JP2547241Y2 - 液晶プロジェクタ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は液晶プロジェクタに係
り、特にＲ、Ｇ、Ｂ用の３枚の液晶パネルを透過して形
成されたＲ、Ｇ、Ｂ画像を合成してカラー画像を得るよ
うにした液晶プロジェクタに関する。

【０００２】

【従来の技術】図３はダイクロイックミラー方式の液晶
プロジェクタの一例を示す概念図である。同図に示すよ
うに、１つの光源（例えば、メタルハライドランプ）１
０から発光された光はダイクロイックミラー１２に入射
される。ダイクロイックミラー１２は入射光のうち緑
（Ｇ）光のみを透過し、赤（Ｒ）、青（Ｂ）光を反射す
る。ダイクロイックミラー１２を透過したＧ光は、全反
射ミラー１４及びコンデンサレンズ１６を介してＧ用の
液晶パネル１８に入射する。

【０００３】一方、ダイクロイックミラー１２で反射さ
れたＲ、Ｂ光はダイクロイックミラー２０に入射され、
ここでＲ光は反射されコンデンサレンズ２２を介してＲ
用の液晶パネル２４に入射し、Ｂ光は透過されコンデン
サレンズ２６を介してＢ用の液晶パネル２８に入射す
る。各液晶パネルによって表示されるＲ、Ｇ、Ｂ用の画
像はそれぞれ上記色分割されたＲ，Ｇ，Ｂ光によって照
明され、Ｒ、Ｇ用の液晶パネル２４、１８を透過して形
成されたＲ、Ｇ画像はダイクロイックミラー３０に入射
し、ここで合成されてダイクロイックミラー３２に入射
する。一方、Ｂ用の液晶パネル２８を透過して形成され
たＢ画像は全反射ミラー３４を介してダイクロイックミ
ラー３２に入射する。

【０００４】ダイクロイックミラー３２はＢ光を透過さ
せるとともにＲ、Ｇ光を反射させるため、前記合成され
たＲ、Ｇ画像とＢ画像は、このダイクロイックミラー３
２によって合成される。このようにして合成されたＲ、
Ｇ、Ｂのカラー画像は、投影レンズ３６を介して投影さ
れる。尚、ダイクロイックミラーは無色透明なガラス板
に誘電体多層膜を真空蒸着法で付けて構成されており、
膜の屈折率、厚さを適当に選ぶことにより、反射光と透
過光に所望の分光特性をもたせることができる。

【０００５】ところで、例えば合成系のダイクロイック
ミラー３２では、Ｒ、Ｇ光を反射し（図４（Ａ）中の光
Ａ）、Ｂ光を透過させる（図４（Ａ）中の光Ｂ）。ま
た、図４（Ｂ）はダイクロイックミラー３２の透過特性
及び光Ａの分光特性を示している。従って、図４（Ａ）
に示すようにダイクロイックミラー３２で反射すべき光
Ａの一部は透過し、ダイクロイックミラー３２の裏面で
反射し、この反射光Ｃが多重反射像の原因になる。

【０００６】そこで、従来の液晶プロジェクタでは、図
３の破線で示す位置に色ガラス等のトリミングフィルタ
を設置し、投影像に混入する多重反射像を除去あるいは
低減するようにしていた。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の液晶プロジェクタは、色ガラス等のトリミングフィ
ルタを設置するためのスペースを必要とし、また投影レ
ンズのバックフォーカルレングスが長くなり、装置が比
較的大型になるとともに、部品点数が増えるという問題
があった。

【０００８】本考案はこのような事情に鑑みてなされた
もので、部品点数を増やすことなく、投影像に混入する
多重反射像を除去あるいは低減することができる液晶プ
ロジェクタを提供することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本考案は前記目的を達成
するために、所定の光源から放射された光を分離光学系
の光路中のダイクロイックミラーによりＲ、Ｇ、Ｂの３
原色に分離し、これらのＲ、Ｇ、Ｂ光をそれぞれＲ、
Ｇ、Ｂ用の３枚の液晶パネルに入射させ、各液晶パネル
を透過して形成されたＲ、Ｇ、Ｂ画像を合成光学系の光
路中のダイクロイックミラーによって合成し、この合成
されたカラー画像を投影レンズを介して投影する液晶プ
ロジェクタにおいて、前記ダイクロイックミラーのうち
の少なくとも１つは、該ダイクロイックミラーにおいて
透過すべき光のみを透過させる色フィルタ上に所要の膜
を形成して成ることを特徴としている。

【００１０】

【作用】本考案によれば、液晶プロジェクタの光路中に
設置されたダイクロイックミラーのうちの少なくとも１
つを、該ダイクロイックミラーにおいて透過すべき光の
みを透過させる色フィルタ上に所要の膜を形成して構成
するようにしている。従って、上記ダイクロイックミラ
ーは色フィルタを兼ねることができ、ダイクロイックミ
ラーの入射面で反射すべき反射光のうち、入射面を透過
する一部の光は色フィルタによって除去あるいは低減さ
れ、投影像に混入する多重反射像を除去あるいは低減す
ることができる。

【００１１】

【実施例】以下添付図面に従って本考案に係る液晶プロ
ジェクタの好ましい実施例を詳述する。図１は本考案に
係る液晶プロジェクタの一実施例を示す平面図である。
尚、図３と共通する部分には同一の符号を付し、その詳
細な説明は省略する。

【００１２】図１に示すように本考案に係る液晶プロジ
ェクタは、図３に示したダイクロイックミラー３０、３
２の代わりにダイクロイックミラー４０、４２を設置し
た点で相違する。これらのダイクロイックミラー４０、
４２は色フィルタ（トリミングフィルタ）として機能す
る色ガラスに誘電体多層膜を真空蒸着法で付けて構成さ
れている。即ち、ダイクロイックミラー４０はＧ光のみ
を透過させる色ガラス上に、Ｒ光を反射させるとともに
Ｇ光を透過させる膜が形成されて成り、また、ダイクロ
イックミラー４２はＢ光のみを透過させる色ガラス上
に、Ｒ、Ｇ光を反射させるとともにＢ光を透過させる膜
が形成されて成る。

【００１３】次に、上記構成のダイクロイックミラーの
作用について説明する。前述したようにダイクロイック
ミラー４２はＢ光のみを透過させる色ガラス上に、Ｒ、
Ｇ光を反射させるとともにＢ光を透過させる膜が形成さ
れている。図２（Ｂ）は、この色ガラスによるトリミン
グフィルタ透過特性を図４（Ｂ）に示したグラフに追加
したグラフである。

【００１４】図２に示すように、ダイクロイックミラー
４２の入射面で反射すべき光Ａの一部（特に光Ａ中の短
波長側の一部）は透過するが、この透過光は色ガラスに
より除去あるいは低減されたのちダイクロイックミラー
４２の裏面で反射する（図２（Ａ））。これにより、多
重反射像の原因となる光Ｃ′の光量は、図４に示した光
Ｃの光量よりも大幅に低減される（図２（Ｂ））。

【００１５】尚、本実施例では合成光学系の光路中のダ
イクロイックミラー４０、４２の基礎材質に色ガラスを
用いるようにしたが、これに限らず、分離光学系の光路
中のダイクロイックミラー１２、２０の基礎材質に色ガ
ラスを用いるようにしてもよい。また、ダイクロイック
ミラーにおいて透過すべき光のみを透過させる色フィル
タとして機能するものであれば、色ガラスに限定されな
い。

【００１６】

【考案の効果】以上説明したように本考案に係る液晶プ
ロジェクタによれば、液晶プロジェクタの光路中に設置
されたダイクロイックミラーを、該ダイクロイックミラ
ーにおいて透過すべき光のみを透過させる色フィルタ上
に所要の膜を形成して構成するようにしたため、ダイク
ロイックミラーが色フィルタを兼ねることができる。こ
れにより、別途色フィルタを設置することなく、投影像
に混入する多重反射像を除去あるいは低減することがで
き、色フィルタの削除による装置の小型化、部品点数の
削減を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本考案に係る液晶プロジェクタの一実施
例を示す平面図である。

【図２】図２（Ａ）及び（Ｂ）はそれぞれ図１に示した
ダイクロイックミラーの拡大図及び該ダイクロイックミ
ラーに関する分光特性を示すグラフである。

【図３】図３は従来の液晶プロジェクタの一例を示す平
面図である。

【図４】図４（Ａ）及び（Ｂ）はそれぞれ図３に示した
ダイクロイックミラーの拡大図及び該ダイクロイックミ
ラーに関する分光特性を示すグラフである。

【符号の説明】

１０…光源 １２、２０、４０、４２…ダイクロイックミラー １８、２４、２８…液晶パネル １４、３４…全反射ミラー ３６…投影レンズ

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 所定の光源から放射された光を分離光学
   系の光路中のダイクロイックミラーによりＲ、Ｇ、Ｂの
   ３原色に分離し、これらのＲ、Ｇ、Ｂ光をそれぞれＲ、
   Ｇ、Ｂ用の３枚の液晶パネルに入射させ、各液晶パネル
   を透過して形成されたＲ、Ｇ、Ｂ画像を合成光学系の光
   路中のダイクロイックミラーによって合成し、この合成
   されたカラー画像を投影レンズを介して投影する液晶プ
   ロジェクタにおいて、 前記ダイクロイックミラーのうちの少なくとも１つは、
   該ダイクロイックミラーにおいて透過すべき光のみを透
   過させる色フィルタ上に所要の膜を形成して成ることを
   特徴とする液晶プロジェクタ。