JP2534200B2 - 畝間走行作業車におけるセンサ装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、苗移植、播種作業等の
農作業を行うに当り、畝がチェンケース等により破損さ
れることなく、畝に沿って整然と走行させることができ
る畝間走行作業車におけるセンサ装置に係るものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】一般に畝を跨いだ走行車輪で畝間を走行
しながら苗移植や播種作業等を行う畝間走行作業車で
は、走行車輪をチェンケースで駆動軸に連結し、機体の
前方にならい板を設けて、畝に接触したならい板の反力
により前輪を操舵するようにしたものが知られている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、このような
従来の畝間走行作業車では、ならい板が畝に接触すると
きに、畝を覆ったマルチフィルムを押し破ったり、畝を
破損したりする不都合があり、一方、走行車輪のチェン
ケースを、畝に当らないようにするため、車輪の外側に
設けると、駆動軸との連結箇所が車輪の外方を横ぎるの
で、走行車輪を大径のものにすることができなくなり、
機体の地上高が低くなって、畝高さが高い場合には畝床
面が破損されるという問題があった。本発明は上記の如
き問題点を解決すべく創案されたものであって、その目
的とするところは、チェンケースを走行車輪の機体内側
に設けて、走行車輪を大径にできるようにしたものであ
りながら、センサの畝感知により走行方向を制御して、
センサがマルチフィルムを破ったりチェンケース等が畝
を破損したりすることなく、しかもセンサが不用意に異
物に当接して破損するのを防止できて、円滑に農作業を
行うことができる畝間走行作業車におけるセンサ装置を
提供しようとするものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記の問題点を解決する
ため、本発明が採用した技術的手段は、畝を跨いだ左右
前後の走行車輪で畝間を前後進する畝間走行作業車にお
いて、上記走行車輪と機体側の駆動軸とを連結するチェ
ンケースを、走行車輪の機体内側に設けて、機体の前部
と後部には、畝を感知して走行方向を制御する感知セン
サを、バンパー状のアームによって上記走行車輪の近傍
で、上記チェンケースの機体走行時における通過予定線
上に支持し、かつ該感知センサの線状に形成された接触
子を畝に向かって機体内方に突出させるのに、該接触子
を畝面に沿う橇状の形態に曲げ形成すると共に、機体の
後部に支持される感知センサをチェンケースとアームと
の対向空間に位置させたことを特徴とするものである。

【０００５】

【作用】したがって本発明によれば、苗移植や播種作業
等を行うに当たり、畝を跨いだ左右の走行車輪が駆動軸
に連動して回転し、畝間を前後進することができる。そ
して前後の走行車輪と機体側の駆動軸とを連結するチェ
ンケースは、車輪の内側で駆動軸と連結されるので、走
行車輪はチェンケースによって何等制約されることはな
く、畝高さに対応した大径の車輪を自由に装着すること
ができる。また走行中は、バンパー状のアームによっ
て、走行車輪の近傍でチェンケースの通過予定線上に支
持された感知センサから機体内方に突出して畝面に沿う
橇状の形態に曲げ形成された線状の接触子が、畝を感知
して走行方向を制御するので、感知センサが直接畝に接
触してマルチフィルムを破ったり、チェンケースが畝に
当って畝を破損することはなく、しかも機体の後部に配
設される感知センサは、チェンケースとバンパー状のア
ームとで保護されるので、不用意に異物に当接すること
はない。

【０００６】

【実施例】本発明の実施例を添付した甘藷苗移植機の図
面に基づいて詳述する。１は、前輪２，２および同じ輪
距の後輪３，３とを備え、後部にエンジン４を搭載した
機体フレームであって、該機体フレーム１には、前輪２
と後輪３の中間に位置して移植部５がリンク機構６を介
して上下動可能に装着さている。移植部５はエンジン４
の伝動機構にチェンを介して連結されており、機体の走
行に連動して回転する。そして移植部５後方の運転席７
に座乗したオペレータが、苗供給部Ａから回転する移植
部５に苗を補給すると移植部５が移植位置Ｂに下降した
ときに苗を畝ａの移植床面に植付けるようになってい
る。

【０００７】８，８は後輪３，３を伝動機構の駆動軸９
に連結するチェンケースであって、該チェンケース８，
８は後輪３，３の機体内側にそれぞれ配設されていて、
機体側の駆動軸９と後輪３，３の内側で連結されてい
る。１０，１０は機体前部の走行車輪の近傍に設けられ
た前進用の畝感知センサであって、バンパー状のアーム
１１，１１によって支持されて、図２に示すように、機
体走行時におけるチェンケース８，８の通過予定線
（イ）上に配設されている。１２，１２は機体後部の走
行車輪の近傍に設けられた後進用の畝感知センサであっ
て、バンパー状のアーム１３，１３によって支持されて
前進用センサ１０，１０と同様に、通過予定線（イ）上
に配設されている。

【０００８】そして上記後進用の畝感知センサ１２はチ
ェンケース８とバンパー状のアーム１３との対向空間に
位置している。また上記畝感知センサ１０，１０，１
２，１２から畝面に沿う橇状の形態に曲げ形成された線
状の接触子１４が畝ａに向かって機体の内方に突出して
おり、上記接触子１４，１４が畝ａの位置を感知して機
体の走行方向を畝ａに沿って制御する。１５は機体フレ
ーム１に取付けたステップであって該ステップ１５の前
方に操作パネル１６が設けられており、オペレータの前
方に臨む副変速レバー１７が上記操作パネル１６の位置
に装備されている。上記操作パネル１６には、エンジン
停止スイッチ１８、方向手動スイッチ１９、方向自動手
動切換スイッチ２０、植付深さ自動手動切換スイッチ２
１、植付手動スイッチ２２、メインスイッチ２３等が配
設されており、さらに、機体の作動状態を示す方向自動
２４、方向手動２５、植付深さ自動調節２６、植付深さ
手動調節２７、充電状態２８、マルチカッタ作動２９等
の表示ランプが配置されている。

【０００９】上記の如き構成において、甘藷苗の移植作
業を行うに当たり、移植機を畝に沿って走行させなが
ら、運転席７に座乗したオペレータが苗補給部Ａから順
次苗を移植部５に供給すれば機体の走行に伴って苗を畝
ａの植付床面に移植することができる。このとき苗補給
作業中のオペレータは、わずかに視線を移動させてステ
ップ１５前方の操作パネル１６を目視するのみで、機体
の作動状態を示す表示ランプにより各種の情報を得るこ
とができ、必要に応じて操作パネル１６上のスイッチ操
作をすることにより、運転操作を容易に行うことができ
る。

【００１０】そして後輪３，３は機体内側に配設された
チェンケース８，８により機体側の駆動軸９に連結され
ているので、大径な車輪を装着してもチェンケース８，
８によって制約されることはなく、機体の地上高を高く
することができて、畝高さが高いときであっても、植付
部５によって畝を破損するようなことはない。さらに機
体に設けた前進用畝感知センサ１０および後進用畝感知
センサ１２が、走行車輪の近傍で機体走行時におけるチ
ェンケース８，８の通過予定線上に配設されているの
で、走行方向はチェンケース８，８が畝に当らないよう
に制御されるため、機体内側に配設したチェンケース
８，８であっても、畝を破損するのを確実に防止するこ
とができる。しかも、前進用畝感知センサ１０および後
進用畝感知センサ１２から機体内方に突出して畝面に沿
う橇状の形態に曲げ形成する線状の接触子１４の接触に
よって畝ａを感知するので、センサ本体が直接畝に当た
って、畝を覆ったマルチフィルムを押し破ったりするこ
となく、畝に沿って走行制御することが出来る。そして
後進用の畝感知センサ１２は、機体後部の目視し難い位
置にあっても、チェンケース８とバンパー状のアーム１
３とによって前後が保護されるので不用意に異物に当接
して破損されるのを防止することができる。

【００１１】

【発明の効果】これを要するに本発明は、畝を跨いだ左
右前後の走行車輪で畝間を前後進する畝間走行作業車に
おいて、上記走行車輪と機体側の駆動軸とを連結するチ
ェンケースを、走行車輪の機体内側に設けて、機体の前
部と後部には、畝を感知して走行方向を制御する感知セ
ンサを、バンパー状のアームによって上記走行車輪の近
傍で、上記チェンケースの機体走行時における通過予定
線上に支持し、かつ該感知センサの線状に形成された接
触子を畝に向かって機体内方に突出させるのに、該接触
子を畝面に沿う橇状の形態に曲げ形成すると共に、機体
の後部に支持される感知センサをチェンケースとアーム
との対向空間に位置させたから、走行車輪は機体内側に
設けたチェンケースで駆動軸に連結されるので、チェン
ケースによって何等制約されることはなく、畝高さに対
応して自由に大径の車輪を装着して機体の地上高を高く
することができるうえ、走行車輪の近傍でチェンケース
の通過予定線上に配設した感知センサが走行方向を制御
することにより、機体内側に設けたチェンケースでも、
機体走行中、畝に当たって畝を破損することなく、走行
制御の精度を向上することが出来る。しかも機体の内方
に突出して畝面に沿う形態に曲げ形成する線状の接触子
が畝を感知するので、橇状の接触子が直接畝に沿って接
触するものであるから、円滑に走行制御をすることが出
来、接触子及びセンサ本体でマルチフィルムを破ったり
することはない。そして機体の後部に配設された感知セ
ンサが作業中目視し難くても、チェンケースと感知セン
サを支持するバンパー状のアームとを利用して感知セン
サを前後から保護することができるので、不用意に異物
に当接して破損するのを、確実に防止して苗移植や播種
作業等の畝間走行作業を円滑に行うことができると共に
感知センサを支持する部材として兼用することにより部
品点数を削減することができるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】畝間走行作業車の全体側面図である。

【図２】同上平面図である。

【図３】操作パネルの平面図である。

【符号の説明】

２ 前輪 ３ 後輪 ８ チェンケース ９ 駆動軸 １０ 前進用センサ １１ アーム １２ 後進用センサ １３ アーム １４ 接触子

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 畝を跨いだ左右前後の走行車輪で畝間を
   前後進する畝間走行作業車において、上記走行車輪と機
   体側の駆動軸とを連結するチェンケースを、走行車輪の
   機体内側に設けて、機体の前部と後部には、畝を感知し
   て走行方向を制御する感知センサを、バンパー状のアー
   ムによって上記走行車輪の近傍で、上記チェンケースの
   機体走行時における通過予定線上に支持し、かつ該感知
   センサの線状に形成された接触子を畝に向かって機体内
   方に突出させるのに、該接触子を畝面に沿う橇状の形態
   に曲げ形成すると共に、機体の後部に支持される感知セ
   ンサをチェンケースとアームとの対向空間に位置させた
   ことを特徴とする畝間走行作業車におけるセンサ装置。