JP2548204B2 - 新生理活性ポリペプチド - Google Patents

新生理活性ポリペプチド

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JP2548204B2 JP62160115A JP16011587A JP2548204B2 JP 2548204 B2 JP2548204 B2 JP 2548204B2 JP 62160115 A JP62160115 A JP 62160115A JP 16011587 A JP16011587 A JP 16011587A JP 2548204 B2 JP2548204 B2 JP 2548204B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は新生理活性ポリペプチド更に詳しくはリンホ
トキシン活性を有する新ポリペプチドおよび新ポリペプ
チドを有効成分とする抗腫瘍剤に関する。
〔従来の技術〕
リンホトキシン(以下LTと略)はリンバ球及びリンパ
球系株化細胞から特異的又は非特異的に放出される細胞
障害活性を有するリンホカインの1種として知られてい
る。LTは種々の癌細胞に対して障害性があるばかりでな
く、ある種の抗癌剤又はインターフエロンの細胞障害効
果を増強することから抗腫瘍剤として医薬への応用が期
待されている〔グレンジヤー(Granger G.A.)ら、第14
回国際化学療法学会、京都、1985年6月23〜28日、アブ
ストラクツ、第15頁(International Congrese of Chem
otherapy,Kyoto,Japan,June23−28,Abstractsp15);マ
ツナガ(Matsunaga K.)ら、,同上アブストラクツ,第
352頁〕。
ヒト由来細胞によるLT産生については、扁桃細胞また
は末梢血リンパ球をフイトヘムアグルチニン(以下PHA
と略)と共に培養し、その培養上漬から取得する方法
〔ピーター(Peter J.B.)ら、ジヤーナル・オブ・イム
ノロジー(J.Immunol.111 770(1973);ウオーカーら
(Walker S.M.and Lucas Z.J.)、ジヤーナル・オブ・
イムノロジー(J.Immunol,109 1233(1972)〕、リン
パ球系株化細胞をPMAの存在下に培養し、その培養上漬
から取得する方法〔ヤマモト(Yamamoto R.S.)ら;ジ
ヤーナル・オブ・バイオロジカル・レスポンス・モディ
フアイアーズ(J.Biol,Response Modifiers) 76(1
984)〕、ヒトT細胞ハイブリドーマをホルボールミリ
ステートアセテート(以下PMAと略)及び/又はコンカ
ナバリンA(以下ConAと略)の存在下に培養する方法
〔浅田ら;セルラー・イムノロジー(Cell.Immunol,77
150(1983))〕等が知られている。
〔発明が解決しようとする問題点〕
然し、これらの方法は、生産量が少なく、又培地に高
価な栄養源(例えば牛胎児血清)を必要とする等LTを高
純度かつ経済的に取得することは非常に困難である。
LTを大量に得るための他の方法として、いわゆる遺伝
子操作の手法を用い、LTに対応する遺伝子をベクターに
組込み細菌、カビ、酵母又は動物細胞内で複製、転写、
翻訳せしめてこれら細胞により生産されることが考えら
れ、LTに対応する遺伝子の取得が待望されていた。
本発明者らは、先にエメチン−アクチノマイシンD法
を用い細胞融合を行いLTを産生するヒトT細胞ハイブリ
ドーマクローンA−C5−8株を取得した〔浅田ら;セル
ラー・イムノロジー(Cell.Immunol.77 150(198
3))〕。しかし、A−C5−8株をConA,PMAの存在下LT
最適産生条件(培養時間30時間以上)で培養してもLTに
対応するメツセンジヤーRNA(以下mRNAと略)を取得で
きず、従つてLTに対応する遺伝子も取得できなかつた。
そこで本発明者らはLTに対応するmRNAの取得条件を種
々検討した結果、A−C5−8株をPMA及び/又はConAと
共に24時間以内(特に4時間以内)培養することによ
り、細胞内に生成したLTポリペプチドに対応するmRNAを
取得できることを見出し、更にこのmRNAより遺伝子組換
え技術を応用することにより、LTポリペプチドをコード
する新期な遺伝子をクローン化した(特願昭60−289249
号明細書)。
更に、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、LTポリペ
プチドをコードするクローン化遺伝子(cDNA)を組込ん
だ形質発現ベクターで形質転換した微生物中でLTポリペ
プチドを生産させることに成功し、更にこのようにして
生産されたヒトLTポリペプチド含有生産物から、実質的
に不純物を含まないヒトLTポリペプチドを得ることに成
功しかつ本ヒトLTポリペプチドが悪性腫瘍の治療剤とし
て優れていることを確認して本発明を完成した。遺伝子
組換え技術を用いてLTを生産する方法に関し、グレイら
の報告〔P.W Gray et al;Nature312 721(1984)〕が
ある。
Grayらは、ヒト末梢血リンパ球の非接着細胞をPMA、
スタフイロコツカル エンテロトキシンB及びサイモシ
ンαと共に48時間培養後、細胞よりmRNAを取得しcDNA
を作成、制限酵素で切断後合成オリゴヌクレオチドとラ
イゲーシヨン後、大腸菌内でLTを発現させている。この
報告から推定されるLTはアミノ酸残基数171又は172、分
子量18,600を有する。
本発明において、mRNAはヒトT細胞ハイブリドーマよ
り取得していること、mRNAより誘導したcDNAの塩基配列
が異なることなどの相違がある他、本発明のLTポリペプ
チドのアミノ酸残基数が151であり分子量が異なりアミ
ノ酸配列でも異つている。
〔問題点を解決するための手段〕
即ち本発明はLT活性を有する新規なポリペプチドを提
供するものである。
更に詳しくは特願昭60−289249号明細書で得たLTポリ
ペプチドをコードとするcDNA(第1表)を制限酵素で切
断し、別に翻訳開始部位を導入した形質発現ベクターを
同じ制限酵素で切断したものとを、ライゲーシヨンして
LTポリペプチド生産用の形質発現ベクターを得、この形
質発現ベクターを適当な宿主例えば大腸菌などに導入す
ることにより形質転換体を得て、該形質転換体を培養し
て得た培養物から抽出、精製して得た不純物を実質的に
含まないヒトLTポリペプチドに関する。
ヒトLTポリペプチドは次式(1)のアミノ酸配列を有
する。
式 (1) 上述1式のポリペプチド及び第1表の塩基配列中の符
号は以下の略号である。
ALA:アラニン、ARG:アルギニン、 ASN:アスパラギン、ASP:アスパラギン酸、 CYS:システイン、GLN:グルタミン GLU:グルタミン酸、GLY:グリシン、 HIS:ヒスチジン、ILE:イソロイシン、 LEU:ロイシン、LYS:リジン、 MET:イチオニン、PHE:フエニルアラニン、 PRO:プロリン、SER:セリン、 THR:スレオニン、TRP:トリプトフアン、 TYR:チロシン、VAL:バリン、 A:アデニン、C:シトシン、 G:グアニン、T:チミン、 尚、ヒトLT活性を有するポリペプチドのアミノ酸配列
に関してはヒトリンパ芽球細胞株RPMI1788由来の分子量
20,000と25,000のLTに関してアガワル(B.B.Aggarwal)
らの報告〔ザ・ジヤーナル・オブ・バイオロジカル・ケ
ミストリー(J.Biol.Chem.,260 2334(1985)〕がある
が、本発明のLTポリペプチドとはアミノ酸配列(式
(1))中6番目のアミノ酸残基(ASN)が異なる他、
N末端側のアミノ酸組成が異なる。すなわち上記分子量
20,000のLTは式(1)のN末端アミノ酸中 のかわりにHISが結合している。又、25,000のLTは式
(1)のN末端側アミノ酸 のかわりにLEU−PRO−GLY−VAL−GLY−LEU−THR−PRO−
SER−ALA−ALA−GLN−THR−ALA−ARG−GLN−HIS−PRO−
LYS−MET−HIS−LEU−ALA−HISが異なるなど分子的に異
ついている。
更に大腸菌で発現させる場合、一般にN末端に余分な
メチオニン残基を付加するため医薬へ応用の際、抗原性
などの副作用を生ずる可能性がある。本発明では開始コ
ドン(ATG)として第1表に示す222〜224番目を利用し
ているため余分なメチオニン残基の付加を防ぐことがで
きる。
又、LTポリペプチドを医薬品として広く安全に使用す
るためには発現されたLTポリペプチドを単一成分として
取得することが重要である。
特願昭61−151772号明細書記載のLTポリペプチド等従
来のリンホトキシンはN末端側部分が不安定であり、精
製中又は保存中にN末端側部分が切断され、切断により
生成したポリペプチドLT活性を保持しているものの目的
のアミノ酸配列を有するLTポリペプチドを得るためには
更に精製が必要になるなど均質なLTが得にくい欠点があ
つた。例えば特願昭61−151772号明細書記載のLTポリペ
プチドは精製中にN末端側アミノ酸が一部欠如したLTポ
リペプチドが生成する。N末端側部分の切断の原因は現
状では不明だが、本発明のLTポリペプチドにおいてはN
末端側部分の切断が認められず式(1)に示すLTポリペ
プチドのみを容易に取得できる。
本発明の式(1)に示すLTポリペプチドは上記の知見
をもとに選択された。
以下に本発明を詳細に説明する。
LT高産生細胞の選択 LT産生細胞Tとしては、正常ヒトリンパ球、CCRF−CE
M、MOLT−4F、JURKAT等ヒトTリンパ球系株化細胞及び
クローニング株、RPMI−1788等ヒトBリンパ球系株化細
胞を用いることができるが、LT産生量が高く細胞の継代
が可能であることから、正常ヒトTリンパ球とヒトTリ
ンパ球系株化細胞とを細胞融合して得たLT産生ヒトT細
胞ハイブリドーマを用いることが好ましい。LT産生ヒト
T細胞ハイブリドーマは親細胞であるヒトTリンパ球系
株化細胞よりLT産生量が高く、従つて、細胞から抽出、
分離されるmRNAの量も多く好適に用いられる。
なお、LTの活性測定に用いた分析法は、小林(Kobaya
shi Y.)らの方法〔ジヤーナル・オブ・イムノロジー
(J.Immunol.)122 791(1979)〕を用いて行つた。す
なわち、細胞培養上清又は細胞抽出物試料のマウスLT3
細胞(L細胞の亜株)に対する障害活性を指標として測
定した。LTの1単位/ml(1u/ml)は、50%の標的細胞を
障害する濃度で表わした。
LT産生ヒトT細胞ハイブリドーマは公知の方法(特開
昭58−72520号公報)により製造することができる。
すなわちヒトTリンパ球系腫瘍細胞を蛋白質合成阻害
剤又はこれとRNA合成阻害剤との併用により処理し、ヒ
トTリンパ球をマイトージエン又は抗原で刺激し、両者
を融合促進剤(ポリエチレングリコール等)の存在下で
融合させ、得られた融合細胞(ヒトT細胞ハイブリドー
マ)だけを分離して取得することができる。ヒトT細胞
ハイブリドーマを培養液(例えば基礎培地PRMI−1640培
地に10%牛胎児血清、5×10-5Mの2−メルカプトエタ
ノール、2mMのグルタミンを添加した培養液(以下、PRM
I培地と略)中、37℃、CO25%−空気95%の雰囲気下で
培養し、前述のLT産生ヒトT細胞ハイブリドーマをスク
リーニングする。
細胞培養 LT産生ヒトT細胞ハイブリドーマからmRNAを取得する
ためには、最低109個以上の細胞が必要であり、それら
は細胞培養によつて取得することが一般的である。すな
わち、細胞を栄養培地中105〜107個/mlに調製したもの
を、シヤーレ、組織培養用フラスコ回転培養液(スピナ
ーフラスコ)内でCO25%−空気95%の雰囲気下、37℃で
培養する。
培養時間は、培地組成、初期細胞濃度により異なるが
1〜5日間が適当である。培養液を遠心分離し細胞を取
得する。
栄養培地は、糖類、アミノ酸、ビタミン類、ホルモン
類、蛋白質、抗生物質、成長因子類及び無機塩類等から
選ばれた一種以上を含有する基礎培地、又は基礎培地に
動物血清を添加した培地から適宣選択して用いる。
基礎培地としては、市販されているPRMI−1640培地、
MEM培地、ダルベツコ変法MEM培地等も使用できる。
動物血清としては、牛胎児血清、新生牛血清、馬血
清、ヒト血清等を基礎培地に対し、1〜20%添加するこ
とができる。
又、細胞をヌードマウス、ハムスター等のヒト以外の
温血動物内で繁殖させて用いることもできる。
mRNAの増幅 で取得したLT産生ヒトT細胞ハイブリドーマを栄養
培地中106〜107mlに調整し、更にPMA及び/又はConAを
加えて培養することにより、LTに対応するmRNAを多量に
含む細胞を取得することができる。PMAの好適濃度は20
〜200ng(ナノグラム)/ml、ConAの好適濃度は5〜50μ
g/mの範囲である。
培養時間は24時間以内特に8時間以内が適当である。
その理由は、培養細胞のリンホトキシン活性に対応する
mRNAの含量が、時間の経過と共に減少するからである。
特に24時間を超える場合、LT産生ヒトT細胞ハイブリド
ーマを培養し、培養上清からLTを回収するための最適時
間24〜72時間では細胞内のLTに対応するmRNA量は極めて
微量でありmRNAを回収することは困難である。
細胞より全RNAの抽出 で取得した細胞から全RNAの抽出は塩酸グアニジン
法〔デイーリー(Deeley R.G.)ら、ザ・ジヤーナル・
オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)
252 830(1977)〕等公知の方法で実施できる。
すなわち、で取得した細胞(109個以上)を、ホモ
ジネート緩衝液(8M塩酸グアニジン、5mMジチオスレイ
トール、20mM酢酸ナトリウム含有、HaOHでpH7に調整)
に懸濁し、ホモジナイザー等で破壊する。破壊物よりエ
タノール沈殿、フエノール抽出により全核酸を抽出後、
塩化リチウム沈殿により全RNAを回収する。抽出操作はR
NaseによるRNAの分解を防ぐため、器具は乾熱又はジエ
チルピロカーボネート処理後オートクレーブ滅菌し、操
作中はビニル手袋を着用することが好ましい。
全RNAよりmRNAの分離 全RNAから目的とするmRNAの分離は、シヨ糖密度勾配
遠心法、ゲル濾過法、電気泳動による方法、メンブラン
フイルター法、オリゴdTカラムを用いる方法等公知の方
法、又はこれらを組合わせることによつて実施できる。
ここに得られたmRNAが目的とするLTをコードするもの
であることを確認するためには、mRNAを蛋白質に翻訳さ
せてその生物活性を調べればよい。例えばアフリカツメ
ガエル〔ゼノバス・レビス(Xenopus laevis)〕の卵母
細胞、網状赤血球ライゼート、小麦胚芽のような適当な
蛋白合成系にmRNAを注入又は添加して蛋白質に翻訳さ
せ、その蛋白質がマウスL.P3細胞に対して細胞障害活性
を示すことを確認することにより行われる。尚、アフリ
カツメガエルの卵母細胞を用いる方法は例えば次のよう
にして行なわれる。
卵母細胞1個当り約50〜100ngのmRNAをマイクロイン
ジエクシヨン法で注入し、その20個をモデイフアイド・
バース・ソルト液(Medified Barth Salt Solution)
〔HaCl0.13g、KCl0.075g、NaHCO30.2g、MgS4・7H2O0.2
g、Ca(NO3・4H2O0.08g、CaCl・6H2O0.09g、HEPES
2.38g、ストレプトマイシン100g、ペニシリンG(10万
単位)を1lに溶解;pH7.4、以下MBSと略)〕200μl中23
℃で48時間培養する。この培養上清を試料として、L・
P3細胞障害活性を指標としてLT活性を測定する。
本発明のLTをコードするmRNAは次の性質により特徴づ
けられる。
12.6S〜14.6SのS値を有する。
3′末端にポリアデニル酸構造を有する。
LTのポリペチドをコードする。
リンホトキシンcDNAのクローニング の操作で得られたmRNAを鋳型とし、オリゴ(dT)を
プライマーとして、dATP、dGTP、dCTP、dTTPの存在下で
逆転写酵素(例えばトリ骨髄性白血病ウイルス由来逆転
写酵素)によりmRNAと相補的な単鎖cDNAを合成し、熱処
理で鋳型mRNAを変性させる。次いで、この単鎖cDNAを鋳
型にして、大腸菌DNAポリメラーゼI(クレノウフラグ
メント)を用いて二重鎖DNAを合成する。この二重鎖DNA
をアルカリ処理及びフエノール抽出を行い、変性mRNA及
び蛋白から分離する。この二重鎖DNAに逆転写酵素を作
用させ、さらに完全な二重鎖DNAを合成する。ここに得
られたDNAはヘアピン構造を有するのでS1ヌクレアーゼ
〔アスペルギルス・オリーゼ(Aspergillus oryzae);
米麺菌由来S1ヌクレアーゼ〕によりヘアピン構造を切断
し、完全な二重鎖構造のDNAを得る。ここで得られたDNA
をポリ(dG)−ポリ(dC)又はポリ(dA)−ポリ(dT)
ホモポリマー伸長法〔ノダ(Noda M.)ら、ネイチヤー
(Nature)295 202(1982);マニアチス(Maniatis
T.)ら、「モレキユラー・クローニング(ア・ラボラト
リー・マニユアル)」“Molecular Cloning(a laborat
ory manual)“217{1982)コールド・スプリング・ハ
ーバー・ラボラトリー(Cold Spring Harbor Laborator
y)ニユーヨーク〕のような常法に従つて、例えばプラ
スミドpBR322の制限酵素Pst I切断部位に組み込ませ
る。得られた組換えプラスミドを、例えばペルバル(Pe
rbal B.)の「ア・プラクチカル・ガイド・トウ・モレ
キユラー・クローニング」“A Practical Guide to Mol
ecular Cloning"268(1984)、ジヨン・ウイリー・アン
ド・サンズ社(John Wiley & Sons Inc.)カナダ、の
方法に準じて、例えば大腸菌(E.coli)HB101株のよう
な宿主に導入して形質転換させ、テトラサイクリン耐性
株を選択してcDNAライブラリーを作製する。
このcDNAライブラリーについて合成プローブを利用し
たコロニー・ハイブリダイゼーシヨン試験〔モントゴメ
ーリー(Montgomery D.L.)ら、セル(Cell)14 673
(1978);ゲデル(Goeddel D.V)ら、ニユークレイツ
ク・アシツズ・リサーチ(Nucleic Acids Res.) 40
57(1980)〕により目的のクローンをスクリーニングす
る。即ち、グレイらがネイチヤー(Nature)312 721
(1984)に報告しているリンホトキシンの404から421番
目の18塩基並びに500から517番目の18塩基に対応する相
補的な塩化配列を化学合成し、ポリヌクレオチドキナー
ゼ(T4フアージが感染した大腸菌由来T4ポリヌクレオチ
ドキナーゼ)でプローブの5′末端の水酸基にr−32P
−ATPのリン酸を転移させ、32P:標識した2種のプロー
ブを作製する。前述のcDNAライブラリーの中から両プロ
ーブに強く結合するクローンを選択する。ここで得られ
たクローンからプラスミドDNAを分離し、加熱又はアル
カリ変性により単鎖DNAとしニトロセルロースフイルタ
ーに固定する。これにリンホトキシンmRNAを含むmRNA画
分を加えハイブリダイズさせた後、結合したmRNAを溶出
回収し、これをアフリカツメガエルの卵母細胞に注入
し、回収されたmRNAがリンホトキシンをコードしている
か否かを検討する(以下、ハイブリダイゼーシヨン・ト
ランスレーシヨン試験という)。以上の方法によりリン
ホトキシンのmRNAと相補性のある塩基配列を含むDNA断
片を組込んだクローン化DNAを得ることができる。
更に、この形質転換株のクローン化DNA断片を適当な
制限酵素で切出し、32Pで標識したものをプローブとし
て用い、前述のcDNAライブラリーを再スクリーニグする
ことにより、より大きなサイズのcDNA断片を選択しても
よい。
このようにして得られた、クローン化DNA断片につい
て、制限酵素地図を作製し、M13フアージによりクロー
ニングし、サンガー(Sanger E.)ら〔プロシーデイン
グス・オブ・ザ・ナシヨナル・アカデミー・オブ・サイ
アンシーズ・オブ・ザ・USA(Proc.Nat1.Acad.Sci.US
A)745463(1977)〕のジデオキシシークエンス法に従
つて塩基配列を解析し、既に明らかになつているリンホ
トキシンのアミノ酸配列をコードする塩基配列を探し、
最終的にリンホトキシンの全翻訳領域に対応する塩基配
列(第1表において165番めから677番めまでの塩基配
列)を含むcDNAを選び出すことにより、リンホトキシン
のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする塩基配
列を有するクローン化DNA(第1表)を得ることができ
る。
LTポリペプチドのアミノ酸配列をコードする遺伝子を
含む発現ベクターの調製及び微生物での発現 式(1)に示すLTポリペプチドのアミノ酸配列をコー
ドする遺伝子を微生物、例えば大腸菌で発現させるには
適当なプロモーター、例えばtac(trc)プロモーターあ
るいはtrpプロモーターの下流に開始コドン(ATG)を付
したLTcDNA遺伝子を連結させればよい。さらに開始コド
ンの5〜15塩基上流にリボゾーム結合部位が必要とされ
る。
一般にほにゆう動物の遺伝子を微生物例えば大腸菌で
発現させた場合、産生量が低い場合がある。この原因と
して例えばプロモーターの転写効率、リボゾーム結
合部位、ATG周囲の塩基配列と二次構造コドンの使用
ひん度生産物のデグラデーシヨン等が考えられる。
についてはtac(lac系)プロモーターやtrpプロモータ
ーが一般に使用されている。については種々のリボゾ
ーム結合部位を検索して最適なものを選ぶ。について
はほにゆう動物と大腸菌のコドンの使用ひん度には相違
がみられるので、大腸菌のコドンに変更した方が望まし
い場合がある。については、種々の大腸菌に導入した
り、より完全な制御を行うために、リプレツサー遺伝子
を発現ベクターに組み込むことは重要である。プロテア
ーゼにより切断されやすいアミノ酸残基に相当する塩基
を置換、欠失等させることも重要である。またシグナル
ペプチドに相当する塩基配列をLTcDNAと融合させて、ペ
リプラズムあるいは培地中に分泌させることも有効な手
段である。
本発明では特に,及びの項目を考慮してLT発現
ベクターを作製するとよい。即ち、trc(tacプロモータ
ーの一種)を使用し、LTのN末端に相当する合成DNA部
分は後の遺伝子操作を容易に実施できる様、制限酵素部
位を導入する以外は大腸菌の最適コドンに変更する。さ
らに宿主のスクリーニング並び効果的に誘導が行われる
ように、発現ベクター上にリプレツサー遺伝子を導入す
る。
以上記述した方法により作製したLT発現ベクターを有
する大腸菌に用いられる培地は天然培地あるいは合成培
地いずれも使用できる。
さらに培地条件においては、LTの産生に適した培養温
度、pH、撹拌速度、通気量を検討することも必要であ
る。
LTポリペプチド産生大腸菌の培養及び精製 で取得した形質転換体(LT産生大腸菌)をIPTGを含
む培地中でLTポリペプチドが十分に産生されるまで培養
する。次いで培養物を超音波破砕、APVゴーリン高圧ホ
モジナイザーなどにより破壊、破壊物又は破壊物の遠心
分離後上清を硫安分画、限外濾過、イオン交換クロマト
グラフイー、ゲル濾過、熱処理、逆相クロマトグラフイ
ー、キレート樹脂、逆相クロマトグラフイーとの組合せ
により精製し、LTポリペプチドを実質的に純品として得
ることができる。
で得たLTポリペプチドに関し、アミノ酸組成及びN
末端アミノ酸配列を測定した結果、実施例に示すように
式(1)から推定される値と一致した。
LTポリペプチドの抗腫瘍作用 LTポリペプチドは、in vitro及びin vivoにおいて動
物腫瘍細胞に対し致死作用を有し、抗腫瘍剤として利用
できることが明らかとなつた。以下実施例を挙げて本発
明を更に具体的に説明するが本発明はこれら実施例に限
定されるものではない。
〔実施例〕
実施例1 リンホトキシン産生ヒトT細胞ハイブリドーマの調製 ヒト末梢血リンパ球(以下PBLと略)106個/mlをRPMI
培地中、コンカナバリンA(以下ConAと略)20μg/mlに
より2日間処理後、0.2Mのα−メチル−D−マンノシド
にて細胞に結合したConAを可及的に除去した。
他方、RPMI培地中で増殖期にあるヒトTリンパ球系腫
瘍細胞CCRF−CEM(以下CEMと略)を遠心分離で回収し、
RPMI1640−10mM HEPES培地中に2×106個/mlに懸濁し、
エメチン塩酸塩(半井化学社)及びアクチノマイシンD
(PLバイオケミカルズ社)をそれぞれ5×10-5M及び0.2
5μg/mlとなるように添加し、37℃、2時間処理した
後、培養液中のエメチン塩酸塩及びアクチノマイシDを
遠心除去した。
以上のように調製したPBLとCEMを10:1の割合で混合
後、遠心分離して得た細胞ペレツトに0.5mlの46%ポリ
エチレングリコール(PEG−1540、和光純薬社)、5μg
/mlのポリ−L−アルギニン及び15%ジメチルスルホキ
シド含有MEM培地を加え、37℃、45秒間ゆつくり撹拌し
て融合させ、10mlの25mM HEPES(pH7.2)で緩衝化したM
EM培地10mlをゆつくり添加し、遠心した。
細胞ペレツトにRPMI培地を加え、細胞数を106個/mlと
し、その100μlとフイーダー・セル(feeder cell)と
してマイトマイシンC処理したCEM(4×105個/ml)含
有RPMI培地100μlとを混合し、96穴カルチヤープレー
トに加え、CO25%−空気95%の雰囲気下、37℃で約3〜
4週間培養後、増殖した融合細胞を上記マイトマイシン
C処理CEMをフイーダー・セルとして限界稀釈法により
クローン化し、各クローン増殖後、リンホトキシン活性
の測定を行つた。
なお、培養条件については特に限らない限り、CO25%
−空気95%の雰囲気下、37℃で行つた。
本発明に用いるリンホトキシン産生クローン化ヒトT
細胞ハイブリドーマA−C5−8株を、2.5×105個/mlの
細胞濃度でConA20μg/ml及びPMA20ng/mlで刺激し、24時
間培養して得たリンホトキシン活性は250単位/mlであつ
た。他方未刺激のA−C5−8株のリンホトキシン活性は
4.0単位/mlであつた。
実施例2 リンホトキシン産生ヒトT細胞ハイブリドーマ(A−C5
−8)からのmRNA分画の単離精製 (1)リンホトキシン産生ヒトT細胞ハイブリドーマ
(A−C5−8)の培養 A−C5−8株を5×106〜107個/mlの細胞濃度で、PMA
及びConAをそれぞれ終濃度100ng/ml、20μg/mlで添加し
て2,4,8,24,48時間培養した。
(2)全RNAの調製 A−C5−8株の全RNAを抽出する方法は主に塩酸グア
ニジン法で行つた。すなわち、実施例2−(1)の各々
の培養時間後のA−C5−8細胞を1000rpm、5分間遠心
して集め、PBS(5mMのリン緩衝液、0.15MのNaCl含有、p
H7.4)に懸濁した後、更に1000rpmで5分間遠心して細
胞を洗浄した。
この細胞〔実施例2−(1)の各々の培養時間でそれ
ぞれ4×108、6×108、3.2×108、1.8×109及び2×10
9〕をホモジネート緩衝液に懸濁し、ホモジナイズし
た。このホモジネートに0.025等量の1M酢酸及び1.5倍量
の冷エタノール(−20℃)を加え混合後、−20℃に3時
間以上放置した。これを−10℃で15000rpm(RPR18−2
ローター、日立製作所製)で30分遠心分離し、生じた沈
殿にウオツシング緩衝液(ホモジネート緩衝液に20mM E
DTAを更に含有しているもの、以下WBと略)を加えてピ
ペツテイングで均一に溶解後1M酢酸を加えてpH5とし、
更に冷エタノールを1.5倍量加え、−20℃に3時間以上
放置した。これを−10℃で15000rpmで30分間遠心分離
し、沈殿をWBに溶解、1M酢酸によるpH調整、冷エタノー
ル沈殿を3回繰返した。
エタノール沈殿物に少量の0.1%SDSを加えて懸濁し、
等量のエクストラクシヨン緩衝液(0.5%SDS、0.1M NaC
l、50mM酢酸ナトリウム、5mM EDTA2Na含有、pH5.2)と
2等量の水飽和フエノール〔0.1%8−キノリノール含
有、100mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)飽和〕−クロロホ
ルム−イソアミルアルコール溶液(体積比50:50:1)を
加え、10分間振盪した後、3000rpm、10分間遠心分離し
た。三層に分離した下層を除去し、上層と中間層に等量
のクロロホルム−イソアミルアルコール溶液(体積比5
0:1)を加え、10分間振盪した後、3000rpmで10分間遠心
分離し、下層を除去した。このクロロホルム−イソアミ
ルアルコール溶液による抽出操作を三回繰返した。DN
A、RNA、糖等を含む上層に3M酢酸ナトリウム(pH5.2)
を0.1等量加え、2等量の冷エタノールを加え−20℃で
3時間以上放置後、15000rpm(RPR18−2ローター)で3
0分間遠心分離した。生じた沈殿に少量の滅菌蒸留水を
加えて溶解した後、等量の冷4M塩化リチウムを加え、0
℃に一夜放置し、15000rpmで30分間遠心分離し、沈殿を
少量の2M塩化リチウムで洗浄後、滅菌蒸留水を加えて溶
解し、1/10量の3M酢酸ナトリウム(pH5.2)を加えた
後、2等量の冷エタノールを加え、−20℃で3時間以上
放置した。15000rpmで30分間遠心分離し、沈殿を0.01M
トリス塩酸緩衝液(0.5M NaCl、0.1%SDS、1mM EDTA3Na
含有、pH7.5)に溶解した。次いで、あらかじめ同緩衝
液で緩衝化しオリゴ(dT)12-15セルロース(PLバイオ
ケミカルズ社)3mlを直径1cmのカラムに充填し、全RNA
を供給した。同緩衝液で260nmの吸光度が0.05以下にな
るまで洗浄後、更に0.01Mのトリス塩酸緩衝液(0.1M Na
Cl、0.1%SDS、1mM EDTA・3Na含有、pH7.5)で溶出を開
始し、260nmの吸光度が0.05以下になるまで洗浄した。
最後に0.01Mトリス塩酸緩衝液(0.1%SDS、1mM EDTA・3
Na含有、pH7.5)でポリアデニル酸結合RNA(mRNA)をカ
ラムから溶出し、フラクシヨンコレクターで分取し、26
0nmの吸光度が検出される画分を集合した。2,4,8,24,48
時間の各時間培養したA−C5−8細胞からそれぞれ58,1
30,180,120,258μgのmRNAを回収した。
(3)LTに対応するmRNAが卵母細胞で翻訳されることの
確認 約2年令のアフリカツメガエル(メス、体重50g以
上、日本生物材料センターより購入)に、血清性性腺刺
激ホルモン(獣医用ピーメツクス注射剤(三共)〕200U
/匹の割合で大腿部に筋注した。翌日、氷水中につけて
麻酔した後、腹部を切開して卵母細胞を採取し、MBS中
で単離した。直径1mm以上の卵母細胞を1個につき実施
例2−(2)で得たmRNAを滅筋蒸留水に溶解(1mg/ml)
とし、50nl(50ng)づつマイクロキヤピラリーとマイク
ロインジエクター〔(株)成茂科学器械研究所製〕を使
用して実体顕微鏡下に注入した20個の卵母細胞を0.2ml
のMBS中23℃で培養した。又、同時に滅菌蒸留水のみ50n
lずつ注入した。卵母細胞20個も0.2mlのMBS中23℃で培
養した(コントロール)。
24時間又は48時間培養後の培養上清のLT活性を測定し
た結果、48時間培養が卵母細胞の最適培養時間であるこ
とが判明した。更に、A−C5−8細胞のConAとPMAの刺
激下での培養時間は、2,4,8,24,48時間培養細胞のそれ
ぞれのmRNAの翻訳されたLT活性が、それぞれ7.8,4.6,4.
1,2.7,0単位/mlとなることより、mRNAを取得するために
は、2時間培養がA−C5−8細胞の最適培養時間である
ことが判明した。コントロールではLT活性が検出されな
いことから、LTのmRNAが卵母細胞中で翻訳されることを
確認した。
(4)A−C5−8細胞の大量培養とmRNAの取得 実施例2−(3)で決定したConA及びPMA刺激下の最
適培養条件でA−C5−8細胞を培養し3×109個の細胞
を集めた。この細胞から実施例2−(2)の方法に準じ
てmRNAを単離精製し、512μgのmRNA両分を得た。
(5)シヨ糖密度勾配遠心法によるmRNAの分画とLTに対
応するmRNA沈降定数の決定 全mRNA512μgを0.01Mトリス塩酸緩衝液(0.1M EDTA
・2Na、0.2%SDS含有、pH7.5)に溶解し、それを同緩衝
液に溶解した5〜30%のシヨ糖密度勾配溶液5ml上に重
層し、RPR55T−208ローター(日立製作所製)を使用し
て28000rpmで16時間、15℃下に遠心した。次いで内容物
を25本(各216μl)に分画した。各分画に3M酢酸ナト
リウムを1/10量、冷エタノールを2等量加えて−20℃で
一夜放置し、mRNAを沈殿回収した。
回収したmRNAを滅菌蒸留水で溶解(0.5mg/ml)し、10
0mlを実施例2−(3)の方法に準じて卵母細胞20個に
注入し、0.2mlのMBSで48時間培養後、培養上清中のLT活
性を測定した。その結果、分画No13が最大のLT活性を示
し、沈降定数の標準マーカー(5S,18S,28S)を用いた検
量線から、LTに対応するmRNAの沈降定数は12.6S〜14.6S
であることが判明した。
ここで得られた精製mRNAを、以下の実験に用いた。
実施例3 (1)cDNAの合成 精製mRNA5μgを使用し、逆転写酵素システム〔32P〕
(ニユー・イングランド・ニユークリア社)を一部変更
してcDNAを合成した。逆転写酵素反応緩衝液20μl、デ
オキシヌクレオシド・トリフオスフエート混合物10μ
l、リボヌクレアーゼAインヒビター20単位、オリゴ
(dT)12-1810μg、600mMのβ−メルカプトエタノール
5μg、32P標識dCTP〔比活性800Ci/mmol(100μC
i)〕、mRNA5μg、50単位トリ骨髄性白血病ウイルス由
来逆転写酵素の系で100μlの容量で、42℃、1時間反
応させた後、氷冷して反応を停止し、遠心後mRNAとcDNA
とハイブリツドを、沸騰水浴中で3分間の熱処理で分離
し、氷水浴中で5分間急冷した。
変性した蛋白を12000×g、2分間の遠心でペレツト
とし、再度氷冷をした。この反応終了液99μlに氷冷下
で16.2μlの滅菌蒸留水、DNAポリメラーゼI反応緩衝
液46.8μl、デオキシヌクレオシド・トリフオスフエー
ト混合物10.4μl、32P標識dCTP〔800Ci/mmol(100μC
i)〕及び15.6μlの大腸菌由来DNAポリメラーゼI(80
00単位/ml)を加え、198μlとして、よく撹拌、遠心
後、15℃で20時間反応させた。この反応終了液197μl
に0.2M EDTA・2Na(39.4μl)を加え反応を停止後、1N
NaOH(49.25μl)を加え、65℃で1時間アルカリ加温
処理を行い、mRNAを分解し、氷冷、遠心後に1Mトリス塩
酸緩衝液(49.25μl、pH8.0)及び1N HCl(49.25μ
l)を加えて中和した。
これを1/2等量の水飽和フエノールと1/2等量のクロロ
ホルム−イソアミルアルコール(50:1)で抽出し、遠心
後の上層を分取し、下層に等量の10mMトリス塩酸緩衝液
〔100mM NaCl、1mM EDTA・2Na含有、pH8.0〕を加えて再
抽出を行い、その上層も分取した。分取した両上層を等
量のクロロホルム−イソアルミルアルコールで抽出し、
遠心分離後下層(有機層)を除去した。この抽出操作を
4回行つた後に等量の水飽和エチルエーテルで3回抽出
を行い、有機層を除去後、60℃水浴で加温処理して混在
するエチルエーテルを除去した。
この水層を第2ブタノールで濃縮し、終濃度0.01MのM
gCl2と2等量の冷エタノール(−20℃)を加え、−80℃
で一夜放置した。12000×gで10分間遠心後の沈殿を減
圧下で乾燥した後、滅菌蒸留水50μlに溶解し、逆転写
酵素反応緩衝液20μl、600mMβ−メルカプトエタノー
ル5μl、デオキシフクレオシド・トリオスフエート混
合物10μl及び32P標識dCTP〔800Ci/mmol(100μCi)〕
を加えよく撹拌遠心後5μlの前述の逆転写酵素を添加
後、42℃1時間反応させた。氷冷下で反応を停止し、ヘ
アピン構造を持つcDNAを得た。
上記反応液99μlに滅菌蒸留水92.1μl、前述のDNA
ポリメラーゼI反応緩衝液23.4μl、S1ヌクレアーゼ反
応緩衝液55μl、アスペルギルス・オリーゼ(Aspergil
lus oryzae)由来S1ヌクレアーゼ(50単位/ml)5.5μl
を加え37℃、30分間反応し、ヘアピン構造を切断して2
重鎖cDNAを得た。この溶液に0.1Mトリス塩酸緩衝液〔0.
1M EDTA・2Na含有、pH7.5〕を46μl加え、ベツド容量2
0mlのセフアクリルS−200カラム(1.0×25cm)に供給
し、10mMトリス塩酸緩衝液〔0.1M NaCl,1mM EDTA・2Na
含有、pH7.5〕にて溶出した。300μlずつ分画し、空隙
率付近に溶出した分画を第2ブタノールで濃縮を行い、
エタノール沈殿によりcDNAを回収した。
(2)オリゴ(dC)テール付加cDNAの調製 上記により得られた二重鎖cDNAに次の組成の反応緩衝
液160μlを加えて37℃で5分間反応させ二重鎖cDNAに
オリゴ(dC)テールを付加させた。
反応緩衝液は、2mMのDTT、5mTのCoCl2、0.25mg/mlのB
SA、5μMのdCTP、3H標識dCTP〔25Ci/mmole(15μC
i)〕及び30単位ターミナルデオキシヌクレオチジルト
ランスフエラーゼを含有する0.2Mのカコジル酸カリウム
−25mMトリマス塩酸緩衝液(pH6.9)である。
反応は氷冷下で停止させ、等量の水飽和フエノール−
クロロホルム−イソアミルアルコール(50:50:1)を加
えて抽出し、再度クロロホルム−イソアミルアルコール
(50:1)で抽出し、40μgの大腸菌由来リボゾールRNA
及び1/50量の5M NaClを加え、2等量の冷エタノールを
加え、−80℃で一夜放置した。遠心分離でオリゴ(dC)
テール付加cDNAを回収し、滅菌蒸留水に溶解し、0.5ng/
μlの濃度とした。
(3)組換え体プラスミドの作製 オリゴ(dC)テール付加cDNA1.375ngをオリゴ(dG)
10-20テール付加pBR322DNA10ng(アマシヤム社製)とを
アニール溶液〔100mM NaCl;0.1mM EDTA・2Naを含有する
10mMトリス塩酸緩衝液(pH7.8)〕25μl中で65℃、15
分間インキユベート後インキユベーターを45℃に設定
し、45℃になつた後さらに2時間インキユベート後、氷
冷してアニーリングを行い、組換え体プラスミド溶液を
調製した。
(4)形質転換体の選択 上記で得られた組換体プラスミド溶液を用い、大腸菌
HB101を株を形質転換させた。即ち、大腸菌HB101株を、
0.1%グルコースを含むL−ブロス10ml中、37℃で吸光
度(650nm)が0.05となるまで培養し、この5mlを0.1%
グルコースを含むL−ブロス500mlに加え、25℃で吸光
度(650nm)が0.3となるまで培養した。30分間氷冷後、
3000rpm(RPR9−2ローター;日立製作所製)、4℃で
5分間遠心して集菌した。この菌体を冷50mM CaCl2250m
lに分散し、15分間氷冷した。4℃、5分間、2500rpm
(RPR9−2ローター)で集菌し、20%グリセロールを含
有する50mM CaCl225mlに分散し、1mlずつ分注し、ドラ
イアイス粉末で凍結後−80℃に保存した。この保存菌体
分散液を氷冷下で解凍し、その0.3mlに前述の組換え体
プラスミド溶液0.15ml及び20mM CaCl2−60mM MnCl2−20
mM RbCl溶液0.15mlを混合し、0℃、20分間静置し、更
に室温で10分間静置後、あらかじめ37℃に温めた0.1%
グルコース含有L−ブロス2.4mlを添加混合し、37℃、
1時間振盪培養を行つた。この培養液の一部を取り、前
述の成分の他にテトラサイクリン15μg/mlを含有したL
−ブロス寒天平板に広げ37℃で約12時間培養し、テトラ
サイクリン耐性菌を選択してcDNAライブラリーを作製し
た。
(5)ハイブリダイゼーシヨン試験 前記のcDNAライブラリーについて、LTをコードするcD
NAを含むプラスミドを待つ形質転換体をスクリーニング
するために、32P標識合成cDNAプローブを用いるコロニ
ー・ハイブリダイゼーシヨン試験を行つた。
合成cDNAプローブは、グレイらがネイチヤー〔Nature
312 721(1984)〕に報告しているLT遺伝子の404から4
21番目の18塩基(5′−GTCTACTCCCAGGTGGTC−3′)並
びに500から517番目の18塩基に対応する相補的な塩基配
列(5′−CACATGGAAGGGGTACTG−3′)を化学合成し、
その16.6pmolを5単位T4フアージ感染イー・コリ由来T4
ポリヌクレオチドキナーゼとγ−32P ATP〔5μ Ci/pmo
le(20μ Ca)〕を用いて、50mMトリス塩酸緩衝液〔10m
M MgCl2、5mM DTT、0.1mMスペルミジン、0.1mM EDTA・2
Na含有、pH7.6〕中、37℃、30分間反応させた。
反応はEDTA溶液を添加し、0℃に氷冷することで停止
した。この2種の32P標識cDNAプローブの両方に弱い条
件で、ハイブリダイズする組換え体プラスミドを有する
形質転換体を選別した。約1万個のコロニーから6個の
コロニーが選び出された。
次にこの選択された6つの菌株から組換え体プラスミ
ドを分離し、制限酵素Hind IIIで、切断し、アガロース
ゲル電気泳動を行い、ニトロセルロースフイルターにト
ランスフアーし、再度32P標識合成cDNAプローブと厳し
い条件でハイブリダイズした。その結果、1個のクロー
ンが選択された。
次にこの選択された菌株についてハイブリダイゼーシ
ヨントランスレーシヨン試験を、マニアチス(Maniatis
T.)らのモレキユラー・クローニング(“Molecular C
loning"329(1980)、コールド・スプリング・ハーバー
・ラボラトリー)に記載の法に従つて行つた。この形質
転換体よりプラスミドDNAを抽出し、ニトロセルロース
フイルター上に加熱変性させた後に固定し、これに実施
例2−(4)で得たLTmRNAを含むmRNA画分を加え50℃で
3時間反応させ、ハイブリダイゼーシヨンを行つた。結
合したmRNAを溶出回収した後、実施例2−(3)の方法
に従つて卵母細胞に注入し、回収されたmRNAがLTmRNAで
あるか否かを検出した。
その結果、pLT13の場合は10単位/mlのLT活性が検出さ
れたが、pBR322を使用したコントロールではLT活性が認
められなかつた。
このcDNAを制限酵素Hind IIIで切断し、アガロースゲ
ル電気泳動でその大きさを調べたところ、約1.35Kbpのk
DNA部分を有していた。
このcDNAを含む形質転換体(菌体番号:LT13、クロー
ン化DNA番号:pLT13)について、クローン化DNAを単離し
後述の方法で塩基配列を決定した。
実施例4 クローン化DNAの塩基配列の決定 (1)制限酵素地図の作製 実施例3−(5)で得られた菌株(LT13)を0.1%グ
ルコース及び15μg/mlテトラサイクリン含有L−ブロス
で培養して菌体を得た。この菌体からプラスミドDNAを
回収し、次項で述べるM13mP8,9に導入できる制限酵素Ec
oR I,Sma I,Bam H I,Pst I,Sal Hind IIIの制限酵素地
図を作製した。第1図の参照。
(2)クローン化DNAの塩基配列の決定 クローン化DNAの塩基配列の決定はメツシング(Messi
ng)らの方法〔ジーン(Gene)19 269(1982)〕に従
つてcDNA断片をM13mp8またはmp9でサブクローニングし
た後、サンガー(Sanger)らの方法〔プロシーデイング
ス・オブ・ザ・ナシヨナル・アカデミー・オブ・サイア
ンシズ・オブ・ザ・USA(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)74
5463(1977)ジヤーナル・オブ・モレキユラー・バイ
コロジー(J.Mol.Biol.)162 729(1982)〕のジデオ
キシ・チエイン・ターミネーシヨン法により、プライマ
ーのアニール、DNAポリメラーゼIのクレノウフラグメ
ントによる相補鎖合成(32P標識dCTP〔800Ci/mmol(20
μCi)〕で標識)ゲル電気泳動及びオートラジオグラフ
イーから決定した。
第2図に塩基配列の決定に用いた制限酵素切断部位と
塩基配列を決定した方向及び範囲を矢印で示す。矩形で
描いた部分はLTの翻訳領域をコードする部分を示す。第
63から677番目はLTの前駆体を構成するに必要なポリペ
プチドをコードすると推定される塩基配列である。
このうち第165番目からがLTをコードしていると考え
られ、グレイ(Gray P.W.)らが〔ネイチヤー(Natur
e)312 721(1984)〕に報告したLTとは、26番目のア
ミノ酸がThr(ACC)であるのに対し、Asn(ACC)である
点が異なつている。C末端アミノ酸(ロイシン)のコド
ンに続いて、終始コドン(TAG)がある。またペプチド
コード部位以外に第1〜4番目GGTCがCGGGに、第862〜8
65番目CACAがACACに第1306〜1310番目TGAAAがCCCCTにお
いて異なつている。
実施例5 (1)LTcDNAの制限酵素による切断 実施例3で取得したクローン化DNA,pLT13をdam株大腸
菌SK383に導入、プラスミドDNAを調整した。これは制限
酵素Bcl Iがdam感受性であるためである。
次にこのpLT13をBcl Iで消化、バクテリアル・アルカ
リホスフアターゼ(BAPと略、ベセスタ・リサーチ・ラ
ボラトリーズ社製)で5′末端を脱リン酸化した。
以下に示すHind IIIリンカーを作成し、5′末端をT4
DNAキナーゼ GATCAAGCTT TTCGAACTAG (宝酒造社製)でリン酸化、ついでアニールを行い、二
本鎖DNAを作成した。
pLT13Bcl I消化物とHind IIIリンカーをT4DNAリガー
ゼで結合させ、大腸菌HB101に導入した。Hind IIIリン
カーが導入されたプラスミドpLT13Hを得た。
pLT13HをRsr II並びにHind IIIで消化後、常法に従つ
て4%アクリルアミドゲル電気泳動で分画し、502bpの
断片を回収した。
(2) オリゴヌクレオチドの合成 下記構造のオリゴヌクレオチドL1(88mers)並びにL2
(87mers)をβ−シアノエチルホスフアアミダイド法
(バイオサーチ社製モデル8600)で合成した。合成オリ
ゴヌクレオチドの精製は逆相クロマトグラフイー(c18
カラム:日本ウオーターズ社製)によりバイオサーチ社
のプロトコールに従つた。5′末端をリン酸化後アニー
ルを行い二本鎖DNAとした。
L1: 5′−CATGCATCTGGCTTCTAACCTGAAACCCGCGGCT CACCTGATCGGTGACCCGTCTAAACAGAACTCTC TGCTGTGGCGTGCTAACACG−3′ L2: 5′−GTCCGTGTTAGCACGCCACAGCAGAGAGTTCTGT TTAGACGGGTCACCGATCAGGTGAGCCGCGGGTT TCAGGTTAGAAGCCAGATG−3′ (3)LTcDNA断片の発現ベクターへの導入 発現ベクターpKK233−2(フアルマシア社製)をNco
I並びにHind IIIで消化、常法に従つて0.7%アガロース
ゲル電気泳動により分画、ベクターを回収した。(1)
並びに(2)で調整したDNAと上記調整したベクターを
結合させ、大腸菌JM105に導入、アニピシリンを含むLB
培地で選択し、約2,500個の形質転換体を得た。
(4)合成プローブによるスクリーニング (3)で得た形質転換体について(2)で示した合成
オリゴヌクレオチドL1を〔γ−32P〕ATPで5′末端をラ
ベルしてプローブとし、これを用いてコロニーハイブリ
ダイゼーシヨン試験を行つた。ハイブリダイズした形質
転換体のうち24クローンについてさらに制限酵素によつ
て消化後、アガロースゲル電気泳動を行い目的とする断
片及びその方向を検索した。目的とするプラスミドpDK1
00を得た。
(5)合成DNAの塩基配列決定 (4)で得たプラスミドpDK100をNsi I並びにHind II
Iで消化、アガロースゲル電気泳動で分画しLT cDNA断片
を回収していた。これをM1mp19のPst 並びにHind III部
位に結合させ、dideoxy法により合成DNA部分の塩基配列
を決定した。その結果、、合成DNA部分は目的とする塩
基配列と一致した。
(6)リプレツサー遺伝子の導入 プラスミドpMJR1560(アマシヤム社製)をHind IIIで
消化、DNポリメラーゼI(クレノーフラグメント)で
5′末端を平滑末端とした後EcoR Iで消化、1%アガロ
ースゲル電気泳動で分画し、1asリプレツサー(1ac
I9)遺伝子を含む断片1,261bpを回収した。
(4)で得たプラスミドpDK100をEcoR I並びにPvu II
で消化、LT遺伝子を含む断片を回収後、1acリプレツサ
ー遺伝子の断片と結合させ、大腸菌HB101に導入、pDK10
1を得た。以上(1)から(4)までの構築過程を第3
図に示す。
(7)種々の大腸菌への導入 (6)で得たpDK101のDNAを精製し、これを大腸菌JM1
05、W3110(ATCC27,325)並びにY1089(ATCC37,196)に
導入した。
実施例6 実施例5−(6)で得たpDK101を有する大腸菌HB101,
JM105,W3110並びにY1089を50μg/mlのアンピシリンを含
むLB培地注)でO.D.550=0.5になるまで培養しイソプロ
ピル−β−D−チオガラクトシド(IPTG)を終濃度1mM
になるように加え、更に4時間培養した。集菌洗浄後破
砕バツフアー(50mM Tris−HCl(pH8.0)、10mM EDTA,3
0mM NaCl0.01mM(p−アミジノフエニル)メタンスルホ
ニルフルオライドにけん濁後リゾチーム−凍結融解法に
より細胞を破砕、上清についてLT活性を測定した。その
結果第2表に示す活性が得られた。
実施例7 実施例6で取得した大腸菌W3110〔pDK101〕を実施例
6と同様の方法で培養物10lを得、限外濾過法で濃縮後
高圧ホモジナイザー(APVゴーリン)で菌体破砕した。
破砕液にポリエチレンイミン(終濃度0.5%)を加えて
除核酸後、硫安塩析(40%飽和)し、沈殿を5mM Tris−
HClバツフアー(pH8)に溶解した。60℃、30分間加熱処
理後、DEAE−セルロフアインAMカラム(チツソ社9×50
cm)で吸着させ、0〜0.2M NaClの濃度勾配で溶出させ
た。活性画分を亜鉛キレートセフアローズカラム(フア
ルマシア社1.6×20cm)に吸着し、0〜0.2Mイミダゾー
ル(pH7.5)の濃度勾配で溶出させた。活性画分をセフ
アクリルS−200カラム(フアルマシア社、5×100cm)
を用いてゲル濾過し、活性画分(S−200分画液)を得
た。S−200分画液中のLTポリペプチドの比活性は7×1
07単位/mgタンパク、菌体破砕液からの活性回収率は30
%であつた。S−200分画液を0.1%SDSを含むポリアク
リルアミド電気泳動(SDS−PAGE)法〔レムリー(U.K.L
aemmli);ネイチヤー(Nature)227 680(1970)〕に
より分子量を測定した結果約16000であつた。又各精製
工程におけるLTポリペプチドの分解(低分子化)は全く
認められなかつた(SDS−PAGE分析) 実施例8 実施例7で取得したS−200分画液をc18逆相クロマト
グラフイーカラム(ウオーターズ社、0.39×30cm)によ
り精製(c18分画液)し、アミノ酸組成分析、N末端ア
ミノ酸配列分析を行つた。
(1)アミノ酸組成 c18分画液を減圧乾固後、ワークステーシヨン(ウオ
ーターズ社)を用いて塩酸加水分解次いでフエニルチオ
イソシアネートと反応させPTC−アミノ酸とした後、ア
ミノ酸分析計(逆相分配法、ウオーターズ社)にて組成
分析を行つた。トリプトフアン及びシステインはイング
リス(A.S.Ing1is)の方法〔メソツズ イン エンザイ
モロジー(Methods in Enzymology)、vol.91,p26ed.by
C.H.W.Hirs et al,Academic Press,1983〕に従つて定
量した。結果を第2表に示す。
分析値は、式(1)より求めた計算値と良く一致し
た。
(2)N末端アミノ酸配列 N末端アミノ酸配列は、エドマン(Edman)法〔P.Edm
an;アーキテキクチユア バイオケミストリー アンド
バイオフイジツクス(Arch Biochen.Biophys.)、22
475(1949)〕に従がい、気相式プロテイン・シーク
エンサー(アプライド バイオシステムズ社477A型)及
びPTHアナライザー(アプライド バイオシステムズ社1
20A型)により測定した。
この結果、LTポリペプチドのN末端部分のアミノ酸配
列は MET−HIS−LEU−ALA−SER−ASN−LEU−LYS−PRO−ALA− −ALA−HIS−LEU−ILE−GLY−ASP−PRO−SER−LYS−GLN
−ASN− であり、式(1)のN末端アミノ酸から21番目のアミノ
酸まで完全に一致した。
実施例9 Balb/Cマウス(8週令、メス、日本チヤールスリバー
より購入)右そけい部皮下にマウス腫瘍Meth Aを1×10
5細胞接種、7日目に腫瘍の大きさは40〜60mm2に成長し
た。実施例7で取得したS−200分画液をゼラチン100μ
g/ml含むPBSに希釈し作製したLT製剤を腫瘍移植7日後
のマウスに静脈内(iv)及び腫瘍内(it)投与を7日目
より連続5日間行つた。iv投与系では1×104u/マウス
/日、it投与系では5×102u/マウス/日で各々25日、2
0日後に腫瘍は完全に消失した。
参考例 特願昭61−151772号明細書記載の式(2)に示すLTポ
リペプチドは実施例8の精製工程中に次のN末端側アミ
ノ酸配列 MET−ASP−PRO−ALA−GLN−THR−ALA−;MET−ASP−PRO
−ALA−GLN−THR−ALA−ARG−GLN−HIS−PRO−LYS−MET
−;MET−ASP−PRO−ALA−GLN−THR−ALA−ARG−GLN−HI
S−PRO−LYS−MET−HIS−が欠如したポリペプチドを一
部生成した。これらのポリペプチドはいずれもLT活性を
有していた。
〔発明の効果〕 本発明のLTポリペプチドはリンホトキシン活性をも
ち、生成及び保存中に分解を受けず安定であり、実質的
に不純物を含まない新規な生理活性ポリペプチドであ
り、かつ抗腫瘍剤として有用である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明実施例による制限酵素地図を示す概略
線図、第2図は、本発明実施例による塩基配列の決定に
用いた制限酵素切断部位と塩基配列を決定した方向およ
び範囲を示す概略線図 B……Bam H I、E……EcoR I、P……Pst I 第3図は実施例5のLTポリペプチドのアミノ酸配列をコ
ードする遺伝子を含む発現ベクターpDK101の構築工程を
示す。矢印はプロモーターの働く方向を示す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:19)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(1)次式 で表されるアミノ酸配列からなり、組換え体を使用した
    生産工程において、分解を受けずに均一なN末端アミノ
    酸配列を有することを特徴とする安定な新規生理活性ポ
    リペプチド。
  2. 【請求項2】次式 を有効成分とする抗腫瘍剤。
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