JP2529445B2 - ユニット住宅におけるバスユニットの施工方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明はユニット住宅におけるバスユニットの施工方
法に係わり、特に、浴槽及び防水パンを組み付けたバス
ユニットを用いて施工する方法に関するものである。 ［従来の技術］ 従来、住宅の施工方法は、鉄骨系、木質系、コンクリ
ート系によってその手段が異なるが、木質系の住宅で
は、在来の木造軸組工法に代わる手段として、構造体を
兼ねるパネル状部品で外壁、床、天井等を構成してお
き、現場でこれらを相互に接合して壁、床、天井等を構
成する方法がある。 この方法は、現場施工のコンクリート基礎の上にユニ
ット化した床パネルを敷き込み、その上に一階及び二階
の壁パネル等を組み上げ、さらに、軸組、木組等をし
て、屋根パネルを組み立てて、建築物を構築する方法で
あり、各パネルは、たとえば接着剤とスクリュー釘等に
より一体化され、また床パネルは、基礎の上面に調整し
た調整モルタルの上に台輪を介して敷き込められるとと
もに、一階部分の壁パネルは、コンクリート基礎の上面
より突出するアンカーボルトへ壁パネルの下端の穴を落
とし込んでボルト締めにより、基礎と一体化されるよう
になっている。 ところで、近年においては、このような木質系住宅の
施工においても、いわゆる床パネルや壁パネル等ボック
ス型に組み付けて、ボックスユニット相互をジョイント
して施工する手段が試みられている。 ［発明が解決しようとする課題］ ところが、通常のユニットは、床パネルの上に壁パネ
ルを組み付ける方法によって、ボックス型ユニットの下
面を水平に保持することができるが、中でも、浴室部位
をユニット化する場合には次のような解決すべき課題が
残されている。 すなわち、浴室部位における浴槽は、通常、浴槽への
出入りを容易にするために、防水パンからなる洗い場の
床面より浴槽の上端があまり高くならず、かつ浴槽の深
さを維持するように、浴槽の下端を床面より一段低い位
置に設定する必要があり、また、洗い場の床面は、防水
の点から浴室に隣接する部屋の床面より低い方が好まし
い。従って、浴槽を組み付けたユニットを構成しようと
すると、浴槽の下端が他の間仕切りを構成する壁パネル
よりも一段低い位置に組み付けられることになり、その
ことに起因して、ユニットの下面を水平にすることがで
きず、バスユニットの輸送が困難になるといった課題で
ある。 本発明は前述した事情に鑑みて提案されたもので、そ
の目的とするところは、浴槽及び防水パンをもったバス
ユニットを工場から現場まで容易に輸送し得て、現場で
の施工性を向上させることができるユニット住宅におけ
るバスユニットの施工方法を提供することにある。 ［課題を解決するための手段］ かかる目的を達成するために本発明は、工場におい
て、浴室の壁面をボックス形に構成した壁体と、この壁
体の上端面に架設された天井パネルと、これらが形成す
る空間内に収納される浴槽及び洗い場用防水パンとから
なるバスユニットを形成する工程と、このバスユニット
を現場まで運搬し、浴室部位に据え付ける工程とを含
み、バスユニットの運搬時に、前記の浴槽及び洗い場用
防水パンの双方を、前記の壁体と天井パネルとが形成す
る空間内にそれぞれの底部で水平に保持しておき、当該
バスユニットを現場で据え付けた後、浴槽及び洗い場用
防水パンを、少なくとも浴槽の下端が壁体の下端よりも
下方に位置するように、水平を保ったまま降ろすことを
特徴とするものである。 ［作用］ 本発明にかかるバスユニットの施工方法では、工場に
おいて、浴槽及び防水パンを壁体と天井パネルとが形成
する空間内にそれぞれ水平に保持しておき、この状態で
現場までユニットを運搬する工程を採用しているため、
ユニットの輸送時には、ユニットの下面が水平になり、
輸送を容易にするばかりでなく、輸送中に浴槽及び洗い
場用防水パンが安定に保持され、バスユニット据え付け
時には、浴槽及び洗い場用防水パンを水平を保ったまま
降ろすだけで、少なくとも浴槽の下端を床面より一段低
い位置に設定できるようになる。 ［実施例］ 以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明
する。 第１図（Ａ），（Ｂ），（Ｃ），（Ｄ）はこのユニッ
ト住宅におけるバスユニットの施工方法の基本的な工程
図、第２図ないし第４図はこのバスユニットの詳細を示
した図である。 これらの図において、符号１はこの施工対象となるバ
スユニットであり、このバスユニット１は、前後左右の
間仕切りを構成する壁体2,2…と、これら壁体2,2…の中
に取り付けられた浴槽３及び洗い場用防水パン４と、前
記壁体２の上端面に架設された天井パネル５とによって
ボックス型にユニット化された基本構成となっている。 前記壁体２は、それぞれ、芯材によって四角枠状に組
まれた枠体の両面に面材を貼設し、その内部にグラスウ
ール等の断熱材を充填した複数のパネル体をその面方向
に相互に接合して大形化した壁パネルよりなるものであ
る。また、パネル体を接合する際に、壁パネルには、窓
や出入口等の開口部が設けられる。 このような壁体2,2…をボックス状に組み立て、これ
ら壁体2,2…の上端面に天井パネル５を架設した後に、
壁パネル2,2…の内面に、防水下地として防水用の浴室
シートを貼り詰めて、その上に内部化粧板６としてたと
えばタイル等が貼られている。そして、このように組み
立てられたバスユニット１の内部には、洗い場床部4aと
浴槽受け部4bとが一体化された洗い場用防水パン４と、
この洗い場用防水パン４の浴槽受け部4bに据え付けられ
た浴槽３との双方が、浴槽３の下端が壁体２の下端より
上方に位置するように、それぞれの底部で水平に保持さ
れる。 すなわち、浴槽３及び防水パン４は、バスユニット１
の内部に、浴槽３の長手方向に沿って架け渡された４本
の仮受け材7a,7bの上に載置された状態に保持されてい
る。前記４本の仮受材7a,7bは、その内二本の仮受け材7
aが、浴槽３の底部を受け、残りの二本の仮受け材7bが
防水パン４の底部を受けるようにその高さが二段階にな
っている。そして、仮受材7a,7bは、その端部が前後の
壁体2,2の内面に水平に取り付けられた棒状の支持部材8
a,8bに載せられて取り付けられている。 また、バスユニット１の壁体2,2…の下部内面には、
それぞれ、バスユニット１を住宅に据え付けた際に、防
水パン４の上部外周のフランジ部4cを係止するための、
防水パン用係止部材９がバスユニット１内周に沿って一
周するように設けられている。 なお、内装のタイルによる内部化粧板６は、前記防水
パン用係止部材９より下が浴槽３及び防水パン４に隠れ
てしまうので、係止部材より下の壁体２内面には貼られ
ていない。また、前記支持部材8a,8bは、係止部材９よ
り下に位置するので、バスユニット１の内装には、影響
しない。 次に、前述したように構成されたバスユニット１の施
工方法について、工程順にしたがって説明する。

【工場におけるバスユニットの組み立て】

まず、工場において、浴室の前後左右の壁面を構成す
る壁体2,2…と、これら壁体2,2…の中で仮受け材7a,7b
の上に載置された浴槽３及び防水パン４と、前記壁体2,
2…の上端面に架設された天井パネル５とからなるボッ
クス型のバスユニット１を組み立てる。 この組立は、たとえば、前後の壁体2,2と左右の内の
一方の壁体２をそれぞれ所定の位置に立設するとともに
互いに接合し、その底部に浴槽３及び防水パン４用の仮
受け材7a,7bを取り付け、この仮受材7a,7bの上に一体に
された浴槽３及び防水パン４を載置する。次に左右の内
の他方の壁パネル２を所定の位置に立設するとともに他
の壁パネル2,2と接合する。 そしてこれら壁パネル２の上端に天井パネル５を架け
渡して取り付ければ、工場出荷前におけるバスユニット
１が組み立てられる。 しかして、この状態では、前記バスユニット１は、浴
槽３及び防水パン４が仮受け材7a,7bを介して最終据え
付け前の位置（すなわち、浴槽３及び防水パン４の下端
が壁体2,2…の下端よりも上方に保持された位置）で位
置決めされ、バスユニット１は壁体2,2…の下端だけで
立設された状態に保持されるため、バスユニット１の下
端に段差が付くようなことがない。 したがって、第１図に示すように、このバスユニット
１の輸送時には、トラックＴの荷台Ｎにバスユニット１
を載せても、バスユニット１が傾いた状態で載ることが
なく、バスユニット１の輸送に支障が生じることがない
のである。

【バスユニットの輸送】

前述のようにして、浴槽３及び防水パン４を内部でそ
れぞれ上方に支持した状態のバスユニット１を組み立て
たならば、このバスユニット１を、第１図（Ａ）に示す
ように、トラックＴの荷台Ｎに移して、現場まで運搬す
る。

【バスユニットの据え付け】

バスユニット１を現場まで運搬したならば、第１図
（Ａ），（Ｂ），（Ｃ）に示すように、このバスユニッ
ト１をクレーンにより吊り上げて、バスユニット１を基
礎10上に据え付ける。 クレーンへの玉掛け作業は、たとえば、第４図に示す
ように、天井パネルを貫通する吊治具11を介して吊りワ
イヤー12により行うが、この場合の吊治具11は、胴差し
ボルト11aと、この胴差しボルト11aの上端に螺合される
アイナット11bとから構成され、胴差しボルト11aの部分
には天井パネル５の端面の外側から仮止材13を固定して
胴差しボルト11aが確実にバスユニット１に固定される
ようにしておく。 そして、前記アイナット11bにワイヤ12を引っ掛けて
クレーンにより吊り上げ、浴室部位の基礎10に合わせて
バスユニット１を設置する。 なお、バスユニット１の設置位置には、基礎10の間に
予め浴槽３の底部及び防水パンの底部をそれぞれ支持す
る受け台14a,14bを設けておく。 そして、第２図に示すようにバスユニット１を据え付
けた位置で、壁体2,2…をアンカーボルトを介して基礎1
0に固定する。 この際（クレーンによる吊り上げの際）、バスユニッ
ト１は、下部において仮受け材7a,7bにより前後の壁パ
ネル2,2が固定されるとともに、係止部材9,9…がバスユ
ニット１の内周を一周するように取り付けられて補強材
の役目を果たしているので、各壁体2,2等の隙間、ねじ
れ水、水平誤差等が生じることがなく、確実に基礎10の
浴室部位に合わせてバスユニット１を据え付けることが
できる。バスユニット１をこのようにして基礎10上に据
え付けたならば、浴槽３の下にジャッキ15を配置し、浴
槽３を支持させる。 次ぎに仮受け材7a,7bを取り外し、ジャッキ15により
浴槽３及び防水パン４を、基礎10の間に設けられたそれ
ぞれの受け台14a,14bまで水平に保ったまま降ろす。 そして、浴槽３の底部及び防水パン４の底部が受け台
14a,14bに支持されるとともに防水パン４のフランジ部4
cが前記係止部材9,9…に支持されて、第３図及び第１図
（Ｄ）に示すようにバスユニット１が最終据え付け位置
にセットされることになる。 なお、この後係止部材９、９…とフランジ部4cとの間
などにコーキング材等で防水処理を行うとともに水道管
等の配管の接続工事を行う。 実施例では、予め工場において、バスユニット１を組
み立てる際に、浴槽３及び防水パン４を間仕切りを構成
する壁体2,2…の下端よりも仮受け材7a,7bを介して上方
に持ち上げておき、この状態で現場までバスユニット１
を運搬する工程を採用しているため、バスユニット１の
輸送時には、バスユニット１の下面が水平になり、バス
ユニット１の輸送に支障を来すようなことがない。 また、バスユニット１の吊り上げ時においては、バス
ユニット１の主要部を構成する前後壁パネル2,2が、浴
槽３及び防水パン４を載置する仮受け材7a,7bにより、
間隔を保持された状態にセットされるとともに、浴槽３
のフランジ部4cを係止する係止部材9,9…が、バスユニ
ット１の下部の内周に沿って一周するように設けられて
補強材の役目を果たしているため、壁体2,2…等も隙間
やねじれ等が生じるようなことがないので、安全かつ確
実にバスユニット１の据え付け操作を実施することがで
きるといった利点がある。 なお、前記実施例において示した各構成部材の諸形状
や寸法等は一例であって、構築すべき建物の設計要求に
基づき種々変更可能であり、また、浴槽３及び防水パン
４を備えたバスユニット１も、実施例の形態に限定され
るものではないことは勿論である。 ［発明の効果］ 以上詳細に説明したように本発明は、工場において、
浴室の壁面をボックス形に構成した壁体と、この壁体の
上端面に架設された天井パネルと、これらが形成する空
間内に収納される浴槽及び洗い場用防水パンとからなる
バスユニットを形成する工程と、このバスユニットを現
場まで運搬し、浴室部位に据え付ける工程とを含み、バ
スユニットの運搬時に、前記の浴槽及び洗い場用防水パ
ンの双方を、前記の壁体と天井パネルとが形成する空間
内にそれぞれの底部で水平に保持しておき、当該バスユ
ニットを現場で据え付けた後、浴槽及び洗い場用防水パ
ンを、少なくとも浴槽の下端が壁体の下端よりも下方に
位置するように、水平を保ったまま降ろすことを特徴と
するものであるから、運搬時にバスユニットに浴槽等を
仮付けした状態で、しかも底面を平坦な状態にできるの
でバスユニットの輸送に支障を来すようなことがなく、
バスユニットを工場から現場まで容易に輸送し得て、現
場での施工性を向上させることができ、バスユニット据
え付け時には、浴槽及び洗い場用防水パンを水平を保っ
たまま降ろすだけで、容易に浴槽や洗い場用防水パンの
下端を床面より一段低い位置に設定でき、浴槽への出入
りが容易で防水性に優れたユニットバスが設定位置の狂
いなどの支障なく設置できるようになる。

【図面の簡単な説明】

第１図（Ａ），（Ｂ），（Ｃ），（Ｄ）ないし第４図
は、本発明の一実施例を示す図面であって、第１図
（Ａ），（Ｂ），（Ｃ），（Ｄ）はバスユニットを運搬
し基礎上に据え付ける工程を示す側面図、第２図は壁体
を基礎上に固定した状態のバスユニットの断面図、第３
図は浴槽及び防水パンを最終的に据え付けた状態のバス
ユニットの断面図、第４図は吊り治具をセットした状態
を示す断面図である。 １……バスユニット、２……壁体、 ３……浴槽、４……洗い場用防水パン、 ５……天井パネル、

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】工場において、浴室の壁面をボックス形に
   構成した壁体と、この壁体の上端面に架設された天井パ
   ネルと、これらが形成する空間内に収納される浴槽及び
   洗い場用防水パンとからなるバスユニットを形成する工
   程と、このバスユニットを現場まで運搬し、浴室部位に
   据え付ける工程とを含み、 バスユニットの運搬時に、前記の浴槽及び洗い場用防水
   パンの双方を、前記の壁体と天井パネルとが形成する空
   間内にそれぞれの底部で水平に保持しておき、当該バス
   ユニットを現場で据え付けた後、浴槽及び洗い場用防水
   パンを、少なくとも浴槽の下端が壁体の下端よりも下方
   に位置するように、水平を保ったまま降ろすことを特徴
   とするユニット住宅におけるバスユニットの施工方法。