JP2529321Y2 - 低圧鋳造装置のストーク - Google Patents

低圧鋳造装置のストーク

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JP2529321Y2 JP1990025092U JP2509290U JP2529321Y2 JP 2529321 Y2 JP2529321 Y2 JP 2529321Y2 JP 1990025092 U JP1990025092 U JP 1990025092U JP 2509290 U JP2509290 U JP 2509290U JP 2529321 Y2 JP2529321 Y2 JP 2529321Y2
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【考案の詳細な説明】 《産業上の利用分野》 本考案は低圧鋳造装置のストークに係わり、特に円筒
状の金属芯材とこれを被覆する断熱材との間の熱膨張差
を、簡単な構成にして確実に吸収し得るようにした低圧
鋳造装置のストークに関する。
《従来の技術》 低圧鋳造装置は、例えばアルミ鋳造されるエンジンの
シリンダヘッドを成形する際に用いられ、比較的低圧の
加圧により溶湯を鋳型のキャビティに注入できるように
なっている。
ところで、溶湯をキャビティに注入するにあたって、
ストークと称される案内管が用いられており、このスト
ークは保温機能を必要とすることから各種提案がなされ
ている。
例えば、実開昭61-9175号公報には銅製の円筒状芯材
の内側および外側に、セラミックスを用いた断熱材が被
覆されたものが開示されている。
《考案が解決しようとする課題》 しかしながら、かかる従来の低圧鋳造装置のストーク
にあっては、円筒状芯材に対して熱膨張率が大きく異な
る断熱材が円筒状芯材の内,外側および下端部を覆って
いるため、高温である溶湯を導入した際に、金属製の円
筒状芯材がセラミックス製の断熱材に勝って熱膨張され
る。このため、円筒状芯材はストークの固定支持端と反
対側で熱膨張方向の先端側となる下端で断熱材内部を押
圧する。
従って、溶湯供給時には円筒状芯材の熱膨張による応
力が断熱材に常時作用するため、長時間の使用に際して
断熱材に亀裂が入る等して、耐久性が大幅に低下されて
しまうという課題があった。
そこで、本考案はかかる従来の課題に鑑みて、円筒状
芯材と断熱材との間の熱膨張差を、簡単な構成にして確
実に吸収できる低圧鋳造装置のストークを提供すること
を目的とする。
《課題を解決するための手段》 かかる目的を達成するために本考案は、円筒状の金属
芯材の内側および外側を断熱材で被覆成形したストーク
を用い、低圧加圧された溶湯を鋳型のキャビティに案内
する低圧鋳造装置において、前記金属芯材の下端部外周
に補強用鍔部を設け、該鍔部の上下および外周と前記ス
トークの反固定端側になる前記金属芯材の熱膨張方向端
部とに発砲スチロールを配置して前記断熱材を焼成し、
該発砲スチロールの焼失により形成される空間部を金属
芯材と断熱材との間に設けたことを特徴とする。
《作用》 以上の構成により本考案の低圧鋳造装置のストークに
あっては、金属芯材の下端部に設けた補強用鍔部によっ
て金属芯材の径方向の変形を抑制し得るから、断熱材の
亀裂発生の防止が図れる。また、補強用鍔部の上下およ
び外周の鍔部回りとストークの反固定端側になる金属芯
材の熱膨張方向先端部とに発砲スチロールを配置して断
熱材を焼成するので、この焼成時に焼失する発砲スチロ
ールにより、当該部分に密閉された空間部を形成でき、
溶湯を案内する際の高温下において、金属芯材と断熱材
との間に熱膨張差が発生した場合にも、当該空間部によ
って熱膨張差を吸収でき、断熱材に応力が発生されるの
を防止することができる。また、上記空間部はストーク
を固定支持する基端側ではなく反固定端側の熱膨張方向
先端部に形成するので、ストークの剛性低下を招くこと
がない。更に、空間部は密閉空間となっているため、溶
湯が侵入することがない。
《実施例》 以下、本考案の実施例を図に基づいて詳細に説明す
る。
即ち、第1図および第2図は本考案の一実施例を示す
ストーク10で、これが用いられる低圧鋳造装置12として
は第3図に示すものがある。
上記低圧鋳造装置12は、加熱ヒータ14が炉壁16aに埋
設された保温炉16を備え、この保温炉16内に溶湯が収容
されたるつぼ18が配置されると共に、保温炉16の上端開
口部は蓋体20により密閉される。
前記保温炉16の上方には、下型プラテン22に支持され
た固定下型24と、上型プラテン26に支持された可動上型
28と、固定下型24に対しスライド可能なスライド型30と
を供えた鋳型32が配置される。
可動上型28は、図外の昇降シリンダから伸縮可能に突
出されるピストンシリンダ34に連結されると共に、ガイ
ドロッド36によって昇降案内される。
そして、固定下型24と可動上型28とスライド型30およ
び中子38との間にキャビティ40が構成され、るつぼ18内
の溶湯がキャビティ40内に充填されるようになってお
り、この溶湯の充填時、前記ストーク10を介してるつぼ
18内の溶湯がギャビティ40に案内される。
尚、第3図に示す低圧鋳造装置12はエンジンのシリン
ダヘッドの成形用として開示され、溶湯としてはアルミ
ニウムを主体とする合金が用いられる。
前記ストーク10は全体的に円筒状に形成され、その下
端部がるつぼ18内の溶湯中に浸漬されると供に、上端部
は固定端としてキャビディ40の入り口42aに位置して、
下型プラテン22と蓋体20との間にフランジ42を介して挟
持される。
ところで、ストーク10は第1図に示したように、鉄板
を円筒状に巻回した金属芯材としての円筒状芯材50と、
円筒状芯材50の内側を被覆する内側断熱材52と、円筒状
芯材50の外側を被覆する外側断熱材54とによって構成さ
れる。
更に、ストーク10の下端部は円筒状芯材50の熱疲労を
防止するため、内側断熱材52と外側断熱材54との合わせ
部分によって被覆される。
前記内側断熱材52および外側断熱材54は、Al2O3(ア
ルミナ)とかSiO2等のセラミックスが用いられ、ストー
ク10の形成にあたっては、円筒状芯材50の内,外周に半
練り状態のセラミックスを被覆成形した後、この半練り
セラミックスが約400℃の焼成によって乾燥される。
ここで、本実施例にあっては第2図の拡大図に示した
ように、内側および外側断熱材52,54で被覆される円筒
状芯材50の下端、つまり、ストーク10の反固定端側にな
る円筒状芯材50の熱膨張方向先端部に発砲スチロールH
を埋設状態で配置し、この状態で断熱材52,54の前記焼
成を行う。
このように、円筒状芯材50の下端に発砲スチロールH
を埋設した状態で焼成時の高熱が加わるため、発砲スチ
ロールHは焼失し、その部分に密閉された空間部S(第
1図参照)が形成される。
以上の構成により本実施例の低圧鋳造装置12のストー
ク10にあっては、円筒状芯材50の下端と内側および外側
断熱材52,54との間に、発砲スチロールHの焼失による
空間部Sが形成されるため、るつぼ18からキャビティ40
に溶湯を案内する際に、溶湯の温度により円筒状芯材50
と内側および外側断熱材52,54との間に熱膨張差が発生
された場合にあっても、この熱膨張差を空間部Sによっ
て吸収することができる。
尚、円筒状芯材50の材質は鉄であり、内側および外側
断熱材52,54の材質はセラミックスであるため、これら
両者を比較した場合、円筒状芯材50の熱膨張率が著しく
大きいため、断熱材52,54に対する円筒状芯材50の伸び
は大きなものとなる。
このように、円筒状芯材50と断熱材52,54との熱膨張
差が前記空間部Sによって吸収されるため、断熱材52,5
4に応力が発生されるのを防止することができる。
従って、内側および外側断熱材52,54の破損が防止さ
れ、ストーク10の耐久性は著しく向上されることにな
る。また、上記空間部Sはストーク10を固定支持するた
めのフランジ42が形成された基端側ではなく、その反固
定端側の熱膨張方向先端部に形成するので、ストーク10
の剛性低下を招くことがない。
また、空間部Sは密閉空間となっているから、その先
端部が溶湯に浸漬されても内部に溶湯が侵入することが
ない。
第4図および第5図は他の実施例を示し、前記実施例
と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略
して述べる。
即ち、この実施例では円筒状芯材50の下端部外周に補
強用の鍔部60が形成されたものに、本考案を適用したも
ので、外側断熱材54は鍔部60部分を覆うため、この部分
が外方に突出している。
ところで、このように円筒状芯材50に鍔部60が形成さ
れたものにあっては、円筒状芯材50が熱膨脹により伸縮
される際、これに伴って鍔部60も移動されるため、鍔部
60の上,下面も熱膨張方向端部と見做すことができる
が、この実施例にあっても鍔部60の上下および外周に発
砲スチロールHを配置し、これを焼成時に焼失させて鍔
部60の回りに空間部Sを設ける構造となっている。
従って、この実施例では円筒状芯材50に鍔部60が突設
され、円筒状芯材50の熱膨張に伴って鍔部60が移動され
た際にも、この移動を吸収でき、外側断熱材54が破損さ
れるのを防止できる。また、鍔部60により円筒状芯材50
の径方向の変形を抑制し得るから、断熱材52,54の亀裂
発生の防止が図れる。
尚、円筒状芯材50に前記鍔部60以外の突起部が形成さ
れている場合にも、同様に突起部の少なくとも上,下側
に空間部を設けることにより、熱膨張差による断熱材の
破損を防止することができる。
《考案の効果》 以上説明したように本考案の低圧鋳造装置のストーク
にあっては、金属芯材の下端部に設けた補強用鍔部によ
って金属芯材の径方向の変形を抑制し得るから、断熱材
の亀裂発生の防止が図れる。また、補強用鍔部の上下お
よび外周の鍔部回りとストークの反固定端側になる金属
芯材の熱膨張方向先端部とに発砲スチロールを配置して
断熱材を焼成するので、この焼成時に焼失する発砲スチ
ロールにより、当該部分に密閉された空間部を形成で
き、溶湯を案内する際の高温下において、金属芯材と断
熱材との間に熱膨張差が発生した場合にも、当該空間部
によって熱膨張差を吸収でき、断熱材に応力が発生され
るのを防止することができる。また、上記空間部はスト
ークを固定支持する基端側ではなく反固定端側の熱膨張
方向先端部に形成するので、ストークの剛性低下を招く
ことがない。更に、空間部は密閉空間となっているた
め、溶湯が侵入することがない。
また、前記空間部を設けるにあたって、ストークの製
作段階で発砲スチロールを空間形成しようとする部分に
単に配置するという極簡単な手段で密閉された空間部を
形成でき、製作コストの上昇を極力抑制できるという各
種優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本考案の一実施例を示す断面図、第2図は本考
案の一実施例の製作段階を示す要部拡大断面図、第3図
は本考案が適用される低圧鋳造装置の一実施例を示す断
面図、第4図は本考案の他の実施例を示す要部断面図、
第5図は本考案の他の実施例の製作段階を示す要部拡大
断面図である。 10……ストーク、12……低圧鋳造装置 32……鋳型、40……キャビティ 50……円筒状芯材(金属芯材)、52……内側断熱材 54……外側断熱材、60……鍔部 H……発砲スチロール、S……空間部

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】円筒状の金属芯材の内側および外側を断熱
    材で被覆成形したストークを用い、低圧加圧された溶湯
    を鋳型のキャビティに案内する低圧鋳造装置において、 前記金属芯材の下端部外周に補強用鍔部を設け、 該鍔部の上下および外周と前記ストークの反固定端側に
    なる前記金属芯材の熱膨張方向端部とに発砲スチロール
    を配置して前記断熱材を焼成し、 該発砲スチロールの焼失により形成される空間部を金属
    芯材と断熱材との間に設けた ことを特徴とする低圧鋳造装置のストーク。
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