圧制御装置 Expired - Lifetime JP2550392B2 (ja)

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