JP2813287B2 - 超電導線材 - Google Patents
超電導線材Info
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- JP2813287B2 JP2813287B2 JP5252887A JP25288793A JP2813287B2 JP 2813287 B2 JP2813287 B2 JP 2813287B2 JP 5252887 A JP5252887 A JP 5252887A JP 25288793 A JP25288793 A JP 25288793A JP 2813287 B2 JP2813287 B2 JP 2813287B2
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- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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- Y02E40/60—Superconducting electric elements or equipment; Power systems integrating superconducting elements or equipment
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- Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
- Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)
- Physical Vapour Deposition (AREA)
- Superconductors And Manufacturing Methods Therefor (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酸化物超電導体を使用
した超電導線材に関する。
した超電導線材に関する。
【0002】
【従来の技術】Y-Ba-Cu-O系で代表される欠陥ペロブス
カイト型の酸化物超電導体や、 Bi-Sr-Ca-Cu-O系、 Tl-
Ba-Ca-Cu-O系等の酸化物超電導体は、液体窒素温度以上
の高い臨界温度を有し、冷媒として高価な液体ヘリウム
に代えて、安価な液体窒素を利用できること等から、工
業的に重要な価値を有している。
カイト型の酸化物超電導体や、 Bi-Sr-Ca-Cu-O系、 Tl-
Ba-Ca-Cu-O系等の酸化物超電導体は、液体窒素温度以上
の高い臨界温度を有し、冷媒として高価な液体ヘリウム
に代えて、安価な液体窒素を利用できること等から、工
業的に重要な価値を有している。
【0003】このような酸化物超電導体のエネルギー分
野への応用を考えた場合、まず線材化することが必要と
なる。そこで、各種方法を用いて酸化物超電導体を線材
化することが試みられている。酸化物超電導体を用いた
超電導線材の作製方法としては、以下の (a)〜 (c)に示
すような方法が一般的である。
野への応用を考えた場合、まず線材化することが必要と
なる。そこで、各種方法を用いて酸化物超電導体を線材
化することが試みられている。酸化物超電導体を用いた
超電導線材の作製方法としては、以下の (a)〜 (c)に示
すような方法が一般的である。
【0004】(a) 金属管内に酸化物超電導体を封入
し、これを線引き加工することにより線材化する方法。
し、これを線引き加工することにより線材化する方法。
【0005】(b) 酸化物超電導体粉末と有機バインダ
とを混合し、ノズルから押し出して線材化する方法。
とを混合し、ノズルから押し出して線材化する方法。
【0006】(c) 金属テ―プ上に溶射法や各種膜形成
方法により酸化物超電導体層を形成し、線材化する方
法。
方法により酸化物超電導体層を形成し、線材化する方
法。
【0007】これら酸化物超電導体を用いた超電導線材
の臨界電流密度は、徐々に向上する傾向にある。上記し
た方法のうち、特に (c)の方法によれば、超電導電流の
流れやすい結晶面をテープ面と平行に揃えた、いわゆる
c軸配向性に優れた酸化物超電導体層が得られやすく、
超電導特性の向上が期待できることから注目を集めてい
る。
の臨界電流密度は、徐々に向上する傾向にある。上記し
た方法のうち、特に (c)の方法によれば、超電導電流の
流れやすい結晶面をテープ面と平行に揃えた、いわゆる
c軸配向性に優れた酸化物超電導体層が得られやすく、
超電導特性の向上が期待できることから注目を集めてい
る。
【0008】しかし、上記 (c)の方法を適用して、金属
基体上に酸化物超電導体層をスパッタ法や蒸着法等で単
に直接形成したのでは、c軸配向させた酸化物超電導体
層を得ることは非常に困難である。例えば、耐熱材料で
あるハステロイ系合金からなる基体上に、スパッタ法を
用いて酸化物超電導体層を形成することが試みられてい
るが、基体と酸化物超電導体とが反応して界面に反応物
を生成したり、またc軸配向膜が得られない等の不都合
が生じる。
基体上に酸化物超電導体層をスパッタ法や蒸着法等で単
に直接形成したのでは、c軸配向させた酸化物超電導体
層を得ることは非常に困難である。例えば、耐熱材料で
あるハステロイ系合金からなる基体上に、スパッタ法を
用いて酸化物超電導体層を形成することが試みられてい
るが、基体と酸化物超電導体とが反応して界面に反応物
を生成したり、またc軸配向膜が得られない等の不都合
が生じる。
【0009】そこで、c軸配向膜を得るための現実的な
手法として、酸化物超電導体と格子定数が近似した MgO
層や YSZ層等を、金属基体上にバッファ層として形成
し、このバッファ層上に酸化物超電導体層を薄膜形成す
る方法が採用されている。このようなバッファ層を介し
た酸化物超電導体層の形成方法によれば、界面での反応
を防ぐことができると共に、配向した酸化物超電導体層
が得られ、臨界電流密度の向上を図ることができる。ま
た、臨界電流密度をより一層向上させるためには、酸化
物超電導体層をc軸配向させるだけでなく、金属基体の
面内で結晶方位を揃える、いわゆる面内配向が極めて有
効であることが知られている。これまでにも、上記した
ようなバッファ層の形成方法を工夫してバッファ層をま
ず面内配向させ、その上に酸化物超電導体層を形成する
ことで、酸化物超電導体層を面内配向させることによ
り、高い臨界電流密度を得ることが試みられている。
手法として、酸化物超電導体と格子定数が近似した MgO
層や YSZ層等を、金属基体上にバッファ層として形成
し、このバッファ層上に酸化物超電導体層を薄膜形成す
る方法が採用されている。このようなバッファ層を介し
た酸化物超電導体層の形成方法によれば、界面での反応
を防ぐことができると共に、配向した酸化物超電導体層
が得られ、臨界電流密度の向上を図ることができる。ま
た、臨界電流密度をより一層向上させるためには、酸化
物超電導体層をc軸配向させるだけでなく、金属基体の
面内で結晶方位を揃える、いわゆる面内配向が極めて有
効であることが知られている。これまでにも、上記した
ようなバッファ層の形成方法を工夫してバッファ層をま
ず面内配向させ、その上に酸化物超電導体層を形成する
ことで、酸化物超電導体層を面内配向させることによ
り、高い臨界電流密度を得ることが試みられている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たようなバッファ層を有する超電導線材は、酸化物超電
導体層と金属基体との界面に MgOのような絶縁層が介在
するため、酸化物超電導体層と金属基体との電気的な導
通をとることができないという欠点を有している。従っ
て、使用中に酸化物超電導体層の一部が常電導状態に転
移した場合に、金属基体へ電流をバイパスさせて超電導
体を保護する、いわゆる安定化材として金属基体を機能
させることができない。
たようなバッファ層を有する超電導線材は、酸化物超電
導体層と金属基体との界面に MgOのような絶縁層が介在
するため、酸化物超電導体層と金属基体との電気的な導
通をとることができないという欠点を有している。従っ
て、使用中に酸化物超電導体層の一部が常電導状態に転
移した場合に、金属基体へ電流をバイパスさせて超電導
体を保護する、いわゆる安定化材として金属基体を機能
させることができない。
【0011】一方、特開平 3-93110号公報には、多結晶
銀テープ上に酸化物超電導体のc軸配向膜を直接形成し
た超電導線材が開示されている。この超電導線材は、多
結晶銀テープを安定化材として機能させることができる
ものの、臨界電流密度は104A/cm2 のオーダで、必しも
満足のいくものではなかった。
銀テープ上に酸化物超電導体のc軸配向膜を直接形成し
た超電導線材が開示されている。この超電導線材は、多
結晶銀テープを安定化材として機能させることができる
ものの、臨界電流密度は104A/cm2 のオーダで、必しも
満足のいくものではなかった。
【0012】本発明は、このような課題に対処するため
になされたもので、金属基体を安定化材として機能させ
ると共に、酸化物超電導体層の臨界電流密度をより一層
向上させることを可能にした超電導線材を提供すること
を目的としている。
になされたもので、金属基体を安定化材として機能させ
ると共に、酸化物超電導体層の臨界電流密度をより一層
向上させることを可能にした超電導線材を提供すること
を目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために、酸化物超電導体層の臨界電流と多結
晶金属基体面との関係、並びに多結晶金属基体面におけ
る銀の結晶面の種類や結晶方位の角度分布等について詳
細に検討した結果、酸化物超電導体層の臨界電流密度を
向上させる上で、酸化物超電導体層の成膜時等に生じる
銀の結晶粒界溝や銀の結晶粒表面のミクロな凹凸を低減
することが重要であり、これらは銀の結晶方位をある特
定の範囲に制御することで実現し得ることを見出した。
を達成するために、酸化物超電導体層の臨界電流と多結
晶金属基体面との関係、並びに多結晶金属基体面におけ
る銀の結晶面の種類や結晶方位の角度分布等について詳
細に検討した結果、酸化物超電導体層の臨界電流密度を
向上させる上で、酸化物超電導体層の成膜時等に生じる
銀の結晶粒界溝や銀の結晶粒表面のミクロな凹凸を低減
することが重要であり、これらは銀の結晶方位をある特
定の範囲に制御することで実現し得ることを見出した。
【0014】本発明は、上記知見に基いてなされたもの
で、本発明の超電導線材は、多結晶金属基体と、前記多
結晶金属基体上に直接形成された酸化物超電導体層とを
有する超電導線材において、前記多結晶金属基体の酸化
物超電導体層形成面は、銀の(110)結晶面からなり、前
記 (110)結晶面の法線と前記多結晶金属基体面の法線と
のなす角度が15度以内で、かつ前記 (110)結晶面を有す
る銀の結晶粒同士が前記多結晶金属基体面内で接合して
形成する角度が10度以内であることを特徴としている。
で、本発明の超電導線材は、多結晶金属基体と、前記多
結晶金属基体上に直接形成された酸化物超電導体層とを
有する超電導線材において、前記多結晶金属基体の酸化
物超電導体層形成面は、銀の(110)結晶面からなり、前
記 (110)結晶面の法線と前記多結晶金属基体面の法線と
のなす角度が15度以内で、かつ前記 (110)結晶面を有す
る銀の結晶粒同士が前記多結晶金属基体面内で接合して
形成する角度が10度以内であることを特徴としている。
【0015】酸化物超電導体としては、多数のものが知
られているが、本発明においては希土類元素含有のペロ
ブスカイト型酸化物超電導体や、 Bi-Sr-Ca-Cu-O系酸化
物超電導体、 Tl-Ba-Ca-Cu-O系酸化物超電導体等が適用
される。
られているが、本発明においては希土類元素含有のペロ
ブスカイト型酸化物超電導体や、 Bi-Sr-Ca-Cu-O系酸化
物超電導体、 Tl-Ba-Ca-Cu-O系酸化物超電導体等が適用
される。
【0016】希土類元素を含有し、ペロブスカイト型構
造を有する酸化物超電導体は、超電導状態を実現できる
ものであればよく、例えばRE M2 Cu3 O 7-δ系(REは、
Y 、La、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb等の希土
類元素から選ばれた少なくとも 1種の元素を、 MはBa、
Sr、Caから選ばれた少なくとも 1種の元素を、δは酸素
欠陥を表し通常 1以下の数、Cuの一部はTi、V 、Cr、M
n、Fe、Co、Ni、Zn等で置換可能)の酸化物等が例示さ
れる。
造を有する酸化物超電導体は、超電導状態を実現できる
ものであればよく、例えばRE M2 Cu3 O 7-δ系(REは、
Y 、La、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb等の希土
類元素から選ばれた少なくとも 1種の元素を、 MはBa、
Sr、Caから選ばれた少なくとも 1種の元素を、δは酸素
欠陥を表し通常 1以下の数、Cuの一部はTi、V 、Cr、M
n、Fe、Co、Ni、Zn等で置換可能)の酸化物等が例示さ
れる。
【0017】また、 Bi-Sr-Ca-Cu-O系の酸化物超電導体
は、 化学式:Bi2 Sr2 Ca2 Cu3 Ox ………(1) :Bi2 (Sr,Ca) 3 Cu2 Ox ………(2) (式中、Biの一部はPb等で置換可能)等で表されるもの
であり、 Tl-Ba-Ca-Cu-O系酸化物超電導体は、 化学式:Tl2 Ba2 Ca2 Cu3 Ox ………(3) :Tl2 (Ba,Ca) 3 Cu2 Ox ………(4) 等で表されるものである。
は、 化学式:Bi2 Sr2 Ca2 Cu3 Ox ………(1) :Bi2 (Sr,Ca) 3 Cu2 Ox ………(2) (式中、Biの一部はPb等で置換可能)等で表されるもの
であり、 Tl-Ba-Ca-Cu-O系酸化物超電導体は、 化学式:Tl2 Ba2 Ca2 Cu3 Ox ………(3) :Tl2 (Ba,Ca) 3 Cu2 Ox ………(4) 等で表されるものである。
【0018】本発明に使用される多結晶金属基体は、少
なくとも酸化物超電導体層の形成面が銀の (110)結晶面
により構成されているものである。このような多結晶金
属基体は、金属基体全体を銀の多結晶体で構成してもよ
いし、また銀と固溶しにくい鉄、ニッケル、クロムおよ
びこれらの合金からなる芯材上に銀層を形成したものを
用いることもできる。また、金属基体の形状としては、
テープ状、板状等の各種形状のものを用いることが可能
である。なお、銀と他の金属との複合体で金属基体を構
成する際の銀層の厚さは、特に限定されるものではない
が、銀の配向性を考慮して、実用的には 1μm 以上とす
ることが好ましい。また、複合方法としては、芯材とな
る金属部材表面に銀層をメッキ法や各種膜形成法により
形成したり、機械的に芯材と銀とを一体化する等の方法
を採用することができる。
なくとも酸化物超電導体層の形成面が銀の (110)結晶面
により構成されているものである。このような多結晶金
属基体は、金属基体全体を銀の多結晶体で構成してもよ
いし、また銀と固溶しにくい鉄、ニッケル、クロムおよ
びこれらの合金からなる芯材上に銀層を形成したものを
用いることもできる。また、金属基体の形状としては、
テープ状、板状等の各種形状のものを用いることが可能
である。なお、銀と他の金属との複合体で金属基体を構
成する際の銀層の厚さは、特に限定されるものではない
が、銀の配向性を考慮して、実用的には 1μm 以上とす
ることが好ましい。また、複合方法としては、芯材とな
る金属部材表面に銀層をメッキ法や各種膜形成法により
形成したり、機械的に芯材と銀とを一体化する等の方法
を採用することができる。
【0019】そして、上記銀の (110)結晶面を酸化物超
電導体層形成面として有する多結晶金属基体は、図1に
示すように、銀の (110)結晶面Aの法線(図中、矢印X
で示す)と実質的な金属基体面Bの法線(図中、矢印Y
で示す)とのなす角度φが15度以内となるように、 (11
0)結晶面Aを有する銀の結晶粒1が配列( (110)配向)
されている。また、 (110)結晶面Aを有する銀の結晶粒
1同士が金属基体面内で接合して形成する角度(接合
角)θが10度以内となるように、銀の結晶粒1が金属基
体面内で配列(面内配向)されている。
電導体層形成面として有する多結晶金属基体は、図1に
示すように、銀の (110)結晶面Aの法線(図中、矢印X
で示す)と実質的な金属基体面Bの法線(図中、矢印Y
で示す)とのなす角度φが15度以内となるように、 (11
0)結晶面Aを有する銀の結晶粒1が配列( (110)配向)
されている。また、 (110)結晶面Aを有する銀の結晶粒
1同士が金属基体面内で接合して形成する角度(接合
角)θが10度以内となるように、銀の結晶粒1が金属基
体面内で配列(面内配向)されている。
【0020】酸化物超電導体層形成面を構成する銀の結
晶方位を、上記した範囲内に揃えることにより、酸化物
超電導体層の成膜時等に生じる銀の結晶粒界溝を低減で
きると共に、金属基体面のミクロな凹凸を低減すること
ができる。従って、微視的に平滑な酸化物超電導体層形
成面が得られる。なお、上記銀の結晶粒の方位条件は、
酸化物超電導体層の形成面全てを満足させることが望ま
しいが、それぞれ酸化物超電導体層形成面を構成する銀
の結晶粒の 90%以上が満足していれば、本発明の効果を
得ることができる。
晶方位を、上記した範囲内に揃えることにより、酸化物
超電導体層の成膜時等に生じる銀の結晶粒界溝を低減で
きると共に、金属基体面のミクロな凹凸を低減すること
ができる。従って、微視的に平滑な酸化物超電導体層形
成面が得られる。なお、上記銀の結晶粒の方位条件は、
酸化物超電導体層の形成面全てを満足させることが望ま
しいが、それぞれ酸化物超電導体層形成面を構成する銀
の結晶粒の 90%以上が満足していれば、本発明の効果を
得ることができる。
【0021】上述したような銀の (110)結晶面による配
向面(面内配向を含む)は、配向面方向に対して銀に圧
延加工を施し、すべり面によって結晶方位を揃えること
で得ることができる。また、加工中や加工後等に熱処理
を行うと、銀の結晶方位が変化するおそれが高いため、
熱処理を施すことなく、圧延加工を施すことが好まし
い。
向面(面内配向を含む)は、配向面方向に対して銀に圧
延加工を施し、すべり面によって結晶方位を揃えること
で得ることができる。また、加工中や加工後等に熱処理
を行うと、銀の結晶方位が変化するおそれが高いため、
熱処理を施すことなく、圧延加工を施すことが好まし
い。
【0022】本発明の超電導線材は、上述した多結晶金
属基体の銀の (110)配向および面内配向させた酸化物超
電導体層形成面上に、例えば物理的蒸着法であるスパッ
タ法、反応性蒸着法、レーザ蒸着法、あるいは化学的蒸
着法であるCVD法、MOCVD法等の各種薄膜形成方
法を用いて、酸化物超電導体層を形成することにより得
られる。
属基体の銀の (110)配向および面内配向させた酸化物超
電導体層形成面上に、例えば物理的蒸着法であるスパッ
タ法、反応性蒸着法、レーザ蒸着法、あるいは化学的蒸
着法であるCVD法、MOCVD法等の各種薄膜形成方
法を用いて、酸化物超電導体層を形成することにより得
られる。
【0023】
【作用】本発明の超電導線材においては、多結晶金属基
体の酸化物超電導体層形成面を銀の (110)結晶面とする
と共に、この (110)結晶面の法線と実質的な金属基体面
の法線となす角度を15度以内に制御し、かつ上記銀の
(110)配向結晶粒の金属基体面内での接合角を10度以内
に制御しており、これにより酸化物超電導体層の成膜時
等に生じる銀の結晶粒界溝や金属基体面のミクロな凹凸
の低減を図っている。このような微視的に平滑な面上に
酸化物超電導体層を形成することによって、酸化物超電
導体の平行性を高めることができる。また、銀の (110)
結晶面の格子定数(a軸=0.409nm)は、酸化物超電導体
結晶のa軸およびb軸の格子定数(0.38nm〜0.39nm)に
近似しているため、銀の (110)結晶面上に酸化物超電導
体層を薄膜形成法で形成することによって、金属基体上
に直接酸化物超電導体結晶をc軸配向および面内配向さ
せた酸化物超電導体層を得ることが可能となる。これら
によって、酸化物超電導体層の臨界電流密度をより一層
向上させることが可能となると共に、金属基体を超電導
体に対する安定化材として機能させることができる。
体の酸化物超電導体層形成面を銀の (110)結晶面とする
と共に、この (110)結晶面の法線と実質的な金属基体面
の法線となす角度を15度以内に制御し、かつ上記銀の
(110)配向結晶粒の金属基体面内での接合角を10度以内
に制御しており、これにより酸化物超電導体層の成膜時
等に生じる銀の結晶粒界溝や金属基体面のミクロな凹凸
の低減を図っている。このような微視的に平滑な面上に
酸化物超電導体層を形成することによって、酸化物超電
導体の平行性を高めることができる。また、銀の (110)
結晶面の格子定数(a軸=0.409nm)は、酸化物超電導体
結晶のa軸およびb軸の格子定数(0.38nm〜0.39nm)に
近似しているため、銀の (110)結晶面上に酸化物超電導
体層を薄膜形成法で形成することによって、金属基体上
に直接酸化物超電導体結晶をc軸配向および面内配向さ
せた酸化物超電導体層を得ることが可能となる。これら
によって、酸化物超電導体層の臨界電流密度をより一層
向上させることが可能となると共に、金属基体を超電導
体に対する安定化材として機能させることができる。
【0024】
【実施例】次に、本発明の実施例について説明する。
【0025】実施例 まず、銀素材に対して一定方向に圧延加工を施しつつ線
引き加工を行い、幅10mm×厚さ 0.3mmの長尺なテープ状
基体を 5種類作製した。このようにして得た各銀製テー
プ状基体の主面(圧力印加面)の結晶方位を、X線回折
により解析したところ、いずれも主面長手方向に対して
ほぼ平行となるように (110)面が配向していた。さら
に、極点図を測定して、 (110)面の法線と実質的な基体
面の法線とのなす角度の分布を求めたところ、 0〜15度
の範囲内であった。また、上記(110)配向結晶粒の基体
面内での接合角、すなわち面内配向度をX線回折ピーク
の半値幅から求めたところ、 5〜10度の範囲内であっ
た。
引き加工を行い、幅10mm×厚さ 0.3mmの長尺なテープ状
基体を 5種類作製した。このようにして得た各銀製テー
プ状基体の主面(圧力印加面)の結晶方位を、X線回折
により解析したところ、いずれも主面長手方向に対して
ほぼ平行となるように (110)面が配向していた。さら
に、極点図を測定して、 (110)面の法線と実質的な基体
面の法線とのなす角度の分布を求めたところ、 0〜15度
の範囲内であった。また、上記(110)配向結晶粒の基体
面内での接合角、すなわち面内配向度をX線回折ピーク
の半値幅から求めたところ、 5〜10度の範囲内であっ
た。
【0026】次に、上記した各銀製テープ状基体の主面
を蒸着源に対向させて成膜装置内に設置し、銀製テープ
状基体を約 600℃に加熱しつつ、 Y、Ba、Cuをそれぞれ
加熱蒸発させ、膜厚モニタで膜厚を 0.5μm に制御しな
がら、銀製テ―プ状基体上に連続して Y、Ba、Cuを堆積
させた。なお、成膜の際には、銀製テープ状基体の表面
近傍に酸素をノズルから吹付け、さらに高周波で励起し
つつ供給した。また、各蒸発元素はクラスター化させて
イオン化し、加速して着膜させると共に、膜組成が YBa
2 Cu3 O 7-δとなるように各蒸発元素の量を調整した。
このようにして、それぞれ超電導線材を作製した。
を蒸着源に対向させて成膜装置内に設置し、銀製テープ
状基体を約 600℃に加熱しつつ、 Y、Ba、Cuをそれぞれ
加熱蒸発させ、膜厚モニタで膜厚を 0.5μm に制御しな
がら、銀製テ―プ状基体上に連続して Y、Ba、Cuを堆積
させた。なお、成膜の際には、銀製テープ状基体の表面
近傍に酸素をノズルから吹付け、さらに高周波で励起し
つつ供給した。また、各蒸発元素はクラスター化させて
イオン化し、加速して着膜させると共に、膜組成が YBa
2 Cu3 O 7-δとなるように各蒸発元素の量を調整した。
このようにして、それぞれ超電導線材を作製した。
【0027】上記により得た各超電導線材の酸化物超電
導体層の結晶方位を、X線回折により解析したところ、
いずれも酸化物超電導体のc面が基体面に平行に配向し
ていた。また、酸化物超電導体の面内配向性を、X線回
折の極点図から解析したところ、いずれも面内配向して
おり、回折ピークの半値幅から求めた面内接合角はそれ
ぞれ約 5度であった。これら超電導線材の臨界温度が 8
5Kで、 77Kにおける臨界電流密度は全て105 A/cm2 のオ
ーダであった。
導体層の結晶方位を、X線回折により解析したところ、
いずれも酸化物超電導体のc面が基体面に平行に配向し
ていた。また、酸化物超電導体の面内配向性を、X線回
折の極点図から解析したところ、いずれも面内配向して
おり、回折ピークの半値幅から求めた面内接合角はそれ
ぞれ約 5度であった。これら超電導線材の臨界温度が 8
5Kで、 77Kにおける臨界電流密度は全て105 A/cm2 のオ
ーダであった。
【0028】比較例 上記実施例の銀テープ加工において、加工途中に熱処理
を加えると共に、加工条件を変更して、同様な長尺形状
の銀製テープ状基体を 3種類作製した。得られた各銀製
テープ状基体の主面(圧力印加面)の結晶方位を、X線
回折により解析したところ、いずれも主面長手方向に対
してほぼ平行となるように (110)面が配向していた。し
かし、極点図から測定した (110)面の法線と実質的な基
体面の法線とのなす角度は20度以上であった。また、上
記 (110)配向結晶粒の基体面内での接合角は15度以上で
あった。
を加えると共に、加工条件を変更して、同様な長尺形状
の銀製テープ状基体を 3種類作製した。得られた各銀製
テープ状基体の主面(圧力印加面)の結晶方位を、X線
回折により解析したところ、いずれも主面長手方向に対
してほぼ平行となるように (110)面が配向していた。し
かし、極点図から測定した (110)面の法線と実質的な基
体面の法線とのなす角度は20度以上であった。また、上
記 (110)配向結晶粒の基体面内での接合角は15度以上で
あった。
【0029】次に、上記した各銀製テープ状基体の主面
上に、実施例と同一条件で酸化物超電導体層を成膜し
て、それぞれ超電導線材を作製した。これら超電導線材
の臨界温度は 84Kであったが、 77Kにおける臨界電流密
度は103 〜104 A/cm2 のオーダであった。
上に、実施例と同一条件で酸化物超電導体層を成膜し
て、それぞれ超電導線材を作製した。これら超電導線材
の臨界温度は 84Kであったが、 77Kにおける臨界電流密
度は103 〜104 A/cm2 のオーダであった。
【0030】上記実施例および比較例の結果に基いて、
銀の (110)結晶面の法線と実質的な金属基体面の法線の
なす角度φと臨界電流密度比(Jc /Jc max )との関
係を図2に示す。また、銀の (110)配向結晶粒の基体面
内での接合角θと臨界電流密度比(Jc /Jc max )と
の関係を図3に示す。角度φおよび角度θが増加する
と、いずれも臨界電流密度が減少する傾向にあるが、角
度φについては15度以内、また角度θについては10度以
内であれば、十分に高い臨界電流密度が得られることが
分かる。これに対して、角度φが15度を超えると、ある
いは角度θが10度を超えると、本発明の条件を満足する
ものに対して約1/10と低い値となることが分かる。
銀の (110)結晶面の法線と実質的な金属基体面の法線の
なす角度φと臨界電流密度比(Jc /Jc max )との関
係を図2に示す。また、銀の (110)配向結晶粒の基体面
内での接合角θと臨界電流密度比(Jc /Jc max )と
の関係を図3に示す。角度φおよび角度θが増加する
と、いずれも臨界電流密度が減少する傾向にあるが、角
度φについては15度以内、また角度θについては10度以
内であれば、十分に高い臨界電流密度が得られることが
分かる。これに対して、角度φが15度を超えると、ある
いは角度θが10度を超えると、本発明の条件を満足する
ものに対して約1/10と低い値となることが分かる。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の超電導線
材によれば、多結晶金属基体を安定化材として機能させ
た上で、酸化物超電導体の超電導電流が流れやすいc面
を金属基体面と平行に配向させると共に、酸化物超電導
体層の平行性を高めることができ、さらに面内における
結晶方位を特定方向に揃えることができる。これらによ
り、より一層高い臨界電流密度が得られると共に、安定
して超電導特性を発揮させることが可能となる。
材によれば、多結晶金属基体を安定化材として機能させ
た上で、酸化物超電導体の超電導電流が流れやすいc面
を金属基体面と平行に配向させると共に、酸化物超電導
体層の平行性を高めることができ、さらに面内における
結晶方位を特定方向に揃えることができる。これらによ
り、より一層高い臨界電流密度が得られると共に、安定
して超電導特性を発揮させることが可能となる。
【図1】 本発明における多結晶金属基体の銀の結晶方
位を説明するための図である。
位を説明するための図である。
【図2】 銀の (110)結晶面の法線と金属基体面の法線
のなす角度と臨界電流密度比との関係を示す図である。
のなす角度と臨界電流密度比との関係を示す図である。
【図3】 銀の (110)配向結晶粒の基体面内での接合角
と臨界電流密度比との関係を示す図である。
と臨界電流密度比との関係を示す図である。
フロントページの続き (72)発明者 トルン・ディン・タン 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝 研究開発センター内 (72)発明者 工藤 由紀 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝 研究開発センター内 (56)参考文献 特開 平3−93110(JP,A) 特開 平5−24996(JP,A) 特開 平4−21596(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01B 12/00 C01G 1/00 S C01G 3/00 C23C 14/08 L C30B 29/22 501 N
Claims (1)
- 【請求項1】 多結晶金属基体と、前記多結晶金属基体
上に直接形成された酸化物超電導体層とを有する超電導
線材において、 前記多結晶金属基体の酸化物超電導体層形成面は、銀の
(110)結晶面からなり、前記 (110)結晶面の法線と前記
多結晶金属基体面の法線とのなす角度が15度以内で、か
つ前記 (110)結晶面を有する銀の結晶粒同士が前記多結
晶金属基体面内で接合して形成する角度が10度以内であ
ることを特徴とする超電導線材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5252887A JP2813287B2 (ja) | 1993-10-08 | 1993-10-08 | 超電導線材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5252887A JP2813287B2 (ja) | 1993-10-08 | 1993-10-08 | 超電導線材 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07105750A JPH07105750A (ja) | 1995-04-21 |
JP2813287B2 true JP2813287B2 (ja) | 1998-10-22 |
Family
ID=17243547
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5252887A Expired - Fee Related JP2813287B2 (ja) | 1993-10-08 | 1993-10-08 | 超電導線材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2813287B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005056754A (ja) * | 2003-08-06 | 2005-03-03 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 超電導線材およびその製造方法 |
JP5113430B2 (ja) * | 2007-06-05 | 2013-01-09 | 九州電力株式会社 | 金属めっき複合基材 |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2877367B2 (ja) * | 1989-09-05 | 1999-03-31 | 株式会社東芝 | 超電導線材 |
JP3251034B2 (ja) * | 1991-07-22 | 2002-01-28 | 株式会社フジクラ | 酸化物超電導導体およびその製造方法 |
-
1993
- 1993-10-08 JP JP5252887A patent/JP2813287B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH07105750A (ja) | 1995-04-21 |
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