JP2532864B2 - カルダン継手組立装置 - Google Patents

カルダン継手組立装置

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JP2532864B2 JP62039902A JP3990287A JP2532864B2 JP 2532864 B2 JP2532864 B2 JP 2532864B2 JP 62039902 A JP62039902 A JP 62039902A JP 3990287 A JP3990287 A JP 3990287A JP 2532864 B2 JP2532864 B2 JP 2532864B2
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Mitsui Seiki Kogyo Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は、自動車のプロペラシャフトのジョイント
等に用いられているカルダン継手の組立装置に関するも
のである。
従来の技術 自動車のプロペラシャフトのユニバーサルジョイント
として使われているカルダン継手は、例えば第7図およ
び第8図に示すように、二又状のヨーク部1a,1aにそれ
ぞれ軸受け孔1b,1bが形成され、基端にプロペラシャフ
トに連結するフランジ部1cを形成したフランジヨーク1
と、4本のシャフト2aを十字形に形成したスパイダーシ
ャフト2と、このスパイダーシャフト2の各シャフト2a
の先端側に被着されるとともに、その内周側にニードル
ローラベアリングとオイルシール(図示せず)とを備
え、かつ予めグリースを充填してある軸受けカップ3と
から構成されてる。前記スパイダーシャフト2は同一軸
上の2つのシャフト2a,2aの各先端を前記ヨーク1の軸
受け孔1b,1bにそれぞれ嵌挿するとともに、嵌挿した各
シャフト2aの先端側に前記軸受けカップ3が被着されて
おり、この組付けられた状態で前記フランジヨーク1の
フランジ部1cと、十字形のスパイダーシャフト2の他の
2つのシャフト2aとを、入力軸あるいは出力軸4の端部
にそれぞれ連結して、入力軸の回転を回転軸方向変更可
能に出力軸に伝達できるようになっている。
そして、前記軸受けカップ3はフランジヨーク1の軸
受け孔1bにシマリ嵌めとなっており、動力伝達時の継手
のガタつきを防止するとともに、軸受けカップ3自体の
抜けを防止している。この軸受けカップ3は、組立装置
の油圧シリンダ等により前記スパイダーシャフト2の各
シャフト2aの先端側にそれぞれ圧入されるが、この圧入
時に、前記ヨーク部1aの上部の耳部の剛性が小さいため
圧入荷重により変形し易く、圧入時に変形すると組付け
後に前記スパイダーシャフト2のシャフト端面と軸受け
カップ3の底との間に隙間gが形成されてガタ付きを生
じたり、また逆にスパイダーシャフト2の回転トルクが
重くなったりする等の不都合が生じるため、圧入時に隙
間gが生じないように組付ける装置が従来から提案され
ている。
例えば特公昭61−14367号公報に記載されているカル
ダン継手の組立装置は、二又状のヨーク部に形成された
軸受け孔内に、軸受けカップをこの軸受けカップの底
が、十字形のスパイダーシャフトのシャフト端面に接触
するまで圧入する機構と、この圧入の際に二又状のヨー
ク部が内方に弾性変形しないように、ヨークの自由端部
を支える保持フックを有している。
発明が解決しようとする問題点 カルダン継手の組付けを行なう場合に特に問題となる
のは、第8図においてフランジヨーク1の中心線A(フ
ランジ部1cに連結される入力軸または出力軸4の中心線
Cの延長線上となる)とスパイダーシャフト2の中心線
Bとの同心度であり、この両中心線A,Bが同一線上に揃
わずにずれてしまい、同心度が低い場合には、この継手
の回転中に振動が生じ、自動車においては振動音や唸り
音を発生する原因となることが知られている。
しかし、前記した従来のカルダン継手の組立装置によ
る組付の場合には、前記中心線Aと中心線Bとの同心度
は、第8図においてヨーク部内法のb1=b2,スパイダー
シャフトの全長のc1=c2,スパイダーシャフト2の先端
から軸受けカップ3の端面までの距離のd1=d2の各寸法
精度によって決定されるが、この寸法精度を車の振動音
や唸り音が発生しない程度の高精度にすることは、加工
上困難であり、またヨーク部1aの耳部に押付け力が加わ
るため隙間gがある程度形成され、ガタ付きが発生する
とともにスパイダーシャフト2の回転トルクが重くなっ
たりする等の問題点があった。
この発明は上記問題点に鑑みなされたもので、ヨーク
とスパイダーシャフトとの芯出し精度が高い組立てがで
きるカルダン継手組立装置の提供を目的としている。
問題点を解決するための手段 上記問題点を解決するための手段としてこの発明は、
十字形のスパイダーシャフトを、該スパイダーシャフト
の同一軸上の2つのシャフトをそれぞれヨークの軸受け
孔に嵌挿するとともに、スパイダーシャフトの端部側に
軸受けカップを被着してこのスパイダーシャフトをヨー
クに組付けるカルダン継手組立装置において、前記ヨー
クを位置決めして載せるワーク台と、このワーク台上に
載置されたヨークの軸受け孔に嵌挿されたスパイダーシ
ャフトの一方のシャフトに軸受けカップを圧入する第1
圧入ユニットと、一方のシャフトに軸受けカップを被着
後に対向する他方のシャフトに軸受けカップを圧入する
第2圧入ユニットと、前記軸受けカップの圧入時にスパ
イダーシャフトが正規の位置に移動したことを検出して
圧入を停止させる信号を出すとともに組付け後のスパイ
ダーシャフトの芯ずれ量を検出するスパイダーシャフト
位置検出ユニットおよびこのスパイダーシャフト位置検
出ユニットのコントローラと、軸受けカップの圧入時に
各部品の加工誤差を吸収するとともにそれぞれ別個にス
ライドして前記ヨークに当接し、圧入時にヨークに加わ
る負荷を受けるヨーク受け治具ユニットと、前記スパイ
ダーシャフト位置検出ユニットとヨーク受け治具ユニッ
トとをそれぞれ支持し、かつ上下方向にスライド可能に
設けられた昇降基台とを備えていることを特徴としてい
る。
作用 上記のように構成することにより、カルダン継手組立
装置のワーク台上にヨークを、該ヨークの中心線をワー
ク台の中心線に位置合わせして載置し、このヨークの軸
受け孔に嵌挿してスパイダーシャフトを仮支持させて配
設する。昇降基台を降下させるとヨーク受け治具がヨー
クの二又部の両内側に当接し、かつスパイダーシャフト
位置検出ユニットがスパイダーシャフトの仮支持された
位置と、この仮支持された位置から演算した正規の位置
とを検出する。そして先ず第1圧入ユニットによりスパ
イダーシャフトの前記ヨークの軸受け孔に嵌挿されてい
る2つのシャフトの一方に軸受けカップを圧入すると、
前記スパイダーシャフトが圧入抵抗により押動されて移
動し、このスパイダーシャフトが正規の組付位置に移動
し、かつ軸受けカップの底がスパイダーシャフトの先端
面に当接するとその位置をスパイダーシャフト位置検出
ユニットが検出しコントローラから停止信号が発せら
れ、圧入ヘッドの前進が止る。次いで同様に第2圧入ユ
ニットにより他方のシャフトに軸受けカップを圧入して
組付けを完了する。
したがって、スパイダーシャフト位置検出ユニットに
よりスパイダーシャフトの中心線とヨークの中心線とが
一致するように位置調整するので、両組付け部品の同心
度が高く、また、ヨークをヨーク受け治具により固定し
た状態で軸受けカップを片方ずつ圧入するので、圧入時
の負荷による変形が生じず、精度の高い組付けが達成さ
れる。
実 施 例 以下、この発明に係るカルダン継手組立装置の実施例
を第1図ないし第6図に基づいて説明する。
なお、この実施例の装置により組立てられるカルダン
継手は、二又状のヨーク部11a,11aと、各ヨーク部11aに
形成された軸受け孔11bと、連結時に入力軸または出力
軸と同軸上に嵌合するように前記ヨーク部11aの反対側
に円柱状に突出形成されたいんろう部11cとを有するヨ
ーク11と、このヨーク11の軸受け孔11bに4本のうちの
2本のシャフト12aを嵌挿して支持された十字形のスパ
イダーシャフト12と、内周部にニードルローラベアリン
グとオイルシールリングを備え、前記スパイダーシャフ
ト12のシャフト12aに被着される有底円筒形の軸受けカ
ップ13とで構成されており、また前記スパイダーシャフ
ト12の各シャフト12aの外径の加工精度は、スパイダー
シャフトとして必要とされる精度より精度が高く、加工
誤差が数μm以下に形成して組立時の基準とされる。
カルダン継手組立装置15は、本体ベース16上のほぼ中
央に水平に配設されたワーク台17と、該ワーク台17の上
方に配設された昇降ユニット18と、前記ワーク台17を挾
んで本体ベース16上に対向配置された第1圧入ユニット
19(第2図において左側)と、第2圧入ユニット20とを
有している。
前記ワーク台17は、ヨーク11の円柱状のいんろう部11
cを嵌挿する円孔17aを中央に、圧入前の軸受けカップ13
をヨーク11の軸受け孔11bの高さに仮支持するカップ受
け部17b,17bを両側にそれぞれ備え、また位置決め用シ
リンダ21が、そのピストンロッドに同軸状に連結した位
置決めピン21aが垂直となるように前記本体ベース16側
に埋設されており、この位置決めピン21aを本体ベース1
6の上面側に突出させることによりワーク台17が位置決
めされており、前記ヨーク11は、そのいんろう部11cを
ワーク台17の円孔17aに嵌合させることによりワーク台1
7の中心に芯出しされて位置決めされるとともに固定さ
れている。
また、ワーク台17を挟んで対向配置された前記両圧入
ユニット19,20のうちの一方の第1圧入ユニット19は、
ブレーキ22aを備えた駆動モータ22と、該駆動モータ22
のドライブシャフト22bを同軸状に連結した減速ギヤと
該減速ギヤに駆動されるねじ式シリンダとからなる減速
ギヤユニット23と、該減速ギヤユニット23のねじ式シリ
ンダに取付けられた圧入ヘッド24を有し、また他方の第
2圧入ユニット20は、油圧シリンダ25と、該油圧シリン
ダ25のピストンロッド25aに同軸状に連結された圧入ヘ
ッド26とを有している。そして前記第1圧入ユニット19
の圧入ヘッド24と第2圧入ユニット20の圧入ヘッド26と
は、両圧入ヘッド24,26のそれぞれの軸線が、前記ワー
ク台17上に位置決めされ固定されたヨーク11の軸受け孔
11bの中心線と一致するように配設されている。
一方、前記ワーク台17の上方に配置された昇降ユニッ
ト18は、昇降可能かつ前記ワーク台17の上面と平行に配
設された昇降基台27と、該昇降基台27の側面に摺接して
垂直方向の昇降をガイドするガイド壁28と、該ガイド壁
28の上部から昇降基台27の上方へ張出すようにブラケッ
ト29を介して取付けられ、その垂直に配設されたピスト
ンロッド30aの下端を前記昇降基台27に接続してこの昇
降基台27を昇降駆動する基台昇降用シリンダ30とを有し
ている。
また、前記昇降基台27の下面の中央には、それぞれ断
面ほぼL字形の一対のヨーク受け治具31,31が前記ヨー
ク11の軸受け孔11bの中心線と平行に設けられたスライ
ドレール32,32にスライドベアリング33,33を介して取付
けられている。この両ヨーク受け治具31,31は、昇降基
台27の下方に対峙するワーク台17上のヨーク11の二又状
のヨーク部11a,11aの上部にそれぞれ係合させる係合部3
1a,31aを備えており、前記昇降基台27を下降させた際に
その下方へ突出した係合部31a,31aが両ヨーク部11a,11a
の上部の内側となるように配設されている。そして、こ
の両ヨーク受け治具31,31は、該量ヨーク31,31間にそれ
ぞれ配設されたテーパ治具34,34の昇降により駆動され
て、互いに接近あるいは離隔する方向に移動可能に設け
られている。
前記昇降基台27の上面にはヨーク受け治具用シリンダ
35がブラケット36を介して設けられており、このヨーク
受け治具用シリンダ35の下方へ垂直に配設されたピスト
ンロッド35aの下端に水平に取付けられたプレート35bに
一対のロッド37,37が、それぞれの上部側を上下方向摺
動可能に貫通させて互いに平行に配設されている。また
両ピストンロッド37,37のそれぞれの下部側は前記昇降
基台27を垂直に貫通し、該昇降基台27の下面側に延出し
たそれぞれの下端に前記テーパ治具34,34が取付けられ
ている。さらに前記各ロッド37は、その上部を挿通した
前記プレート35bの下面とロッド37に取付けたスプリン
グシート間に縮設したスプリング38により常時下方へ付
勢されており、また下端に取付けられた各テーパ治具34
は、そのテーパ面の傾きが、該テーパ面の摩擦係以下の
約7゜に形成されている。
そして両テーパ治具34,34は前記ヨーク受け治具用シ
リンダ35により駆動されて下降して前記両ヨーク受け治
具31,31を互いに離隔する方向に押動し、各ヨーク受け
治具31,31の各係合部31aをヨーク11の各ヨーク部11aの
上部内側に係合させて、軸受けカップ13の圧入時に各ヨ
ーク部11a,11aに加わる負荷を受けるように堅牢に構成
されている。
さらに、前記昇降基台27の下面のほぼ中央の前記ヨー
ク受け治具31,31の両側には、前記ヨーク11の軸受け孔1
1b,11bに仮支持させたスパイダーシャフト12の位置を検
出するスパイダーシャフト位置検出ユニット39が設けら
れている。
このスパイダーシャフト位置検出ユニット39は、前記
昇降基台27の下面のほぼ中央に、前記ワーク台17上のヨ
ーク11の軸受け孔11bの中心線に対して直角に形成され
た垂直な支持壁27aと平行に垂下するように前記昇降基
台27の下面にそれぞれの上部を固定して取付けた一対の
仮受け治具40(一方は図示せず)と、前記垂直な支持壁
27aの下部で、前記各仮受け治具40の下部とそれぞれ対
応する位置に、支持壁27aの側面に対してそれぞれ垂直
でかつ軸線が水平になるように設けられたガイドパイプ
41,41と、この各ガイドパイプ41,41にそれぞれ摺動可能
に挿通してその両端部が各ガイドパイプ41の両端からそ
れぞれ延出するように配設された計測シャフト42とを有
している。また前記各計測シャフト42は、該計測シャフ
ト42の外周に巻装してガイドパイプ41内の一部分を大径
にして形成したスプリング収容部に配設されたコイルス
プリング43の弾性力により前記仮受け治具40方向に付勢
されるとともに、該計測シャフト42の反付勢方向側の端
部に設けられたストッパ42aによって付勢側への延出量
を規制されている。さらに、前記計測シャフト42のスト
ッパ42aを設けた側の延出端部には、センサ44の計測レ
バー45の先端側が当接しており、該計測レバー45を介し
て前記計測シャフト41の移動量が検出できるようになっ
ており、計測されたデータはリード線50aを介してコン
トローラ50へ送られる。
次に、前記のように構成されるこの実施例の装置の作
用を説明する。
先ず、カルダン継手のヨーク11がこのカルダン継手組
立装置15のワーク台17上に載置されると、該ワーク台17
の円孔17aにヨーク11の下面のいんろう部11cを嵌合させ
ることによりワーク台17の中心軸とヨーク11の中心軸と
が芯合わせされ、またワーク台17は位置決めシリンダ21
により該ワーク台17に突出させた位置決めピン21aを位
置決め孔に係合させることにより、ワーク台17の中心軸
がこのカルダン継手組立装置15の作業中心線に位置合わ
せされる。
次に、ワーク台17上に位置決め固定された前記ヨーク
11の軸受け孔11b,11bにシャフト12a,12aを遊嵌させてス
パイダーシャフト12を仮支持させ、また前記軸受け孔11
b,11bの外側に軸受けカップ13,13をカップ受け部17b,17
b上に、各軸受け孔11bの中心線に軸心が一致するように
仮支持させる(第6図(イ)参照)。
スパイダーシャフト13を仮支持させた後、基台昇降用
シリンダ30により昇降基台27を下降させると、先ずスパ
イダーシャフト12の前記ヨーク11に軸受け孔11b,11bに
嵌挿されていない2本のシャフト12a,12aが、スパイダ
ーシャフト位置検出ユニット39の互いに対向する各仮受
け治具40と計測シャフト42の先端間に挾持される。この
とき、仮受け治具40と計測シャフト42の先端とに挾持さ
れたスパイダーシャフト12は、計測シャフト42を付勢し
ているコイルスプリング43の弾性力により第5図におい
て時計回りの回転方向に付勢されて前記仮受け治具40,4
0にそれぞれ押し当てられる(第2図参照)。
計測シャフト42の先端に押されて一定の回転方向に付
勢されたスパイダーシャフト12が仮受け治具40に当接し
た状態で安定すると、前記2本のシャフト12a,12aに当
接している計測シャフト42,42の移動量が計測レバー44,
44を介してセンサ45,45によりそれぞれ計測される。し
たがって、一定の回転方向に付勢したスパイダーシャフ
ト12の前記2本のシャフト12a,12aの位置を、同一側面
の2箇所(第5図においてA点およびB点)で計測する
ことにより、前記スパイダーシャフト12の正規の中心位
置までの距離、即ち芯ずれ量xを算出する。なお芯ずれ
量xは、次式より求めることができる。
但し、a,bは各計測点A,Bから正規の中心を通る中心線
までの距離。
また、前記スパイダーシャフト位置検出ユニット39の
計測シャフト42を借受け治具40の方向に付勢しているコ
イルスプリング43のスプリング力は、圧入時に軸受けカ
ップ13内のオイルシールおよびグリースの圧入抵抗負荷
より大きく設定されており、圧入時には軸受けカップ13
の底が最終的にシャフト12aの端面に密接するようにな
っている(第6図(イ)参照)。
一方、前記昇降基台27が下降すると、その下面に設け
られているヨーク受け治具31,31の下面が前記ヨーク11
の各ヨーク部11aの上端に当接するまで下降し終ると、
ヨーク受け軸用シリンダ35に駆動されて一対のテーパ治
具34,34が下降し、両テーパ治具34,34は、前記ヨーク受
治具31,31を互いに離れる方向に押動する。押動された
各ヨーク受け治具31はそれぞれスライドレール32上をス
ライドベアリング33により水平方向にスライドして、各
ヨーク受け治具31の係合部31aが前記各ヨーク部11aの上
部内側に当接するまで移動する。このとき、前記各テー
パ治具34を下端に取付けているロッド37がそれぞれスプ
リング38により下方へ付勢されるとともに、プレート35
bに対して上下方向摺動可能に支持されているため、前
記各ヨーク受け治具31の係合部31aとそれぞれ対応する
各ヨーク部11aとの距離が相違している場合には、各テ
ーパ治具34に押動された各ヨーク受け治具31の係合部31
aが、対向するヨーク部11aの上部に当接して移動を規制
された時点で、各スプリング38の圧縮が開始されること
により、両ロッド37,37の下降量がそれぞれ調節され、
前記両係合部31a,31aが両方ともヨーク部11aにスプリン
グ38,38の弾性力により圧接するようになっている(第
6図(ロ)参照)。
前記両ヨーク受け治具31,31がそれぞれスライドして
各係合部31aがヨーク部11aの上部内側に当接すると、先
ず、第1圧入ユニット19の圧入ヘッド24が、駆動モータ
22の回転を減速伝達されて前進方向(第1図において右
方向)へ駆動されて第1圧入ユニット19側に配設されて
いる一方の軸受けカップ13を押圧する。このとき、駆動
モータ22により駆動される圧入ヘッド24の圧入速度は、
圧入初期においては高速で一定の位置まで圧入した時点
でコントローラ50からの制御信号によりモータの回転が
低速となり、圧入後期においては、圧入ヘッド24の先端
の最終停止位置の位置制御が高精度で行なわれるように
なっている。
そして、前記軸受けカップ13の底がシャフト12aの端
面に密接する最終位置に達し、かつスパイダーシャフト
12が所定の位置に達するまで駆動モータ22に駆動されて
圧入ヘッド24が前進し、一方の軸受けカップ13をヨーク
11の軸受け孔11b内に圧入するとともに同側のスパイダ
ーシャフト12のシャフト12aの先端側に被着する。この
とき、前記ヨーク部11aに加わる軸受けカップ13の圧入
抵抗負荷は、各ヨーク部11aの上部内側に当接させたヨ
ーク受け治具31によって支えられ、したがって、各ヨー
ク部11aの圧入時の負荷による変形が有効に防止され
る。このとき、圧入抵抗負荷はヨーク受け治具31を介し
てテーパ治具34に伝えられるが、テーパ治具34のテーパ
面が、このテーパ面の摩擦係数以下の約7゜の傾斜に形
成されているので、前記スプリング38を圧縮して上方へ
逃げることはない。
また、前記スパイダーシャフト12に加わる軸受けカッ
プ13の圧入抵抗負荷は、スパイダーシャフト12の前記軸
受け孔11bに嵌挿されていない2本のシャフト12a,12aの
第1圧入ユニット20側の側面にそれぞれ当接しているス
パイダーシャフト受け治具39a,39aが受持つため、スパ
イダーシャフト11の圧入時の負荷による移動が有効に防
止され、シャフト12aの先端面に軸受けカップ13の底が
当接して隙間が生じないように被着される。
そして、圧入される軸受けカップ13の底がシャフト12
aの端面に当接し、かつスパイダーシャフト12が所定の
位置まで移動するとスパイダーシャフト12が正規の位置
に到達したことを前記スパイダーシャフト位置検出ユニ
ット39が検出し、コントローラから駆動モータを停止さ
せる信号が発せられ、駆動モータ22が停止して圧入ヘッ
ドの前進が止る(第6図(ハ)参照)。
一方の軸受けカップ13の圧入が完了した時点で、前記
スパイダーシャフト13は第4図において距離Cだけ反仮
受け治具側(第4図において右側)へ移動し、スパイダ
ーシャフト位置検出ユニット39の計測シャフト42もスパ
イダーシャフト12に押動され、コイルスプリング43の弾
性力に抗して距離Cだけ摺動し、この計測シャフト42の
移動は計測レバー44を揺動駆動することによりセンサ45
により移動量が検出される。またセンサ45は検出したデ
ータをリード線を介してコントローラ50に送り、コント
ローラ50において移動量のデータに基いて演算が行なわ
れ、スパイダーシャフト12の新な位置が求められ、この
新な位置が、組付け後のスパイダーシャフト12の軸心と
なる。
そして、前記一方の軸受けカップ13の圧入が完了した
後、前記第1圧入ユニット19の圧入ヘッド24が前進位置
で駆動モータ22がブレーキ22aによりロックされ、圧入
ヘッド24の先端面がシャフト12aの先端側に被着された
前記軸受けカップ13に当接している状態を維持する。
次いで、第2圧入ユニット20の油圧シリンダ25に作動
油が送られて圧入ヘッド26が前進し、該圧入ヘッド26の
先端が、第2圧入ユニット20側に配設されたもう一方の
軸受けカップ13を押圧して、この軸受けカップ13をヨー
ク11の軸受け孔11b内に圧入するとともに同側のスパイ
ダーシャフト12のシャフト12aの先端側に被着する。こ
のとき、前記ヨーク部11aに加わる軸受けカップ13の圧
入抵抗負荷は、前記の場合と同様にヨーク受け治具31が
受持つため、各ヨーク部11aの圧入時の負荷による変形
が有効に防止される。
また、スパイダーシャフト12に加わる圧入抵抗負荷
は、スパイダーシャフト12の対向側に被着された軸受け
カップ13に当接している前記第1圧入ユニット19の圧入
ヘッド24が受持つため、スパイダーシャフト12の移動が
防止され、ヨーク11の中心軸とスパイダーシャフト12の
中心軸とが一致した状態で軸受けカップ13が圧入され
て、カルダン継手の組立が完了する(第6図(ニ)参
照)。
そして、組立が完了すると前記ブレーキ22aによるロ
ックが解除されて第1圧入ユニット19の圧入ヘッド24が
後退するとともに、第2圧入ユニット20の圧入ヘッド26
も後退し(第6図(ホ)参照)、次いで前記両ヨーク受
け治具31,31がスプリングの弾性力により互いに接近す
る方向に復帰してヨーク部11aから離れた後、一旦昇降
基台27を上昇さて、その後再度下降させて、前記スパイ
ダーシャフト12の位置を計測し、組付けが正しく行なわ
れている場合には、組立てられたカルダン継手を排出し
て、新たにヨーク11とスパイダーシャフト12と軸受けカ
ップ13とが供給されて(第6図(イ)参照)、次の組立
て工程が行なわれる。
また、故障等の何等かの原因で組付けが正しく行なわ
れていない場合には、前記センサ45からのデータにより
コントローラ50が位置の異常を判断し、信号を発して警
報器を作動させて、警報音あるいは警報灯により作業者
に異常を知らせるようになっている。
したがって、この実施例の装置においては、スパイダ
ーシャフト位置検出ユニット39を、ガイドパイプ41内に
摺動可能に挿通した計測シャフト42をコイルスプリング
43によって仮受け治具40に向けて押圧付勢し、その計測
シャフト42の移動量を計測レバー44を介してセンサで検
出し、この検出したデータに基づき正規の位置とのずれ
をコントローラ50により演算して求めるように構成し、
また、軸受けカップ13を圧入して組付け完了後にこのス
パイダーシャフト位置検出ユニット39により再びスパイ
ダーシャフト12の組付け位置をチェックするようにした
ので、装置の故障等により生じたスパイダーシャフト12
の組付け位置が異常な不良品を検出して排除することが
できるので、製品の高い組付け品質を確保することがで
きる。
なおこの実施例の装置においては、第1圧入ヘッド24
を前進位置で固定するために、駆動モータ22をロックす
るブレーキ22aを設けたが、他の法としては、第1圧入
ヘッド24をカム等により直接ロックする方法、あるいは
テーパピンを挿入してロックする方法でもよい。
発明の効果 以上説明したようにこの発明のカルダン継手組立装置
は、ヨークを位置決めして載せるワーク台と、このワー
ク台上に載置されたヨークの軸受け孔に嵌挿されたスパ
イダーシャフトの一方のシャフトに軸受けカップを圧入
する第1圧入ユニットと、一方のシャフトに軸受けカッ
プを被着後に対向する他方のシャフトに軸受けカップを
圧入する第2圧入ユニットと、前記軸受けカップの圧入
時にスパイダーシャフトが正規の位置に移動したことを
検出して圧入を停止させる信号を出すとともに組付け後
のスパイダーシャフトの芯ずれ量を検出するスパイダー
シャフト位置検出ユニットおよびこのスパイダーシャフ
ト位置検出ユニットのコントローラと、軸受けカップの
圧入時に各部品の加工誤差を吸収するとともにそれぞれ
別個にスライドして前記ヨークに当接し、圧入時にヨー
クに加わる負荷を受けるヨーク受け治具ユニットと、前
記スパイダーシャフト位置検出ユニットとヨーク受け治
具ユニットをそれぞれ支持し、かつ上下方向にスライド
可能に設けられた昇降基台とを備えているので、軸受け
カップ圧入時のスパイダーシャフトの移動や、ヨークお
よび軸受けカップの変形等が防止されるとともに、組立
て時に各部品の加工誤差が吸収され、ヨークとスパイダ
ーシャフトの芯出し精度が高く、使用回転時に振動や騒
音が発生しない高精度のカルダン継手を組立てることが
できる。
また組付け完了時に組付け精度を再チェックして不良
品を排除できる等の効果を有する。
【図面の簡単な説明】
第1図ないし第6図はこの発明に係るカルダン継手組立
装置の一実施例を示し、第1図は装置全体を示す断面正
面図、第2図は圧入前のスパイダーシャフト位置検出ユ
ニットを示す拡大断面正面図、第3図は第2図のIII−I
II線視図、第4図は圧入後のスパイダーシャフト位置検
出ユニットを示す拡大断面正面図、第5図はスパイダー
シャフトの位置の計測原理の説明図、第6図(イ)
(ロ)(ハ)(ニ)(ホ)はそれぞれカルダン継手の組
立工程を示す説明図、第7図および第8図は従来例を示
すもので、第7図はカルダン継手の分解斜視図、第8図
は従来の組立装置により組立てた状態のカルダン継手を
示す一部断面正面図である。 11……ヨーク、11a……ヨーク部、11b……軸受け孔、11
c……いんろう部、12……スパイダーシャフト、12a……
シャフト、13……軸受けカップ、15……カルダン継手組
立装置、16……本体ベース、17……ワーク台、17a……
円孔、17b……カップ受け部、18……昇降ユニット、19
……第1圧入ユニット、20……第2圧入ユニット、21…
…位置決めシリンダ、21a……位置決めピン、22……駆
動モータ、23……減速ギヤユニット、24……圧入ヘッ
ド、25……油圧シリンダ、26……圧入ヘッド、27……昇
降基台、30……昇降用シリンダ、30a……ピストンロッ
ド、31……ヨーク受け治具、31a……係合部、32……ス
ライドレール、33……スライドベアリング、34……テー
パ治具、35……ヨーク受け治具用シリンダ、37……ロッ
ド、38……スプリング、39……スパイダーシャフト位置
検出ユニット、40……仮受け治具、41……ガイドパイ
プ、42……計測シャフト、43……コイルスプリング、44
……計測レバー、45……センサ、50……コントローラ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 林 邦夫 豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株 式会社内 (72)発明者 西田 秀明 豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株 式会社内 (72)発明者 武藤 仁志 豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株 式会社内 (72)発明者 上福元 等 東京都大田区下丸子2−13−1 三井精 機工業株式会社東京工場内

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】十字形のスパイダーシャフトを、該スパイ
    ダーシャフトの同一軸上の2つのシャフトをそれぞれヨ
    ークの軸受け孔に嵌挿するとともに、スパイダーシャフ
    トの端部側に軸受けカップを被着してこのスパイダーシ
    ャフトをヨークに組付けるカルダン継手組立装置におい
    て、前記ヨークを位置決めして載せるワーク台と、この
    ワーク台上に載置されたヨークの軸受け孔に嵌挿された
    スパイダーシャフトの一方のシャフトに軸受けカップを
    圧入する第1圧入ユニットと、一方のシャフトに軸受け
    カップを被着後に対向する他方のシャフトに軸受けカッ
    プを圧入する第2圧入ユニットと、前記軸受けカップの
    圧入時にスパイダーシャフトが正規の位置に移動したこ
    とを検出して圧入を停止させる信号を出すとともに組付
    け後のスパイダーシャフトの芯ずれ量を検出するスパイ
    ダーシャフト位置検出ユニットおよびこのスパイダーシ
    ャフト位置検出ユニットのコントローラと、軸受けカッ
    プの圧入時にそれぞれ別個にスライドして前記ヨークに
    当接し、圧入時にヨークに加わる負荷を受けるヨーク受
    け治具ユニットと、前記スパイダーシャフト位置検出ユ
    ニットとヨーク受け治具ユニットをそれぞれ支持し、か
    つ上下方向にスライド可能に設けられた昇降基台とを備
    えていることを特徴とするカルダン継手組立装置。
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