JP2529748Y2 - ステアリングロック装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は、ロック装置、特に自動変速機を備えた車
両のエンジン始動時の安全を確保するステアリングロッ
ク装置に関連する。

従来の技術 自動変速機を操作するシフトレバーを備えた車両で
は、エンジンの始動時にシフトレバーをパーキング位置
から他の位置に操作したときに発生する車両の始動時の
急発進を防止する安全装置が設けられる。例えば、実開
昭64−52935号公報に示されるように、電気的手段を利
用して構成された安全装置では、イグニションスイッチ
をオンに切替えたときブレーキペダルの踏込み状態を検
出してシフトレバーをパーキング位置から他の位置へシ
フトすることができる。この構造では、ブレーキペダル
の踏込みを検出するブレーキスイッチと、シフトレバー
のノブの押圧を制御するソレノイドが設けられる。イグ
ニションスイッチがオン位置に切替えられかつブレーキ
スイッチがオンになったとき、ソレノイドはシフトレバ
ーのノブの押圧を許容する位置に移動する。

しかし、上述の電気的構成を利用した構造では、安全
装置のコスト低減を図れないため、最近ではワイヤを利
用する機械的安全装置が開発されている。例えば実開昭
64−47432号公報及び実開平１−154928号公報には、ブ
レーキペダルを踏込むと、ロックプレートとディテント
ピンとの係合が外れて、シフトレバーをパーキング位置
から他の位置に操作できるATシフトロック装置が開示さ
れている。また、実開平１−150877号公報にはステアリ
ングロック装置をACC位置に切替えた後、シフトレバー
をパーキング位置以外の位置に移動できると共に、シフ
トレバーがパーキング位置に戻されていないと、ACC位
置からロック位置にキーシリンダを回転できない車両用
キーインターロック装置が開示されている。更に、実開
平１−114325号明細書には、キーシリンダがACC位置又
はオン位置に回転されかつブレーキペダルを踏込ん場合
にのみシフトレバーをパーキング位置から他の位置に移
動できるシフトレバーのロック装置が開示されている。

実開平１−77556号公報にはシフトレバーの誤操作を
防止するステアリングロック装置が開示されている。こ
のステアリングロック装置ではキーシリンダの回転軸を
含む平面に対して並行な平面上で回転するレバーがケー
ブルによりシフトレバー装置に作動連結される。

考案が解決しようとする課題 ところで、実開平１−77556号公報に開示されたステ
アリングロック装置では、レバーがキーシリンダの回転
軸を含む平面に対して並行な平面上で回転するため、ス
テアリングロック装置が大型化する欠点がある。

そこで、この考案は上記の要求に対応して、自動変速
機を備えた車両のエンジン始動時の安全を確保できる小
型のステアリングロック装置を提供することを目的とす
る。

課題を解決するための手段 この考案によるステアリングロック装置（10）は、ス
テアリングシャフトを施錠するロック位置とステアリン
グシャフトを解錠するアンロック装置との間でフレーム
（11）内でキー（35）により回転可能に配置されたキー
シリンダ（16）と、自動変速機を操作するシフトレバー
（110）をパーキング位置（Ｐ）から他の位置へ移動す
るときにシフトレバー（110）の移動を制御する制御板
（120）の回動レバー（130）にケーブル（140）で接続
され、かつシフトレバー（110）をパーキング位置
（Ｐ）とそれ以外の位置との間で移動するときに、キー
シリンダ（16）のロック位置への回動を阻止する係止位
置とキーシリンダ（16）のロック位置への回動を許容す
る非係止位置との間で移動される制御部材（32）とを備
えている。キーシリンダ（16）に対してほぼ平行に取り
付けられた軸部（24）に回転可能に取り付けられた中間
レバー（33）は、キーシリンダ（16）又はキーシリンダ
（16）に連動する回動部材に形成された係止部（16a）
に係合可能な内側当接部（33c）及び係止位置にある制
御部材（32）に係合する外側当接部（33b）を有する。
キーシリンダ（16）がロック地にあるとき、ブロック角
度位置にある中間レバー（33）は非係止位置から係止位
置への制御部材（32）の移動を阻止する。キーシリンダ
（16）がアンロック位置にあるとき、非係止位置から係
止位置への制御部材（32）の移動に伴い、中間レバー
（33）はブロック角度位置からリリース角度位置に移動
され、係止位置にある制御部材（32）はリリース角度位
置からブロック角度位置への中間レバー（33）の回転を
阻止して、キーシリンダ（16）のロック位置への移動を
阻止する。

中間レバー（33）は軸部（34）と別体又は一体に成形
される。制御部材（32）又は中間レバー（33）の一方に
は制御部材（32）又は中間レバー（33）の他方に当接す
る傾斜面が形成される。ブレーキペダルを踏み込んだ場
合にのみ、制御部材（32）は非係止位置から係止位置に
移動することができる。

作用 ステアリングロック装置（10）がロック状態にあると
き、中間レバー（33）はブロック角度位置にあり、非係
止位置にある制御部材（32）の係止位置への移動が阻止
されるから、シフトレバー（110）のパーキング位置
（Ｐ）から他の位置への操作が阻止される。ステアリン
グロック装置（10）にキー（35）を挿入して、キーシリ
ンダ（16）をロック位置からアンロック位置に回転する
と、ブロック角度位置からリリース角度位置への中間レ
バー（33）の回転が可能となる。ここで、シフトレバー
（110）をパーキング位置（Ｐ）から他の位置に移動さ
せると、制御部材（32）が非係止位置から係止位置へ移
動される。この状態ではリリース角度位置にある中間レ
バー（33）のブロック角度位置への回転が阻止される。

シフトレバー（110）をパーキング装置（Ｐ）に戻す
と、制御部材（32）が係止位置から非係止位置へ移動さ
れる。このため、中間レバー（33）がリリース角度位置
からブロック角度への回転が可能となる。従って、キー
シリンダ（16）をアンロック装置からロック位置に回転
することができる。

実施例 以下、この考案の実施例を第１図〜第14図について説
明する。

まず、第12図及び第13図において、シフトレバー110
は回転軸116を介して回動自在に支持される。シフトレ
バー110は、制御板120の開口部121に設けられたパーキ
ング位置Ｐ、後退シフト位置Ｒ、中立シフト位置Ｎ、及
び走行シフト位置等の各シフト位置に回動される。シフ
トレバー110のハンドルにはノブ111が設けられ、ノブ11
1の押圧は、制御部材管112内に挿通されたロッド113に
垂直運動として伝達される。更に、ロッド113の先端に
設けられたシフトピン114はばね115の弾力に抗して下方
に押し下げられる。上記の構造は公知であり、第12図に
示すようにシフトピン114はばね115の押圧力でパーキン
グ位置Ｐに係合していると、シフトレバー110はパーキ
ング位置Ｐから他のシフト位置へ移動できない。

回動レバー130は制御板120のパーキング位置Ｐのほぼ
下方位置にシャフト131を介して回動自在に支持されて
いる。回動レバー130にはシャフオ131の両側からピン係
合端部130a、ケーブル接続端部130b及びアーム部130cが
それぞれ延びて形成され、シフトピン114がパーキング
位置Ｐから例えば次の後退シフト位置Ｒに移行する初期
の段階で、シフトピン114がピン係合端部130aを押圧
し、回動レバー130全体をシャフト131周りで反時計方向
に回動させる。また、接続端部130bには、ステアリング
ロック装置10の制御部材32に接続された一端を有するケ
ーブル140の他端が連結される。回動レバー130はシャフ
ト131を支点にして、ピン係合端部130a又は接続端部130
bの各々の力が作用して揺動する。

シフトレバー110のノブ111を押圧すると、シフトピン
114はばね115に抗して下方に押し下げられ、回動レバー
130の係合端部130aの内側に達する。この位置でシフト
レバー110をパーキング位置以外の位置にシフトすると
き、シフトレバー110の回動によりシフトピン114が回動
レバー130の係合端部130aを押圧し、シャフト131を中心
にして回動レバー130全体を反時計方向に回動させる。

回動レバー130の回動によって、第14図のように、接
続端部130bではケーブル140を図に右方向に押圧する。
同時に、係合端部130aによって閉鎖されていた開口部12
1側の間隙122を開放し、間隙122を通過してシフトピン1
14が他のシフト位置に向かって移動する。即ち、回動レ
バー130の回転により、ケーブル140は押圧される。シフ
トレバー110の移動により、シフトピン114が回動レバー
130の係合端部130aから離脱すると、回動レバー130は傾
斜状態に保持される。シフトレバー110を再びパーキン
グ位置Ｐに戻すと、シフトピン114が回動レバー130のア
ーム部130cを時計方向に回動させることにより、回動レ
バー130は第13図に示す状態から第12図に示す状態に戻
される。シフトレバー110がパーキング位置Ｐから他の
位置に移動するとき、押圧張力が加えられるケーブル14
0はプッシュ状態となる。逆に、シフトレバー110がパー
キング位置Ｐに戻されるときに、引張力が加えられるケ
ーブル140はプル状態となる。

さて、第１図に示すように、この考案によるステアリ
ングロック装置10は、フレーム11と、フレーム11内に配
置されかつキャップ13を有するスリーブ12とを有する。
スリーブ12に形成された孔14内には、フランジ15を有す
るキーシリンダ16が回転可能に配置される。キーシリン
ダ16には公知のように複数のタンブラ（図示せず）が装
着される。

スリーブ12にはチェックレバー20が長さ方向に滑動可
能に取付けられる。また、第４図に示すように、ロッキ
ングロッド18は、フレーム11の孔19から進退可能に取付
けられる。しかし、チェックレバー20及びロッキングロ
ッド18は特公昭60−42055号公報に示されるものと同一
の構造及び作用効果を有する。従って、これらの詳細な
説明を省略する。

第１図に示すように、この考案によるステアリングロ
ック装置10は、フレーム11に形成された側室30を有す
る。側室30はスリット31aを備えたカバー31により覆わ
れる。側室30内には制御部材32と、制御部材32及びキー
シリンダ16に形成された係止部16aに作動連結する中間
レバー33とを有する。制御部材32は、ケーブル140の接
続端部140aに形成された孔140bに嵌合される突起部32a
と、傾斜面32cが形成されたアーム部32bと、横方向に突
出する凸部32dとを有する。凸部32dはカバー31のスリッ
ト31aに嵌合される。制御部材32はケーブル140の操作に
より側室30内で滑動可能に配置される。

中間レバー33はほぼ円筒状の軸部33aと、制御部材32
に係合可能に軸部33aから外側に突出する外側当接部33b
と、キーシリンダ16に形成された係止部16aに係合可能
に内側に突出する内側当接部33cと、軸部33aの中心に形
成された貫通孔33dとを有する。貫通孔33dには軸部34が
挿入され、軸部34の端部34aと34bは第１図に示すよう
に、フレーム11に形成された孔11aと1b内に配置され
る。軸部34の端部34aはローレット加工され、孔11a内に
固定される。軸部34はキーシリンダ16の中心軸に対して
ほぼ平行に配置される。中間レバー33は軸部34上に回転
可能に支持される。

上記の構成において、ステアリングロック装置10が第
１図〜第４図に示すロック状態にあるとき、中間レバー
33は第２図に示すブロック角度位置にある。従って、こ
の状態でパーキング位置Ｐにあるシフトレバー110をパ
ーキング位置Ｐ以外の位置に移動しようとしても、第２
図の点線で示すように、中間レバー33の外側当接部33b
が制御部材32のアーム部32bに当接するから、シフトレ
バー110をパーキング位置Ｐ以外の位置に移動すること
ができない。

キー35をキーシリンダ16内に挿入して、キーシリンダ
16をロック位置からアンロック位置に回転すると、ロッ
キングロッド18が第４図に示すロック位置から第７図に
示す解錠位置に移動すると共に、キーシリンダ16は第２
図から第８図に示す位置に回転される。この状態で、シ
フトレバー110をパーキング位置Ｐから他の位置に移動
すると、制御部材32は第１図の非係止位置から第９図の
係止位置に移動するとき、アーム部32bの傾斜面32cが中
間レバー33の外側当接部33bに当接して中間レバー33を
第８図で反時計方向に回転させる。このため、中間レバ
ー33は第８図のブロック角度位置から第10図のリリース
角度位置に回転される。第10図及び第11図から明らかな
ように、制御部材32が係止位置にあるとき、リリース角
度位置にある中間レバー33のブロック角度位置への回転
が制御部材32のアーム部32bにより阻止されるから、キ
ーシリンダ16をアンロック位置からロック位置に回転す
ることができない。

次い、シフトレバー110をパーキング位置Ｐに戻す
と、制御部材32が係止位置から非係止位置へ移動され
る。このため、リリース角度位置からブロック角度への
中間レバー33の回転が可能となる。従って、キーシリン
ダ16をアンロック位置からロック位置に回転することが
できる。

上記のように、この考案では、キーシリンダ16がロッ
ク位置にあるとき、ブロック角度位置にある中間レバー
33は非係止位置から係止位置への制御部材32の移動を阻
止する。キーシリンダ16がアンロック位置にあるとき、
非係止位置から係止位置への制御部材32の移動に伴い、
中間レバー33はブロック角度位置からリリース角度位置
に移動され、係止位置にある制御部材32はリリース角度
位置からブロック角度位置への中間レバー33の回転を阻
止し、これによりキーシリンダのロック位置への移動が
阻止される また、この考案の実施例ではブレーキペダルを踏んだ
場合に限り電気的手段又は機械的手段によりパーキング
位置にあるシフトレバー110を他の位置に移動するよう
に構成すれば、エンジン始動時の安全性を向上できるこ
とは理解されよう。この場合、非係止位置にある制御部
材32はブレーキペダルを踏んだ場合にのみ係止位置に移
動することができる。

この発明の上記実施例は種々の変更が可能である。

（１）前記の実施例では、中間レバー33を軸部34で支持
する例を示したが、中間レバー33に軸部を一体に形成し
て、これらの軸部をフレーム11に形成した孔又は切欠き
部で支持するように構成してもよい。

（２）キーシリンダ16に係止部を設ける代わりに、キー
シリンダ16と一体に回転する回動体に係止部を設けても
よい。

（３）制御部材32に傾斜面32cを形成する代わりに、中
間レバー33の外側当接部に傾斜面を設けるか、これらの
両方に傾斜面を設けてもよい。

発明の効果 上述のように、この発明によるステアリングロック装
置ではエンジンの始動時にはシフトレバーがパーキング
位置に保持されているので、シフトレバーがパーキング
位置以外の位置でエンジンを始動する危険を回避するこ
とができ、乗車時の安全性を確保することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はロック状態にあるこの発明によるステアリング
ロック装置を示す断面図、第２図は第１図のII−II線に
沿う断面図、第３図は部分的に断面で示す側面図、第４
図は第１図のIV−IV線に沿う断面図、第５図は制御部材
と中間レバーとの組立て状態を示す斜視図、第６図は制
御部材と中間レバーの分解斜視図、第７図は第４図のロ
ック状態からキーシリンダをアンロック状態に回転した
状態を示す断面図、第８図は第２図のロック状態からキ
ーシリンダをアンロック状態に回転した状態を示す断面
図、第９図は第１図の非係止位置から制御部材を係止位
置に移動した状態を示す断面図、第10図は第９図のＸ−
Ｘ線に沿う断面図、第11図はその側面図、第12図はシフ
トレバーの断面図、第13図はシフトレバーをパーキング
位置から他の位置に移動する途中の状態を示すシフトレ
バーの部分的拡大図、第14図はシフトレバーをパーキン
グ位置以外の位置に移動した状態を示すシフトレバーの
部分的拡大図である。 10……ステアリングロック装置、11……フレーム、16…
…キーシリンダ、16a……係止部、32……制御部材、32c
……傾斜面、33……中間レバー、33b……外側当接部、3
3c……内側当接部、34……軸部、35……キー、110……
シフトレバー、120……制御板、140……ケーブル、

Claims (4)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ステアリングシャフトを施錠するロック位
   置とステアリングシャフトを解錠するアンロック位置と
   の間でフレーム（11）内でキー（35）により回転可能に
   配置されたキーシリンダ（16）と、自動変速機を操作す
   るシフトレバー（110）をパーキング位置（Ｐ）から他
   の位置へ移動するときにシフトレバー（110）の移動を
   制御する制御板（120）の回動レバー（130）にケーブル
   （140）で接続され、かつシフトレバー（110）をパーキ
   ング位置（Ｐ）とそれ以外の位置との間で移動するとき
   に、キーシリンダ（16）のロック位置への回動を阻止す
   る係止位置とキーシリンダ（16）のロック位置への回動
   を許容する非係止位置との間で移動される制御部材（3
   2）とを備えたステアリングロック装置において、 キーシリンダ（16）に対してほぼ平行に取り付けられた
   軸部（34）に回転可能に取り付けられた中間レバー（3
   3）は、キーシリンダ（16）又はキーシリンダ（16）に
   連動する回動部材に形成された係止部（16a）に係合可
   能な内側当接部（33c）及び係止位置にある制御部材（3
   2）に係合する外側当接部（33b）を有し、 キーシリンダ（16）がロック位置にあるとき、ブロック
   角度位置にある中間レバー（33）は非係止位置から係止
   位置への制御部材（32）の移動を阻止し、キーシリンダ
   （16）がアンロック位置にあるとき、非係止位置から係
   止位置への制御部材（32）の移動に伴い、中間レバー
   （33）はブロック角度位置からリリース角度位置に移動
   され、係止位置にある制御部材（32）はリリース角度位
   置からブロック角度位置への中間レバー（33）の回転を
   阻止して、キーシリンダ（16）のロック位置への移動を
   阻止することを特徴とするステアリングロック装置。
2. 【請求項２】中間レバー（33）は軸部（34）と別体又は
   一体に成形される請求項（１）に記載のステアリングロ
   ック装置。
3. 【請求項３】制御部材（32）又は中間レバー（33）の一
   方には制御部材（32）又は中間レバー（33）の他方に当
   接する傾斜面（32c）が形成される請求項（１）に記載
   のステアリングロック装置。
4. 【請求項４】ブレーキペダルを踏み込んだ場合にのみ、
   制御部材（32）は非係止位置から係止位置に移動できる
   請求項（１）に記載のステアリングロック装置。