JP2545572B2 - ガスバリヤ性の優れた透明プラスチックフィルム - Google Patents

ガスバリヤ性の優れた透明プラスチックフィルム

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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、ガスバリヤ性の優れた透明プラスチックフ
ィルムに関するものである。更に詳しくは、包装材料等
に好適に使用されるガスバリヤ性に優れた、しかも透明
なプラスチックフィルムに関するものである。
[従来の技術] 食品、医薬品、化学薬品等の包装材料に用いられる透
明なプラスチックフィルムは、包装された内容物の変質
を防ぐために、水蒸気や酸素などのガス透過率の小さい
材質のものが用いられている。そして、さらに高度のガ
スバリヤ性が必要な包装材料の場合は、フィルムにアル
ミニウム箔を貼り合せたものや、フィルムの表面にアル
ミニウムを蒸着させたものが用いられてきた。
しかしながら、このような金属箔等を用いた包装材料
は、水蒸気や酸素などに対するガスバリヤ性には優れて
いるものの、不透明であり、内容物を外から見ることが
できないという欠点があって、包装材料としては適当で
ない面があった。
一方、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデンを主成分
とし、これと共重合可能な他の化合物、たとえば塩化ビ
ニル、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、ア
クリロニトリルなどとの共重合体等の塩化ビニリデン系
樹脂よりなるフィルム、およびこれらの塩化ビニリデン
系樹脂をポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド等
よりなるフィルムにコーティングした塩化ビニリデン系
樹脂コートフィルムも、ガスバリヤ性を備えた包装材料
として用いられている。これらの塩化ビニリデン系樹脂
フィルムは、フィルム自体が水蒸気や酸素に対するガス
バリヤ性を備えているが、これらのガスバリヤ性は、充
分なものではなく、高度なガスバリヤ性を必要とする包
装材料には不適当であった。
さらに、ポリビニルアルコールフィルムや、エチレン
−ビニルアルコール共重合体フィルム等のポリビニルア
ルコール系フィルムは、酸素バリヤ性に優れているので
包装材料として広く用いられている。しかしながら、ポ
リビニルアルコール系フィルムは水蒸気バリヤ性におい
て劣り、さらに高湿度の条件下では酸素バリヤ性も低下
するという欠点を有する。そのためにポリビニルアルコ
ール系フィルムを包装材料として用いる場合は、ポリプ
ロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリエステ
ルフィルムなどの水蒸気バリヤ性を有するフィルムを、
ポリビニルアルコール系フィルムに積層した積層フィル
ムとして通常用いられている。しかしながら、このよう
な積層フィルムも、高度なガスバリヤ性を必要とする包
装材料としては、充分にその目的を果たすものとは云え
なかった。
従って、このような積層フィルムを、高度なガスバリ
ヤ性を必要とする包装材料として使用する場合には、積
層フィルムの厚さを厚くしなければならず、フィルムの
厚さを厚くすると、積層フィルムの透明性や柔軟性が損
なわれてしまい、包装材料としての好ましい性質が失わ
れてしまうという欠点があった。
また、二軸延伸ナイロンフィルムや二軸延伸ポリエス
テルフィルムなどにケイ素酸化物を蒸着したフィルム
(特公昭53−12953)、ポリエチレンテレフタレートフ
ィルムや、二軸延伸ポリプロピレンフィルムなどにマグ
ネシウム酸化物を蒸着したフィルム(特開昭60−2753
2)なども提案されているが、これらのフィルムも高度
なガスバリヤ性を必要とされる用途には、不充分であ
る。
[発明が解決しようとする課題] 本発明は、かかる現状に鑑み、透明で、かつ高度のガ
スバリヤ性を有し、包装材料として好ましい性能を有す
るフィルムを提供することを目的とする。一般に、ポリ
ビニルアルコールフィルムは低湿度下では優れた酸素バ
リヤ性を有しているが、高湿度下では吸湿により分子構
造が変化し、酸素バリヤ性が著しく低下する。しかしな
がら、本発明者らは、その物性および応用につき鋭意検
討した結果、ポリビニルアルコールフィルムとして、高
ケン化度のポリビニルアルコールよりなり高温における
寸法変化率の少ない延伸フィルムを用い、このフィルム
にスズ酸化物の透明な薄膜層を設けると、得られる積層
フィルムは、透明で、高湿度条件下での酸素バリヤ性が
著しく向上したものとなるのみならず、水蒸気バリヤ性
も著しく改善されたものとなることを知見し、これに基
づいて、本発明を完成したものである。
[課題を解決するための手段] しかして本発明の要旨とするところは、ケン化度が99
モル%以上のポリビニルアルコールからなり、温度120
℃の条件における寸法変化率が2%の範囲内である延伸
されたポリビニルアルコールフィルムの片方の面に、ス
ズ酸化物の透明な薄膜層が形成されてなることを特徴と
する、ガスバリヤ性の優れた透明プラスチックフィルム
およびこの透明プラスチックフィルムに形成されている
スズ酸化物の透明な薄膜層の面に、別の透明なプラスチ
ック薄膜が積層形成されてなることを特徴とする、ガス
バリヤ性の優れた透明プラスチックフィルムに存する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る透明プラスチックフィルムにおいては、
ポリビニルアルコールフィルム(以下、「PVAフィル
ム」という。)として、ケン化度が99モル%以上である
ポリビニルアルコール(以下、「PVA」という。)から
製造されたフィルムであって、温度120℃の条件におけ
る寸法変化率が2%の範囲内である延伸フィルムを用い
る。
ケン化度が99モル%より低いPVAからなるPVAフィルム
を用いると、このフィルムの片面にスズ酸化物の透明な
薄膜層を設けても、ガスバリヤ性があまり向上しない。
PVAフィルムとして無延伸フィルムを用いると、この
フィルムの片面にスズ酸化物の透明な薄膜層を設けて
も、ガスバリヤ性があまり向上しない。上記延伸フィル
ムはPVAフィルム製造時において、一般的に採用される
延伸倍率、たとえば未延伸フィルムから2倍以上に延伸
されたものであれば、一軸方向のみに延伸されたもので
あっても、また二軸方向に延伸されたものであってもよ
い。また、このPVAフィルムは、一段階で延伸したもの
に限られず多段階で延伸したものであってもよい。PVA
フィルムの延伸倍率は、特に限定されるものではない
が、未延伸フィルムからの面積延伸倍率が4倍以上であ
るものが好ましい。
さらに、本発明に係る透明プラスチックフィルムにお
いて用いられる延伸されたPVAフィルムは、温度120℃の
条件における寸法変化率が2%のものであることが必要
である。
PVAフィルムとして、120℃の条件における寸法変化率
が上記範囲を超えるものを用いると、このフィルムの片
面に、真空蒸着法、スパッタリング法またはイオンプレ
ーティング法等の手段によりスズ酸化物の透明な薄膜層
を設けても、ガスバリヤ性があまり向上しない。その詳
細な原因は定かではないがスズ酸化物の薄膜層を形成さ
せる際にPVAフィルムが加熱され、加熱されたPVAフィル
ムに収縮または膨張が生起して寸法が変化し、この寸法
の変化が2%を超える場合には、スズ酸化物の薄膜層に
クラック、厚み斑、ピンホール等が発生し、均一かつ緻
密な薄膜層とはならないためではないかと推測される。
昇温下における寸法安定性がよく、温度120℃の条件
における寸法変化率が上記範囲内であるPVAフィルムを
得るには、未延伸のPVAフィルムを所定の倍率に延伸し
たのち、この延伸フィルムをそのガラス転移点以上かつ
融点未満の温度条件で加熱し、結晶化度を高め、同時に
分子鎖の配向を固定するための、いわゆる熱固定操作を
施せばよい。
上記熱固定操作は、1段階で行ってもよいが2段階に
別けて行うこともでき、2段階で行う場合には、後段の
熱固定操作は120℃以下の温度条件で行うのがよい。ま
た後段の熱固定操作としては、延伸されたPVAフィルム
を、多湿環境下において吸湿せしめ、この可塑化された
状態において配向応力を緩和したのち、吸湿した水分を
加熱乾燥せしめる方法を採用することもできる。
PVAフィルムの厚さは、5〜400μmの範囲で選ぶこと
ができる。中でも10〜200μmの範囲で選ぶのが好まし
い。
本発明に係る透明プラスチックフィルムは、上記PVA
フィルムの片面に、スズ酸化物の透明な薄膜層が形成さ
れている。
PVAフィルムの片面にスズ酸化物の透明な薄膜層を形
成させるには、二酸化スズ等を蒸着原料とし、真空蒸着
法、スパッタリング法またはイオンプレーティング法の
いずれかの方法によればよい。
例えば、真空蒸着法の場合、蒸着原料として二酸化ス
ズを用い、10-3〜10-5Torrの真空下で、電子ビーム加熱
方式、高周波誘導加熱方式または抵抗加熱方式で加熱蒸
発させる。また蒸着原料としてスズまたは二酸化スズを
用い、酸素ガスを供給しながら行なう反応蒸着法も採用
できる。この際、被蒸着フィルムとしてのPVAフィルム
は、最終的な熱固定処理を経たものであっても、もちろ
んよいが、1段目の熱固定処理のみ行ったものを用い、
これを蒸着槽内に入れた後、蒸着開始前に前記2段目の
熱固定処理を施し、寸法安定性を付与したのち、上記蒸
着処理を施す方法も採用できる。
スズ酸化物の透明な薄膜層はスパッタリング法、イオ
ンプレーティング法でも形成させることができ、これら
の方法は真空蒸着法に比較して密着性の高い透明な薄膜
層が形成できる。
なお、スズ酸化物には、10重量%以下であればその中
に不純物としてカルシウム、マグネシウムまたはそれら
の酸化物等が混入していても、透明プラスチックフィル
ムのガスバリヤ性の極端な低下は認められない。
PVAフィルムの片面に形成させるスズ酸化物の透明な
薄膜層の厚さは、5〜500μmの範囲で選ぶのがよい。
透明な薄膜層の厚さが5nm未満であると、ガスバリヤ
性が不充分であり、また500nmを越えると、フィルムに
カールが発生し問題となったり、透明な薄膜層自体に亀
裂や剥離が生じ易いので好ましくない。
本発明の目的は、上記、PVAフィルムの片面にスズ酸
化物の透明な薄膜層を設けたフィルムの透明な薄膜層の
面に、別の透明なプラスチック薄膜を新たに設けること
によって、一層効果的に達成される。
上記別の透明なプラスチック薄膜を設けるには、透明
なプラスチックのフィルムを積層するか、または透明な
プラスチックの塗布膜を形成させる方法が採用できる。
この際新らたに設ける別の透明なプラスチック薄膜
(フィルムまたは塗布膜)は、特に限定されないが、AS
TM F372に準拠して、温度40℃、相対湿度90%の条件に
おいて測定した透湿度が、50g/m2・24hrs.以下の特性を
もったものが好ましく、その厚さは、5〜400μmの範
囲で選ぶことができる。
フィルムを積層して透明なプラスチック薄膜を設ける
場合、好適に用いることのできるプラスチックフィルム
としては、ポリエチレンおよびエチレン系共重合体、ポ
リプロピレンおよびプロピレン系共重合体等のオレフィ
ン系樹脂よりなるフィルム、ポリ塩化ビニルおよびその
共重合体等の塩化ビニル系樹脂よりなるフィルム、塩化
ビニリデン−塩化ビニル共重合体などの塩化ビニリデン
系樹脂よりなるフィルム、ポリエチレンテレフタレート
などのポリエステル樹脂よりなるフィルム、ポリテトラ
フルオロエチレンなどのフッ素樹脂よりなるフィルム、
これらのフィルムにさらに、塩化ビニリデン系樹脂等他
の樹脂をコーティングしたコートフィルムなどが挙げら
れる。これらのフィルムは未延伸のもの、あるいは一軸
または二軸に延伸したもの、いずれであってもよい。
このような別の透明なプラスチックフィルムをスズ酸
化物の透明な薄膜層に積層する場合には、ウレタン系接
着剤、アクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤などを
用いるドライラミネート法および押出ラミネート法な
ど、公知の方法を採用できる。
他方、別の透明なプラスチックの薄膜を塗布によって
形成させる場合には、塗布剤を用いる。この際、好適に
用いられる塗布剤としては、塩化ビニリデン−塩化ビニ
ル共重合体などの塩化ビニリデン系樹脂、ポリエチレン
テレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリテトラフ
ルオロエチレンなどのフッ素樹脂などの溶液または乳濁
液があげられる。これらの中では塩化ビニリデン系樹脂
のラテックスおよび塩化ビニリデン系樹脂をテトラヒド
ロフランなどの溶剤に溶解したものが好ましい。
塩化ビニリデン系樹脂をスズ酸化物の透明薄膜層に塗
布する場合、塩化ビニリデン系樹脂の接着強度を上げる
ためアンカーコート剤が使用される。
好適なアンカーコート剤としては、イソシアネート
系、ポリエチレンイミン系、有機チタン系などの接着促
進剤及びポリウレタン系、ポリエステル系などの接着剤
をあげることができる。
本発明に係るガスバリヤ性の優れた透明プラスチック
フィルムの厚さは、強度、柔軟性、経済性などの点から
10〜500μmの範囲で用途に応じて選ぶことができる
が、より好ましくは10〜200μmの厚さである。
また、本発明に係るガスバリヤ性の優れた透明プラス
チックフィルムには、そのポリビニルアルコールフィル
ムの表面または他の表面、更には両面に、その使用形態
に応じてフィルムのヒートシール性を向上させる物質を
塗布したり積層してもよい。
ヒートシール性を向上させる物質としては、低密度ポ
リエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロ
ピレン、アイオノマー等があげられる。
[発明の効果] 本発明に係る透明プラスチックフィルムは、透明性に
優れ、かつ、極めて優れたガスバリヤ性を発揮するもの
であり、柔軟性があって、強度および経済性の面でもす
ぐれたものである。また、高温で使用してもガスバリヤ
性が損われることがない。したがって食品、医薬品、化
学薬品等の包装材料をはじめとして、高度のガスバリヤ
性が要求される、広範囲な用途の包装材料として用いる
ことができ、その工業的利用価値は極めて大である。
[実施例] 以下、本発明を実施例にもとづいて、また比較例と対
照させながら詳細に説明するが、本発明はその要旨を超
えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下の例において、PVAフィルムの寸法変化
率、得られた透明プラスチックフィルムの透湿度、酸素
透過度、耐折曲げ性および透明性は、次の方法によって
測定または判定した。また、スズ酸化物の透明な薄膜層
の厚さは、水晶式膜厚計によって測定した。
PVAフィルムの寸法変化率: フィルムから一辺の長さ120mmの正方形状の試料片を
調製し、この試料片を、温度23℃、相対湿度50%の雰囲
気下で24時間コンディショニングしたのち、この試料片
に一辺の長さが100mmである正方形の標線をマークし
た。この試料片を120℃に調製された空気恒温槽の中に
入れ、5分間経過後に取り出し、再び、温度23℃、相対
湿度50%の雰囲気下で24時間コンディショニングしたの
ち、正方形の標線の間隔変化の絶対値(Δl:mm)を測定
し、下式により算出した値を寸法変化率(%)とした。
透湿度: ASTM F−372に準拠し、温度40℃、相対湿度90%の
条件において、(i)PVAフィルムの片面にスズ酸化物
の薄膜層のみを形成させた透明プラスチックフィルムの
場合には、スズ酸化物の薄膜層を高温(90%RH)側、PV
Aフィルムを絶乾状態側に位置させて測定した。
また(ii)スズ酸化物の薄膜層の表面に、PVAフィル
ム以外の別のプラスチック薄膜をさらに形成させた透明
プラスチックフィルムの場合には、このプラスチック薄
膜の面を高湿(90%RH)側、他方の面を絶乾状態側に位
置させて測定した。
酸素透過度: モダンコントロール社製のOX−TRAN100型酸素透過度
測定装置を使用し、温度30℃、相対湿度80%の条件にお
いて測定した。
耐折曲げ性: 幅および長さが2cm×10cmの長方形の試験片を、温度2
3℃、相対湿度50%の雰囲気下で24時間コンディショニ
ングしたのち、この雰囲気下で、直径1mmのステンレス
丸棒の表面に沿って、フィルムの酸化物の薄膜層を内側
にして巻きつけ、この状態で1分間保持した。
しかる後に、試験片を丸棒より巻きほどき、酸化物の
薄膜層の表面を顕微鏡で観察し、折曲げに伴なう亀裂発
生の有無を調べた。
透明性: 肉眼により評価し、良好な透明性を示したものを◎で
表示した。
実施例1 ケン化度が99.9モル%のPVAよりなる二軸延伸PVAフィ
ルム(延伸倍率3×3倍、厚さ25μm)に、温度210℃
の条件で10秒間の熱固定処理を施して、前記寸法変化率
が、一方向0.8%、これと直角方向0.6%のPVAフィルム
を調製した。このフィルムを真空蒸着装置に供給し、5
×10-5Torrの真空下、電子ビーム加熱方式で、純度99.9
%の二酸化スズを加熱蒸発させ、PVAフィルムの片面に
厚さ100nmのスズ酸化物の透明な薄膜層を形成させた透
明プラスチックフィルムを得た。
得られた透明プラスチックフィルムについて、前記方
法で透湿度および酸素透過度を測定し、耐折曲げ性およ
び透明性を評価した。
その結果を第1表に示す。
実施例2 ケン化度が99.9モル%のPVAよりなり、3×3倍に二
軸延伸されたフィルムを、更に一方向に2.1倍延伸し
て、3×6.3倍に延伸された厚さ25μmのPVAフィルム
に、温度200℃の条件で22秒間の熱固定処理を施し、さ
らに、80℃の条件で1.5時間の2段目の熱固定処理を施
して、前記寸法変化率が、一方向1.7%、これと直角方
向0.9%のPVAフィルムを調製した。このフィルムを、実
施例1において用いた真空蒸着装置に供給し、同例にお
けると同様にして、PVAフィルムの片面に厚さ100nmのス
ズ酸化物の透明な薄膜層を形成させた透明プラスチック
フィルムを得た。
得られた透明プラスチックフィルムについて、同例に
おけると同様の項目の測定、評価を行った。
その結果を第1表に示す。
実施例3 実施例2に記載の例において、同例において用いたと
同様の、200℃の条件で22秒間の熱固定処理のみを施し
たPVAフィルムを、真空蒸着槽に供給したのち、蒸着操
作に先立ち、100℃の条件で5分間の2段目の熱固定処
理を行った(このフィルムの前記寸法変化率は、一方向
が0.4%、これと直角方向が0.3%であった。)ほかは同
例におけると同様にして、PVAフィルムの片面に厚さ100
nmのスズ酸化物の透明な薄膜層を形成させた透明プラス
チックフィルムを得た。
得られた透明プラスチックフィルムについて、同例に
おけると同様の項目の測定、評価を行った。
その結果を第1表に示す。
実施例4、5 実施例3に記載の例において、PVAフィルムの片面に
形成させたスズ酸化物の透明な薄膜層の厚さを、それぞ
れ50nm(実施例4)および200nm(実施例5)としたほ
かは同例におけると同様にして、それぞれ透明プラスチ
ックフィルムを得た。
これらの透明プラスチックフィルムのそれぞれについ
て、同例におけると同様の項目の測定、評価を行った。
その結果を第1表に示す。
比較例1 実施例1に記載の例において、同例において用いたケ
ン化度が99.9モル%のPVAよりなる二軸延伸PVAフィルム
に代え、ケン化度が90.0モル%のPVAよりなる二軸延伸P
VAフィルムを用いたほかは同例におけると同様にして、
PVAフィルムの片面に厚さ100nmのスズ酸化物の透明な薄
膜層を形成させた透明プラスチックフィルムを得た。
得られた透明プラスチックフィルムについて、同例に
おけると同様の項目の測定、評価を行った。
その結果を第1表に示す。
比較例2 実施例2に記載の例において、同例において用いた2
段階の熱固定処理を施したPVAフィルムに代え、80℃の
条件で1.5時間の2段目の熱固定処理を施さなかったフ
ィルム(このフィルムの前記寸法変化率は、一方向が3.
0%、これと直角方向が1.5%であった。)を用いたほか
は同例におけると同様にして、PVAフィルムの片面に厚
さ100nmのスズ酸化物の透明な薄膜層を形成させた透明
プラスチックフィルムを得た。得られた透明プラスチッ
クフィルムについて、同例におけると同様の項目の測
定、評価を行った。
その結果を第1表に示す。
比較例3 実施例1に記載の例において、同例において用いたPV
Aフィルムに代えて、厚さ25μmの二軸延伸(延伸倍率
3×3倍)されたポリエチレンテレフタレートフィルム
を用いたほかは同例におけると同様にして、その片面に
厚さ100nmのスズ酸化物の透明な薄膜層を形成させた透
明プラスチックフィルムを得た。
得られた透明プラスチックフィルムについて、同例に
おけると同様の項目の測定、評価を行った。
その結果を第1表に示す。
比較例4、5 比較例3に記載の例において、薄膜層を形成させるた
めの蒸着原料として、それぞれ一酸化ケイ素(比較例
4)または酸化マグネシウム(比較例5)を用いたほか
は同例と同様にして、ポリエチレンテレフタレートフィ
ルムの片面に厚さ100nmの、ケイ素酸化物の透明な薄膜
層(比較例4)または酸化マグネシウムの透明な薄膜層
(比較例5)を形成させた、2種類の透明プラスチック
フィルムを得た。
これらの透明プラスチックフィルムのそれぞれについ
て、同例におけると同様の項目の測定、評価を行った。
その結果を第1表に示す。
実施例6 実施例1で得られた透明プラスチックフィルムのスズ
酸化物を蒸着した面に、塩化ビニリデン系樹脂のコート
層(厚さ10μm)がある全体の厚さ30μmのポリプロピ
レンフィルム(延伸倍率3×10倍、透湿度1.2g/m2・24h
rs.)(以下このフィルムを「K−OPP」という)を、塩
化ビニリデン系樹脂コート層とスズ酸化物の蒸着面とが
接するように、ウレタン系接着剤(武田薬品(株)製、
タケラックA−606とタケネートA−10との9:1の割合の
二成分系接着剤)(厚さ2μm)を介して積層し、透明
プラスチックフィルムを得た。
この透明プラスチックフィルムについて、前記方法で
透湿度および酸素透過度を測定し、透明性を肉眼で評価
した。その結果を第2表に示す。
実施例7 実施例6で得られた透明プラスチックフィルムを用
い、このフィルムのPVAフィルムの面に、ヒートシール
層として厚さ40μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体フ
ィルムをウレタン系接着剤(武田薬品(株)製、タケラ
ックA−606とタケネートA−10との9:1の割合の二成分
系接着剤)(厚さ2μm)を介して積層し、透明プラス
チックフィルムを得た。
得られた透明プラスチックフィルムについて、透湿
度、酸素透過度、および透明性を実施例6と同様に評価
した。その結果を第2表に示す。
実施例8 実施例6に記載の例において、同例において用いた実
施例1で得られた透明プラスチックフィルムに代え、実
施例3で得られた透明プラスチックフィルムを用いたほ
かは同例におけると同様にして、K−OPPを接着積層し
た透明プラスチックフィルムを得た。
得られた透明プラスチックフィルムについて、同例に
おけると同様の項目の測定、評価を行った。
その結果を第2表に示す。
実施例9 実施例7に記載の例において、実施例6で得られた透
明プラスチックフィルムに代え、実施例8で得られた透
明プラスチックフィルムを用いたほかは、同例における
と同様にしてヒートシール層を設けた透明プラスチック
フィルムを得た。
得られた透明プラスチックフィルムについて、同例に
おけると同様の項目の測定、評価を行った。
その結果を第2表に示す。
実施例10 実施例8に記載の例において、透明プラスチックフィ
ルムのスズ酸化物を蒸着した面に積層したK−OPPフィ
ルムを、厚さ25μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ
ートフィルム(延伸倍率3×3倍、透湿度20g/m2・24hr
s.)に代えたほかは、同例におけると同様にして透明プ
ラスチックフィルムを得た。
得られた透明プラスチックフィルムについて、同例に
おけると同様の項目の測定、評価を行った。
その結果を第2表に示す。
実施例11 実施例7に記載の例において、実施例6で得られた透
明プラスチックフィルムに代え、実施例10で得られた透
明プラスチックフィルムを用いたほかは、同例における
と同様にしてヒートシール層を設けた透明プラスチック
フィルムを得た。
得られた透明プラスチックフィルムについて、同例に
おけると同様の項目の測定、評価を行った。
その結果を第2表に示す。
実施例12 実施例8に記載の例において、透明プラスチックフィ
ルムのスズ酸化物を蒸着した面に積層したK−OPPフィ
ルムを、厚さ15μmの二軸延伸ナイロン6フィルム(延
伸倍率3×3倍、透湿度150g/m2・24hrs.)に代えたほ
かは、同例におけると同様にして透明プラスチックフィ
ルムを得た。
得られた透明プラスチックフィルムについて、同例に
おけると同様の項目の測定、評価を行った。
その結果を第2表に示す。
実施例13 実施例7に記載の例において、実施例6で得られた透
明プラスチックフィルムに代え、実施例12で得られた透
明プラスチックフィルムを用いたほかは、同例における
と同様にしてヒートシール層を設けた透明プラスチック
フィルムを得た。
得られた透明プラスチックフィルムについて、同例に
おけると同様の項目の測定、評価を行った。
その結果を第2表に示す。
実施例14 実施例3で得られた透明プラスチックフィルムのスズ
酸化物を蒸着した面に、先ず、アンカーコート剤として
ポリウレタン接着剤(武田薬品(株)製、タケラックA
−606とタケネートA−10の9:1の割合の二成分系接着
剤)を塗布し、厚さ(1μmのコート層を形成させた。
次に、このコート層上に塩化ビニリデン系樹脂ラテック
ス(呉羽化学工業(株)製、クレハロンラテックスDO−
870)を塗布し、厚さ10μmの薄膜(このものの透湿度
は1.2g/m2・24hrs.)(この薄膜を「K薄膜」という)
を形成させ、透明プラスチックフィルムを得た。
この透明プラスチックフィルムについて、前記方法で
透湿度および酸素透過度を測定し、透明性を肉眼で評価
した。その結果を第2表に示す。
比較例6 比較例3で得られた透明プラスチックフィルムに、ス
ズ酸化物を蒸着した面には、前記実施例6で用いたと同
種のK−OPPを、塩化ビニリデン系樹脂コート層とスズ
酸化物の蒸着面とが接するように、また、ポリエチレン
テレフタレートフィルムの面には、厚さ40μmのエチレ
ン−酢酸ビニル共重合体フィルムを、それぞれウレタン
系接着剤(武田薬品(株)製、タケラックA−606とタ
ケネートA−10との9:1の割合の二成分系接着剤)(厚
さ2μm)を介して積層し、透明プラスチックフィルム
を得た。
得られた透明な積層プラスチックフィルムについて、
透湿度、酸素透過度を測定し、透明性を肉眼で評価し
た。その結果を第2表に示す。
第1表および第2表より、次のことが明らかとなる。
(1)PVAフィルムの片面にスズ酸化物の透明な薄膜が
形成された透明プラスチックフィルム(以下、「フィル
ムA」という。)において、PVAフィルムとして、ケン
化度が99モル%以上であるPVAよりなり、120℃における
寸法変化率が本発明で規定する範囲内のフィルムを用い
た場合には、「フィルムA」の透湿度、酸素透過度はと
もに小さく、このフィルムは優れたガスバリヤ性を発揮
する(実施例1〜5)。
(2)「フィルムA」において、PVAフィルムとして、
本発明で規定するPVAフィルム以外のもの、すなわち、P
VAフィルムでないもの(比較例3)、寸法変化率の大き
いPVAフィルム(比較例2)、樹脂のケン化度が99モル
%未満のPVAフィルム(比較例1)を用いた場合には、
得られるフィルムのガスバリヤ性は実施例1〜5のそれ
より劣っている。また、透明な薄膜層が、スズ酸化物以
外のケイ素酸化物またはマグネシウム酸化物よりなるも
のは、折曲げによって亀裂が発生しやすい(比較例4、
5)。
(3)「フィルムA」のスズ酸化物の透明な薄膜層の面
に別のプラスチック薄膜を形成させたフィルム(以下、
「フィルムB」という。)は、「フィルムA」よりさら
に透湿度が低下し、一層優れたガスバリヤ性を発揮する
(実施例6、8、10、12、14)。
(4)「フィルムB」に、ヒートシール性を向上させる
物質を積層しても、「フィルムB」の優れたガスバリヤ
性は変らない(実施例7、9、11、13)。
(5)本発明に係るフィルムは、優れたガスバリヤ性を
発揮するのみならず、透明性も良好である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ケン化度が99モル%以上のポリビニルアル
    コールからなり、温度120℃の条件における寸法変化率
    が2%の範囲内である延伸されたポリビニルアルコール
    フィルムの片方の面に、スズ酸化物の透明な薄膜層が形
    成されてなることを特徴とする、ガスバリヤ性の優れた
    透明プラスチックフィルム。
  2. 【請求項2】ポリビニルアルコールフィルムの片方の面
    に形成されたスズ酸化物の透明な薄膜層の面に、別の透
    明なプラスチック薄膜が積層形成されてなることを特徴
    とする、請求項(1)記載のガスバリヤ性の優れた透明
    プラスチックフィルム。
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