JP2540584B2 - 2次の非線形光学材料とそれを用いた非線形光学素子 - Google Patents
2次の非線形光学材料とそれを用いた非線形光学素子Info
- Publication number
- JP2540584B2 JP2540584B2 JP5573988A JP5573988A JP2540584B2 JP 2540584 B2 JP2540584 B2 JP 2540584B2 JP 5573988 A JP5573988 A JP 5573988A JP 5573988 A JP5573988 A JP 5573988A JP 2540584 B2 JP2540584 B2 JP 2540584B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- nonlinear optical
- group
- general formula
- compound
- optical material
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Classifications
-
- G—PHYSICS
- G02—OPTICS
- G02F—OPTICAL DEVICES OR ARRANGEMENTS FOR THE CONTROL OF LIGHT BY MODIFICATION OF THE OPTICAL PROPERTIES OF THE MEDIA OF THE ELEMENTS INVOLVED THEREIN; NON-LINEAR OPTICS; FREQUENCY-CHANGING OF LIGHT; OPTICAL LOGIC ELEMENTS; OPTICAL ANALOGUE/DIGITAL CONVERTERS
- G02F1/00—Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics
- G02F1/35—Non-linear optics
- G02F1/355—Non-linear optics characterised by the materials used
- G02F1/361—Organic materials
Landscapes
- Physics & Mathematics (AREA)
- Nonlinear Science (AREA)
- General Physics & Mathematics (AREA)
- Optics & Photonics (AREA)
- Heterocyclic Compounds Containing Sulfur Atoms (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は2次の非線形光学材料とそれを用いた非線形
光学素子に関する。さらに詳細には、本発明はジチオー
ル誘導体結晶からなる2次の非線形光学材料とそれを用
いた非線形光学素子に関する。
光学素子に関する。さらに詳細には、本発明はジチオー
ル誘導体結晶からなる2次の非線形光学材料とそれを用
いた非線形光学素子に関する。
<従来技術及び発明が解決しようとする問題点> 非線形光学効果は、媒質に光が入射したとき、その光
の電場の2乗以上の高次の項に比例する分極が生じる現
象であり、レーザ光等の強電界下では非線形光学効果が
顕著に現れる。この非線形光学効果により、第2高調波
発生、カー効果、光双安定などが可能となり、特に光の
電場の2乗に比例して起る2次非線形光学効果は光波長
変換素子、光変調素子等の非線形光学素子としてオプト
エレクトロニクス分野の発展を約束する素子への応用が
可能であるため多くの注目を集めている。
の電場の2乗以上の高次の項に比例する分極が生じる現
象であり、レーザ光等の強電界下では非線形光学効果が
顕著に現れる。この非線形光学効果により、第2高調波
発生、カー効果、光双安定などが可能となり、特に光の
電場の2乗に比例して起る2次非線形光学効果は光波長
変換素子、光変調素子等の非線形光学素子としてオプト
エレクトロニクス分野の発展を約束する素子への応用が
可能であるため多くの注目を集めている。
それらの素子を構成する材料は、現在のところKH2PO4
などの一部の無機材料が実用されているにすぎない。し
かし、それら無機材料の非線形光学定数は小さく、それ
ゆえ素子の動作には極めて高い電圧、または極めて強い
光強度が必要であった。このため、非線形光学定数の大
きい材料への要求は極めて強く、様々な材料探索がなさ
れてきた。無機材料においては、ニオブ酸リチウム(Li
NbO3)が最も大きい非線形光学定数を有しているが、ニ
オブ酸リチウムは強いレーザ光を照射すると部分的に屈
折率の変化を生じ、また光で容易に損傷する欠点を有し
ており未だ実用化されていない。
などの一部の無機材料が実用されているにすぎない。し
かし、それら無機材料の非線形光学定数は小さく、それ
ゆえ素子の動作には極めて高い電圧、または極めて強い
光強度が必要であった。このため、非線形光学定数の大
きい材料への要求は極めて強く、様々な材料探索がなさ
れてきた。無機材料においては、ニオブ酸リチウム(Li
NbO3)が最も大きい非線形光学定数を有しているが、ニ
オブ酸リチウムは強いレーザ光を照射すると部分的に屈
折率の変化を生じ、また光で容易に損傷する欠点を有し
ており未だ実用化されていない。
近年になって、無機系材料に比べて有機系材料の方が
はるかに高い非線形光学特性を有することが見出ださ
れ、例えば、2−メチル−4−ニトロアニリン(MNA)
に代表されるように、π電子系を有すると共に分子内に
電子供与性基と電子吸引性基とを有し、極めて大きい非
線形光学定数を有する材料が注目されている。しかし、
このような有機非線形光学材料を用いた非線形光学素子
を、光波長変換素子、特に第2高調波発生素子として使
用する場合、第2高調波の波長が入射光の波長の半分で
あることから、広い波長範囲で使用できる素子とするに
は、素子が広い透明領域を有する必要があり、電子遷移
吸収帯が短波長側にあることが好ましいが、従来の分子
設計では、分子状態での2次の分子非線形光学定数β
(以下、非線形光学定数βという)を大きくするために
は、分子内のπ電子系を大きくせざるを得ないので、電
子遷移吸収帯が長波長側に移動する欠点を有していた。
このため、ベンゼン環をピリジン環、ピリミジン環、チ
アゾール環等に置換したものも検討させれたが、いまだ
可視領域に吸収を示さずかつ非線形光学定数βの大きい
材料は知られておらず、2次の非線形光学効果、特に光
波長変換素子として優れた効果を有する素子は得られて
いない。
はるかに高い非線形光学特性を有することが見出ださ
れ、例えば、2−メチル−4−ニトロアニリン(MNA)
に代表されるように、π電子系を有すると共に分子内に
電子供与性基と電子吸引性基とを有し、極めて大きい非
線形光学定数を有する材料が注目されている。しかし、
このような有機非線形光学材料を用いた非線形光学素子
を、光波長変換素子、特に第2高調波発生素子として使
用する場合、第2高調波の波長が入射光の波長の半分で
あることから、広い波長範囲で使用できる素子とするに
は、素子が広い透明領域を有する必要があり、電子遷移
吸収帯が短波長側にあることが好ましいが、従来の分子
設計では、分子状態での2次の分子非線形光学定数β
(以下、非線形光学定数βという)を大きくするために
は、分子内のπ電子系を大きくせざるを得ないので、電
子遷移吸収帯が長波長側に移動する欠点を有していた。
このため、ベンゼン環をピリジン環、ピリミジン環、チ
アゾール環等に置換したものも検討させれたが、いまだ
可視領域に吸収を示さずかつ非線形光学定数βの大きい
材料は知られておらず、2次の非線形光学効果、特に光
波長変換素子として優れた効果を有する素子は得られて
いない。
<目 的> この発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、可視
領域に吸収を持たずかつ高い非線形光学効果を有する2
次の有機系非線形光学材料とそれを用いた2次の非線形
光学素子を提供することを目的とする。
領域に吸収を持たずかつ高い非線形光学効果を有する2
次の有機系非線形光学材料とそれを用いた2次の非線形
光学素子を提供することを目的とする。
<問題点を解決するための手段及び作用> 本発明の2次の非線形光学材料は、下記一般式〔I〕
で表わされる化合物を少なくとも含有することを特徴と
する。
で表わされる化合物を少なくとも含有することを特徴と
する。
[式中、R1、R2、R3およびR4は有機性置換基をそれぞ
れ示す。但し、R1、R2、R3およびR4の少なくとも1つは
電子吸引性基であるものとする。] 有機非線形光学材料において、非線形光学定数βを大
きくするには、光の電場により分極が生ずる際に、分子
内の電子移動がスムーズに進行することが必要とされる
が、本発明は上記の構成よりなり、一般式〔I〕の化合
物は電子供与性の硫黄原子を有すると共にR1、R2、R3お
よびR4の少なくとも1つの基が電子吸引性基であり、励
起状態における分子内の電子移動がスムーズに進行する
ので、一般式〔I〕の化合物は大きい非線形光学定数β
を有し、大きい非線形光学効果を有する。また、一般式
〔I〕の化合物は分子内のπ電子系が小さく、電子遷移
吸収帯が短波長側にあるので、広い波長範囲で使用でき
る。
れ示す。但し、R1、R2、R3およびR4の少なくとも1つは
電子吸引性基であるものとする。] 有機非線形光学材料において、非線形光学定数βを大
きくするには、光の電場により分極が生ずる際に、分子
内の電子移動がスムーズに進行することが必要とされる
が、本発明は上記の構成よりなり、一般式〔I〕の化合
物は電子供与性の硫黄原子を有すると共にR1、R2、R3お
よびR4の少なくとも1つの基が電子吸引性基であり、励
起状態における分子内の電子移動がスムーズに進行する
ので、一般式〔I〕の化合物は大きい非線形光学定数β
を有し、大きい非線形光学効果を有する。また、一般式
〔I〕の化合物は分子内のπ電子系が小さく、電子遷移
吸収帯が短波長側にあるので、広い波長範囲で使用でき
る。
また本発明の非線形光学素子は、上記一般式〔I〕で
表わされる化合物を少なくとも含有する2次の非線形光
学材料が、光導波部に用いられていることを特徴とす
る。
表わされる化合物を少なくとも含有する2次の非線形光
学材料が、光導波部に用いられていることを特徴とす
る。
上記非線形光学素子によれば、光導波部に前記非線形
光学材料が用いられているので、非線形光学効果が大き
な非線形光学素子が得られ、光強度の弱いレーザ光でも
高強度の第2高調波を分離でき、また少ない電圧変化で
も電気光学効果を効率よく発現できる。
光学材料が用いられているので、非線形光学効果が大き
な非線形光学素子が得られ、光強度の弱いレーザ光でも
高強度の第2高調波を分離でき、また少ない電圧変化で
も電気光学効果を効率よく発現できる。
以下に、2次の非線形光学材料について詳細に説明す
る。
る。
上記一般式〔I〕において、R1、R2、R3およびR4は有
機性置換基であり、そのうちの少なくとも1個は電子吸
引性基である。上記有機性置換基としては、例えば、水
素原子;メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブ
チル、イソブチル、第三級ブチル、ペンチル、ヘキシ
ル、オクチル等のアルキル基;メトキシ、エトキシ、プ
ロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、第三級ブトキ
シ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等のアルコキシ
基;ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、ペ
ンタノイル、ヘキサノイル、オクタノイル、ベンゾイル
等のアシル基;カルバモイル、メチルカルバモイル、ジ
メチルカルバモイル、エチルカルバモイル、プロピルカ
ルバモイル、ヘキシルカルバモイル、ラウリルカルバモ
イル、ベンジルカルバモイル、フェニルカルバモイル等
の置換基を有していてもよいカルバモイル基;アミノ、
メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジメチ
ルアミノ、プロピルアミノ、ブチルアミノ、ヘキシルア
ミノ、オクチルアミノなどのアルキル基を有していても
よいアミノ基;ベンジルアミノ、ベンズヒドリル、トリ
チルアミノ、フェニルアミノ、ジフェニルアミノ等のア
ラルキルアミノまたはアリールアミノ基;カルボキシ
基;メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポ
キシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシ
カルボニル、イソブトキシカルボニル、第三級ブトキシ
カルボニル、ペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキ
シカルボニル、ヘプチルオキシカルボニル、オクチルオ
キシカルボニル、ノニルオキシカルボニル、デシルオキ
シカルボニル、ウンデシルオキシカルボニル、ドデシル
オキシカルボニル、トリデシルオキシカルボニル、テト
ラデシルオキシカルボニル、ペンタデシルオキシカルボ
ニルなどの不斉炭素を含んでいてもよいアルコキシカル
ボニル基、フェノキシルカルボニル、p−ニトロフェニ
ルオキシカルボニルなどの置換基を有していてもよいア
リールオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、
ベンズヒドリルオキシカルボニルなどのアラルキルオキ
シカルボニル等のエステル化されたカルボキシ基;メタ
ンスルホニル、エタンスルホニル、プロパンスルホニ
ル、ブタンスルホニル、トリフルオロメタンスルホニ
ル、2,2,2−トリフルオロエタンスルホニル等のハロゲ
ン原子を有していてもよいアルカンスルホニル基;ホル
ムアミド、アセトアミド、プロピオンアミド、ブチリル
アミノ、ヘキサノイルアミノ、ベンゾイルアミノ等のア
シルアミノ基;メルカプト基;メチルチオ、エチルチ
オ、プロピルチオ、ブチルチオ、オクチルチオ等のアル
キルチオ基;ベンジルチオ、フェニルチオ、p−フェニ
ルチオ等の置換基を有していてもよいアラルキルチオま
たはアリールチオ基;水酸基;シアノ基;ニトロ基;ニ
トロソ基;スルホ基;メトキシスルホニル、エトキシス
ルホニル、プロポキシスルホニル、ブトキシスルホニ
ル、ペンチルオキシスルホニル、ヘキシルオキシスルホ
ニル、オクチルオキシスルホニルなどのアルコキシスル
ホニル、フェノキシスルホニル、p−シアノフェノキシ
スルホニルなどの置換基を有していてもよいフェノキシ
スルホニル等のエステル化されたスルホ基;スルファモ
イル、メチルスルファモイル、エチルスルファモイル、
フェニルスルファモイル、ベンジルスルファモイルなど
の置換基を有していてもよいスルファモイル基;テトラ
メチルアンモニオ、エチルトリメチルアンモニオ等の第
4級アンモニウム基;スルフィノ基;クロロ、ブロモ、
フルオロ、ヨード等のハロゲン基;メチロール、2−ヒ
ドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピルなど一般式 −(CH2)n−OH(nは自然数)で示される基;チオカ
ルボキシ基等の有機性置換基が例示できる。これらの有
機性置換基は、水素結合可能な置換基が好ましく、ま
た、置換基が大きくなると結晶性が悪くなり、素子化が
困難となるので、できるだけコンパクトな置換基が好ま
しい。
機性置換基であり、そのうちの少なくとも1個は電子吸
引性基である。上記有機性置換基としては、例えば、水
素原子;メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブ
チル、イソブチル、第三級ブチル、ペンチル、ヘキシ
ル、オクチル等のアルキル基;メトキシ、エトキシ、プ
ロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、第三級ブトキ
シ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等のアルコキシ
基;ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、ペ
ンタノイル、ヘキサノイル、オクタノイル、ベンゾイル
等のアシル基;カルバモイル、メチルカルバモイル、ジ
メチルカルバモイル、エチルカルバモイル、プロピルカ
ルバモイル、ヘキシルカルバモイル、ラウリルカルバモ
イル、ベンジルカルバモイル、フェニルカルバモイル等
の置換基を有していてもよいカルバモイル基;アミノ、
メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジメチ
ルアミノ、プロピルアミノ、ブチルアミノ、ヘキシルア
ミノ、オクチルアミノなどのアルキル基を有していても
よいアミノ基;ベンジルアミノ、ベンズヒドリル、トリ
チルアミノ、フェニルアミノ、ジフェニルアミノ等のア
ラルキルアミノまたはアリールアミノ基;カルボキシ
基;メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポ
キシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシ
カルボニル、イソブトキシカルボニル、第三級ブトキシ
カルボニル、ペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキ
シカルボニル、ヘプチルオキシカルボニル、オクチルオ
キシカルボニル、ノニルオキシカルボニル、デシルオキ
シカルボニル、ウンデシルオキシカルボニル、ドデシル
オキシカルボニル、トリデシルオキシカルボニル、テト
ラデシルオキシカルボニル、ペンタデシルオキシカルボ
ニルなどの不斉炭素を含んでいてもよいアルコキシカル
ボニル基、フェノキシルカルボニル、p−ニトロフェニ
ルオキシカルボニルなどの置換基を有していてもよいア
リールオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、
ベンズヒドリルオキシカルボニルなどのアラルキルオキ
シカルボニル等のエステル化されたカルボキシ基;メタ
ンスルホニル、エタンスルホニル、プロパンスルホニ
ル、ブタンスルホニル、トリフルオロメタンスルホニ
ル、2,2,2−トリフルオロエタンスルホニル等のハロゲ
ン原子を有していてもよいアルカンスルホニル基;ホル
ムアミド、アセトアミド、プロピオンアミド、ブチリル
アミノ、ヘキサノイルアミノ、ベンゾイルアミノ等のア
シルアミノ基;メルカプト基;メチルチオ、エチルチ
オ、プロピルチオ、ブチルチオ、オクチルチオ等のアル
キルチオ基;ベンジルチオ、フェニルチオ、p−フェニ
ルチオ等の置換基を有していてもよいアラルキルチオま
たはアリールチオ基;水酸基;シアノ基;ニトロ基;ニ
トロソ基;スルホ基;メトキシスルホニル、エトキシス
ルホニル、プロポキシスルホニル、ブトキシスルホニ
ル、ペンチルオキシスルホニル、ヘキシルオキシスルホ
ニル、オクチルオキシスルホニルなどのアルコキシスル
ホニル、フェノキシスルホニル、p−シアノフェノキシ
スルホニルなどの置換基を有していてもよいフェノキシ
スルホニル等のエステル化されたスルホ基;スルファモ
イル、メチルスルファモイル、エチルスルファモイル、
フェニルスルファモイル、ベンジルスルファモイルなど
の置換基を有していてもよいスルファモイル基;テトラ
メチルアンモニオ、エチルトリメチルアンモニオ等の第
4級アンモニウム基;スルフィノ基;クロロ、ブロモ、
フルオロ、ヨード等のハロゲン基;メチロール、2−ヒ
ドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピルなど一般式 −(CH2)n−OH(nは自然数)で示される基;チオカ
ルボキシ基等の有機性置換基が例示できる。これらの有
機性置換基は、水素結合可能な置換基が好ましく、ま
た、置換基が大きくなると結晶性が悪くなり、素子化が
困難となるので、できるだけコンパクトな置換基が好ま
しい。
非線形光学定数βを大きくするためには、光の電場に
より分極が生ずる際、スムーズに電子が移動することが
必要であり、R1、R2、R3およびR4の少なくとも1つは電
子吸引性基である。電子吸引性基としては、例えば、ニ
トロ基、シアノ基、ハロゲン原子を有していてもよいス
ルホニル基、アシル基、カルボキシ基,エステル化され
たカルボキシ基、置換基を有していてもよいカルバモイ
ル基、スルホ基、エステル化されたスルホ基、置換基を
有していてもよいスルファモイル基等種々の基が選択で
きるが、電子遷移吸収帯を可視領域に示さないようにす
るには、ハメットの置換基定数(σpara)が0.7以下の
電子吸引性基であることが好ましい。ハメットの置換基
定数(σpara)が0.7を越える電子吸引性基の場合、基
底状態と励起状態の状態間エネルギー差が小さくなり電
子遷移吸収帯が長波長へ移動することがある(G.B.Barl
in and D.D.Perrin,Quart.,Rev.,20,75,1966;L.M.Yaqup
olskii and L.Z.Gandelsman,J.,Gen.,Chem.,U.S.S.R.,3
5,1259,1965など参照)。特に分子内の電子移動をスム
ーズに進行させるには、R1、R2、R3およびR4のうち、R1
およびR2の少なくとも一方が電子吸引性基であることが
好ましく、さらに結晶の分子配列の点からR1おびR2は異
なった基であることが好ましく、特に好ましくはR1およ
びR2がそれぞれシアノ基およびエステル化されたカルボ
キシ基であるのがよい。
より分極が生ずる際、スムーズに電子が移動することが
必要であり、R1、R2、R3およびR4の少なくとも1つは電
子吸引性基である。電子吸引性基としては、例えば、ニ
トロ基、シアノ基、ハロゲン原子を有していてもよいス
ルホニル基、アシル基、カルボキシ基,エステル化され
たカルボキシ基、置換基を有していてもよいカルバモイ
ル基、スルホ基、エステル化されたスルホ基、置換基を
有していてもよいスルファモイル基等種々の基が選択で
きるが、電子遷移吸収帯を可視領域に示さないようにす
るには、ハメットの置換基定数(σpara)が0.7以下の
電子吸引性基であることが好ましい。ハメットの置換基
定数(σpara)が0.7を越える電子吸引性基の場合、基
底状態と励起状態の状態間エネルギー差が小さくなり電
子遷移吸収帯が長波長へ移動することがある(G.B.Barl
in and D.D.Perrin,Quart.,Rev.,20,75,1966;L.M.Yaqup
olskii and L.Z.Gandelsman,J.,Gen.,Chem.,U.S.S.R.,3
5,1259,1965など参照)。特に分子内の電子移動をスム
ーズに進行させるには、R1、R2、R3およびR4のうち、R1
およびR2の少なくとも一方が電子吸引性基であることが
好ましく、さらに結晶の分子配列の点からR1おびR2は異
なった基であることが好ましく、特に好ましくはR1およ
びR2がそれぞれシアノ基およびエステル化されたカルボ
キシ基であるのがよい。
またR3およびR4は前記例示の有機性置換基から適宜選
択することができるが、水素原子およびアルキル基から
選択された基が好ましい。
択することができるが、水素原子およびアルキル基から
選択された基が好ましい。
特に一般式〔I〕の化合物において、R1がシアノ基で
あり、R2がアルコキシ部分の炭素数1〜20、特に炭素数
1〜6のアルコキシカルボニル基であり、R3が水素原子
またはメチル基であり、R4が水素原子またはメチル基で
ある化合物は、非線形光学定数βが大きく好ましい。
あり、R2がアルコキシ部分の炭素数1〜20、特に炭素数
1〜6のアルコキシカルボニル基であり、R3が水素原子
またはメチル基であり、R4が水素原子またはメチル基で
ある化合物は、非線形光学定数βが大きく好ましい。
上記一般式〔I〕で表される化合物は種々の方法で合
成することができるが、例えば、後記実施例1および2
に示されるような方法で製造することができる。
成することができるが、例えば、後記実施例1および2
に示されるような方法で製造することができる。
前記一般式〔I〕で表される化合物を少なくとも含有
する有機非線形光学材料は、一般式〔I〕で表される化
合物の単一成分結晶であってもよく、一般式〔I〕で表
される化合物と、他の非線形光学材料、水素結合可能な
置換基を有する高分子や液晶性高分子との混合物からな
る混合物結晶または混合物固体であってもよい。なお、
一般式〔I〕で表される化合物と他の非線形光学材料な
どは、可視領域に吸収を示さないことが要求される場合
には、一般式〔I〕で表される化合物の特性が阻害され
ない範囲で、可視領域に吸収を示してもよい場合には適
宜の範囲で混合される。
する有機非線形光学材料は、一般式〔I〕で表される化
合物の単一成分結晶であってもよく、一般式〔I〕で表
される化合物と、他の非線形光学材料、水素結合可能な
置換基を有する高分子や液晶性高分子との混合物からな
る混合物結晶または混合物固体であってもよい。なお、
一般式〔I〕で表される化合物と他の非線形光学材料な
どは、可視領域に吸収を示さないことが要求される場合
には、一般式〔I〕で表される化合物の特性が阻害され
ない範囲で、可視領域に吸収を示してもよい場合には適
宜の範囲で混合される。
前記一般式〔I〕で表される化合物の単一成分結晶
は、可視領域に吸収を示さず、結晶状態でも非線形光学
定数βが大きく、顕著な2次非線形光学効果を有する。
また、上記混合物結晶または混合物固体にあっては、結
晶における分子配列を制御し、2次非線形光学効果の大
きな有機非線形光学材料とすることができる。
は、可視領域に吸収を示さず、結晶状態でも非線形光学
定数βが大きく、顕著な2次非線形光学効果を有する。
また、上記混合物結晶または混合物固体にあっては、結
晶における分子配列を制御し、2次非線形光学効果の大
きな有機非線形光学材料とすることができる。
上記他の非線形光学材料としては、種々の有機非線形
光学材料が用いられるが、好ましくは非線形光学定数の
大きい材料、例えば、2次の非線形光学定数βが5×10
-30esu以上の化合物が用いられる。このような有機非線
形光学材料としては、分子内に電子吸引性基と電子供与
性基を有する化合物、例えば、前記MNAの他、1−メト
キシ−4−(2−ニトロベンジリデンアミノ)ベンゼ
ン、1−エトキシ−4−(2−ニトロベンジリデンアミ
ノ)ベンゼン、1−プロポキシ−4−(2−ニトロベン
ジリデンアミノ)ベンゼン、1−ブトキシ−4−(2−
ニトロベンジリデンアミノ)ベンゼン、1−ヘキシルオ
キシ−4−(2−ニトロベンジリデンアミノ)ベンゼ
ン、1−メトキシ−4−(3−ニトロベンジリデンアミ
ノ)ベンゼン、1−エトキシ−4−(3−ニトロベンジ
リデンアミノ)ベンゼン、1−プロポキシ−4−(3−
ニトロベンジリデンアミノ)ベンゼン、1−ブトキシ−
4−(3−ニトロベンジリデンアミノ)ベンゼン、1−
ヘキシルオキシ−4−(3−ニトロベンジリデンアミ
ノ)ベンゼン、1−メトキシ−4−(4−ニトロベンジ
リデンアミノ)ベンゼン、1−エトキシ−4−(4−ニ
トロベンジリデンアミノ)ベンゼン、1−プロポキシ−
4−(4−ニトロベンジリデンアミノ)ベンゼン、1−
ブトキシ−4−(4−ニトロベンジリデンアミノ)ベン
ゼン、1−ペンチルオキシ−4−(4−ニトロベンジリ
デンアミノ)ベンゼン、1−ヘキシルオキシ−4−(4
−ニトロベンジリデンアミノ)ベンゼン、1−オクチル
オキシ−4−(4−ニトロベンジリデンアミノ)ベンゼ
ン、1−ノニルオキシ−4−(4−ニトロベンジリデン
アミノ)ベンゼン、1−メチル−4−(4−ニトロベン
ジリデンアミノ)ベンゼン、1−エチル−4−(4−ニ
トロベンジリデンアミノ)ベンゼン、1−プロピル−4
−(4−ニトロベンジリデンアミノ)ベンゼン、1−ブ
チル−4−(4−ニトロベンジリデンアミノ)ベンゼ
ン、1−(4−ニトロベンジリデンアミノ)−4−ヘキ
シルベンゼン、1−(4−ニトロベンジリデンアミノ)
−4−オクチルベンゼン、1−エチル−4−(4−シア
ノベンジリデンアミノ)ベンゼン等のシッフ塩基型化合
物;1−メチルアミノアントラキノン、2−メチルアミン
アントラキノン、1,4−ジアミノ−6−エトキシカルボ
ニルアントラキノン、1,4−ジアミノ−2−(1−ピロ
リジニル)アントラキノン等のアントラキノン誘導体;
β,β−ジシアノ−4−メトキシスチレン、β,β−ジ
シアノ−4−メチルスチレン、4−ジメチルアミノ−
β,β−ジシアノスチレン等のスチレン誘導体;2−ブロ
モ−4−ニトロ−N,N−ジメチルアニリン;4−N,N−ジメ
チルアミノ−4′−ニトロスチルベン;2−エチルアミノ
−1,3,4−チアジアゾール;4−(4′−ジメチルアミノ
アニリノ)−2,5,6−トリフルオロ−1,3−ジシアノベン
ゼン、4−(4′−メトキシチオフェノキシ)−2,5,6
−トリフルオロ−1,3−ジシアノベンゼン等のベンゼン
誘導体;3,5−ジメチル−2′,4′−ジニトロ−1,1′−
ビフェニル−4−オール、3,5−ジ−tert−ブチル−
2′,4′−ジニトロ−1,1′−ビフェニル−4−オール
等のビフェニル誘導体;3−アミノピリジンなどが例示さ
れる。前記一般式〔I〕で表される化合物と上記の有機
非線形光学材料との混合比は、所望する光学特性、化合
物の物性(例えば、融点、溶解度、λmaxなど)等によ
り適宜選択できる。
光学材料が用いられるが、好ましくは非線形光学定数の
大きい材料、例えば、2次の非線形光学定数βが5×10
-30esu以上の化合物が用いられる。このような有機非線
形光学材料としては、分子内に電子吸引性基と電子供与
性基を有する化合物、例えば、前記MNAの他、1−メト
キシ−4−(2−ニトロベンジリデンアミノ)ベンゼ
ン、1−エトキシ−4−(2−ニトロベンジリデンアミ
ノ)ベンゼン、1−プロポキシ−4−(2−ニトロベン
ジリデンアミノ)ベンゼン、1−ブトキシ−4−(2−
ニトロベンジリデンアミノ)ベンゼン、1−ヘキシルオ
キシ−4−(2−ニトロベンジリデンアミノ)ベンゼ
ン、1−メトキシ−4−(3−ニトロベンジリデンアミ
ノ)ベンゼン、1−エトキシ−4−(3−ニトロベンジ
リデンアミノ)ベンゼン、1−プロポキシ−4−(3−
ニトロベンジリデンアミノ)ベンゼン、1−ブトキシ−
4−(3−ニトロベンジリデンアミノ)ベンゼン、1−
ヘキシルオキシ−4−(3−ニトロベンジリデンアミ
ノ)ベンゼン、1−メトキシ−4−(4−ニトロベンジ
リデンアミノ)ベンゼン、1−エトキシ−4−(4−ニ
トロベンジリデンアミノ)ベンゼン、1−プロポキシ−
4−(4−ニトロベンジリデンアミノ)ベンゼン、1−
ブトキシ−4−(4−ニトロベンジリデンアミノ)ベン
ゼン、1−ペンチルオキシ−4−(4−ニトロベンジリ
デンアミノ)ベンゼン、1−ヘキシルオキシ−4−(4
−ニトロベンジリデンアミノ)ベンゼン、1−オクチル
オキシ−4−(4−ニトロベンジリデンアミノ)ベンゼ
ン、1−ノニルオキシ−4−(4−ニトロベンジリデン
アミノ)ベンゼン、1−メチル−4−(4−ニトロベン
ジリデンアミノ)ベンゼン、1−エチル−4−(4−ニ
トロベンジリデンアミノ)ベンゼン、1−プロピル−4
−(4−ニトロベンジリデンアミノ)ベンゼン、1−ブ
チル−4−(4−ニトロベンジリデンアミノ)ベンゼ
ン、1−(4−ニトロベンジリデンアミノ)−4−ヘキ
シルベンゼン、1−(4−ニトロベンジリデンアミノ)
−4−オクチルベンゼン、1−エチル−4−(4−シア
ノベンジリデンアミノ)ベンゼン等のシッフ塩基型化合
物;1−メチルアミノアントラキノン、2−メチルアミン
アントラキノン、1,4−ジアミノ−6−エトキシカルボ
ニルアントラキノン、1,4−ジアミノ−2−(1−ピロ
リジニル)アントラキノン等のアントラキノン誘導体;
β,β−ジシアノ−4−メトキシスチレン、β,β−ジ
シアノ−4−メチルスチレン、4−ジメチルアミノ−
β,β−ジシアノスチレン等のスチレン誘導体;2−ブロ
モ−4−ニトロ−N,N−ジメチルアニリン;4−N,N−ジメ
チルアミノ−4′−ニトロスチルベン;2−エチルアミノ
−1,3,4−チアジアゾール;4−(4′−ジメチルアミノ
アニリノ)−2,5,6−トリフルオロ−1,3−ジシアノベン
ゼン、4−(4′−メトキシチオフェノキシ)−2,5,6
−トリフルオロ−1,3−ジシアノベンゼン等のベンゼン
誘導体;3,5−ジメチル−2′,4′−ジニトロ−1,1′−
ビフェニル−4−オール、3,5−ジ−tert−ブチル−
2′,4′−ジニトロ−1,1′−ビフェニル−4−オール
等のビフェニル誘導体;3−アミノピリジンなどが例示さ
れる。前記一般式〔I〕で表される化合物と上記の有機
非線形光学材料との混合比は、所望する光学特性、化合
物の物性(例えば、融点、溶解度、λmaxなど)等によ
り適宜選択できる。
なお、一般式〔I〕で表される化合物の単結晶、また
は一般式〔I〕で表される化合物と前記他の非線形光学
材料との混合結晶は、例えば、真空蒸着、分子線エピタ
キシー等の気相成長法;一般式〔I〕で示される化合物
を含有する溶液の溶媒を蒸発させたり、温度を降下させ
たり、または過飽和溶液から結晶を析出させる液相成長
法;一般式〔I〕で示される化合物を溶融し、種子結晶
と接触させた後引き上げたり、融液を温度勾配を有する
加熱炉中で結晶化させる融液固化法等を用いて結晶を作
製することができる。また、液相成長法で使用される有
機溶媒は、水素結合が可能なヒドロキシ基を有するメタ
ノール、エタノールなどの極性溶媒でもよく、アセトニ
トリル、酢酸エチル、ジエチルエーテル、テトラヒドロ
フランなどの極性溶媒、ベンゼン、トルエン、シクロヘ
キサンなどの無極性または極性の小さな溶媒であっても
よい。なお、この際、必要により、不斉炭素を有する溶
媒、例えば、(R)−2−ブタノール等の不斉炭素を有
する溶媒より結晶を得てもよい。
は一般式〔I〕で表される化合物と前記他の非線形光学
材料との混合結晶は、例えば、真空蒸着、分子線エピタ
キシー等の気相成長法;一般式〔I〕で示される化合物
を含有する溶液の溶媒を蒸発させたり、温度を降下させ
たり、または過飽和溶液から結晶を析出させる液相成長
法;一般式〔I〕で示される化合物を溶融し、種子結晶
と接触させた後引き上げたり、融液を温度勾配を有する
加熱炉中で結晶化させる融液固化法等を用いて結晶を作
製することができる。また、液相成長法で使用される有
機溶媒は、水素結合が可能なヒドロキシ基を有するメタ
ノール、エタノールなどの極性溶媒でもよく、アセトニ
トリル、酢酸エチル、ジエチルエーテル、テトラヒドロ
フランなどの極性溶媒、ベンゼン、トルエン、シクロヘ
キサンなどの無極性または極性の小さな溶媒であっても
よい。なお、この際、必要により、不斉炭素を有する溶
媒、例えば、(R)−2−ブタノール等の不斉炭素を有
する溶媒より結晶を得てもよい。
また、上記水素結合可能な置換基を有する高分子とし
ては、ヒドロキシ基、カルボニル基、カルボキシ基、エ
ーテル基などの水素結合可能な基を有する高分子、例え
ば、ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリレー
ト、ポリアクリレートなどのアクリル樹脂、ポリエチレ
ンオキサイドなどのポリアルキレンオキサイドなどが例
示される。
ては、ヒドロキシ基、カルボニル基、カルボキシ基、エ
ーテル基などの水素結合可能な基を有する高分子、例え
ば、ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリレー
ト、ポリアクリレートなどのアクリル樹脂、ポリエチレ
ンオキサイドなどのポリアルキレンオキサイドなどが例
示される。
上記液晶性高分子としては、側鎖にメソーゲン基を有
する側鎖型液晶性高分子、側鎖型ポリアクリレート系液
晶高分子、側鎖型ポリシロキサン系液晶高分子などが例
示される。
する側鎖型液晶性高分子、側鎖型ポリアクリレート系液
晶高分子、側鎖型ポリシロキサン系液晶高分子などが例
示される。
前記水素結合可能な置換基を有する高分子や上記液晶
性高分子との混合物固体とすることにより、水素結合可
能な置換基を有する高分子と液晶性高分子の分子配向性
を利用して前記一般式〔I〕で表される化合物の分子配
列を制御することができる。なお、前記一般式〔I〕で
表される化合物のうちアルキル部分を有する化合物、特
にR2がアルコキシ部分の炭素数1〜20のアルコキシカル
ボニル基である化合物は、上記高分子との相溶性に優れ
ているので、前記混合物固体における一般式〔I〕で表
される化合物の分子配列をより一層制御することができ
る。
性高分子との混合物固体とすることにより、水素結合可
能な置換基を有する高分子と液晶性高分子の分子配向性
を利用して前記一般式〔I〕で表される化合物の分子配
列を制御することができる。なお、前記一般式〔I〕で
表される化合物のうちアルキル部分を有する化合物、特
にR2がアルコキシ部分の炭素数1〜20のアルコキシカル
ボニル基である化合物は、上記高分子との相溶性に優れ
ているので、前記混合物固体における一般式〔I〕で表
される化合物の分子配列をより一層制御することができ
る。
また、前記の一般式〔I〕で表される化合物と、水素
結合可能な置換基を有する高分子や液晶性高分子との混
合物固体は、一般式〔I〕で表される化合物と液晶性高
分子などとの混合物を溶融させた後、徐々に冷却して液
晶状態などとし、次いで電場を印加し、その状態で冷却
し固化させることにより得られる。電場の印加により水
素結合可能な置換基有する高分子や液晶性高分子が配向
した状態で固化するので、一般式〔I〕で表される化合
物が対称中心を持たない分子配列状態の固体を得ること
ができる。上記の一般式〔I〕で表される化合物と、水
素結合可能な置換基を有する高分子や液晶性高分子との
混合物において、各成分の混合比は一般式〔I〕で表さ
れる化合物が分子配向した固体状態をとり得るものであ
れば特に限定されず、一般式〔I〕で表される化合物お
よび使用される水素結合可能な置換基を有する高分子や
液晶性高分子の性状(例えば、相転移温度など)等によ
り適宜選択することができ、通常一般式〔I〕で表され
る化合物の含有量は、2〜60重量%程度とされる。
結合可能な置換基を有する高分子や液晶性高分子との混
合物固体は、一般式〔I〕で表される化合物と液晶性高
分子などとの混合物を溶融させた後、徐々に冷却して液
晶状態などとし、次いで電場を印加し、その状態で冷却
し固化させることにより得られる。電場の印加により水
素結合可能な置換基有する高分子や液晶性高分子が配向
した状態で固化するので、一般式〔I〕で表される化合
物が対称中心を持たない分子配列状態の固体を得ること
ができる。上記の一般式〔I〕で表される化合物と、水
素結合可能な置換基を有する高分子や液晶性高分子との
混合物において、各成分の混合比は一般式〔I〕で表さ
れる化合物が分子配向した固体状態をとり得るものであ
れば特に限定されず、一般式〔I〕で表される化合物お
よび使用される水素結合可能な置換基を有する高分子や
液晶性高分子の性状(例えば、相転移温度など)等によ
り適宜選択することができ、通常一般式〔I〕で表され
る化合物の含有量は、2〜60重量%程度とされる。
上記のように、前記一般式〔I〕で表される化合物を
少なくとも含有する有機非線形光学材料は、非線形光学
定数βが大きく、顕著な非線形光学効果を有する。従っ
て、本発明の2次の非線形光学材料は、オプトエレクト
ロニクス分野で使用される種々の形態の非線形光学素子
用材料、例えば、光波長変換素子や、位相変調素子、振
幅変調素子等の光変調素子用材料として好適である。特
に上記一般式〔I〕で示される化合物を少なくとも含有
する2次の非線形光学材料、中でも一般式〔I〕で示さ
れる化合物の単結晶が長波長領域に極大吸収を示さない
ことから、光波長変換素子用材料として用いるのが好ま
しい。
少なくとも含有する有機非線形光学材料は、非線形光学
定数βが大きく、顕著な非線形光学効果を有する。従っ
て、本発明の2次の非線形光学材料は、オプトエレクト
ロニクス分野で使用される種々の形態の非線形光学素子
用材料、例えば、光波長変換素子や、位相変調素子、振
幅変調素子等の光変調素子用材料として好適である。特
に上記一般式〔I〕で示される化合物を少なくとも含有
する2次の非線形光学材料、中でも一般式〔I〕で示さ
れる化合物の単結晶が長波長領域に極大吸収を示さない
ことから、光波長変換素子用材料として用いるのが好ま
しい。
以下に、添附図面に基づいて、上記有機非線形光学材
料を用いた本発明の非線形光学素子について詳細に説明
する。
料を用いた本発明の非線形光学素子について詳細に説明
する。
第1図は、本発明の2次の非線形光学素子の一例であ
り、光波長変換素子としての光導波路型光波長変換素子
の概略図を示し、前記一般式〔I〕で表される2次の非
線形光学効果を有する化合物を少なくとも含有する有機
非線形光学材料(以下、非線形媒質と称する)からなる
コア(1)が、ガラス等の2次の非線形光学効果を示さ
ない媒質(以下、等方性媒質と称する)からなるクラッ
ド(2)で被覆された構造を有し、同図中、一点鎖線は
入射された光の基本波を、二点鎖線は第2高調波を示
す。レーザ光等の光はレンズ等で集光され、上記光波長
変換素子の一端面からコア(1)に入射される。コア
(1)を形成する非線形媒質は大きい2次の非線形光学
効果を示すので、コア(1)の他端面より出射される光
は基本波と第2高調波を含み、プリズム、フィルタ等の
分光手段により分離することにより第2高調波が取り出
される。
り、光波長変換素子としての光導波路型光波長変換素子
の概略図を示し、前記一般式〔I〕で表される2次の非
線形光学効果を有する化合物を少なくとも含有する有機
非線形光学材料(以下、非線形媒質と称する)からなる
コア(1)が、ガラス等の2次の非線形光学効果を示さ
ない媒質(以下、等方性媒質と称する)からなるクラッ
ド(2)で被覆された構造を有し、同図中、一点鎖線は
入射された光の基本波を、二点鎖線は第2高調波を示
す。レーザ光等の光はレンズ等で集光され、上記光波長
変換素子の一端面からコア(1)に入射される。コア
(1)を形成する非線形媒質は大きい2次の非線形光学
効果を示すので、コア(1)の他端面より出射される光
は基本波と第2高調波を含み、プリズム、フィルタ等の
分光手段により分離することにより第2高調波が取り出
される。
また第2図および第3図は、それぞれ光波長変換素子
の他の例を示す概略図であり、図面中、一点鎖線および
二点鎖線はそれぞれ第1図と同様な意味を示す。
の他の例を示す概略図であり、図面中、一点鎖線および
二点鎖線はそれぞれ第1図と同様な意味を示す。
第2図に示される光波長変換素子では、等方性媒質か
らなる基板(22)上に非線形媒質からなる光導波部(2
1)が形成されており、また第3図に示される光波長変
換素子においては、等方性媒質からなる基板(32)と、
同じく等方性媒質からなるトップ層(33)との間に非線
形媒質からなる光導波部(31)が形成されている。上記
の光波長変換素子は、第1図に示される光波長変換素子
と同様にして使用される。
らなる基板(22)上に非線形媒質からなる光導波部(2
1)が形成されており、また第3図に示される光波長変
換素子においては、等方性媒質からなる基板(32)と、
同じく等方性媒質からなるトップ層(33)との間に非線
形媒質からなる光導波部(31)が形成されている。上記
の光波長変換素子は、第1図に示される光波長変換素子
と同様にして使用される。
また、光変調素子としても従来から用いられている形
態のデバイスとすることができる。第4図は、その一例
として、横型動作の光導波路型光変調素子の概略図を示
し、等方性媒質よりなる基板(42)中に、非線形媒質か
らなる光導波部(41)が設けられていると共に、該光導
波部(41)を介して2つの電極(43)が長さ方向に沿っ
て対向する位置に設けられており、該電極(43)間に電
圧を印加することにより電界が形成される。上記素子に
おいて、光導波部(41)の長さ方向の一端から入射され
た光が光導波部(41)を通過し他端面から出射される
際、光導波部(41)を構成する非線形媒質の屈折率が変
化すると出射される光の位相も変化する。非線形媒質の
屈折率は印加電圧により変化するので、電極(43)間の
印加電圧を変化させることにより、出射光の位相変調を
行なうことができる。
態のデバイスとすることができる。第4図は、その一例
として、横型動作の光導波路型光変調素子の概略図を示
し、等方性媒質よりなる基板(42)中に、非線形媒質か
らなる光導波部(41)が設けられていると共に、該光導
波部(41)を介して2つの電極(43)が長さ方向に沿っ
て対向する位置に設けられており、該電極(43)間に電
圧を印加することにより電界が形成される。上記素子に
おいて、光導波部(41)の長さ方向の一端から入射され
た光が光導波部(41)を通過し他端面から出射される
際、光導波部(41)を構成する非線形媒質の屈折率が変
化すると出射される光の位相も変化する。非線形媒質の
屈折率は印加電圧により変化するので、電極(43)間の
印加電圧を変化させることにより、出射光の位相変調を
行なうことができる。
なお、本発明の2次非線形光学素子は上記例に限定さ
れるものではなく、種々の形態が可能であり、例えば、
光波長変換素子としては、非線形媒質単体を素子として
用いることができ、また前記の例のように、等方性媒質
よりなる基板上に非線形媒質よりなる光導波路を形成し
第2高調波を採り出す構成等でもよく[J.Zyss,J.Molea
ular Electronics 1,25(1985)など参照]、また光変
調素子としては、振幅変調することができる縦型動作の
光導波路型光変調素子でもよく、また結晶自体に直接電
圧を印加する形態とすることもできる。なお、光変調素
子においては、非線形媒質の対称性、結晶軸の方向等に
より、位相変調を効率よく行なうための電界印加方向が
異なるので、それらに基づき電極の構成を適宜変更する
のがよい。また、導波路型光波長変換素子とすることに
より、導波路内に光を閉じ込めるので、光パワー密度が
大きくなり、また相互作用長を長くすることができるの
で高効率化を図ることができ、さらにモード分散を利用
した位相整合も可能である。
れるものではなく、種々の形態が可能であり、例えば、
光波長変換素子としては、非線形媒質単体を素子として
用いることができ、また前記の例のように、等方性媒質
よりなる基板上に非線形媒質よりなる光導波路を形成し
第2高調波を採り出す構成等でもよく[J.Zyss,J.Molea
ular Electronics 1,25(1985)など参照]、また光変
調素子としては、振幅変調することができる縦型動作の
光導波路型光変調素子でもよく、また結晶自体に直接電
圧を印加する形態とすることもできる。なお、光変調素
子においては、非線形媒質の対称性、結晶軸の方向等に
より、位相変調を効率よく行なうための電界印加方向が
異なるので、それらに基づき電極の構成を適宜変更する
のがよい。また、導波路型光波長変換素子とすることに
より、導波路内に光を閉じ込めるので、光パワー密度が
大きくなり、また相互作用長を長くすることができるの
で高効率化を図ることができ、さらにモード分散を利用
した位相整合も可能である。
また素子の製造は、種々の方法にて行なうことが可能
であり、上記第1図から第4図に示される光波長変換素
子において、コア(1)および光導波部(21)(31)
(41)の形成は、例えば、非線形媒質原料を、それぞれ
等方性媒質からなるキャピラリー中、等方性媒質からな
る同波路基板上、または等方性媒質からなる導波路基板
間で、加熱溶融後、ゆっくりと冷却させて結晶を析出さ
せる方法、基板上に真空蒸着法、高周波スパッタリング
法等によって結晶を析出させる方法などにより行われ、
また、適当な有機溶媒に非線形媒質原料を溶解させた溶
液から、上記キャピラリー中、基板上または基板間に結
晶を析出させる方法によってもよい。さらに、場合によ
っては、キャピラリー中、基板上または基板間で非線形
媒質との接触界面となるべき部分を配向処理剤で処理し
た後、非線形媒質を析出、結晶成長させ光波長変換素子
などを形成してもよい。配向処理剤としては、無機塩お
よび有機塩(例えば、臭化ヘキサデシルトリメチルアン
モニウムなど)、適当な高分子(例えば、ポリアミドな
ど)からなる薄膜、金属錯体、金属薄膜(例えば、斜め
蒸着した金属膜など)等が例示される。
であり、上記第1図から第4図に示される光波長変換素
子において、コア(1)および光導波部(21)(31)
(41)の形成は、例えば、非線形媒質原料を、それぞれ
等方性媒質からなるキャピラリー中、等方性媒質からな
る同波路基板上、または等方性媒質からなる導波路基板
間で、加熱溶融後、ゆっくりと冷却させて結晶を析出さ
せる方法、基板上に真空蒸着法、高周波スパッタリング
法等によって結晶を析出させる方法などにより行われ、
また、適当な有機溶媒に非線形媒質原料を溶解させた溶
液から、上記キャピラリー中、基板上または基板間に結
晶を析出させる方法によってもよい。さらに、場合によ
っては、キャピラリー中、基板上または基板間で非線形
媒質との接触界面となるべき部分を配向処理剤で処理し
た後、非線形媒質を析出、結晶成長させ光波長変換素子
などを形成してもよい。配向処理剤としては、無機塩お
よび有機塩(例えば、臭化ヘキサデシルトリメチルアン
モニウムなど)、適当な高分子(例えば、ポリアミドな
ど)からなる薄膜、金属錯体、金属薄膜(例えば、斜め
蒸着した金属膜など)等が例示される。
<実施例> 以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。
実施例1 クロロアセトアルデヒド(10ミリモル)を、2−シア
ノ−3,3−ジメルカプトアクリル酸エチル・2ナトリウ
ム塩(10ミリモル)、リン酸2水素カリウム(10ミリモ
ル)および水(50ml)の混合物に加え攪拌する。十分に
冷却した後、析出する無色の沈澱物を濾取し、得られた
結晶をトルエン−ヘプタン(1:1)の混合溶媒にて再結
晶する。次いで、このようにして得られた結晶520mgを1
0mlの濃硫酸に溶解した後、氷水中に注ぐ。析出する沈
澱を濾取し乾燥した後、シリカゲルカラムクロマトグラ
フィーにて精製し、白色のエチル 1,3−ジチオール−
2−イリデンシアノアセテート315mgを得た。得られた
結晶のメタノール溶液における紫外可視吸収を測定した
ところ、吸収極大波長は368nmであった。
ノ−3,3−ジメルカプトアクリル酸エチル・2ナトリウ
ム塩(10ミリモル)、リン酸2水素カリウム(10ミリモ
ル)および水(50ml)の混合物に加え攪拌する。十分に
冷却した後、析出する無色の沈澱物を濾取し、得られた
結晶をトルエン−ヘプタン(1:1)の混合溶媒にて再結
晶する。次いで、このようにして得られた結晶520mgを1
0mlの濃硫酸に溶解した後、氷水中に注ぐ。析出する沈
澱を濾取し乾燥した後、シリカゲルカラムクロマトグラ
フィーにて精製し、白色のエチル 1,3−ジチオール−
2−イリデンシアノアセテート315mgを得た。得られた
結晶のメタノール溶液における紫外可視吸収を測定した
ところ、吸収極大波長は368nmであった。
融点:178〜179℃ また実施例1の化合物の核磁気共鳴スペクトル(JEOL
JNM−PMX60 NMR SPECTROMETER使用。以下同様)及び赤
外線吸収スペクトル(HITACHI 270−30 IR SPECTROPHOT
OMETER使用、KBr法。以下同様)を測定した。1 H−NMR(DMSO−d6)δ: 1.37(3H,t)、4.30(2H,q) 7.50(2H,s) IR(cm-1): 2220、1680 [結晶の2次の非線形光学効果] 上記の実施例1で得られた化合物を乳鉢にてすりつぶ
し、これを2枚のプレパラートガラス間に挾み、YAGレ
ーザー(Quauta−Ray社、DCR−2)の1.06μm光(100m
J/8ns pulse)を試料粉末に照射したところ、第2高調
波(0.53μm)の散乱光が目視にて観測され、この化合
物が2次の非線形光学効果を有していることが判明し
た。また、その第2高調波強度は尿素に比べて極めて強
いものであった。
JNM−PMX60 NMR SPECTROMETER使用。以下同様)及び赤
外線吸収スペクトル(HITACHI 270−30 IR SPECTROPHOT
OMETER使用、KBr法。以下同様)を測定した。1 H−NMR(DMSO−d6)δ: 1.37(3H,t)、4.30(2H,q) 7.50(2H,s) IR(cm-1): 2220、1680 [結晶の2次の非線形光学効果] 上記の実施例1で得られた化合物を乳鉢にてすりつぶ
し、これを2枚のプレパラートガラス間に挾み、YAGレ
ーザー(Quauta−Ray社、DCR−2)の1.06μm光(100m
J/8ns pulse)を試料粉末に照射したところ、第2高調
波(0.53μm)の散乱光が目視にて観測され、この化合
物が2次の非線形光学効果を有していることが判明し
た。また、その第2高調波強度は尿素に比べて極めて強
いものであった。
[βの評価] 上記実施例1で得られた化合物の電子状態を、Parise
r−Parr−Pople(PPP)法[例えばA.Martin,Acta.Chimi
ca Academiae Scientiarum Hungaricae,84,259,(197
5)参照]を用いて計算し、これをもとに下記式で表わ
される分子状態での非線形光学定数βを計算したとこ
ろ、20×10-30esu(1.06μmにおいて)であった[J.L.
Oudar,J.,Chem.,Phys.,67,446(1977)参照]。
r−Parr−Pople(PPP)法[例えばA.Martin,Acta.Chimi
ca Academiae Scientiarum Hungaricae,84,259,(197
5)参照]を用いて計算し、これをもとに下記式で表わ
される分子状態での非線形光学定数βを計算したとこ
ろ、20×10-30esu(1.06μmにおいて)であった[J.L.
Oudar,J.,Chem.,Phys.,67,446(1977)参照]。
[e:電子の電荷、 (hはプランク定数)、m:電子の質量、w:基底状態と励
起状態のエネルギーの差、 f:振動子強度、△μge:基底状態と励起状態の永久極子
モーメントの差] なお、MNAと4−N,N−ジメチルアミノ−4′−ニトロ
スチルベン(DANS)のPPP法により求めたβの値を下記
の表に示す。得られた値は、J.L.Oudarら[J.L.Oudar,
J.,Chem.,Phys.,67,446(1977)]により実測値をもと
に、前記非線形光学定数βを算出する式を用いて計算し
た文献値と極めてよく一致しており、PPP法を用いて非
線形光学定数βを算出することの妥当性が示される。従
って、上記実施例で得られた化合物の非線形光学定数β
は、MNAに比べて大きいことが明らかになる。
起状態のエネルギーの差、 f:振動子強度、△μge:基底状態と励起状態の永久極子
モーメントの差] なお、MNAと4−N,N−ジメチルアミノ−4′−ニトロ
スチルベン(DANS)のPPP法により求めたβの値を下記
の表に示す。得られた値は、J.L.Oudarら[J.L.Oudar,
J.,Chem.,Phys.,67,446(1977)]により実測値をもと
に、前記非線形光学定数βを算出する式を用いて計算し
た文献値と極めてよく一致しており、PPP法を用いて非
線形光学定数βを算出することの妥当性が示される。従
って、上記実施例で得られた化合物の非線形光学定数β
は、MNAに比べて大きいことが明らかになる。
実施例2 2−シアノ−3,3−ジメチルカプトアクリル酸エチル
・2ナトリウム塩(10ミリモル)およびエタノール(40
ml)の混合物に、メチルプロパルギルブロミド(10ミリ
モル)を加え、室温で1時間攪拌した後、水(60ml)を
加えた。次いで、塩酸にて反応液を酸性とした後、析出
した沈澱を濾取し乾燥して、エチル 4−メチル−1,3
−ジチオール−2−イリデンシアノアセテート1.35gを
得た。これをヘプタンおよび水−メタノール混合溶媒で
再結晶し、白色の結晶を得た。このもののメタノール溶
液中での吸収極大波長は373nmであった。
・2ナトリウム塩(10ミリモル)およびエタノール(40
ml)の混合物に、メチルプロパルギルブロミド(10ミリ
モル)を加え、室温で1時間攪拌した後、水(60ml)を
加えた。次いで、塩酸にて反応液を酸性とした後、析出
した沈澱を濾取し乾燥して、エチル 4−メチル−1,3
−ジチオール−2−イリデンシアノアセテート1.35gを
得た。これをヘプタンおよび水−メタノール混合溶媒で
再結晶し、白色の結晶を得た。このもののメタノール溶
液中での吸収極大波長は373nmであった。
融点:131〜133℃ 上記で得られた結晶の2次の非線形光学効果を実施例
1の方法と同様にして測定したところ、強い第2高調波
の発生が観察された。
1の方法と同様にして測定したところ、強い第2高調波
の発生が観察された。
実施例3 実施例2と同様にして、適当な出発原料を用いて、エ
チル 4,5−ジメチル−1,3−ジチオール−2−イリデン
シアノアセテートを得た。このもののメタノール溶液中
での吸収極大波長は378nmであった。
チル 4,5−ジメチル−1,3−ジチオール−2−イリデン
シアノアセテートを得た。このもののメタノール溶液中
での吸収極大波長は378nmであった。
融点:140〜141℃1 H−NMR(CDCl3)δ: 1.37(3H,t)、2.23(6H,s) 4.30(2H,q) IR(cm-1): 2210、1680 上記で得られた結晶の2次の非線形光学効果を実施例
1の方法と同様にして測定したところ、尿素の22倍の強
い第2高調波の発生が観察された。
1の方法と同様にして測定したところ、尿素の22倍の強
い第2高調波の発生が観察された。
また実施例3の化合物の結晶構造は、X線構造解析の
結果、三斜晶系、空間群P1であり、各分子が互いの双極
子モーメントを全く打ち消さない状態に配列しているこ
とが判明した。
結果、三斜晶系、空間群P1であり、各分子が互いの双極
子モーメントを全く打ち消さない状態に配列しているこ
とが判明した。
実施例4 実施例1と同様にして、適当な出発原料を用いて、メ
チル 1,3−ジチオール−2−イリデンシアノアセテー
トを得た。このもののメタノール溶液中での吸収極大波
長は368nmであった。
チル 1,3−ジチオール−2−イリデンシアノアセテー
トを得た。このもののメタノール溶液中での吸収極大波
長は368nmであった。
融点:204〜205℃ 上記で得られた結晶の2次の非線形光学効果を実施例
1の方法と同様にして測定したところ、強い第2高調波
の発生が観察された。
1の方法と同様にして測定したところ、強い第2高調波
の発生が観察された。
実施例5 実施例2と同様にして、適当な出発原料を用いて、プ
ロピル 4−メチル−1,3−ジチオール−2−イリデン
シアノアセテートを得た。このもののメタノール溶液中
での吸収極大波長は378nmであった。
ロピル 4−メチル−1,3−ジチオール−2−イリデン
シアノアセテートを得た。このもののメタノール溶液中
での吸収極大波長は378nmであった。
融点:82〜83℃1 H−NMR(CDCl3)δ: 1.00(3H,t)、1.77(2H,m) 2.38(3H,s)、4.20(2H,t) 6.63(1H,s) IR(cm-1): 2220、1690 上記で得られた結晶の2次の非線形光学効果を実施例
1の方法と同様にして測定したところ、強い第2高調波
の発生が観察された。
1の方法と同様にして測定したところ、強い第2高調波
の発生が観察された。
実施例6 実施例2と同様にして、適当な出発原料を用いて、イ
ソプロピル 4−メチル−1,3−ジチオール−2−イリ
デンシアノアセテートを得た。このもののメタノール溶
液中での吸収極大波長は378nmであった。
ソプロピル 4−メチル−1,3−ジチオール−2−イリ
デンシアノアセテートを得た。このもののメタノール溶
液中での吸収極大波長は378nmであった。
融点:116〜117℃ 上記で得られた結晶の2次の非線形光学効果を実施例
1の方法と同様にして測定したところ、強い第2高調波
の発生が観察された。
1の方法と同様にして測定したところ、強い第2高調波
の発生が観察された。
[光波長変換素子の形成と試験結果] 実施例7 パイレックスガラス管を酸素バーナーにて細工し、内
径約3μmのガラスキャピラリーを得た。上記実施例1
〜6により得られた試料を融解し、毛細管現象にてキャ
ピラリー中に溶液を注入する。これをさらに、融点プラ
ス5℃としたブリッジマン炉を用いてキャピラリーを炉
より引き出したところ、約5mmの単結晶領域が得られ
た。この単結晶領域をヤスリで切り出し、20倍の対物レ
ンズを用いてYAGレーザー(1.06μm)光をガラスキャ
ピラリー内の単結晶に入射させた。その結果、緑色(0.
532μm)の第2高調波がキャピラリー端面より放射さ
れた。
径約3μmのガラスキャピラリーを得た。上記実施例1
〜6により得られた試料を融解し、毛細管現象にてキャ
ピラリー中に溶液を注入する。これをさらに、融点プラ
ス5℃としたブリッジマン炉を用いてキャピラリーを炉
より引き出したところ、約5mmの単結晶領域が得られ
た。この単結晶領域をヤスリで切り出し、20倍の対物レ
ンズを用いてYAGレーザー(1.06μm)光をガラスキャ
ピラリー内の単結晶に入射させた。その結果、緑色(0.
532μm)の第2高調波がキャピラリー端面より放射さ
れた。
実施例8 上記実施例7と同様にしてガラスキャピラリーを得
た。また上記実施例1〜6により得られた試料をアルコ
ール系溶媒溶媒であるエタノールなどの沸点まで加熱し
て溶解させ、飽和溶液とした。この溶液を溶媒の沸点近
傍の温度に保ちながら、それと等温程度に加熱したガラ
スキャピラリーの一端を上記溶液につけ、毛細管現象を
利用して溶液注入を行なった後、ガラスキャピラリーの
両端を加熱して封じた。
た。また上記実施例1〜6により得られた試料をアルコ
ール系溶媒溶媒であるエタノールなどの沸点まで加熱し
て溶解させ、飽和溶液とした。この溶液を溶媒の沸点近
傍の温度に保ちながら、それと等温程度に加熱したガラ
スキャピラリーの一端を上記溶液につけ、毛細管現象を
利用して溶液注入を行なった後、ガラスキャピラリーの
両端を加熱して封じた。
ブリッジマン炉を用い、溶媒の沸点においてキャピラ
リーを下端から冷却する方法で炉より引き出したとこ
ろ、5〜30mmの端結晶領域が得られた。この端結晶領域
を切り出し、端面研磨した後、20倍の対物レンズを用い
てYAGレーザー(1.06μm)光をガラスキャピラリー内
の単結晶の一方の端面から入射させた。その結果、緑色
(0.532μm)の第2高調波がキャピラリー端面より放
射された。
リーを下端から冷却する方法で炉より引き出したとこ
ろ、5〜30mmの端結晶領域が得られた。この端結晶領域
を切り出し、端面研磨した後、20倍の対物レンズを用い
てYAGレーザー(1.06μm)光をガラスキャピラリー内
の単結晶の一方の端面から入射させた。その結果、緑色
(0.532μm)の第2高調波がキャピラリー端面より放
射された。
実施例9 上記実施例7と同様にして得たガラスキャピラリー
に、実施例1〜6で得られた試料を上記実施例7と同様
にして加熱溶融させて注入した。各ガラスキャピラリー
を、それぞれ上記各試料の融点以上に加熱したブリッジ
マン炉に入れた。またガラスキャピラリーを引き出す際
に、アルコール系溶媒から育成した各試料の単結晶をガ
ラスキャピラリーのうち冷却される端面に付け、上記単
結晶が溶解しないようにしてガラスキャピラリーを炉か
ら引き出したところ、各ガラスキャピラリー中にそれぞ
れ1〜30mmの単結晶領域が得られた。
に、実施例1〜6で得られた試料を上記実施例7と同様
にして加熱溶融させて注入した。各ガラスキャピラリー
を、それぞれ上記各試料の融点以上に加熱したブリッジ
マン炉に入れた。またガラスキャピラリーを引き出す際
に、アルコール系溶媒から育成した各試料の単結晶をガ
ラスキャピラリーのうち冷却される端面に付け、上記単
結晶が溶解しないようにしてガラスキャピラリーを炉か
ら引き出したところ、各ガラスキャピラリー中にそれぞ
れ1〜30mmの単結晶領域が得られた。
この単結晶領域を切り出し、実施例7と同様にしてYA
Gレーザー(1.06μm)光を各ガラスキャピラリー内の
結晶の一方の端面から入射させたところ、各ガラスキャ
ピラリーの他端面から緑色(0.532μm)の第2高調波
が発生することが観察された。
Gレーザー(1.06μm)光を各ガラスキャピラリー内の
結晶の一方の端面から入射させたところ、各ガラスキャ
ピラリーの他端面から緑色(0.532μm)の第2高調波
が発生することが観察された。
<発明の効果> 以上のように、本発明の2次の非線形光学材料によれ
ば、前記一般式〔I〕で表される化合物が、電子供与性
の硫黄原子を含む環に電子吸引性の置換基が結合してい
るので、光などの電場により分極が生ずる際の電子移動
が速やかに起こり、非線形光学定数βが大きく、顕著な
非線形光学効果を示す。
ば、前記一般式〔I〕で表される化合物が、電子供与性
の硫黄原子を含む環に電子吸引性の置換基が結合してい
るので、光などの電場により分極が生ずる際の電子移動
が速やかに起こり、非線形光学定数βが大きく、顕著な
非線形光学効果を示す。
また、本発明の非線形光学素子によれば、光導波部に
前記2次の非線形光学材料を用いているため、2次の非
線形光学素子が得られ、光強度の弱いレーザ光でも高強
度の第2高調波を分解でき、また少ない電圧変化でも電
気光学効果を効率よく発現できるという特有の効果を奏
する。
前記2次の非線形光学材料を用いているため、2次の非
線形光学素子が得られ、光強度の弱いレーザ光でも高強
度の第2高調波を分解でき、また少ない電圧変化でも電
気光学効果を効率よく発現できるという特有の効果を奏
する。
第1図は、本発明の2次の非線形光学素子の一例として
の光波長変換素子の概略図、 第2図および第3図は、それぞれ非線形光学素子の他の
例としての光波長変換素子の概略図、 第4図は、他の例としての光変調素子の概略図を示す。 (1)……コア、(2)……クラッド (21)(31)(41)……光導波部、 (22)(32)(42)……基板 (33)……トップ層、(43)……電極。
の光波長変換素子の概略図、 第2図および第3図は、それぞれ非線形光学素子の他の
例としての光波長変換素子の概略図、 第4図は、他の例としての光変調素子の概略図を示す。 (1)……コア、(2)……クラッド (21)(31)(41)……光導波部、 (22)(32)(42)……基板 (33)……トップ層、(43)……電極。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 清水 洋 大阪府大阪市此花区島屋1丁目1番3号 住友電気工業株式会社大阪製作所内 (72)発明者 柴田 豊 大阪府大阪市此花区島屋1丁目1番3号 住友電気工業株式会社大阪製作所内
Claims (11)
- 【請求項1】一般式〔I〕 [式中、R1、R2、R3およびR4は有機性置換基をそれぞれ
示す。但し、R1、R2、R3およびR4の少なくとも1つは電
子吸引性基であるものとする。] で表わされる化合物を少なくとも含有することを特徴と
する2次の非線形光学材料。 - 【請求項2】一般式〔I〕の化合物において、電子吸引
性基のハメットの置換基定数(σpara)が0.7以下であ
る請求項1記載の2次の非線形光学材料。 - 【請求項3】一般式〔I〕の化合物において、R1および
R2の少なくとも一方が電子吸引性基である請求項1また
は請求項2記載の2次の非線形光学材料。 - 【請求項4】一般式〔I〕の化合物において、R1がシア
ノ基である請求項3記載の2次の非線形光学材料。 - 【請求項5】一般式〔I〕の化合物において、R2がエス
テル化されたカルボキシ基である請求項3記載の2次の
非線形光学材料。 - 【請求項6】一般式〔I〕の化合物において、R3が水素
原子またはアルキル基である請求項1記載の2次の非線
形光学材料。 - 【請求項7】一般式〔I〕の化合物において、R4が水素
原子またはアルキル基である請求項1記載の2次の非線
形光学材料。 - 【請求項8】一般式〔I〕の化合物において、R1がシア
ノ基であり、R2がアルコキシ部分の炭素数1〜20のアル
コキシカルボニル基であり、R3が水素原子またはメチル
基であり、R4が水素原子またはメチル基である請求項1
記載の2次の非線形光学材料。 - 【請求項9】一般式〔I〕の化合物の単結晶からなる請
求項1ないし請求項8のいずれかに記載の2次の非線形
光学材料。 - 【請求項10】請求項1項ないし請求項8のいずれかに
記載の2次の非線形光学材料が、光導波部に用いられて
いることを特徴とする非線形光学素子。 - 【請求項11】非線形光学素子が光波長変換素子である
請求項10記載の非線形光学素子。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5573988A JP2540584B2 (ja) | 1987-05-07 | 1988-03-09 | 2次の非線形光学材料とそれを用いた非線形光学素子 |
DE68919035T DE68919035T2 (de) | 1988-03-09 | 1989-01-18 | Optisch in zweiter ordnung nichtlineares material und daraus hergestelltes optisch nichtlineares element. |
EP89901592A EP0357783B1 (en) | 1988-03-09 | 1989-01-18 | Secondary non-linear optical material and non-linear optical element prepared therefrom |
PCT/JP1989/000040 WO1989008863A1 (en) | 1988-03-09 | 1989-01-18 | Secondary non-linear optical material and non-linear optical element prepared therefrom |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62-111188 | 1987-05-07 | ||
JP11118887 | 1987-05-07 | ||
JP5573988A JP2540584B2 (ja) | 1987-05-07 | 1988-03-09 | 2次の非線形光学材料とそれを用いた非線形光学素子 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS6456425A JPS6456425A (en) | 1989-03-03 |
JP2540584B2 true JP2540584B2 (ja) | 1996-10-02 |
Family
ID=26396638
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5573988A Expired - Lifetime JP2540584B2 (ja) | 1987-05-07 | 1988-03-09 | 2次の非線形光学材料とそれを用いた非線形光学素子 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2540584B2 (ja) |
-
1988
- 1988-03-09 JP JP5573988A patent/JP2540584B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS6456425A (en) | 1989-03-03 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2540584B2 (ja) | 2次の非線形光学材料とそれを用いた非線形光学素子 | |
JPH04121717A (ja) | 新規な有機非線形光学材料及びそれを用いた光波長の変換方法 | |
JP2539834B2 (ja) | 非線形光学素子 | |
EP0357783A1 (en) | Secondary non-linear optical material and non-linear optical element prepared therefrom | |
JP2539855B2 (ja) | 非線形光学材料とそれを用いた非線形光学素子 | |
JP2887833B2 (ja) | シクロブテンジオン誘導体及びその製造方法並びにこれを用いた非線形光学素子 | |
JP2539850B2 (ja) | 非線形光学材料とそれを用いた非線形光学素子 | |
JP2539849B2 (ja) | 非線形光学材料とそれを用いた非線形光学素子 | |
JP2836485B2 (ja) | シクロブテンジオン誘導体及びその製造方法並びにこれを用いた非線形光学素子 | |
JPH01229235A (ja) | 有機非線形光学材料とそれを用いた非線形光学素子 | |
JPH0678301B2 (ja) | スクエアリリウム誘導体及びその製造方法 | |
JPS63261233A (ja) | 2次の非線形光学材料 | |
JPH01243038A (ja) | 非線形光学材料 | |
JPH01229234A (ja) | 有機非線形光学材料とそれを用いた非線形光学素子 | |
US20040251452A1 (en) | 1,3,5-Tricyano-2,4,6-tris(vinyl)benzene derivatives and method for preparing the same | |
JPS63221327A (ja) | 2次の非線形光学素子 | |
JPH01101523A (ja) | 非線形光学材料とそれを用いた非線形光学素子 | |
JP2783869B2 (ja) | 非線形光学素子 | |
JPH04277724A (ja) | 有機非線形光学材料 | |
JPS63291039A (ja) | 2次の非線形光学素子 | |
JPH01159617A (ja) | 非線形光学材料 | |
EP0534596A2 (en) | Novel hydrazine compound, process for the preparation of the same, and non-linear optical organic material | |
JP2783853B2 (ja) | 非線形光学素子 | |
JPH05140065A (ja) | 新規なアゾ化合物及び非線形光学材料 | |
JP3754825B2 (ja) | 三次非線形光学材料及びジアセチレンエステル並びにその製造方法 |