JP2531858B2 - X線マスク材料 - Google Patents

X線マスク材料

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、X線リソグラフィーに
用いられるX線マスク材料に関し、詳しくは平坦性の向
上、パターンシフトに影響をおよぼすマスクメンブレン
内のひずみ(以下、面内ひずみということがある)を低
減させたX線マスク材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体産業において、シリコン基
板等に微細パターンからなる集積回路を形成する技術に
は、露光用電磁波として、可視光や紫外光を用いて微細
パターンを転写するフォトリソグラフィー法が用いられ
てきた。しかし近年、半導体技術の進歩とともに、超L
SIなどの半導体装置の高集積化が著しく進み、このよ
うな背景にともない、従来のフォトリソグラフィー法に
用いてきた可視光や紫外光での転写限界を越えた高精度
の微細パターンの転写技術が要求されるに至った。この
ような微細パターンを転写させるために、より波長の短
いX線を露光用電磁波として用いるX線リソグラフィー
法が試みられている。このX線リソグラフィー法におい
て、X線マスクは従来のフォトリソグラフィー法におけ
るフォトマスクと同様に、ステッパーへの装着などのさ
まざまな取扱いを受ける。このような取扱いの際のマス
ク破損の危険性を減少させ、取扱い上の安全性を付与す
ることを考慮し、X線マスク基板に支持枠(支持体)を
固定する必要がある。従来、このための支持枠接着はエ
ポキシ樹脂などに代表される有機高分子系の接着剤を用
いて行っていた。あるいは、接着剤を使用しない方法と
しては、陽極接合の技術を用いて硼珪酸ガラス(例えば
重量%表示でSiO2 :81.0%、Al2 3 :2.
0%、Na2 O:4.0%およびB2 3 :13.0%
からなる熱膨張係数が3.1×10-6/℃の硼珪酸ガラ
スが従来より用いられている)からなるガラス支持枠を
X線マスク基板に接着する方法も試みられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、X線リソグラ
フィー法におけるX線マスクは、感光面に対して10〜
50μmの微小な間隔でパターン露光する近接露光法で
使用されるため、先に述べたような接着剤によりマスク
基板と支持枠の接着を行うと、接着剤自体の厚みのばら
つきがコントロールできないことにより、X線ステッパ
ーにおける微細パターンの転写において、ウェーハー上
の感光面に対して垂直方向の間隔精度(以下、ギャップ
精度ということがある)を得ることが困難になった。さ
らに、X線マスクを使用して高強度X線照射により微細
パターンの転写を行うにあたって、接着剤の耐熱性、耐
放射線性が十分でなく、接着剤の経時劣化による耐久性
の低下やこれにより発生するダストの問題等も、従来の
接着剤使用における欠点であった。一方、陽極接合の技
術を用いての接着は、接着剤による厚みのばらつきがな
いので、垂直方向の間隔精度の制御には効果があった
が、ガラス支持枠に使用する、前記従来の硼珪酸ガラス
の熱膨張による伸び率(硼珪酸ガラスの熱膨張係数:
3.1×10-6/℃)とマスク基板に使用するシリコン
ウェーハーの熱膨張による伸び率(シリコン結晶板の熱
膨張係数:3.4×10-6/℃)が異なることが問題と
なった。すなわち、室温〜250℃付近までは上述の硼
珪酸ガラスの熱膨脹による伸び率の方がシリコン結晶の
伸び率より大きいのに対し、これ以上の温度領域ではシ
リコン結晶のそれの方が大きくなり、硼珪酸ガラスとシ
リコン結晶の熱膨張による伸び率の差の符号が250℃
付近にて逆転するために、接着時およびマスク製作にお
ける熱履歴によりマスクひずみが生じてパターンの転写
精度を低下させるという欠点がある。
【0004】すなわちX線マスクの製造において従来法
では、いずれの方法を用いてもX線リソグラフィー法に
おけるパターンの転写精度に影響をおよぼし、垂直方向
のギャップ精度の制御、およびマスク面内ひずみの低減
を同時に達成できないという欠点があった。
【0005】本発明の目的は、前述の従来法における課
題を解決するためになされたものであり、高精度のギャ
ップ精度が得られ、マスク面内ひずみを低減したX線マ
スク材料を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するためになされたものであり、X線透過膜を有する
シリコン基板のシリコン部のシリコン表面の一部又は全
部と支持枠とを陽極接合法により接合させたX線マスク
材料において、前記支持枠として、室温から400℃の
温度域の各温度において、ガラスの熱膨張による伸び率
α1と前記シリコンの熱膨張による伸び率α2との比率
(α1/α2)が0.8〜1.2の範囲であり、かつ前記
温度域の各温度において、ガラスの熱膨張による伸び率
α1と前記シリコンの熱膨張による伸び率α2との差(α
1−α2)の符号が同一であるガラスを使用することを特
徴とするX線マスク材料を要旨とする。
【0007】このX線マスク材料において、前記支持枠
を構成するガラス中の他の酸化物は、ZnO、B23
23、La23、Gd23、BaO、SrO、Ca
O、PbO、K2O、Li2O、ZrO2、TiO2、P2
5、As23、Sb23から選ばれた少なくとも一種
であるのが好ましい。このX線マスク材料において、前
記支持枠として、SiO2が50〜70wt%、Al23
が14〜28wt%、Na2Oが1〜5wt%、MgOが1
〜13wt%であり、前記SiO2とAl23とNa2Oと
MgOとの合量が少なくとも80wt%であり、前記以外
の他の酸化物を20%未満含有するガラスを使用するの
が好ましい。また、このX線マスク材料において、前記
支持枠として、SiO2が56〜64wt%、Al23
18〜24wt%、Na2Oが2〜3wt%、MgOが2〜
6wt%、ZnOが2〜11wt%であり、前記SiO2
Al23とNa2OとMgOとZnOとの合量が少なく
とも85wt%であり、前記の他の酸化物(但しZnOを
除く)を15%未満含有するガラスを使用するのが特に
好ましい。さらに前記ガラスはフッ素を含有しても良
い。
【0008】本発明における「X線マスク材料」とは、
シリコン基板にX線透過膜が設けられたX線マスクメン
ブレン、X線マスクメンブレンにX線吸収膜が設けられ
たX線マスクブランクおよびX線マスクブランクのX線
吸収膜がパターン化されたX線マスクの三者を包含する
ものである。
【0009】先ず支持枠を構成するガラスの各成分の限
定理由を述べる。SiO2 はガラスの基本成分であり、
50wt%未満では膨張係数が大きくなり過ぎるばかりで
なく化学的耐久性が劣化し、70wt%を超えると粘性が
高くなり過ぎて溶融が困難となるので50〜70wt%に
限定され、最適な範囲は56〜64wt%である。Al2
3 はシリコン結晶と近似した伸び率曲線を得るのに必
須な成分であるが、14wt%未満では分相傾向が増大す
るとともに高温域の粘性が増大するので14%wt以上必
要であり、28wt%を超えると耐失透性が悪化する。最
適な範囲は18〜24wt%である。Na2 Oは陽極接合
するのに必須な成分で、添加量が多いほど電気伝導度が
大きくなり低温での接合が可能になるが、5wt%を超え
ると膨張係数が大きくなり過ぎるので5wt%以下に限定
される。また1wt%未満では電気伝導度が小さくなって
陽極接合が困難になり、かつ膨張係数が小さくなり過ぎ
るとともに溶融が困難になる。最適な範囲は2〜3wt%
である。MgO及びZnOは安定なガラスを得るのに有
効な成分であり、陽極接合の際のキャリアイオンとなる
Na2 Oを最大限に導入することを可能ならしめる。M
gOは1%未満で耐失透性が悪化するとともに分相傾向
が増大し、13wt%を超えると膨張係数が大きくなり過
ぎる。最適な範囲は2〜6wt%である。またMgOは粘
性を下げ溶融性を良くする効果も有する。ZnOは必須
成分ではないが、膨張係数を小さくする効果がMgOよ
りも大きく、化学的耐久性も良くするので好ましい成分
であるが、14wt%を超えると分相傾向が大きくなると
ともに粘性が大きくなり過ぎる。なお、最適な範囲は2
〜11wt%である。B2 3 は必ずしも必要としない
が、溶融性を良くするので有効である。しかし添加量の
増大とともに化学的耐久性を悪化するので15wt%を限
度とする。好ましくは2wt%未満である。La2 3
粘性を下げ、化学的耐久性を良くする効果があるが、比
較的高価なので5wt%を超えて添加するのは得策でな
い。また、これ等の成分以外にも特性を悪化させない範
囲でY2 3 、Gd2 3 、BaO、SrO、CaO、
PbO、K2 O、Li2 O、ZrO2 、TiO2 、P2
5 さらに、ガラス成分としてフッ素を所望量含有する
ことができる。また、溶融の際の脱泡剤としてAs2
3 、Sb2 3 及び塩化物等を適宜加えることもでき
る。
【0010】次に、本発明においては、室温から400
℃の温度域の各温度に於いて、支持枠を構成するガラス
の熱膨張による伸び率α1 と、このガラスと接合される
シリコンの熱膨張による伸び率α2 との比率α1 /α2
を0.8〜1.2の範囲の値にするものであるが、この
ような限定を設けた理由は、この範囲をはずれると、ガ
ラスとシリコンの熱膨張による伸び率に大きな差を生
じ、熱膨張特性に於けるガラスとシリコンとの整合性が
悪くなるからである。
【0011】次に室温から400℃の温度域の各温度に
おいて、α1とα2との差(α1−α2)の符号が同一であ
ることを要件とした理由は、この符号がある温度を境に
して同一でなくなる(ガラスの熱膨張による伸び率α1
とシリコンの熱膨張による伸び率α2が逆転する)と、
熱履歴によるマスクひずみが生じてしまうからである。
熱履歴によるマスクひずみが生じるのは、前記(α1
α2)の差の符号が、ある温度を境にして同一でなくな
る場合であるので、本発明において前記(α1−α2)の
差の符号が同一とは、(α1−α2)の差がゼロの場合も
含むものとする。
【0012】本発明のX線マスク材料において支持枠の
ガラスに使用される原料は通常使用されている硅石粉、
アルミナ、水酸化アルミニウム、炭酸ソーダ、硝酸ソー
ダ、炭酸マグネシウム、亜鉛華、酸化ランタン、硼酸及
び硼砂等を適宜選択して用いることが出来る。これ等の
原料を所定量秤量し混合して得られた調合バッチを、白
金製坩堝等の耐熱性容器中に投入し、1500〜160
0℃に加熱、溶融し、撹拌して均質化及び脱泡を行った
後、適当な温度に予熱した金型に鋳込み、徐冷すること
により支持枠のガラスを得ることが出来る。
【0013】本発明のX線マスク材料は、X線透過膜を
有するシリコン基板のシリコン部のシリコン表面の一部
又は全部と支持枠とを陽極接合法により接合させたもの
である。陽極接合法は、以下のような方法で行なわれ
る。すなわち、X線透過膜をシリコン基板片面上に形成
したX線マスクメンブレンの場合には、膜を形成してい
ないシリコン面にガラス支持枠を重ね、二枚の電極板の
間に挾み込む。このとき、接合する両者は接触面で静電
的に吸着するような平面度を持つことが望ましい。つぎ
に大気中、真空中あるいは接合されるX線マスク材料と
ガラス支持枠に対して化学変化などの影響をおよぼさな
い任意の雰囲気中において直流電圧印加および加熱をお
こなうことで、前記マスク基板とガラス支持枠とを接合
させることができる。さらに、この時、必要に応じて加
圧することができる。またX線透過膜をシリコン基板両
面上に形成した場合には、ガラス支持枠と接合する側の
X線透過膜の一部または全部を除去した後に、マスクメ
ンブレンとの接合を行なう必要がある。
【0014】
【実施例】以下、図面を参照しながら本発明の実施例を
説明する。 実施例1 (i)図1(A)は、シリコン(Si)基板1aの片面
上にX線透過膜1bとして炭化ケイ素または窒化ケイ素
の膜を成膜して作成したX線マスクメンブレン1を示す
ものである。なお、シリコン基板1aとしては結晶方位
(110)のシリコン基板を用いた。またX線透過膜1
bとしての炭化ケイ素膜は、ジクロロシランとアセチレ
ンを用いてCVD法により成膜されたものであり、また
窒化ケイ素膜は、使用するガスを変えた以外は炭化ケイ
素膜の場合と同様に成膜されたものである。
【0015】(ii)図1(A)に示すX線マスクメンブ
レン1においてX線透過膜1bが成膜されていない面は
シリコン基板1aのシリコン面であるが、本実施例にお
いては、ガラス支持枠との接合前にシリコン基板1aの
中央部を除去してX線透過膜1bを図1(B)に示すよ
うに自立させた。なお、このシリコン基板1aの中央部
を除去する方法としては、例えば、シリコン基板1aの
表面をリング状に耐エッチング物質を塗布し、80〜1
00℃に加熱した10〜50wt%NaOH水溶液に浸漬
する方法が用いられた。
【0016】(iii)本実施例においては、支持枠を構成
するガラスとして、表1に示すようにSiO2 が58.
8wt%、Al2 3 が22.3wt%、Na2 Oが2.5
wt%、MgOが4.9wt%、ZnOが10.0wt%であ
り、SiO2 とAl2 3 とNa2 OとMgOとZnO
との合量が98.5wt%であり、他の酸化物としてB2
3 を1.5wt%、As2 3 を0.3%含有するガラ
ス(熱膨張係数3.4×10-6/℃)を用いた。そして
図1(C)に示すように中央部がぬき穴になっているガ
ラス支持枠2を、中央部が除去されたシリコン基板1a
とX線透過膜1bとからなるX線マスクメンブレン1に
重ね合せた。支持枠を構成するガラスとシリコンの、室
温から500℃における伸び率の変化直線を図3に示
す。図3より、ガラスとシリコンの室温から500℃に
おける伸び率の変化曲線はほぼ一致していることから、
ガラスの伸び率(α1 )とシリコンの伸び率(α2 )と
の比率(α1 /α2 )は各温度において0.8〜1.2
の範囲にあることおよび各温度において、α2 がα1
りもきわめてわずかではあるが、大きいことから、(α
1 −α2 )は同符号(負)であることが明らかである。
【0017】(iv)次に重ね合せたX線マスクメンブレ
ン1とガラス支持枠2を図1(D)に示すように電極板
3aおよび3bで挾み込んだ。なお電極板3aはX線透
過膜1bの自立した部分を保護するために中央に凹部を
設けたものを用いた。
【0018】(v)次に図1(E)に示すように電極板
3aを正極(X線マスクメンブレン側)に、電極板3b
を負極(ガラス支持枠側)になるように配線して直流電
圧を印加した。そして加熱用ヒーター5により絶縁用石
英板4を介して加熱し、また荷重6を用いて加圧した。
なお、装置は保温用カバー7の中で精密に温度コントロ
ールされた。1kVの電圧を60〜120分印加し、温度
200〜500℃、荷重35〜350g/cm2 の条件で
X線マスクメンブレン1とガラス支持枠との陽極接合を
行なったところ、従来のエポキシ接着剤による接着より
も接着強度に優れ、引っ張り強度試験において50kg/
cm2 以上の値を示す十分な接合を達成することができ
た。
【0019】また本実施例で作成したマスクにおいて、
フィゾー干渉測定法により、マスクの平坦度が10μm
以下であることを確認した。さらに、面内ひずみをレー
ザー測長器(光波2I)にて測定し、十分な面内精度が
得られていることを確認した。そして上記特性により、
X線ステッパーへの適用に優れていることが確認され
た。さらに、平坦度、耐熱性、耐久性等に優れている
ことが確認された。また、従来の硼珪酸ガラス支持枠を
用いて上記接合法を行った場合に比べても、はるかに広
い温度領域において良好な結果を得ることができた。
【0020】実施例2 X線マスクメンブレンとして、シリコン基板の両面にX
線透過膜を成膜したものを用い、一方のX線透過膜を、
CF4 等のフッ素系ガスと酸素ガスとの混合ガスを用い
る反応性イオンエッチングによってその中心部をエッチ
ング除去した。次に、得られたリング状X線透過膜をマ
スクとして、実施例1と同様にNaOH水溶液を用いる
エッチング処理によって、シリコン基板の中央部を除去
して、図2(A)に示すような断面形状を有する、シリ
コン基板1aとX線透過膜1bとからなるX線マスクメ
ンブレン1を得た。次にX線透過膜1bのガラス支持枠
と接合する部分を、上述と同様の反応性イオンエッチン
グによって除去して、図2(B)に示すような断面形状
を有するX線マスクメンブレン1を得た。次に、このX
線マスクメンブレン1とガラス支持枠2とを、図2
(C)に示すように重ね合せた。なお、支持枠を構成す
るガラスとしては、実施例1と同様に表1のNo. 1の組
成のものを用いた。次に重ね合せたX線マスクメンブレ
ン1とガラス支持枠2とを、実施例1と同様の条件で陽
極接合法により接合した。
【0021】本実施例によれば、従来のエポキシ接着剤
による接着よりも接着強度に優れ、引っ張り強度試験に
おいて50Kg/cm2 の値を示す十分な接合を達成するこ
とができた。本実施例で作成したマスクにおいて、フィ
ゾー干渉測定法により、マスクの平坦度が10μm 以下
であることを確認した。さらに、面内ひずみをレーザー
測長器(光波2I)にて測定し、十分な面内精度が得ら
れていることを確認した。そして上記特性により、X線
ステッパーへの適用に優れていることが確認された。さ
らに、平坦度、耐熱性、耐久性等に優れていることが
確認された。また、従来の硼珪酸ガラス支持枠を用いて
上記接合法を行った場合に比べても、はるかに広い温度
領域において良好な結果を得ることができた。
【0022】実施例3 (i)支持枠を構成するガラスとして、表1のNo. 2に
組成を示し、図3に温度に対する伸び率を示したガラス
を用いた。このガラスは、室温から500℃の温度域の
各温度においてα1 /α2 は0.8〜1.2の範囲にあ
り、(α1 −α2)は同符号(負)であった。上記ガラ
スを用いた以外は、実施例1と同様にして実施したとこ
ろ、従来のエポキシ接着剤による接着よりも接着強度に
優れ、引っ張り強度試験において50Kg/cm2 以上の値
を示す十分な接合を達成することができた。本実施例で
作成したマスクにおいて、フィゾー干渉測定法により、
マスクの平坦度が10μm 以下であることを確認した。
さらに、面内ひずみをレーザー測長器(光波2I)にて
測定し、十分な面内精度が得られていることを確認し
た。そして上記特性により、X線ステッパーへの適用に
優れていることが確認された。さらに、平坦度、耐熱
性、耐久性等に優れていることが確認された。また、
従来の硼珪酸ガラス支持枠を用いて上記接合法を行った
場合に比べても、はるかに広い温度領域において良好な
結果を得ることができた。
【0023】(ii)同じように、このガラスを実施例2
に示した方法で接合したところ、接合特性およびX線ス
テッパーへの適用において、良好な結果を得ることがで
きた。
【0024】実施例4 表1のNo. 3〜7および表2のNo. 8〜12に示す組成
を有し、室温から400℃に亘ってα1 /α2 が0.8
〜1.2の範囲にあり、(α1 −α2 )が同符号である
ガラスを支持枠として用い、これを実施例1と同様の陽
極接合法によりX線マスク基板と接合させたが、その接
合特性およびX線ステッパーへの適用において、いずれ
も従来の硼珪酸ガラス支持枠を用いたときに比べて良好
な結果を得ることができた。また、接着剤を用いたとき
に比べて、平坦度、耐熱性、耐久性等において優れてい
た。
【0025】比較例 支持枠を構成するガラスとして、従来の硼珪酸ガラス
(組成は表2に示すようにSiO2 :81.0wt%、A
2 3 :2.0wt%、Na2 O:4.0wt%、B2
3 :13.0wt%から成り、熱膨張係数がおおよそ3.
1×10-6/℃の硼珪酸ガラス)製のガラス支持枠を用
い、実施例1と同様の方法により、印加電圧1kV−60
〜120分、温度265±5℃、荷重350g/cm2
条件下にX線マスクメンブレンとガラス支持枠とを接合
させた。この場合、硼珪酸ガラス支持枠を用いているた
め、面内ひずみを低減させるためには、硼珪酸ガラスと
シリコン基板の熱膨張による伸び率が等しくなるように
温度を厳密に制御する必要がある。この温度は、本比較
例においては265℃付近であった。しかし、図3に示
すように硼珪酸ガラスとシリコンの熱膨張による伸び率
の差が大きいこと、および265℃以下ではシリコンよ
りも硼珪酸ガラスの方が、熱膨張による伸び率が大きい
が、265℃以上ではシリコンより硼珪酸ガラスの方
が、熱膨張による伸び率が小さくなり、この関係が逆転
し、かつその差が拡大してしまうため、接合時およびマ
スク製作における熱履歴に対して結果的には面内ひずみ
を十分に低減させることはできなかった。
【0026】本比較例で作成したマスクにおいて、フィ
ゾー干渉測定法により、マスクの平坦度が50μm 以上
であることを確認した。さらに、面内ひずみをレーザー
測長器(光波2I)にて測定し、十分な面内精度が得ら
れないことを確認した。そして上記特性により、X線ス
テッパーへの適用が困難であることが確認され、上記実
施例に比較して良好な結果は得られなかった。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】以上、X線マスクメンブレンについて実施
例を挙げ、比較例と対比しつつ説明てきたが、本発明
は、図4(A)および同5(A)に示すように、X線透
過膜1b上にX線吸収膜8aが設けられたX線マスクブ
ランクおよび図4(B)および図5(B)に示すよう
に、X線透過膜1b上にX線吸収膜パターン8bが設け
られたX線マスクについて適用可能であり、これらのX
線マスクブランクおよびX線マスクに陽極接合法により
支持枠を接合することができる。また、本実施例ではX
線透過膜を自立させる方法としてNaOHによるシリコ
ンのエッチングを行ったが、エッチングはこの方法に限
るものではなく、フッ硝酸(例えばHF:HNO3
9:1)等も用いることができる。さらに、本実施例で
はX線透過膜を自立させた後に、シリコンと支持枠とを
接合させたが、シリコンと支持枠とを接合させた後にX
線透過膜等を自立させても良い。すなわち、本発明にお
いてX線マスクメンブレンとはX線透過膜が自立してい
るものと、自立していないものの両方を含むものであ
り、X線マスクブランク、X線マスクも同様に自立して
いるものと自立していないものの両方を含むものであ
る。
【0030】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、シリ
コン基板に接合される支持枠として、SiO2 、Al2
O3 、Na2 O、MgOを必須成分とし、熱膨張特性に
おいてシリコンとの整合性がとれたガラスを用いること
により、高精度のギャップ精度が得られ、面内ひずみを
低減したX線マスクを得ることができる。さらに、シリ
コン基板と支持枠との接合に接着材を使用してないの
で、耐薬品性、耐熱性、耐放射線性に優れたX線マスク
を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のX線マスクメンブレンの作製を示す工
程図。
【図2】本発明の他のX線マスクメンブレンの作製を示
す工程図。
【図3】本発明のNo. 1および2のガラス、比較例1の
ガラスおよびシリコンの、温度に対する伸び率の変化を
示す図。
【図4】本発明が適用されるX線マスクブランクおよび
X線マスクを示す図。
【図5】本発明が適用される他のX線マスクブランクお
よびX線マスクを示す図。
【符号の説明】
1a シリコン基板 1b X線透過膜 1 X線マスクメンブレン 2 ガラス支持枠 8a X線吸収膜 8b X線吸収膜パターン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭54−124977(JP,A) 特開 昭61−20329(JP,A) 特開 昭58−41736(JP,A) 特開 昭60−42247(JP,A) 特開 昭61−53130(JP,A)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 X線透過膜を有するシリコン基板のシリ
    コン部のシリコン表面の一部又は全部と支持枠とを陽極
    接合法により接合させたX線マスク材料において、前記
    支持枠として、室温から400℃の温度域の各温度にお
    いて、ガラスの熱膨張による伸び率α1と前記シリコン
    の熱膨張による伸び率α2との比率(α1/α2)が0.
    8〜1.2の範囲であり、かつ前記温度域の各温度にお
    いて、ガラスの熱膨張による伸び率α1と前記シリコン
    の熱膨張による伸び率α2との差(α1−α2)の符号が
    同一であるガラスを使用することを特徴とするX線マス
    ク材料。
  2. 【請求項2】 前記支持枠として、SiO2が50〜7
    0wt%、Al23が14〜28wt%、Na2Oが1〜5w
    t%、MgOが1〜13wt%であり、前記SiO2とAl
    23とNa2OとMgOとの合量が少なくとも80wt%
    であり、他の酸化物を20%未満含有するガラスを使用
    することを特徴とする請求項1に記載のX線マスク材
    料。
  3. 【請求項3】 前記支持枠を構成するガラス中の他の酸
    化物が、ZnO、B23、Y23、La23、Gd
    23、BaO、SrO、CaO、PbO、K2O、Li2
    O、ZrO2、TiO2、P25、As23、Sb23
    ら選ばれる少なくとも一種である請求項1または2に記
    載のX線マスク材料。
  4. 【請求項4】 前記支持枠として、SiO2が56〜6
    4wt%、Al23が18〜24wt%、Na2Oが2〜3w
    t%、MgOが2〜6wt%、ZnOが2〜11wt%であ
    り、前記SiO2とAl23とNa2OとMgOとZnO
    との合量が少なくとも85%であり、前記の他の酸化物
    (但しZnOを除く)を15%未満含有するガラスを使
    用する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のX線マス
    ク材料。
  5. 【請求項5】 前記ガラスがフッ素を含む、請求項1〜
    4のいずれか一項に記載のX線マスク材料。
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