JP2545930B2 - ブレーキ倍力装置 - Google Patents

ブレーキ倍力装置

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JP2545930B2
JP2545930B2 JP63142020A JP14202088A JP2545930B2 JP 2545930 B2 JP2545930 B2 JP 2545930B2 JP 63142020 A JP63142020 A JP 63142020A JP 14202088 A JP14202088 A JP 14202088A JP 2545930 B2 JP2545930 B2 JP 2545930B2
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Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明はブレーキ倍力装置に関し、より詳しくは、弁
機構と定圧室とを連通する通路を開閉する電磁弁と備え
たブレーキ倍力装置に関する。
「従来の技術」 従来、ブレーキ倍力装置として、シェル内に摺動自在
に配設したパワーピストンと、このパワーピストンの作
動方向前方側に形成した定圧室と後方側に形成した変圧
室と、上記パワーピストン軸部のバルブボデイ内に収納
した弁機構と、上記バルブボデイに形成されて上記弁機
構と定圧室とを連通する通路と、さらに上記バルブボデ
イに取付けられて上記通路を開閉する電磁弁とを備えた
ものが知られている(特開昭62−279164号公報)。
そして、このブレーキ倍力装置に設けられた電磁弁
は、上記通路を囲む弁座と、この弁座よりも定圧室側に
配置したソレノイドと、このソレノイドの励磁によって
移動されるプランジャと、このプランジャに連結されて
その移動時に上記弁座に弁機構側から着座する弁体とを
備えている。
したがって上記弁体を弁座に着座させた際には、ソレ
ノイドの付勢力だけではなく、変圧室側の圧力が弁体に
作用してこれを弁座に押圧するので、確実に上記通路を
閉鎖させることができる。
「発明が解決しようとする課題」 しかしながら、上記ソレノイドを消勢して弁体を弁座
から離座させた際には、変圧室に導入されていたエアが
上記通路を介して定圧室側に流動するようになるため、
その流れによって弁体が弁座に着座されてしまう虞があ
った。弁体が弁座に着座されても、それによってエアの
流れが無くなれば再び弁体は弁座から離座するが、変圧
室内の圧力が低下するのが遅れるのでパワーピストンの
非動位置への復帰時間が遅くなり、運転者にブレーキの
引きずり感を感知させるようになるという欠点があっ
た。
このような欠点を解決するには、上記弁体を定圧室側
から弁座に着座させればよいが、その場合には弁体を弁
座に着座させた際に、変圧室側の圧力が弁体に作用して
これを弁座から離隔させようとするので、ソレノイドの
付勢力をかなり大きくする必要があり、ソレノイドが大
型化するだけでなく、ソレノイドへの通電電流を増大さ
せなければならないので、ソレノイドからの発熱量が増
大してダイアフラムやバルブボデイの耐久性に悪影響を
与えるようになる。
「課題を解決するための手段」 本発明はそのような事情に鑑み、上記弁体を定圧室側
から弁座に着座させるようにしても、ソレノイドの大型
化を可及的に防止できるようにしたものである。
すなわち本発明は、上述した電磁弁を備えるブレーキ
倍力装置において、その電磁弁を、上記通路を囲む弁座
と、この弁座よりも定圧室側に配置したソレノイドと、
このソレノイドの励磁時に付勢されて上記弁座に向けて
前進されるプランジャと、前進位置に位置したプランジ
ャの先端面を近接して対向配置され、上記ソレノイドの
磁路を形成するスペーサと、このスペーサを摺動自在に
貫通して上記プランジャに連結され、かつプランジャの
前進時に上記弁座に定圧室側から着座する弁体とから構
成したものである。
「作用」 上記構成によれば、プランジャを前進させるソレノイ
ドの付勢力が相対的に小さくても、上記弁体を弁座に着
座させた際には、弁体に連結したプランジャがソレノイ
ドの磁路を形成するスペーサに近接して対向するように
なるので、該プランジャおよび弁体は大きな吸引力でそ
の前進位置に保持されるようになり、したがって弁体に
変圧室側の圧力が作用してこれを弁座から離隔させよう
としても、それに充分に対抗することが可能となる。
そして上記弁体を弁座から離座させた際には、変圧室
から定圧室側へ流動するエアはその弁体を弁座から離隔
させる方向に付勢するので、弁体を迅速かつ確実に弁座
から離座させることができ、したがって従来のように運
転者にブレーキの引きずり感を生じさせることがなく、
良好なブレーキフィーリングを得ることができる。
「実施例」 以下図示実施例について本発明を説明すると、第1図
において、ブレーキ倍力装置のシェル1はフロントシェ
ル1aとリヤシェル1bとからなり、そのシェル1内にパワ
ーピストン2を摺動自在に設けるとともに、このパワー
ピストン2の背面にダイアフラム3を張設し、そのパワ
ーピストン2とダイアフラム3とによって上記シェル1
内を前方の定圧室4と後方の変圧室5とに区画してい
る。
上記パワーピストン2の軸部に一体にバルブボデイ6
を設けるとともに、このバルブボデイ6内に流路を切換
える弁機構7を収納してあり、これらパワーピストン2
やバルブボデイ6等をリターンスプリング8によって通
常は図示非作動位置に保持している。
上記弁機構7はバルブボデイ6に形成した第1弁座1
0、弁プランジャ11に形成した第2弁座12および両弁座1
0、12にパワーピストン2の後方側すなわち第1図の右
方からばね13の弾撥力によって着座する弁体14を備えて
いる。
そして、上記第1弁座10と弁体14とのシート部より外
側を通路15および電磁電磁弁16を介して上記定圧室4に
連通させ、さらにその定圧室4をシェル1に設けた負圧
導入管17を介して図示しないエンジンのインテークマニ
ホールド等の負圧源に連通させている。
他方、上記第1弁座10と弁体14、および第2弁座12と
弁体14との各シール部の中間部はバルブボデイ6に形成
した通路18を介して変圧室5に連通させ、さらに上記第
2弁座12と弁体14とのシート部より内側はフィルタ19を
設けた通路20を介して大気に連通させている。なお、上
記変圧室5は、上記バルブボデイ6を摺動自在に貫通さ
せたシール部材21によって外部との気密を保っている。
上記弁機構7を構成する弁プランジャ11はキー部材24
によってバルブボデイ6から抜出るのを防止するととも
に、その末端部を図示しないブレーキペダルに連動させ
た入力軸25に連結し、また弁プランジャ11の先端面はプ
ッシュロッド26の末端面に対向させてその対向面間にリ
アクションディスク27を介在させている。さらに上記フ
ロントシェル1aの軸部にはシェル1の内部に向けて筒状
部1cを突出形成してあり、その内部に配設したシール部
材28に上記プッシュロッド26を摺動自在に貫通させてシ
ェル1の外部に突出させ、その突出端を図示しないマス
ターシリンダのピストンに連動させている。
上記電磁弁16は定圧室4内に配置するとともに、コイ
ル状のリターンスプリング8の外側かつ下方位置におい
てバルブボデイ6に取付けてあり、この電磁弁16によっ
てバルブボデイ6に形成した上記通路15を閉鎖させるこ
とにより、ブレーキペダルの踏み込みが解除されてもブ
レーキの作動状態を維持できるようにしている。
上記電磁弁16から引き出した2本のハーネス29は、上
記フロントシェル1aの開口30に設けたシール装置31によ
って気密を保持してシェル1の外部に引き出し、図示し
ないマイクロコンピュータを含む制御装置に接続してい
る。
然して、第2図の拡大して示すように、上記電磁弁16
は、弁座プレート34と筒状のケーシング35とを備えてお
り、その弁座プレート34を上記通路15の定圧室4内への
開口部15aを覆わせてバルブボディ6の端面6aにシール
部材36を介して取付け、この弁座プレート34の中央孔の
周囲を弁座37としている。
また上記筒状のケーシング35は上記弁座37を覆ってお
り、そのケーシング35の右端部に形成したフランジ部35
aを弁座プレート34にその左方から重合させ、かつその
フランジ部35aと弁座プレート34とをねじ38によってバ
ルブボディ6の端面6aに固定している。そしてこのケー
シング35の所要位置に開口39を形成し、上記通路15をそ
の開口39を介して定圧室4に連通させている。
上記ケーシング35内にはリング状のソレノイド44を収
納してあり、該ソレノイド44の両端部に磁性体からなる
スペーサ45、46をそれぞれ配置している。ソレノイド44
の左方に設けたスペーサ45は、ケーシング35の底壁とソ
レノイド44のスプール47の左端面との間に配置された円
板部45aと、ソレノイド44のスプール47の軸部内に嵌合
された筒部45bとを備えており、該筒部45b内に磁性体か
らなるプランジャ48を摺動自在に嵌合している。
また、他方のスペーサ46は、上記スプール47の右端面
を支持する円板部46aと、スプール47の軸部内に嵌合さ
れた筒部46bと、さらにその筒部46bの左端部から半径方
向内方に伸びる端部壁46cとを備えている。そしてこの
スペーサ46の円板部46aは、上記開口39を形成する際に
形成したカシメ部35bによって、上記ソレノイド44およ
びスペーサ45とともにケーシング35に固定されている。
したがって、上記ソレノイド44の磁路は、上記スペー
サ45、ケーシング35、スペーサ46、該スペーサ46とプラ
ンジャ48との間のギャップ、およびプランジャ48から形
成されるようになる。
そして上記プランジャ48に、スペーサ46の端部壁46c
を摺動自在に貫通させて弁体51を連結している。この弁
体51はその右端部にゴム等の弾性体で覆った大径の弁部
51aを備えており、上記ソレノイド44を励磁した際に
は、その弁部51aを上記弁座37に定圧室4側から着座さ
せて通路15を閉鎖することができるようにしている。ま
た、弁体51とバルブボデイ6との間にばね52を弾装し、
上記ソレノイド44の消勢時にはそのばね52の弾撥力によ
って弁部51aを弁座37から離座させるようにしている。
また、上記弁体51の左端軸部51bは、上記スペーサ46
の端部壁46cに摺動自在に貫通させて上記プランジャ48
の軸部に形成した貫通孔48aに圧入嵌着してあり、さら
に左端軸部51bと上記弁部37との間の中径部51cは、上記
スペーサ46の筒部46b内に摺動自在に嵌合して、その筒
部46bで弁体51の進退動を案内できるようにしている。
ところで、上記弁体51の左端軸部51bを上記プランジ
ャ48の貫通孔48a内に圧入嵌着する際には、先ず両者を
所定量だけ圧入しておき、弁座プレート34若しくはこれ
に相当する治具に弁体51の弁部51aを当接させた状態で
プランジャ48をスペーサ46に当接するまで押圧すること
により、上記左端軸部51bを貫通孔48a内に圧入するよう
にしている。
そして上記ソレノイド44を励磁してプランジャ48およ
び弁体51を右行させ、弁部51aを弁座37に着座させた際
の弁部51aの弾性変形量は、上記圧入時の弾性変形量よ
りも小さくなるので、その際にはプランジャ48の右端面
とスペーサ46の端部壁46cとの間に微少の間隙を確保す
ることができ、したがってプランジャ48を大きな吸引力
でその位置に保持することができるとともに、ソレノイ
ド44を消勢した際には、プランジャ48を上記ばね52の弾
撥力によって速やかに元の位置に復帰させることができ
る。
以上の構成において、ブレーキ倍力装置の非作動状態
においては、第1図に示すように、バルブボデイ6およ
びパワーピストン2はリターンスプリング8によって図
示非作動位置に保持されている。また、電磁弁16のソレ
ノイド44は消磁されており、弁体51はばね52により非作
動位置に保持されて弁部37が弁座34から離座し、したが
って通路15を介して定圧室4と変圧室5とが連通してい
る。
この状態から、図示しないブレーキペダルが踏込まれ
ると、入力軸25に連動する弁機構7によって定圧室4の
変圧室5との連通状態が遮断されるとともに変圧室5内
に大気圧が導入されるので、パワーピストン2およびバ
ルブボデイ6が左行され、従来周知のようにブレーキペ
ダルの踏込み力に応じたブレーキ力が発生される。
次にこの状態から、上記制御装置が予め定めた所定の
条件、例えば車両が停止してから一定時間継続してブレ
ーキペダルが踏込まれていることを検出すると、該制御
装置は上記電磁弁16のソレノイド44を励磁する。する
と、プランジャ48はばね52の弾発力に坑して右行される
ので、弁部51aが弁座37に着座して通路15を閉鎖する。
この際、上記プランジャ48の右端面とスペーサ46の端部
壁46cとの間のギャップが最大となっているが、ソレノ
イドはプランジャ48および弁体51をばね52の弾撥力に坑
して作動させるだけでよいので、それほど大きな吸引力
が要求されることははい。
このようにして上記通路15が閉鎖されれば、ブレーキ
ペダルの踏込みが解除されて弁機構7の流路が切換わっ
ても、変圧室5内に導入された大気が定圧室4に逃げる
ことができないので、ブレーキ作動状態が継続されるこ
ととなる。そしてこの状態では、変圧室5側の圧力が弁
体51に作用して弁部51aを弁座37から離座させようとす
るが、この際にはプランジャ48の右端面はスペーサ46の
端部壁46cに微少の隙間をもって対向しているので、プ
ランジャ48は大きな吸引力でその前進位置に保持される
ようになり、したがって弁部51aが弁座37から離座され
ることはない。
さらにこの状態から例えばアクセルペダルが踏込まれ
ると、上記制御装置により電磁弁16のソレノイド44が消
勢されて弁部51aがばね52の弾発力により弁座37から離
座されるので、変圧室5内のエアが通路15を介して定圧
室4側に逃げ、それによってブレーキの作動状態が解除
される。
この際、上述したように弁体51aを定圧室4側から弁
座37に着座させるようにしているので、変圧室5から通
路15を介して定圧室4側に流動するエアはその弁体51a
を弁座37から離座させるように機能し、したがって変圧
室5内の圧力が速やかに低下してブレーキ倍力装置が非
作動状態に復帰するので、運転者はブレーキの引きづり
感のない良好なブレーキフィーリングを得ることができ
る。
「発明の効果」 以上のように、本発明によれば、弁体を定圧室側から
弁座に着座させるようにしても、弁体も弁座に着座させ
た際には該弁体に連結したプランジャがソレノイドの磁
路を形成するスペーサに近接して対向するようになるの
で、該プランジャおよび弁体は大きな吸引力でその前進
位置に保持されるようになる。
したがって、プランジャを前進させるソレノイドの付
勢力が相対的に小さくても確実に弁体を弁座に着座させ
ることができるので、ソレノイドの大型化や通電電流の
増大を防止することができ、しかも上記弁体を弁座から
離座させた際には、変圧室から定圧室側へ流動するエア
によって該弁体を迅速かつ確実に弁座から離座させるこ
とができるので、従来のように運転者にブレーキの引き
ずり感を生じさせることがなく、良好なブレーキフィー
リングを確保することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例を示す断面図、第2図は第1
図の要部の拡大断面図である。 1……シェル、2……パワーピストン 4……定圧室、5……変圧室 6……バルブボデイ、7……弁機構 15……通路、16……電磁弁 34……弁座プレート、35……ケーシング 37……弁座、44……ソレノイド 45、46……スペーサ、46c……端部壁 48……プランジャ、51……弁体 51a……弁部

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シェル内に摺動自在に配設したパワーピス
    トンと、このパワーピストンの作動方向前方側に形成し
    た定圧室と後方側に形成した変圧室と、上記パワーピス
    トン軸部のバルブボデイ内に収納した弁機構と、上記バ
    ルブボデイに形成されて上記弁機構と定圧室とを連通す
    る通路と、さらに上記バルブボデイに取付けられて上記
    通路を開閉する電磁弁とを備えたブレーキ倍力装置にお
    いて、 上記電磁弁を、上記通路を囲む弁座と、この弁座よりも
    定圧室側に配置したソレノイドと、このソレノイドの励
    磁時に付勢されて上記弁座に向けて前進されるプランジ
    ャと、前進位置に位置したプランジャの先端面に近接し
    て対向配置され、上記ソレノイドの磁路を形成するスペ
    ーサと、このスペーサを摺動自在に貫通して上記プラン
    ジャに連結され、かつプランジャの前進時に上記弁座に
    定圧室側から着座する弁体とから構成したことを特徴と
    するブレーキ倍力装置。
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