JP2547133B2 - レール溶接部自動仕上げ装置 - Google Patents

レール溶接部自動仕上げ装置

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JP2547133B2
JP2547133B2 JP25834091A JP25834091A JP2547133B2 JP 2547133 B2 JP2547133 B2 JP 2547133B2 JP 25834091 A JP25834091 A JP 25834091A JP 25834091 A JP25834091 A JP 25834091A JP 2547133 B2 JP2547133 B2 JP 2547133B2
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HIGASHINIPPON RYOKAKU TETSUDO KK
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鉄道用レールの溶接部
(レールを長尺化するため溶接でつないだ部分)に対
し、余肉を取り除くなどの目的で自動的に仕上げ(研
削)を施す装置である。
【0002】
【従来の技術】車両の高速化や乗り心地の向上・騒音の
低減などを目的として、鉄道用レールは近年、長尺化
(ロングレール化)されることが多い。レールの長尺化
は、たとえば、長さ25メートルの定尺レールを1キロ
メートル以上にまで溶接でつなぐことにより行われる。
長尺化のためのレールの溶接は、最長200メートル程
度までは工場(レールの製造所)においても実施できる
が、それ以上になると、レールの敷設されている現場で
しか行うことができない。
【0003】敷設現場でレールをつなぐ作業は、車両の
通行が少ない深夜に、天候を選ばず実施される厳しい作
業であるが、なかでも、溶接された部分を研削にて仕上
げることは、作業者への負担がとくに重い作業だとされ
ている。溶接については、ガス溶接やテルミット法・圧
接法など各種の方法で自動化(または半自動化)がすで
に実現されているが、溶接ののちに、その溶接余肉を研
削により取り除いてレールの頭部(最上部の水平な踏面
からその両側の鉛直面までの部分で、車輪とそのツバが
接触し得る部分)に凹凸や段差のないよう滑らかに仕上
げるには、現在のところ、相当な熟練を有する者の手作
業(肉体作業)が不可欠だからである。つまり研削作業
は、グラインダを持った作業者が、回転する砥石をレー
ルの溶接部表面に押し付け、そのグラインダを、特定の
部分を削りすぎて凹部にしないよう前後左右へ小刻みに
往復させながらレール頭部の全体へ移動していくことに
より行われる。
【0004】なお、レールの研削装置について提案した
過去の文献として、特公昭63−52167号公報や特
公昭51−45835号公報などがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】研削装置について上記
のようにいくつかの提案がなされているにも拘わらず、
これまで現実的にはレール溶接部を手作業によって仕上
げ研削している理由は、従来の装置のいずれもが、レー
ルの敷設現場における所要の性能を具備していなかった
からである。たとえば前記公報のうち前者に記載の自動
仕上げ装置は、研磨ベルトを備えた台車をレール上に載
せ、作業者がこれを前後に移動し、かつ傾けてやること
によりレール頭部を研磨するものであるが、イ)操作のた
めに作業者が装置から離れられない、ロ)レール頭部のう
ち両側の鉛直面まで研磨することは難しい、ハ)研磨ベル
トによる方式なので大きな余肉を削り取るには時間がか
かる−といった不都合がある。また後者の公報の装置
は、レールの周囲(下方部分を含む)で四組の砥石を移
動させて研削を行う装置であることから、ニ)敷設状態の
レールに適用することは極めて難しい、ホ)砥石の数が多
い点など構成が大掛かりなため、レールの敷設現場にお
いて使用場所を変える(別の溶接部へ装置を移す)こと
が容易でない、ヘ)溶接部一箇所に対し複数の砥石を順次
に切り替えて使用するため、複雑で高価な制御手段を設
けるか作業者が装置から離れずに操作してやる必要があ
る−などの点で好ましくない。
【0006】一方、手作業によるやり方が、熟練や苛酷
な労働を強いるほか非効率的なものであることは、前記
したとおりである。
【0007】本発明の目的は、レールの敷設現場におい
て、以上の不都合をともなわずに溶接部を自動的に研削
仕上げすることのできる装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のレール溶接部の
自動仕上げ装置は、レールの長手方向と直角な面内に
レール頭部(前記)のプロフィル(断面の外形)に応じ
た軌道を備えてレールに対し所定の位置に固定されるガ
イドと、上記の軌道に沿って移動するようガイドに取
り付けられたフレームと、回転砥石の外周面のうちレ
ールの長手方向を向いた母線(円柱面または円錐面上の
直線)部分をレール頭部の溶接部に接触させるよう上記
フレームに保持されたグラインダと−を主体に構成し
たものである。
【0009】この自動仕上げ装置については、請求項2
に記載したように、レール頭部における砥石との接触
面上の法線(垂線)に対するフレームの角度を上記移動
の際に一定に保つ手段とともに、その法線の方向へ所
定量ずつグラインダを送るピッチ送り手段を、上記に加
えて配備するのもよい。
【0010】さらに請求項3のように、フレームに対
し、上記の法線方向に移動自在にサブフレームを取り付
けたうえそれをレール寄りに押す手段を設け、そのサ
ブフレーム上に、上記のグラインダとピッチ送り手段の
ほか、砥石との接触点とはレールの長手方向位置のみを
異にする(厳密には溶接余肉の厚さ分のズレが含まれる
が、レール頭部の周方向には位置が一致する)その付近
の非溶接部にてレール頭部に押し当てられる倣い具(ピ
ンやロールまたはボールなど)を一体に配備するのもよ
い。
【0011】そのほか請求項4に記載したとおり、以上
の自動仕上げ装置に、レールの長手方向へグラインダを
往復動作させる手段を設けると、なお好ましい。
【0012】
【作用】敷設現場にて溶接の終わったレールに対し、上
記のガイドを所定の位置に固定したのち本発明の装置
を起動すると、のグラインダが、レール頭部の溶接部
に回転砥石の外周面を接触させ、のフレームとともに
上記ガイドの軌道に沿って移動することにより、レール
頭部の溶接部を全周的に(つまりレール頭部の踏面やそ
の両側面を)自動仕上げする。グラインダの回転砥石
は、レールの長手方向に向けた母線部分にてその外周面
をレール頭部に接触させているので、手作業で研削する
場合のようにグラインダ(砥石)を小刻みに往復動させ
なくても、(その母線部分が真っすぐである限り)レー
ルの長手方向に沿った平坦面を研削部分に形成すること
ができる。また、ガイドに備わった軌道はレール本来の
プロフィルに合ったものであるため、フレームとともに
グラインダがこの軌道に従って移動するにつれ、そのプ
ロフィルからはみ出ている溶接余肉が自動的に取り除か
れることになる。
【0013】一箇所の溶接部について仕上げが終了する
と、運転を停止し、固定した上記のガイドごと一旦レー
ルから装置を取り外し、別の溶接部へ移動したうえそこ
にガイドを固定して運転を再開し、上記を繰り返す。砥
石やグラインダを一組もつだけの簡単な(したがって軽
量な)構成なので、本装置の移動は容易である。なお研
削中に多少でも砥石が摩耗することに対しては、フレー
ムにおけるグラインダの位置をレール寄りに徐々にずら
して補正したりするとよいが、その摩耗による研削不足
の分を過剰研削防止の意味で残すようにしても、わずか
な手仕上げしろが残るだけで作業者の負担が甚だしくな
ることはない。もちろん、砥石は適宜に交換する。
【0014】請求項2に記載した自動仕上げ装置の場合
は、前記のピッチ送り手段に基づき、溶接部の余肉を
少しずつ削り取りながら研削を進めることができる。仕
上げ加工は、必要な研削しろを砥石の一行程(1パスの
移動)によって研削し終わるよりも、砥石やグラインダ
の能力と被研削材の性質などを考慮した適当な深さずつ
何行程(または何往復)かの削り込みを繰り返すことに
よって行うのがむしろ普通であるが、請求項2のこの装
置は、そういった一般的なプロセスに従う研削を行うの
である。このプロセスを可能にするのは、の送り手段
によって一行程ごとにグラインダ(砥石)が所定の適当
な量(ピッチ)だけレール寄りに送り出されるからであ
るが、本装置では、一行程での削り込み量が正確に、し
かもレール頭部の全周面に対して均一に設定される。な
ぜなら、研削中、フレームやグラインダはレールの周辺
で移動するが、レール頭部における砥石との接触面(研
削中の箇所)に対しては、フレームがの手段で一定の
角度(姿勢)に保たれたうえグラインダがの送り手段
によりその面の法線方向に送られるため、レール頭部の
削り込み深さが、その全周面において上記の送り量に一
致するからである。
【0015】請求項3の自動仕上げ装置は、溶接部の研
削を、その溶接部付近(レールの長手方向位置を異にす
る近接箇所)の非溶接部におけるレール頭部の外形に倣
いながら行う。グラインダは、に記した押す手段を有
するサブフレーム上に設けられ、そのサブフレームが、
に記した倣い具を上記の非溶接部(しかも、砥石とレ
ールとの接触点とはレールの長手方向位置が異なり、周
方向における位置が対応する点)に押し当てながらガイ
ドに沿って移動するため、砥石の研削部分(つまり前述
の母線部分)の動きが、倣い具が倣うレールの非溶接部
の外形に従うからである。したがって、請求項3のこの
装置は、前記ガイドの備える軌道が実際のレールのプロ
フィルと正確には対応していない場合にも、溶接部に対
し適正な研削が行える。サブフレームにはピッチ送り手
段も設けられ、グラインダを適当な量ずつ送ることがで
きるので、その非溶接部の外形に一致するまで複数の行
程によって溶接部の研削を仕上げることも可能である。
【0016】請求項4に記載した装置によると、レール
の溶接部を研削する際、グラインダが、レールの長手方
向に往復動作しながら前記のガイドに従って移動する。
つまりグラインダの砥石は、溶接部の幅の方向(レール
の長手方向)に小刻みな往復(いわゆるウィービング)
をしながら溶接部を全周的に研削していく。研削しよう
とする溶接部に対して砥石をこのように動かすと、砥石
の偏摩耗が起こりにくい。溶接部の余肉に対する砥石の
位置が常に変化するからであるが、偏摩耗しにくいこと
は、砥石の外周面の母線部分が直線状に保たれやすいこ
とを意味し、溶接部を平坦にするのに特別な手入れをし
ないで同じ砥石を長期間使用できることになる。そのほ
か、砥石の目詰まりや目つぶれが起こりにくいことと、
研削にて発生する熱が分散しやすいこととに基づいて、
被研削物であるレールに研削焼けの生じることが防止さ
れる、といった利点もある。
【0017】
【実施例】図1〜図3に、本発明の第一実施例である自
動仕上げ装置1を示す。図1は、レールAの長手方向と
直角な面(横断面)で切って見た装置1の正面図、図2
は装置1の平面図、図3は装置1の側面図であるが、い
ずれも一部は破断して表わしてある。装置1は、図1の
とおりレールA上に預けるようにして固定され、レール
Aをつないだ溶接部Aa(図2)のうち頭部Ab(図1
に示す最上部の踏面やその両側面)に対し、移動式の砥
石31によって研削を施すものである。
【0018】概要的には、装置1はつぎのように構成し
ている。すなわち、 a) まず、装置1の全体を一体化するベース2の両端部
に、図1および図2のとおりレールA上にこの装置1を
固定するためのコの字形のブラケット3を設けている。
装置1とレールAとの相対的な位置関係をつねに一定に
するために、ブラケット3には、図1のようにレールA
の上面に当たるプレート3aと、固定ボルト3bとを取
り付けた。またボルト4は、その位置でブラケット3が
動かぬようにレールAをはさみつけておくものである。
【0019】b) 上記のブラケット3やベース2と一体
に、図1のとおりレールAの頭部Abを囲むような軌道
11を有するガイド10を設けている。この軌道11
は、レールAの長手方向と直角な面内にあって後述のフ
レーム20の移動を案内するもので、直接その案内をな
す部分としてラック部12・13を図のように内外に形
成している。軌道11としてのラック部12・13は、
ともに同じ大きさ(モジュール)の歯形を形成したもの
で、その輪郭は、レールAの頭部Abのプロフィルに対
応させている。すなわち、レールAの横断面における最
上部および両側鉛直部の直線部分に対してはラック12
・13とも輪郭を直線にし、両側角部の曲線(円弧)部
分に対しては、その曲率中心をセンターとする同心の円
弧としてラック部12・13を形成した。なお、この円
弧部分におけるラック部12・13のピッチ円の半径比
は2:1としている。
【0020】c) 中のあいた矩形枠状に形成したフレー
ム20を、上記のガイド10に対しガイド10の一部を
囲むように取り付ける(図2参照)とともに、そのフレ
ーム20に、自走のためのサーボモータ23・24や歯
車(ピニオン)21・22を設けている。すなわち、図
1のとおり、ガイド10上の軌道11であるラック部1
2・13に歯車21・22をそれぞれ噛み合わせ、これ
らをモータ23・24にて駆動することにより、そのラ
ック部12・13の輪郭に従って歯車21・22ととも
にフレーム20が移動するように構成した。なお、図2
および図3における符号25a・25b・25c・25
d・25eは、フレーム20が傾いたりすることのない
ようガイド10や軌道11に接触させてフレーム20に
配備したローラである。
【0021】d) エア式のグラインダ30をフレーム2
0上に取り付け(取り付け関係の詳細は後述する)、グ
ラインダ30がフレーム20とともに軌道11に沿って
移動する間にレールAの頭部Abを研削するようにし
た。グラインダ30が有する回転砥石31は円柱状のも
ので、図1のように軸心および外周面上の母線をレール
Aの長手方向に向けており、軌道11に沿って移動する
間も、頭部Abとは常にレールAの長手方向と平行に接
触する。また、その姿勢で図のように頭部Abの最下部
分の研削も可能なように、砥石31の半径は、地上面か
ら頭部Abの最下部分までの高さよりも小さくしてい
る。
【0022】この自動仕上げ装置1は、削り込み深さの
方向へグラインダ30(砥石31)を少しずつピッチ送
りして上記の移動(行程)を繰り返すことにより研削を
進めることが可能で、また、レールAの溶接部Aa付近
の非溶接部を基準とした倣い研削も行える。これらが可
能なのは、上記のフレーム20に相当の構成を施したか
らにほかならないが、以下に、そのフレーム20などに
ついて詳述する。
【0023】e) 上記のピッチ送りと倣い研削とをレー
ルAの頭部Abに対し正確かつ均一に行うには、グライ
ンダ30の取り付けられているフレーム20が、頭部A
bの研削面(研削中の部分)に対し一定の姿勢を保つこ
とが望ましいので、まず、そのための手段をフレーム2
0に設けている。すなわち、ラック部12・13と噛み
合う前記歯車21・22の回転速度をサーボモータ23
・24にてそれぞれコントロールすることにより、フレ
ーム20の姿勢を制御する。この例では、図1のように
横断面で見たフレーム20の中心線cを研削面と直角
(つまり研削面の法線上)に保つものとし、そのため
に、外側の歯車21の径(したがって歯数も)を内側の
歯車22のそれの二倍とし、両者間の回転速度比を、ラ
ック部12・13の直線部分では1:2、また円弧部分
(前述のピッチ円径比を有する)では1:1になるよう
コントロールしている。たとえば、モータ23・24の
それぞれに回転量検出器(エンコーダ)を取り付け、軌
道11の端部にあるときからモータ23・24が一定回
転した時点でその回転速度を上記のとおり切り換えるよ
うにすれば、上記の姿勢制御が可能である。
【0024】f) 倣い研削ができるよう、フレーム20
には、図2に示すサブフレーム40を介してグラインダ
30などを取り付けている。すなわちサブフレーム40
は、まずフレーム20上のガイドレール26に対し直線
案内41を介して移動自在に取り付け、これをレールA
寄りに押す手段としてフレーム20上にエアシリンダ4
2を配備した。ガイドレール26は前記したフレーム2
0の中心線cと平行(したがって前記の法線と平行)で
あるため、サブフレーム40の移動方向はレールA上の
研削面と直角である。そしてこのサブフレーム40の先
に、倣いローラ60を設けている。倣いローラ60はエ
アシリンダ42の弾性的な力でレールAに押し当てられ
るが、ローラ60とレールAとの接触点は、図2のとお
りレールAの長手方向には溶接部Aaとやや位置の異な
る非溶接部で、図1の方角から見れば砥石31とレール
Aとの接触点と周方向位置の一致する点である。サブフ
レーム40が、レールAの非溶接部をなぞっていく倣い
ローラ60と一体に前記中心線cの方向に移動し、グラ
インダ30が、そのサブフレーム40とともに同方向に
移動しながら(また軌道11に従っても移動しながら)
研削を行うので、非溶接部と同じプロフィルに溶接部A
aを研削することができる。
【0025】g) グラインダ30のピッチ送りによる研
削を可能にするため、上記のサブフレーム40上に、ピ
ッチ送り手段50を介してグラインダ支持用ブラケット
55を配備した。すなわちブラケット55は、上述のサ
ブフレーム40に対し、その側面上のガイドレール43
に直線案内51を介して取り付け、送りモータ52と送
りネジ53の作用で、送りナット54とともに前記と同
じ中心線cの方向へ送られるようにした。こうしたブラ
ケット55の先に手動ハンドル57つきの送りネジ機構
58を介してホルダー56を取り付け、グラインダ30
は、このホルダー56に保持させている。ガイド10
(軌道11)の端から他方の端部までフレーム20とと
もにグラインダ30が移動して一行程の研削をするたび
に、モータ52を所定量だけ回転させてブラケット55
とともにグラインダ30をレールAの中心寄りに少し送
り出すようにすれば、何行程かの繰り返しによって溶接
部Aaの余肉を取り除くことができる。モータ52の停
止状態では、ブラケット55は、サブフレーム40にお
ける位置がホールドされて倣いローラ60の動きに従う
ことになるため、前記の倣い研削も各行程において実施
される。なお、ハンドル57やネジ機構58は、溶接部
Aaの幅(レールAの長手方向の寸法)が砥石31の幅
を越える場合などに、グラインダ30の位置を軸心方向
にシフトできるよう配備している。
【0026】つづいて図4(a)・(b)に、本発明の第二
実施例である自動仕上げ装置2について示す。図4(b)
に示したのは、先の図2と同様の角度から見た装置2の
一部で、同(a)は同(b)におけるa−a矢視図である。
装置2は、図示以外の部分では前記第一実施例の装置1
と相異しない。また、図示の範囲内でも、前記の装置1
と同様の部分には同じ符号を付しており、それらの各部
分について詳述することは省略する。
【0027】この装置2が装置1と異なる点は、ブラケ
ット55上に、レールAの長手方向(つまり図4の左右
方向)へグラインダ30をホルダー56ごと往復させる
ための往復動作手段70を設けた点にある。溶接部Aa
に対し、その幅方向に砥石31(符号32はそのカバー
である)を動かしながら(つまり、いわゆるウィービン
グを行いながら)前記例のように研削を行うためであ
る。
【0028】往復動作手段70は、モータ71や減速機
72・回転板73・連結棒74といった駆動源としての
部分と、それらで駆動されるホルダー56上の部品であ
る連結片75および案内片76、さらに、その案内片7
6を介してホルダー56を移動可能に支える案内棒77
などにより構成している。これらを機構的に詳しく述べ
るとつぎのとおりである。まず、ブラケット55におけ
るレールA寄りの部分に、二本の案内棒77をレールA
の長手方向と平行にして四つの支持片77aにより固定
する。その案内棒77に対しスライド自在に通した四箇
所の案内片76に、ホルダー56を一体化する(ここま
では、実は第一実施例の装置1においても同様に構成し
てある)。こうして移動可能になったホルダー56上
に、連結片75を取り付ける。この連結片75に対し、
上記駆動源部分の出力点である連結棒74の一端を、ピ
ン75aを介して連結する。モータ71の回転は、ウォ
ームギヤを内蔵した減速機72によって減速されるとと
もに回転軸方向を変えられて回転板73を回すが、回転
板73には偏心位置にてピン73aを介し連結棒74を
接続してクランク機構を構成しているので、連結棒74
の一端が往復運動することができ、したがって、それに
接続したホルダー56は案内棒77に沿った往復動作を
なすのである。この装置2では、ホルダー56とともに
グラインダ30が、75mmのストロークで毎分60往
復するように構成した。なお、レールAの頭部Abをグ
ラインダ30が一行程(片道の1パス)する時間を約3
0秒にしているので、その一行程の間に、砥石は溶接部
Aaをその幅方向に約30往復することになる。
【0029】以上、実施例を紹介したが、本発明につい
てはこのほかにも各種の実施態様が考えられる。たとえ
ば、グラインダ30の種類(エア駆動式)を電気式等に
変更することや、サブフレーム40を押す手段であるエ
アシリンダ42をスプリングに変えることなどは、極め
て容易に行える。レールAに対するガイド10の固定手
段についても、上の例に示したベース2やブラケット3
などによるものに限らず、位置を調節しながらガイド1
0を地上に設置する方式なども採用できる。レールプロ
フィルに応じて、何種類かのうちからガイドを選択・交
換できるようにしておけば便利なことも多い。また言う
までもないが、同じ構成の装置を、レールの敷設現場だ
けでなく工場(レールの製造所)においてレールの溶接
部に適用することも可能である。
【0030】また、グラインダをレールの長手方向に往
復動作させる手段としては、第二実施例に示した以外
に、たとえば、モータ等で回転させる送りネジ上に、ナ
ットを介してグラインダ30(もしくはそのホルダー5
6)を取り付けるものや、流体圧式シリンダ等によって
グラインダ30を押し引きするものなどが実施可能であ
る。さらに、ブラケット55またはサブフレーム40の
上にそうした手段を設けるのには限らず、たとえば、レ
ールAや固定したベース2に対して、ガイド10ごと
(したがってフレーム20やサブフレーム40等も含め
て)グラインダ30を当該方向へ往復動作させることな
ども考えられる。
【0031】
【発明の効果】本発明の自動仕上げ装置にはつぎの効果
がある。
【0032】1) レールの溶接部を研削するのに、熟練
作業者による非効率的な重労働が不必要になる。
【0033】2) 装置やグラインダの配置・向き等の変
更をしないまま、一台のグラインダを用いてレール頭部
の全周を研削仕上げすることができる。
【0034】3) グラインダの台数が少なく装置の構成
も単純なので軽量に構成でき、したがってレールの敷設
現場における取り扱いが容易である。
【0035】4) 装置の構成とともにその制御パターン
も複雑でないため、装置コストが低いうえ故障が少な
く、また作業の無人化を図ることも難しくない。
【0036】5) 請求項2の装置では、一行程ずつ正確
なピッチで削り込みを進めながら、少しずつ均一にレー
ルの頭部を研削仕上げすることができる。
【0037】6) 請求項3の装置ではさらに、ガイドに
設けた軌道が実際のレールのプロフィルと正確には対応
していない場合にも、溶接部に対し適正な研削が行え
る。
【0038】7) 請求項4の装置では、砥石の偏摩耗が
起こりにくいので、同じ砥石を長期間使用しても溶接部
を平坦に仕上げることができる。また、研削焼けの発生
も避けられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施例である自動仕上げ装置1に
ついて、レールの長手方向と直角な面(横断面)で見た
正面図である。
【図2】上記の自動仕上げ装置1の平面図である。
【図3】上記の自動仕上げ装置1の側面図で、図2にお
けるIII−III断面図である。
【図4】図4(b)は、本発明の第二実施例としての自動
仕上げ装置2について一部を示す平面図、同(a)は、同
(b)におけるa−a矢視図である。
【符号の説明】
1 自動仕上げ装置 10 ガイド 11 軌道 20 フレーム 30 グラインダ 31 砥石 40 サブフレーム 50 ピッチ送り手段 60 倣いローラ 70 往復動作手段 A レール Ab 頭部
フロントページの続き (72)発明者 上田 正和 兵庫県神戸市中央区東川崎町3丁目1番 1号 川崎重工業株式会社 神戸工場内 (72)発明者 岡田 政弘 兵庫県神戸市中央区東川崎町3丁目1番 1号 川崎重工業株式会社 神戸工場内

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レールの長手方向と直角な面内にレール
    頭部のプロフィルに応じた軌道を備えてレールに対し所
    定の位置に固定されるガイドと、 上記の軌道に沿って移動するようガイドに取り付けられ
    たフレームと、 回転砥石の外周面のうちレールの長手方向を向いた母線
    部分をレール頭部の溶接部に接触させるよう上記フレー
    ムに保持されたグラインダと を備えることを特徴とするレール溶接部自動仕上げ装
    置。
  2. 【請求項2】 レール頭部における砥石との接触面上の
    法線に対するフレームの角度を上記移動の際に一定に保
    つ手段とともに、その法線の方向へ所定量ずつグライン
    ダを送るピッチ送り手段を備えた請求項1に記載のレー
    ル溶接部自動仕上げ装置。
  3. 【請求項3】 フレームに対し、上記の法線方向に移動
    自在にサブフレームが取り付けられたうえそれをレール
    寄りに押す手段が設けられ、そのサブフレーム上に、上
    記のグラインダとピッチ送り手段のほか、砥石との接触
    点とはレールの長手方向位置のみを異にするその付近の
    非溶接部にてレール頭部に押し当てられる倣い具を一体
    に備えた請求項2に記載のレール溶接部自動仕上げ装
    置。
  4. 【請求項4】 レールの長手方向にグラインダを往復動
    作させる手段を備えた請求項1、2または3に記載のレ
    ール溶接部自動仕上げ装置。
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