JP2549053B2 - カーテンウオールのパネル支持構造とそのパネル支持構造を用いるカーテンウオールの施工方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、建築物の外壁側に配置
されるカーテンウオールのパネル支持構造とそのパネル
支持構造を用いるカーテンウオールの施工方法に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】上記のカーテンウオールは、新設の建築
物の例えばコンクリート打ち放しの躯体外壁面を覆い飾
る新装用や、既存建築物の陳腐化したり傷んだりした躯
体外壁面を覆い飾る改装用として広く利用されるもの
で、外装用のパネルを上下方向ならびに左右方向に連ね
て建築物の外壁側に設置して構成される。

【０００３】この外装用パネルの設置には、外壁に沿わ
せて立設される作業足場が利用される。そして、この足
場の倒れ防止のために、例えば特公昭６１−２８０６３
号公報に見られるように、足場支持ボルト（ファスナ）
を連結するためのアンカーを、これから施工すべき外装
用パネルの目地部に位置させる状態で躯体外壁に打ち込
み、このアンカーにボルトを介して足場を連結して外装
用パネルを施工し、かつ、外装用パネルの施工完了後に
ボルトを外して、その目地部に雨仕舞や化粧用のシール
材を設ける手段をとっている。

【０００４】あるいは、適当な外装用パネルを選択し
て、それの設置箇所の躯体外壁にアンカーを打ち込ん
で、このアンカーに足場支持ボルトを介して足場を固定
し、最終的に作業足場を解体しつつ該部に外装用パネル
を施工する技術も、同公報に従来例として記載されてい
る。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、前者の技術で
は、アンカーをパネル目地部相当箇所に打ち込むことが
至難である上に、ボルトを撤去してシール材を設ける厄
介な後処理の作業を要する点で問題があった。

【０００６】一方、後者の技術では、作業足場を解体し
つつ足場支持ボルトを撤去して、該部に外装用パネルを
設置することになるが、このパネル設置の作業は、ボル
トによる足場の支持が解除されているので非常に危険で
ある。あるいは、窓開口部近傍に設置される小パネルを
選択して、その小パネル設置部の躯体外壁にアンカーを
打ち込んで足場を固定し、足場の解体後に窓開口部の室
内側から小パネルを設置する手段をとれば、小パネルの
設置が安全に達成されるが、この窓開口部まわりは構造
上、躯体が脆弱であることから、ここにアンカーを打ち
込むことは躯体の損壊を招来する危険性が大であり、更
に、足場立設後に上記躯体の損壊が生じた場合には足場
倒壊の危険性もある。

【０００７】本発明は、躯体に固定される高強度の構造
体すなわちパネル支持構造を利用した技術によって、上
記の不都合を一切伴わせないで外装用パネルを安全に設
置できるパネル支持構造と、そのパネル支持構造を用い
て行うカーテンウオールの施工方法を提供することを目
的としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するに
至った第１発明によるパネル支持構造は、建築物の躯体
側に固着されるパネル支持構造体に対して、カーテンウ
オールの窓開口部や笠木等の近傍に設置される外装用小
パネルの設置相当部位に、ファスナを介してパネル設置
用の作業足場を連結するためのファスナ連結手段を設け
た点に構成上の特徴がある。

【０００９】かゝるパネル支持構造を用いて行う第２発
明によるカーテンウオールの施工方法では、外壁に沿わ
せて立設される作業足場を第１ファスナを介して建築物
の躯体側に固定し、外装用パネルの支持構造を建築物の
躯体側に固着し、このパネル支持構造には、カーテンウ
オールの窓開口部や笠木等の近傍に設置される外装用小
パネルの設置相当部位にファスナ連結手段を具備させ
て、このファスナ連結手段に第２ファスナを介して作業
足場を連結固定し、かつ、上記の小パネル以外のパネル
を、第１ファスナを撤去しつつパネル支持構造に設置す
ると共に、所定のパネルの設置後に、作業足場の解体と
第２ファスナの撤去ならびに第２ファスナの撤去部に対
する小パネルの設置を行うことを特徴としている。

【００１０】

【作用】第１発明のパネル支持構造によれば、建築物の
躯体に固着される強度構造物のパネル支持構造によっ
て、それの小パネルの設置相当部位において、作業足場
がファスナを介して強固に支持される。

【００１１】第２発明のカーテンウオールの施工方法に
よれば、第１ファスナを介して外壁に固定される作業足
場が、固定点を強度構造物のパネル支持構造に求めた第
２ファスナによっても連結固定される。そして、第１フ
ァスナを撤去しつつ小パネル以外の外装用パネルの設置
が行われるのであるが、第１ファスナを撤去しても作業
足場は第２ファスナによって強固に支持された状態にあ
り、かつ最終的に、作業足場の解体と第２ファスナの撤
去ならびに第２ファスナ撤去部への小パネルの設置が行
われることで、カーテンウオールの施工が完了する。

【００１２】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図１は既存建築物の旧外壁１を覆い飾るように配
置した改装用のカーテンウオールを示し、図２に断面図
を示すように、旧外壁１にパネル支持構造２を設けると
共に、旧窓枠３に対応する部位に窓開口部４を有せしめ
る状態で、外装用パネル５を上下方向ならびに左右方向
に並べてパネル支持構造２に設置し、かつ、前記窓開口
部４の周囲に水切り用の外装用小パネル６を設けて成
る。

【００１３】上記のパネル支持構造２は、アンカーボル
ト７とナット８とによって、上下方向ならびに左右方向
に所定の間隔を隔てて外壁１に設けられたＬ字状のブラ
ケット９と、このブラケット９の左右方向で隣合うもの
にわたって、仮止め用のボルト・ナット１０を介して且
つ溶接によって取付けられたＣ字状の横材１１と、この
横材１１の上下方向で隣合うものにわたって、ブラケッ
ト１２ならびに仮止め用ボルト１３を介して且つ溶接に
より取付けられた縦材１４とから成る。

【００１４】そして、このパネル支持構造２を構成する
パネル支持構造体の一つ、具体的には横材１１に、後述
する作業足場の倒れ防止を図るための足場支持ボルト
（ファスナ）を連結するためのナット部材（ファスナ連
結手段）１５が、窓開口部４下部側の水切り用の小パネ
ル６の設置部に対応させて設けられている。

【００１５】尚、この実施例では、窓開口部４下部側の
水切り用小パネル６の設置部のみに対応させてファスナ
連結手段１５を設ける例を示しているが、その他、例え
ば最上端の笠木部や左右両端部などに設けられる小パネ
ルを対象にして、この小パネルの設置部にもファスナ連
結手段１５を設けて実施可能である。

【００１６】外装用パネル５は、それぞれがアルミなど
の金属製である方形で薄板状のパネル部材１６の周部に
補強枠１７を設けて成るもので、各パネル５の上部側が
パネル保持手段１８を介して縦材１４に連結され、前記
窓開口部４の上方に配置されるパネル５については、そ
の下部側も第２のパネル保持手段１９を介して縦材１４
に固定されている。

【００１７】窓開口部４まわりの上方と左右の水切り用
小パネル（左右のものは図示せず）６は同じ形状のもの
であって、室内側つまり旧窓枠３側の端縁をコの字状に
折り曲げ、室外側の端縁をパネル支持構造２側にＬ字状
に折り曲げ、かつ、この折り曲げ端に止着用の板部ａを
連設している。

【００１８】下方の水切り用の小パネル６は、室外側に
向けてやゝ下方に傾斜するするものであって、室内側つ
まり旧窓枠３側の端縁をコの字状に折り曲げ、室外側の
端縁については、前記外装用パネル５の上部に連設され
たクランク状の止着部材２０に相対峙して嵌着する止着
用板部ｂを、下方への垂下板部ｃの内面部に連設して成
る。

【００１９】そして、各小パネル６の水切り面とは反対
の面部には、建築物の外壁面に直交する方向で前記パネ
ル支持構造２に連設の係止部材２１に噛合する係合部材
２２が連設されていて、これら係止・係合部材２１，２
２を互いに噛合させた状態で、それぞれ固定手段（ボル
ト・ナット）２３を介して各板部ａ，ｂがパネル支持構
造２に連設の部材つまり外装用パネル５に止着されてい
る。

【００２０】次に、上記構成のカーテンウオールを旧外
壁１の外側に施工する手順の一例について説明する。先
ず図３に示すように、カーテンウオールの配置空間を隔
てて旧外壁１の外側に作業足場２４を立設するのである
が、この作業足場２４の立設に並行して、適当な外装用
パネル５の設置部に対応する旧外壁１にアンカー２５を
打ち込み、かつ、このアンカー２５に足場支持ボルト
（以下、第１ファスナ）２６を介して作業足場２４を連
結し、作業足場２４の倒れ防止を図る。

【００２１】このようにして作業足場２４を立設する一
方、この作業足場２４を利用して旧外壁１にパネル支持
構造２を連結し、かつ、予めパネル支持構造２に設けた
ファスナ連結手段１５に第２の足場支持ボルト（以下、
第２ファスナ）２７を介して作業足場２４を連結し、強
度構造体であるパネル支持構造２によっても作業足場２
４の倒れ防止を図る。

【００２２】尚、この実施例では、第２ファスナ２７を
窓開口部４下部側の小パネル６に対応させて設けている
が、窓開口部４の上部側や左右両側に対応させて設ける
構成としてもよく、あるいは、窓開口部４の上下左右の
複数箇所に設ける構成とするもよきことは勿論である。

【００２３】これらの作業に並行して、図４に示すよう
に、小パネル６以外の外装用パネル５を前記パネル支持
構造２に順次下方から設置するのであり、あるいは必要
に応じて第２ファスナ２７の設置部以外の窓開口部４の
上部側と左右両側の小パネル６も設置し、かつ、外装用
パネル５の設置にとって第１ファスナ２６が邪魔になっ
た時点で当該第１ファスナ２６を撤去し、その撤去部に
外装用パネル５を設置するのである。

【００２４】そして最終的に、外装用パネル５と必要に
応じて小パネル６の設置を完了したならば、作業足場２
４を上方から順次解体し、かつ、第２ファスナ２７の設
置部近傍まで解体が進んだ時点で当該第２ファスナ２７
を撤去し、その第２ファスナ２７の撤去部に窓開口部４
下部側の小パネル６を設置することを継続して行うので
ある。尚、小パネル６の設置に際しては、適宜バックア
ッブ部材２８を介してシール材２９を設けることとし、
これをもって、旧外壁１の外壁面を覆い飾るカーテンウ
オールの施工が達成されることになる。

【００２５】上記の実施例では、作業足場２４を立設さ
せつつ旧外壁１にパネル支持構造２を連結し、かつ、第
２ファスナ２７を介して作業足場２４をパネル支持構造
２に連結し、これらの作業に並行して外装用パネル５と
必要に応じて小パネル６の設置を行っているが、適宜、
ある作業を完了してから次の作業に移るようにしても何
ら差し支えはなく、あるいは、第２ファスナ２７によっ
て作業足場２４をパネル支持構造２に連結したことで、
第１ファスナ２６による作業足場２４の連結が特に必要
でなくなった場合には、その第１ファスナ２６を撤去し
てもよい。

【００２６】更に、外装用パネル５の設置完了後に作業
足場２４の解体を行うようにしているが、例えばカーテ
ンウオール下部側の外装用パネル５については特に作業
足場２４を必要としないことから、このパネル５の設置
とは無関係に作業足場２４を解体したり、あるいは、最
終的に設置する外装用パネル５の設置を待たずして作業
足場２４の解体を開始するもよく、即ち、作業足場２４
の解体は、所定の外装用パネル５の設置完了時点で開始
すればよいのである。

【００２７】また、作業足場２４を解体しつつ第２ファ
スナ２７を撤去して、その撤去部に水切り用の小パネル
６を設置しているが、作業足場２４の解体開始前に、例
えば上下方向中間部の適当な第２ファスナ２７を適宜撤
去して小パネル６を設置し、次いで作業足場２４の解体
を開始して、作業足場２４を解体しつつ残りの第２ファ
スナ２７を撤去して、その撤去部に水切り用の小パネル
６を設置する形態をとるもよい。あるいは、ファスナ連
結手段１５の取付け対象を窓開口部４まわりのパネル支
持構造体に求める場合は、作業足場２４を完全に解体し
て後に、窓開口部４を通して室内側から小パネル６を設
置する形態をとることも可能である。

【００２８】更に、上記の実施例では、既存建築物の旧
外壁１に対する改装用のカーテンウオールについて説明
したが、新設の建築物の例えばコンクリート打ち放しの
躯体外壁面を覆い飾る新装用のカーテンウオールについ
て本発明を実施することも可能であることは言うまでも
ない。

【００２９】

【発明の効果】以上説明したように第１発明では、建築
物の躯体に固着される強度構造物のパネル支持構造を作
業足場の固定に利用するようにし、かつその際、作業足
場の固定点をカーテンウオールの小パネル設置相当部位
に求めたことで、例えば最終的に小パネルを設置するカ
ーテンウオールの施工形態をとるに際して、従来のよう
に小パネル設置部の躯体外壁にアンカーを打ち込んで足
場を固定する場合のような不都合、即ち、脆弱な窓開口
部まわりの躯体の損壊や、その損壊に伴う足場倒壊の危
険な事態が確実に防止される。

【００３０】しかも、カーテンウオールの新設あるいは
改装のいずれを問わず、経時的に必要となるカーテンウ
オールの改装に際して、小パネルのみを撤去すれば、パ
ネル支持構造に残存しているファスナ連結手段をそのま
ま直ちに利用することで、作業足場の強固な設置が簡単
かつ短期に達成される。

【００３１】第２発明のカーテンウオールの施工方法に
よれば、第１ファスナを介して外壁に固定される作業足
場が、固定点を強度構造物のパネル支持構造に求めた第
２ファスナによっても強固に連結固定される。而して、
第１ファスナを撤去しつつ小パネル以外の外装用パネル
の設置が行われるのであるが、このとき、第１ファスナ
を撤去しても作業足場は第２ファスナによって強固に支
持された状態にあるので、従って、窓開口部まわりの躯
体の損壊を伴わせないで、外装用パネルの設置を安全か
つ簡易に行うことができる。

【００３２】そして最終的に、作業足場の解体と第２フ
ァスナの撤去ならびに第２ファスナ撤去部への小パネル
の設置が行われて、始終安全にカーテンウオールが施工
されると共に、その際、パネル支持構造に設けた作業足
場連結用の部材が小パネルによって覆われるので、従来
のように化粧用などのシール材を設ける厄介な後処理の
作業も一切不要と成る。

【図面の簡単な説明】

【図１】カーテンウオールの部分正面図である。

【図２】図１のＡ−Ａ線断面図である。

【図３】第１及び第２ファスナによる作業足場の設置説
明図である。

【図４】第１ファスナの撤去ならびにパネル設置の説明
図である。

【符号の説明】

１…外壁、２…パネル支持構造、４…窓開口部、５…外
装用パネル、６…小パネル、２４…作業足場、２６…第
１ファスナ、２７…第２ファスナ。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 外装用パネルを上下方向ならびに左右方
   向に連ねて建築物の外壁側に設置して成るカーテンウオ
   ールのパネル支持構造であって、建築物の躯体側に固着
   されるパネル支持構造体に対して、カーテンウオールの
   窓開口部や笠木等の近傍に設置される外装用小パネルの
   設置相当部位に、ファスナを介してパネル設置用の作業
   足場を連結するためのファスナ連結手段を設けてあるこ
   とを特徴とするカーテンウオールのパネル支持構造。
2. 【請求項２】 外装用のパネルを上下方向ならびに左右
   方向に連ねて建築物の外壁側に設置して成るカーテンウ
   オールの施工方法であって、外壁に沿わせて立設される
   作業足場を第１ファスナを介して建築物の躯体側に固定
   し、外装用パネルの支持構造を建築物の躯体側に固着
   し、このパネル支持構造には、カーテンウオールの窓開
   口部や笠木等の近傍に設置される外装用小パネルの設置
   相当部位にファスナ連結手段を具備させて、このファス
   ナ連結手段に第２ファスナを介して作業足場を連結固定
   し、かつ、上記の小パネル以外のパネルを、第１ファス
   ナを撤去しつつパネル支持構造に設置すると共に、所定
   のパネルの設置後に、作業足場の解体と第２ファスナの
   撤去ならびに第２ファスナの撤去部に対する小パネルの
   設置を行うことを特徴とするカーテンウオールの施工方
   法。