JP2532772B2 - 亜鉛めっき付着ムラ原因の調査方法 - Google Patents

亜鉛めっき付着ムラ原因の調査方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、亜鉛付着ムラ原因を突
き止める方法に関し、特に自動車用鋼板として使われる
溶融亜鉛めっき鋼板製造時における、通板材の振動, い
わゆる“バタツキ”に起因する付着ムラ発生の原因を特
定するための調査方法に関しての提案である。
【0002】
【従来の技術】溶融亜鉛めっきに当たっては、めっき膜
の均一付着を図ることが重要である。そのために、一般
にこのめっきラインでは、均一付着を実現するべく、亜
鉛付着ムラの発生を観察している。この観察は、オペレ
ーターが亜鉛付着量計の表示を見て判断したり、ガスワ
イピング部の板のバタツキを非接触式の変位計で測定
し、その表示を見て判断したり、さらにはワイピング部
近傍に設置したカメラにより、通板材の振動, いわゆる
バタツキを直接目視により観察することにより、付着ム
ラ発生を検知している。
【0003】従来の亜鉛の付着ムラを防止する技術は、
上述のような観察結果に基づく制御方法である。例え
ば、特開昭58−3959号公報や特開平2−62355 号公報に
開示されているような方法がそれである。これらの従来
技術は、変位計または距離センサを用い、ストリップの
ガスワイピング部での通板材の振動(バタツキ)を検知
し、その出力信号から直接、ワイピング圧力を制御した
り、磁石を用いて直接的にバタツキを制御したりする方
法として知られている。
【0004】また、特公昭58−27343 号公報や特開昭57
−5853号公報、特開昭61−143573号公報、特開平1−92
349 号公報にそれぞれ開示されているように、めっき付
着量計を用い、その信号を直接、制御信号としてフィー
ドバックし、ストリップ幅方向に磁石により張力を与え
ることにより制御したり、ワイピング圧力や流量, ノズ
ル位置等を制御したりする方法なども知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上掲の各従来
技術は、通板材の“バタツキ”を変位計を用いて検知し
たりその信号により直接制御する方法であり、また、め
っき付着ムラをめっき付着量計を用いて得られる出力を
直接、制御する方法であるから、これらの方法によれ
ば、バタツキや付着ムラの程度そのものはわかるが、そ
のバタツキや付着ムラ発生の原因そのものを突き止める
ことまではできないという問題があった。従って、バタ
ツキやめっき付着ムラを具体的にどのように制御して防
止するかという肝心な方策が立案できないという課題が
あった。
【0006】本発明の目的は、上述した従来技術が抱え
ている問題点を解決でき、めっき付着ムラ原因を正確に
突き止めて有効なその防止手段が適用できるようにする
ことにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上掲の目的を
実現する手段について鋭意研究した結果なされたもので
あり、溶融亜鉛めっきラインにおける亜鉛ポット出側部
での通板材の振動を変位計を用いて検知し、そのアナロ
グ出力を周波数に変換してその波形を解析変換し、この
周波数と同じ周波数で振動する前記検知対象である通板
材を除くめっき付帯設備,例えば、シンクロール,浴中
サポートロール,浴上サポートロールなどの振動を検索
することで、振動 (以下はバタツキという) 原因を特定
し、これによって亜鉛付着ムラの原因となる場所を突き
止めるようにした点に特徴がある。
【0008】このような方法によれば、バタツキ因子が
明瞭に判るから、直ちにそのバタツキ因子を取り除くこ
とが可能となる。従って、容易に亜鉛めっき付着ムラを
根本的に無くすことができるようになり、亜鉛めっき膜
の均一付着が実現できる。
【0009】
【実施例】図1は、本発明方法の一実施例であり、付着
ムラ判定ロジックを組み込んだシステム構成図である。
図2は、溶融亜鉛ポットまわりの設備構成と変位センサ
の設置方法を示した図である。図示の符号1は、亜鉛ポ
ットであり、このポット内には溶融亜鉛2が貯留され
る。図示の3はシンクロール、4は通板材を示してお
り、この通板材は熱処理炉などを経てスナウト5中を通
過して浴中に導入される。この通板材は、シンクロール
3を経て、一対の前面、後面の浴中サポートロール6,
7を通り、浴面上にて一対の前面, 後面のガスワイパー
8a, 8bによるワイピングが施され、その後、一対の前
面, 後面の浴上サポートロール10, 11を経て合金化炉に
達し、合金化処理が施されるようになっている。
【0010】なお、このめっき装置には、ガスワイパー
8a, 8bと浴上サポートロール10, 11との間の通板ルート
に面して変位センサ9が配設されてあり、通板材のバタ
ツキをオンラインで常時観察できるようになっている。
【0011】そして、上記変位センサ9による検知出力
信号は、図1に示すように、変位センサー用増幅器15で
増幅してアナログ信号として出力し、そのアナログ信号
は、高速フーリエ変換器16を介して周波数変換され、後
述する判定に供されることになる。周波数に変換された
後、その結果はCPU17に入・出力し、このCPU17で
バタツキ原因の判定を実施する。しかも、この判定結果
は、CPU17に接続されている警報器18やCRT19、プ
リンタ20等に出力する。
【0012】図3および図5は、厚さ 0.9mm, 幅1800mm
の自動車用鋼板を溶融亜鉛めっきラインにてラインスピ
ード150mpmで通板した時の通板材のバタツキのもようを
示すもので、変位センサ9で測定した時の増幅器15の出
力波形である。なお、図3のものが、板がバタツイてい
るときの波形、図5に示すものが正常時の波形である。
図4、図6は、上記2つの波形を、それぞれ周波数解析
した結果である。図4から、通板材は 3.5Hzの周波数で
バタツイていることが判明した。
【0013】そこで、亜鉛ポット1 まわりの付帯設備に
ついて、それぞれどのような周波数になっているかを調
査してみたところ、シンクロール3の周波数は 1.3Hz、
浴中サポートロール(前面)6の周波数は 3.5Hz、浴中
サポートロール(後面)の周波数は 4.2Hz、浴上サポー
トロール(前面)10の周波数は 5.1Hz、浴上サポートロ
ール (後面)11 の周波数は 5.1Hzで回転していることが
判明した。
【0014】このことから、通板材のバタツキに伴う周
波数波形変換出力と、前記各付帯設備の周波数とを、前
記CPU17により比較することにより、この例では、浴
中サポートロール(前面) 6の回転振動が原因でバタツ
イていることが判明した。
【0015】そこで、めっきライン停止日に、亜鉛ポッ
ト1から浴中サポートロール(前面)6を取り外して調
べたところ、この浴中サポートロール6が少し偏心して
いることが判り、このロールを交換して、引続き亜鉛め
っきを行ったところ、図5に示すような正常な状態に戻
った。
【0016】なお、この事例は、鋼板に亜鉛めっきを行
う事例で説明したが、アルミニウムめっきやすずめっき
等の各種めっきラインについても適用が可能である。
【0017】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれは、亜
鉛ポット出側部の通板材のバタツキを周波数解析するこ
ととしたので、めっき付帯設備との関連が明確になり、
それ故に板のバタツキを原因とするめっき付着ムラの原
因が明確に判定できる。従って、めっき付着ムラの原因
を的確に除去することができるから、常にめっき膜の均
一付着が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のバタツキ原因判定システムの
構成図。
【図2】図2は、変位センサ設置状況を示すめっきライ
ン構成図。
【図3】図3は、通板材のバタツキが大の時のグラフ。
【図4】図4は、図3の波形の周波数解析図。
【図5】図5は、鋼板のバタツキが小の時のグラフ。
【図6】図6は、図5の波形の周波数解析図である。
【符号の説明】 1 亜鉛ポット 17
CPU 2 溶融亜鉛 18
警報器 3 シンクロール 19
CRT 4 鋼板 20
プリンター 5 スナウト 6 浴中サポートロール(前面) 7 浴中サポートロール(後面) 8a ガスワイパー(前面) 8b ガスワイパー(後面) 9 変位センサ 10 浴上サポートロール(前面) 11 浴上サポートロール(後面) 12 合金化炉 15 変位センサ用増幅器 16 フーリエ変換器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−358052(JP,A) 実開 平1−149459(JP,U) 特公 昭47−18956(JP,B2)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融亜鉛めっきラインにおける亜鉛ポッ
    ト出側部での通板材の振動を変位計を用いて検知し、そ
    の出力を周波数に変換し、この周波数と同じ周波数で振
    動する前記通板材を除くめっき付帯設備の振動を検索
    し、振動原因を特定することを特徴とする亜鉛めっき付
    着ムラ原因の調査方法。
JP3159476A 1991-06-04 1991-06-04 亜鉛めっき付着ムラ原因の調査方法 Expired - Fee Related JP2532772B2 (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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