JP2534859Y2 - ピーナツ形カリバ圧延機の入口ガイド装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は１本の圧延材料を花形カ
リバ圧延機およびその下流側に配置されたピーナツ形カ
リバ圧延機を包含する一連のカリバ圧延機で圧延するこ
とにより、圧延材の圧延方向に沿って薄肉の分離溝を形
成し、この分離溝を境にして圧延材を分離し、複数本の
棒鋼を製造する装置におけるピーナツ形カリバ圧延機の
入口ガイド装置の改良に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】棒鋼圧延においては、一本の圧延材料を
圧延途中で圧延方向に沿って複数分割して同時に複数本
の棒鋼を製造することにより生産性を高める分割圧延方
法が採られている。この分割圧延では途中の工程を省略
したが、図４に示すように素材となるビレット等の圧延
材１ａは、そのパススケジュールに従ってカリバ（孔
型）ロールによる複数パスのカリバ圧延が施され、花形
状圧延材１ｂからピーナツ形状圧延材１ｃへと形状の変
化を経て、中央部の上下面で圧延方向に沿う薄肉凹部を
有するメガネ形状圧延材１ｄに成形され、次いでメガネ
形状圧延材１ｄは、分割装置を用いてａの状態からｂの
状態のように引き裂かれて二本の棒状圧延材１ｅに分割
されることになる。その後、複数本の棒状圧延材１ｅの
同時圧延を行って製品棒鋼とすることで生産性の向上を
図っている。

【０００３】図５に示すように、圧延材１ａは花形カリ
バ圧延機２を用いてカリバ圧延されて花形状圧延材１ｂ
となり、その直後、出側に配置されたツイスト用ローラ
ガイド３により45°だけ角度をツイスト（よじる）さ
れ、下流側のサポートローラ11を経由してローラガイド
４で案内されながらピーナツ形カリバ圧延機２’に導か
れ、ピーナツ形状圧延材１ｃにカリバ圧延される。な
お、12はサポートローラ11の間に配置したキックローラ
を示す。

【０００４】図７、図８は一対の花形カリバロール20に
よる圧延材１ａのカリバ圧延時の圧延状態を示すもので
あるが、図７は垂直圧延機での圧延状態を、図８は水平
圧延機での圧延状態を、それぞれ示している。図７にお
いては垂直圧延用のカリバロール20を用いて左右方向
が、図８においては水平圧延用のカリバロール20を用い
て上下方向が、それぞれ圧延成形されるので、圧延材１
ａにおけるこれらの面はカリバ形状に合った規定寸法に
仕上がる成形面となる。しかし、その逆方向、すなわち
図７で上下が、また図８では左右が、それぞれ解放状態
となっており、この部分は圧延材が自由に噛み出した無
拘束不定形凸部となる。このため、当該圧延機のカリバ
ロール20での圧下量の変化、圧延材温度、材質、ロール
摩耗、前段ルーパによる張力状態等により、圧延材１ａ
の仕上り寸法が微小変化するため無拘束不定形凸部の形
状寸法のバラツキが生じる。

【０００５】図７、図８に示した垂直カリバロール20あ
るいは水平カリバロール20を用いて圧延材１ａを花形形
状に圧延した場合いずれの場合にも、図５に示すよう
に、後続のピーナツ形カリバ圧延機２’の手前で、花形
状圧延材１ｂをローラガイド３を介して45°ツイストし
た水平状態にすると、無拘束不定形凸部が上下部から斜
め45°方向、または左右両側部から斜め45°方向に移動
した花形状圧延材１ｂ’の状態（図４参照）になり、ピ
ーナツ形カリバ圧延機２’に噛込む時にはこの無拘束不
定形凸部は、両側対角線方向に位置するようになる。

【０００６】花形状圧延材１ｂ’を花形カリバ圧延機２
からピーナツ形カリバ圧延機２’に誘導した当初の状態
（図５）から、花形状圧延材１ｂ’をキックローラ12を
介してループ形成状態（図６）に移行してカリバ圧延が
なされる。この場合、ピーナツ形カリバ圧延機２’に導
かれる花形状圧延材１ｂ’は、45°ツイスト時の捩じり
の影響やループ形成時の曲がりの影響を取り除いてから
カリバロールに正確に誘導することが必須の条件とな
る。

【０００７】このために、従来はピーナツ形カリバ圧延
機２’の入口に配置される入口ガイド装置13には、軸方
向同一の２〜３列のガイドローラ４を直列に配列して花
形状圧延材１ｂ’を誘導することが行われている。一対
のピーナツ形カリバロール20を有するピーナツ形カリバ
圧延機２’の入口に配置される入口ガイド装置13は、図
９に示すようにツイストした後の花形状圧延材１ｂ’を
案内する入口側の大きい入口ガイド13ａと、その後部に
直列に配列され軸方向が同一方向に向いた前後２個の円
柱状の垂直ガイドローラ４から主として構成されてい
る。花形状圧延材１ｂ’は、まず入口ガイド13ａにガイ
ドされた後に、前後の垂直ガイドローラ４に誘導されて
ピーナツ形カリバ圧延機２’に導かれてピーナツ形状圧
延材１ｃにカリバ圧延される。

【０００８】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、花形状
圧延材１ｂ’からツイスト時の捩れ、ループによる曲げ
の影響を取除くことが困難であるのに加え、入口ガイド
装置13の垂直ガイドローラ４を、花形状圧延材１ｂ’と
隙間のないようにセットしても形状寸法のバラツキがあ
る無拘束不定形凸部の存在のため、図10に示すように、
一対の垂直ガイドロール４間でさらに捩れた状態（１
ｂ''）となってセンタリング性が悪く、ピーナツ形カリ
バ圧延機２’のカリバロール20に対し、正確に水平状態
を保って誘導することができない。

【０００９】従って、後続するピーナツ形カリバ圧延
時、さらにこれに引続くメガネ形カリバ圧延時に左右の
仕上がり寸法が異なり、分割装置の入口側での誘導装置
によるセンタリング誘導が困難となり、結果として分割
時の左右等分割不良となる。このため飛出し、ガイド詰
り等のトラブルの原因となるばかりか、分割後の複数本
同時圧延に際しても左右のマスバランスの違いによる圧
延機間のループ量の違いが発生し、ループコントロール
等の圧延操業性が悪化するという問題があった。

【００１０】本考案は、前述のような従来技術の問題点
を解消し、花形状圧延材の確実なセンタリング誘導を実
現するピーナツ形カリバ圧延機の入口ガイド装置を提供
することを目的とするものである。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本考案は、一本の圧延材
料を花形カリバ圧延機とその下流側に配置されたピーナ
ツ形カリバ圧延機とを包含する一連のカリバ圧延機で圧
延することにより、圧延材の圧延方向に沿って薄肉の分
離溝を形成し、この分離溝を境にして圧延材を分離して
複数本の棒鋼を製造する装置におけるピーナツ形カリバ
圧延機の入口ガイド装置であって、前記花形カリバ圧延
機でカリバ圧延された後、45°ツイストされた状態にあ
る花形状圧延材のロール成形面である定形凹部に沿いセ
ンタリング誘導する凸状部を有するローラの対からな
り、かつ対をなすローラ間の間隔を調整自在とした垂直
ガイドローラと水平ガイドローラとを、前記ピーナツ形
圧延機の入口に交互に複数基配置したことを特徴とする
ピーナツ形カリバ圧延機の入口ガイド装置である。

【００１２】

【作用】本考案によれば、花形カリバ圧延機が垂直型で
あっても水平型であっても、圧延により規定寸法に成形
された花形状圧延材の定形凹部に沿ってセンタリング誘
導することができるため、花形状圧延材を後続のピーナ
ツ形カリバ圧延機に正確に導くことができる。その結
果、カリバ圧延時の左右のマスバランスを均一にするこ
とができ、圧延材の仕上がり寸法の精度を向上すること
ができる。

【００１３】

【実施例】以下、本考案の一実施例を図１〜図３に基づ
いて説明する。なお、前記した従来例と同じものには同
一符号を付し説明を省略する。図１は、垂直型の花形カ
リバ圧延機２で圧延された花形状圧延材１ｂが後続する
ピーナツ形カリバ圧延機２’に噛み込まれた後に、キッ
クローラ12を用いてループコントロール制御されている
圧延状態を示している。

【００１４】花形カリバ圧延機２によりカリバ圧延され
た花形状圧延材１ｂは、ツイスト用ローラガイド３を用
いて45°ツイストした花形状圧延材１ｂ’として前後の
サポートローラ11で支持される共にキックローラ12でル
ープコントロール制御されながら、入口ガイド13ａを経
て前段の垂直ガイドローラ５に導き、続いて水平ガイド
ローラ５’に導くのである。このように本考案では、ピ
ーナツ形カリバ圧延機２’の入口に配置される入口ガイ
ド装置13として、垂直ガイドローラ５と水平ガイドロー
ラ５’とを交互に複数基配置するものである。

【００１５】図２、図３に、垂直ガイドローラ５、水平
ガイドローラ５’の概略を部分断面を示す正面図として
示した。垂直ガイドローラ５および水平ガイドローラ
５’は、いずれも花形状圧延材のロール成形面である定
形凹部に入り込む凸状部を有するローラの対からなり、
この凸状部が花形圧延材１ｂ’の定形凹部に接触しつつ
センタリング誘導するようになっている。

【００１６】対をなすローラの間隔は、公知のローラガ
イド間隔調整手段と同様に偏心軸等を使用してその間隔
を調整できる構造となっている。例えば、対をなす各ロ
ーラは、ベアリング７を介して偏心軸６に回転自在にケ
ーシング10内にそれぞれ保持されており、偏心軸６の軸
端部にウォームホイール８が固着され、これに噛み合う
ウォーム軸９を回転することにより、対をなすローラの
間隔を調整できる構造とする。

【００１７】図１に示すように、この入口ガイド装置13
に配置された垂直ガイドローラ５、水平ガイドローラ
５’は、ピーナツ形カリバ圧延機２’のカリバ芯に合わ
せてセットする。この実施例では、前段に垂直ガイドロ
ーラ５を１基、後段に水平ガイドローラ５’を１基配置
しているが、本考案ではこれに限定されるものではな
く、また、センタリング誘導の顕著な効果を得るには、
これらを３基以上として交互に配置する必要がある。

【００１８】さて、垂直型の花形カリバ圧延機２により
カリバ圧延された花形状圧延材１ｂは、ロール成形され
た定形凹部が左右に、また無拘束不定形凸部が上下に発
生しているが、ツイスト用のローラガイド３により45°
ツイストされると共に前後段のサポートローラ11に支持
された花形状圧延材１ｂ’は、キックローラ２によりル
ープコントロールされて水平状態となって入口ガイド13
a に導かれる。この水平状態となった花形状圧延材１
ｂ’での定形凹部は、上下および左右に、また無拘束不
定形凸部は斜め方向に移動している。

【００１９】この状態で、入口ガイド装置13に配置した
垂直ガイドローラ５と水平ガイドローラ５’を用いるこ
とで、ツイスト、ループコントロールに起因する捩じれ
および曲げによる花形状圧延材１ｂ’への影響を取り除
きながら、花形状圧延材１ｂ’を正確にピーナツ形カリ
バ圧延機２’に導くことができる。この花形状圧延材１
ｂ’の定形凹部は、上下および左右に存在するので、花
形状圧延材１ｂ’は、左右の定形凹部に沿う前段側の垂
直ガイドローラ５および上下の定形凹部に沿う後段側の
水平ガイドローラ５’によりセンタリング誘導されるの
で、本来あるべき正しい姿勢状態でピーナツ形カリバ圧
延機２’に導かれる。その結果、ピーナツ形カリバ圧延
機２’によってカリバ圧延される時にピーナツ形状圧延
材１ｃの左右のマスバランスを均一にすることができ、
圧延材の仕上がり寸法の精度を向上することができる。

【００２０】以上、説明したように、本考案が意図する
作用は、ツイストおよびループコントロールする時の捩
れおよび曲げによる花形状圧延材への影響を入口ガイド
装置13の垂直ガイドロール５、水平ガイドロール５’を
用いて取り除き、本来あるべき姿勢状態にしてピーナツ
形カリバ圧延機に正確にセンタリング誘導することであ
り、花形カリバ圧延時のロールによる成形面である定形
凹部を、これに合致するローラ形状を有した垂直ガイド
ロール、水平ガイドロールでガイディングすることが必
須である。

【００２１】したがって、垂直ガイドロール、水平ガイ
ドロールの配置における前後関係は、実施例に限定され
るものではないが、これらを３基以上配置する場合に
は、垂直ガイドロールと水平ガイドロールとを交互配置
することがセンタリング効果を顕著に発揮させる上で必
要となる。また、対をなすローラ間の間隔調整装置は、
実施例で示したウォーム、ウォームホイールと偏心軸の
組合わせ装置に限定されるものではなく、その他の手段
を用いることも可能である。

【００２２】

【考案の効果】本考案によれば、花形カリバ圧延時のカ
リバロールによる無拘束不定形凸部に起因した花形状圧
延材のピーナツ形カリバ圧延機への誘導の不安定さを解
決し、正確に精度よく誘導することができるので、後工
程で発生していた圧延材の分割時の等分割不良、飛出
し、ガイド詰り等のトラブルが解消され、この結果、圧
延の操業性が良好になると共に安定した生産を実現する
ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案装置の配置を示す概略側面図である。

【図２】（ａ）は垂直ガイドローラを一部断面で示す正
面図であり、（ｂ）は（ａ）のＡ−Ａ矢視図である。

【図３】（ａ）は水平ガイドローラを一部断面で示す正
面図であり、（ｂ）は（ａ）のＡ−Ａ矢視図である。

【図４】パススケジュールを示すフロー図である。

【図５】従来装置の配置においてループコントロールす
る前を示す概略側面図である。

【図６】従来装置の配置においてループコントロールし
ている状態を示す概略側面図である。

【図７】垂直カリバロールによる圧延状況を示す説明図
である。

【図８】水平カリバロールによる圧延状況を示す説明図
である。

【図９】従来の入口ガイド装置を示す側面図である。

【図１０】従来のガイドローラによる花形状圧延材のガ
イド状況を示す説明図である。

【符号の説明】

１ａ 圧延材 １ｂ 花形状圧延材 １ｃ ピーナツ形状圧延材 １ｄ メガネ形状圧延材 １ｅ 棒状圧延材 ２ 花形カリバ圧延機 ２’ ピーナツ形カリバ圧延機 ３ ツイスト用ローラガイド ４ ガイドローラ ５ 垂直ガイドローラ ５’ 水平ガイドローラ ６ 偏心軸 ７ ベアリング ８ ウォームホイール ９ ウォーム軸 10 ケーシング 11 サポートローラ 12 キックローラ 13 入口ガイド装置

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 一本の圧延材料を花形カリバ圧延機とそ
   の下流側に配置されたピーナツ形カリバ圧延機とを包含
   する一連のカリバ圧延機で圧延することにより、圧延材
   の圧延方向に沿って薄肉の分離溝を形成し、この分離溝
   を境にして圧延材を分離して複数本の棒鋼を製造する装
   置におけるピーナツ形カリバ圧延機の入口ガイド装置で
   あって、前記花形カリバ圧延機でカリバ圧延された後、
   45°ツイストされた状態にある花形状圧延材のロール成
   形面である定形凹部に沿いセンタリング誘導する凸状部
   を有するローラの対からなり、かつ対をなすローラ間の
   間隔を調整自在とした垂直ガイドローラと水平ガイドロ
   ーラとを、前記ピーナツ形圧延機の入口に交互に複数基
   配置したことを特徴とするピーナツ形カリバ圧延機の入
   口ガイド装置。