JP2545403B2 - 超電導体 - Google Patents

超電導体

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JP2545403B2 JP62208890A JP20889087A JP2545403B2 JP 2545403 B2 JP2545403 B2 JP 2545403B2 JP 62208890 A JP62208890 A JP 62208890A JP 20889087 A JP20889087 A JP 20889087A JP 2545403 B2 JP2545403 B2 JP 2545403B2
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悟 高野
健史 宮崎
典之 葭田
憲器 林
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、超電導体に関するものであり、特にペロ
ブスカイト構造の酸化物超電導層を有する超電導体に関
するものである。
[従来の技術] 近年、プロブスカイト構造を有する酸化物超電導材料
が高い臨界温度を示すことから、脚光を浴びている。
これらの超電導材料については、粉末焼結による成形
や気相法による基板上での薄膜化等が検討されている。
[発明が解決しようとする問題点] ところで、基板として金属基板を使用する場合、その
上に形成された酸化物超電導層が金属基板の配向性の影
響を受けるという問題点があった。
すなわち、ペロブスカイト構造を有する酸化物超電導
材料を基板上に形成する場合、臨界電流密度や超電導臨
界温度を高めるためには、c軸配向で基板上に形成する
ことが好ましいのであるが、金属を基板として使用する
場合には、金属自身の配向性の影響を受け、c軸配向性
が妨げられ、より望ましい形態で基板上に形成させるこ
とができなかった。
この発明の目的は、金属基板からの配向性の影響を減
少させ、基板上方の超電導層をより望ましい配向性とす
ることのできる超電導体を提供することにある。
[問題点を解決するための手段および作用] この発明の超電導体は、金属基板と、この金属基板上
に形成されたアモルファス酸化物層と、このアモルファ
ス酸化物層上に形成されたペロブスカイト構造を有する
酸化物超電導層とを備えている。
第1図は、この発明の一実施例を示す断面図であり、
金属基板1上にはアモルファス酸化物層2が形成され、
該アモルファス酸化物層2の上に酸化物超電導層3が形
成されている。この発明では、必ずしもアモルファス酸
化物層2の直上に酸化物超電導層3を備える必要はな
く、第2図に示すように、アモルファス酸化物層2と酸
化物超電導層3との間にセラミック中間層4をさらに備
えてもよい。
この発明において、アモルファス酸化物層を構成する
材料としては、アモルファス状態の酸化物であれば特に
限定されることはない。RFスパッタリングやCVD等の気
相法で比較的形成しやすいアモルファス酸化物として
は、SiO2およびTiO2等を挙げることができる。また、こ
の発明においてアモルファス酸化物層は、必ずしも単一
の層である必要はなく、複数の層であってもよい。
この発明において、酸化物超電導層を構成する材料と
しては、たとえば、Y−Ba−Cu系酸化物、Y−Sr−Cu系
酸化物、La−Ba−Cu系酸化物およびLa−Sr−Cu系酸化物
などを挙げることができる。また、これらの構成元素を
一部他の元素で置換したようなものも挙げられる。
アモルファス酸化物層と酸化物超電導層との間にセラ
ミック中間層を設ける場合には酸化物超電導層がエピタ
キシャル成長可能なように、酸化物超電導層と類似の結
晶構造を有するセラミックを、セラミック中間層とする
ことが好ましい。このようなセラミックとしては、MgO
やSrTiO3等を挙げることができる。
[作用] この発明の超電導体では、金属基板と酸化物超電導層
との間にアモルファス酸化物層を備える。このため、酸
化物超電導層に与える金属基板の配向性の影響を著しく
減少させることができる。
[実施例] 実施例1 金属基板としてのW製基板の上に、アモルファス酸化
物層としてSiO2を0.1μmの厚みでRFマグネトロンスパ
ッタ法により形成した。このSiO2層の上に、RFマグネト
ロンスパッタ法で、YBa2Cu3O68の組成の酸化物超電導層
を2μmの厚みで形成した。成膜の際の基板温度は700
℃とし、成膜後酸素雰囲気中で900℃、4時間の熱処理
を行なった。
得られた酸化物超電導層の結晶の配向性を、X線回折
で評価した。Cuの管球を使って、40kV15mAの条件で、
(001)面のピーク高さおよび(110)面のピーク高さを
測定し、(001)面のピーク高さ/(110)面のピーク高
さの比から、以下のようにして評価した。
ピーク高さの比≧10:c軸配向 10>ピーク高さの比>0.1:a軸c軸混合配向 ピーク高さの比<0.1:a軸配向 以上のようにして評価した結果、この実施例1の酸化
物超電導層はc軸配向であった。
実施例2 実施例1と同様にして、W製基板の上に、アモルファ
ス酸化物層としてSiO2を0.1μmの厚みで形成した。こ
のSiO2層の上に、セラミック中間層としてMgOを0.1μm
の厚みでRFマグネトロンスパッタ法により形成し、この
セラミック中間層の上に実施例1と同じ組成の酸化物超
電導層を実施例1と同様の方法で形成し、熱処理した。
得られた酸化物超電導層について、X線回折で配向性
を評価したところ、c軸配向であった。
実施例3 実施例1と同様にして、W製基板の上に、アモルファ
ス酸化物層としてSiO2を0.1μmの厚みで形成した。こ
のSiO2層の上に、セラミック中間層としてSrTiO3を0.1
μmの厚みで、RFマグネトロンスパッタ法により形成し
た。このセラミック中間層の上に、実施例1と同様の組
成の酸化物超電導層を実施例1と同様の方法で形成し、
熱処理した。
得られた酸化物超電導層について、X線回折でその配
向性を評価したところ、c軸配向であった。
実施例4 W製基板に、アモルファス酸化物層として、TiO2を0.
1μmの厚みで、RFマグネトロンスパッタ法により形成
した。このTiO2層の上に、実施例1と同一の組成の酸化
物超電導層を、実施例1と同様にして形成し熱処理し
た。
得られた酸化物超電導層について、X線回折でその配
向性を評価したところ、c軸配向であった。
実施例5 実施例4と同様にして、W製基板の上に、アモルファ
ス酸化物層としてTiO2を0.1μmの厚みで形成した。こ
のTiO2層の上に、セラミック中間層としてMgOを0.1μm
の厚みで、RFマグネトロンスパッタ法により形成した。
このセラミック中間層の上に、実施例1と同様の組成の
酸化物超電導層を、実施例1と同様にして形成し熱処理
した。
得られた酸化物超電導層について、X線回折でその配
向性を評価したところ、c軸配向であった。
比較例1 W製基板の上に、アモルファス酸化物層を形成せず、
直接実施例1と同様の酸化物超電導層を、実施例1と同
様に形成し熱処理した。
得られた酸化物超電導層について、X線回折したとこ
ろ、その配向性はa軸c軸混合配向であった。
比較例2 W製基板の上にアモルファス酸化物層を形成すること
なく、直接MgOを0.1μmの厚みで、実施例2および5と
同様にして形成した。このMgO層の上に、実施例1と同
様の組成の酸化物超電導層を、実施例1と同様に形成し
熱処理した。
得られた酸化物超電導層について、X線回折により、
その配向性を評価したところ、a軸c軸混合配向であっ
た。
比較例3 W製基板の上に、アモルファス酸化物層を形成するこ
となく、直接SrTiO3を0.1μmの厚みで、実施例3と同
様にして形成した。このSrTiO3層の上に、実施例1と同
様の組成の酸化物超電導層を、実施例1と同様に形成し
熱処理した。
得られた酸化物超電導層について、X線回折でその配
向性を評価したところ、a軸c軸混合配向であった。
以上の実施例および比較例から、この発明に従い基板
上にアモルファス酸化物層を形成し、この上方に酸化物
超電導層を形成したものは、酸化物超電導層のc軸配向
性が向上することが確認された。
[発明の効果] 以上説明したように、この発明の超電導体は、金属基
板と酸化物超電導層との間にアモルファス酸化物層を介
在させている。このため、酸化物超電導層は、従来より
も金属基板の配向性の影響を受けることが少なくなる。
したがって、酸化物超電導層として好ましい配向性を付
与することができ、臨界電流密度や臨界温度を向上させ
ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、この発明の一実施例を示す断面図である。第
2図は、この発明の他の実施例を示す断面図である。 図において、1は金属基板、2はアモルファス酸化物
層、3は酸化物超電導層、4はセラミック中間層を示
す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 林 憲器 大阪府大阪市此花区島屋1丁目1番3号 住友電気工業株式会社大阪製作所内 (56)参考文献 特開 昭63−274018(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属基板と、 前記金属基板上に形成されたアモルファス酸化物層と、 前記アモルファス酸化物層上に形成されたペロブスカイ
    ト構造を有する酸化物超電導層と を備えた、超電導体。
  2. 【請求項2】前記アモルファス酸化物層と前記酸化物超
    電導層との間にセラミック中間層をさらに備えた、特許
    請求の範囲第1項に記載の超電導体。
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