JP2547139B2 - 鋼の非金属介在物の組成制御方法 - Google Patents

鋼の非金属介在物の組成制御方法

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JP2547139B2
JP2547139B2 JP3317022A JP31702291A JP2547139B2 JP 2547139 B2 JP2547139 B2 JP 2547139B2 JP 3317022 A JP3317022 A JP 3317022A JP 31702291 A JP31702291 A JP 31702291A JP 2547139 B2 JP2547139 B2 JP 2547139B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は鋼中の非金属介在物の組
成を制御する方法に関し、事務機器、精密電子機器部品
等の産業分野において、高度な冷間加工性あるいは耐食
性が要求される鋼線、薄板あるいは箔等用素材に好適な
鋼材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、省力化の観点から事務機器、精密
電子機器部品等の軽量化、小型化が強く叫ばれるように
なり、材料の細径化、薄肉化が積極的に推進されてお
り、これらに対処するために、現在では主としてSUS
301、SUS304等で代表される準オーステナイト
系ステンレス鋼を使用し、強度の冷間加工によって加工
誘起マルテンサイトを発生させて高強度化を図ってい
る。
【0003】ところが、この方法では冷間加工性あるい
は加工後の材料の強度・延性に鋼中の非金属介在物の存
在が大きく影響するために品質の安定化が確保できな
い。このために非金属介在物の無害化が重要な課題とな
っている。材料の加工性あるいは加工後の材料の強度・
延性には、鋼中の非金属介在物中で特に硬質系介在物を
減少し、超微細化することが有効であることが従来から
広く知られている。これらを達成するために、溶解原料
の厳選、耐火物の選定、スラグ改質精錬、真空精錬、E
SR等の特殊精錬技術が適用されるようになってきた。
しかし、これらの方法では品質が安定しないこと、莫大
な設備費とランニングコストおよび工程が増加すること
による製造コストの大幅なアップとなる。
【0004】一方、非金属介在物の形態制御により非金
属介在物の影響を無害化する方法が特公昭60−338
95号公報や特公平2−41579号公報により公知で
あるが、これらはいずれも酸化物の組成を調整して所期
の目的を達成せんとするものであり、それなりの効果は
期待できるものの生成される非金属介在物が酸化物であ
ることから、その影響を完全に無害化するには至ってい
ない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は前述し
たように、従来技術で製造された鋼のもつ欠点、すなわ
ち鋼中の酸化物系非金属介在物の問題点に鑑み、鋼組
成、非金属介在物の熱間圧延における挙動および非金属
介在物の形態制御技術等について鋭意研究を重ねた結
果、冷間加工性あるいは加工後の材料の強度・延性に影
響をおよぼす硬質酸化物の形態制御による超微細化に
て、この問題点を解決したものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは下記のとおりである。 (1) 重量%にて、Si:0.3〜3%、Mn:0.
2〜3%、Al≦0.005%、O≦0.005%およ
びS≦0.005%を含有し、さらにS量とAl量との
関係が(1)式を満足するように成分調整された鋼の鋳
片を製造し、該鋳片を加熱温度は950℃以上、加熱時
間は30分以上で、且つ(2)式および(3)式を満足
する領域内の条件で加熱した後に熱間圧延して熱延材を
製造することによって、該熱延材中の酸化物をCr2
3 ≦10重量%、総S量で1重量%以上のSを含有する
オキシ・サルファイドとすることを特徴とする鋼の非金
属介在物の組成制御方法。
【0007】 [S]≧0.25[Al]−0.00025…(1) t≦−0.05T+66 …(2) t≧−0.01T+11 …(3) ここで、t:鋳片加熱時間(Hr) T:鋳片加熱温度(℃) (2) 重量%にて、Si:0.3〜3%、Mn:0.
2〜3%、Al≦0.005%、O≦0.005%、S
≦0.005%を含有し、さらにCa≦0.003%、
Mg≦0.0006%の1種もしくは2種を含有し、さ
らにS量とAl量との関係が(1)式を満足するように
成分調整された鋼の鋳片を製造し、該鋳片を加熱温度は
950℃以上、加熱時間は30分以上で、且つ(2)お
よび(3)式を満足する領域内で加熱した後に熱間圧延
して熱延材を製造することによって、該熱延材中の酸化
物をCr2 3 ≦10重量%、総S量で1重量%以上の
Sを含有するオキシ・サルファイドとすることを特徴と
する鋼の非金属介在物の組成制御方法。
【0008】 [S]≧0.25[Al]−0.00025…(1) t≦−0.05T+66 …(2) t≧−0.01T+11 …(3) ここで、t:鋳片加熱時間(Hr) T:鋳片加熱温度(℃) 以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】鋼の冷間加工性を阻害し、また加工後の材
料の強度・延性を低下させている非金属介在物はAl2
3 を主成分とするアルミナ系酸化物あるいはSiO2
を主成分とするシリカ系の酸化物等で、これらの酸化物
はいずれも硬質で塑性変形しないため冷間加工時に酸化
物の周辺と母材との間にボイドを発生し、これが進展す
る場合に酸化物自体が冷間加工時の応力集中を受け、加
工割れ発生の起点となる。従って、冷間加工性あるいは
加工後の材料の強度・延性は硬質酸化物の量、質および
形状等に大きく左右される。
【0010】本発明者は酸化物の形態と冷間加工特性の
関係について鋭意研究を重ねた結果、冷間加工特性に対
して非金属介在物の影響を無害化するためには酸化物の
絶対量を低減するとともに、特に大型の硬質酸化物を低
減することが重要であり、前者に対してはO量の低減
が、後者に対しては硬質酸化物の組成を酸化物中にSを
固溶させることにより軟質化し、可塑性を持たせること
によって熱間圧延および冷間加工時に延伸・分断するこ
とが有効であることを見出した。
【0011】従来、この技術思想に基づきO量の低減あ
るいはAl脱酸からSi−Mn脱酸への変更による酸化
物の低融点化が多数試みられている。しかしながら鋼中
のO量が大略50ppm以下のレベルまで低減されてく
ると酸化物中のAl2 3 濃度が高くなり、可塑性に乏
しい硬質酸化物が増加するため非金属介在物量を低減し
たにも関わらず品質は低下する。
【0012】これはO量が極限まで低減されてくると従
来のSi−Mn脱酸では不純物レベルであった[Al]
量の影響が無視できなくなったためである。従って、本
発明者らは酸化物のの組成調整のみでは限界のあること
から、さらに研究を重ねた結果、酸化物をオキシ・サル
ファイド化すれば熱間圧延では勿論、冷間加工において
も可塑性を有し、酸化物系介在物(以下、非金属介在物
と称す)の微細・分散化に極めて有効であることを見出
し、本発明に至った。
【0013】
【作用】以下、本発明について図面をもってさらに詳細
に説明する。本発明者は熱間圧延あるいは冷間加工にお
ける酸化物の挙動を明確にするために、まず次のような
実験を行った。18Cr−8Ni系ステンレス鋼をベー
スにして、表1に示す範囲で化学組成を変化させた材料
を100kg高周波真空溶解炉で溶製し、70mm厚の鋳
片とした。次いで、熱間圧延にて4mm厚の熱延鋼板とし
た後、溶体化処理、酸洗デスケール、さらに冷間圧延を
施して0.5mm厚の冷間圧延板を製造した。上記の方法
で得られたインゴット、熱延および冷延鋼板にて非金属
介在物の形態(単位面積当たりの大きさ別個数および組
成)を調査した。ここで、非金属介在物は、被検査面積
を100mm2 とし、該被検査面積内の識別可能な全非金
属介在物について画像処理システムを備えた高倍率(×
1000)顕微鏡にて測定した。
【0014】
【表1】
【0015】図1は鋼中のO量と非金属介在物の最大幅
および単位面積当たりの非金属介在物個数の関係を示
す。Oは鋼中には殆ど固溶せず酸化物を形勢するため、
O量にほぼ比例して非金属介在物個数は増加し、その大
きさが大きくなる。特に、O量が40〜50ppmを超
える付近から非金属介在物の最大幅は急激に増加する。
図2に鋼中のAl量と非金属介在物の最大幅ならびに該
非金属介在物組成の関係を示す。鋼中のAl量が増加す
ると非金属介在物中のAl2 3 濃度が高くなる。これ
に伴って非金属介在物の最大幅は大きくなる。特に、鋼
中のAl量が50ppmを超え、非金属介在物中のAl
2 3 濃度が約20%以上になると非金属介在物の最大
幅は急激に大きくなる。
【0016】以上のことは、従来から定性的に知られて
いた非金属介在物の形態とOおよびAlの関係である
が、本発明者らは上記知見をベースにさらに非金属介在
物の微細化調整技術を行うべく鋭意研究を重ねた結果、
新たな知見を見出すに至った。図3は鋼中のS量と非金
属介在物の最大幅および該非金属介在物中のS濃度の関
係を示したものである。鋼中のS量が増加すると非金属
介在物の最大幅は減少する。これは非金属介在物中のS
濃度が増加していることから非金属介在物が低融点化
し、延伸型介在物に変化したためである。
【0017】鋼中のS量によって非金属介在物の形態を
変化させ得る新知見をさらに発展させるべく研究を行っ
た結果、新たな知見として図4を得た。すなわち、非金
属介在物の最大幅は鋼中のO量およびAl量によって決
定されるが、該非金属介在物を微細化するには適量のS
を非金属介在物に固溶させることが有効であり、また、
Sの適正量は鋼中のAl量によって変化することを見出
したのである。この結果を図4に示す。Al量の増加に
比例してS量を増量することによって非金属介在物の最
大幅は小さくなっている。
【0018】従来、鋼中のSは鋼の耐食性や加工性を低
下する元素として極力低減する方向にあり、近年では精
錬技術の著しい進歩によって10ppm以下にまで低減
可能になっている。しかし、非金属介在物の形態制御、
特に極低Oおよび極低Al鋼にSは有効であり、必要以
上に低減することは好ましくないと言える。また、本発
明者らは鋳片を熱間圧延する時の加熱においても非金属
介在物の組成が変化する現象を見出した。
【0019】すなわち、図5に示すように鋳片加熱にお
いて非金属介在物中のCr2 3 濃度が上昇する。また
安定してオキシ・サルファイドを形成するには適正な温
度および時間が必要である(図6)。特に、非金属介在
物中のCr2 3 濃度が10%を超えて高くなると硬質
系非金属介在物になるため、製品の非金属介在物組成を
制御するためには熱間圧延条件を管理することが重要で
ある。
【0020】次に、本発明における鋼組成および非金属
介在物並びに熱間圧延温度を限定した理由について詳述
する。 (1)Si、Mn SiおよびMnは酸素を含む溶鋼中では溶鋼の温度降下
にともない次式に示す二次脱酸反応を生じ[O]量の低
減に寄与する。
【0021】 すなわち、 Si;Si+2O → SiO2 Mn;Mn+ O → MnO これら脱酸生成物の多くはその生成途上でSiO2 −M
nOあるいはSiO2 −MnO−Al2 3 として複合
化し浮上除去され、一部が鋼中に非金属介在物として残
存する。
【0022】上記の反応および生成挙動は鋼中のOおよ
びAl量の影響を受け、Alの含有量が高い場合あるい
はO量が極端に低い場合はAl2 3 系非金属介在物が
主流となる。ここで、非金属介在物として鋼中に残存し
たSiO2 あるいはMnO単独成分に近いものは硬質で
あり、SiO2 −MnOに30%以下のAl2 3 を含
有した三元系の非金属介在物は比較的低融点で可塑性を
有する。
【0023】本発明者等は非金属介在物の生成挙動とそ
の特性に着目し、種々の基礎的な実験を重ねた結果、極
低O、極低Al下においてもSiおよびMn量を適正に
調整することによって可塑性を有するSiO2 −MnO
−Al2 3 系非金属介在物を生成し得る技術を見出し
た。すなわち、本発明の重量%でO≦0.005%、A
l≦0.005%の制約下でも、重量%でSi量は0.
3%以上、Mn量は0.2%以上であれば非金属介在物
は可塑性を有するSiO2 −MnO−Al2 3 系非金
属介在物となる。よって、Si量は0.3%以上、Mn
量は0.3%以上とした。
【0024】一方、Si量が3%を超えて多量に含有さ
れるとδフェライトを生成し、熱間加工性を低下すると
ともにSiO2 成分の高いシリカ系非金属介在物を生成
し、可塑性を有するSiO2 −MnO−Al23 系非
金属介在物の生成を阻害する。よって、Siの上限を3
%とする。また、Mnも同様に、3%を超えて多量に含
有されると硬質のMnOを生成するためMnの上限を3
%とする。
【0025】(2)Al 鋼中のAl量が増大すると介在物中のAl2 3 濃度が
増大し、非金属介在物は硬質になる。このため、残存す
る介在物は大型になり、鋼の冷間加工性を阻害する。A
l量が0.005%を超えると冷間加工性に顕著に影響
が現れる。よって、Al量の上限を0.005%とし
た。
【0026】但し、Al量はこの範囲であっても、S量
との関係で本発明に示す関係にて適正にコントロールす
る必要のあることは言うまでもない。 (3)O O量は鋼中の非金属介在物量に影響し、O量の増大に伴
い非金属介在物量が増大し、また大型化するので低いほ
ど好ましい。さらに、本発明ではAl量を極端に低減し
ているためにO量が高くなると脱酸不十分となり、Cr
2 3 系非金属介在物が生成する。
【0027】Cr2 3 系非金属介在物は硬質であるた
め単独で存在すると鋼の冷間加工性に有害である。ま
た、他の非金属介在物と結合して複合化しても熱間圧延
あるいは冷間加工時に延伸しにくいため、Cr23
非金属介在物は極力低減する必要がある。鋼組成のうち
限られた脱酸元素のなかでCr2 3 系非金属介在物を
極力低減し、可塑性のあるSiO2 −MnO−Al2
3系非金属介在物の生成を最も有効に行わせしめるため
にO量の上限を0.005%とする。
【0028】(4)S 本発明の基本的な思想は鋼中の非金属介在物を熱間圧延
時に延伸可能な組成すなわちSiO2 −MnO−Al2
3 系に調整することにある。しかし、該非金属介在物
中に適正量のSを含有せしめてオキシ・サルファイドと
することにより効果的にしかも安定して非金属介在物の
延伸性を向上することが可能である。従って、Sは延伸
性の高いオキシ・サルファイドを形勢させるための必須
の元素であり、このためにはSは高いほど好ましい。
【0029】ところで、延伸性オキシ・サルファイドの
形勢傾向は鋼中のAl量の影響を受ける。すなわち、鋼
中のAl量が増加すると非金属介在物中のAl2 3
度が高くなり非金属介在物の延伸性は低下するが、これ
に見合う量のSを含有させることでAl量増加による非
金属介在物の延伸性低下を抑えることが可能である。こ
の限界は次式で表される。すなわち、 S≧0.25Al−0.00025 従って、S量は上記式を満足する量であればよいが、一
方、必要以上に高くすると非金属介在物に固溶しないS
がMnSとなり熱間加工性が極端に低下し、製造性に問
題が生じる。また、製品になったときの耐食性あるいは
加工性等の品質劣化をきたす。よってS量はオキシ・サ
ルファイドを形成させるに充分な量として上限を0.0
05%とした。
【0030】なお、鋼中の非金属介在物の量は酸素量に
よって決定され、また形態も変化するものであり、本来
S−Al−O量の関係で整理されるべきであるが、本発
明に従った化学成分範囲であればO量の影響はほぼ無視
できる。以上のように鋼の組成調整により、非金属介在
物は軟質化し、熱間圧延にて可塑性を有する組成すなわ
ちSiO2 :10〜40%、MnO:20〜60%、A
2 3 ≦30%に調整できる。
【0031】ところで、本発明者らはさらに、鋳片ある
いは熱間圧延後の非金属介在物挙動を調査して非金属介
在物の組成が鋳片を熱間圧延することによって変化する
ことを見出した。これは、鋳片における非金属介在物が
必ずしも平衡状態にないためである。すなわち、鋳片内
の非金属介在物は熱間圧延時の鋳片加熱において非金属
介在物中のSiO2 濃度が低下して、Cr2 3 が増加
する。
【0032】Cr2 3 濃度が増加すると非金属介在物
は硬質となり、熱間圧延後の鋼材には大型の非金属介在
物が残存し、その限界Cr2 3 濃度は約10%であ
る。従って、非金属介在物中のCr2 3 濃度を10%
以下にするためには熱間圧延条件の規制が必要である。
熱間圧延条件の設定に際してはオキシ・サルファイドの
形成とCr2 3 濃度の抑制の両面から制約される。す
なわち、オキシ・サルファイドの形成並びに熱間圧延性
からは加熱温度は高温程好ましい。しかし、加熱温度が
1300℃を超えると短時間に非金属介在物中のCr2
3 濃度が高くなる。これらの限界値は次式で表され
る。
【0033】 Cr2 3 ≦10% ; t≦−0.05T+66…(2) オキシ・サルファイド; t≧−0.01T+11…(3) ところで、ステンレス鋼および高合金鋼は高温強度が高
く、熱間加工性も悪いため、熱間圧延に際しては鋳片の
充分な加熱が必要であり、これらを勘案すると加熱温度
は950℃以上、加熱時間は30分以上は必要である。
従って、上記を総合して、(2)および(3)式と95
0℃以上および加熱時間30分以上の示す領域で囲まれ
る領域を適正加熱条件とした。
【0034】また、第2発明は、CaおよびMgを脱酸
元素として利用する場合の非金属介在物制御に関し、第
1発明と同様な特徴を有する技術を提供するものであ
る。 (5)CaおよびMg 本発明ではまた、脱酸剤としてCaおよびMgを用いて
O量を調整する場合についても可塑性非金属介在物にコ
ントロールする方法を提供するものである。
【0035】すなわち、非金属介在物が熱間圧延にて可
塑性を有するためには、本発明における基本非金属介在
物であるSiO2 −MnO−Al2 3 系非金属介在物
中のCaOあるいはMgOの濃度は合計で20%以下に
する必要がある。従って、この要件を満足するために、
鋼組成で、Ca≦0.0030%、Mg≦0.0006
%に規制した。
【0036】以上述べた鋼中の非金属介在物の制御方法
は鋼の主成分には特に左右されるものではないが、特に
ステンレス鋼、高合金鋼および超合金において、その効
果が大きい。
【0037】
【実施例】以下に本発明の実施例および比較例について
説明する。表2に化学成分を示すステンレス鋼および高
合金鋼を真空溶解炉で溶製した1トン鋼塊を1200℃
で加熱し、5mm厚にまで熱間圧延した後、焼鈍、酸洗デ
スケールに続いて冷間圧延を施して0.5mm厚の冷延板
を製造した。該冷延板にて介在物の形態および非金属介
在物を調査するとともに非金属介在物の形態制御の効果
を確認するためにプレス加工性を調べた。この結果を表
3に示した。
【0038】また、表4は表2に示したNo.2鋼の一
部を用いて熱延時の鋳片加熱条件のみを変化させて同様
に熱延板さらに0.5mmの冷延板を製造して諸特性を調
査した結果を示したものである。表2のNo.1〜10
鋼は本発明鋼である。No.1鋼はAl、MgおよびO
を極低化している。No.2鋼はAlおよびO量はやや
高いが、Sをこれに見合う量添加しており、No.3鋼
はAlが0.0050%とさらに高くなっているが、充
分なS量に調整しオキシ・サルファイド化したものであ
る。No.4鋼はOが本発明の上限付近まで高くなって
いるが、Sは充分な量である。No.5鋼はSを本発明
の上限付近まで添加したものである。No.6鋼はCa
を、No.7鋼はMgを上限付近まで高くしたものであ
る。No.8鋼はフェライト系ステンレス鋼の例、N
o.9および10鋼は高合金鋼の例である。
【0039】これに対して、比較鋼のNo.11鋼はA
lが、No.12鋼はOが本発明の上限を外れたもので
ある。No.13鋼はAl量に対してS量が低くなった
もの、さらに、No.14鋼はCa、No.15鋼はM
gが本発明の上限を外れたものである。表3の介在物組
成は熱間圧延後の5mm厚の熱延板にて分析した結果であ
り、非金属介在物の性状は0.5mm厚の冷延板にて測定
したものである。
【0040】本発明鋼の非金属介在物はいずれも23〜
39%SiO2 −33〜45%MnO−13〜25%A
2 3 を主成分とし、1〜3%のSを含有しているた
め非金属介在物は微細化している。従って、非金属介在
物の幅が2μm を超えるものは全くなく、最大幅はたか
だか1μm 程度である。これに対して、No.11鋼は
Oが低いため非金属介在物個数は比較的少ないが、鋼中
のAlが高いので硬質のAl2 3 系非金属介在物を生
成するために3μm を超える大型の非金属介在物が散見
される。No.12鋼はO量が極めて高いため非金属介
在物は多量であり、また鋼中のAlが極めて低いため非
金属介在物組成はSiO2 濃度の高いものとなり、2.
35μm と比較的大型の非金属介在物となっている。N
o.13鋼はS量が低いので充分なオキシ・サルファイ
ドが形成されないため比較的大きな非金属介在物となっ
ている。No.14鋼はCaO濃度が高く、No.15
鋼はMgO濃度の高い非金属介在物で、いずれも本発明
のSiO2 −MnO−Al2 3 系非金属介在物とは異
なった組成となっており、このため3μm 程度の大型の
非金属介在物が見られる。
【0041】非金属介在物の形態はプレス加工後の成品
性状に影響を及ぼし、大型の非金属介在物が増加すると
加工割れを生じ、プレス加工性は低下する。従って、表
3に見られるように非金属介在物の微細分散した本発明
鋼はいずれも優れたプレス加工性を示している。また、
鋳片加熱条件の影響については、本発明の範囲内にある
No.21および22鋼の非金属介在物は微細であり十
分に形態制御されているが、No.23鋼はオキシ・サ
ルファイドの形成が不十分なために大型のAl2 3
見られる。一方、No.24鋼は高温で長時間の加熱に
なったため高濃度のCr2 3 が形成され、これによっ
て介在物の微細化が達成されなかった。
【0042】従って、非金属介在物の微細化がなされて
いないNo.23およびNo.24鋼はいずれもプレス
加工性は悪い。
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】
【0046】
【発明の効果】以上、説明したように本発明は、既存の
溶解・精錬技術にて容易に且つ安定して鋼中の非金属介
在物を微細化できる新技術により、加工性等の材質の優
れた鉄鋼材料を提供するものであり、その工業的価値は
極めて高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋼中のO量と非金属介在物の最大幅および個数
の関係を示した図である。
【図2】鋼中のAl量と非金属介在物の最大幅および非
金属介在物中のAl2 3 濃度の関係を示した図であ
る。
【図3】鋼中のS量と非金属介在物の最大幅および非金
属介在物中のS濃度の関係を示した図である。
【図4】鋼中のAl量およびS量と非金属介在物形態の
関係を示す図である。
【図5】鋳片を加熱したときの非金属介在物中のCr2
3 濃度の変化を示した図である。
【図6】鋳片加熱における適正な条件範囲を示す図であ
る。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%にて、 Si:0.3〜3%、Mn:0.2〜3%、Al≦0.
    005%、O≦0.005%およびS≦0.005%を
    含有し、さらにS量とAl量との関係が(1)式を満足
    するように成分調整された鋼の鋳片を製造し、該鋳片を
    加熱温度は950℃以上、加熱時間は30分以上で、且
    つ(2)式および(3)式を満足する領域内の条件で加
    熱した後に熱間圧延して熱延材を製造することによっ
    て、該熱延材中の酸化物をCr2 3 ≦10重量%、総
    S量で1重量%以上のSを含有するオキシ・サルファイ
    ドとすることを特徴とする鋼の非金属介在物の組成制御
    方法。 [S]≧0.25[Al]−0.00025…(1) t≦−0.05T+66 …(2) t≧−0.01T+11 …(3) ここで、t:鋳片加熱時間(Hr) T:鋳片加熱温度(℃)
  2. 【請求項2】 重量%にて、 Si:0.3〜3%、Mn:0.2〜3%、Al≦0.
    005%、O≦0.005%、S≦0.005%を含有
    し、さらにCa≦0.003%、Mg≦0.0006%
    の1種もしくは2種を含有し、さらにS量とAl量との
    関係が(1)式を満足するように成分調整された鋼の鋳
    片を製造し、該鋳片を加熱温度は950℃以上、加熱時
    間は30分以上で、且つ(2)および(3)式を満足す
    る領域内で加熱した後に熱間圧延して熱延材を製造する
    ことによって、該熱延材中の酸化物をCr2 3 ≦10
    重量%、総S量で1重量%以上のSを含有するオキシ・
    サルファイドとすることを特徴とする鋼の非金属介在物
    の組成制御方法。 [S]≧0.25[Al]−0.00025…(1) t≦−0.05T+66 …(2) t≧−0.01T+11 …(3) ここで、t:鋳片加熱時間(Hr) T:鋳片加熱温度(℃)
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