JP2536992Y2 - 軒樋支持具 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、軒先に固定されて軒樋を支持する軒樋支持
具に関するものである。

〔従来の技術〕 従来から、第５図に示す如く、前壁部（イ）の上端の
前耳部（ロ）が内方へ折り返って該前耳部（ロ）の内側
に係止溝部（ハ）が形成された軒樋（ニ）を保持する軒
樋支持具（ホ）は知られている。該軒樋支持具（ホ）
は、支持具本体（ヘ）と取着部材（ト）とがリベットに
て結合固着されて形成されている。取着部材（ト）の後
端部は下方へ折曲していて、該折曲部分に取着板（チ）
がリベットにて固着されており、該取着板（チ）におい
て固定釘（リ）が打ち込まれることによって、同取着部
材（ト）は軒先前面（ヌ）に取着固定されるものであ
る。又、支持具本体（ヘ）の後端部には、前方へ開口し
た略コ字型形状の軒樋耳保持部（ル）が形成されてお
り、該軒樋耳保持部（ル）の下側前端には耳ガイド片
（オ）が垂設されている。同軒樋耳保持部（ル）の前側
には、耳外れ防止用の板バネ（ワ）が支持具本体（ヘ）
の下面に固着されて設けられている。したがって、軒樋
（ニ）の後耳部（カ）は、上記耳ガイド片（オ）に案内
されて軒樋耳保持部（ル）内に係合され、上記板バネ
（ワ）に係止してその外れが防止されるものである。
又、支持具本体（ヘ）の前端部には上方へ折曲した軒樋
耳係止片（ヨ）が形成されており、該軒樋耳係止片
（ヨ）に上記係止溝部（ハ）が係止されて、軒樋（ニ）
の前耳部（ロ）が保持されるものである。すなわち、軒
樋（ニ）は、その係止溝部（ハ）を軒樋耳係止片（ヨ）
に係止させて前耳部（ロ）を保持させた後に、その後部
を押し上げるように回動させて後耳部（カ）を軒樋耳保
持部（ル）に係合保持させることによって、軒樋支持具
（ホ）の支持具本体（ヘ）に取着されるものである。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、上記従来の技術においては、軒樋
（ニ）の前壁部（イ）が、外力によって変形し易いもの
であった。又、軒樋（ニ）を上記の如く回動させて支持
具本体（ヘ）に取着させる際に、前耳部（ロ）が支持具
本体（ヘ）の上面に摺接して、軒樋（ニ）を支持具本体
（ヘ）にスムーズに取着できないものであった。

又、最近、第６図に示す如く、前壁部（イ）が斜後方
へ傾倒した軒樋（ニ）が、軒先との間で一体感を持たせ
るということで、一般住宅等に採用されるようになって
きている。しかしながら、この場合には、軒樋（ニ）の
上方開口が巾狭となり、前耳部（ロ）が更に邪魔になる
ため、係止溝部（ハ）を軒樋耳係止片（ヨ）に係止させ
た状態で軒樋（ニ）を回動させることは極めて困難とな
り、特に、軒樋（ニ）を支持具本体（ヘ）に取着し難く
なるものである。

本考案は、上記従来の技術における問題を解決するた
めに考案されたものであり、すなわちその課題は、軒樋
の前壁部の変形が防止され、しかも、軒樋を支持具本体
にスムーズに取着することができる軒樋支持具を提供す
ることである。

〔課題を解決するための手段〕

本考案の軒樋支持具は、前壁部が斜後方へ傾倒し、該
前壁部の上端の前耳部が内方へ折り返って該前耳部の内
側に係止溝部が形成された軒樋を保持する軒樋支持具で
あって、支持具本体の前端部に、軒樋の前壁部内面に沿
った前縦片を設け、該前縦片の上端を軒樋の係止溝部に
挿入係止される係止片部となすと共に、同前縦片の下端
を軒樋の内底面に近接されるように垂下延設し、前記係
止片部が近接する支持具本体の中程に、下方へ凹曲した
凹段部を形成してなるものであり、この構成によって上
記課題が解決されたものである。

〔作用〕

本考案の軒樋支持具においては、支持具本体の前端部
に、軒樋の前壁部内面に沿った前縦片が設けられている
ため、該前縦片が軒樋の前壁部内面に当接して、該前壁
部の変形が防止されるものである。しかも、上記前縦片
の上端が軒樋の係止溝部に挿入係止される係止片部とな
され、該係止片部が近接する支持具本体の中程に、下方
へ凹曲した凹段部が形成されているため、係止溝部を係
止片部に係止させた状態で軒樋を回動させている際に、
前耳部が凹段部内に納まって支持具本体に摺接すること
なく支障なく回動でき、軒樋を支持具本体にスムーズに
取着できるものである。又、前縦片の下端が軒樋の内底
面に近接されるように垂下延設されているため、軒樋の
浮き上がりによるがたつきが防止されて該軒樋は確実に
保持され、しかも、軒樋を回動させて支持具本体に取着
している際にも、凹段部内に前耳部が納まった状態で軒
樋は浮き上がることなく回動されて、前縦片の下端が軒
樋の内底面に摺接することもなく、スムーズに取着する
ことができるものである。

〔実施例〕

以下、本考案を、図面に示した実施例に基づいて詳細
に説明する。

第１図、第２図に示す軒樋支持具は、本考案の一実施
例で、前壁部１が斜後方へ傾倒し、該前壁部１の上端の
前耳部２が内方へ折り返って該前耳部２の内側に係止溝
部３が形成された軒樋４を保持する軒樋支持具であっ
て、支持具本体５の前端部に、軒樋４の前壁部１内面に
沿った前縦片６を設け、該前縦片６の上端を軒樋４の係
止溝部３に挿入係止される係止片部７となすと共に、同
前縦片６の下端を軒樋４の内底面に近接されるように垂
下延設し、前記係止片部７が近接する支持具本体５の中
程に、下方へ凹曲した凹段部８を形成してなるものであ
る。

支持具本体５は、保持部材９と取着部材10とがボルト
11と蝶ナット12で結合固着されて形成ている。この場
合、保持部材９及び取着部材10は、いずれも断面略コ字
状の金属製型材を折曲加工して形成されたものであり、
両者の結合部分は相互に重合嵌合されており、又、該結
合部分において、上記ボルト11が保持部材９に穿設され
たスライド用長孔13に貫通されているため、保持部材９
は取着部材10に対して前後方向にスムーズにスライド移
動されてその位置調節がなされるものである。

取着部材10の後端部は下方へ折曲していて、該折曲部
分にリベット14にて取着板15が固着されている。該取着
板15の両側には各々上下に取着孔16が穿設されており、
該取着孔16に固定釘17が挿通されて軒先前面18に打ち込
まれることによって、同取着部材10は軒先前面18に取着
固定されるものである。又、前記取着板15の上下両取着
孔16の間には、該取着孔16よりも大径のアンカーボルト
用取着孔19が穿設されており、該アンカーボルト用取着
孔19を採用して、アンカーボルトによっても、同取着部
材10は軒先前面18に固定され得るものである。

保持部材９の後端部に設けられる軒樋耳保持部20は、
前方へ開口した略コ字型形状に形成されており、該軒樋
耳保持部20の下側前端には耳ガイド片21が斜め後方へ傾
斜して垂設されている。同後側の軒樋耳保持部20の前側
には耳外れ防止ピン22が、保持部材９及び取着部材10に
上下方向スライド自在に貫通保持されて設けられてい
る。この場合、該耳外れ防止ピン22は取着部材10に穿設
された長孔23に貫通されているため、上記保持部材９の
取着部材10に対するスライド移動は支障なくなされるも
のである。

保持部材９の前端部には前縦片６が、リベット14にて
結合固着されて設けられている。該前縦片６も断面略コ
字状の金属製型材を折曲加工して形成されたものであ
り、保持部材９との結合部分は相互に重合嵌合されてい
て、該前縦片６は回動しないように確実に固着されてい
る。又、同前縦片６の上端には、屈曲状の係止片部７が
一体に形成されている。又、該係止片部７が近接する保
持部材９の中程に、前下がりに凹曲した凹段部８が形成
されている。

軒樋４は、合成樹脂層24内に金属薄板25がインサート
されて帯板状に一体に押出成形されたものを、所望の樋
形状に折り曲げ加工して形成されたものである。該軒樋
４においては、前壁部１が後方へ傾倒した形状となっ
て、その上方開口が巾狭となっている。又、前壁部１の
上端部分には中空形状の前耳部２が、軒樋４の後上端部
分には中空形状の後耳部26が、各々一体に形成されてい
る。前耳部２は内方へ折り返っていて、その内側に係止
溝部３が形成されている。

すなわち、この場合、第３図に示す如く、支持具本体
５の保持部材９と共に前縦片６を軒樋４の内部に挿入
し、係止溝部３を前側の係止片部７に係止させて前耳部
２を保持させ、前縦片６上に前壁部１を支持させ、軒樋
４を回動させるようにその後部を押し上げて、後耳部26
を後側の軒樋耳保持部20に挿入係合させるものである。
その際、後耳部26は耳ガイド片21に摺接されてスムーズ
に後側の軒樋耳保持部20へと案内され、同軒樋耳保持部
20に係合された後耳部26は、下降した耳外れ防止ピン22
によって外れないように保持されるものである。

したがって、該実施例においては、支持具本体５の保
持部材９の前端部に、軒樋４の前壁部１内面に沿った前
縦片６が設けられているため、該前縦片６が軒樋４の前
壁部１内面に当接して、該前壁部１の変形が防止される
ものである。しかも、上記前縦片６の上端が軒樋４の係
止溝部３に挿入係止される係止片部７となされ、該係止
片部７が近接する支持具本体５の保持部材９の中程に、
下方へ凹曲した凹段部８が形成されているため、係止溝
部３を係止片部７に係止させた状態で軒樋４を回動させ
ている際に、前耳部２が凹段部８内に納まって支持具本
体５の保持部材９に摺接することなく支障なく回動で
き、軒樋４を回動させて支持具本体５の保持部材９にス
ムーズに取着できるものである。又、前縦片６の下端が
軒樋４の内底面に近接されるように垂下延設されている
ため、軒樋４の浮き上がりによるがたつきが防止されて
該軒樋４は確実に保持されるものである。しかも、上記
の如く、軒樋４を回動させて支持具本体５に取着してい
る際にも、凹段部８内に前耳部２が納まった状態で軒樋
４は浮き上がることなく回動されて、前記前縦片６の下
端が軒樋４の内底面に摺接することもなく、スムーズに
取着することができるものである。

なお、本考案の軒樋支持具においては、第４図に示す
実施例の如きであっても良いものである。すなわち、該
実施例の軒樋支持具は、上記実施例における軒樋４とは
前壁部１の形状が異なった軒樋４を保持するものであ
り、湾曲状の前壁部１の内面に沿った湾曲形状の前縦片
６を有するものである。又、該実施例の軒樋支持具にお
いては、支持具本体５が保持部材９と取着部材10とでな
り、両者はリベット14にて相互に移動しないように結合
固着されている。

〔考案の効果〕

上述の如く、本考案の軒樋支持具においては、支持具
本体の前端部に、軒樋の前壁部内面に沿った前縦片が設
けられているため、該前縦片が軒樋の前壁部内面に当接
して、該前壁部の変形が防止されるものであり、しか
も、上記前縦片の上端が軒樋の係止溝部に挿入係止され
る係止片部となされ、該係止片部が近接する支持具本体
の中程に、下方へ凹曲した凹段部が形成されているた
め、係止溝部を係止片部に係止させた状態で軒樋を回動
させている際に、前耳部が凹段部内に納まって支障なく
回動でき、軒樋を支持具本体にスムーズに取着できるも
のである。又、前縦片の下端が軒樋の内底面に近接され
るように垂下延設されているため、軒樋の浮き上がりに
よるがたつきが防止されて該軒樋は確実に保持され、し
かも、軒樋を回動させて支持具本体に取着している際に
も、凹段部内に前耳部が納まった状態で軒樋は浮き上が
ることなく回動されて、前縦片の下端が軒樋の内底面に
摺接することもなく、スムーズに取着することができる
ものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例である軒樋支持具の使用状態
を示す断面図、第２図は同軒樋支持具を示す斜視図、第
３図は同軒樋支持具の施工状態を示す断面図、第４図は
各々別の実施例である軒樋支持具の使用状態を示す断面
図、第５図は本考案の従来例である軒樋支持具の施工状
態を示す断面図、第６図は別の従来例である軒樋支持具
の使用状態を示す概略断面図である。 図において、１は前壁部、２は前耳部、３は係止溝部、
４は軒樋、５は支持具本体、６は前縦片、７は係止片
部、８は凹段部である。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】前壁部が斜後方へ傾倒し、該前壁部の上端
   の前耳部が内方へ折り返って該前耳部の内側に係止溝部
   が形成された軒樋を保持する軒樋支持具であって、支持
   具本体の前端部に、軒樋の前壁部内面に沿った前縦片を
   設け、該前縦片の上端を軒樋の係止溝部に挿入係止され
   る係止片部となすと共に、同前縦片の下端を軒樋の内底
   面に近接されるように垂下延設し、前記係止片部が近接
   する支持具本体の中程に、下方へ凹曲した凹段部を形成
   してなる軒樋支持具。