JP2536993Y2 - 軒樋支持具 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、軒先に固定されて軒樋を支持する軒樋支持
具に関するものである。

〔従来の技術〕

従来から、第７図に示す如く、支持具本体（イ）の前
部、後部に各々軒樋耳保持部（ロ）を設けてなる軒樋支
持具は知られている。該軒樋支持具において支持具本体
（イ）は、保持部材（ハ）と取着部材（ニ）とがリベッ
トにて結合固着されて形成されている。取着部材（ニ）
の後端部は下方へ折曲していて、該折曲部分に取着板
（ホ）がリベットにて固着されており、該取着板（ホ）
において固定釘（ヘ）が打ち込まれることによって、同
取着部材（ニ）は軒先前面（ト）に取着固定されるもの
である。又、保持部材（ハ）の後部に設けられる軒樋耳
保持部（ロ）は、前方へ開口した略コ字型形状に形成さ
れており、該軒樋耳保持部（ロ）の下側前端には耳ガイ
ド片（チ）が垂設されている。同後側の軒樋耳保持部
（ロ）の前側には、耳外れ防止用の板バネ（リ）が保持
部材（ハ）の下面に固着されて設けられている。保持部
材（ハ）の前部に設けられる軒樋耳保持部（ロ）は、保
持部材（ハ）の前端部分が上方へ折曲して形成されてい
る。又、該軒樋支持具に保持される軒樋（ヌ）は、その
前後両上縁部分に前耳部（ル）、後耳部（オ）を有して
おり、前耳部（ル）は内方へ折り返っていてその内側に
係止溝部（ワ）が形成されている。該軒樋（ヌ）は、上
記形係止溝部（ワ）を前側の軒樋耳保持部（ロ）に係止
させて前耳部（ル）を保持させた後に、その後部を押し
上げるように回動させて後耳部（オ）を後側の軒樋耳保
持部（ロ）に嵌合保持させることによって、支持具本体
（イ）の保持部材（ハ）に取着されるものである。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、上記従来の技術においては、軒樋
（ヌ）の前壁部（カ）が外力によって変形し易く、しか
も、同前壁部（カ）が上下方向にがたつき動き易くて、
軒樋（ヌ）が確実に保持されないものであった。

そこで、第８図に示す如く、支持具本体（イ）の前端
部に、軒樋（ヌ）の前壁部（カ）内面に沿った前縦片
（ヨ）を設けた軒樋支持具が考えられた。該軒樋支持具
においては、前縦片（ヨ）が軒樋（ヌ）の前壁部（カ）
内面に当接して、該前壁部（カ）の変形が防止されると
共に、同前壁部（カ）が前縦片（ヨ）に沿って安定して
係止保持されて、軒樋（ヌ）ががたつかないように確実
に保持されるものである。しかしながら、この場合、軒
樋（ヌ）を上記の如く回動させて支持具本体（イ）に取
着させる際に、前縦片（ヨ）の下端が軒樋（ヌ）の内底
面に引っ掛かりながら摺接するため、該内底面が傷つき
易く、又、軒樋（ヌ）を支持具本体（イ）に取着し難い
ものである。

又、最近、第９図に示す如く、前壁部（カ）が後方へ
傾倒して上方開口が巾狭となった軒樋（ヌ）が、軒先と
の間で一体感を持たせるということで、一般住宅等に採
用されるようになってきている。この場合には、前壁部
（カ）が邪魔になって、前縦片（ヨ）を軒樋（ヌ）内へ
挿入し難く、しかも、同軒樋（ヌ）内部で前縦片（ヨ）
が回動し難いため、特に、軒樋（ヌ）を支持具本体
（イ）に取着し難くなるものである。

本考案は、上記従来の技術における問題を解決するた
めに考案されたものであり、すなわちその課題は、軒樋
の前壁部の変形が防止されると共に、同軒樋ががたつか
ないように確実に保持され、しかも、軒樋を支持具本体
に取着させ易い軒樋支持具を提供することである。

〔課題を解決するための手段〕

本考案の軒樋支持具は、支持具本体の前部、後部に各
々軒樋耳保持部を設けてなる軒樋支持具において、支持
具本体の前端部に、軒樋の前壁部内面に沿って後方へ傾
倒した前縦片を設けて該前縦片の前面上に軒樋の後方へ
傾倒した同前壁部が当接支持されるものとなし、同前縦
片の上端に前側の軒樋耳保持部を設けると共に、同前縦
片の下部を板バネ材にて形成して該板バネ材の下端を軒
樋の前壁部の下部に至るまで垂下延設してなるものであ
り、この構成によって上記課題が解決されたものであ
る。

〔作用〕

本考案の軒樋支持具においては、支持具本体の前端部
に、軒樋の前壁部内面に沿った前縦片が設けられ、該前
縦片の上端に前側の軒樋耳保持部が設けられているた
め、前縦片が軒樋の前壁部内面に当接して、該前壁部の
変形が防止されると共に、同前壁部が前縦片に沿って安
定して係止保持されて、軒樋ががたつかないように確実
に保持されるものである。

しかも、上記前縦片の下部が板バネ材にて形成されて
いるため、支持具本体を軒樋の内部に挿入して該軒樋を
回動させている際に、該板バネ材が弾性変形しながら軒
樋の内底面に滑らかに摺接して、該内底面が傷つき難
く、又、軒樋を支持具本体にスムーズに取着できるもの
である。すなわち、軒樋の前壁部内面に沿って後方へ傾
倒した前縦片が設けられているので、後方へ傾倒して上
方からの外力によって変形し易くなった軒樋の前壁部が
同前縦片の前面上に確実に当接支持されてその変形が防
止されるものであり、しかも、板バネ材の下端が軒樋の
前壁部の下部に至るまで垂下延設されているので、該板
バネ材によって軒樋のがたつきが防止され、又、軒樋を
取着している際には同板バネ材が弾性変形して該軒樋の
内底面に傷をつけることなくスムーズに取着することが
できるものである。

〔実施例〕

以下、本考案を、図面に示した実施例に基づいて詳細
に説明する。

第１図、第２図、第３図に示す軒樋支持具は、本考案
の一実施例で、支持具本体１の前部、後部に各々軒樋耳
保持部２を設けてなる軒樋支持具において、支持具本体
１の前端部に、軒樋３の前壁部４内面に沿って後方へ傾
倒した前縦片５を設けて該前縦片５の前面上に軒樋３の
後方へ傾倒した同前壁部４が当接支持されるものとな
し、同前縦片５の上端に前側の軒樋耳保持部２を設ける
と共に、同前縦片５の下部を板バネ材６にて形成して該
板バネ材６の下端を軒樋３の前壁部４の下部に至るまで
垂下延設してなるものである。

支持具本体１は、保持部材７と取着部材８とがボルト
９と蝶ナット10で結合固着されて形成されている。この
場合、保持部材７及び取着部材８は、いずれも断面略コ
字状の金属製型材を折曲加工して形成されたものであ
り、両者の結合部分は相互に重合嵌合されており、又、
該結合部分において、上記ボルト９が保持部材７に穿設
されたスライド用長孔11に貫通されているため、保持部
材７は取着部材８に対して前後方向にスムーズにスライ
ド移動されてその位置調節がなされるものである。

取着部材８の後端部は下方へ折曲していて、該折曲部
分にリベット12にて取着板13が固着されている。該取着
板13の両側には各々上下に取着孔14が穿設されており、
該取着孔14に固定釘15が挿通されて軒先前面16に打ち込
まれることによって、同取着部材８は軒先前面16に取着
固定されるものである。又、前記取着板13の上下両取着
孔14の間には、該取着孔14よりも大径のアンカーボルト
用取着孔17が穿設されており、該アンカーボルト用取着
孔17を採用して、アンカーボルトによっても、同取着部
材８は軒先前面16に固定され得るものである。

保持部材７の後部に設けられる軒樋耳保持部２は、前
方へ開口した略コ字型形状に形成されており、この場
合、保持部材７の後端部分が下方へ折曲され、該折曲垂
下部18に折曲金属部材19がリベット12にて固着されるこ
とによって形成されている。該軒樋耳保持部２の下側前
端には耳ガイド片20が斜め後方へ傾斜して垂設されてい
る。同後側の軒樋耳保持部２の前側には耳外れ防止ピン
21が、保持部材７及び取着部材８に上下方向スライド自
在に貫通保持されて設けられている。この場合、該耳外
れ防止ピン21は取着部材８に穿設された長孔22に貫通さ
れているため、上記保持部材７の取着部材８に対するス
ライド移動は支障なくなされるものである。

保持部材７の前端部には前縦片５が、リベット12にて
結合固着されて設けられている。該前縦片５も断面略コ
字状の金属製型材を折曲加工して形成されたものであ
り、保持部材７との結合部分は相互に重合嵌合されてい
て、該前縦片５は回動しないように確実に固着されてい
る。又、同断面略コ字状の金属製型材でなる前縦片５の
下端内面に、板バネ材６の上端がリベット12にて結合固
着されることにより、該板バネ材６にて同前縦片５の下
部が形成されている。又、同前縦片５の上端には、屈曲
状の前側の軒樋耳保持部２が一体に形成されている。

軒樋３は、合成樹脂層23内に金属薄板24がインサート
されて帯板状に一体に押出成形されたものを、所望の樋
形状に折り曲げ加工して形成されたものである。該軒樋
３においては、前壁部４が後方へ傾倒した形状となっ
て、その上方開口が巾狭となっている。又、前壁部４の
上端部分には中空形状の前耳部25が、軒樋３の後上端部
分には中空形状の後耳部26が、各々一体に形成されてい
る。前耳部25は内方へ折り返っていて、その内側に係止
溝部27が形成されている。

すなわち、この場合、第４図に示す如く、支持具本体
１の保持部材７と共に前縦片５を軒樋３の内部に挿入
し、係止溝部27を前側の軒樋耳保持部２に係止させて前
耳部25を保持させ、前縦片５上に前壁部４を支持させ、
軒樋３を回動させるようにその後部を押し上げて、後耳
部26を後側の軒樋耳保持部２に挿入係合させるものであ
る。その際、後耳部26は耳ガイド片20に摺接されてスム
ーズに後側の軒樋耳保持部２へと案内され、同軒樋耳保
持部２に係合された後耳部26は、下降した耳外れ防止ピ
ン21によって外れないように保持されるものである。

したがって、該実施例においては、支持具本体１の保
持部材７の前端部に、軒樋３の斜め後方へ傾倒した前壁
部４内面に沿った前縦片５が設けられ、該前縦片５の上
端に前側の軒樋耳保持部２が設けられているため、前縦
片５が軒樋３の前壁部４内面に当接して、該前壁部４の
変形が防止されると共に、同前壁部４が前縦片５に沿っ
て安定して係止保持されて、軒樋３ががたつかないよう
に確実に保持されるものである。

しかも、上記前縦片５の下部が板バネ材６にて形成さ
れているため、支持具本体１の保持部材７と共に前縦片
５を軒樋３の内部に挿入して該軒樋３を回動させている
際に、該板バネ材６が弾性変形しながら軒樋３の内底面
に滑らかに摺接して、該内底面が傷つき難く、又、軒樋
３を支持具本体１にスムーズに取着できるものである。
すなわち、軒樋３の前壁部４内面に沿って後方へ傾倒し
た前縦片５が設けられているので、後方へ傾倒して上方
からの外力によって変形し易くなった軒樋３の前壁部４
が同前縦片５の前面上に確実に当接支持されてその変形
が防止されるものである。しかも、板バネ材６の下端が
軒樋３の前壁部４の下部に至るまで垂下延設されている
ので、該板バネ材６によって軒樋３のがたつきが防止さ
れ、又、軒樋３を取着している際には同板バネ材６が弾
性変形して該軒樋３の内底面に傷をつけることなくスム
ーズに取着することができるものである。

なお、本考案の軒樋支持具においては、第５図に示す
実施例の如きであっても良いものである。すなわち、該
実施例の軒樋支持具は、上記実施例における軒樋３とは
前壁部４の形状が異なった軒樋３を保持するものであ
り、湾曲状の前壁部４の内面に沿った湾曲形状の前縦片
５を有するものである。又、該実施例の軒樋支持具にお
いては、断面略コ字状の金属製型材でなる前縦片５の下
端内面に、板バネ材６の上端が溶接結合されることによ
り、該板バネ材６にて同前縦片５の下部が形成されてい
る。

又、本考案の軒樋支持具においては、第６図に示す実
施例の如きであっても良いものである。すなわち、該実
施例の軒樋支持具においては、支持具本体１が保持部材
７と取着部材８とでなり、両者はリベット12にて相互に
移動しないように結合固着されている。又、該軒樋支持
具に保持される軒樋３は、その前壁部４が屈曲状に前方
へ膨曲しており、該前壁部４の中程及び上部の内面に沿
った屈曲形状の前縦片５が、支持具本体１の前端部に設
けられている。又、保持部材７の前端部と前縦片５とを
結合するリベット12によって、板バネ材６の上端が同時
に結合固着されている。

〔考案の効果〕

上述の如く、本考案の軒樋支持具においては、支持具
本体の前端部に、軒樋の前壁部内面に沿った前縦片が設
けられ、該前縦片の上端に前側の軒樋耳保持部が設けら
れているため、前壁部の変形が防止されると共に、軒樋
ががたつかないように確実に保持されるものであり、し
かも、上記前縦片の下部が板バネ材にて形成されている
ため、支持具本体を軒樋の内部に挿入して該軒樋を回動
させている際に、該板バネ材が弾性変形しながら軒樋の
内底面に滑らかに摺接して、該内底面が傷つき難く、
又、軒樋を支持具本体にスムーズに取着できるものであ
る。すなわち、後方へ傾倒して上方からの外力によって
変形し易くなった軒樋の前壁部が前縦片の前面上に確実
に当接支持されてその変形が防止され、しかも、板バネ
材によって軒樋のがたつきが防止され、又、軒樋を取着
している際には同板バネ材が弾性変形して該軒樋の内底
面に傷をつけることなくスムーズに取着することができ
るものである。

【図面の簡単な説明】 第１図は本考案の一実施例である軒樋支持具の使用状態
を示す断面図、第２図は同軒樋支持具を示す斜視図、第
３図は同軒樋支持具の要部斜視図、第４図は同軒樋支持
具の施工状態を示す断面図、第５図、第６図、は各々別
の実施例である軒樋支持具の使用状態を示す断面図、第
７図は本考案の従来例である軒樋支持具の使用状態を示
す断面図、第８図は同軒樋支持具の改善状態である軒樋
支持具の施工状態を示す断面図、第９図は別の従来例で
ある軒樋支持具の使用状態を示す断面図である。 図において、１は支持具本体、２は軒樋耳保持部、３は
軒樋、４は前壁部、５は前縦片、６は板バネ材である。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】支持具本体の前部、後部に各々軒樋耳保持
   部を設けてなる軒樋支持具において、支持具本体の前端
   部に、軒樋の前壁部内面に沿って後方へ傾倒した前縦片
   を設けて該前縦片の前面上に軒樋の後方へ傾倒した同前
   壁部が当接支持されるものとなし、同前縦片の上端に前
   側の軒樋耳保持部を設けると共に、同前縦片の下部を板
   バネ材にて形成して該板バネ材の下端を軒樋の前壁部の
   下部に至るまで垂下延設してなる軒樋支持具。