JP4336031B2 - 棒線材圧延機の張力制御方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、棒線材の連続熱間圧延ラインの仕上げ圧延などにおいて、圧延機間の張力を適正範囲に制御するための方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
棒鋼や鋼線材の連続熱間圧延において、仕上げ圧延での圧延機間の張力が変動すると圧延製品の直径や真円度が変動する。線材の場合は、このほかレーイングヘッドで形成されるリング径が変動し、非同心リング状にしてコンベア上を搬送する際のトラブル原因となり、該コンベア上で熱処理する場合は製品の材質が変動する。さらにコイル集束やコイル結束においてもトラブル原因となる。このため圧延機間の張力制御が必要である。
【0003】
棒線材圧延における従来の張力制御方法としては、圧延機間での圧延材ループ量が一定に維持されるように制御するループ制御が最も一般的に行われている。しかし、レイアウト上、圧延機間の距離が十分確保できない場合や、高速圧延の場合には、ループ制御では圧延機モーターの制御が追従し難く、十分な制御を行うことができない。
【0004】
特許第2789796号公報には、圧延機間での圧延材の脈動を検出して張力制御する装置が提案されている。この技術は、圧延機出側での線材の脈動を撮像装置により検出し、検出した脈動が解消されるように次の圧延機のロール回転速度を制御するものであり、高速ブロックミルの後方にサイジングミルを設置した場合の両ミル間の張力制御が行えるとされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
近年、棒鋼や鋼線材などの連続熱間圧延ラインにおいて、仕上げ圧延温度を従来よりも低下することにより圧延製品の材質を改善する技術が開発され、実用化されている。その際、従来の仕上げ圧延最終スタンドの後面に、クーリングトラフとそれに続く圧延機を設置する動向にある。すなわちクーリングトラフで圧延材温度を低下させたのちに、低温圧延可能な新設圧延機で圧延することが行われる。
【0006】
この場合の課題として、特に線材の高速圧延の場合、従来の最終スタンドと新設圧延機の間での張力制御が困難な点があげられる。すなわち上記のようにループ制御は採用できず、また上記公報の技術は、圧延材の脈動と張力とが直接的な関係にはないため、十分な精度が得られるか疑問が残る。
【0007】
そこで本発明が解決しようとする課題は、棒線材熱間圧延ラインの仕上げ圧延などにおいて、圧延機間の距離に関係なく、圧延機間を高速走行する圧延材の張力を適正範囲に高精度で制御することにより、安定操業を達成するとともに圧延製品の寸法不良を解消することである。ここで圧延機とは、単独のロールスタンドで形成されたものに加え、ブロックミルのように複数のロールスタンドで構成されたものも含むものとする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明は、前方圧延機と後方圧延機を順に通過させて棒線材を圧延する際、前方圧延機の出側において、圧延材先端が後方圧延機に噛み込む前の圧延材のロールフリー面直径と該圧延材先端が後方圧延機に噛み込んだ直後の圧延材のロールフリー面直径とをそれぞれ測定し、以降の該圧延材について、前記測定した両ロールフリー面直径間の変化量と予め設定した所定値との差が所定範囲内(0を含む)になるように、前方圧延機または/および後方圧延機の回転速度または/およびロール隙を調整することにより、該圧延材における両圧延機間の張力を制御することを特徴とする棒線材圧延機の張力制御方法である。
【0009】
削除
【0010】
削除
【0011】
削除
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明法は、図1の例に示すように、圧延材1を、前方圧延機2と後方圧延機3を順に通過させて圧延する際、両圧延機2,3の間での圧延材1の張力を制御する方法である。
本発明は、図1の例のように、前方圧延機2の出側で測寸装置4により圧延材1のロールフリー面直径dを測定し、該測定値の変化に基づいて圧延機2,3間の張力を制御する。
【0013】
ロールフリー面直径とは、図3のように、圧延ロールに拘束されなかった面の直径である。図3は前方圧延機2の出側の状態であり、図1の圧延ロール7を出たときの圧延材1の直角断面でロールフリー面直径dを示している。なおロールフリー面直径dの測定は、圧延材1をはさんでレーザ投光器および受光器を設けるなどにより行うことができる。また本発明においては、直径dの変化に基づいて制御するので、直径dに相当する値を測定すればよい。ただし、以下の説明では便宜上直径dを用いる。また前方圧延機2出側での測定値をd と記す。
【0014】
測寸装置4による圧延材1の先端Fから尾端Tまでのロールフリー面直径dの変化を模式図に示すと、図4のようになる。すなわち、圧延材1の先端が後方圧延機に噛み込むまでは張力が掛からず直径d1Fであったのが、噛み込んだ後は張力が掛かってd1Mに減少する。このときのd1Fからd1Mへの変化をΔd1Fとする。
【0015】
本発明の張力制御は、圧延材1の先端が後方圧延機3に噛み込んだ直後の、このロールフリー面直径dの変化Δd1Fに基づいて行う。ここで噛み込んだ直後とは、圧延材1の先端が後方圧延機に噛み込んだ瞬間に前方圧延機のロール出側にあった張力有無の境目となる部位が測寸装置に到達したタイミングを意味するものである。
【0016】
両圧延機2,3間には適正な張力が掛かるように、あらかじめ、前方圧延機2の圧延ロール7および後方圧延機3の圧延ロール8について、回転速度あるいはロール隙が調整してある。このため、圧延材1が後方圧延機3に噛み込むまでは張力が掛からないが、噛み込んだ瞬間に両圧延機2,3間に張力が掛かる。すると、前方圧延機2出側の測寸装置4で測定されるロールフリー面直径dが、張力なしのときよりΔd1Fだけ小さくなるので、これによって噛み込んだ瞬間を検知することができる。
【0017】
本発明の制御に際しては、図1に示すように、測寸装置4の測定値dを制御器6に入力し、また所定張力の状態における直径変動Δd1Oをあらかじめ入力しておく。そしてdの上記変化Δd1Fら、Δd1F−Δd1Oの値を求め、該値に応じて圧延ロール7または8、あるいは圧延ロール7および8の回転速度を調整し、Δd1F−Δd1Oが所定範囲となるように制御する。なお圧延ロール7あるいは8については、ロール隙を調整することもできる。そして、圧延材1が前方圧延機2を抜けるまで制御を続けることができる。
【0018】
削除
【0019】
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【0020】
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【0021】
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【0022】
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【0023】
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【0024】
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【0025】
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【0026】
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【0027】
削除
【0028】
以上述べた本発明において、対象とする圧延機2,3は、図1および図2に示すような複数対の圧延ロール群からなるもののほか、前方圧延機2、後方圧延機3の一方または双方が1対の圧延ロールからなる場合であってもよい。以上に説明した実施形態により、ループ制御を行わずとも、圧延機間の張力制御を精度よく行うことができる。
【0029】
【実施例】
以下に具体的な操業の一例を示す。鋼線材の連続熱間圧延ラインにおいて、図1に示すような前方圧延機2を最終前圧延機、後方圧延機3を最終圧延機として、両圧延機2,3間の張力制御を行った。両圧延機2,3間の線材寸法は直径9.6mm、線材速度は64m/secである。圧延ロール7と8の間の適正張力は、両ロールの速度比で0.5〜1.5%だけ圧延ロール8を速く回転させる条件とした。
【0030】
この条件における前方圧延機2出側のロールフリー面の測寸装置4における測定値dの変化量Δd1Oと上記速度比の関係、あらかじめ求めて制御器6に入力しておいた。
そして実際の圧延において、上記適正張力条件の速度比を制御器6に入力して、該制御器6において、該入力された速度比から所定の変化量Δd 1O を求め、圧延材先端が後方圧延機3に噛み込んだ直後のロールフリー面直径の変化Δd1FからΔd1F−Δd1Oを演算し、この値が0に近付くように圧延ロール7および8の速度を調整して張力制御を行った。
【0031】
圧延結果、線材製品の寸法精度が向上し、1級品の圧延ラインにおける製造歩留まりも向上した。また圧延後のレーイングヘッドで形成されるリング径の変動はなく、非同心リング状にしてコンベア上を搬送する際のトラブルは発生せず、コイル集束やコイル結束においてもトラブルはなかった。さらに、圧延ロールの摩耗が減少し、またミスロールなどのトラブルも生じなかった。
【0032】
【発明の効果】
本発明により、棒線材熱間圧延ラインの仕上げ圧延などにおいて、圧延機間の距離が短い場合でも、圧延機間を高速走行する圧延材の張力を適正範囲に高精度で制御することができ、しかも比較的簡易な設備で容易に制御できる。したがって圧延製品の寸法精度が向上し、1級品の製造歩留まりが向上するほか、圧延後の工程におけるトラブル発生が減少し安定操業が実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の説明図である。
【図2】本発明におけるロールフリー面直径の説明図である。
【図3】本発明における前方圧延機出側のロールフリー面直径d の変化を示す模式図である。
【符号の説明】
1…圧延材 2…前方圧延機
3…後方圧延機 4…測寸装置
6…制御器 7,8…圧延ロール

Claims (1)

  1. 前方圧延機と後方圧延機を順に通過させて棒線材を圧延する際、前方圧延機の出側において、圧延材先端が後方圧延機に噛み込む前の圧延材のロールフリー面直径と該圧延材先端が後方圧延機に噛み込んだ直後の圧延材のロールフリー面直径とをそれぞれ測定し、以降の該圧延材について、前記測定した両ロールフリー面直径間の変化量と予め設定した所定値との差が所定範囲内(0を含む)になるように、前方圧延機または/および後方圧延機の回転速度または/およびロール隙を調整することにより、該圧延材における両圧延機間の張力を制御することを特徴とする棒線材圧延機の張力制御方法。
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