JP2538537B2 - サイトメガロウイルスに対するヒト・モノクロ―ナル抗体 - Google Patents
サイトメガロウイルスに対するヒト・モノクロ―ナル抗体Info
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- JP2538537B2 JP2538537B2 JP6154763A JP15476394A JP2538537B2 JP 2538537 B2 JP2538537 B2 JP 2538537B2 JP 6154763 A JP6154763 A JP 6154763A JP 15476394 A JP15476394 A JP 15476394A JP 2538537 B2 JP2538537 B2 JP 2538537B2
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、サイトメガロウイルス
(Cytomegalo-virus、以下CMVと略記する)に対する
ヒト・モノクローナル抗体(monoclonal antibody 、以
下MCAと略記する)を産生するハイブリドーマに関す
る。
(Cytomegalo-virus、以下CMVと略記する)に対する
ヒト・モノクローナル抗体(monoclonal antibody 、以
下MCAと略記する)を産生するハイブリドーマに関す
る。
【0002】
【従来の技術】CMVはヘルペス・ウイルス属に属する
ウイルスの一つであり、DNA、コアタンパク、カプシ
ッドとエンビロープからなっている。このウイルスが人
間に感染しても、多くの場合何の疾病も引き起こさな
い。しかしながら、免疫能力の低下した新生児では肝炎
を起こしたり、臓器移植のために免疫抑制された患者に
間質性肺炎を起こし、しばしば致命的な感染症を引き起
こす。従って、この感染症の診断、予防および治療は大
きな治療ニーズがある。Condi ら(American J. Medici
ne,March30,134─141,1984参照)は骨髄
移植患者に抗CMV抗体価の高いヒト血清グロブリンを
投与し、CMV感染とそれによる間質性肺炎を防ぐこと
に成功している。高力価のヒト血清グロブリンは、血清
提供者の抗体価をあらかじめチエックし、高力価である
血漿のみを収集して分画される。この方法で得られる血
清グロブリンの、CMVに対する抗体価はランダムに収
集されたものの高々10倍にしか過ぎず、かつこのよう
に高力価血清グロブリンを収集することは非常に困難で
あり、安定に供給することができない。
ウイルスの一つであり、DNA、コアタンパク、カプシ
ッドとエンビロープからなっている。このウイルスが人
間に感染しても、多くの場合何の疾病も引き起こさな
い。しかしながら、免疫能力の低下した新生児では肝炎
を起こしたり、臓器移植のために免疫抑制された患者に
間質性肺炎を起こし、しばしば致命的な感染症を引き起
こす。従って、この感染症の診断、予防および治療は大
きな治療ニーズがある。Condi ら(American J. Medici
ne,March30,134─141,1984参照)は骨髄
移植患者に抗CMV抗体価の高いヒト血清グロブリンを
投与し、CMV感染とそれによる間質性肺炎を防ぐこと
に成功している。高力価のヒト血清グロブリンは、血清
提供者の抗体価をあらかじめチエックし、高力価である
血漿のみを収集して分画される。この方法で得られる血
清グロブリンの、CMVに対する抗体価はランダムに収
集されたものの高々10倍にしか過ぎず、かつこのよう
に高力価血清グロブリンを収集することは非常に困難で
あり、安定に供給することができない。
【0003】MilsteinとKoehler によって確立されたハ
イブリドーマ法によって、高純度の抗体、すなわちMC
Aが作製できるようになった。Rasmussen ら(Proc. Na
tl.Acad. Sci. USA ,81,876−880,1984
参照)はCMVをマウスに免疫し、そのマウス脾細胞と
マウス・ミエローマ細胞を融合することによってCMV
特異的MCAを産生するハイブリドーマを作製した。彼
女ら以外にもいくつかの研究グループがCMVに対する
マウスのMCAを得ている(例えば、Goldstein ら、In
fection and Immunity ,38,273−281,198
2;Pereira ら,Infection and Immunity ,36,92
4−932,1982参照)。
イブリドーマ法によって、高純度の抗体、すなわちMC
Aが作製できるようになった。Rasmussen ら(Proc. Na
tl.Acad. Sci. USA ,81,876−880,1984
参照)はCMVをマウスに免疫し、そのマウス脾細胞と
マウス・ミエローマ細胞を融合することによってCMV
特異的MCAを産生するハイブリドーマを作製した。彼
女ら以外にもいくつかの研究グループがCMVに対する
マウスのMCAを得ている(例えば、Goldstein ら、In
fection and Immunity ,38,273−281,198
2;Pereira ら,Infection and Immunity ,36,92
4−932,1982参照)。
【0004】一般にヒト由来のMCAはマウス・ミエロ
ーマ細胞、ヒト・ミエローマ細胞あるいは他のリンパ系
樹立細胞とヒト・リンパ球とを細胞融合して得られるハ
イブリドーマから産生される。あるいはヒト・リンパ球
をEBウイルスによって変異させたリンパ芽球細胞から
も産生される。1980年から現在まで、多くのヒトM
CA作製の試みがなされてきたが、いずれの方法もそれ
ぞれ固有の問題をかかえている。マウス・ミエローマと
ヒト・リンパ球との細胞融合で得られたハイブリドーマ
のMCA産生は不安定であるし、ヒト・ミエローマ細胞
とヒト・リンパ球との細胞融合は極めて効率が悪い。ま
たEBウイルスによって得られるリンパ芽球細胞のMC
A産生は量が少なく、かつ不安定である。その上、EB
ウイルスは腫瘍を引き起こす能力を有しており、安全性
上大きな問題がある。このようにMCA産生細胞を樹立
する技術において大きな障害があるが、さらにもう一
つ、特定抗原に特異的なヒトMCAを得るためには大き
な障害がある。それは充分に免疫されたヒト・リンパ球
を得るという課題である。一般に正常人のリンパ球はC
MVによって感作されていることが多いが、その免疫度
合いは極めて低い。従って、正常人のリンパ球からハイ
ブリドーマあるいはリンパ芽球細胞を樹立しても、抗C
MV・MCAを産生する細胞を得られる見込みはほとん
どない。
ーマ細胞、ヒト・ミエローマ細胞あるいは他のリンパ系
樹立細胞とヒト・リンパ球とを細胞融合して得られるハ
イブリドーマから産生される。あるいはヒト・リンパ球
をEBウイルスによって変異させたリンパ芽球細胞から
も産生される。1980年から現在まで、多くのヒトM
CA作製の試みがなされてきたが、いずれの方法もそれ
ぞれ固有の問題をかかえている。マウス・ミエローマと
ヒト・リンパ球との細胞融合で得られたハイブリドーマ
のMCA産生は不安定であるし、ヒト・ミエローマ細胞
とヒト・リンパ球との細胞融合は極めて効率が悪い。ま
たEBウイルスによって得られるリンパ芽球細胞のMC
A産生は量が少なく、かつ不安定である。その上、EB
ウイルスは腫瘍を引き起こす能力を有しており、安全性
上大きな問題がある。このようにMCA産生細胞を樹立
する技術において大きな障害があるが、さらにもう一
つ、特定抗原に特異的なヒトMCAを得るためには大き
な障害がある。それは充分に免疫されたヒト・リンパ球
を得るという課題である。一般に正常人のリンパ球はC
MVによって感作されていることが多いが、その免疫度
合いは極めて低い。従って、正常人のリンパ球からハイ
ブリドーマあるいはリンパ芽球細胞を樹立しても、抗C
MV・MCAを産生する細胞を得られる見込みはほとん
どない。
【0005】CMVに対するヒトMCAについては一つ
だけ産生細胞株が得られたとの報告がある。(J. Immun
ol. , 133,2202−2205,1984参照)。
これによると、正常人リンパ球をEBウイルスで変異さ
せて、MCA産生細胞株が得られている。しかしなが
ら、記載されている内容は一葉の蛍光抗体写真のみであ
り、MCAを安定に産生している細胞株が樹立できたの
か否か明白ではない。さらに前述したように、EBウイ
ルス由来の発癌性も問題があり、人体に投与することは
大きな危険を伴う。以上の如く、目的とする特異性を有
するヒトMCAを効率よく取得する上で最も大きな問題
は、ヒト・リンパ球を特定の抗原で充分免疫することが
困難であるということである。マウスの場合には、生体
にとって有害な抗原であっても投与しうるし、さらに都
合のよい投与スケジュールで免疫することができるが、
人間の場合にはこれができない。CMVは病原体であ
り、ワクチンができていない現在、人間にCMVを故意
に投与し、免疫することは倫理上許されない。ヒトMC
Aを作製する上で、次に問題となる点は、ヒトMCAを
安定に産生する細胞を樹立する方法である。ハイブリド
ーマ法もEBV法も一長一短があることは前にも述べた
とおりである。
だけ産生細胞株が得られたとの報告がある。(J. Immun
ol. , 133,2202−2205,1984参照)。
これによると、正常人リンパ球をEBウイルスで変異さ
せて、MCA産生細胞株が得られている。しかしなが
ら、記載されている内容は一葉の蛍光抗体写真のみであ
り、MCAを安定に産生している細胞株が樹立できたの
か否か明白ではない。さらに前述したように、EBウイ
ルス由来の発癌性も問題があり、人体に投与することは
大きな危険を伴う。以上の如く、目的とする特異性を有
するヒトMCAを効率よく取得する上で最も大きな問題
は、ヒト・リンパ球を特定の抗原で充分免疫することが
困難であるということである。マウスの場合には、生体
にとって有害な抗原であっても投与しうるし、さらに都
合のよい投与スケジュールで免疫することができるが、
人間の場合にはこれができない。CMVは病原体であ
り、ワクチンができていない現在、人間にCMVを故意
に投与し、免疫することは倫理上許されない。ヒトMC
Aを作製する上で、次に問題となる点は、ヒトMCAを
安定に産生する細胞を樹立する方法である。ハイブリド
ーマ法もEBV法も一長一短があることは前にも述べた
とおりである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、CM
V感染症の診断に役立つところの、CMVに特異的な、
かつ人体にとって安全なヒトMCAを産生するハイブリ
ドーマを提供することにある。
V感染症の診断に役立つところの、CMVに特異的な、
かつ人体にとって安全なヒトMCAを産生するハイブリ
ドーマを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、抗CMV
・ヒトMCAを取得することを目的として鋭意研究を行
った結果、in vitroでマイト−ジエン存在下
に、CMVまたはCMV由来の蛋白もしくは糖蛋白で感
作したヒト・リンパ球と、マウス・ミエローマ細胞とを
融合させる方法によって、抗CMV・ヒトMCAを産生
するハイブリドーマを得ることができた。そして、この
ハイブリドーマ及び/又はそれに由来する細胞株を培養
し、培養上清から抗CMV・ヒトMCAを採取すること
ができた。本発明のハイブリドーマの産生するヒトMC
Aは、CMV及び/又はCMV感染細胞に反応する抗体
である。本発明のハイブリドーマの産生する抗CMV・
ヒトMCAのなかで好ましいのはIgG1型のものであ
る。
・ヒトMCAを取得することを目的として鋭意研究を行
った結果、in vitroでマイト−ジエン存在下
に、CMVまたはCMV由来の蛋白もしくは糖蛋白で感
作したヒト・リンパ球と、マウス・ミエローマ細胞とを
融合させる方法によって、抗CMV・ヒトMCAを産生
するハイブリドーマを得ることができた。そして、この
ハイブリドーマ及び/又はそれに由来する細胞株を培養
し、培養上清から抗CMV・ヒトMCAを採取すること
ができた。本発明のハイブリドーマの産生するヒトMC
Aは、CMV及び/又はCMV感染細胞に反応する抗体
である。本発明のハイブリドーマの産生する抗CMV・
ヒトMCAのなかで好ましいのはIgG1型のものであ
る。
【0008】本発明において用いられるヒト・リンパ球
は脾臓、リンパ節、末梢血、骨髄、扁桃、アデノイド等
の中に含まれている。本発明の目的のためには、いかな
るソースのリンパ球でも用いることができるが、望まし
くは脾臓、骨髄または扁桃である。マウスのミエローマ
細胞としては、8−アザグアニン耐性株を用いるのが有
利であり、公知のものとしては、BALB/Cマウスの
P3−NS1/1−Ag4−1株、P3×63AgU1
株、SP2/0Ag14株、P3×63Ag8.6.
5.3株、MPC11−45.6.TG1.7株、SP
−1株等がある。
は脾臓、リンパ節、末梢血、骨髄、扁桃、アデノイド等
の中に含まれている。本発明の目的のためには、いかな
るソースのリンパ球でも用いることができるが、望まし
くは脾臓、骨髄または扁桃である。マウスのミエローマ
細胞としては、8−アザグアニン耐性株を用いるのが有
利であり、公知のものとしては、BALB/Cマウスの
P3−NS1/1−Ag4−1株、P3×63AgU1
株、SP2/0Ag14株、P3×63Ag8.6.
5.3株、MPC11−45.6.TG1.7株、SP
−1株等がある。
【0009】本発明においては、ヒトのリンパ球とマウ
スのミエローマ細胞とを融合させるに先立って、ヒトの
リンパ球をin vitroでマイト−ジエン存在下に
抗原感作する。ヒトの場合、正常人ではCMVに対する
抗体を産生し得る能力のあるリンパ球は存在しても、そ
の数が極めて少ない。そのため目的とするハイブリドー
マが得られる可能性が極端に低い。これに対して本発明
のin vitroでヒト・リンパ球を感作する方法を
採ったときには、その抗原に特異的な抗体を産生するリ
ンパ球が選択的に分化、増殖し、その結果、効率よく目
的のMCA産生ハイブリドーマを得ることができる。
スのミエローマ細胞とを融合させるに先立って、ヒトの
リンパ球をin vitroでマイト−ジエン存在下に
抗原感作する。ヒトの場合、正常人ではCMVに対する
抗体を産生し得る能力のあるリンパ球は存在しても、そ
の数が極めて少ない。そのため目的とするハイブリドー
マが得られる可能性が極端に低い。これに対して本発明
のin vitroでヒト・リンパ球を感作する方法を
採ったときには、その抗原に特異的な抗体を産生するリ
ンパ球が選択的に分化、増殖し、その結果、効率よく目
的のMCA産生ハイブリドーマを得ることができる。
【0010】本発明の実施例においては、感作抗原とし
てCMVのAD169株が用いられているが、他の実験
用CMV株あるいは臨床分離CMV株でも感作できる。
さらにCMVそのものでなく、その構成蛋白もしくは構
成糖蛋白を用いてもよい。マイト−ジエンとしては、リ
ンパ球の分化および増殖を促進させるものならば何でも
よいが、例えば、ポークウイードマイト−ジエン(PW
M)、B細胞増殖因子(B cell growth factors,BCG
F)、プロテインA,フィトヘムアグルチニン(PH
A)、コンカナバリンAがある。好ましいのは2〜20
0μg /mlのPWMあるいは100分の1容から3分の
1容のBCGFである。
てCMVのAD169株が用いられているが、他の実験
用CMV株あるいは臨床分離CMV株でも感作できる。
さらにCMVそのものでなく、その構成蛋白もしくは構
成糖蛋白を用いてもよい。マイト−ジエンとしては、リ
ンパ球の分化および増殖を促進させるものならば何でも
よいが、例えば、ポークウイードマイト−ジエン(PW
M)、B細胞増殖因子(B cell growth factors,BCG
F)、プロテインA,フィトヘムアグルチニン(PH
A)、コンカナバリンAがある。好ましいのは2〜20
0μg /mlのPWMあるいは100分の1容から3分の
1容のBCGFである。
【0011】感作の方法条件は特に限定されるものでは
ないが、抗原(CMVまたはCMV由来の蛋白もしくは
糖蛋白)の濃度は1μg /ml〜1ng/ml、PWMは2〜
200μg /ml、BCGFは100分の1容から3分の1
容、リンパ球(抗体産生細胞)の濃度は1×105 〜1
×107 個/mlが適当であり、培養温度は35〜40℃
で、培養時間は4〜10日、好ましくは6〜8日であ
る。培養液は人、牛、馬などの血清を含むものなら何で
もよいが、特に胎児牛血清(FCS)を含む培養液(例
えばRPMI1640)が好ましい。
ないが、抗原(CMVまたはCMV由来の蛋白もしくは
糖蛋白)の濃度は1μg /ml〜1ng/ml、PWMは2〜
200μg /ml、BCGFは100分の1容から3分の1
容、リンパ球(抗体産生細胞)の濃度は1×105 〜1
×107 個/mlが適当であり、培養温度は35〜40℃
で、培養時間は4〜10日、好ましくは6〜8日であ
る。培養液は人、牛、馬などの血清を含むものなら何で
もよいが、特に胎児牛血清(FCS)を含む培養液(例
えばRPMI1640)が好ましい。
【0012】かくして得られたCMVで感作したヒトの
抗体産生細胞とマウスのミエローマ細胞とは、次いで公
知の方法に従って細胞融合せしめられる。例えばリンパ
球とミエローマ細胞を10:1〜1:100、好ましく
は1:1〜1:10の比率で混合し、適当な細胞融合溶
液、例えば約35%ポリエチレングリコール(分子量
1,000〜6,000程度)および約7.5%ジメチ
ルスルホキシドを含むRPMI1640を加えて、室温
〜37℃で1〜数分間攪拌し、その後10%FCSを加
えRPMI1640で徐々に希釈し、洗浄の後、HAT
(ヒポキサンチン−アミノプテリン−チミジン)選択培
養液にて細胞濃度が1〜5×105 個/mlとなるように
調整する。これを0.2mlずつ、例えば96穴プレート
に分注し、5%CO2 を含む空気中で35〜38℃で3
〜4週間培養する。HAT培養液中ではハイブリドーマ
のみが生存し、8−アザグアニン耐性のミエローマ細胞
およびミエローマ同士の融合細胞は生存しえない(未融
合の抗体産生細胞は数日で死滅する)。
抗体産生細胞とマウスのミエローマ細胞とは、次いで公
知の方法に従って細胞融合せしめられる。例えばリンパ
球とミエローマ細胞を10:1〜1:100、好ましく
は1:1〜1:10の比率で混合し、適当な細胞融合溶
液、例えば約35%ポリエチレングリコール(分子量
1,000〜6,000程度)および約7.5%ジメチ
ルスルホキシドを含むRPMI1640を加えて、室温
〜37℃で1〜数分間攪拌し、その後10%FCSを加
えRPMI1640で徐々に希釈し、洗浄の後、HAT
(ヒポキサンチン−アミノプテリン−チミジン)選択培
養液にて細胞濃度が1〜5×105 個/mlとなるように
調整する。これを0.2mlずつ、例えば96穴プレート
に分注し、5%CO2 を含む空気中で35〜38℃で3
〜4週間培養する。HAT培養液中ではハイブリドーマ
のみが生存し、8−アザグアニン耐性のミエローマ細胞
およびミエローマ同士の融合細胞は生存しえない(未融
合の抗体産生細胞は数日で死滅する)。
【0013】培養後、培養液中の抗体価をチエックし、
目的とする抗体を産生しているハイブリドーマのみを選
択し単離する(クローニング)。培養液中の抗体価のチ
エックは、ラジオイムノアッセイ法(RIA)、酵素抗
体法(ELISA)、蛍光抗体法などの、抗原への抗体
の結合そのものを検出する方法と、ウイルスの生物活性
を阻害する抗体の活性をみる方法などで行うことができ
る。クローニングによって選択された、本発明の抗CM
V・ヒトMCAを産生するマウス−ヒトハイブリドーマ
は、凍結して保存することができる。かかるハイブリド
ーマのセルライン(細胞株)及び/又はそれに由来する
細胞株を適当な方法で大量に培養すると、培養上清から
本発明の目的とするヒトMCAを得ることができる。ま
た、このハイブリドーマを動物に移植して腫瘍化し、そ
の腹水や血清からヒトMCAを得ることもできる。
目的とする抗体を産生しているハイブリドーマのみを選
択し単離する(クローニング)。培養液中の抗体価のチ
エックは、ラジオイムノアッセイ法(RIA)、酵素抗
体法(ELISA)、蛍光抗体法などの、抗原への抗体
の結合そのものを検出する方法と、ウイルスの生物活性
を阻害する抗体の活性をみる方法などで行うことができ
る。クローニングによって選択された、本発明の抗CM
V・ヒトMCAを産生するマウス−ヒトハイブリドーマ
は、凍結して保存することができる。かかるハイブリド
ーマのセルライン(細胞株)及び/又はそれに由来する
細胞株を適当な方法で大量に培養すると、培養上清から
本発明の目的とするヒトMCAを得ることができる。ま
た、このハイブリドーマを動物に移植して腫瘍化し、そ
の腹水や血清からヒトMCAを得ることもできる。
【0014】以上の如くして得られた抗CMV・ヒトM
CAは、次のような特性を有する。本発明で得られた抗
CMV・ヒトMCAは、多くの実験用CMV株および臨
床分離株に共通に反応する。しかし、他のヘルペス群ウ
イルスである単純ヘルペスウイルス、EBウイルス、水
痘帯状疱疹ウイルスには反応しない。またCMV感染細
胞には反応するが、非感染細胞には反応しない。従って
これらのMCAはCMVに特異的であるといえる。この
ようにCMVに特異的であることが明瞭に示されたヒト
MCAは、本発明において初めて得られたものである。
CAは、次のような特性を有する。本発明で得られた抗
CMV・ヒトMCAは、多くの実験用CMV株および臨
床分離株に共通に反応する。しかし、他のヘルペス群ウ
イルスである単純ヘルペスウイルス、EBウイルス、水
痘帯状疱疹ウイルスには反応しない。またCMV感染細
胞には反応するが、非感染細胞には反応しない。従って
これらのMCAはCMVに特異的であるといえる。この
ようにCMVに特異的であることが明瞭に示されたヒト
MCAは、本発明において初めて得られたものである。
【0015】CMVは多くの抗原物質によって構成され
ている。そこで、本発明のヒトMCAがどのような構成
成分に対して反応するのか検討した結果、CMV感染の
診断に適していることがわかった。
ている。そこで、本発明のヒトMCAがどのような構成
成分に対して反応するのか検討した結果、CMV感染の
診断に適していることがわかった。
【0016】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳述する。 [実施例1] (1)CMV抗原の作製 単層に増殖したHEL細胞に、AD169株感染細胞を
7:1の割合で混ぜ、5日間CO2 インキュベーター中
で培養した。こうして得られた感染細胞を、0.1%E
DTAを含むリン酸緩衝生理食塩水ではがし、集めた。
次いで、45秒間超音波破砕し、3,000rpm で20
分間遠心した上清を得た。これを60%と20%の重層
ショ糖溶液の上に乗せ、10,000×gで1時間遠心
した。60%層と20%層の間にウイルスは集まるの
で、これを採取し、再度超音波処理によってよく分散さ
せた。これを1.28g /cm3 のCsCl2 溶液の上に
乗せて、100,000×gで42時間遠心した。その
結果、密度勾配が形成されたCsCl2 溶液の1.29
g /cm3 濃度のところにCMVが集まったので、これを
採取し、in vitro感染作用抗原として用いた。
またELISA用の抗原は次のように調製された。AD
169を感染させたHEL細胞をCO2 インキュベータ
ー中で培養し、細胞変性がすべての細胞に観察されるよ
うになった時点で、感染細胞を集めた。この感染細胞を
3分間超音波処理し、3,000rpm で20分間遠心
し、その上清を得た。これをELISA用抗原として用
いた。
7:1の割合で混ぜ、5日間CO2 インキュベーター中
で培養した。こうして得られた感染細胞を、0.1%E
DTAを含むリン酸緩衝生理食塩水ではがし、集めた。
次いで、45秒間超音波破砕し、3,000rpm で20
分間遠心した上清を得た。これを60%と20%の重層
ショ糖溶液の上に乗せ、10,000×gで1時間遠心
した。60%層と20%層の間にウイルスは集まるの
で、これを採取し、再度超音波処理によってよく分散さ
せた。これを1.28g /cm3 のCsCl2 溶液の上に
乗せて、100,000×gで42時間遠心した。その
結果、密度勾配が形成されたCsCl2 溶液の1.29
g /cm3 濃度のところにCMVが集まったので、これを
採取し、in vitro感染作用抗原として用いた。
またELISA用の抗原は次のように調製された。AD
169を感染させたHEL細胞をCO2 インキュベータ
ー中で培養し、細胞変性がすべての細胞に観察されるよ
うになった時点で、感染細胞を集めた。この感染細胞を
3分間超音波処理し、3,000rpm で20分間遠心
し、その上清を得た。これをELISA用抗原として用
いた。
【0017】(2)CMVによるリンパ球感作 ヒトの脾臓リンパ球を培養液A(RPMI1640+2
0%胎児牛血清+20mM HEPES+2mMグルタミン
+1mM Naピルビン酸+0.02mg/mlセリン+80
μg /mlゲンタマイシン)に浮遊させた。細胞濃度は1
2×105 個/mlであった。この細胞浮遊液を1mlず
つ、培養プレート(24穴)の15穴に入れた。それら
を3穴ずつ5群に分け、第1群は無添加、第2群はCM
V抗原12ngタンパク/ml、第3群にはBCGF0.1
ml、第5群には同量のCMVとBCGF、第5群にはC
MVと20μg /mlのPWMを添加した。この培養プレ
ートを37℃、5%CO2 含有空気で6日間培養した。
0%胎児牛血清+20mM HEPES+2mMグルタミン
+1mM Naピルビン酸+0.02mg/mlセリン+80
μg /mlゲンタマイシン)に浮遊させた。細胞濃度は1
2×105 個/mlであった。この細胞浮遊液を1mlず
つ、培養プレート(24穴)の15穴に入れた。それら
を3穴ずつ5群に分け、第1群は無添加、第2群はCM
V抗原12ngタンパク/ml、第3群にはBCGF0.1
ml、第5群には同量のCMVとBCGF、第5群にはC
MVと20μg /mlのPWMを添加した。この培養プレ
ートを37℃、5%CO2 含有空気で6日間培養した。
【0018】(3)マウス・ミエローマ細胞P3×63
Ag8U1株(P3UIと略記する) 前もってP3UIを培養液B(RPMI1640+10
%胎児牛血清+2mMグルタミン+80μg /mlゲンタマ
イシン)中で培養しておいた。使用時の細胞濃度は6×
105 個/mlであった。上記(2)の感作リンパ球(3
穴を一緒にした)5群とP3UIを、それぞれ別々に無
血清RPMI1640で2回洗浄した。各群3穴のリン
パ球と5×106 個のP3UIとを試験管の中で一緒に
した。1,500rpm で5分間遠心し、上清を捨てた。
細胞ペレットを、試験管をたたくことによって、よく分
散させた。これに0.5mlのポリエチレングリコール液
(RPMI16405.75ml+ポリエチレングリコー
ル1,000 3.5ml+ジメチルスルホキサイド0.
75ml)(PEG液と略記する)を加えて、細胞をゆる
やかに浮遊させた。1分後に0.5mlRPMI1640
を加え、さらに1分後に1mlRPMI1640、さらに
2分後に4mlのHAT培養液(RPMI1640+20
%胎児牛血清+80μg /mlゲンタマイシン+95μM
ヒポキサンチン+0.4μM アミノプテリン+1.6μ
M チミジン)、さらに2分後には4mlのHAT培養液を
加えた。最後に、HAT培養液で25ml細胞浮遊液とし
た。これを培養プレート(96穴)1枚に蒔いて、37
℃、5%CO2 含有空気中で培養した。1週間毎に半量
の培養液を新しいHT培養液(HATからAを除去した
もの)で交換していきハイブリドーマを得た。
Ag8U1株(P3UIと略記する) 前もってP3UIを培養液B(RPMI1640+10
%胎児牛血清+2mMグルタミン+80μg /mlゲンタマ
イシン)中で培養しておいた。使用時の細胞濃度は6×
105 個/mlであった。上記(2)の感作リンパ球(3
穴を一緒にした)5群とP3UIを、それぞれ別々に無
血清RPMI1640で2回洗浄した。各群3穴のリン
パ球と5×106 個のP3UIとを試験管の中で一緒に
した。1,500rpm で5分間遠心し、上清を捨てた。
細胞ペレットを、試験管をたたくことによって、よく分
散させた。これに0.5mlのポリエチレングリコール液
(RPMI16405.75ml+ポリエチレングリコー
ル1,000 3.5ml+ジメチルスルホキサイド0.
75ml)(PEG液と略記する)を加えて、細胞をゆる
やかに浮遊させた。1分後に0.5mlRPMI1640
を加え、さらに1分後に1mlRPMI1640、さらに
2分後に4mlのHAT培養液(RPMI1640+20
%胎児牛血清+80μg /mlゲンタマイシン+95μM
ヒポキサンチン+0.4μM アミノプテリン+1.6μ
M チミジン)、さらに2分後には4mlのHAT培養液を
加えた。最後に、HAT培養液で25ml細胞浮遊液とし
た。これを培養プレート(96穴)1枚に蒔いて、37
℃、5%CO2 含有空気中で培養した。1週間毎に半量
の培養液を新しいHT培養液(HATからAを除去した
もの)で交換していきハイブリドーマを得た。
【0019】(4)ヒトIgGと抗CMV抗体の測定 ELISAによって測定した。ヒトIgGを測定するた
めにヤギ抗ヒトIgG抗体(10μg /ml)を、あるい
は抗CMV抗体を測定するためにCMV(AD169
株)2μg タンパク/mlを50μl /穴ずつそれぞれフ
ァルコン・ミクロテストIII の96穴プレートに固定し
た。このプレートにハイブリドーマ培養上清60μl を
加えて、室温で1時間放置した。1%牛血清アルブミン
(BSA)を含有するハンクス塩類緩衝液(HBSS−
B)で3回洗浄の後、ヤギ抗ヒトIgG抗体−アルカリ
フォスファターゼ(2,000倍希釈液)を60μl 加
えて、室温で1時間反応させた。さらにHBSS−Bで
3回洗浄したのち、P−ニトロフェニルフォスフェート
を1M ジエタノールアミン+1mM MgCl2 のpH
9.8溶液に0.6mg/mlの割合で溶かした溶液100
μl を加えた。30分から60分後に405nmの吸光度
を測定し、標準IgG液あるいは標準CMV陽性血清と
の比較から、その値を算出した。
めにヤギ抗ヒトIgG抗体(10μg /ml)を、あるい
は抗CMV抗体を測定するためにCMV(AD169
株)2μg タンパク/mlを50μl /穴ずつそれぞれフ
ァルコン・ミクロテストIII の96穴プレートに固定し
た。このプレートにハイブリドーマ培養上清60μl を
加えて、室温で1時間放置した。1%牛血清アルブミン
(BSA)を含有するハンクス塩類緩衝液(HBSS−
B)で3回洗浄の後、ヤギ抗ヒトIgG抗体−アルカリ
フォスファターゼ(2,000倍希釈液)を60μl 加
えて、室温で1時間反応させた。さらにHBSS−Bで
3回洗浄したのち、P−ニトロフェニルフォスフェート
を1M ジエタノールアミン+1mM MgCl2 のpH
9.8溶液に0.6mg/mlの割合で溶かした溶液100
μl を加えた。30分から60分後に405nmの吸光度
を測定し、標準IgG液あるいは標準CMV陽性血清と
の比較から、その値を算出した。
【0020】全群とも96穴プレート1枚に細胞を蒔
き、96穴中の、ハイブリドーマが成育してきた穴の数
(肉眼で判定)、さらにそのうちヒトIgGを産生して
いるハイブリドーマをもつ穴の数、そして抗CMV抗体
を産生している穴の数を表1に示した。CMVとBCG
Fを加えたときに最も多くの抗CMV抗体産生ハイブリ
ドーマが成育した。
き、96穴中の、ハイブリドーマが成育してきた穴の数
(肉眼で判定)、さらにそのうちヒトIgGを産生して
いるハイブリドーマをもつ穴の数、そして抗CMV抗体
を産生している穴の数を表1に示した。CMVとBCG
Fを加えたときに最も多くの抗CMV抗体産生ハイブリ
ドーマが成育した。
【0021】
【表1】
【0022】[実施例2]ヒト脾臓リンパ球を、実施例
1の(2)の如くCMVあるいはPWMで感作し、実施
例1の(3)の如くP3UIと細胞融合を行った。得ら
れたハイブリドーマのうち、CMVに対するMCAを産
生しているハイブリドーマを以下の如くクローニングし
た。 (1)ハイブリドーマのクローニング クローニングは限定希釈法を用いた。抗CMV抗体陽性
の穴より細胞を取り出し、細胞数を数え培養液Bを用い
1個/穴あるいは10個/穴で細胞を蒔いた。2週間後
に細胞が充分増殖したので、その上清に抗CMV・MC
Aがあるか否かをELISAによって測定し、抗CMV
・MCA産生ハイブリドーマを選別した。
1の(2)の如くCMVあるいはPWMで感作し、実施
例1の(3)の如くP3UIと細胞融合を行った。得ら
れたハイブリドーマのうち、CMVに対するMCAを産
生しているハイブリドーマを以下の如くクローニングし
た。 (1)ハイブリドーマのクローニング クローニングは限定希釈法を用いた。抗CMV抗体陽性
の穴より細胞を取り出し、細胞数を数え培養液Bを用い
1個/穴あるいは10個/穴で細胞を蒔いた。2週間後
に細胞が充分増殖したので、その上清に抗CMV・MC
Aがあるか否かをELISAによって測定し、抗CMV
・MCA産生ハイブリドーマを選別した。
【0023】こうして、ハイブリドーマC1、C3、C
4、C7、C23およびC41が樹立された。これらの
ハイブリドーマは安定にIgG型の抗CMV・ヒトMC
Aを産生し続けている。
4、C7、C23およびC41が樹立された。これらの
ハイブリドーマは安定にIgG型の抗CMV・ヒトMC
Aを産生し続けている。
【0024】(2)抗CMV・ヒトMCAの調製 得られたハイブリドーマの一つC41を無血清培地IT
ES(RPMI1640 2容+ダルベッコMEM1容
+F12 1容+インシュリン8.5μg /ml+トラン
スフェリン2μg /ml+エタノールアミン20μM +セ
レナイト2.5×10-8M )中で培養した。その培養上
清を限外濾過(アミコンP30)で濃縮し、0.02M
リン酸ナトリウム(pH7.8)に対して透析した。同
緩衝液で平衡化したDE52カラム(ファルマシア社
製)にかけ、未吸着分画にヒトMCAを回収した。ドデ
シル硫酸ナトリウム・ポリアクリルアミド電気泳動(so
diumdodecyl sulfate-poly-acrylamide gel electropho
resis,SDS-PAGE )で分析した結果、H鎖とL鎖からな
る精製MCA標品であることが確認された。
ES(RPMI1640 2容+ダルベッコMEM1容
+F12 1容+インシュリン8.5μg /ml+トラン
スフェリン2μg /ml+エタノールアミン20μM +セ
レナイト2.5×10-8M )中で培養した。その培養上
清を限外濾過(アミコンP30)で濃縮し、0.02M
リン酸ナトリウム(pH7.8)に対して透析した。同
緩衝液で平衡化したDE52カラム(ファルマシア社
製)にかけ、未吸着分画にヒトMCAを回収した。ドデ
シル硫酸ナトリウム・ポリアクリルアミド電気泳動(so
diumdodecyl sulfate-poly-acrylamide gel electropho
resis,SDS-PAGE )で分析した結果、H鎖とL鎖からな
る精製MCA標品であることが確認された。
【0025】[実施例3] (1)抗CMV・ヒトMCAの感染細胞に対する反応性 CMVのAD169株あるいはHi−1株を感染させた
HEL細胞および感染させていない細胞に、抗CMV・
ヒトMCAであるC1、C3、C4、C7、C23、C
41を反応させた。さらにフルオレッセンイソチオシア
ネイト(fluorescein isothiocyanate,FITC )標識抗ヒ
トIgG抗体を反応させ、蛍光顕微鏡で観察した。その
結果、いずれのMCAも非感染細胞には反応せず、感染
細胞のみに反応した。またC1、C3、C4、C7はA
D169あるいはHi−1感染細胞の細胞質内CMV抗
原に反応して、細胞膜上のCMV抗原には反応しなかっ
た。他方、C23とC41は細胞質内抗原と細胞膜上抗
原の両方に反応した。
HEL細胞および感染させていない細胞に、抗CMV・
ヒトMCAであるC1、C3、C4、C7、C23、C
41を反応させた。さらにフルオレッセンイソチオシア
ネイト(fluorescein isothiocyanate,FITC )標識抗ヒ
トIgG抗体を反応させ、蛍光顕微鏡で観察した。その
結果、いずれのMCAも非感染細胞には反応せず、感染
細胞のみに反応した。またC1、C3、C4、C7はA
D169あるいはHi−1感染細胞の細胞質内CMV抗
原に反応して、細胞膜上のCMV抗原には反応しなかっ
た。他方、C23とC41は細胞質内抗原と細胞膜上抗
原の両方に反応した。
【0026】(2)抗CMV・MCAの可溶化ウイルス
抗原に対する反応性 抗CMV・MCAのヘルペス属ウイルスに対する結合性
を調べるため、HSV−1型2株、HSV−2型2株、
VZV2株、CMV6株、EBV1株を各々感染させた
HEL細胞および非感染HEL細胞から、実施例1の
(1)の如く可溶化抗原を調製し、実施例1の(4)の
如くELISAを実施した。その結果を表2に示す。抗
CMV・MCA(C1、C3、C4、C7、C23、C
41)はすべてCMVにのみ結合し、他のヘルペス属ウ
イルス、宿主細胞には結合しなかった。またC41を除
く抗CMV・MCAはCMV6株すべてに結合した。な
お、H1は単純ヘルペスウイルス(HSV)に対するヒ
トMCAである。
抗原に対する反応性 抗CMV・MCAのヘルペス属ウイルスに対する結合性
を調べるため、HSV−1型2株、HSV−2型2株、
VZV2株、CMV6株、EBV1株を各々感染させた
HEL細胞および非感染HEL細胞から、実施例1の
(1)の如く可溶化抗原を調製し、実施例1の(4)の
如くELISAを実施した。その結果を表2に示す。抗
CMV・MCA(C1、C3、C4、C7、C23、C
41)はすべてCMVにのみ結合し、他のヘルペス属ウ
イルス、宿主細胞には結合しなかった。またC41を除
く抗CMV・MCAはCMV6株すべてに結合した。な
お、H1は単純ヘルペスウイルス(HSV)に対するヒ
トMCAである。
【0027】
【表2】
【0028】[実施例4] 抗CMV・ヒトMCAの免疫沈降分析 ヒトMCAが反応するウイルス粒子の構成成分が、何で
あるか決めるために、免疫沈降分析を行った。HEL細
胞にCMV(AD169株)を感染させて、35S−メ
チオニンでアイソトープ標識を行った。標識した細胞
を、0.01M Tris・HCl+0.15M Nacl
+1%デオキシコール酸ナトリウム+1%Triton
×100+0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)
+1mMフェニルメチルスルフォニルフルオライド(pH
7.4)(溶解液)によって溶解した。これに抗CMV
・ヒトMCAを加えて、抗原・抗体複合物を形成させて
おき、さらにプロテインA−セファロース4Bによって
複合体を吸着精製した。これを、0.125M Tris
・HCl+1%SDS+3%2−メルカプトエタノール
+15%グリセリン(pH8.2)で3分間100℃処
理し、その上清をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気
泳動にかけた。泳動後ゲルを乾燥させ、X線フィルムに
−70℃でさらした。その結果を図2に示す。C1は約
64,000と約50,000に、C2は約64,00
0と約46,000に、C4とC7は約64,000
に、C23とC41は約130,000と約55,00
0の分子量をもつウイルス抗原に反応することがわかっ
た。
あるか決めるために、免疫沈降分析を行った。HEL細
胞にCMV(AD169株)を感染させて、35S−メ
チオニンでアイソトープ標識を行った。標識した細胞
を、0.01M Tris・HCl+0.15M Nacl
+1%デオキシコール酸ナトリウム+1%Triton
×100+0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)
+1mMフェニルメチルスルフォニルフルオライド(pH
7.4)(溶解液)によって溶解した。これに抗CMV
・ヒトMCAを加えて、抗原・抗体複合物を形成させて
おき、さらにプロテインA−セファロース4Bによって
複合体を吸着精製した。これを、0.125M Tris
・HCl+1%SDS+3%2−メルカプトエタノール
+15%グリセリン(pH8.2)で3分間100℃処
理し、その上清をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気
泳動にかけた。泳動後ゲルを乾燥させ、X線フィルムに
−70℃でさらした。その結果を図2に示す。C1は約
64,000と約50,000に、C2は約64,00
0と約46,000に、C4とC7は約64,000
に、C23とC41は約130,000と約55,00
0の分子量をもつウイルス抗原に反応することがわかっ
た。
【0029】[実施例5] 抗CMV・MCAのアイソタイプの同定 ヒトMCAのアイソタイプの同定は以下の如く行った。
H鎖の同定は、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、I
gG4に対するウサギ抗血清を用いた免疫拡散法(オク
タロニー法)を用い、L鎖の同定は、AD169感染細
胞を抗原プレートとし、2次抗体にアルカリフォスファ
ターゼ標識したヤギ抗ヒトK鎖ないしはλ鎖を用いたE
LISAを行った。結果を表3および表4に示す。
H鎖の同定は、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、I
gG4に対するウサギ抗血清を用いた免疫拡散法(オク
タロニー法)を用い、L鎖の同定は、AD169感染細
胞を抗原プレートとし、2次抗体にアルカリフォスファ
ターゼ標識したヤギ抗ヒトK鎖ないしはλ鎖を用いたE
LISAを行った。結果を表3および表4に示す。
【0030】
【表3】
【0031】
【表4】
【0032】
【発明の効果】本発明は、CMV感染の診断薬として利
用できる抗CMV・ヒトMCAを提供する。
用できる抗CMV・ヒトMCAを提供する。
【図1】本発明の抗CMV・ヒトMCAの免疫沈降分析
の結果を示す図である。
の結果を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G01N 33/577 (C12P 21/08 (C12P 21/08 C12R 1:91) C12R 1:91) 9162−4B C12N 15/00 C (56)参考文献 BIRTH.DEFECTS.ORI G.ARTIC.SER.,20(1984) P.498−499 J.IMMUNOL.METH.,53 (1982)P.261−291
Claims (2)
- 【請求項1】 以下の全ての特性を有するヒトモノクロ
ーナル抗体。 (a)サイトメガロウイルスの分子量約64000の蛋
白と結合する特性。 (b)サイトメガロウイルス以外のヘルペス属ウイルス
に感染した細胞を含むサイトメガロウイルス非感染細胞
に反応せず、サイトメガロウイルス感染細胞に反応する
特性。 (c)サイトメガロウイルス感染細胞の細胞膜上のサイ
トメガロウイルス抗原には反応せず、細胞質内のサイト
メガロウイルス抗原に反応する特性。 - 【請求項2】 アイソタイプがIgG1、λである請求
項1記載のヒトモノクローナル抗体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6154763A JP2538537B2 (ja) | 1994-07-06 | 1994-07-06 | サイトメガロウイルスに対するヒト・モノクロ―ナル抗体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6154763A JP2538537B2 (ja) | 1994-07-06 | 1994-07-06 | サイトメガロウイルスに対するヒト・モノクロ―ナル抗体 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3036610A Division JP2535455B2 (ja) | 1991-02-07 | 1991-02-07 | サイトメガロウイルスに対するヒト・モノクロ―ナル抗体を産生するハイブリド―マ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0770197A JPH0770197A (ja) | 1995-03-14 |
JP2538537B2 true JP2538537B2 (ja) | 1996-09-25 |
Family
ID=15591367
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6154763A Expired - Lifetime JP2538537B2 (ja) | 1994-07-06 | 1994-07-06 | サイトメガロウイルスに対するヒト・モノクロ―ナル抗体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2538537B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US9346874B2 (en) | 2009-12-23 | 2016-05-24 | 4-Antibody Ag | Binding members for human cytomegalovirus |
-
1994
- 1994-07-06 JP JP6154763A patent/JP2538537B2/ja not_active Expired - Lifetime
Non-Patent Citations (2)
Title |
---|
BIRTH.DEFECTS.ORIG.ARTIC.SER.,20(1984)P.498−499 |
J.IMMUNOL.METH.,53(1982)P.261−291 |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US9346874B2 (en) | 2009-12-23 | 2016-05-24 | 4-Antibody Ag | Binding members for human cytomegalovirus |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0770197A (ja) | 1995-03-14 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
EXPY | Cancellation because of completion of term |