JP2542775Y2 - 曲面自在対応クランプ装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は例えば航空機の機体部品
などのような自由な曲面を有する部品の機械加工時など
のクランプ装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のこの種部品のクランプ装置の１例
として図３及び図４に示すものがある。図３はクランプ
状態を示す立体図、図４は図３のＡ−Ａ断面図を示し、
これらの図においてクランプ対象部品Ａ′は作業台上に
於てその部品の曲面形状に合わせ押え金１０の位置を決
めクランプ１１を行なっている。部品Ａ′は剛性が無い
ため押え金１０で細かく固定しており、このため部品毎
に多数の押え用治具を必要としている。なおＢ′は基準
面である。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】ところで前述のような
従来の部品のクランプ方法では、部品一種類毎にクラン
プ治具が必要で、治具を大量に用意する必要があった。

【０００４】そのため数多い治具の取扱いのために多大
な労力と時間を要し、また大量の保管面積を必要とし
た。

【０００５】また、クランプ対象部品が変わった場合、
部品形状が変化するため大小にかかわらず治具の再製作
が必要であった。

【０００６】 本考案は従来技術の前記各不具合点を解
消し、部品の曲面形状に合わせて複数個のスライドブロ
ックとスライドシリンダーにより対象部品の側面と底面
を同時にクランプ、アンクランプ出来る曲面自在対応ク
ランプ装置を提供することを目的としている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本考案の曲面自在対応のクランプ装置は、スライド面上
を摺動し、適宜スライド機構により作業台上に設置した
クランプ対象部品の曲面形状に合わせて前後移動する複
数個のスライドブロックを対象部品に対向して配置し、
この各スライドブロックにはそれぞれ油圧又は空気圧等
により摺動するスライドシリンダーを内蔵し、さらに該
スライドシリンダーの先端部には対象部品の側面をクラ
ンプするための側面クランプシリンダーと、対象部品の
底面をクランプするための底面クランプシリンダーとを
装着したことを特徴としている。

【０００８】

【作用】上述の構成よりなる本考案の曲面自在対応クラ
ンプ装置は、側面及び底面クランプシリンダーをそれぞ
れ装着したスライドシリンダーを内蔵した各スライドブ
ロックをロボット又は自動制御機等によりスライド面に
沿ってスライドシリンダーの作動範囲内の大まかな位置
までクランプ対象部品に向けて移動して位置を設定し、
次ぎにスライドブロック内のスライドシリンダーを油圧
又は空気圧等により前進させる。

【０００９】 この結果スライドシリンダーの先端部に
装着した側面クランプシリンダーと底面クランプシリン
ダーがクランプ対象部品の直前まできて部品の曲面に接
触し、的確なクランプ位置が設定できる。

【００１０】 次いで側面クランプシリンダー及び底面
クランプシリンダーにその後方より油圧又は空気圧を加
えることにより両クランプシリンダーにより部品の側面
と底面とを同時にクランプ出来る。この機構によりクラ
ンプ装置は部品の形状に左右されず的確にクランプする
ことが可能となる。

【００１１】また、クランプ部の機械加工時は、切削工
具の配置されるクランプ部品のみがクランプ状態を解除
され、該クランプ部のスライドシリンダーが後退する。

【００１２】この様な作動によりクランプ対象部品の曲
面のクランプとクランプの解除が簡単に出来る。

【００１３】

【実施例】以下図面により本考案の１実施例について説
明すると、図１は本考案を曲面を有する航空機のフレー
ム部品の機械加工の取り付け具に適用した場合の立体
図、図２は図１のＡ−Ａ矢視断面図である。

【００１４】これらの図において、Ａはクランプ対象部
品を示し、航空機の胴体の縦方向断面を構成する部品
で、一機体に数十〜数百もあり、さらに１つの断面で３
〜５程度に分割したものである。そしてその外形形状は
自由曲線に形成されている。

【００１５】クランプ対象部品Ａは作業台上において基
準面Ｂに沿うよう配置される。

【００１６】作業台上にはスライド面８上を摺動するス
ライドブロック１が複数個並置されており、各スライド
ブロック１にはスライドシリンダー２が内蔵されてい
る。

【００１７】スライドシリンダー２の後端は、油圧又は
空気圧送給管５と連通する空間部を有している。

【００１８】スライドシリンダー２の先端部には水平方
向に向けて側面クランプシリンダー３を装着すると共
に、垂直方向下方に向けて底面クランプシリンダー４を
装着しており、各クランプシリンダー３，４の後端部に
は別の油圧又は空気圧送給管６よりの加圧流体を供給す
るための供給路がスライドシリンダー２の中心部を通っ
て連通されている。

【００１９】７はスライドブロック１は内蔵された適宜
構造よりなるスライド機構で、例えばラックとピニオン
よりなる手段でもよく、またギアモータよりなる送り手
段でもよい。

【００２０】次ぎに本実施例装置の作動について説明す
ると、先づクランプ対象部品Ａの曲面形状に合わせ、ロ
ボット又は自動制御機等によりスライドブロック１を移
動して大体のスライドブロック１の位置決めを行なう。
この位置はスライドブロック１内に内蔵したスライドシ
リンダー２の作動範囲内とする。

【００２１】次いでスライドシリンダー２を流体圧供給
管５よりの流体圧により前進させることにより、該スラ
イドシリンダー２の先端部に装着した側面クランプシリ
ンダー３及び底面クランプシリンダー４が図２に示すよ
うなクランプ対象部品Ａの直前位置まで来る。

【００２２】次ぎに別の供給管６よりの流体圧をスライ
ドシリンダー２の中心部に穿設した通孔を通って側面ク
ランプシリンダー３及び底面クランプシリンダー４の背
面に供給することにより基準面Ｂに部品Ａを押し付け部
品の正面（側面）と底面とを同時にクランプする。

【００２３】クランプ部の機械加工の必要ある時は、ク
ランプ対象部品Ａの加工個所のみのクランプ部分を解除
し、該部分のスライドシリンダーを後退させ、切削工具
等により該要加工個所の機械加工がしやすくなるよう空
間部を作る。

【００２４】

【考案の効果】以上述べたように本考案の曲面自在対応
クランプ装置によれば、部品の曲面をクランプする場合
に、クランプ装置の位置を変えるだけで、複数の部品に
おける多種類の曲面に充分対応出来る。したがって従来
の方法の様にクランプ用押え金を交換したり治具の取り
替えをする必要がなくなり形状の異なる部品を容易に機
械加工することが可能になる。さらに、数多くの治具や
押え金を製作する必要が無く、製作費用及びそれを保
管，管理する面積，手間が無くなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の１実施例に係るクランプ装置の立体図
である。

【図２】図１のＡ−Ａ矢視断面図である。

【図３】従来のクランプ方法を示す立体図である。

【図４】図３のＡ−Ａ矢視断面図である。

【符号の説明】

１ スライドブロック ２ スライドシリンダー ３ 側面クランプシリンダー ４ 底側クランプシリンダー ５，６ 油圧又は空気圧供給管 ７ スライド機構 ８ スライド面 １０ 押え金 Ａ，Ａ′ 部品 Ｂ，Ｂ′ 基準面

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 平田 誠彦 名古屋市港区大江町10番地 三菱重工業 株式会社名古屋航空宇宙システム製作所 内 (72)考案者 宮部 智彦 東京都港区虎ノ門一丁目２番３号 財団 法人日本航空機開発協会内 (56)参考文献 特開 昭58−192728（ＪＰ，Ａ) 実開 昭60−121486（ＪＰ，Ｕ) 特公 昭63−38276（ＪＰ，Ｂ２) 実公 昭40−22377（ＪＰ，Ｙ１)

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 スライド面上を摺動し適宜スライド機構
   により作業台上に設置した対象部品の曲面形状に合わせ
   て前後移動する複数個のスライドブロックを対象部品に
   対向して配置し、該スライドブロックにはそれぞれ油圧
   又は空気圧により摺動するスライドシリンダーを内蔵
   し、さらに該スライドシリンダーの先端部には対象部品
   の側面をクランプする側面クランプシリンダー及び対象
   部品の底面をクランプする底面クランプシリンダーを具
   備したことを特徴とする曲面自在対応クランプ装置。