JP2524227B2 - 耐変色性銀合金 - Google Patents
耐変色性銀合金Info
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Description
用装飾品、ドアノブや蝶番等の建築用機能部品、装身
具、調理器具、食器等に広く用いられる銀合金に関し、
特に、腐食により銀特有の色調に容易に変色を来すこと
のない銀合金に係るものである。
−パラジウム(Pd)合金が、その代表的なものとして知
られている。また、耐食性に優れ、しかも白色を呈し、
ダイヤカット等の機械加工仕上げが容易にできる合金と
して、特開昭53−43620号公報に記載された腕時計ケー
ス用の銀合金が知られている。これは、銀(Ag)に、パ
ラジウム(Pd)、錫(Sn)、亜鉛(Zn)を添加し、ある
いはこれにさらにマグネシウム(Mg)、アルミニウム
(Al)、ゲルマニウム(Ge)、インジウム(In)、ニッ
ケル(Ni)等を単独または複合して添加した銀合金であ
る。上記2つの銀合金に共通していることは、何れもパ
ラジウム(Pd)を添加量で10%以上含有することが必須
要件になっていることである。これは、パラジウム(P
d)を多量に含有させることで、耐硫化性の改善を図っ
たものである。
するため、極めて高価なものとなるし、色調も黒灰色を
帯びているため、銀本来の美しい色調と明るさを損なう
という問題点を有する。
金属を多量に用いることなく、比較的安価な卑金属を添
加することにより、銀特有の色調と明るさを損なうこと
なく、しかも耐変色性に優れた銀合金を提供することを
課題としている。
3.0〜9.0Wt%のインジウムと、0.02〜0.09Wt%のアルミ
ニウムとを含有させて、適度な硬度を有する耐変色性の
銀合金を構成した。この場合、インジウムの添加量が、
3.0Wt%未満であると、耐硫化性の顕著な改善が認めら
れず、9.0Wt%超えると純銀特有の色調と明るさが損な
われる。そして、アルミニウムの添加量が、0.02Wt%未
満であると、耐硫化性の改善が認められず、0.09Wt%を
超えると、純銀特有の色調と明るさ及び耐塩化性が徐々
に損なわれ、2.0Wt%を超えると、色調と明るさ及び耐
塩化性が顕著に損なわれる。インジウムの添加により銀
の耐変色性が向上することは知られているが、インジウ
ムの単独添加の場合には、僅かな添加量でも黄みを帯
び、9.0Wt%以上では顕著な黄色を帯びる。また硫化に
より、強い黄色を帯びるので実用的でない。アルミニウ
ムは、インジウム添加による合金の黄色変色を押さえ、
また相対的にインジウムの添加量を少なくして耐硫化変
色性を向上させる。アルミニウムの単独添加では、耐硫
化変色性を向上させることができない。さらに、本発明
において、銀、インジウム、アルミニウムに加えてカド
ミウム、錫、ガリウム、亜鉛を単独又は複合添加する場
合には、さらに耐硫化変色性、鋳造性が改善され、合金
の品質が安定する。また本発明の合金に所要の加工を施
して装飾品等を製作した場合に、これを大気中で、220
℃から550℃の間で1分以上加熱処理して表面に酸化被
膜を形成すると、耐硫化変色性がさらに向上する。
合金元素の酸化物が、表面に不働態皮膜を形成すること
により、硫化、塩化等に対する抵抗性を付与し、これが
耐変色性を向上させるものと考えられる。カドミウム、
錫、ガリウム、亜鉛は、耐硫化変色性や、鋳造性の改
善、合金品質の安定に寄与する。特に、インジウム、ア
ルミニウムに加えてカドミウム、錫、ガリウム、亜鉛を
複合して微量添加する場合には、相乗的な作用により、
合計添加量が僅かであっても、優れた耐硫化変色効果が
現われる。このため、最も純銀に近い、美しい色調と明
るさを持ち、しかもこの色調と明るさを長期にわたって
維持する合金が得られる。
の合金は、通常の商用金属材料の製造において行われる
ように、大気中で黒鉛ルツボを使用して溶製し、金型に
鋳造して所定形状の鋳塊を得、これを減圧中において55
0℃で30分焼鈍して作製する。このようにして得られた
合金を、夫々エメリーペーパー等で表面研磨して色調と
明るさを調査すると共に、0.1%のNa2S及び5%のNaCl
水溶液に浸漬して変色度合いを調査した。なお、変色度
合いの判定試験は、表面研磨した試料を0.1%のNa2S及
び5%のNaCl水溶液に10時間浸漬して行い、その判定結
果は、大きな変色を×、若干の変色を△、変色なく当初
の表面光沢を維持したものを○で夫々第1表に示した。
明るさの評価は、「純銀と同等のもの」を◎、「純銀に
近いもの」を○、「純銀に似たもの」を△、「多少純銀
の感じがするもの」を×とした。
t%未満であると、NaClに対しては耐変色性を示すが、N
a2Sに対しては、良好な耐変色性を得ることができな
い。0.2Wt%を超えるとNa2Sに対する耐変色性が徐々に
改善され、3.0Wt%以上で顕著な耐変色性が得られる。
またインジウムの単独添加では、添加量が僅かでも金属
自体の色調が黄色みを帯び、9.0Wt%に近づくと、その
黄色みが増し、10Wt%を超えると、銀本来の色調からか
け離れたものとなる。また、アミニウムの添加量が0.02
Wt%未満では、インジウム添加による黄味を押さえるこ
とができず、0.09Wt%を超えると、NaClに対する耐変色
性が徐々に損なわれ、2.0Wt%を超えると、Na2Sに対し
ては、耐変色性を示すが、NaClに対しては、耐変色性が
得られない。また、銀合金の色調と明るさは、添加元素
の種類と量によって微妙に変化するが、特許請求の範囲
に記載した組成範囲内の合金は、純銀と同等の色調と明
るさ呈する。しかし、添加量がその組成範囲の上限を超
えると、このような純銀と同等の色調と明るさは得られ
ない。なお、試料33は従来品の金、銀、パラジウム合
金、34は純銀であり、比較のために試験結果を示した。
ーパーで研磨した後、バフ研磨して鏡面仕上げし、これ
を電気炉の中心部に針金で吊るし、所定時間加熱した
後、0.1%Na2S水溶液に常温で10時間浸漬し、鏡面部の
変色度合いを調査した結果を示した。判定結果として、
変色なく当初の表面光沢を維持したものには○を、変色
したものには△を、また試料が溶解したものには×を、
さらに実験不要個所には−を、夫々第2表中に表示し
た。
であると、耐変色性の改善が認められず、また900℃を
超えると試料の融点に達するので不都合であることが明
らかである。熱処理時間が1分未満であると、耐変色性
の改善が認められない。この温度範囲内でも、特に250
℃〜550℃の熱処理を施した試料に顕著な耐変色性の改
善が認められた。550℃を超えると、合金の再結晶によ
り結晶粒子が大きくなって、合金表面の色調と明るさの
均一性が損なわれると共に、加工性も損なわれる。な
お、前記したその他の試料についても同様の試験を行っ
たところ、特許請求の範囲に限定した範囲内の組成から
成るものについては同等の結果が得られた。
ウム水溶液((NH4)2Sx)に常温で30分間浸漬したとこ
ろ、およそ1分経過後から、薄茶色に変色し始め、30分
後には青黒色になった。この間の色調は、装飾品として
利用したときに趣のある色調である。これらの試料につ
いて、6カ月間の大気暴露試験を行った結果、色調に変
化が見られず、これらの合金が、変色した味わいある色
調を長く維持することが確認された。
%のインジウムと、0.02〜0.09Wt%のアルミニウムとを
含有させて銀合金を構成したため、低コストで、優れた
耐変色性、純銀特有の色調と明るさとを兼ね備えた銀合
金を提供することができる。また、さらにこれに、錫、
亜鉛、カドミウム又はガリウムを単独又は複合して夫々
0.01〜0.09Wt%添加した場合には、相乗作用によって優
れた耐硫化変色性、鋳造性及び合金品質の安定性を付与
することができ、さらに上記のような銀合金を大気中で
熱処理した場合には、耐変色性をより一層向上させるこ
とができるという効果を奏する。
Claims (3)
- 【請求項1】3.0〜9.0Wt%のインジウムと、0.02〜0.09
Wt%のアルミニウムと、残部銀とから成る耐変色性銀合
金。 - 【請求項2】3.0〜9.0Wt%のインジウムと、0.02〜0.09
Wt%のアルミニウムと、0.01〜0.09Wt%のカドミウム、
錫、ガリウム、亜鉛の1種以上と、残部銀とから成る耐
変色性銀合金。 - 【請求項3】請求項(1)又は(2)に記載の組成であ
って、220℃から550℃の間で1分以上大気中で加熱処理
を施したことを特徴とする耐変色性銀合金。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1269971A JP2524227B2 (ja) | 1989-01-11 | 1989-10-17 | 耐変色性銀合金 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1-4448 | 1989-01-11 | ||
JP444889 | 1989-01-11 | ||
JP1269971A JP2524227B2 (ja) | 1989-01-11 | 1989-10-17 | 耐変色性銀合金 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH02277734A JPH02277734A (ja) | 1990-11-14 |
JP2524227B2 true JP2524227B2 (ja) | 1996-08-14 |
Family
ID=26338212
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1269971A Expired - Lifetime JP2524227B2 (ja) | 1989-01-11 | 1989-10-17 | 耐変色性銀合金 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2524227B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP3558301B2 (ja) * | 1993-04-22 | 2004-08-25 | 三菱マテリアル株式会社 | 高耐食性Ag−Mg合金の薄膜 |
JPH11269581A (ja) * | 1998-01-22 | 1999-10-05 | Katsu Kogei:Kk | 装身具用銀合金 |
JP2001192753A (ja) * | 1999-10-29 | 2001-07-17 | Kyocera Corp | 銀合金 |
JP6527557B2 (ja) * | 2017-07-14 | 2019-06-05 | 株式会社徳力本店 | 銀合金 |
-
1989
- 1989-10-17 JP JP1269971A patent/JP2524227B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH02277734A (ja) | 1990-11-14 |
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