JP2526039Y2 - シリンダボディのラダーフレーム - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案はシリンダボディと協同してクランクジャー
ナルを回転支持するシリンダボディのラダーフレームに
係り、特にシリンダボディへの振動伝播の減少を図るシ
リンダボディのラダーフレームに関する。

［従来の技術］ エンジンの騒音特性に特に影響を及ぼす振動モードと
して第４図に示すようなシリンダボディ・スカート部開
閉モードがある。このモードの振動は、主に燃焼による
加振力がピストンａ→コンロッドｂ→クランク軸ｃを支
持する軸受部ｄ→シリンダボディ・スカート部ｅという
伝達系路をたどる。つまり燃焼ガス力を受けてクランク
軸ｃを微視的に曲げて軸受部ｄを傾倒させる力を発生さ
せ、軸受は上記スカート部ｅを強制的に加振し振動させ
る。

そこで近来にあっては、ショートスカート・エンジン
における振動伝達系の対策として、シリンダブロックの
下端に結合し且つベアリングキャップを一体に有するラ
ダーフレームが提案され（実開昭61−105741号公報
等）、クランク軸を支持する軸受部の前後振動を抑制し
てスカート開閉振動の低減を図り同時にシリンダブロッ
クの捩り、左右曲げ剛性をも向上させるようにしてい
る。

［考案が解決しようとする課題］ しかしながら、クランク系の振動モードで特に騒音に
対して問題となるクランク軸前端曲げモードにより、ク
ランク軸前端を回転支持する軸受部ｅの前後振動は第５
図に示すようになおも激しく振動し依然騒音発生要因と
なっている。つまりラダーフレームｆは軸受部ｄと上記
スカート部ｅが一体化した構造になっており、軸受部ｄ
からの振動を受けやすいからである。

［課題を解決するための手段］ この考案は上記課題を解決することを目的とし、両側
に位置するサイドメンバをクロスメンバで掛け渡し、そ
のクロスメンバの上面にクランクジャーナルを支持する
ための軸受部を形成したシリンダボディのラダーフレー
ムにおいて、上記サイドメンバを、下端が中央側に傾斜
した内側のメンバ要素と、その内側のメンバ要素に上端
同士が接続して下端が外側方へ傾斜した外側のメンバ要
素とから形成し、それらメンバ要素の下端に梁を掛け渡
して、内側のメンバ要素、外側のメンバ要素及び梁を一
体的に結合したものである。

［作用］ 上記構成により、ラダーフレームの剛性が増し、振動
はスカート部に伝達しにくくなる。したがってシリンダ
ボディのスカート開閉モードの振動が抑制されスカート
部からの騒音の放射が抑制される。

［実施例］ 以下にこの考案の好適一実施例を添付図面に基づいて
説明する。

第１図乃至第３図に示してあるようにラダーフレーム
１は一定間隔を有する２本のサイドメンバ２相互の前後
端のそれぞれを等長のクロスメンバ３及び、サイドメン
バ２の長手方向を等分割する複数のクロスメンバ４で連
結して構成される。各クロスメンバ3,4はその上面、即
ちシリンダボディ「９」に対する取付面の中央に半円形
の軸受面５が形成される。つまりこの軸受面５とシリン
ダボディ９の軸受面10とでクランク軸のクランクジャー
ナル11を回転支持する軸受を構成する。

さてこの考案の目的とするところはサイドメンバ２の
剛性を高め、サイドメンバ２からの伝播振動によるシリ
ンダボディ・スカート部開閉モードの振動を抑制するこ
とにある。

そこでこの実施例にあっては第６図及び第７図に示す
ラダーフレーム１の振動の計測（解析）結果に基づいて
上記サイドメンバ２を次のように形成する。

基本的にサイドメンバ２の振動を制振するためにはそ
の振動の振幅方向の剛性を増加させれば良い。第６図及
び第７図に示すように振動は軸受面５からサイドメンバ
２へ伝播するから先ずクロスメンバ3,4とサイドメンバ
２との接続部分の剛性を向上させつつその接続部分を中
心とするサイドメンバ２の剛性を向上させればよい。

したがって基本的にはクロスメンバ3,4の列方向に対
するサイドメンバ２の直交断面をほぼ台形に形成して剛
性を向上させれば良いが、この実施例にあっては同時に
サイドメンバ２の軽量化を図る。

実施例にあっては第１図乃至第３図に示すように台形
状に形成するサイドメンバ２の下底側をサイドメンバ２
の直交断面とほぼ相似の台形状に切り欠き、サイドメン
バ２の全体的な必要剛性を確保しつつ、この剛性より大
きな剛性を必要とするサイドメンバ２とクロスメンバ3,
4の接続部分についてはその切り欠きによって形成され
た脚部6,7の下部相互を、クロスメンバ3,4の長手方向の
架橋部分８で連結するように構成される。

したがってクロスメンバ3,4からの伝播振動がサイド
メンバ２によって阻まれ、シリンダボディ９への振動伝
播が阻止されるようになり、シリンダボディ・スカート
部開閉モードの振動が減少し、騒音が減少する。

［考案の効果］ 以上説明したことから明らかなようにこの考案によれ
ば次の如き優れた効果を発揮する。

シリンダボディのスカート開閉モードの振動を抑制し
て、スカート部からの騒音の放射を抑制することができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の好適一実施例を示す斜視図、第２図
は第１図のII−II線断面図、第３図は第１図のIII−III
線断面図、第４図は振動の伝播経路を示す概略図、第５
図は軸受部の振動状態を示す斜視図、第６図及び第７図
はラダーフレームの振動モード図である。 図中、２はサイドメンバ、３はクロスメンバ、５は軸受
面、６は脚部（外側のメンバ要素）、７は脚部（内側の
メンバ要素）、８は架橋部分（梁）である。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】両側に位置するサイドメンバをクロスメン
   バで掛け渡し、該クロスメンバの上面にクランクジャー
   ナルを支持するための軸受部を形成したシリンダボディ
   のラダーフレームにおいて、上記サイドメンバを、下端
   が中央側に傾斜した内側のメンバ要素と、該内側のメン
   バ要素に上端同士が接続して下端が外側方へ傾斜した外
   側のメンバ要素とから形成し、それらメンバ要素の下端
   に梁を掛け渡して、内側のメンバ要素、外側のメンバ要
   素及び梁を一体的に結合したことを特徴とするシリンダ
   ボディのラダーフレーム。