JP2535455B2 - サイトメガロウイルスに対するヒト・モノクロ―ナル抗体を産生するハイブリド―マ - Google Patents

サイトメガロウイルスに対するヒト・モノクロ―ナル抗体を産生するハイブリド―マ

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JP2535455B2
JP2535455B2 JP3036610A JP3661091A JP2535455B2 JP 2535455 B2 JP2535455 B2 JP 2535455B2 JP 3036610 A JP3036610 A JP 3036610A JP 3661091 A JP3661091 A JP 3661091A JP 2535455 B2 JP2535455 B2 JP 2535455B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、サイトメガロウイルス
(Cytomegalo-virus、以下CMVと略記する)に対する
ヒト・モノクローナル抗体(monoclonal antibody 、以
下MCAと略記する)を産生するハイブリドーマに関す
る。
【0002】
【従来の技術】CMVはヘルペス・ウイルス属に属する
ウイルスの一つであり、DNA、コアタンパク、カプシ
ッドとエンビロープからなっている。このウイルスが人
間に感染しても、多くの場合何の疾病も引き起こさな
い。しかしながら、免疫能力の低下した新生児では肝炎
を起こしたり、臓器移植のために免疫抑制された患者に
間質性肺炎を起こし、しばしば致命的な感染症を引き起
こす。従って、この感染症の診断、予防および治療は大
きな治療ニーズがある。Condiら(American J. Medicin
e,March30,134─141,1984参照)は骨髄
移植患者に抗CMV抗体価の高いヒト血清グロブリンを
投与し、CMV感染とそれによる間質性肺炎を防ぐこと
に成功している。高力価のヒト血清グロブリンは、血清
提供者の抗体価をあらかじめチエックし、高力価である
血漿のみを収集して分画される。この方法で得られる血
清グロブリンの、CMVに対する抗体価はランダムに収
集されたものの高々10倍にしか過ぎず、かつこのよう
に高力価血清グロブリンを収集することは非常に困難で
あり、安定に供給することができない。
【0003】MilsteinとKoehler によって確立されたハ
イブリドーマ法によって、高純度の抗体、すなわちMC
Aが作製できるようになった。Rasmussen ら(Proc. Na
tl.Acad. Sci. USA ,81,876−880,1984
参照)はCMVをマウスに免疫し、そのマウス脾細胞と
マウス・ミエローマ細胞を融合することによってCMV
特異的MCAを産生するハイブリドーマを作製した。彼
女ら以外にもいくつかの研究グループがCMVに対する
マウスのMCAを得ている(例えば、Goldstein ら、In
fection and Immunity ,38,273−281,198
2;Pereira ら,Infection and Immunity ,36,92
4−932,1982参照)。これらのMCAの中にあ
って、ウイルスを中和する活性を有するMCAは少ない
が、Rasmussen らのMCAは、約10μg /mlでCMV
を中和する能力がある。これは高力価血清グロブリンと
比較したとき、極めて高い中和活性であり、このような
MCAによるCMV感染症の予防あるいは治療が期待さ
れる。しかしながら、これらはマウス由来のMCAであ
り、人体に投与したとき異物として認識され不都合な副
作用を引き起こす。そこで、マウス由来でなく、ヒト由
来の抗CMV/MCAが望まれる。
【0004】一般にヒト由来のMCAはマウス・ミエロ
ーマ細胞、ヒト・ミエローマ細胞あるいは他のリンパ系
樹立細胞とヒト・リンパ球とを細胞融合して得られるハ
イブリドーマから産生される。あるいはヒト・リンパ球
をEBウイルスによって変異させたリンパ芽球細胞から
も産生される。1980年から現在まで、多くのヒトM
CA作製の試みがなされてきたが、いずれの方法もそれ
ぞれ固有の問題をかかえている。マウス・ミエローマと
ヒト・リンパ球との細胞融合で得られたハイブリドーマ
のMCA産生は不安定であるし、ヒト・ミエローマ細胞
とヒト・リンパ球との細胞融合は極めて効率が悪い。ま
たEBウイルスによって得られるリンパ芽球細胞のMC
A産生は量が少なく、かつ不安定である。その上、EB
ウイルスは腫瘍を引き起こす能力を有しており、安全性
上大きな問題がある。このようにMCA産生細胞を樹立
する技術において大きな障害があるが、さらにもう一
つ、特定抗原に特異的なヒトMCAを得るためには大き
な障害がある。それは充分に免疫されたヒト・リンパ球
を得るという課題である。一般に正常人のリンパ球はC
MVによって感作されていることが多いが、その免疫度
合いは極めて低い。従って、正常人のリンパ球からハイ
ブリドーマあるいはリンパ芽球細胞を樹立しても、抗C
MV・MCAを産生する細胞を得られる見込みはほとん
どない。
【0005】CMVに対するヒトMCAについては一つ
だけ産生細胞株が得られたとの報告がある。(J. Immun
ol. , 133,2202−2205,1984参照)。
これによると、正常人リンパ球をEBウイルスで変異さ
せて、MCA産生細胞株が得られている。しかしなが
ら、記載されている内容は一葉の蛍光抗体写真のみであ
り、MCAを安定に産生している細胞株が樹立できたの
か否か明白ではない。さらに前述したように、EBウイ
ルス由来の発癌性も問題があり、人体に投与することは
大きな危険を伴う。また、この方法によって得られたM
CAは、CMVに結合するとしてもCMVを中和する能
力を全く有していないことが明らかにされている。以上
の如く、目的とする特異性を有するヒトMCAを効率よ
く取得する上で最も大きな問題は、ヒト・リンパ球を特
定の抗原で充分免疫することが困難であるということで
ある。マウスの場合には、生体にとって有害な抗原であ
っても投与しうるし、さらに都合のよい投与スケジュー
ルで免疫することができるが、人間の場合にはこれがで
きない。CMVは病原体であり、ワクチンができていな
い現在、人間にCMVを故意に投与し、免疫することは
倫理上許されない。ヒトMCAを作製する上で、次に問
題となる点は、ヒトMCAを安定に産生する細胞を樹立
する方法である。ハイブリドーマ法もEBV法も一長一
短があることは前にも述べたとおりである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、CM
V感染症の診断、予防および治療に役立つところの、C
MVに特異的な、かつ人体にとって安全なヒトMCAを
産生するハイブリドーマを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、抗CMV
・ヒトMCAを取得することを目的として鋭意研究を行
った結果、in vitroでマイト−ジエン存在下
に、CMVまたはCMV由来の蛋白もしくは糖蛋白で感
作したヒト・リンパ球と、マウス・ミエローマ細胞とを
融合させる方法によって、抗CMV・ヒトMCAを産生
するハイブリドーマを得ることができた。そして、この
ハイブリドーマ及び/又はそれに由来する細胞株を培養
し、培養上清から抗CMV・ヒトMCAを採取すること
ができた。本発明のハイブリドーマの産生するヒトMC
Aは、CMV及び/又はCMV感染細胞に反応する抗体
である。本発明のハイブリドーマの産生する抗CMV・
ヒトMCAのなかで好ましいのはIgG1型のものであ
り、これはまた分子量約130,000と約55,00
0のCMV抗原蛋白を認識し、CMVを中和する能力を
有する。本発明のハイブリドーマは、アメリカンタイプ
カルチャー コレクション(ATCC)に寄託番号H
B9215として寄託されているハイブリドーマC4
1、またはそれと同様な抗体産生能を有するハイブリド
ーマである。
【0008】本発明において用いられるヒト・リンパ球
は脾臓、リンパ節、末梢血、骨髄、扁桃、アデノイド等
の中に含まれている。本発明の目的のためには、いかな
るソースのリンパ球でも用いることができるが、望まし
くは脾臓、骨髄または扁桃である。マウスのミエローマ
細胞としては、8―アザグアニン耐性株を用いるのが有
利であり、公知のものとしては、BALB/Cマウス
P3−NSI/1−Ag4−1株、P3X63AgU1
株、SP2/0Ag14株、P3X63Ag8.6.
5.3株、MPC11−45.6.TG1.7株、SP
−1株等がある。
【0009】本発明においては、ヒトのリンパ球とマウ
スのミエローマ細胞とを融合させるに先立って、ヒトの
リンパ球をin vitroでマイト−ジエン存在下に
抗原感作する。ヒトの場合、正常人ではCMVに対する
抗体を産生し得る能力のあるリンパ球は存在しても、そ
の数が極めて少ない。そのため目的とするハイブリドー
マが得られる可能性が極端に低い。これに対して本発明
のin vitroでヒト・リンパ球を感作する方法を
採ったときには、その抗原に特異的な抗体を産生するリ
ンパ球が選択的に分化、増殖し、その結果、効率よく目
的のMCA産生ハイブリドーマを得ることができる。
【0010】本発明の実施例においては、感作抗原とし
てCMVのAD169株が用いられているが、他の実験
用CMV株あるいは臨床分離CMV株でも感作できる。
さらにCMVそのものでなく、その構成蛋白もしくは構
成糖蛋白を用いてもよい。マイト−ジエンとしては、リ
ンパ球の分化および増殖を促進させるものならば何でも
よいが、例えば、ポークウイードマイト−ジエン(PW
M)、B細胞増殖因子(B cell growth factors,BCG
F)、プロテインA,フィトヘムアグルチニン(PH
A)、コンカナバリンAがある。好ましいのは2〜20
0μg /mlのPWMあるいは100分の1容から3分の
1容のBCGFである。
【0011】感作の方法条件は特に限定されるものでは
ないが、抗原(CMVまたはCMV由来の蛋白もしくは
糖蛋白)の濃度は1μg /ml〜1ng/ml、PWMは2〜
200μg /ml、BCGFは100分の1容から3分の1
容、リンパ球(抗体産生細胞)の濃度は1×105 〜1
×107 個/mlが適当であり、培養温度は35〜40℃
で、培養時間は4〜10日、好ましくは6〜8日であ
る。培養液は人、牛、馬などの血清を含むものなら何で
もよいが、特に胎児牛血清(FCS)を含む培養液(例
えばRPMI1640)が好ましい。
【0012】かくして得られたCMVで感作したヒトの
抗体産生細胞とマウスのミエローマ細胞とは、次いで公
知の方法に従って細胞融合せしめられる。例えばリンパ
球とミエローマ細胞を10:1〜1:100、好ましく
は1:1〜1:10の比率で混合し、適当な細胞融合溶
液、例えば約35%ポリエチレングリコール(分子量
1,000〜6,000程度)および約7.5%ジメチ
ルスルホキシドを含むRPMI1640を加えて、室温
〜37℃で1〜数分間攪拌し、その後10%FCSを加
えRPMI1640で徐々に希釈し、洗浄の後、HAT
(ヒポキサンチン−アミノプテリン−チミジン)選択培
養液にて細胞濃度が1〜5×105 個/mlとなるように
調整する。これを0.2mlずつ、例えば96穴プレート
に分注し、5%CO2 を含む空気中で35〜38℃で3
〜4週間培養する。HAT培養液中ではハイブリドーマ
のみが生存し、8−アザグアニン耐性のミエローマ細胞
およびミエローマ同士の融合細胞は生存しえない(未融
合の抗体産生細胞は数日で死滅する)。
【0013】培養後、培養液中の抗体価をチエックし、
目的とする抗体を産生しているハイブリドーマのみを選
択し単離する(クローニング)。培養液中の抗体価のチ
エックは、ラジオイムノアッセイ法(RIA)、酵素抗
体法(ELISA)、蛍光抗体法などの、抗原への抗体
の結合そのものを検出する方法と、ウイルスの生物活性
を阻害する抗体の活性をみる方法などで行うことができ
る。クローニングによって選択された、本発明の抗CM
V・ヒトMCAを産生するマウス−ヒトハイブリドーマ
は、凍結して保存することができる。かかるハイブリド
ーマのセルライン(細胞株)及び/又はそれに由来する
細胞株を適当な方法で大量に培養すると、培養上清から
本発明の目的とするヒトMCAを得ることができる。ま
た、このハイブリドーマを動物に移植して腫瘍化し、そ
の腹水や血清からヒトMCAを得ることもできる。
【0014】以上の如くして得られた抗CMV・ヒトM
CAは、次のような特性を有する。本発明で得られた抗
CMV・ヒトMCAは、多くの実験用CMV株および臨
床分離株に共通に反応する。しかし、他のヘルペス群ウ
イルスである単純ヘルペスウイルス、EBウイルス、水
痘帯状疱疹ウイルスには反応しない。またCMV感染細
胞には反応するが、非感染細胞には反応しない。従って
これらのMCAはCMVに特異的であるといえる。この
ようにCMVに特異的であることが明瞭に示されたヒト
MCAは、本発明において初めて得られたものである。
【0015】CMVは多くの抗原物質によって構成され
ている。そこで、本発明のヒトMCAがどのような構成
成分に対して反応するのか検討した結果、分子量約13
0,000の蛋白と分子量約55,000の蛋白に反応
し、この群のMCAの中には強いウイルス中和活性を有
しているMCAがあることがわかった。これらの特性か
ら考えて、CMV感染の診断、CMV感染の予防および
治療に適している。予防および治療という目的から考え
たとき、MCAにウイルス中和(不活化)活性があると
いう点は極めて重要な特性である。
【0016】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳述する。 実施例1 (1)CMV抗原の作製 単層に増殖したHEL細胞に、AD169株感染細胞を
7:1の割合で混ぜ、5日間CO2 インキュベーター中
で培養した。こうして得られた感染細胞を、0.1%E
DTAを含むリン酸緩衝生理食塩水ではがし、集めた。
次いで、45秒間超音波破砕し、3,000rpm で20
分間遠心した上清を得た。これを60%と20%の重層
ショ糖溶液の上に乗せ、10,000×gで1時間遠心
した。60%層と20%層の間にウイルスは集まるの
で、これを採取し、再度超音波処理によってよく分散さ
せた。これを1.28g /cm3 のCsCl2 溶液の上に
乗せて、100,000×gで42時間遠心した。その
結果、密度勾配が形成されたCsCl2 溶液の1.29
g /cm3 濃度のところにCMVが集まったので、これを
採取し、in vitro感染作用抗原として用いた。
またELISA用の抗原は次のように調製された。AD
169を感染させたHEL細胞をCO2 インキュベータ
ー中で培養し、細胞変性がすべての細胞に観察されるよ
うになった時点で、感染細胞を集めた。この感染細胞を
3分間超音波処理し、3,000rpm で20分間遠心
し、その上清を得た。これをELISA用抗原として用
いた。
【0017】(2)CMVによるリンパ球感作 ヒトの脾臓リンパ球を培養液A(RPMI1640+2
0%胎児牛血清+20mM HEPES+2mMグルタミン
+1mM Naピルビン酸+0.02mg/mlセリン+80
μg /mlゲンタマイシン)に浮遊させた。細胞濃度は1
2×105 個/mlであった。この細胞浮遊液を1mlず
つ、培養プレート(24穴)の15穴に入れた。それら
を3穴ずつ5群に分け、第1群は無添加、第2群はCM
V抗原12ngタンパク/ml、第3群にはBCGF0.1
ml、第5群には同量のCMVとBCGF、第5群にはC
MVと20μg /mlのPWMを添加した。この培養プレ
ートを37℃、5%CO2 含有空気で6日間培養した。
【0018】(3)マウス・ミエローマ細胞P3×63
Ag8U1株(P3UIと略記する)前もってP3UI
を培養液B(RPMI1640+10%胎児牛血清+2
mMグルタミン+80μg /mlゲンタマイシン)中で培養
しておいた。使用時の細胞濃度は6×105 個/mlであ
った。上記(2)の感作リンパ球(3穴を一緒にした)
5群とP3UIを、それぞれ別々に無血清RPMI16
40で2回洗浄した。各群3穴のリンパ球と5×106
個のP3UIとを試験管の中で一緒にした。1,500
rpm で5分間遠心し、上清を捨てた。細胞ペレットを、
試験管をたたくことによって、よく分散させた。これに
0.5mlのポリエチレングリコール液(RPMI164
05.75ml+ポリエチレングリコール1,000
3.5ml+ジメチルスルホキサイド0.75ml)(PE
G液と略記する)を加えて、細胞をゆるやかに浮遊させ
た。1分後に0.5mlRPMI1640を加え、さらに
1分後に1mlRPMI1640、さらに2分後に4mlの
HAT培養液(RPMI1640+20%胎児牛血清+
80μg /mlゲンタマイシン+95μM ヒポキサンチン
+0.4μM アミノプテリン+1.6μM チミジン)、
さらに2分後には4mlのHAT培養液を加えた。最後
に、HAT培養液で25ml細胞浮遊液とした。これを培
養プレート(96穴)1枚に蒔いて、37℃、5%CO
2 含有空気中で培養した。1週間毎に半量の培養液を新
しいHT培養液(HATからAを除去したもの)で交換
していきハイブリドーマを得た。
【0019】(4)ヒトIgGと抗CMV抗体の測定 ELISAによって測定した。ヒトIgGを測定するた
めにヤギ抗ヒトIgG抗体(10μg /ml)を、あるい
は抗CMV抗体を測定するためにCMV(AD169
株)2μg タンパク/mlを50μl /穴ずつそれぞれフ
ァルコン・ミクロテストIII の96穴プレートに固定し
た。このプレートにハイブリドーマ培養上清60μl を
加えて、室温で1時間放置した。1%牛血清アルブミン
(BSA)を含有するハンクス塩類緩衝液(HBSS−
B)で3回洗浄の後、ヤギ抗ヒトIgG抗体−アルカリ
フォスファターゼ(2,000倍希釈液)を60μl 加
えて、室温で1時間反応させた。さらにHBSS−Bで
3回洗浄したのち、P−ニトロフェニルフォスフェート
を1M ジエタノールアミン+1mM MgCl2 のpH
9.8溶液に0.6mg/mlの割合で溶かした溶液100
μl を加えた。30分から60分後に405nmの吸光度
を測定し、標準IgG液あるいは標準CMV陽性血清と
の比較から、その値を算出した。
【0020】全群とも96穴プレート1枚に細胞を蒔
き、96穴中の、ハイブリドーマが成育してきた穴の数
(肉眼で判定)、さらにそのうちヒトIgGを産生して
いるハイブリドーマをもつ穴の数、そして抗CMV抗体
を産生している穴の数を表1に示した。CMVとBCG
Fを加えたときに最も多くの抗CMV抗体産生ハイブリ
ドーマが成育した。
【0021】
【表1】
【0022】実施例2 ヒト脾臓リンパ球を、実施例1の(2)の如くCMVあ
るいはPWMで感作し、実施例1の(3)の如くP3U
Iと細胞融合を行った。得られたハイブリドーマのう
ち、CMVに対するMCAを産生しているハイブリドー
マを以下の如くクローニングした。 (1)ハイブリドーマのクローニング クローニングは限定希釈法を用いた。抗CMV抗体陽性
の穴より細胞を取り出し、細胞数を数え培養液Bを用い
1個/穴あるいは10個/穴で細胞を蒔いた。2週間後
に細胞が充分増殖したので、その上清に抗CMV・MC
Aがあるか否かをELISAによって測定し、抗CMV
・MCA産生ハイブリドーマを選別した。
【0023】こうして、ハイブリドーマC1、C3、C
4、C7、C23およびC41が樹立された。これらの
ハイブリドーマは安定にIgG型の抗CMV・ヒトMC
Aを産生し続けている。ハイブリドーマC41は、アメ
リカン タイプ カルチャーコレクション(ATCC)
に1986年9月29日に寄託され、寄託番号はHB9
215である。
【0024】(2)抗CMV・ヒトMCAの調製 得られたハイブリドーマの一つC41を無血清培地IT
ES(RPMI1640 2容+ダルベッコMEM1容
+F12 1容+インシュリン8.5μg /ml+トラン
スフェリン2μg /ml+エタノールアミン20μM +セ
レナイト2.5×10-8M )中で培養した。その培養上
清を限外濾過(アミコンP30)で濃縮し、0.02M
リン酸ナトリウム(pH7.8)に対して透析した。同
緩衝液で平衡化したDE52カラム(ファルマシア社
製)にかけ、未吸着分画にヒトMCAを回収した。ドデ
シル硫酸ナトリウム・ポリアクリルアミド電気泳動(so
diumdodecyl sulfate-poly-acrylamide gel electropho
resis,SDS-PAGE )で分析した結果、H鎖とL鎖からな
る精製MCA標品であることが確認された。
【0025】実施例3 (1)抗CMV・ヒトMCAの感染細胞に対する反応性 CMVのAD169株あるいはHi−1株を感染させた
HEL細胞および感染させていない細胞に、抗CMV・
ヒトMCAであるC1、C3、C4、C7、C23、C
41を反応させた。さらにフルオレッセンイソチオシア
ネイト(fluorescein isothiocyanate,FITC )標識抗ヒ
トIgG抗体を反応させ、蛍光顕微鏡で観察した。その
結果、いずれのMCAも非感染細胞には反応せず、感染
細胞のみに反応した。またC1、C3、C4、C7はA
D169あるいはHi−1感染細胞の細胞質内CMV抗
原に反応して、細胞膜上のCMV抗原には反応しなかっ
た。他方、C23とC41は細胞質内抗原と細胞膜上抗
原の両方に反応した。
【0026】(2)抗CMV・MCAの可溶化ウイルス
抗原に対する反応性 抗CMV・MCAのヘルペス属ウイルスに対する結合性
を調べるため、HSV―1型2株、HSV―2型2株、
VZV2株、CMV6株、EBV1株を各々感染させた
HEL細胞および非感染HEL細胞から、実施例1の
(1)の如く可溶化抗原を調製し、実施例1の(4)の
如くELISAを実施した。その結果を表2に示す。抗
CMV・MCA(C1、C3C4、C7、C23、C
41)はすべてCMVにのみ結合し、他のヘルペス属ウ
イルス、宿主細胞には結合しなかった。またC41を除
く抗CMV・MCAはCMV6株すべてに結合した。な
お、H1は単純ヘルペスウイルス(HSV)に対するヒ
トMCAである。
【0027】
【表2】 *)値は405nmの吸収を示す。**)0.1未満であ
る。
【0028】実施例4 抗CMV・ヒトMCAのウイルス中和活性 ヒトMCA溶液200μl 、200CH50/mlの新鮮
モルモット血清を5倍希釈した溶液100μl およびC
MV(AD169株)737Pfu (plaque-forming uni
ts)を含む溶液100μl を混合し、37℃で1時間イ
ンキュベートした。この混合液100μl を6穴プレー
トに培養したHEL細胞にかけ、37℃で1時間インキ
ュベートしたのち、0.5%(W/V)アガロースおよ
び5%(V/V)FCSを含むMEM培地を加えて、C
2 インキュベーター内で11日間培養した。この単層
細胞を10%ホルマリン水溶液で固定し、0.3%メチ
レンブルー水溶液によって染色したのち、CMV感染に
よるプラーク数(pfu)を計測した。中和活性は次のよう
に表した。 (MCA を入れない対象のpfu )−(MCA を入れたときのpfu ) ─────────────────────────────×100 (MCA を入れない対象のpfu ) (%)
【0029】結果を図1に示す。C23は0.75μg
/mlで、C41は0.18μg /mlで50%中和を示し
た。しかしながらC1、C3、C4、C7は全く中和活
性を示さなかった。またHi−1株を用いたときも、C
23は3.3μg で100%中和、C41は0.95μ
g /mlで100%中和を示したのに対し、C3は17.
7μg /mlで35%の中和しか示さなかった。また、実
施例3−(2)に掲げたAD169株以外のCMV株5
株について中和活性を調べたところ、C23は10μg
/mlで95%以上の中和を全株について示した。一方C
41は実施例3−(2)の表2に示したELISAのデ
ータと同様に、10μg /mlではNo.12株とYAN
−3株については、各々20%、64%のやや弱い中和
活性を示し、他の株については80%以上の中和活性を
示した。
【0030】実施例5 抗CMV・ヒトMCAの免疫沈降分析 ヒトMCAが反応するウイルス粒子の構成成分が、何で
あるか決めるために、免疫沈降分析を行った。HEL細
胞にCMV(AD169株)を感染させて、35S−メ
チオニンでアイソトープ標識を行った。標識した細胞
を、0.01M Tris・HCl+0.15M NaCl
+1%デオキシコール酸ナトリウム+1%Triton
X100+0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)
+1mMフェニルメチルスルフォニルフルオライド(pH
7.4)(溶解液)によって溶解した。これに抗CMV
・ヒトMCAを加えて、抗原・抗体複合物を形成させて
おき、さらにプロテインA―セファロース4Bによって
複合体を吸着精製した。これを、0.125M Tris
・HCl+1%SDS+3%2−メルカプトエタノール
+15%グリセリン(pH8.2)で3分間100℃処
理し、その上清をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気
泳動にかけた。泳動後ゲルを乾燥させ、X線フィルムに
−70℃でさらした。その結果を図2に示す。C1は約
64,000と約50,000に、C3は約64,00
0と約46,000に、C4とC7は約64,000
に、C23とC41は約130,000と約55,00
0の分子量をもつウイルス抗原に反応することがわかっ
た。
【0031】実施例6 抗CMV・MCAのアイソタイプの同定 ヒトMCAのアイソタイプの同定は以下の如く行った。
H鎖の同定は、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、I
gG4に対するウサギ抗血清を用いた免疫拡散法(オク
タロニー法)を用い、L鎖の同定は、AD169感染細
胞を抗原プレートとし、2次抗体にアルカリフォスファ
ターゼ標識したヤギ抗ヒトK鎖ないしはλ鎖を用いたE
LISAを行った。結果を表3および表4に示す。
【表3】
【表4】
【0032】
【発明の効果】本発明のハイブリドーマは、CMV感染
の診断薬として、またCMV感染症の予防および治療薬
として利用できる抗CMV・ヒトMCAを産生すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のハイブリドーマの産生する抗CMV・
ヒトMCAの、CMVに対する中和活性を示す図であ
る。
【図2】本発明のハイブリドーマの産生する抗CMV・
ヒトMCAの免疫沈降分析の結果を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G01N 33/569 G01N 33/577 B 33/577 (C12P 21/08 (C12P 21/08 C12R 1:91) C12R 1:91) 9162−4B C12N 15/00 C (56)参考文献 特開 平5−260961(JP,A) 特開 昭58−128323(JP,A) JOURNAL OF VIROLO GY,55〜2!(1985.8)P.274− 280

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒトリンパ球と、ヒトミエローマまたは
    マウスミエローマ細胞との細胞融合によって得られる、
    分子量約130,000と約55,000のサイトメガ
    ロウイルス抗原蛋白を認識し、サイトメガロウイルスを
    中和するヒト・モノクローナル抗体を産生するハイブリ
    ドーマ。
  2. 【請求項2】 ヒトリンパ球とマウスミエローマ細胞と
    の細胞融合によって得られる請求項1に記載のハイブリ
    ドーマ。
  3. 【請求項3】 ヒトリンパ球が脾臓、リンパ節、末梢
    血、骨髄、扁桃、またはアデノイド由来のものである請
    求項1または2に記載のハイブリドーマ。
  4. 【請求項4】 ヒトリンパ球が、細胞融合に先だってi
    n vitroでマイトージェン存在下に、CMVまた
    はCMV由来の蛋白もしくは糖蛋白で感作したものであ
    る請求項1〜3のいずれかに記載のハイブリドーマ。
  5. 【請求項5】 マイトージェンが、ポークウィードマイ
    トージェンである請求項4に記載のハイブリドーマ。
  6. 【請求項6】 マウスミエローマがBALB/Cマウス
    由来のものである請求項1〜5のいずれかに記載のハイ
    ブリドーマ。
  7. 【請求項7】 マウスミエローマがP3X63・Ag8
    ・U1株である請求項1〜6のいずれかに記載のハイブ
    リドーマ。
  8. 【請求項8】 細胞融合がポリエチレングリコール溶液
    を用いてなされたものである請求項1〜7のいずれかに
    記載のハイブリドーマ。
  9. 【請求項9】 ヒトモノクローナル抗体のサブクラスが
    IgG1である請求項1〜8のいずれかに記載のハイブ
    リドーマ。
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JPH04153035A (ja) * 1990-10-18 1992-05-26 Dainippon Printing Co Ltd ソフトコート転写シート

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