JP2533345Y2 - 元止式混合水栓に於ける浄水器取付防止装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、元止式混合水栓と止水
機能を備えた浄水器の組合わせに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】最近、一般家庭に取付けられている混合
水栓の吐水管に、販売されている浄水器を取付けること
で、濾過材等を通過した美味しい水を飲料用として得る
ことがさかんに行なわれている。しかし、温水器の一次
側に止水機構を備えたいわゆる元止式混合水栓に、通常
の水と濾過材を通過した濾過水に流路を切替えられ、さ
らに止水機能も備えた浄水器を取付けた場合不都合があ
るが、それを図５及び図６により説明する。

【０００３】図５は、実公昭４９−４１８７号公報に示
された元止式混合水栓であるが、これは本体４０内につ
まみ４１の操作で給水路４２から水を導く給水調節室４
３と、該給水調節室４３から流入する水をハンドル４４
と連繋した温度調節弁４５により温水器４６に接続する
送水管４７と混合室４８に分岐する温度調節室４９を備
え、前記混合室４８で温水器４６から押上げられた温湯
と、温度調節室４９から直接流入した水を混合し、吐水
管５０から吐出するものである。

【０００４】図６は、特公平３−７９０４４号公報の第
１１図に示された止水機能付浄水器であるが、この浄水
器５１は蛇口５８の先端に水密的に取付けられ、レバー
５２を操作することでロータリー弁５３が回転し、該ロ
ータリー弁５３の外周面がパッキン５４に接した止水状
態から、濾材５５を通過した浄化水の吐水口５６からの
放水と、濾材５５を通過しない直流水の同じく吐水口５
６からの放水と、小孔５７からのシャワー状放水に切換
えられるものである。

【０００５】ここで図６の浄水器を図５の元止式混合水
栓に取付け、混合水栓のつまみを開放状態で混合水を供
給している時に吐水管先端の浄水器で止水を行なうと、
給水路と温水器は連通した状態のままなので、温水器に
は給水源からの水圧が加わっており、温水器により加熱
された温湯は逃げ場がなく、温水器内は密閉された状態
となるため内圧が上昇し、過大な圧力の為、温水器を破
損する恐れがあった。

【０００６】また、止水を行なう流量調節弁を温水器に
対して二次側に設けた先止式混合水栓では、止水機能付
浄水器を取付けても上記のような問題は発生しないが、
一般の使用者には、使用している混合水栓が元止式なの
か、先止式なのかの判断が容易につかないものであっ
た。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】本考案が解決しようと
する課題は、元止式混合水栓の吐水管に止水機能付浄水
器を取付けられないようにすることで、浄水器で止水を
した場合に発生する温水器の破損を防止することであ
る。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本考案は、温水器の一次
側に設置した混合水栓の操作で冷水を混合室と温水器へ
分岐し、該温水器から押上げられた温水を前記混合室で
冷水と混合して吐水管より吐出する元止式混合水栓に於
いて、前記吐水管は先端に取付けた浄水器が止水状態の
時、外部に流体を逃がす小孔を備えたものである。

【０００９】

【作用】元止式混合水栓の吐水管先端に浄水器を取付け
流体を吐出させ、続いて混合水栓の流量調節ハンドルを
開弁状態のままで浄水器のレバーを止水方向へ操作する
と、吐水管の小孔から混合水が放出することで使用者は
この混合水栓には浄水器を取付けられないことを認識す
ることができる。

【００１０】

【実施例】以下、本考案の実施例を図に基づいて詳細に
説明する。この考案の実施例は、図１及び図２に示すよ
うに元止式混合水栓１は、内部一側に弁座孔２及び該弁
座孔２を中心に一次圧側の第１給水室３と二次圧側の第
２給水室３ａを配設し、該第２給水室３ａには弁棒４と
連繋した流量調節ハンドル５の操作で前記弁座孔２を開
閉させる弁体６を対応させると共に、前記第１給水室３
と上水配管に通じる給水路７を連通させたリフト形式の
弁機構Ａを構成する。

【００１１】前記第２給水室３ａの一側には該第２給水
室３ａと常時連通している弁室８を横設すると共に、該
弁室８の内周面に天板ｃの下部に設置した温水器Ｂへ給
水管９を介して給水する分岐室１０と通じる第１弁口１
１及び混合室１２に通じる第２弁口１１ａをそれぞれ開
口し、前記弁室８に介在させた栓棒１３は、弁室８の内
径より僅かに小径にした周面に、前記第１弁口１１及び
第２弁口１１ａと対応して混合室１２側に多く、分岐室
１０側に少ない不均等な量の水を同時に供給できるよう
にほぼ半月形に偏心させた切欠部分１３ａを有し、この
栓棒１３は、レバー１４の一挙動操作により前記第１弁
口１１及び第２弁口１１ａの開放量を調節するように連
繋している。

【００１２】前記混合室１２は第２弁口１１ａから導入
される水と、給湯管１５を介して温水器Ｂから押上げら
れる温水を混合させるところで、上面には出口１６が開
口し、袋ナット１７によって吐水管１８が回動自在に取
付けられている。

【００１３】前記吐水管１８は流体を吐出する吐水口１
９に浄水器Ｄが取付け可能であるが、図３に示すように
吐水口１９の底面１９ａよりやや上部周面に流体を外部
に放出するための小孔２０を複数個設けている。

【００１４】図４は、吐水口の別の実施例で、この吐水
口１９は内部に整流器２１を介在させており、パッキン
２７と接する底面１９ａに複数個の切欠２２を凹設する
ことで流体を外部に放出するようにしている。

【００１５】いま、図１に示すレバー１４を所定の方向
へ操作すると、該レバー１４に連繋している栓棒１３が
図２の第１弁口１１及び第２弁口１１ａを開放する位置
へ変位する。引続き流量調節ハンドル５により弁機構Ａ
の弁棒４を開弁方向へ操作し、弁体６を上昇させて弁座
孔２を開放すると、第１給水室３に達している水は第２
給水室３ａを経て弁室８に進入し、予じめ開放されてい
る第１弁口１１及び第２弁口１１ａから分岐室１０及び
混合室１２へそれぞれ進出する。この場合分岐室１０へ
進出した大量の水は、給水管９を経て温水器Ｂの下部に
圧入され、その押し上げる水圧によって温水器Ｂ内上部
の温水を給湯管１５を経て混合室１２へ送る。このよう
に混合室１２に達した温水は前記第２弁口１１ａから進
入した水と適宜に混合させられて適温の混合水に変化し
ながら吐水管１８から供給される。

【００１６】次にこの元止式混合水栓１の吐水管１８に
図３に示す浄水器Ｄを補助具２３、ナット２４及び複数
個の締め付けねじ２５により取付け、流入口２６に配し
たパッキン２７を吐水口１９の底面１９ａに圧接した後
に前述のように操作すると、レバー２８と連繋したロー
タリー弁２９の回転により浄水器Ｄの出口３０から濾材
３１により濾過された浄水、濾材３１を通過しない通常
の流体または散水孔３２から濾材３１を通過しない散水
状の流体のいづれかを供給する。そして元止式混合水栓
１の弁機構Ａが開弁状態のままで浄水器Ｄのレバー２８
を図３に示す止水位置へ操作すると、出口３０又は散水
孔３２からの流体の供給は停止される。しかし流量調節
ハンドル５は開放状態であるので温水器Ｂへ水は加圧し
ており温水器Ｂ内部に圧力が加わっているが吐水管１８
の小孔２０から流体が放出される。従ってこの小孔２０
からの水漏れにより、この元止式混合水栓に浄水器Ｄは
取付けられないことを使用者は認識することができる。

【００１７】

【考案の効果】この考案は上記の構成であるから、次の
利点を有する。 （１）元止式混合水栓の吐水管先端に浄水器を取付け、
混合水栓の流量調節ハンドルは開放状態で浄水器のレバ
ーを止水方向へ操作すると、吐水管に設けた小孔から流
体が外部へ放出するので、この混合水栓に止水機能を備
えた浄水器を取付けられないことを認識することがで
き、浄水器を取付けた場合に発生する温水器の破損事故
を未然に防止することができる。 （２）従来の元止式混合水栓と比較して、吐水管の先端
に小孔を設けるだけの簡単な改良でよく、吐水管を取替
えるだけで混合水栓はそのまま利用できる互換性を有す
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本案元止式混合水栓の正面断面図である。

【図２】本案元止式混合水栓の縦断面図である。

【図３】本案元止式混合水栓に浄水器を取付けた場合の
説明図である。

【図４】別の実施例の説明図である。

【図５】従来技術の説明図である。

【図６】従来技術の説明図である。

【符号の説明】

１ 元止式混合水栓 １２ 混合室 １８ 吐水管 ２０ 小孔 Ｂ 温水器 Ｄ 浄水器

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】温水器の一次側に設置した混合水栓の操作
   で冷水を混合室と温水器へ分岐し、該温水器から押上げ
   られた温水を前記混合室で冷水と混合して吐水管より吐
   出する元止式混合水栓に於いて、前記吐水管は先端に取
   付けた浄水器が止水状態の時外部に流体を逃がす小孔を
   備えたことを特徴とする元止式混合水栓に於ける浄水器
   取付防止装置。