JP2542895Y2 - ガス放電パネル - Google Patents

ガス放電パネル

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JP2542895Y2
JP2542895Y2 JP1991054277U JP5427791U JP2542895Y2 JP 2542895 Y2 JP2542895 Y2 JP 2542895Y2 JP 1991054277 U JP1991054277 U JP 1991054277U JP 5427791 U JP5427791 U JP 5427791U JP 2542895 Y2 JP2542895 Y2 JP 2542895Y2
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秀夫 澤井
徹男 坂井
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この考案は、ガス放電パネルに関
するものである。
【0002】
【従来の技術】ガス放電パネルに関する研究が近年盛ん
に行われている(例えば、文献I:テレビジョン学会技
術報告ED992,pp.37−42(1987)、文
献II:テレビジョン学会誌Vol.42,No.1
0,pp.1084−1090(1988))。ガス放
電パネルがCRTに比べ薄い表示装置となり得ることか
ら例えば壁かけ型のテレビの実現が期待できるからであ
る。
【0003】図4は文献Iに開示されたガス放電パネル
を一部を切り欠いて概略的に示した斜視図である。図4
において10は透光性を有する前面板、11は放電用陽
極、12はセル隔壁、13は表示セル、14は蛍光体、
15は放電用陰極母線、15aは下地電極、16は補助
放電セル、17は補助放電用陽極、18はプライミング
スリット、20は背面板である。
【0004】このガス放電パネルでは、前面板10の背
面板20と対向する面側に多数本の放電用陽極11が形
成されている。さらにこの面に補助放電用陽極17が形
成されている。さらに、この面の表示セル13と対向す
る領域毎に蛍光体14が形成されている。また、背面板
20の前面板10と対向する面側に下地金属15aを下
層として有する多数本の放電用陰極母線15が形成され
ている。この下地金属15aは、陰極母線15より低抵
抗な材料で構成されている。また、図4中Pで示した2
列の表示セルで構成される表示セル群間に補助放電セル
16が配置されている。
【0005】このガス放電パネルでは、補助放電セル1
6と表示セル13とがプライミングスリット18によっ
て連絡されているので表示セル13での放電遅れが低減
できた。また、放電用陰極母線15はその下側にこれよ
り低抵抗な下地金属15aを設けてあるのでその分配線
抵抗が低減できた。
【0006】また、図5は文献IIに開示されたガス放
電パネルを一部を切り欠いて概略的に示した斜視図であ
る。この図において、図4に示した構成成分と同様な機
能の構成成分については同一の番号を付して示してあ
る。
【0007】文献IIに開示のガス放電パネルでは、コ
ントラスト向上のために、前面板10の表示セル13と
対向する面にカラー表示のためのフィルタ21が形成さ
れそれ以外の領域にブラックマスク22が形成されてい
る。また、放電用陰極母線15は前面板10側に形成さ
れている。また、放電用陽極11は背面板20の前面板
10と対向する面側に並置形成されている。さらにこの
面に補助放電用陽極17が形成されている。放電用陽極
11及び補助放電用陽極17が形成された背面板上には
陽極オーバーコート層23が形成されている。この陽極
オーバーコート層23には、放電用陽極11、補助放電
用電極17各々の所定部分(放電用陽極11については
各表示セル13に対応する部分の一部、補助放電用陽極
17については補助放電セル16の所々の部分)のみを
放電空間に露出するための開口部23aが形成されてい
る。この陽極オーバーコート層23により、放電用陽極
11、補助放電用陽極17各々の放電部位が特定され
る。
【0008】このガス放電パネルでは、放電用陽極11
と補助放電用陽極17とが背面板20側に形成されてい
るのでこれらは表示セルの開口率に影響しないことか
ら、これら電極の幅を広く出来この点これら陽極の配線
抵抗の低減が図れた。また、フィルタ21とブラックマ
スク22とを設けたのでその分コントラスト比を向上さ
せることができた。
【0009】このようなガス放電パネルの作製工程では
厚膜印刷技術が多用されている。
【0010】
【考案が解決しようとする課題】しかしながら、文献
I、文献IIのいずれのガス放電パネルも、前面板10
側に形成される放電用電極の幅は、表示セル13の開口
率を低下させないようにするために、あまり広くするこ
とが出来ない。したがって、ガス放電パネルの大型化を
進めると前面板側の放電用電極の配線抵抗が大きくな
る。これを防止するためには、例えば (a)放電用電極の厚さを厚くする、 (b)既に説明したように放電用電極下にこの電極より
低抵抗な下地金属を形成する、などが考えられる。
【0011】しかし、上記(a)の方法の場合は前面板
と前面板側放電用電極との間の段差が大きくなってしま
うので、この前面板と、セル隔壁が形成されている背面
板とをそのまま対向配置してガス放電パネルを構成した
場合、このガス放電パネルではセル隔壁と前面板との間
に前面板側放電用電極の厚さ分の隙間が生じてしまい隣
接する四方の表示セルがこの隙間部分を通して誤放電す
る恐れがあるという問題点があった。
【0012】また、(b)の方法の場合は、下地金属を
形成するための工程が必要になり工程数が増加するとい
う問題点があった。また、パネルの大型化を試みた場合
下地金属を放電用電極で完全にコートすることが困難に
なるという問題点があった。
【0013】一方、背面板20側の放電用電極の場合
も、背面板20に形成される他の構成成分(例えば補助
放電セル)の形成面積を確保する目的のために、また、
駆動条件から電極間の電気容量を低減させる目的のため
に、背面板側の放電用電極の幅を広くできない場合が生
じる。この場合も、配線抵抗が高くなるのでその低減対
策が必要になる。これを電極の厚膜化で行う場合は、背
面板と背面板側放電用電極との段差が大きくなりこの段
差は、電極形成後に背面板に他の構成成分(例えばセル
隔壁など)を厚膜印刷技術により形成する場合の支障と
なる。
【0014】この考案はこのような点に鑑みなされたも
のであり、従ってこの考案の目的は、基板と該基板に形
成されている放電用電極とで構成される段差の影響を軽
減できる構造を有したガス放電パネルを提供することに
ある。
【0015】
【課題を解決するための手段】この目的の達成を図るた
め、この考案によれば、互いに対向配置された前面板及
び背面板と、これら基板間に設けられセル隔壁によって
互いに区分けされている多数の表示セルと、前述の前面
板の前述の背面板との対向面側に並設された多数本の前
面板側放電用電極と、前述の背面板の前述の前面板との
対向面側に並設された多数本の背面板側放電用電極とを
具えたガス放電パネルにおいて、前面板の前面板側放電
用電極を設けてない領域でかつセル隔壁の上面と対向す
る領域上のみまたは該領域の一部分上のみに該放電用電
極と実質的に同じ高さの絶縁性の構造体を設けて成るこ
とを特徴とする。
【0016】この考案の実施に当たり、前述の背面板の
背面板側放電用電極を設けてない領域に該放電用電極と
実質的に同じ高さの絶縁性の構造体を設けるのが好適で
ある。
【0017】さらにこの考案の実施に当たり、前述の放
電用電極を複数の導電性膜の積層体で構成し、及び、前
述の絶縁性の構造体を複数の絶縁性膜の積層体で構成す
るのが好適である。
【0018】
【作用】この考案の構成によれば、前面板の前面板側放
電用電極を設けてない領域でかつセル隔壁の上面と対向
する領域上のみに絶縁性の構造体を設けた場合は、セル
隔壁の上面と前面板との間の前面板側放電用電極がない
部分は絶縁性の構造体により埋められるのでこの部分に
前面板側放電用電極の厚さに起因する隙間が生じること
がなくなる。
【0019】また、前面板の前面板側放電用電極を設け
てない領域でかつセル隔壁の上面と対向する領域の一部
分上のみに絶縁性の構造体を設けた場合は、セル隔壁の
上面と前面板との間の前面板側放電用電極がない部分の
一部が絶縁性の構造体により埋められ残りの部分には隙
間が残る。残った隙間はプライミングスリットとして積
極的に利用できる。
【0020】また、背面板の背面板側放電用電極を設け
てない領域に該放電用電極と実質的に同じ高さの絶縁性
の構造体を設ける構成の場合、背面板間では背面板側放
電用電極の表面と絶縁性の構造体の表面とが実質的に連
続した面一の面を構成するようになる。このため、背面
板側放電用電極の膜厚を厚くできる。また、背面板側放
電用電極の膜厚を厚くしてもこの背面板上に厚膜印刷技
術でセル隔壁などの他の構成成分を形成することを容易
にする。
【0021】また、放電用電極を複数の導電性膜の積層
体で構成し、及び、絶縁性の構造体を複数の絶縁性膜の
積層体で構成する場合、基板に放電用電極の各層の導電
性膜と絶縁性の構造体の各層の絶縁性膜とを交互に形成
することが出来る。このため、一方の膜のみを先に積層
印刷する場合より、膜と基板とで構成されるの段差の影
響が軽減されるので、各々の積層体の形成を精度良く行
える。
【0022】
【実施例】以下、図面を参照してこの考案のガス放電パ
ネルの実施例について説明する。なお、説明に用いる各
図はこの考案を理解できる程度に各構成成分の寸法、形
状、配置関係を概略的に示してある。
【0023】1.構造説明 図1は、図5を用いて説明したガス放電パネルにこの考
案を適用して構成した実施例のガス放電パネルの基本的
な構造を説明するための図である。実施例のガス放電パ
ネルの1つの表示セル部分周辺に着目して示した分解斜
視図である。ただし、図1では、この考案の特徴部分を
明示するために、このガス放電パネルに備わる構成成分
のうちブラックマスク、色フィルタ、蛍光体及び陽極オ
ーバコート層(図2を参照して後述する。)についての
図示は省略してある。
【0024】図1において31は、例えばガラス基板で
構成された前面板である。また、41は背面板、43は
この背面板41側に形成されたセル隔壁、43aはプラ
イミングスリット、51はセル隔壁43によって区分け
されている表示セル、61は補助放電セルである。この
実施例では表示セルは0.7mmピッチで配置してあ
る。
【0025】このガス放電パネルでは、前面板31の背
面板41側の面に陰極母線33を多数本並置形成してあ
る(ただし、図1では1本のみ図示してある。)。この
実施例の場合の各陰極母線33は表示セル51のほぼ中
央部分を帯状に横切るように配置してある。1つの表示
セル51は陰極母線33によってあたかも2つの部分に
分割されるようになるが、陰極母線33の幅は狭いので
パネルを見る者にはこの表示セルは1つの画素として見
える。このため、表示特性は損なわれない。なお、陰極
母線33の幅W1 はこの実施例では150μmとしてあ
る。また、この陰極母線33は複数の導電性膜の積層体
で構成してある。具体的には導電性ペーストを厚膜印刷
によって多層に印刷したものを焼成して形成した積層体
で構成してある(詳細は後述する。)。なお、陰極母線
33の表示セル51に対する位置、陰極母線33の幅は
上記例には限られず設計によって変更できる。
【0026】さらに、前面板31の陰極母線33を設け
てない領域でかつ背面板41側に形成されているセル隔
壁43の上面43bと対向する領域上のみに、陰極母線
33の高さと実質的に同じ高さの前面板側の絶縁性の構
造体35を設けてある。この絶縁性の構造体35によ
り、前面板31と陰極母線33とで構成される段差を平
坦化する。この実施例の場合のセル隔壁43の幅W2
130μmとしてあるので、前面板側の絶縁性の構造体
35の幅もほぼ130μmとしてある。また、前面板側
の絶縁性の構造体35は、この場合、複数の絶縁性膜の
積層体で構成してある。具体的には、絶縁性ペーストを
厚膜印刷技術により多層印刷したものを焼成して形成し
た積層体で構成してある(詳細は後述する。)。なお、
セル隔壁43の幅、前面板側の絶縁性の構造体35の幅
は上記例には限られず設計によって変更できる。
【0027】なお、陰極母線33及び前面板側の絶縁性
の構造体35と、前面板31との間には、ブラックマス
クが設けられている(図2参照)。
【0028】また、図1において41は背面板である。
この背面板41の前面板31と対向する面には、前面板
31側の陰極母線33の長手方向と直交する方向に放電
用陽極45が多数本並置形成してある(ただし、図1で
は2本のみ図示してある。)。さらに、この面の補助放
電セル61が形成される相当領域には補助放電用電極4
7を形成してある。そして、背面板41の、放電用陽極
45や補助放電用電極47が形成されていない領域上に
は、これら電極45,47の高さと実質的に同じ高さ
の、背面板側の絶縁性の構造体49を設けてある。この
構造体49により、背面板41と、放電用陽極45や補
助放電用電極47との段差を平坦化する。
【0029】放電用陽極45、補助放電用電極47及び
背面板側の絶縁性の構造体49の各表面は厚膜印刷を行
ううえでは十分な程度に面一の連続面になるのでこの上
に厚膜印刷技術によって陽極オバーコート層(図2参
照)、蛍光体(図2参照)及びセル隔壁43を形成する
のが容易になる。
【0030】この実施例のガス放電パネルでは、前面板
31の、陰極母線33を設けてない領域でかつセル隔壁
43の上面43bと対向する領域上のみに陰極母線33
の高さと実質的に同じ高さの絶縁性の構造体35を設け
てあるので、セル隔壁と前面板側とは隙間なく接触する
ようになる。また、背面板41側では放電用陽極45や
補助放電用電極47と背面板との段差が絶縁性の構造体
49によって緩和されるので、セル隔壁などを厚膜印刷
技術により容易に形成できる。
【0031】2.作製方法例の説明 次に、この考案の理解を深めるために実施例のガス放電
パネルの作製方法の一例を説明する。この説明は図1、
図2(A)及び(B)を参照して行う。ここで、図2
(A)は図1を用いて説明した実施例のガス放電パネル
をそれの複数個の表示セルが含まれる部分について前面
板31上方から見て示した平面図である。また、図2
(B)は図1を用いて説明した実施例のガス放電パネル
を図2(A)のI−I線に沿って切って示した断面図で
ある。ただし、図2(B)においては、図面が複雑化す
るのを回避するために断面を示すハッチングを一部省略
してある。
【0032】まず、前面板31上にブラックマスク3
7、色フィルタ39を厚膜印刷技術及び焼成技術により
形成する。なお、この実施例ではブラックマスク形成材
として奥野製薬社製のELD−503を用い、色フィル
タ形成材として奥野製薬社製のR、G、B用をそれぞれ
用いる。
【0033】次に、ブラックマスク37及び色フィルタ
39形成済みの前面板31上に、陰極母線33及び前面
板側の絶縁性の構造体35を次のように形成する。陰極
母線形成材としてこの場合は奥野製薬社製アルミペース
トELD5002を用い、絶縁性の構造体35の形成材
としてこの場合は奥野製薬社製白壁ペーストELD42
1を用いる。
【0034】次に、ブラックマスク37及び色フィルタ
39形成済みの前面板31の陰極母線形成予定領域上に
まずアルミペーストを印刷する。その印刷膜厚は20μ
mであった。次に、この前面板31のアルミペーストを
印刷した領域以外の領域でセル隔壁43と対向する領域
上に今度は白壁ペーストを印刷する。以下、アルミペー
ストの印刷と白壁ペーストの印刷とを交互に行う。この
実施例では、アルミペーストの印刷と白壁ペーストの印
刷とをそれぞれ三回ずつ行った。その後、これら印刷済
みペーストを焼成する。これにより、3層の導電性膜か
ら成る積層体で構成した陰極母線33と、3層の絶縁性
膜から成る積層体で構成した前面板側の絶縁性の構造体
35を得た。なお、この例ではアルミペーストから先に
印刷したが白壁ペーストの印刷を先に行いその後アルミ
ペーストの印刷を行っても良い。また、積層数は3層に
限られず設計によって変更できる。
【0035】このように作製した陰極母線33と絶縁性
の構造体35との間にはペーストの印刷だれによる隙間
が生じていた。しかし、この隙間が小さいため、陰極母
線33と絶縁性の構造体35とで構成される表面は、実
質的に平坦な面といえるものであった。
【0036】また、このような三層構造の陰極母線33
の配線抵抗は140Ω/mであった。この出願の考案者
の実験によれば、陰極母線33の配線抵抗は、陰極母線
33が印刷膜厚が20μmのもの一層で構成されている
場合600Ω/m、二層の場合200Ω/mになること
が分っている。
【0037】なお、パネルの作製に当たり、アルミペー
スト及び白壁ペーストのいずれか一方のみを三層続けて
印刷してしまうことも考えられる。しかし、そうする
と、一方のペーストによる凸部が高くなりすぎ他方のペ
ーストの印刷が行えなくなったり、または印刷が行えた
としても一部に欠けができるなどの問題が生じる。した
がって、この実施例のようにアルミペーストの印刷と白
壁ペーストの印刷とを交互に行うのが好適である。
【0038】一方、背面板41については以下のように
作製する。
【0039】まず、背面板41に放電用陽極45、補助
放電用陽極47及び背面板側の絶縁性の構造体49を形
成するために、陰極母線33及び前面板側の絶縁性の構
造体35を作製したと同様に、アルミペーストの印刷
と、白壁ペーストの印刷とを交互に3回ずつ行う。その
後これらペーストの焼成を行う。これにより、放電用陽
極45、補助放電用陽極47及び背面板側の絶縁性の構
造体49を得た。
【0040】このように作製した放電用陽極45と、補
助放電用電極47と、背面板側の絶縁性の構造体49と
の間にはペーストの印刷だれによる隙間が生じていた。
しかし、この隙間が小さいため、これらの構成成分4
5,47,49の各々の表面はこの上に陽極オーバーコ
ート層71、蛍光体73やセル隔壁43を厚膜印刷技術
により形成するうえでは充分な程度に、実質的に平坦な
面となっていた。
【0041】なお、放電用陽極45の幅はこの場合20
0μm、補助放電用陽極47の幅はこの場合150μ
m、背面板側の絶縁性の構造体の49の幅は200μm
としている。3層構成のこの放電用陽極45の配線抵抗
は100Ω/mであった。この出願の考案者の実験によ
れば、放電用陽極45を2層構成とした場合のその配線
抵抗は150Ω/m、1層の場合400Ω/mになるこ
とが分っている。
【0042】次に、放電用陽極45、補助放電用電極4
7及び背面板側の絶縁性の構造体49形成済みの背面板
41上にこの場合奥野製薬社製の白壁ペーストELD6
66を印刷する。次に、これを焼成する。これにより陽
極オーバーコート層71を得る。陽極オーバーコート層
71は、その所定部分に、放電用陽極45、補助放電用
電極47各々の放電部位を特定するための開口部71a
を備える。
【0043】次に、陽極オーバーコート層71上の所定
領域に蛍光体用ペーストを印刷しその後これを焼成して
蛍光体73を形成する。
【0044】次に、陽極オーバーコート層71の所定領
域上にセル隔壁形成用のペーストを多数回重ね印刷し、
その後これを焼成しセル隔壁43を得る。セル隔壁43
形成用のペースト印刷の際には上層部の印刷においてプ
ライミングスリット43a形成用のパターンを印刷す
る。次に、このペーストの焼成を行う。これにより、背
面板側の各構成成分の作製が終了する。
【0045】次に、陰極母線33などの形成の済んだ上
述の前面板と、放電用陽極45やセル隔壁43などの形
成の済んだ背面板とを従来公知の通り貼り合せし、さら
に、ガス封入などを行う。これにより実施例のガス放電
パネルが得られる。
【0046】上述においてはこの考案の実施例について
説明したが、この考案は上述の実施例に限られるもので
はない。
【0047】例えば上述の実施例では前面板31の陰極
母線33を設けてない領域でかつセル隔壁43の上面4
3bと対向する領域の全部のみに絶縁性の構造体35を
設けていたが、図3に示すように、前面板31の陰極母
線33を設けてない領域でかつセル隔壁43の上面43
bと対向する領域の一部分上のみに絶縁性の構造体13
5を設け構造体を設けなかった部分に生じる隙間135
aでプライミングスリットを構成しても良い。この場合
は、セル隔壁43上にプライミングスリットパターンを
印刷する作業が不要になるという利点が得られる。
【0048】また、上述の実施例では放電用陰極を陰極
母線そのもので構成しかつこの陰極母線が表示セルの中
央部分を横切る配置としていた。しかし、図5に示すよ
うに陰極母線がセル隔壁と重ねて配置されこの陰極母線
から表示セル側に突出させた部分が陰極とされている構
造のパネルに対してもこの考案は適用できる。
【0049】
【考案の効果】上述した説明からも明らかなように、こ
の考案のガス放電パネルによれば、前面板の所定領域に
前面板側放電用電極の高さと実質的に同じ高さの絶縁性
の構造体を設けたので、放電用電極の配線抵抗の低減の
ために放電用電極の厚さを厚くした場合に基板と放電用
電極との間の段差が大きくなって生じるセル隔壁と基板
との不要な隙間を埋めることができる。このため、誤放
電の防止が図れる。また、絶縁性の構造体を設ける位置
を工夫することによりプライミングスリットが容易に構
成できる。
【0050】また、背面板側では、絶縁性の構造体によ
りその後のパネルの他の構成成分の厚膜印刷がしずらく
なるという問題を解決できる。
【0051】さらに、この考案では、絶縁性の構造体を
前面板の前面板側放電用電極を設けてない領域でかつセ
ル隔壁の上面と対向する領域上のみまたは該領域の一部
分上のみに設ける構成としたことにより、前面板側放電
用電極の厚さを厚くでき、その結果この電極の幅を狭く
でき、然も前述の絶縁性の構造体で表示セルの開口部を
塞ぐことがないため、表示セルの開口率を低下させるこ
とがなく十分高いものとでき、また前面板側放電用電極
の厚さを厚く然も凹凸なく直線状に設けることができる
ので、配線抵抗の低減が図れかつ断線等を生ずる恐れが
ないため、大型パネルを作製するのに特に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例のガス放電パネルの基本的な構造の説明
に供する要部の分解斜視図である。
【図2】(A)は、実施例のガス放電パネルのより詳細
な構造の説明及び作製方法の説明に供する平面図であ
り、(B)はその断面図である。
【図3】他の実施例のガス放電パネルの基本的な構造の
説明に供する要部の分解斜視図である。
【図4】従来のガス放電パネルの要部を一部切り欠いて
示した斜視図である。
【図5】従来の他のガス放電パネルの要部を一部切り欠
いて示した斜視図である。
【符号の説明】
31:前面板 33:前面板側放電用電極(陰極母線) 35:前面板側の絶縁性の構造体 41:背面板 43:セル隔壁 43a:プライミングスリット 43b:セル隔壁の上面 45:背面板側放電用電極(放電用陽極) 47:背面板側放電用電極(補助放電用陽極) 49:背面板側の絶縁性の構造体 51:表示セル 61:補助放電セル 71:陽極オーバーコート層 71a:開口部 73:蛍光体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 坂井 徹男 東京都世田谷区砧一丁目10番11号 日本 放送協会放送技術研究所内 (72)考案者 高野 善道 東京都世田谷区砧一丁目10番11号 日本 放送協会放送技術研究所内 (56)参考文献 特開 昭62−154435(JP,A) 特開 昭51−90264(JP,A) 特開 平1−276531(JP,A)

Claims (3)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに対向配置された前面板及び背面板
    と、これら基板間に設けられセル隔壁によって互いに区
    分けされている多数の表示セルと、前記前面板の前記背
    面板との対向面側に並設された多数本の前面板側放電用
    電極と、前記背面板の前記前面板との対向面側に並設さ
    れた多数本の背面板側放電用電極とを具えたガス放電パ
    ネルにおいて、 前面板の前面板側放電用電極を設けてない領域でかつセ
    ル隔壁の上面と対向する領域上のみまたは該領域の一部
    分上のみに該放電用電極と実質的に同じ高さの絶縁性の
    構造体を設けて成ることを特徴とするガス放電パネル。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のガス放電パネルにおい
    て、 前記背面板の背面板側放電用電極を設けてない領域に該
    放電用電極と実質的に同じ高さの絶縁性の構造体を設け
    て成ることを特徴とするガス放電パネル。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載のガス放電パネ
    ルにおいて、 前記放電用電極を複数の導電性膜の積層体で構成し、 前記絶縁性の構造体を複数の絶縁性膜の積層体で構成し
    て成ることを特徴とするガス放電パネル。
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