JP2979659B2 - 軒樋支持装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、軒先の前下方に軒樋を
支持せしめてなる軒樋支持装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来から、図５に示す如く、軒先前面
（イ）に固定される軒樋支持具（ロ）に軒樋（ハ）を支
持せしめてなる軒樋支持装置は知られている。該軒樋支
持装置においては、軒先の前下方に軒樋（ハ）が支持さ
れており、屋根先から流下する雨水を軒樋（ハ）が受け
るものである。

【０００３】又、該軒樋支持装置においては、軒樋
（ハ）が前壁部（ニ）と後壁部（ホ）を有する角樋形状
に形成されており、前壁部（ニ）及び後壁部（ホ）の両
上端部分には、中空形状の耳部（ヘ）が一体に形成され
ている。

【０００４】又、軒樋支持具（ロ）は、軒先前面（イ）
に取着固定される固定部材（ト）の前端部分に、リベッ
ト（チ）にて軒樋（ハ）を保持する保持部材（リ）が結
合固着されて形成されている。この場合、固定部材
（ト）の後端部は下方へ折曲していて、該折曲部分にリ
ベット（チ）にて固定板（ヌ）が結合固着されており、
該固定板（ヌ）において固定釘（ル）が打ち込まれるこ
とによって、該固定部材（ト）は軒先前面（イ）に取着
固定されている。又、保持部材（リ）の前後両端部に
は、略コ字型に折曲した耳保持部（オ）が形成されてお
り、該両耳保持部（オ）に軒樋（ハ）の両耳部（ヘ）が
係合されることによって、該保持部材（リ）に軒樋
（ハ）が保持されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の技術においては、軒樋（ハ）の下端角部（ワ）と軒
先前面（イ）との間に隙間が発生しており、下方からの
外観が良くないものであった。

【０００６】それなれば、軒樋（ハ）の下端角部（ワ）
と軒先前面（イ）との間隔を閉塞するカバ−材（カ）を
設ければ良いのであるが、この場合には、同カバ−材
（カ）を軒先下面に固着釘（ヨ）を打ち込んで固定する
こととなり、施工が面倒になるだけでなく、下方からの
外観についても、異部材であるカバ−材（カ）が現出す
ると共に、固着釘（ヨ）の頭部が露出して、充分には満
足できるものとはならないものであった。

【０００７】本発明は、上記従来の技術における問題を
解決するために発明されたものであり、すなわちその課
題は、下方からの外観が良好となるように簡単に施工さ
れる軒樋支持装置を提供することである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明の軒樋支持装置
は、軒樋支持具に支持される軒樋の後壁部を前方へ傾倒
させて、該後壁部の下端角部を軒先前面に近接せしめて
なるものにおいて、軒樋支持具に垂設される押さえ片を
軒樋の後壁部の内面に押圧させて、該後壁部を前方へ傾
倒した状態に保持させてなるものであり、この構成によ
って上記課題が解決されたものである。

【０００９】

【作用】本発明の軒樋支持装置においては、軒樋の後壁
部が前方へ傾倒されて、該後壁部の下端角部が軒先前面
に近接されていて、軒樋の下端角部と軒先前面との間に
大きな隙間は存在せず、又、軒樋自体にて隙間が塞がれ
るものであり、同軒樋の後壁部が前方へ傾倒されるだけ
の簡単な構成であるため、施工も簡単なものである。し
かも、この場合に、軒樋支持具に垂設される押さえ片が
軒樋の後壁部の内面に押圧されて、該後壁部は前方へ傾
倒した状態に保持されているため、変形し易い軒樋に大
雨等で多大な荷重がかかっても、該軒樋の後壁部は変形
せずにその前方へ傾倒した状態が保持されて、該後壁部
の下端角部と軒先前面との間に大きな隙間も発生せず、
良好な外観を確保することができるものである。

【００１０】

【実施例】図１に示す軒樋支持装置は、本発明の一実施
例で、軒樋支持具10に支持される軒樋１の後壁部２を前
方へ傾倒させて、該後壁部２の下端角部３を軒先前面４
に近接せしめてなるものにおいて、軒樋支持具10に垂設
される押さえ片20を軒樋１の後壁部２の内面に押圧させ
て、該後壁部２を前方へ傾倒した状態に保持させてなる
ものである。

【００１１】軒樋１は、合成樹脂層５内に薄肉帯状金属
板６をインサ−トして、一体に押出成形されたものであ
る。該軒樋１においては、前壁部７が後壁部２よりも高
く前方へ膨曲しており、又、後壁部２は前方へ傾倒して
いてその下端角部３が軒先前面４に近接している。該前
壁部７及び後壁部２の上端部には各々中空状の耳部８が
一体に形成されており、前壁部７の耳部８は内側に折り
返っていて該耳部８の内側には係止溝部９が設けられて
いる。

【００１２】又、軒樋１は、軒先前面４に固定される軒
樋支持具10に支持されている。該軒樋支持具10は、図２
にも示す如く、軒先前面４に取着固定される固定部材11
と軒樋１を保持する保持部材12とでなり、両者はリベッ
ト13にて結合固着されて一体化されている。この場合、
固定部材11の後端部は下方へ折曲していて、該折曲部分
にリベット13にて固定板14が結合固着されており、該固
定板14にはその両側に取着孔15が穿設されていて、該取
着孔15に固定釘16が挿入され打ち込まれることによっ
て、該固定部材11は軒先前面４に取着固定されている。
又、保持部材12の前端部には、軒樋１の前壁部７の内面
に沿うように折曲した前支持片17がリベット13にて結合
固着されており、該前支持片17の上側に軒樋１の前壁部
７が載置支持されると共に、同前支持片17の上端折曲部
18が軒樋１の係止溝部９に挿入係止されて、同軒樋１の
前壁部７は保持されている。又、保持部材12の後端部に
は、前方へ開口した略コ字型の耳係合部19が一体に形成
されており、該耳保持部19に軒樋１の後側の耳部８が係
合保持されている。

【００１３】このように軒樋１は軒樋支持具10に支持さ
れるのであるが、軒樋支持具10の固定部材11と保持部材
12との結合部分には、同リベット13にて押さえ片20が回
動自在に結合固着されて垂設されており、該押さえ片20
にて軒樋１の後壁部２が前方へ傾倒するように強制的に
変形されて保持されるものである。すなわち、軒樋１の
後壁部２は製品形態においては直立状態であるが、軒樋
支持具10に取り付けた際に、上記押さえ片20を回動させ
て同後壁部２の内面に押圧させ強制的に折曲変形させ
て、前方へ傾倒した状態に保持されるものである。又、
この場合、軒樋１の後側の耳部８を軒樋支持具10の耳係
合部19に係合保持させる際には、押さえ片20を回動させ
て邪魔にならないように退避させることができるもので
ある。又、該押さえ片20の長さ寸法或いは傾斜角度等
は、軒先前面４からの距離に対応する軒樋支持具10の固
定板14と耳係合部19との間隔寸法に応じて適宜設定され
るものである。

【００１４】又、該実施例の軒樋支持装置においては、
図３に示す如き軒樋継手21が使用されるものである。該
軒樋継手21は合成樹脂にて一体に形成されたものであ
り、軒樋１の前壁部７に沿って前方へ膨曲した前片部22
と、軒樋１の後壁部２の傾斜に対応するように前後方向
傾倒自在となった後片部23とを有するものであって、該
前片部22と後片部23の上端部には、各々軒樋１の前壁部
７の上縁部分及び後側の耳部８に係止される係止折曲部
24が形成されている。この場合、後片部23は、その下端
部と上端の係止折曲部24の基部とに各々軟質合成樹脂に
て一体に形成された屈曲自在部25が設けられて、前後方
向に傾倒自在となっている。すなわち、該軒樋継手21
は、接続されるべき軒樋１の両端部の外周面に嵌着され
て、該両軒樋１の端部を接続するものである。

【００１５】又、該実施例の軒樋支持装置においては、
図４に示す如き止まり26が使用されるものである。該止
まり26も合成樹脂にて一体に形成されたものであり、止
まり本体板27の周縁部分に側方へ開口した嵌合溝部28を
有するものであって、該嵌合溝部28に軒樋１の端縁部が
挿入嵌合されて、該軒樋１の端部開口を閉塞するもので
ある。この場合、軒樋１の後壁部２の傾斜角度の変化に
対応できるように、止まり本体板27の後部分には側方へ
開口した傾斜角度の異なる複数個の傾斜嵌合溝29が設け
られている。

【００１６】したがって、該実施例の軒樋支持装置にお
いては、軒樋１の後壁部２が、施工の際に軒樋支持具10
の押さえ片20によって強制的に変形保持されて、前方へ
傾倒された状態となっており、該後壁部２の下端角部３
が軒先前面４に近接されていて、軒樋１の下端角部３と
軒先前面４との間に大きな隙間が存在せず、又、軒樋１
自体にて隙間が塞がれるものであり、同軒樋１の後壁部
２が前方へ傾倒されるだけの簡単な構成であるため、施
工も簡単なものである。しかも、この場合に、軒樋１の
前壁部７を後壁部２よりも高く前方へ膨曲するように形
成して、該前壁部７の上端部を屋根先の延長線上に略連
続するように位置させると共に、同後壁部２の下端角部
３を軒先前面４と軒天井面とのなすコーナーに略同じ高
さ位置で近接させているため、軒樋１の下側、上側の両
方で軒先と略連続した一体感のある外観となり、その際
に、下方から見て軒樋１と軒先との間に大きな隙間が現
出せず、良好な外観が得られるものである。

【００１７】更に、該実施例の軒樋支持装置において
は、上記の場合に、軒樋支持具10に垂設される押さえ片
20が軒樋１の後壁部２の内面に押圧されて、該後壁部２
は前方へ傾倒した状態に保持されているため、薄肉で折
曲変形し易い軒樋１に大雨等で多大な荷重がかかって
も、該軒樋１の後壁部２は変形せずにその前方へ傾倒し
た状態が保持されて、該後壁部２の下端角部３と軒先前
面４との間に大きな隙間も発生せず、良好な外観を確保
することができるものである。

【００１８】

【発明の効果】上述の如く、本発明の軒樋支持装置にお
いては、軒樋の後壁部が前方へ傾倒されて、該後壁部の
下端角部が軒先前面に近接されているため、軒樋の下端
角部と軒先前面との間に大きな隙間は存在せず、しか
も、軒樋自体にて隙間を塞ぐため、簡単に施工されるも
のである。更に、この場合に、軒樋支持具に垂設される
押さえ片が軒樋の後壁部の内面に押圧されて、該後壁部
は前方へ傾倒した状態に保持されているため、変形し易
い軒樋に大雨等で多大な荷重がかかっても、該軒樋の後
壁部は変形せずにその前方へ傾倒した状態が保持され
て、該後壁部の下端角部と軒先前面との間に大きな隙間
も発生せず、良好な外観を確保することができるもので
ある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例である軒樋支持装置を示す断
面図である。

【図２】同実施例において使用される軒樋支持具を示す
斜視図である。

【図３】同実施例において使用される軒樋継手を示す斜
視図である。

【図４】同実施例において使用される止まりを示す斜視
図である。

【図５】本発明の従来例である軒樋支持装置を示す断面
図である。

【符号の説明】

１ 軒樋 ２ 後壁部 ３ 下端角部 ４ 軒先前面10 軒樋支持具 20 押さえ片

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 軒樋支持具に支持される軒樋の後壁部を
   前方へ傾倒させて、該後壁部の下端角部を軒先前面に近
   接せしめてなる軒樋支持装置であって、軒樋支持具に垂
   設される押さえ片を軒樋の後壁部の内面に押圧させて、
   該後壁部を前方へ傾倒した状態に保持させてなる軒樋支
   持装置。