JP2545013B2

JP2545013B2 - ゴルフクラブシャフト

Info

Publication number: JP2545013B2
Application number: JP4177521A
Authority: JP
Inventors: 英明川松
Original assignee: Sumitomo Rubber Industries Ltd
Current assignee: Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority date: 1992-06-10
Filing date: 1992-06-10
Publication date: 1996-10-16
Anticipated expiration: 2011-10-16
Also published as: JPH05337223A; US5421573A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はゴルフクラブシャフトに
関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、ゴルフクラブにてショットする
場合、スウィング中にゴルフクラブシャフトに捩れが生
じる。

【０００３】このとき、ゴルフクラブシャフトの先端の
ヘッドシャフト接着部の捩れ角を100 とすると、ゴルフ
クラブシャフトの基端グリップ部の捩れ角が25以上であ
れば、一般のゴルファーでもスウィング中にゴルフクラ
ブシャフトの捩れ具合を感知できるが、上記基端グリッ
プ部の捩れ角が25未満であると、練習等により鋭敏な感
覚を養った一部のプロゴルファー等のみしか、捩れ具合
を感知できないことが実験等により確かめられている。

【０００４】一方、強化繊維等からなる従来のゴルフク
ラブシャフトは、図５に示すように、ゴルフクラブシャ
フトの先端のヘッドシャフト接着部の捩り剛性Ｔｄを１
としたとき、ゴルフクラブシャフトの基端グリップ部の
捩り剛性Ｔｃが６以上となっていた。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】そのため、従来のゴル
フクラブシャフトでは、スウィング中に生じる捩れが、
ヘッドシャフト接着部の捩れ角を100 としたとき、ゴル
フクラブシャフトの基端グリップ部の捩れ角が17以下と
なり、一般のゴルファーではスウィング中に捩れ具合を
感知できなかった。

【０００６】従って、スウィングがおかしくなって、ゴ
ルフクラブシャフトが通常と異なる捩れ具合となったと
きに、スウィング中にゴルフクラブを操作してゴルフク
ラブシャフトの捩れ（のずれ）を修正することができな
かった。

【０００７】また、図５の二点鎖線で示すように、ゴル
フクラブシャフトの全体の捩れ剛性を下げれば、一般の
ゴルファーでもスウィング中に捩れを感知することがで
きるが、ゴルフクラブヘッド（ヘッドシャフト接着部）
の捩れが大きくなり過ぎて、インパクトにおいてゴルフ
クラブヘッドの方向が一定せず、正確なショットができ
なくなる問題があった。

【０００８】そこで、本発明は、上述の問題を解決し
て、一般のゴルファーでもスウィング中に捩れ具合を感
知でき、正確なショットが可能となるゴルフクラブシャ
フトを提供することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、基端グリップ部の捩り剛性と、先端のヘッドシャ
フト接着部の捩り剛性との比を、（１：１）乃至（４：
１）に設定したものである。

【００１０】

【作用】本発明のゴルフクラブシャフトによれば、ヘッ
ドシャフト接着部の捩り剛性を、従来のものと同等に保
ったまま、基端グリップ部の捩り剛性を小さくできる。
つまり、スウィング中において、ヘッドシャフト接着部
に対する基端グリップ部の捩れ角が（従来よりも）大き
くなり、一般のゴルファーでも、スウィング中にゴルフ
クラブシャフトの捩れ具合を充分に感知できるようにな
る。

【００１１】

【実施例】以下、実施例を示す図面に基づき本発明を詳
説する。

【００１２】図１は、本発明に係るゴルフクラブシャフ
トの一実施例を示し、このゴルフクラブシャフト１は、
ウッド、メタル又はアイアンのゴルフクラブヘッド２が
取付けられる先端部３から、グリップ４が取付けられる
基端部５にかけて漸増する径を有するテーパ状に形成さ
れる。

【００１３】ゴルフクラブシャフト１は、いわゆる「シ
ートワインディング方式（プリプレグ方式ともいう）」
や「フィラメントワインディング方式」等により製造さ
れ、「シートワインディング方式」においては、ゴルフ
クラブシャフト１は、図２に示すような、熱硬化性樹脂
を含浸した複数枚（図例では４枚）の強化繊維製第１・
第２・第３・第４引揃シート体６ａ，６ｂ，６ｃ，６ｄ
を、後述の如く巻設して形成される。

【００１４】この強化繊維としては、例えば、第１・第
２引揃シート体６ａ，６ｂではM46J（東レ製）のカーボ
ン繊維等が、第３・第４引揃シート体６ｃ，６ｄではT3
00（東レ製）のカーボン繊維等が用いられる。

【００１５】第１・第２・第３・第４引揃シート体６
ａ，６ｂ，６ｃ，６ｄは、帯板状で所定の厚み寸法を有
し、この内、第１引揃シート体６ａは、先端部の幅寸法
A1と基端部の幅寸法A2が略同一の矩形形状に形成され、
第２引揃シート体６ｂも、先端部の幅寸法B1と基端部の
幅寸法B2が略同一の矩形形状に形成される。

【００１６】第３引揃シート体６ｃは、先端部の幅寸法
C1に対して基端部の幅寸法C2が幅広となるくさび形状に
形成され、第４引揃シート体６ｄも、先端部の幅寸法D1
に対して基端部の幅寸法D2が幅広となるくさび形状に形
成される。

【００１７】この第１・第２・第３・第４引揃シート体
６ａ，６ｂ，６ｃ，６ｄの全長Ｌを、例えば、1000mm程
度とした場合において、幅寸法A1，A2，B1，B2は60〜70
mmに、幅寸法C1，D1は51〜61mmに、基端幅寸法C2，D2は
108 〜118mm に、夫々設定される。

【００１８】また、上記強化繊維の方向Ｈは、長手方向
に対して、第１・第２引揃シート体６ａ，６ｂでは傾斜
状に、第３・第４引揃シート体６ｃ，６ｄでは略平行に
設定される。この強化繊維の方向Ｈが傾斜するにしたが
って、ゴルフクラブシャフト１（図１参照）の捩り剛性
が大きくなるように作用し、略平行に近づくほど曲げ剛
性が大きくなるように作用する。

【００１９】図例では、強化繊維の方向Ｈは、第１・第
２引揃シート体６ａ，６ｂの一辺Ｘを０°とした場合
に、第１引揃シート体６ａでは−135 °程度の傾斜角
度、第２引揃シート体６ｂでは−45°程度の傾斜角度で
設定され、この傾斜角度（−135°，−45°）近傍にて
上記捩り剛性が最大となる。

【００２０】そして、図１と図２に示すように、第１・
第２・第３・第４引揃シート体６ａ，６ｂ，６ｃ，６ｄ
の各先端部を、ゴルフクラブシャフト１の先端部３に対
応させ、第１・第２・第３・第４引揃シート体６ａ，６
ｂ，６ｃ，６ｄの各基端部を、ゴルフクラブシャフト１
の基端部５に対応させて、ゴルフクラブシャフト１を形
成する。

【００２１】具体的には、図３に示すような基端から先
端に向かって順次縮径する───例えば、先端径が4.6m
m で基端径が12.6mm程度の───芯金７の外周面に、図
４に示すように、まず、第１引揃シート体６ａと第２引
揃シート体６ｂを、所定長さだけ───例えば、半周程
度───ずらして張り合わせた状態でもって巻着する。

【００２２】次に、第１・２引揃シート体６ａ，６ｂの
上から、第３引揃シート体６ｃを巻着し、さらに、その
上に第４引揃シート体６ｄを巻着して、第１・第２・第
３・第４引揃シート体６ａ，６ｂ，６ｃ，６ｄからなる
筒状体８を形成する。

【００２３】この状態で、筒状体８を加熱して上記熱硬
化性樹脂を硬化させる。その後、芯金７を引き抜いて、
硬化した筒状体８と分離し、さらに、筒状体８の外周面
を研磨加工して図１に示すゴルフクラブシャフト１が形
成される。

【００２４】ところで、従来のゴルフクラブシャフト
は、図11に示すような第１・第２・第３・第４引揃シー
ト体ｗ，ｘ，ｙ，ｚによって、上述と同様にして形成さ
れていた。

【００２５】この第３・第４引揃シート体ｙ，ｚは、図
２と図11に示すように、本発明の第３・第４引揃シート
体６ｃ，６ｄと同一構成とされ、又、第１・第２引揃シ
ート体ｗ，ｘは、第３・第４引揃シート体ｙ，ｚと略同
一形状で、強化繊維の方向ｈは、本発明の第１・第２引
揃シート体６ａ，６ｂの強化繊維の方向Ｈと同一に設定
されていた。

【００２６】図５は、この従来のゴルフクラブシャフト
と本発明のゴルフクラブシャフトの各部位の捩り剛性を
測定した結果をグラフに表したものである。

【００２７】表１は、本発明のゴルフクラブシャフトと
従来のゴルフクラブシャフトに、13.9kgcmの捩りトルク
をかけた場合における、ゴルフクラブシャフト全体の捩
れ角と、（図１に示す）ヘッドシャフト接着部９の捩れ
角と、ゴルファーが通常グリップする部位である（図１
に示す）基端グリップ部10の捩れ角の測定結果を示して
いる。

【００２８】

【表１】

【００２９】ここで、ゴルフクラブシャフト全体の捩れ
角とは、図６の（Ａ）に示すように、ヘッドシャフト接
着部９と基端グリップ部10をチャックK1，K2でクランプ
し、チャックK1，K2を介して、ゴルフクラブシャフト１
に逆方向の上記捩りトルクを加えて測定したときの捩れ
角である。

【００３０】また、ヘッドシャフト接着部９の捩れ角と
は、図６の（Ｂ）に示すように、ヘッドシャフト接着部
９において、10mmの間を開けてチャックK3，K4にてクラ
ンプし、上述の如く捩りトルクを加えて測定したときの
捩れ角である。

【００３１】さらに、基端グリップ部10の捩れ角とは、
基端グリップ部10において、10mmの間を開けてチャック
K5，K6にてクランプし、上述の如く捩りトルクを加えて
測定したときの捩れ角である。

【００３２】しかして、図５と表１から次のことが判
る。従来のゴルフクラブシャフトでは、先端のヘッドシ
ャフト接着部の捩り剛性Ｔｄを１とした場合、基端グリ
ップ部の捩り剛性Ｔｃが６以上となっているが、本発明
のゴルフクラブシャフトでは、先端のヘッドシャフト接
着部９の捩り剛性Ｔｂを１とした場合、基端グリップ部
10の捩り剛性Ｔａが４以下となる。

【００３３】また、ゴルフクラブシャフト全体の捩じれ
角は、従来も本発明も同等の値を示し、本発明のものの
ヘッドシャフト接着部の捩れ角は、従来のものと同等乃
至それ以下で、本発明のものの基端グリップ部の捩れ角
は、従来のものに比べ1.4 倍以上となっている。

【００３４】つまり、本発明のゴルフクラブシャフト
は、ヘッドシャフト接着部９の捩れ角を100 としたと
き、基端グリップ部10の捩れ角が25以上であり、かつ、
ヘッドシャフト接着部９の捩り剛性Ｔｂが、従来の捩り
剛性Ｔｄと同等乃至それ以上である特性を備えているこ
とが判る。

【００３５】このようにして、基端グリップ部10の捩り
剛性Ｔａと、先端のヘッドシャフト接着部９の捩り剛性
Ｔｂとの比を、（１：１）乃至（４：１）に設定すれ
ば、ゴルフクラブシャフト全体の捩れ特性を損なうこと
なく、局部的に基端グリップ部10の捩れ角を大きくでき
る。

【００３６】もちろん、本発明は上述の実施例に限定さ
れず、図２の第１・第２引揃シート体６ａ，６ｂを、図
７，図８及び図９に示すような構成のものとすることに
より───この場合、図７〜図９の第３・第４引揃シー
ト体６ｃ，６ｄは、図２の第３・第４引揃シート体６
ｃ，６ｄと同一構成とされ、図７〜図９の何れの実施例
においても、強化繊維の方向Ｈは、図２の実施例と同様
に設定される。───図２の実施例と同様の特性をもっ
たゴルフクラブシャフトを得ることができる。

【００３７】具体的には、図７では、第１・第２引揃シ
ート体６ａ，６ｂは、基端部の幅寸法A2に対して先端部
の幅寸法A1が幅広となるくさび形状に形成され、例え
ば、幅寸法A1，B1は65〜75mmに、幅寸法A2，B2は45〜55
mmに設定される。

【００３８】図８では、第１・第２引揃シート体６ａ，
６ｂは、先端から所定長さＫ───例えば600mm ───
まで略平行とされ、その部位から基端にかけて順次幅が
狭くなるように形成され、例えば、幅寸法A1，B1は61〜
71mmに、幅寸法A2，B2は45〜55mmに設定される。

【００３９】図９では、第１・第２引揃シート体６ａ，
６ｂは、先端から所定長さＭ───例えば600mm ───
まで略平行とされ、その部位から基端にかけて略均一な
深さ寸法で段付状───図例では一段のみであるが階段
状とするも自由である───に形成され、例えば、幅寸
法A1，B1は61〜71mmに、幅寸法A2，B2は50〜60mmに設定
される。

【００４０】次に、「フィラメントワインディング方
式」では、図10に示すように、芯金７に、熱硬化性樹脂
を含浸させたフィラメント11を交差させながら繰返し巻
設した後、加熱硬化、芯金７の脱芯及び表面研磨加工に
より、ゴルフクラブシャフトが製造される。

【００４１】この場合においても、芯金７の軸心Ｐに対
するフィラメント巻付け角度θ1 （及びフィラメント巻
付け角度θ2 ）をヘッドシャフト接着部９から基端グリ
ップ部10にかけて45°から10°程度に順次角度を変化さ
せれば、図２の実施例と同様の特性をもったゴルフクラ
ブシャフトを得ることができる。

【００４２】なお、本発明は上述の実施例に限定され
ず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で設計変更自由であ
り、例えば、各実施例において、幅寸法A1，A2，B1，B
2，C1，C2，D1，D2と、強化繊維の方向Ｈと、フィラメ
ント巻付け角度θ1 ，θ2 の変更は自由である。

【００４３】

【発明の効果】本発明は、上述の如く構成されるので、
次に記載する効果を奏する。

【００４４】本発明のゴルフクラブシャフトでは、ヘッ
ドシャフト接着部９の捩り剛性Ｔｂを、従来のものと同
等に保ったまま、基端グリップ部10の捩り剛性Ｔａを小
さくできる。つまり、ゴルフクラブシャフト全体の捩れ
特性を損なうことなく、局部的に基端グリップ部10の捩
れ角を大きくできる。

【００４５】従って、一般のゴルファーでも、スウィン
グ中にゴルフクラブシャフトの捩れ具合を充分に感知で
き、そのスウィング中においてゴルフクラブシャフトの
捩れの修正が可能となり、かつ、インパクトにおける過
大なゴルフクラブヘッドの捩れを抑えることができるの
で、的確なショットが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す側面図である。

【図２】第１・第２・第３・第４引揃シート体の平面図
である。

【図３】芯金の側面図である。

【図４】芯金への第１・第２・第３・第４引揃シート体
の巻着方法の説明図である。

【図５】本発明と従来のゴルフクラブシャフトの捩り剛
性を示すグラフ図である。

【図６】捩れ角の測定方法の説明図である。

【図７】第１・第２引揃シート体の変形例を示す平面図
である。

【図８】第１・第２引揃シート体の他の変形例を示す平
面図である。

【図９】第１・第２引揃シート体の別の変形例を示す平
面図である。

【図10】他の実施例を示す説明図である。

【図11】従来の第１・第２・第３・第４引揃シート体を
示す平面図である。

【符号の説明】

９ヘッドシャフト接着部 10 基端グリップ部Ｔａ捩り剛性Ｔｂ捩り剛性

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】基端グリップ部10の捩り剛性Ｔａと、先
端のヘッドシャフト接着部９の捩り剛性Ｔｂとの比を、
（１：１）乃至（４：１）に設定したことを特徴とする
ゴルフクラブシャフト。