JP2526107C - - Google Patents

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JP2526107C
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【発明の詳細な説明】 〔技術分野〕 本発明は、耐熱性の高い熱可塑性樹脂で集束(サイズ)された炭素繊維束の製
造方法に関するものである。 本発明により得られる製品は、耐熱性樹脂等をマトリックス樹脂とする複合材
料の強化繊維として用いられ、優れた熱的性質や機械的性質を有する繊維強化複 合材料を与える。 〔従来技術〕 炭素繊維強化樹脂複合材料は、高い比強度、比弾性率を有しており、軽量高強
力材料として、長繊維、短繊維の炭素繊維と各種のマトリックス樹脂と複合化さ
れ、航空宇宙、船舶、車両等の輸送機器、オ―トメ―ション機器、スポーツ・レ
ジャ―用品等の先端産業分野の機能部材として広く使用されている。このような
繊維強化樹脂複合材料のマトリックス樹脂としては、従来、不飽和ポリエステル
樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂、
及び、ポリアミド樹脂、ポリアセタ―ル樹脂、ポリカ―ボネ―ト樹脂等の熱可塑
性樹脂が使用されてきた。 更に、近年は、耐熱性に優れた耐熱性熱可塑性樹脂といわれるポリスルホン、
ポリエ―テルスルホン、ポリエ―テルケトン、ポリエ―テルエ―テルケトン、芳
香族ポリアミド、芳香族ポリエステル、ポリエ―テルイミド、ポリアリレ―ンオ
キシド、熱可塑性ポリイミド等が開発されるに至り、耐熱性熱可塑性樹脂を炭素
繊維で強化した材料の開発が進められ、電子材料、精密機器への応用が図られよ
うとしている。 マトリックス樹脂を炭素繊維で強化する場合、長繊維状の炭素繊維束を樹脂フ
ィルム、樹脂繊維又は樹脂パウダ―等と共に加熱圧縮成形して繊維強化樹脂複合
材料を作製する方法や、シ―ト状の炭素繊維にマトリックス樹脂を含浸させたプ
リプレグ(中間製品)の積層物から加熱圧縮成形して繊維強化樹脂複合材料を作
製する方法や、適当な長さ(例えば 3〜10mm)に切断された炭素繊維束(チョッ
プドストランド)を樹脂ペレット又は樹脂パウダ―と共に押出し機で溶融混練し
て作られたペレットから、射出成形や押出し成形する方法等で、複合材料を得る
のが一般的である。 このようなマトリックス樹脂と炭素繊維からなる複合材料を製造する場合にお
いても、製造工程における炭素繊維の取扱性や加工性の向上を目的とし、炭素繊
維を集束(サイズ)処理し、集束性を高める方法が採用されている。また、この
場合のサイズ処理は、炭素繊維とマトリックス樹脂の接着性を改良し、炭素繊維
の補強効果を有効なものとする働きもある。 現在、繊維強化樹脂複合材料用炭素繊維の集束剤としては、ポリアミド樹脂、
変性ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、ポ
リビニルアルコ―ル樹脂、ポリカ―ボネ―ト樹脂等が多く使用されている。また
、ポリスルホン、ポリエ―テルスルホン、ポリイミド樹脂等の耐熱性樹脂をサイ
ズ剤として使用する例もあった。 〔従来技術の問題点〕 一般に、集束剤(サイズ剤)を有しない強化繊維束は、外力によって過度に開
繊する。従って、複合材料や複合材料の中間製品の製造に集束剤を有しない炭素
繊維束を用いる場合、例えば、プリプレグの製造、チョップドストランドからの
ペレット製造、フィラメントワインディング成形等では、作業時の取扱いが面倒
であること、製品製造時単糸切れによって毛羽が多発すること、及び、それに伴
ない作業性が悪化して得られた製品が単糸切れによる毛羽を含み、外観や品質の
点で不充分となること等の問題があり、この問題を回避すべく、現在では、炭素
繊維束に上記のような集束剤を付着させ使用するのが一般的である。 炭素繊維を既存樹脂で集束処理する方法としては、サイズ剤として使用する樹
脂を溶剤に溶かした樹脂浴中に炭素繊維束を通し、所定量の樹脂を付着させた後
、乾燥させるのが一般的である。 しかし、この場合、次のような問題があった。 樹脂を溶解する能力のある溶媒が限定される、又は、溶解させる溶媒がない
等の問題により、樹脂及び溶剤の種類が限定される。 沸点の高い溶剤を使用した場合、乾燥不足で生じた炭素繊維束中の残存溶剤
が複合材料特性に悪影響を及ぼす可能性があり、乾燥に充分な時間が必要とされ
、生産効率が悪い。 また、従来から使用されているポリアミド樹脂、変性ポリアミド樹脂、ポリウ
レタン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、ポリビニルアルコ―ル樹脂、ポ
リカ―ボネ―ト樹脂等でサイズ処理した炭素繊維束を用いて複合材料を作る場合
において、350℃以上の成形加工温度を必要とする樹脂系を使用するとき、以下
の問題が生じた。 炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレットを製造する溶融混練時にサイズ剤の分解
ガスが発生し、ペレットの安定生産に弊害が生じた。 射出成形、押出し成形又は圧縮成形時に同様に分解ガスが発生し、成形物の
外観を悪くした。 サイズ剤同志又はサイズ剤とマトリックス樹脂との過度の反応により、繊維
の分散性が極端に低下し、良好な成形物が得られなかった。 サイズ剤の可塑化効果によりマトリックス樹脂の耐熱性を低下させる場合が
あった。 樹脂によっては、溶融加工時に発生する分解ガスが腐蝕性であるため、成形機
や金型を損傷することもあった。 〔発明の目的〕 本発明の目的は、上記の如き欠点を克服し、繊維強化樹脂複合材料用炭素繊維
において、集束性が良く且つ耐熱性に優れた樹脂被覆を有する炭素繊維を比較的
容易に製造する方法を提供することである。 〔発明の構成〕 本発明は下記のとおりである。 (1)結晶性又は非結晶性で、ガラス転移温度、又は溶融温度が150℃以上で、
平均均粒子径が 1〜50μmの熱可塑性樹脂粉末を、アルコール類、ケトン類、ハ
ロゲン化炭化水素類の単独、または、水、アルコール類、ケトン類、ハロゲン化
炭化水素類のうち少なくとも2種以上からなる液体(分散媒)に懸濁させたサス
ペンジョンに長繊維状の炭素繊維束を浸漬させ、熱可塑性樹脂粉末を該繊維束に
0.3〜15 重量%付着させた後、熱可塑性樹脂粉末が付着した長繊維状の炭素繊維
束を熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上、又は融点以上に加熱し、熱可塑性樹脂
を溶融させることを特徴とする熱可塑性樹脂で集束された350℃以上の成形加
工に用いる炭素繊維束の製造方法。 (2)熱可塑性樹脂で集束された繊維束が、長繊維状のものである請求項(1)
記載の集束された炭素繊維束の製造方法。 (3)熱可塑性樹脂で集束された繊維束が、熱可塑性樹脂を溶融させた後に長さ 0.3〜50mm に切断した短繊維状のものである請求項(1)記載の集束された炭素
繊維束の製造方法。 本発明において用いられる炭素繊維は、通常、ポリアクリル系、ピッチ系、レ
―ヨン系のものである。炭素繊維束とは、ロ―ビング、ヤ―ン、トウという名称
で知られているものを含み、通常、フィラメント数約 500本〜 100,000 本の束
である。 本発明によれば、炭素繊維束中に均一に且つ 含浸性良く内部まで集束剤とし
ての熱可塑性樹脂を付着させことが可能である。一般には、強度 100kgf/mm2
上、弾性率10×103kgf /mm2以上、伸度 1.0%以上の長繊維状の炭素繊維束が用
いられ、その表面は、樹脂と繊維の接着性を高めるため、表面処理が施され、開
繊されたものが使用される。表面処理は、電解酸化法(米国特許第 4,401,533号
明細書参照)、薬液(硝酸等)酸化法(特公昭47-27000号公報参照)等によって
行なうことができる。 本発明に用いられる集束剤用の熱可塑性樹脂粉末は、結晶性又は非結晶性の熱
可塑性樹脂であって、好ましくは、溶融温度又はガラス転移温度が 150℃以上の
熱可塑性樹脂である。 好ましい熱可塑性樹脂の例は、ポリスルホン、ポリエ―テルスルホン、ポリエ
―テルケトン、ポリエ―テルエ―テルケトン、芳香族ポリアミド、芳香族ポリエ
ステル、ポリエ―テルイミド、ポリアリレ―ンオキシド、ポリアミドイミド熱可
塑性ポリイミド等である。 これらの熱可塑性樹脂は、単独で又は二種以上の組み合わせで使用することが
でき、これにより、一層優れた取扱性、加工性、物理的性質を有する炭素繊維束
を得ることができる。 本発明において、熱可塑性樹脂は粉末状であることが必要である。炭素繊維束
への良好な付着性を考慮すると、熱可塑性樹脂粉末の平均粒子粒径は 1〜50μm
がよく、好ましくは1〜10μmがよい。 熱可塑性樹脂粉末を分散させるための液体(分散媒)は、例えば、アルコ―ル
類、ケトン類、ハロゲン化炭化水素類単独又は水、アルコ―ル類、ケトン類、ハ
ロゲン化炭化水素類これらの混合液である。 アルコ―ルとしてはエタノ―ル、メチルセル ソルブ等が、ケトンとしてはア
セトン、メチルエチルケトン等が、ハロゲン化合物としては塩化メチレン、ジク
ロロエタン等が挙げられる。 アルコ―ル類、ケトン類、ハロゲン化炭化水素類は、特に炭素繊維のような強
化繊維束を良好に開繊させるゆえに、熱可塑性樹脂の低濃度サスペンジョンで均
一に付着させるうえで好ましい。 例えば、アセトンのようなケトン類は、熱可塑性樹脂ポリエ―テルエ―テルケ
トンを炭素繊維束に付着させる観点から好ましい分散媒である。 サスペンジョンの熱可塑性樹脂濃度〔熱可塑性樹脂重量/(分散媒重量+熱可
塑性樹脂重量)× 100〕は、熱可塑性樹脂付着量を調整する観点から、0.1〜10
重量%、好ましくは 0.5〜5 重量%である。 熱可塑性樹脂サスペンジョンの温度は、分散状態を良好に保つ適度な範囲でよ
く、用いられる熱可塑性樹脂の種類、濃度によって異なるが通常は、5〜50℃、
好ましくは 5〜30℃、より好ましくは15〜30℃である。 浸漬時間は、熱可塑性樹脂の付着量によって、また、後述するような電気処理
を行なう場合は、通電量、電流によっても調整され、通常は、5〜 180 秒間分散
液に浸漬することによって行なわれる。 長繊維状の炭素繊維束の浸漬は、分散液に浸漬している間に毛羽立たないよう
、弛まない程度の張力下において行なうのがよい、炭素繊維束に熱可塑性樹脂粉
末を含浸させるには、熱可塑性樹脂粉末の分散液に炭素繊維束を浸漬するか、又
は、炭素繊維束と該分散液とを向流的に接触させるかして、行なうことができる
。 このような処理により炭素繊維束は、表面に 0.3〜15重量%(繊維と熱可塑性
樹脂の総量に対して)の熱可塑性樹脂が付着してサイズされるが、複合材料用炭
素繊維の場合には、サイズ量は 0.5〜10重量%が好ましい。 サイズ量が 0.3 重量%未満では、繊維の集束性が悪く、15 重量%超では、集
束性が強すぎて炭素繊維の分散が不良となり、成形物の特性が低下する傾向にあ
る。 このように熱可塑性樹脂が付着した長繊維状の炭素繊維束は、通常、熱可塑性
樹脂が反応しない又は分解しない温度で乾燥される。一般には、80〜 200℃に て 1〜20分間行なわれる。分散液の浴長は、通常30cmより長いものが用いられる
。 熱可塑性樹脂粉末の付着した長繊維状の炭素繊維束は、熱可塑性樹脂のガラス
転移温度以上、又は融点以上に加熱されたロ―ラ―の間、スリットの間を通すか
、又は、このような温度の雰囲気中を通す。そうすると、熱可塑性樹脂は溶融し
、炭素繊維を熱可塑性樹脂が均質に被覆し、一体化する。次いで、冷却すること
により、熱可塑性樹脂で集束された炭素繊維を得ることができる。 本発明は、熱可塑性樹脂粉末のサスペンジョンを用いて炭素繊維のサイズ処理
をすることが特徴的である。本発明によれば、炭素繊維束に集束剤としての熱可
塑性樹脂を効果的に付着させることができ、しかも、既存の溶剤に溶解しないポ
リエ―テルケトン、ポリエ―テルエ―テルケトン、芳香族ポリエステル、熱可塑
性ポリイミドのような樹脂を炭素繊維の集束剤として容易に使用することが可能
である。 本発明に示される如きサスペンジョンを用いない方法、例えば、微粉化された
熱可塑性樹脂の流動床中に炭素繊維を通過させた後に加熱し、樹脂を付着させる
方法も考えられが、このような方法では、樹脂の付着量を調整することが難し
く、また、樹脂が繊維内部にまで浸透しないので樹脂の含浸性を高めることが難
しい等の問題がある。 本発明の方法では、また、サスペンジョンに用いる液体(分散媒)が比較的低
沸点で既存の装置に適用できるため、残存溶剤の問題も心配する必要がない。そ
して、マトリックス樹脂に適合した集束剤を選択できるため、最終的に得られる
複合材料において、樹脂と繊維の接着性に優れた製品を作りだすことが可能であ
る。 一方、汎用の集束剤で集束された長繊維状の炭素繊維束を本発明におけるサス
ペンジョン浴中に通し、本発明で示された熱可塑性樹脂のサイズ処理をすること
もできる。製品として既に汎用の集束剤で製造された炭素繊維を、本発明の方法
で再処理して使用しようとするときに、この方式は有効である。 この場合、サスペンジョンに用いられる分散媒は、汎用の集束剤の溶媒と同種
の分散媒とすることが好ましい。汎用の集束剤を用いることで、汎用の集束剤を 溶解・離脱させながら炭素繊維束を開繊させ、本発明での熱可塑性樹脂粉末を炭
素繊維束に付着させていくことが可能であり、得られる繊維束の性能にも問題が
ない。 汎用の集束剤としては、一般にエポキシ樹脂を主成分とするものが多く用いら
れる(例えば米国特許第 4,420,521 号明細書、同 4,474,906 号明細書参照)。ま
た、可溶性ポリアミド、ポリビニルピロリドン又はポリビニルアルコールが用い
られる場合もある。 これらの集束剤は、それが付与された炭素繊維束に対して、通常 0.5〜 5.0重
量%、好ましは 0.5〜 2.0重量%の範囲にて用いられる。 本発明において用いられる分散媒は、前述したように汎用の集束剤の溶媒とな
るものであり、アルコール類、ケトン類、ハロゲン化炭化水素類の単独、または
、水、アルコール類、ケトン類、ハロゲン化炭化水素類の少なくとも2種以上か
らなる混合の液体である。アルコ―ルとしてはエタノ―ル、メチルセルソルブ等
が、ケトンとしてはアセトン、メチルエチルケトン等が、ハロゲン化合物として
は塩化メチレン、ジクロロエタン等が挙げられる。 これらの集束剤を溶解する能力のある分散媒は、集束剤の種類、量又は浴の温
度によって、その種類、混合量が選択される。 本発明において用いられる熱可塑性樹脂粉末は、熱可塑性樹脂の分散に用いら
れる分散媒に膨潤又は溶解しないものが好ましい。 本発明の効果を更に高めるため、長繊維状の炭素繊維束を熱可塑性樹脂粉末の
分散液に浸漬し、両者の間に直流電流を通して熱可塑性樹脂粉末を炭素繊維束に
付着させることもできる。 この際の熱可塑性樹脂粉末サスペンジョン中の熱可塑性樹脂の濃度は、熱可塑
性樹脂の種類、通電する電圧によって異なり、また、濃度は前述の範囲で決定さ
れる。 電流は直流であり、該繊維束を陰極又は陽極とし、サスペンジョンを陽極又は
陰極として処理を行なうのが熱可塑性樹脂を均一に含浸させるうえで好ましい。 通電する際の電圧は、使用する炭素繊維束の種類や分散液の電気抵抗によって
異なるが、少なくとも 1 ボルト以上が好ましい。電流密度はストランドを構成 し、且つ入浴位置から 1m 以内の浴中にある単繊維の単位表面積当たりの電流密
度が少なくとも 1mA/m2あることが好ましい。電流密度のより好ましい範囲は0
.01〜 5A/m2である。 本発明で集束剤処理された炭素繊維束は、長繊維状のもの、又は、長さ 0.3〜
50mm、好ましくは 3〜10mm に切断された短繊維状のもの(チョップドファイバ
―)の形態で、樹脂組成物の強化材として使用される。 本発明の熱可塑性樹脂でサイズ処理された炭素繊維束を強化材として用いて製
造される炭素繊維強化樹脂組成物(繊維強化樹脂複合材料)では、マトリックス
樹脂として、ポリカ―ボネ―ト、ポリスルホン、ポリエ―テルスルホン、ポリエ
―テルケトン、ポリエ―テルエ―テルケトン、芳香族ポリアミド、芳香族ポリエ
ステル、ポリエ―テルイミド、ポリアリレ―ンオキシド、ポリアミドイミド、熱
可塑性ポリイミド等の熱可塑性樹脂を使用し、原則としてサイズに使用された熱
可塑性樹脂と同種の樹脂をマトリックス樹脂として用いた場合の方が、成形加工
性を向上させ、集束剤中に含まれる異物効果による複合材料の物性低下を防ぐう
えで一層有効である。また、この場合が、樹脂と繊維の接着性を高めるため、複
合材料の機械的性質を向上させるうえでも好ましい。 これらの熱可塑性樹脂は、単独で又は 2 種以上の組み合わせで使用すること
ができ、これにより、一層優れた成形性及び物理的性質を有する炭素繊維樹脂組
成物を得ることができる。 また、ビスマレイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂
をマトリックス樹脂として使用することもできる。 炭素繊維強化樹脂組成物の組成は、集束剤処理された炭素繊維を 3〜70重量%
、マトリックス樹脂 30〜97 重量%である。この範囲において本発明所期の効果
が得られる。 〔発明の効果〕 本発明の方法によると、耐熱性の高い熱可塑性樹脂を炭素繊維に集束剤として
容易に付着させることが可能であり、また、既存の溶剤に溶解せず、集束剤とし
て通常使用できないような熱可塑性樹脂にも応用することができる。加えて、得
られた炭素繊維束は、集束性が良好で、炭素繊維束内部まで均一に含浸性良好 に集束剤としての熱可塑性樹脂が付着されおり、この繊維を用いて作製された炭
素繊維強化樹脂複合材料は、マトリックス樹脂の耐熱性を低下させることなく、
機械的特性に優れ品質の高いものである。以下、実施例によって本発明を具体的
に説明する。 〔実施例及び比較例〕 実施例1〜9 第 1 表に示す熱可塑性樹脂粉末を分散媒に懸濁し、濃度調整されたサスペン
ジョンを準備する。このサスペンジョンを浴中に入れた後、表面処理された長繊
維状の炭素繊維束(強度 420kgf/mm2、弾性率 24,500kgf /mm2、単繊維直径 7
μm、12,000 フィラメント束、サイズなし)を浴中に通した。 樹脂粉末が所定の付着量で炭素繊維束に付着させられた後、150℃にて 10分間
乾燥させ、次いで、第 1 表に示す温度に設定したロ―ラ―表面に炭素繊維束を
押し付け、加熱含浸させることにより、熱可塑性樹脂で集束された長繊維状の炭
素繊維束を得た。集束剤の種類及び付着量を第 1表に示す。 この集束された炭素繊維束の長繊維状のもの又は第 1 表に示すような長さで
切断した短繊維状のものと、第 1表に示す種類のマトリックス樹脂とを配合し、
第 1 表に示す条件で加熱圧縮又は溶融混練し、炭素繊維強化樹脂組成物、更に
は炭素繊維強化樹脂複合材料を得た。この場合の分解ガスの発生状況、及び、得
られた複合材料(試験片)の機械的性質を測定した。測定結果を第 1表に示す。
各実施例で使用した熱可塑性樹脂の商品名と製造元を第 1表(付表)に示す。 比較例1〜5 第 2 表に示す汎用の集束剤で処理された表面処理ずみの長繊維状の炭素繊維
束(強度 420kgf/mm2、弾性率 24,500kgf /mm2、単繊維直径 7μm 、12000 フ
ィラメント束)を準備した。 この準備された炭素繊維束の長繊維状のもの又は第 2 表に示すような長さで
切断した短繊維状のものと、第 2表に示す種類のマトリックス樹脂とを配合し、
第 2 表に示す条件で加熱圧縮又は溶融混練し、炭素繊維樹脂組成物、更には炭
素繊維強化樹脂複合材料を得た。この場合の分解ガスの発生状況、及び、得られ た複合材料(試験片)の機械的性質を測定した。測定結果を第 2表に示す。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 (1)結晶性又は非結晶性で、ガラス転移温度、又は溶融温度が150℃以上で
    、平均粒子径が 1〜50μmの熱可塑性樹脂粉末を、アルコール類、ケトン類、ハ
    ロゲン化炭化水素類の単独、または、水、アルコール類、ケトン類、ハロゲン化
    炭化水素類のうち少なくとも2種以上からなる混合の液体(分散媒)に懸濁させ
    たサスペンジョンに長繊維状の炭素繊維束を浸漬させ、熱可塑性樹脂粉末を該繊
    維束に 0.3〜15 重量%付着させた後、熱可塑性樹脂粉末が付着した長繊維状の
    炭素繊維束を熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上、又は融点以上に加熱し、熱可
    塑性樹脂を溶融させることを特徴とする熱可塑性樹脂で集束された350℃以上
    の成形加工に用いる炭素繊維束の製造方法。 (2)熱可塑性樹脂で集束された繊維束が、長繊維状のものである請求項(1
    )記載の集束された炭素繊維束の製造方法。 (3)熱可塑性樹脂で集束された繊維束が、熱可塑性樹脂を溶融させた後に長
    さ 0.3〜50mm に切断した短繊維状のものである請求項(1)記載の集束された
    炭素繊維束の製造方法。

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