JP2547678Y2 - 移植機の苗載装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は左右往復移動させる苗載
台に苗トレイを搭載させ、該苗トレイから例えば１株毎
のポット苗を苗取出爪によって取出して順次移植を行う
ようにした主に野菜用移植機の苗載装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、実開平２−５５５１２号公報に示
す如く、苗トレイは弾性を有する合成樹脂材などで一般
に成型加工されていて、苗載台上で苗トレイの底部の陥
没部に縦送り軸を掛合させて、該縦送り軸を縦送り方向
に移動させることによって苗トレイの縦送りを行う技術
がある。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】前記従来技術は、同一
円周上に略等間隔に縦送り軸を設ける巻取り回転体を苗
取出爪による苗取出音に設け、ベルト式の送り台から巻
取り回転体に苗トレイを移動させるから、送り台終端か
ら縦送り軸支持位置の間で苗トレイが下方に折曲がり変
形し易く、不完全な苗トレイの受継によって縦送り軸に
支持される苗トレイのセルが左右方向に移動し易く、苗
トレイが左右方向に波打状に変形し、１株毎の苗を収容
するトレイの各セルの左右ピッチも変化する状態となっ
て、苗取出爪による正確な苗取出しが行えず最悪の場合
欠株が発生するなどの問題があった。

【０００４】

【課題を解決するための手段】然るに、本考案は、苗ト
レイを載せる苗載台と、苗載台上の苗トレイのセルから
ポット苗を取出す苗取出爪と、苗取出爪からポット苗を
受取って植付ける植付爪を設ける移植機の苗載装置にお
いて、苗載台にスプロケットを介して縦送りチェンを張
設させ、縦送りチェンに縦送り軸を介して苗トレイを載
せると共に、苗取出爪による苗取出位置の縦送りチェン
を挾んでトレイガイドとトレイガイド板を対向配設さ
せ、前記トレイガイドとトレイガイド板の縦送り案内に
よりスプロケットの円周方向に縦送りチェンにより苗ト
レイを縦送り移動させるように構成したもので、縦送り
軸を縦送りチェンに設けて苗トレイを載せるから、従来
の送り台及び巻取り回転体を不要にし、受継ぎ不良によ
る苗トレイの下方折曲がり変形などをなくし得ると共
に、トレイガイドとトレイガイド板の縦送り案内により
苗トレイを縦送り移動させるから、苗トレイのセルが左
右移動する変形を容易に防止し得、苗取出爪の苗取出方
向に対し苗トレイのセルが左右に傾いて苗取出し動作が
不良になる不具合などをなくし得るものである。

【０００５】

【実施例】以下本考案の一実施例を図面に基づいて詳述
する。図１は苗縦送り部の側面説明図、図２は移植機の
全体側面図であり、図中（１）はエンジン（２）を搭載
する前フレーム、（３）は前フレーム（１）後端に連設
するミッションケース、（４）は前記ミッションケース
（３）に伝動ケース（５）を介し上下揺動可能に支持す
る左右の走行輪、（６）は前記ミッションケース（３）
の後方にシャーシフレーム（７）及び移植フレーム
（８）を介し装設する移植部（９）の苗取出装置、（１
０）は左右の走行輪（４）間で前記ミッションケース
（３）に植付伝動ケース（１１）を介して装設する移植
部（９）の苗植付装置、（１２）は畝上面を鎮圧する鎮
圧ローラ、（１３）は植付間隔調整用の株間検出ロー
ラ、（１４）は覆土ローラであり、前記苗取出装置
（９）において左右往復移動する苗載台（１５）上の苗
トレイ（１６）より１株分のポット苗を苗取出爪（１
７）でもって取出すと共に、この取出されたポット苗を
前記苗植付装置（１０）にあって昇降リンク（１８）を
介しマルチカッタ（１９）と連動して上下動する植付ホ
ッパである植付爪（２０）に放出供給して、操向ハンド
ル（２１）操作による機体の走行中畝面に一定間隔毎の
ポット苗の植付けつまり移植を行うように構成してい
る。

【０００６】図３乃至図５に示す如く、前記苗取出装置
（６）は、ミッションケース（３）からの駆動力を伝達
ベルト（２２）を介し苗取出駆動軸（２３）に入力させ
る横送り駆動ケース（２４）と、前記駆動軸（１３）に
ロータリケース（２５）及びクランクアーム（２６）及
びカム軸（２７）を介し左右一対の苗取出爪（１７）を
連結支持させる苗取出アーム（２８）と、前記クランク
アーム（２６）の回転時苗取出アーム（２８）をガイド
溝（２９ａ）に沿って苗取出位置及び苗放出位置に直線
及び揺動操作案内するアームガイド板（２９）と、前記
駆動軸（２３）に押出カム（３０）・押出揺動杆（３
１）・ロッド（３２）・揺動アーム（３３）・アーム枢
支軸（３４）・揺動アーム（３５）・係合軸（３６）を
介し連動連結させて押出カム（３０）の回転時苗トレイ
（１６）の底面側よりポット苗を押出動作させる苗押出
ピン（３７）のピン押出体（３８）と、前記押出体（３
８）を移動案内するガイド体（３９）及び前記枢支軸
（３４）を移植フレーム（８）に横フレーム（４０）及
び縦フレーム（４１）を介し支持する取付板（４２）と
を備え、前記駆動軸（２３）の回転による苗取出爪（１
７）の苗トレイ（１６）への上方よりの突入時にこれと
同調して苗トレイ（１６）底面側より押出ピン（３７）
を突入させて、苗トレイ（１６）からの苗取出しを確実
なものとさせるように構成している。

【０００７】また、前記苗載台（１５）左右両側の枠フ
レーム（４３）の下端側を移植フレーム（８）の固定ブ
ラケット（４４）に摺動筒軸（４３ａ）を介し左右移動
自在に支持するガイドレールである下ガイド軸（４５）
と、前記枠フレーム（４３）の上下略中間部を前記縦フ
レーム（４１）の上端に摺動筒軸（４３ｂ）を介し左右
移動自在に支持するガイドレールである上ガイド軸（４
６）と、前記横送り駆動ケース（２４）に横送り伝動ケ
ース（４７）を介して連結する横送り駆動軸（４８）の
トラバース溝（図示せず）に係合させる摺動体（４９）
と、前記摺動体（４９）に左右の枠フレーム（４３）を
介し一体連結させるＵ字形の連結杆（５０）とを備え、
前記枠フレーム（４３）前面側で上下ガイド軸（４５）
（４６）の略中央部に杆取付座（５１）を固設し、該取
付座（５１）にボルト（５２）を介し取外し自在に連結
杆（５０）の基端を固定させると共に、前記摺動体（４
９）の係合片（４９ａ）にセットボルト（５３）を介し
て連結杆（５０）先端の係合板（５４）を取外し自在に
固定させて、上下ガイド軸（４６）（４５）の略中央位
置で苗載台（１５）をスムーズに連結杆（５０）でもっ
てガイド軸（４６）（４５）に沿った横送りを行わしめ
る一方、前記苗取出爪（１７）による苗載台（１５）か
らの苗取出し時にあってもこれらガイド軸（４６）（４
５）間でその取出し動作が行われるように構成してい
る。

【０００８】さらに、前記苗載台（１５）には苗トレイ
（１６）を下方に縦送りする苗縦送り装置（５５）を備
えるもので、苗トレイ（１６）の各セル（１６ａ）底部
間の陥没部（１６ｂ）に掛合させる縦送り軸（５６）を
有する左右の縦送りチェン（５７）と、前記チェン（５
７）の上端側を苗載台（１５）に支持杆（５８）を介し
て上下動自在に弾性支持する遊転輪（５９）と、前記チ
ェン（５７）の下端側を苗載台（１５）の下部取付板
（６０）にスプロケット軸（６１）を介し支持する駆動
スプロケット（６２）と、前記スプロケット（６２）に
伝動ケース（６３）を介し駆動連結する縦送りモータ
（６４）と、苗載台（１５）の左右移動終端位置で前記
モータ（６４）による１ピッチ分の縦送り終了後にスプ
ロケット（６２）のピン係合孔（図示せず）に係合させ
てスプロケット（６２）を強制停止させる左右のロック
ピン（６５）と、これら左右のロックピン（６５）を前
記駆動軸（２３）のロックカム（６６）にロック揺動杆
（６７）を介し連動連結するロックリンク機構（６８）
とを備え、苗載台（１５）の左右移動終端位置において
１ピッチ分苗トレイ（１６）を縦送りすると共に、縦送
り後惰性回転などに伴う苗トレイ（１６）の位置ずれを
ロックピン（６５）で防止するように構成している。

【０００９】またさらに、左右の枠フレーム（４３）間
にはブラケット（６９）を介し、苗載台（１５）に供給
される苗トレイ（１６）を案内する供給トレイ案内板
（７０）を備え、該案内板（７０）の下端延長状に、苗
取出爪（１７）近傍位置でのトレイ（１６）の左右位置
すれを規制するトレイガイド（７１）を設けると共に、
苗取出後のトレイ（１６）を回収する弾線状のトレイ回
収ガイド（７２）を門形のガイド支持フレーム（７３）
を介して前記ブラケット（６９）の後方に一体連設さ
せ、さらには縦送り終端位置にはこの反転部でのスプロ
ケット（６２）外周円に沿う円弧状のトレイガイド板
（７４）を枢着板（７５）を介して前記取付板（６０）
に一体連設させ、これら案内板（７０）・各ガイド（７
１）（７２）・ガイド板（７４）などを苗載台（１５）
と一体的に左右移動させるように構成している。

【００１０】上記から明らかなように、苗トレイ（１
６）を載せる苗載台（１５）と、苗載台（１５）上の苗
トレイ（１６）のセル（１６ａ）からポット苗を取出す
苗取出爪（１７）と、苗取出爪（１７）からポット苗を
受取って植付ける植付爪（２０）を設ける移植機の苗載
装置において、苗載台（１５）にスプロケット（６２）
を介して縦送りチェン（５７）を張設させ、縦送りチェ
ン（５７）に縦送り軸（５６）を介して苗トレイ（１
６）を載せると共に、苗取出爪（１７）による苗取出位
置の縦送りチェン（５７）を挾んでトレイガイド（７
１）とトレイガイド板（７４）を対向配設させ、前記ト
レイガイド（７１）とトレイガイド板（７４）の縦送り
案内によりスプロケット（６２）の円周方向に縦送りチ
ェン（５７）により苗トレイ（１６）を縦送り移動させ
るように構成している。そして、縦送り軸（５６）を縦
送りチェン（５７）に設けて苗トレイ（１６）を戴せ、
従来の送 り台及び巻取り回転体を不要にし、受継ぎ不良
による苗トレイ（１６）の下方折曲がり変形などをなく
せると共に、トレイガイド（７１）とトレイガイド板
（７４）の縦送り案内により苗トレイ（１６）を縦送り
移動させ、苗トレイ（１６）のセル（１６ａ）が左右移
動する変形を防止し、苗取出爪（１７）の苗取出方向に
対し苗トレイ（１６）のセル（１６ａ）が左右に傾いて
苗取出し動作が不良になる不具合などをなくせるように
構成している。

【００１１】ところで前記苗載台（１５）の縦フレーム
（４１）及びブラケット（４４）と、苗取駆動系である
各ケース（２４）（４７）及び横送り駆動軸（４８）の
支持部材を同一の移植フレーム（８）に設置するもの
で、前記フレーム（８）は左右間隔巾を小及び大とする
前部及び後部フレーム（８ａ）（８ｂ）で形成し、前記
横送り駆動軸（４８）右端の軸受（７６ｂ）を、右側後
部フレーム（８ｂ）の前記ブラケット（４４）にボルト
（７７）を介し固設する取付板（７８）に、また左端の
軸受（７６ａ）を前記伝動ケース（４７）に一体支持さ
せ、該伝動ケース（４７）に固設する前記駆動ケース
（２４）を固定連結板（７９）を介して左側前部フレー
ム（８ａ）に各ボルト（８０）を介して連結支持させる
と共に、前記駆動軸（２３）を軸受（８１）及び取付板
（８２）を介して左側後部フレーム（８ｂ）の前記ブラ
ケット（４４）に連結支持させて、苗載台（１５）と苗
取駆動系における相対取付位置の精度向上を図るように
構成している。

【００１２】図６に示す如く、前記トレイガイド（７
１）は縦送り軸（５６）によって縦送りされる苗トレイ
（１６）の底部つまり陥没部（１６ｂ）に嵌合して縦送
り方向に案内する山形状のガイド突条部（７１ａ）を左
右方向に複数形成させ、トレイガイド（７１）の底板
（７１ｂ）のガイド突条部（７１ａ）延長線上に形成す
るボルト孔（８３）をボルト（８４）を介し苗取出爪
（１７）位置近傍の前記案内板（７０）の上面に、トレ
イ（７１）の仕様に合せて着脱自在に固定させて、苗ト
レイ（１６）が同図矢印方向に縦送りされるとき苗トレ
イ（１６）の底部をガイド突条部（７１ａ）でもって案
内させて、可撓性を有する合成樹脂製の苗トレイ（１
６）が苗取出位置近傍で左右方向に波打状に変形するの
を防止するように構成している。

【００１３】本実施例は上記の如く構成するものにし
て、苗載台（１５）の横送り動作時苗トレイ（１６）の
上下方向より苗取出爪（１７）及び苗押出ピン（３７）
を同調動作させての良好な苗取出し作業が行われるもの
で、この場合苗載台（１５）の上下ガイド軸（４６）
（４５）間略中央位置に連結させる前記摺動体（４９）
からの連結杆（５０）でもって、ガイド軸（４６）（４
５）に沿った左右移動が行われるものであるから、苗載
台（１５）に対する左右移動力をガイド軸（４６）（４
５）に嵌合する筒軸（４３ｂ）（４３ａ）に略均等に分
担させる状態とさせてガイド軸（４６）（４５）と筒軸
（４３ｂ）（４３ａ）間にこじれなどの発生することの
ないスムーズな苗載台（１５）の横送りが行われるもの
である。

【００１４】また、苗載台（１５）が左右移動終端位置
に至る縦送り時にあっては、苗取出位置近傍の苗トレイ
（１６）は底部をガイド突条部（７１ａ）に案内され左
右方向の動きが規制されることによって、この可撓性を
有する苗トレイ（１６）は左右セル（１６ａ）間のピッ
チも一定保持されて常に正確な苗取出しが行われる。ま
たトレイガイド（７１）の取付けにあっては取付ボルト
（８４）がガイド突条部（７１ａ）の延長線上に取付け
られることによって、このボルト（８４）を苗トレイ
（１６）縦送りでの障害とさせることが回避される。

【００１５】

【考案の効果】以上実施例から明らかなように本考案
は、苗トレイ（１６）を載せる苗載台（１５）と、苗載
台（１５）上の苗トレイ（１６）のセル（１６ａ）から
ポット苗を取出す苗取出爪（１７）と、苗取出爪（１
７）からポット苗を受取って植付ける植付爪（２０）を
設ける移植機の苗載装置において、苗載台（１５）にス
プロケット（６２）を介して縦送りチェン（５７）を張
設させ、縦送りチェン（５７）に縦送り軸（５６）を介
して苗トレイ（１６）を載せると共に、苗取出爪（１
７）による苗取出位置の縦送りチェン（５７）を挾んで
トレイガイド（７１）とトレイガイド板（７４）を対向
配設させ、前記トレイガイド（７１）とトレイガ イド板
（７４）の縦送り案内によりスプロケット（６２）の円
周方向に縦送りチェン（５７）により苗トレイ（１６）
を縦送り移動させるように構成したもので、縦送り軸
（５６）を縦送りチェン（５７）に設けて苗トレイ（１
６）を載せるから、従来の送り台及び巻取り回転体を不
要にし、受継ぎ不良による苗トレイ（１６）の下方折曲
がり変形などをなくすことができると共に、トレイガイ
ド（７１）とトレイガイド板（７４）の縦送り案内によ
り苗トレイ（１６）を縦送り移動させるから、苗トレイ
（１６）のセル（１６ａ）が左右移動する変形を容易に
防止でき、苗取出爪（１７）の苗取出方向に対し苗トレ
イ（１６）のセル（１６ａ）が左右に傾いて苗取出し動
作が不良になる不具合などをなくすことができるもので
ある。

【図面の簡単な説明】

【図１】苗縦送り部の側面説明図。

【図２】移植機の全体側面図。

【図３】苗載台の側面説明図。

【図４】苗取出部の側面説明図。

【図５】苗取出部の平面説明図。

【図６】トレイガイドの説明図。

【符号の説明】

（１５） 苗載台 （１６） 苗トレイ（１６ａ） セル （１７） 苗取出爪（２０） 植付爪 （５６） 縦送り軸 （５７） 縦送りチェン （６２） スプロケット （７１） トレイガイド（７４） トレイガイド板

フロントページの続き (72)考案者 中島 英夫 大阪市北区茶屋町１番32号 ヤンマー農 機株式会社内 (72)考案者 日朝 正俊 大阪市北区茶屋町１番32号 ヤンマー農 機株式会社内 (56)参考文献 特開 昭58−201907（ＪＰ，Ａ)

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 苗トレイ（１６）を載せる苗載台（１
   ５）と、苗載台（１５）上の苗トレイ（１６）のセル
   （１６ａ）からポット苗を取出す苗取出爪（１７）と、
   苗取出爪（１７）からポット苗を受取って植付ける植付
   爪（２０）を設ける移植機の苗載装置において、苗載台
   （１５）にスプロケット（６２）を介して縦送りチェン
   （５７）を張設させ、縦送りチェン（５７）に縦送り軸
   （５６）を介して苗トレイ（１６）を載せると共に、苗
   取出爪（１７）による苗取出位置の縦送りチェン（５
   ７）を挾んでトレイガイド（７１）とトレイガイド板
   （７４）を対向配設させ、前記トレイガイド（７１）と
   トレイガイド板（７４）の縦送り案内によりスプロケッ
   ト（６２）の円周方向に縦送りチェン（５７）により苗
   トレイ（１６）を縦送り移動させるように構成したこと
   を特徴とする移植機の苗載装置。