JP2547438B2 - ヌクレオシド化合物の製造方法 - Google Patents

ヌクレオシド化合物の製造方法

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JP2547438B2 JP63154234A JP15423488A JP2547438B2 JP 2547438 B2 JP2547438 B2 JP 2547438B2 JP 63154234 A JP63154234 A JP 63154234A JP 15423488 A JP15423488 A JP 15423488A JP 2547438 B2 JP2547438 B2 JP 2547438B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、微生物またはその処理物による塩基交換
反応を利用したヌクレオシド化合物の製造方法に関す
る。
[従来の技術] 酵素を用いてヌクレオシドの塩基部分を他の塩基と交
換して新たなヌクレオシドを製造する方法は、例えば特
開昭56−102794号公報に記載されている。この公開公報
には、セラチア属の常温菌セラチア・マルセッセンス
(Serratia marcescens)IFO 3052の菌体から調製した
粗酵素液を用いてチミジンとウリジンまたは2′−デオ
キシウリジンとをリン酸カリウムの存在下に塩基交換さ
せて5−メチルウリジンまたはチミジンを生成させる方
法が開示されている。
[発明が解決しようとする課題] 上記従来の方法に用いられている菌は、常温菌である
ため、高温下では短時間で失活しやすく、再利用するこ
とができない。
一般に、上記塩基交換反応等化学反応は、温度が高い
方が反応速度が速い。また、一般に反応物質の溶解度も
温度が高い方が高い。
したがって、高温下においても長時間にわたり安定に
塩基交換反応をおこなうことができる微生物ないし酵素
を利用できれば、塩基交換反応を高い基質濃度でおこな
えるので高い濃度で生成物を得ることができるととも
に、反応時間も短縮されることとなる。しかしながら、
従来、そのような微生物ないし酵素を用いた塩基交換反
応によるヌクレオシド化合物を製造する方法は知られて
いない。
[課題を解決するための手段] 本発明者らは、上記課題を解決するために65℃で生育
する好熱性菌約1000株を検索した。その結果、バシルス
属好熱性菌が耐熱性に優れ、塩基交換反応を高い反応速
度でおこなうことを見出し、本発明を完成するにいたっ
た。
すなわち、この発明は、チミンと、イノシン、アデノ
シン、グアノシンおよびウリジンからなる群の中から選
ばれたリボヌクレオシド、または2′−デオキシイノシ
ン、2′−デオキシアデノシン、2′−デオキシグアノ
シンおよび2′−デオキシウリジンからなる群の中から
選ばれたデオキシリボヌクレオシドとを、水溶液中、リ
ン酸またはリン酸塩の存在下に、バシルス属好熱性菌生
菌体もしくはその菌体処理物により塩基交換反応させて
5−メチルウリジンまたはチミジンであるヌクレオシド
化合物を生成させることを特徴とするヌクレオシド化合
物の製造方法である。
バシルス属好熱性菌は、好ましくは、バシルス・ステ
アロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)J
TS 859であり、上記塩基交換反応は通常40℃ないし70
℃の温度でおこなわれる。
以下、この発明をさらに詳しく説明する。
この発明は、チミンと特定のリボヌクレオシドまたは
デオキシリボヌクレオシドとをバシルス属好熱性菌の生
菌体もしくはその処理物を用いて塩基交換させ、対応す
るヌクレオシド化合物すなわち5−メチルウリジンまた
はチミジンを製造する方法である。
バシルス属好熱性菌 この発明の方法に用られるバシルス・ステアロサーモ
フィルスに属する菌株としては、既に保存されている種
々の既知の菌株を用いることができる。しかしながら、
使用する菌株としては、酵素生産量の高いバシルス・ス
テアロサーモフィルスJTS859が最も好ましいものであ
る。この菌株は、通商産業省工業技術院微生物工業技術
研究所において寄託されており、この寄託番号は、微工
研菌寄第9666号(FERM P−9666)である。
この菌株の菌学的性質をバージェイス・マニュアル・
オブ・システマティック・アナリシス、第2巻に準じて
検討した結果を以下に示す。
1.形態 桿菌:5.4〜6.5μmx0.7〜0.9μm 楕円形の胞子形成:2.0〜2.3μmx1.1〜1.2μm 1細胞
に1個、位置は末端 2.培養的性質 NB培地:62℃2日間培養。
平板上:白色僅かに黄色を含む。光沢あり、不透明、盛
り上らない。コロニーの形は円形波状。
スラント上:白色僅かに黄色を含む。光沢あり、不透
明、盛り上らない。生育は中程度。
3.生化学的性質 1 グラム染色 陽性 2 嫌気的培養 生育せず 3 運動性 あり 周毛 4 オキシダーゼ 陽性 5 カタラーゼ 陽性 6 ゼラチンの液化 液化能あり 7 リトマスミルク 凝固させる 8 OFテスト 発酵タイプ 9 V−P,MRテスト 陰性 10 グルコースからのガスの発生 発生せず 11 グルコースからの酸の産生 産生した 12 アラビノースからの酸の産生 産生せず 13 マニトールからの酸の産生 産生した 14 キシロースからの酸の産生 産生せず 15 サブロー培地での生育 スラント 生育した 液体 生育した 16 0.001%リゾチーム下での生育 生育せず 17 0.02%アザイド下での生育 生育せず 18 7%NaCl下での生育 生育せず (2%まで生育した) 19 カゼインの加水分解 分解能あり 20 デンプンの加水分解 分解能あり 21 ジヒドロキシアセトンの生成 生成せず 22 エッグヨーク試験 生育せず 23 クエン酸の利用 陰性 24 インドールの産生 陰性 25 ウレアーゼ活性 陽性 26 フェニルアラニンの脱アミノ化 陰性 27 アルギニンデヒドロラーゼ活性 陽性 28 チロシンの分解 陰性 29 レバン産生 陰性 30 硝酸塩の還元 陽性 31 硝酸ナトリウムの脱窒能 陰性 32 硫化水素の生成 陽性 33 無機窒素源の利用 NO3を唯一の窒素源として 生育した NH4を唯一の窒素源として 生育した 34 GC含量 47.3% 35 生育温度 40〜71℃で生育 最適 60〜68℃ 36 pH範囲 pH5.7〜8.5で生育 最適 pH6.0〜7.0 以上の性質に基づき、本菌株は、バシルス・ステアロ
サーモフィルスと同定される。
上記菌株の培養に際しては、窒素源として、トリプト
ン、ペプトンまたはカザミノ酸を、および炭素源として
グルコースまたはスクロースを含み、さらに酵母エキス
と塩化ナトリウムを含む培地を用いる。培地の初発のpH
は6.0〜7.0が好ましい。
培養は、60〜65℃、180〜220rpmで振盪培養するか、
通気撹拌培養によりおこなう。集菌時期は、対数増殖期
の中期から後期がよく、振盪培養の場合には、培養開始
4時間後から6時間後に当る。7時間を越え培養終期に
なると菌体の持つ酵素活性は激減する。
こうして集菌した菌株は生菌体のままもしくは処理し
て使用することができる(以下これらを総称して生菌体
等という)。処理物には、生菌体を超音波により破砕し
た後遠心分離して得られる上清、またはこの上清を65℃
で1時間熱処理した後遠心分離して得られる上清が含ま
れる。さらに、この上清をアセトン処理し、プロテアー
ゼ等の不要なタンパク質を除去してより安定な形態とし
たものを用いることもできる。
ちなみに、上記菌体を破砕して得られた粗酵素液中の
酵素の63℃における酵素活性の半減期は392〜401時間で
あった。この値は、上記従来のセラチア・マルセッセン
スIFO3052から得られた酵素の60℃における酵素活性の
半減期が1時間であるのに比べて非常に長いことを示し
ている。
ヌクレオシド化合物の製造 この発明により、5−メチルウリジンまたはチミジン
であるヌクレオシド化合物を製造するには、上記生菌体
等によりチミンを水溶液中でリボヌクレオシドまたはデ
オキシリボヌクレオシドと塩基交換反応させる。この反
応はリン酸またはリン酸塩の存在下でおこなう。リン酸
塩としてはリン酸カリウムを用いることができる。
チミンと塩基交換させるリボヌクレオシドはイノシ
ン、アデノシン、グアノシンおよびウリジンからなる群
の中から選ばれる。また、デオキシヌクレオシドは2′
−デオキシイノシン、2′−デオキシアデノシン、2′
−デオキシグアノシンおよび2′−デオキシウリジンか
らなる群の中から選ばれる。
反応水溶液はチミン、リボース供与体であるリボヌク
レオシドもしくはデオキシリボース供与体であるデオキ
シリボヌクレオシド、並びにリン酸塩を含んでいればよ
く、これに上記生菌体等を加える。水溶液中のチミンの
濃度は20〜100mM、リボヌクレオシドまたはデオキシヌ
クレオシドの濃度は20〜100mM、およびリン酸塩の濃度
は5〜100mMであることが好ましいが、チミンおよびリ
ボヌクレオシドまたはデオキシリボヌクレオシドの濃度
はこれ以上であっても反応は生じる。
上記生菌体等のおこなう酵素反応は平衡反応であり、
その平衡定数は、例えばチミンとイノシンを反応させて
5−メチルウリジンとヒポキサンチンを生成させる場合
63℃で0.25であり、チミンとウリジンを反応させ5−メ
チルウリジンとウラシルを生成させる場合63℃で1.60で
ある。また、チミンと2′−デオキシイノシンを反応さ
せてチミジンとヒポキサンチンを生成させる場合の反応
平衡定数は63℃で0.27であり、またチミンと2′−デオ
キシウリジンを反応させてチミジンとウラシルを生成さ
せる場合の反応平衡定数は63℃で1.29である。従って、
5−メチルウリジンまたはチミジンの生成濃度は、反応
液中のチミンとリボヌクレオシドもしくはデオキシリボ
ヌクレオシドの初期濃度によって決まる。この発明にお
ける反応は、平衡定数に基づく理論値まで進行する。
反応液のpHは通常6.0〜8.5、好ましくは6.5〜7.0であ
る。また、反応は40〜70℃でおこなうことができるが、
温度が高いほど反応速度は速く、60〜70℃の温度で反応
させることが好ましい。
[実施例] 以下、実施例によりこの発明をさらに具体的に説明す
る。
実施例 1 (A) トリプトン10g/、イーストエキス5g/、グ
ルコース3g/、グリセロール18.9g/および塩化ナト
リウム3g/からなる液体培地(pH7.0)100mlを500mlの
三角フラスコに入れ、滅菌した。これに、バシルス・ス
テアロサーモフィルスJTS859を5白金耳接種し、65℃、
相対湿度35%、210rpmで4時間振盪培養した。このとき
菌の生育は対数増殖の中期であった。得られた培養液を
遠心分離器(1000G、10分)にかけ集菌し、湿菌260mgを
得た。
(B) イノシン5.36g/、チミン2.52g/、リン酸一
カリウム4.08g/、リン酸二カリウム5.22g/、および
グルコース2.0g/からなる反応水溶液(pH7.0)10mlを
仕込んだ50ml三角フラスコに上記(A)で得た湿菌130m
gを入れ、65℃で3時間反応させた。
生成した5−メチルウリジンを高速液体クロマトグラ
フィーで定性定量分析した結果、1.57g/(6.1mM)の
5−メチルウリジンが生成していることがわかった。こ
の濃度は、平衡定数0.25から計算される理論値6.6mMの9
2%に相当する。反応をさらに続ければ、反応は理論値
まで進む。
なお、高速液体クロマトグラフィーの分析には、ポン
プに島津製作所製LC−6Aを用い、カラムにはケムコソル
ブ5−ODS−H φ4x300を用いた。また、溶離液には
水:メタノール=95:5(V/V)を用い、流速0.8ml/分、
カラム温度38℃で分析した。検出には紫外254nmを用い
た。ヒポキサンチン、チミン、イノシンおよび5−メチ
ルウリジンの保持時間は、それぞれ、6.2、8.7、10.4お
よび12.2分であった。
実施例 2 実施例1(A)と同様に培養して得られた湿菌400mg
を20mMリン酸カリウム水溶液(pH7.0)4mlに懸濁し、超
音波で2分間処理し、遠心分離し(12000G、10分)、上
清を得た。
イノシン22.35g/、チミン10.50g/、リン酸一カリ
ウム1.36g/、リン酸二カリウム1.74g/からなる反応
水溶液(pH7.0)36mlに上記上清4mlを添加し、65℃で16
時間反応させた。生成した5−メチルウリジンは6.45g/
であり、反応は完全に平衡状態に達していた。
反応後、反応液を陽イオン交換樹脂ダウエックス50WX
(H+型)100mlに通し、チミンおよび5−メチルウリジ
ンを含みヒポキサンチンおよびイノシンを含まない通過
画分を得た。この画分を濃縮後、高速液体クロマトグラ
フィーを用いて5−メチルウリジンを単離し177mgを得
た。
なお、高速液体クロマトグラフィーによる分取には、
ポンプに島津製作所製LC−6Aを用い、カラムにはリクロ
ソルブRP−18 φ 8 x250を用いた。また、溶離液に
は水:メタノール=97.5:2.5(V/V)を用い、流速4ml/
分でおこなった。検出には紫外254nmを用いた。
実施例 3 実施例2と同様に調製した上清50μをイノシン5.36
5g/、チミン2.522g/、リン酸一カリウム1.36g/お
よびリン酸二カリウム1.742g/からなる反応水溶液(p
H7.0)950μに添加し、40℃、50℃、60℃および70℃
の各温度で、1時間、2時間、および3時間反応させ
た。生成した5−メチルウリジンを高速液体クロマトグ
ラフィーで分析した結果を下記表1に示す。この結果か
ら、反応温度の上昇とともに反応速度が速くなることが
わかる。
実施例 4 実施例2と同様にして得た上清を63℃で1時間加熱し
た後、遠心分離し(12000G、10分)、上清を得た。この
上清を下記のアセトン処理に供して部分精製をおこな
い、不要なタンパク質を除去した。
すなわち、上記上清1容に対し0.8容の−10℃のアセ
トンを添加し、氷冷下で15分間撹拌した。これを遠心分
離し(12000G、10分)、上清を得た。この上清にさらに
0.6容の−10℃のアセトンを添加し、氷冷下で15分間撹
拌した。これを遠心分離し(1200G、10分)、得られた
沈殿を0.5容の20mMリン酸カリウム溶液に溶解させ、ア
セトン処理済み酵素液を得た。
熱処理後の酵素の回収率は90.6%であり、アセトン処
理後のそれは90.4%であった。また、タンパク質当りの
酵素の比活性は全体で2.7倍増加した。
こうして得たアセトン処理済み酵素液50μと20mMリ
ン酸カリウム溶液(pH7.0)150μをチミン25mM、リン
酸一カリウム10mM、リン酸二カリウム10mMおよび表2に
示すリボヌクレオシド25mMからなる反応水溶液(pH7.
0)800μに添加し、60℃で30分間反応させた。生成し
た5−メチルウリジンを高速液体クロマトグラフィーで
定性定量分析した。結果を表2に併記する。
実施例 5 実施例2と同様にして得た上清1容に、チミン1.3m
M、イノシン1.3mMおよびリン酸カリウム20mMよりなる溶
液(pH7.0)3容を添加した後、63℃で加熱した。得ら
れた加熱処理済み粗酵素液100μをチミン25mM、イノ
シン25mMおよびリン酸カリウム20mMからなる反応水溶液
(pH7.0)400μに添加し、60分間反応させた。下記表
3に、加熱処理時間と、生成5−メチルウリジンの濃度
を示す。
この結果から、酵素の活性と加熱処理の関係を表す以
下の式を得た。
logY=−7.5x10-4T+log1.62γ=−0.980 上記式において、Tは加熱処理時間(時間)、Yは熱
処理をおこなった酵素液を用いて上記反応をおこなった
ときに生成する5−メチルウリジンの濃度、γは相関係
数である。この式から、酵素活性の半減期が401時間で
あることがわかり、耐熱性が高いことが示された。
実施例 6 実施例1(A)と同様にして得た湿菌10mgを20mMリン
酸カリウム溶液(pH7.0)200μに懸濁し、これを2′
−デオキシイノシン25mM、チミン25mMおよびリン酸カリ
ウム20mMからなる反応水溶液(pH7.0)に添加し、60℃
で2時間反応させた。
生成したチミジンを高速液体クロマトグラフィーで定
性定量分析した結果、4.62mMのチミジンが生成している
ことがわかった。この濃度は、平衡定数0.27から計算さ
れる理論値6.83mMの68%に相当する。反応をさらに続け
れば、反応は理論値まで進む。
なお、高速液体クロマトグラフィー分析は、実施例1
と同じ条件でおこなった。ヒポキサンチン、チミン、
2′−デオキシイノシンおよびチミジンの保持時間は、
それぞれ、6.2、8.7、12.7および18.3分であった。
実施例 7 実施例1(A)と同様に培養して得られた湿菌400mg
を20mMリン酸カリウム水溶液(pH7.0)4mlに懸濁し、超
音波で2分間処理し、遠心分離し(12000G、10分)、上
清を得た。
2′−デオキシイノシン21.0g/、チミン10.50g/
、リン酸一カリウム1.36g/、リン酸二カリウム1.74
g/からなる反応水溶液(pH7.0)36mlに上記上清4mlを
添加し、65℃で16時間反応させた。生成したチミジンは
6.21g/であり、反応は完全に平衡状態に達していた。
反応後、反応液を陽イオン交換樹脂ダウエックス50WX
(H+型)100mlに通し、チミンおよびチミジンを含みヒ
ポキサンチンおよび2′−デオキシイノシンを含まない
通過画分を得た。この画分を濃縮後、高速液体クロマト
グラフィーを用いてチミジンを単離し158mgを得た。
なお、高速液体クロマトグラフィーによる分取は実施
例2と全く同様におこなった。
実施例 8 実施例7と同様に調製した上清100μおよび20mMリ
ン酸カリウム水溶液(pH7.0)100μを2′−デオキシ
イノシン25mM、チミン25mM、およびリン酸カリウム20mM
からなる反応水溶液(pH7.0)800μに添加し、40℃、
50℃、60℃および70℃の各温度で、1時間、2時間、お
よび3時間反応させた。生成したチミジンを高速液体ク
ロマトグラフィーで分析した結果を下記表4に示す。こ
の結果から、反応温度の上昇とともに反応速度が速くな
ることがわかる。
実施例 9 実施例7と同様にして得た上清を63℃で1時間加熱し
た後、遠心分離し(12000G、10分)、上清を得た。この
上清を下記のアセトン処理に供して部分精製をおこな
い、不要なタンパク質を除去した。
すなわち、上記上清1容に対し0.8容の−10℃のアセ
トンを添加し、氷冷下で15分間撹拌した。これを遠心分
離し(12000G、10分)、上清を得た。この上清にさらに
0.6容の−10℃のアセトンを添加し、氷冷下で15分間撹
拌した。これを遠心分離し(1200G、10分)、得られた
沈殿を0.5容の20mMリン酸カリウム溶液に溶解させ、ア
セトン処理済み酵素液を得た。
熱処理後の酵素の回収率は90.6%であり、アセトン処
理後のそれは90.4%であった。また、タンパク質当りの
酵素の比活性は全体で2.7倍増加した。
こうして得たアセトン処理済み酵素液50μと20mMリ
ン酸カリウム溶液(pH7.0)150μをチミン25mM、リン
酸一カリウム10mM、リン酸二カリウム10mMおよび表5に
示すデオキシリボヌクレオシド25mMからなる反応水溶液
(pH7.0)800μに添加し、60℃で30分間反応させた。
生成したチミジンを高速液体クロマトグラフィーで定性
定量分析した。結果を表5に併記する。
実施例 10 実施例7と同様にして得た上清1容に、チミン1.3m
M、2′−デオキシイノシン1.3mMおよびリン酸カリウム
20mMよりなる溶液(pH7.0)3容を添加した後、63℃で
加熱した。得られた加熱処理済み粗酵素液100μをチ
ミン25mM、2′−デオキシイノシン25mMおよびリン酸カ
リウム20mMからなる反応水溶液(pH7.0)400μに添加
し、60分間反応させた。下記表6に、加熱処理時間と、
生成チミジンの濃度を示す。
この結果から、酵素の活性と加熱処理の関係を表す以
下の式を得た。
logY=−0.67x10-4T+log2.10γ=−0.989 上記式において、Tは加熱処理時間(時間)、Yは熱
処理をおこなった酵素液を用いて上記反応をおこなった
ときに生成するチミジンの濃度(mM)、γは相関係数で
ある。この式から、酵素活性の半減期が392時間である
ことがわかり、耐熱性が高いことが示された。
比較例 セラチア・マルセッセンスIFO 3052の菌体から調製
した粗酵素液を用いて、ウリジンまたはデオキシウリジ
ンとチミンとを水溶液中、リン酸カリウムの存在下で37
℃および60℃の温度でそれぞれ反応させた。得られる5
−メチルウリジンまたはチミジンの生成速度は、反応を
37℃でおこなった場合よりも60℃でおこなった方が2.8
倍速かった。
次に、上記粗酵素液を予め60℃で3時間加熱処理した
粗酵素液を用いて上記と同様の反応をおこなったとこ
ろ、37℃および60℃の反応温度のいづれにおいても5−
メチルウリジンまたはチミジンは生成しなかった。
この結果から、5−メチルウリジンまたはチミジンの
生成速度は反応温度を高くすれば速くできが、上記常温
菌から調製した酵素は高温下で失活してしまうので、再
利用できず、また長期間にわたって反応をおこなうこと
ができないことがわかる。
[発明の効果] 以上述べたように、この発明においては、バシルス属
好熱性菌の生菌体もしくはその菌体処理物を用いること
により、チミンとリボヌクレオシドまたはデオキシリボ
ヌクレオシドとの塩基交換反応を高温下でおこなうこと
ができるので、対応するヌクレオシド化合物すなわち5
−メチルウリジンまたはチミジンを速い速度でしかも高
濃度で得ることができる。また、高温下で塩基交換反応
をおこなうことができるので、高温下では生存し得ない
常温菌による汚染の問題も回避できる。さらに、用いる
菌体またはその処理物は、活性の半減期が非常に長く、
繰返し長期の使用に耐える。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 砂川 憲二 神奈川県横浜市緑区梅が丘6―2 日本 たばこ産業株式会社食品生活研究所内 (72)発明者 上原 京子 神奈川県横浜市緑区梅が丘6―2 日本 たばこ産業株式会社たばこ中央研究所内 (72)発明者 葛山 昭雄 神奈川県横浜市緑区梅が丘6―2 日本 たばこ産業株式会社たばこ中央研究所内 (72)発明者 山崎 嘉也 神奈川県横浜市緑区梅が丘6―2 日本 たばこ産業株式会社たばこ中央研究所内 (72)発明者 三上 洋一 東京都港区虎ノ門2丁目2番1号 日本 たばこ産業株式会社内 (72)発明者 杉本 宣敬 東京都板橋区坂下3丁目37番1号 有機 合成薬品工業株式会社東京研究所内 (72)発明者 須永 陽之助 東京都板橋区坂下3丁目37番1号 有機 合成薬品工業株式会社東京研究所内 (72)発明者 林 良憲 東京都板橋区坂下3丁目37番1号 有機 合成薬品工業株式会社東京研究所内

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】チミンと、イノシン、アデノシン、グアノ
    シンおよびウリジンからなる群の中から選ばれたリボヌ
    クレオシド、または2′−デオキシイノシン、2′−デ
    オキシアデノシン、2′−デオキシグアノシンおよび
    2′−デオキシウリジンからなる群の中から選ばれたデ
    オキシリボヌクレオシドとを、水溶液中、リン酸または
    リン酸塩の存在下に、バシルス属好熱性菌生菌体もしく
    はその菌体処理物により塩基交換反応させて5−メチル
    ウリジンまたはチミジンであるヌクレオシド化合物を生
    成させることを特徴とするヌクレオシド化合物の製造方
    法。
  2. 【請求項2】バシルス属好熱性菌がバシルス・ステアロ
    サーモフィルスJTS 859である請求項1に記載の製造方
    法。
  3. 【請求項3】塩基交換反応を40℃ないし70℃の範囲の温
    度でおこなうことを特徴とする請求項1または2記載の
    製造方法。
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