JP2538536B2 - サイトメガロウイルスに対するヒト・モノクロ―ナル抗体を産生するハイブリド―マ - Google Patents

サイトメガロウイルスに対するヒト・モノクロ―ナル抗体を産生するハイブリド―マ

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JP2538536B2
JP2538536B2 JP6154762A JP15476294A JP2538536B2 JP 2538536 B2 JP2538536 B2 JP 2538536B2 JP 6154762 A JP6154762 A JP 6154762A JP 15476294 A JP15476294 A JP 15476294A JP 2538536 B2 JP2538536 B2 JP 2538536B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、サイトメガロウイルス
(Cytomegalo-virus、以下CMVと略記する)に対する
ヒト・モノクローナル抗体(monoclonal antibody 、以
下MCAと略記する)を産生するハイブリドーマに関す
る。
【0002】
【従来の技術】CMVはヘルペス・ウイルス属に属する
ウイルスの一つであり、DNA、コアタンパク、カプシ
ッドとエンビロープからなっている。このウイルスが人
間に感染しても、多くの場合何の疾病も引き起こさな
い。しかしながら、免疫能力の低下した新生児では肝炎
を起こしたり、臓器移植のために免疫抑制された患者に
間質性肺炎を起こし、しばしば致命的な感染症を引き起
こす。従って、この感染症の診断、予防および治療は大
きな治療ニーズがある。Condi ら(American J. Medici
ne,March30,134─141,1984参照)は骨髄
移植患者に抗CMV抗体価の高いヒト血清グロブリンを
投与し、CMV感染とそれによる間質性肺炎を防ぐこと
に成功している。高力価のヒト血清グロブリンは、血清
提供者の抗体価をあらかじめチエックし、高力価である
血漿のみを収集して分画される。この方法で得られる血
清グロブリンの、CMVに対する抗体価はランダムに収
集されたものの高々10倍にしか過ぎず、かつこのよう
に高力価血清グロブリンを収集することは非常に困難で
あり、安定に供給することができない。
【0003】MilsteinとKoehler によって確立されたハ
イブリドーマ法によって、高純度の抗体、すなわちMC
Aが作製できるようになった。Rasmussen ら(Proc. Na
tl.Acad. Sci. USA ,81,876−880,1984
参照)はCMVをマウスに免疫し、そのマウス脾細胞と
マウス・ミエローマ細胞を融合することによってCMV
特異的MCAを産生するハイブリドーマを作製した。彼
女ら以外にもいくつかの研究グループがCMVに対する
マウスのMCAを得ている(例えば、Goldstein ら、In
fection and Immunity ,38,273−281,198
2;Pereira ら,Infection and Immunity ,36,92
4−932,1982参照)。
【0004】一般にヒト由来のMCAはマウス・ミエロ
ーマ細胞、ヒト・ミエローマ細胞あるいは他のリンパ系
樹立細胞とヒト・リンパ球とを細胞融合して得られるハ
イブリドーマから産生される。あるいはヒト・リンパ球
をEBウイルスによって変異させたリンパ芽球細胞から
も産生される。1980年から現在まで、多くのヒトM
CA作製の試みがなされてきたが、いずれの方法もそれ
ぞれ固有の問題をかかえている。マウス・ミエローマと
ヒト・リンパ球との細胞融合で得られたハイブリドーマ
のMCA産生は不安定であるし、ヒト・ミエローマ細胞
とヒト・リンパ球との細胞融合は極めて効率が悪い。ま
たEBウイルスによって得られるリンパ芽球細胞のMC
A産生は量が少なく、かつ不安定である。その上、EB
ウイルスは腫瘍を引き起こす能力を有しており、安全性
上大きな問題がある。このようにMCA産生細胞を樹立
する技術において大きな障害があるが、さらにもう一
つ、特定抗原に特異的なヒトMCAを得るためには大き
な障害がある。それは充分に免疫されたヒト・リンパ球
を得るという課題である。一般に正常人のリンパ球はC
MVによって感作されていることが多いが、その免疫度
合いは極めて低い。従って、正常人のリンパ球からハイ
ブリドーマあるいはリンパ芽球細胞を樹立しても、抗C
MV・MCAを産生する細胞を得られる見込みはほとん
どない。
【0005】CMVに対するヒトMCAについては一つ
だけ産生細胞株が得られたとの報告がある。(J. Immun
ol. , 133,2202−2205,1984参照)。
これによると、正常人リンパ球をEBウイルスで変異さ
せて、MCA産生細胞株が得られている。しかしなが
ら、記載されている内容は一葉の蛍光抗体写真のみであ
り、MCAを安定に産生している細胞株が樹立できたの
か否か明白ではない。さらに前述したように、EBウイ
ルス由来の発癌性も問題があり、人体に投与することは
大きな危険を伴う。以上の如く、目的とする特異性を有
するヒトMCAを効率よく取得する上で最も大きな問題
は、ヒト・リンパ球を特定の抗原で充分免疫することが
困難であるということである。マウスの場合には、生体
にとって有害な抗原であっても投与しうるし、さらに都
合のよい投与スケジュールで免疫することができるが、
人間の場合にはこれができない。CMVは病原体であ
り、ワクチンができていない現在、人間にCMVを故意
に投与し、免疫することは倫理上許されない。ヒトMC
Aを作製する上で、次に問題となる点は、ヒトMCAを
安定に産生する細胞を樹立する方法である。ハイブリド
ーマ法もEBV法も一長一短があることは前にも述べた
とおりである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、CM
V感染症の診断に役立つところの、CMVに特異的な、
かつ人体にとって安全なヒトMCAを産生するハイブリ
ドーマを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、抗CMV
・ヒトMCAを取得することを目的として鋭意研究を行
った結果、in vitroでマイト−ジエン存在下
に、CMVまたはCMV由来の蛋白もしくは糖蛋白で感
作したヒト・リンパ球と、マウス・ミエローマ細胞とを
融合させる方法によって、抗CMV・ヒトMCAを産生
するハイブリドーマを得ることができた。そして、この
ハイブリドーマ及び/又はそれに由来する細胞株を培養
し、培養上清から抗CMV・ヒトMCAを採取すること
ができた。本発明のハイブリドーマの産生するヒトMC
Aは、CMV及び/又はCMV感染細胞に反応する抗体
である。本発明のハイブリドーマの産生する抗CMV・
ヒトMCAのなかで好ましいのはIgG1型のものであ
る。
【0008】本発明において用いられるヒト・リンパ球
は脾臓、リンパ節、末梢血、骨髄、扁桃、アデノイド等
の中に含まれている。本発明の目的のためには、いかな
るソースのリンパ球でも用いることができるが、望まし
くは脾臓、骨髄または扁桃である。マウスのミエローマ
細胞としては、8−アザグアニン耐性株を用いるのが有
利であり、公知のものとしては、BALB/Cマウスの
P3−NS1/1−Ag4−1株、P3×63AgU1
株、SP2/0Ag14株、P3×63Ag8.6.
5.3株、MPC11−45.6.TG1.7株、SP
−1株等がある。
【0009】本発明においては、ヒトのリンパ球とマウ
スのミエローマ細胞とを融合させるに先立って、ヒトの
リンパ球をin vitroでマイト−ジエン存在下に
抗原感作する。ヒトの場合、正常人ではCMVに対する
抗体を産生し得る能力のあるリンパ球は存在しても、そ
の数が極めて少ない。そのため目的とするハイブリドー
マが得られる可能性が極端に低い。これに対して本発明
のin vitroでヒト・リンパ球を感作する方法を
採ったときには、その抗原に特異的な抗体を産生するリ
ンパ球が選択的に分化、増殖し、その結果、効率よく目
的のMCA産生ハイブリドーマを得ることができる。
【0010】本発明の実施例においては、感作抗原とし
てCMVのAD169株が用いられているが、他の実験
用CMV株あるいは臨床分離CMV株でも感作できる。
さらにCMVそのものでなく、その構成蛋白もしくは構
成糖蛋白を用いてもよい。マイト−ジエンとしては、リ
ンパ球の分化および増殖を促進させるものならば何でも
よいが、例えば、ポークウイードマイト−ジエン(PW
M)、B細胞増殖因子(B cell growth factors,BCG
F)、プロテインA,フィトヘムアグルチニン(PH
A)、コンカナバリンAがある。好ましいのは2〜20
0μg /mlのPWMあるいは100分の1容から3分の
1容のBCGFである。
【0011】感作の方法条件は特に限定されるものでは
ないが、抗原(CMVまたはCMV由来の蛋白もしくは
糖蛋白)の濃度は1μg /ml〜1ng/ml、PWMは2〜
200μg /ml、BCGFは100分の1容から3分の1
容、リンパ球(抗体産生細胞)の濃度は1×105 〜1
×107 個/mlが適当であり、培養温度は35〜40℃
で、培養時間は4〜10日、好ましくは6〜8日であ
る。培養液は人、牛、馬などの血清を含むものなら何で
もよいが、特に胎児牛血清(FCS)を含む培養液(例
えばRPMI1640)が好ましい。
【0012】かくして得られたCMVで感作したヒトの
抗体産生細胞とマウスのミエローマ細胞とは、次いで公
知の方法に従って細胞融合せしめられる。例えばリンパ
球とミエローマ細胞を10:1〜1:100、好ましく
は1:1〜1:10の比率で混合し、適当な細胞融合溶
液、例えば約35%ポリエチレングリコール(分子量
1,000〜6,000程度)および約7.5%ジメチ
ルスルホキシドを含むRPMI1640を加えて、室温
〜37℃で1〜数分間攪拌し、その後10%FCSを加
えRPMI1640で徐々に希釈し、洗浄の後、HAT
(ヒポキサンチン−アミノプテリン−チミジン)選択培
養液にて細胞濃度が1〜5×105 個/mlとなるように
調整する。これを0.2mlずつ、例えば96穴プレート
に分注し、5%CO2 を含む空気中で35〜38℃で3
〜4週間培養する。HAT培養液中ではハイブリドーマ
のみが生存し、8−アザグアニン耐性のミエローマ細胞
およびミエローマ同士の融合細胞は生存しえない(未融
合の抗体産生細胞は数日で死滅する)。
【0013】培養後、培養液中の抗体価をチエックし、
目的とする抗体を産生しているハイブリドーマのみを選
択し単離する(クローニング)。培養液中の抗体価のチ
エックは、ラジオイムノアッセイ法(RIA)、酵素抗
体法(ELISA)、蛍光抗体法などの、抗原への抗体
の結合そのものを検出する方法と、ウイルスの生物活性
を阻害する抗体の活性をみる方法などで行うことができ
る。クローニングによって選択された、本発明の抗CM
V・ヒトMCAを産生するマウス−ヒトハイブリドーマ
は、凍結して保存することができる。かかるハイブリド
ーマのセルライン(細胞株)及び/又はそれに由来する
細胞株を適当な方法で大量に培養すると、培養上清から
本発明の目的とするヒトMCAを得ることができる。ま
た、このハイブリドーマを動物に移植して腫瘍化し、そ
の腹水や血清からヒトMCAを得ることもできる。
【0014】以上の如くして得られた抗CMV・ヒトM
CAは、次のような特性を有する。本発明で得られた抗
CMV・ヒトMCAは、多くの実験用CMV株および臨
床分離株に共通に反応する。しかし、他のヘルペス群ウ
イルスである単純ヘルペスウイルス、EBウイルス、水
痘帯状疱疹ウイルスには反応しない。またCMV感染細
胞には反応するが、非感染細胞には反応しない。従って
これらのMCAはCMVに特異的であるといえる。この
ようにCMVに特異的であることが明瞭に示されたヒト
MCAは、本発明において初めて得られたものである。
【0015】CMVは多くの抗原物質によって構成され
ている。そこで、本発明に係るMCAがどのような構成
成分に対して反応するのか検討した結果、CMV感染の
診断に適していることがわかった。
【0016】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳述する。 [実施例1] (1)CMV抗原の作製 単層に増殖したHEL細胞に、AD169株感染細胞を
7:1の割合で混ぜ、5日間CO2 インキュベーター中
で培養した。こうして得られた感染細胞を、0.1%E
DTAを含むリン酸緩衝生理食塩水ではがし、集めた。
次いで、45秒間超音波破砕し、3,000rpm で20
分間遠心した上清を得た。これを60%と20%の重層
ショ糖溶液の上に乗せ、10,000×gで1時間遠心
した。60%層と20%層の間にウイルスは集まるの
で、これを採取し、再度超音波処理によってよく分散さ
せた。これを1.28g /cm3 のCsCl2 溶液の上に
乗せて、100,000×gで42時間遠心した。その
結果、密度勾配が形成されたCsCl2 溶液の1.29
g /cm3 濃度のところにCMVが集まったので、これを
採取し、in vitro感染作用抗原として用いた。
またELISA用の抗原は次のように調製された。AD
169を感染させたHEL細胞をCO2 インキュベータ
ー中で培養し、細胞変性がすべての細胞に観察されるよ
うになった時点で、感染細胞を集めた。この感染細胞を
3分間超音波処理し、3,000rpm で20分間遠心
し、その上清を得た。これをELISA用抗原として用
いた。
【0017】(2)CMVによるリンパ球感作 ヒトの脾臓リンパ球を培養液A(RPMI1640+2
0%胎児牛血清+20mM HEPES+2mMグルタミン
+1mM Naピルビン酸+0.02mg/mlセリン+80
μg /mlゲンタマイシン)に浮遊させた。細胞濃度は1
2×105 個/mlであった。この細胞浮遊液を1mlず
つ、培養プレート(24穴)の15穴に入れた。それら
を3穴ずつ5群に分け、第1群は無添加、第2群はCM
V抗原12ngタンパク/ml、第3群にはBCGF0.1
ml、第5群には同量のCMVとBCGF、第5群にはC
MVと20μg /mlのPWMを添加した。この培養プレ
ートを37℃、5%CO2 含有空気で6日間培養した。
【0018】(3)マウス・ミエローマ細胞P3×63
Ag8U1株(P3UIと略記する) 前もってP3UIを培養液B(RPMI1640+10
%胎児牛血清+2mMグルタミン+80μg /mlゲンタマ
イシン)中で培養しておいた。使用時の細胞濃度は6×
105 個/mlであった。上記(2)の感作リンパ球(3
穴を一緒にした)5群とP3UIを、それぞれ別々に無
血清RPMI1640で2回洗浄した。各群3穴のリン
パ球と5×106 個のP3UIとを試験管の中で一緒に
した。1,500rpm で5分間遠心し、上清を捨てた。
細胞ペレットを、試験管をたたくことによって、よく分
散させた。これに0.5mlのポリエチレングリコール液
(RPMI16405.75ml+ポリエチレングリコー
ル1,000 3.5ml+ジメチルスルホキサイド0.
75ml)(PEG液と略記する)を加えて、細胞をゆる
やかに浮遊させた。1分後に0.5mlRPMI1640
を加え、さらに1分後に1mlRPMI1640、さらに
2分後に4mlのHAT培養液(RPMI1640+20
%胎児牛血清+80μg /mlゲンタマイシン+95μM
ヒポキサンチン+0.4μM アミノプテリン+1.6μ
M チミジン)、さらに2分後には4mlのHAT培養液を
加えた。最後に、HAT培養液で25ml細胞浮遊液とし
た。これを培養プレート(96穴)1枚に蒔いて、37
℃、5%CO2 含有空気中で培養した。1週間毎に半量
の培養液を新しいHT培養液(HATからAを除去した
もの)で交換していきハイブリドーマを得た。
【0019】(4)ヒトIgGと抗CMV抗体の測定 ELISAによって測定した。ヒトIgGを測定するた
めにヤギ抗ヒトIgG抗体(10μg /ml)を、あるい
は抗CMV抗体を測定するためにCMV(AD169
株)2μg タンパク/mlを50μl /穴ずつそれぞれフ
ァルコン・ミクロテストIII の96穴プレートに固定し
た。このプレートにハイブリドーマ培養上清60μl を
加えて、室温で1時間放置した。1%牛血清アルブミン
(BSA)を含有するハンクス塩類緩衝液(HBSS−
B)で3回洗浄の後、ヤギ抗ヒトIgG抗体−アルカリ
フォスファターゼ(2,000倍希釈液)を60μl 加
えて、室温で1時間反応させた。さらにHBSS−Bで
3回洗浄したのち、P−ニトロフェニルフォスフェート
を1M ジエタノールアミン+1mM MgCl2 のpH
9.8溶液に0.6mg/mlの割合で溶かした溶液100
μl を加えた。30分から60分後に405nmの吸光度
を測定し、標準IgG液あるいは標準CMV陽性血清と
の比較から、その値を算出した。
【0020】全群とも96穴プレート1枚に細胞を蒔
き、96穴中の、ハイブリドーマが成育してきた穴の数
(肉眼で判定)、さらにそのうちヒトIgGを産生して
いるハイブリドーマをもつ穴の数、そして抗CMV抗体
を産生している穴の数を表1に示した。CMVとBCG
Fを加えたときに最も多くの抗CMV抗体産生ハイブリ
ドーマが成育した。
【0021】
【表1】
【0022】[実施例2]ヒト脾臓リンパ球を、実施例
1の(2)の如くCMVあるいはPWMで感作し、実施
例1の(3)の如くP3UIと細胞融合を行った。得ら
れたハイブリドーマのうち、CMVに対するMCAを産
生しているハイブリドーマを以下の如くクローニングし
た。
【0023】(1)ハイブリドーマのクローニング クローニングは限定希釈法を用いた。抗CMV抗体陽性
の穴より細胞を取り出し、細胞数を数え培養液Bを用い
1個/穴あるいは10個/穴で細胞を蒔いた。2週間後
に細胞が充分増殖したので、その上清に抗CMV・MC
Aがあるか否かをELISAによって測定し、抗CMV
・MCA産生ハイブリドーマを選別した。こうして、ハ
イブリドーマC1、C3、C4、C7、C23およびC
41が樹立された。これらのハイブリドーマは安定にI
gG型の抗CMV・ヒトMCAを産生し続けている。
【0024】(2)抗CMV・ヒトMCAの調製 得られたハイブリドーマの一つC41を無血清培地IT
ES(RPMI1640 2容+ダルベッコMEM1容
+F12 1容+インシュリン8.5μg /ml+トラン
スフェリン2μg /ml+エタノールアミン20μM +セ
レナイト2.5×10-8M )中で培養した。その培養上
清を限外濾過(アミコンP30)で濃縮し、0.02M
リン酸ナトリウム(pH7.8)に対して透析した。同
緩衝液で平衡化したDE52カラム(ファルマシア社
製)にかけ、未吸着分画にヒトMCAを回収した。ドデ
シル硫酸ナトリウム・ポリアクリルアミド電気泳動(so
diumdodecyl sulfate-poly-acrylamide gel electropho
resis,SDS-PAGE )で分析した結果、H鎖とL鎖からな
る精製MCA標品であることが確認された。
【0025】[実施例3] (1)抗CMV・ヒトMCAの感染細胞に対する反応性 CMVのAD169株あるいはHi−1株を感染させた
HEL細胞および感染させていない細胞に、抗CMV・
ヒトMCAであるC1、C3、C4、C7、C23、C
41を反応させた。さらにフルオレッセンイソチオシア
ネイト(fluorescein isothiocyanate,FITC )標識抗ヒ
トIgG抗体を反応させ、蛍光顕微鏡で観察した。その
結果、いずれのMCAも非感染細胞には反応せず、感染
細胞のみに反応した。またC1、C3、C4、C7はA
D169あるいはHi−1感染細胞の細胞質内CMV抗
原に反応して、細胞膜上のCMV抗原には反応しなかっ
た。他方、C23とC41は細胞質内抗原と細胞膜上抗
原の両方に反応した。
【0026】(2)抗CMV・MCAの可溶化ウイルス
抗原に対する反応性 抗CMV・MCAのヘルペス属ウイルスに対する結合性
を調べるため、HSV−1型2株、HSV−2型2株、
VZV2株、CMV6株、EBV1株を各々感染させた
HEL細胞および非感染HEL細胞から、実施例1の
(1)の如く可溶化抗原を調製し、実施例1の(4)の
如くELISAを実施した。その結果を表2に示す。抗
CMV・MCA(C1、C3、C4、C7、C23、C
41)はすべてCMVにのみ結合し、他のヘルペス属ウ
イルス、宿主細胞には結合しなかった。またC41を除
く抗CMV・MCAはCMV6株すべてに結合した。な
お、H1は単純ヘルペスウイルス(HSV)に対するヒ
トMCAである。
【0027】
【表2】
【0028】[実施例4] 抗CMV・ヒトMCAの免疫沈降分析 ヒトMCAが反応するウイルス粒子の構成成分が、何で
あるか決めるために、免疫沈降分析を行った。HEL細
胞にCMV(AD169株)を感染させて、35S−メ
チオニンでアイソトープ標識を行った。標識した細胞
を、0.01M Tris・HCl+0.15M Nacl
+1%デオキシコール酸ナトリウム+1%Triton
×100+0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)
+1mMフェニルメチルスルフォニルフルオライド(pH
7.4)(溶解液)によって溶解した。これに抗CMV
・ヒトMCAを加えて、抗原・抗体複合物を形成させて
おき、さらにプロテインA−セファロース4Bによって
複合体を吸着精製した。これを、0.125M Tris
・HCl+1%SDS+3%2−メルカプトエタノール
+15%グリセリン(pH8.2)で3分間100℃処
理し、その上清をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気
泳動にかけた。泳動後ゲルを乾燥させ、X線フィルムに
−70℃でさらした。その結果を図2に示す。C1は約
64,000と約50,000に、C3は約64,00
0と約46,000に、C4とC7は約64,000
に、C23とC41は約130,000と約55,00
0の分子量をもつウイルス抗原に反応することがわかっ
た。
【0029】[実施例5] 抗CMV・MCAのアイソタイプの同定 ヒトMCAのアイソタイプの同定は以下の如く行った。
H鎖の同定は、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、I
gG4に対するウサギ抗血清を用いた免疫拡散法(オク
タロニー法)を用い、L鎖の同定は、AD169感染細
胞を抗原プレートとし、2次抗体にアルカリフォスファ
ターゼ標識したヤギ抗ヒトK鎖ないしはλ鎖を用いたE
LISAを行った。結果を表3および表4に示す。
【0030】
【表3】
【0031】
【表4】
【0032】
【発明の効果】本発明のハイブリドーマは、CMV感染
の診断薬として利用できる抗CMV・ヒトMCAを産生
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のハイブリドーマの産生する抗CMV・
ヒトMCAの免疫沈降分析の結果を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G01N 33/569 G01N 33/577 B 33/577 (C12P 21/08 (C12P 21/08 C12R 1:91) C12R 1:91) 9162−4B C12N 15/00 C

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の全ての特性を有するヒトモノクロ
    ーナル抗体を産出する、ヒトリンパ球とマウスミエロー
    マ細胞との細胞融合により得られたハイブリドーマ。 (a)サイトメガロウイルスの分子量約64000の蛋
    白と結合する特性。 (b)サイトメガロウイルス以外のヘルペス属ウイルス
    に感染した細胞を含むサイトメガロウイルス非感染細胞
    に反応せず、サイトメガロウイルス感染細胞に反応する
    特性。 (c)サイトメガロウイルス感染細胞の細胞膜上のサイ
    トメガロウイルス抗原には反応せず、細胞質内のサイト
    メガロウイルス抗原に反応する特性。
  2. 【請求項2】 モノクローナル抗体のアイソタイプがI
    gG1 、λである請求項1に記載のハイブリドーマ。
  3. 【請求項3】 ヒトリンパ球が細胞融合に先立ってin V
    itroでマイトージェン存在下にサイトメガロウイルス抗
    原で感作したものである請求項1または2に記載のハイ
    ブリドーマ。
  4. 【請求項4】 マウスミエローマ細胞がP3X63・A
    g8・U1株である請求項1〜3のいずれかに記載のハ
    イブリドーマ。
JP6154762A 1994-07-06 1994-07-06 サイトメガロウイルスに対するヒト・モノクロ―ナル抗体を産生するハイブリド―マ Expired - Lifetime JP2538536B2 (ja)

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