JP2005307328A - 装飾用銀合金及び装飾品 - Google Patents

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Abstract

【課題】 従来の宝飾用のAg−In−Cu−Ge合金は、耐硫化性などは良好であるものの、宝飾用として不可欠な耐湿性に関しては検討が行われていないため、宝飾用として不十分であった。本発明は従来技術では殆ど検討されなかった耐湿性の改良を行った装飾用銀合金を提供する。
【解決手段】 パラジウム、金及び白金から成る群から選択される1種以上の貴金属を0.10〜10重量%、銅を0〜5.0重量%、ゲルマニウムを0.10〜10重量%及び残部銀から成る装飾用合金。従来のAg−In−Cu−Ge合金のInをPd(Au、Pt)で置換することにより優れた耐湿性を有する装飾用銀合金が得られた。
【選択図】 図3

Description

本発明は、指輪、ブローチ等の宝飾品や食器、室内装飾品等の各種装飾用の銀合金及び装飾品に関し、特に装飾用として重視される耐湿性(耐環境性)に優れた銀合金及び該銀合金を基材表面に被覆した装飾品に関する。
銀や銀合金は、電気抵抗、接触抵抗、高周波特性、はんだ付け性及び摺動特性等に優れ、摺動部品や電気回路用として使用される以外に、外観等が優れ更に安全な金属であるところから、指輪やネックレス等の宝飾品、食器及び装飾品などにも使用されている。
しかし銀は変色や腐食が生じやすい金属で、特に含硫黄化合物を含む環境ではそれらが著しいことはよく知られている。この含硫黄化合物に対する耐性つまり耐硫化性は装飾用銀合金が有すべき主要な特性であり、従来から合金構成金属の種類や組成を検討してこの耐硫化性を向上させることが試みられている。更に装飾用銀合金として有することが望ましい特性として加工性(高硬度)及び耐湿性などがある。
特開2001−192753号公報(段落0023、表2試料No.39)
特許文献1には、従来の装飾用銀合金である銀(Ag)−銅(Cu)合金の欠点である耐硫化性と加工性を解消するために、銅の代わりに又は銅共に、ゲルマニウム(Ge)、又はインジウム(In)−Geを添加した装飾用銀合金、例えばAg−In−Ge−Cuの四元合金が記載されている。
しかしながらこの四元合金は、装飾用銀合金に要求される特性のうち耐湿性が劣り、高湿下に長期間放置すると表面が白濁しあるいは白濁しないまでも表面の光沢が失われて装飾用材料としての価値が大きく減殺される。この白濁等は空気中の湿気に含まれる塩素イオンなどの影響により生ずるが、含硫黄化合物による変色や腐食ほど外観上顕著に現れないため、従来は殆ど問題にされなかった。
しかし装飾用である以上、外観の劣化は大きな問題であり、前記白濁等の生じにくい銀合金が開発されれば、更に好ましい装飾用銀合金として使用できる。
本発明者は前記四元合金の構成金属を検討し、他の特性を大きく劣化させることなく、前記四元合金の欠点である耐湿性を改善した装飾用銀合金を見出し本発明に到達したものである。
従って本発明は、装飾用、特に宝飾用として、耐湿性に優れた銀合金を提供することを目的とする。
本発明は、パラジウム、金及び白金から成る群から選択される1種以上の貴金属を0.10〜10重量%、銅を0〜5.0重量%、ゲルマニウムを0.1〜10重量%及び残部銀から成る装飾用合金であり、銅含有量は0.10〜5.0重量%としても良い。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明者の検討によると、前述の従来の四元合金は可視光領域である約400〜800nmのうち400〜650nm、特に500〜600nmの領域における耐湿性が悪く、数時間高温高湿雰囲気に置くだけで最大で約30%の反射率低下が生じることが確認された。
従って本発明者は前記四元合金の構成金属のうちの基金属であるAg以外の金属、つまりIn、Ge及びCuを他の金属と置換しあるいは合金構成から除去して得られる銀合金の耐湿性を測定したところ、Inをパラジウム(Pd)、金(Au)及び白金(Pt)のうちのいずれかと、特にPdと置き換えて得られるAg−Pd(Au、Pt)−Cu−Ge合金が可視光領域の実質的に全ての領域で良好な耐湿性を有することが知見された。
この本発明の装飾用銀合金は可視光領域の約400〜800nmの範囲で良好な耐湿性を有し、高温高湿雰囲気中に放置しても表面の劣化(反射率の低下)が殆どなく、装飾用、特に指輪、ネックレス、ペンダント及びブレスレット等の宝飾用に使用すると、その表面が初期状態のまま、もしくはそれに近い状態で維持され、宝飾用商品としての価値が長期間保持できる。
本発明の装飾用銀合金は、合金自体を装飾品の形状に成形しても、あるいは所定形状に成形された装飾品基材表面にめっきやスパッタリングにより被覆して装飾品としても良い。
本発明の銀合金の用途は各種金属製装飾品に及び、前記宝飾用以外に、時計用ベルト、食器、金属製の容器、例えば金属製の花瓶などがある。
以上述べたように、従来の装飾用銀合金であるAg−In−Cu−Ge合金中のInをPd(Au、Pt)で置換することにより、従来は殆ど注目されていなかった耐湿性が改良された本発明のAg−Pd(Au、Pt)−Cu−Ge合金が提供できる。装飾用銀合金という本発明の合金の用途から、その表面状態の良否は商品価値そのものであり、その表面状態に大きく影響する耐湿性が向上した本発明の銀合金の有用性は大である。
次に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の装飾用銀合金は、Agを主成分とし、Ag、Pd(Au、Pt)及びGeの3成分を必須とし、この他に銅を含むことが望ましい。更に不可避的な不純物が混入していても良い。
Pd(Au、Pt)の含有量は0.10〜10重量%、好ましくは0.30〜5重量%とする。0.1重量%未満では添加効果が十分には現れず、10重量%を超えると所定値以上に添加効果が上昇せず、高価な貴金属添加により合金の価格が過度に上昇してしまい、更に色調の品位が下がるからである。Cuの含有量は0〜5.0重量%、好ましくは0.10〜3.0重量%、更に好ましくは0.30〜3.0重量%とし、5.0重量%を超えると色調の品位が下がることがある。Cuは添加された合金に硬度を付与する機能があり、装飾用特に宝飾用合金は成形時の面タレや製品表面の傷を防止するために、高硬度であることが望ましい。Cuの含有量が0.10重量%未満では緻密性や硬度が低下することがあり、Cu含有量は0.10重量%以上とすることが望ましいが、緻密性や硬度がさほど問題にならない用途ではCu含有量は0〜0.10重量%としても良い。Geの含有量は0.10〜10重量%好ましくは0.10〜5.0重量%とし、0.10重量%では耐硫化性が低下し、10.0重量%を超えると色調の品位が下がるからである。これらの範囲内のCuとGeではその相乗効果により優れた耐熱性が得られ、かつGeの作用により耐硫化性が向上する。
このようにして得られる本発明のAg−Pd(Au、Pt)−Cu−Ge合金は、優れた耐湿性を有し、例えばPdを1〜3重量%含有するAg−Pd−Cu−Ge合金では、製造直後から高温高湿の雰囲気下に5時間放置した場合の反射率の低下は通常最大で5%程度である。これに対しAg−In−Cu−Ge合金では30%近くに達することがある。
従って従来の装飾用銀合金であるAg−In−Cu−Ge合金のInをPd(Au、Pt)で置換してAg−Pd(Au、Pt)−Cu−Ge合金とすることにより、耐湿性が大きく改善され、表面状態の長期安定性が大きく改善される。
本発明により従来の銀合金中のInをPd、Au及び/又はPtで置換して得られるAg−Pd(Au、Pt)−Cu−Ge合金が、前記In合金より耐湿性に優れる(換言すると反射率低下が少ない)理由は明確ではないが、Pd(Au、Pt)含有合金の粒径がIn含有合金より微細化していることが一つの要因と推測できる。つまり、粒子の微細化の指標であるRa(平均面粗さ)とP−V(最大高低差)が、Pd(Au、Pt)含有合金で小さくなる傾向が強く(微細化の進行を意味している)、この微細化が耐湿性の向上に寄与していると考えられる。
本発明の銀合金の製造自体は従来法に従って行えば良く、所定の組成になるように秤量した金属地金を溶融混合して合金化して目的の銀合金が得られる。
[実施例1]
Ag、Pd、Cu及びGeの各地金を97.0Ag−1.0Pd−1.0Cu−1.0Ge(Ag97.0重量%、Pd1.0重量%、Cu1.0重量%及びGe1.0重量%の組成をこのように表示する。以下同じ)となるように秤量して酸素含有率の少ないカーボン質坩堝に投入した。この坩堝を高周波溶解炉に入れ、真空ポンプを使用して炉内を1.33Paの減圧度の真空とし、更にArガスを導入して減圧度を約5×104Paに調節した。前記溶解炉を1050〜1400℃(平均温度約1200℃)に加熱して溶解を開始し、溶解状態が安定した後に鋳型に前記溶融物を傾注し、インゴットを作成した。
このインゴットを600〜900℃で熱処理し、熱間鍛造及び圧延を行い、旋盤で表面と外周を切削してスパッタリングターゲット材とした。
このスパッタリングターゲット材を用いて、平滑な表面を有する石英ガラス基板表面にスパッタリング法で膜厚200nmに成膜して実施例1の銀合金被覆基板とした。この銀合金被覆基板を空気中、250℃で1時間アニーリングを行った。この基板表面の薄膜のAFM(原子間力顕微鏡、Atomic・Force・Microscope、SII社製、型番SPA300HV)画像(約3万倍)を図1Aに示した。この画像に示された銀合金のRa(平均面粗さ)は1.246nm、P−V(最大高低差)は15.77nmであった。
この基板の銀合金被覆面に、波長400〜800nmの可視光を順次照射し、被覆面からの反射光を測定して、各波長における反射率(反射光/照射光)を算出した。実施例1の銀合金被覆基板の波長(nm)と反射率(%)の関係を図2のグラフ中に実施例1Aとして示した。
次いで前記銀合金被覆基板を湿度90%、温度85℃の高温高湿雰囲気に5時間放置し、その後、通常の雰囲気中で同様にして400〜800nmの各波長における反射率を算出した。高温高湿雰囲気放置後の実施例1の銀合金被覆基板の波長と反射率の関係を図2のグラフ中に実施例1Bとして示した。
波長700nm、550nm及び400nmにおける反射率の変化値(試験後の反射率から初期値の反射率を差し引いた値)は順に−3.02%、−5.1%及び−3.19%であった。これらの結果を図3のグラフに示した。
[実施例2]
Ag、Pd、Cu及びGeの各地金を95.0Ag−3.0Pd−1.0Cu−1.0Geとなるように秤量したこと以外は、実施例1と同様の条件で、スパッタリングターゲット材の製造及び石英ガラスへのスパッタリングを行い、膜厚200nmで成膜して実施例2の銀合金被覆基板とした。この銀合金被覆基板を空気中、250℃で1時間アニーリングを行った後の基板表面の薄膜のAFM画像(約3万倍)を図2Bに示した。この画像に示された銀合金のRaは1.244nm、P−Vは17.99nmであった。
次いで実施例1と同様にしてこの基板の銀合金被覆面の各波長における反射率を算出し、波長と反射率の関係を図2のグラフ中に実施例2Aとして示した。
次いで前記銀合金被覆基板を実施例1と同じ雰囲気中に放置し、その後、反射率を算出した。高温高湿雰囲気放置後の実施例2の銀合金被覆基板の波長と反射率の関係を図2のグラフ中に実施例2Bとして示した。
波長700nm、550nm及び400nmにおける反射率の増加率は順に−1.03%、−1.32%及び−3.75%であった。これらの結果を図3のグラフに示した。
[比較例1]
Ag、In、Cu及びGeの各地金を97.0Ag−1.0In−1.0Cu−1.0Geとなるように秤量したこと以外は、実施例1と同様の条件で、スパッタリングターゲット材の製造及び石英ガラスへのスパッタリングを行い、膜厚200nmで成膜して比較例1の銀合金被覆基板とした。この銀合金被覆基板を空気中、250℃で1時間アニーリングを行った後の基板表面の薄膜のAFM画像(約3万倍)を図2Cに示した。この画像に示された銀合金のRaは0.985nm、P−Vは16.15nmであった。
次いで実施例1と同様にしてこの基板の銀合金被覆面の各波長における反射率を算出し、波長と反射率の関係を図2のグラフ中に比較例1Aとして示した。
次いで前記銀合金被覆基板を実施例1と同じ雰囲気中に放置し、その後、反射率を算出した。高温高湿雰囲気放置後の比較例1の銀合金被覆基板の波長と反射率の関係を図2のグラフ中に比較例1Bとして示した。
波長700nm、550nm及び400nmにおける反射率の増加率は順に−4.16%、−29.43%及び−17.72%であった。これらの結果を図3のグラフに示した。
[比較例2]
Ag、In、Cu及びGeの各地金を95.0Ag−3.0In−1.0Cu−1.0Geとなるように秤量したこと以外は、実施例1と同様の条件で、スパッタリングターゲット材の製造及び石英ガラスへのスパッタリングを行い、膜厚200nmで成膜して比較例2の銀合金被覆基板とした。この銀合金被覆基板を空気中、250℃で1時間アニーリングを行った後の基板表面の薄膜のAFM画像(約3万倍)を図2Dに示した。この画像に示された銀合金のRaは1.631nm、P−Vは30.97nmであった。
次いで実施例1と同様にしてこの基板の銀合金被覆面の各波長における反射率を算出し、波長と反射率の関係を図2のグラフ中に比較例2Aとして示した。
次いで前記銀合金被覆基板を実施例1と同じ雰囲気中に放置し、その後、反射率を算出した。高温高湿雰囲気放置後の比較例2の銀合金被覆基板の波長と反射率の関係を図2のグラフ中に比較例2Bとして示した。
波長700nm、550nm及び400nmにおける反射率の増加率は順に−6.71%、−24.73%及び−11.7%であった。これらの結果を図3のグラフに示した。
[実施例3]
Ag、Pd、Cu及びGeの各地金を75Ag−10Pd−5.0Cu−10Geとなるように秤量したこと以外は、実施例1と同様の条件で、スパッタリングターゲット材の製造及び石英ガラスへのスパッタリングを行い、膜厚200nmで成膜して実施例3の銀合金被覆基板とした。この銀合金被覆基板を空気中、250℃で1時間アニーリングを行った後の基板表面の薄膜のRaは1.339nm、P−Vは17.24nmであった。
次いで実施例1と同様にしてこの基板の銀合金被覆面の波長700nm、550nm及び400nmにおけるにおける反射率を算出したところ、順に90.17%、87.54%及び77.23%であった。
次いで前記銀合金被覆基板を実施例1と同じ雰囲気中に放置し、その後、反射率を算出したころ、順に88.44%、85.37%及び75.38%であった。
波長700nm、550nm及び400nmにおける反射率の変化値は順に−1.73%、−2.17%及び−1.85%であった。
[実施例4]
Ag、Pd、Cu及びGeの各地金を99.7Ag−0.1Pd−0.1Cu−0.1Geとなるように秤量したこと以外は、実施例1と同様の条件で、スパッタリングターゲット材の製造及び石英ガラスへのスパッタリングを行い、膜厚200nmで成膜して実施例4の銀合金被覆基板とした。この銀合金被覆基板を空気中、250℃で1時間アニーリングを行った後の基板表面の薄膜のRaは1.283nm、P−Vは18.76nmであった。
次いで実施例1と同様にしてこの基板の銀合金被覆面の波長700nm、550nm及び400nmにおけるにおける反射率を算出したところ、順に96.53%、95.33%及び92.89%であった。
次いで前記銀合金被覆基板を実施例1と同じ雰囲気中に放置し、その後、反射率を算出したころ、順に92.65%、89.41%及び86.99%であった。
波長700nm、550nm及び400nmにおける反射率の変化値は順に−3.88%、−5.92%及び−5.90%であった。
[実施例5]
Ag、Pt、Cu及びGeの各地金を97.0Ag−1.0Pt−1.0Cu−1.0Geとなるように秤量したこと以外は、実施例1と同様の条件で、スパッタリングターゲット材の製造及び石英ガラスへのスパッタリングを行い、膜厚200nmで成膜して実施例5の銀合金被覆基板とした。この銀合金被覆基板を空気中、250℃で1時間アニーリングを行った後の基板表面の薄膜のRaは1.371nm、P−Vは15.22nmであった。
次いで実施例1と同様にしてこの基板の銀合金被覆面の波長700nm、550nm及び400nmにおけるにおける反射率を算出したところ、順に94.33%、91.26%及び81.77%であった。
次いで前記銀合金被覆基板を実施例1と同じ雰囲気中に放置し、その後、反射率を算出したころ、順に91.14%、85.84%及び78.54%であった。
波長700nm、550nm及び400nmにおける反射率の増加率は順に−3.19%、−5.42%及び−3.23%であった。
[実施例6]
PtをAuに置換したこと以外は、実施例5と同様の条件で、膜厚200nmの薄膜を成膜して実施例6の銀合金被覆基板とした。この銀合金被覆基板を空気中、250℃で1時間アニーリングを行った後の基板表面の薄膜のRaは1.229nm、P−Vは16.49nmであった。
次いで実施例1と同様にしてこの基板の銀合金被覆面の波長700nm、550nm及び400nmにおけるにおける反射率を算出したところ、順に92.44%、89.16%及び86.47%であった。
次いで前記銀合金被覆基板を実施例1と同じ雰囲気中に放置し、その後、反射率を算出したころ、順に89.19%、84.04%及び83.16 %であった。
波長700nm、550nm及び400nmにおける反射率の変化値は順に−3.25%、−5.12%及び−3.31%であった。
[実施例7]
Ag、Pd及びGeの各地金を97.5Ag−1.0Pd−1.5Geとなるように秤量したこと以外は、実施例1と同様の条件で、スパッタリングターゲット材の製造及び石英ガラスへのスパッタリングを行い、膜厚200nmで成膜して実施例7の銀合金被覆基板とした。この銀合金被覆基板を空気中、250℃で1時間アニーリングを行った後の基板表面の薄膜のAFM画像(約3万倍)を図5に示した。Raは5.62nm、P−Vは57.13nmであった。
次いで実施例1と同様にしてこの基板の銀合金被覆面の各波長における反射率(反射光/照射光)を算出した。実施例7の銀合金被覆基板の波長(nm)と反射率(%)の関係を図4のグラフ中に実施例7Aとして示した。例えば波長700nm、550nm及び400nmにおけるにおける反射率は、順に94.04%、91.55%及び80.26%であった。
次いで前記銀合金被覆基板を実施例1と同じ雰囲気中に放置し、その後、各波長における反射率を算出し、銀合金被覆基板の波長(nm)と反射率(%)の関係を図4のグラフ中に実施例7Bとして示した。例えば波長700nm、550nm及び400nmにおけるにおける反射率は、順に91.32%、89.53%及び79.89%であった。
波長700nm、550nm及び400nmにおける反射率の変化値は順に−2.72%、−2.02%及び−2.37%であった。
[比較例3]
Ag及びGeの各地金を98.5Ag−1.5Geとなるように秤量したこと以外は、実施例1と同様の条件で、スパッタリングターゲット材の製造及び石英ガラスへのスパッタリングを行い、膜厚200nmで成膜して比較例3の銀合金被覆基板とした。
次いで実施例1と同様にしてこの基板の銀合金被覆面の各波長における反射率を算出し、波長と反射率の関係を図4のグラフ中に比較例3Aとして示した。
次いで前記銀合金被覆基板を実施例1と同じ雰囲気中に放置し、その後、反射率を算出した。高温高湿雰囲気放置後の比較例3の銀合金被覆基板の波長と反射率の関係を図4のグラフ中に比較例3Bとして示した。例えば波長700nm、550nm及び400nmにおけるにおける反射率は、順に85.12%、82.96%及び77.11%であった。
波長700nm、550nm及び400nmにおける反射率の変化値は順に−9.34%、−8.73%及び−6.23%であった。
[実施例と比較例の考察]
第2金属の種類のみが異なる実施例1と比較例1、及び実施例2と比較例2をそれぞれ比較すると、高温高湿雰囲気での処理前、つまり製造直後の銀合金間の反射率を比較してもさほど差異は見られず、低波長(400nm)側では77〜83%に、長波長側(800nm)では93〜96%に集まっていた(図2参照)。
高温高湿雰囲気下で処理すると、実施例1、2及び比較例1、2の銀合金の反射率はいずれも低下した。反射率の減少はいずれの波長でも実施例1及び2の方が比較例1及び2よりもそれぞれ小さく、特に波長550nm付近では反射率の減少が実施例1及び2では1〜5%であったのに対し、比較例1及び2では25〜30%近くにも達し(図3参照)、顕著な相違が見られ、Ag−Pd−Cu−Ge合金の方がAg−In−Cu−Ge合金より優れた耐湿性を有していることが分かった。
これはPd、Cu及びGeを上限の10重量%、5.0重量%及び10重量%(実施例3)とした場合も、Pd、Cu及びGeを下限(Cuに関しては緻密性を考慮しない場合の下限)の共に0.10重量%(実施例4)とした場合も同じ傾向であった。
更にPdをPtと(実施例5)又はAuと(実施例6)置換した銀合金でも、反射率の減少率は実施例1及び2のPd含有銀合金とほぼ同じで比較例1及び2のIn含有銀合金より減少率が遥かに小さく、十分な耐湿性を有していることが分かった。
又図1で画像を示した実施例1、2及び比較例1、2の銀合金薄膜では、それぞれのRa及びP−Vを比較すると、実施例1のRaのみが比較例1のRaより小さく、他はいずれも実施例1及び2の方が小さく、微粒化が達成されていることが推測できる。更に実施例1及び2(Ag−Cu−Ge−Pd)の銀合金薄膜(図1A及び図1B)と実施例7(Ag−Pd−Ge)の銀合金薄膜(図5)を比較すると、実施例1及び2の銀合金薄膜の粒径が明らかに小さく、Cu添加により微粒化が達成されていることが分かる。
更に組成からCuを除去したAg−Pd−Ge合金もAg−Pd−Cu−Ge合金と同程度の耐湿性を有し(実施例7)、高温高湿処理後の変化値がPdを除去したAg−Ge合金より遥かに小さく、Pd添加により耐湿性が向上していることが確認され、前記Ag−Pd−Ge合金は銅の特性である緻密性を要求されない用途では有用である。
図1A〜Dは、順に実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2の250℃アニール処理後の銀合金薄膜のAFM画像(約3万倍)である。 実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2の高温高湿雰囲気処理前後の銀合金薄膜の波長(nm)と反射率(%)の関係を示すグラフである。 実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2の高温高湿雰囲気処理前後の銀合金薄膜の波長700nm、550nm及び400nmにおける反射率の変化値を示すグラフである。 実施例7及び比較例3の高温高湿雰囲気処理前後の銀合金薄膜の波長と反射率の関係を示すグラフである。 実施例7の250℃アニール処理後の銀合金薄膜のAFM画像(約3万倍)である。

Claims (3)

  1. パラジウム、金及び白金から成る群から選択される1種以上の貴金属を0.10〜10重量%、銅を0〜5.0重量%、ゲルマニウムを0.10〜10重量%及び残部銀から成ることを特徴とする装飾用銀合金。
  2. パラジウム、金及び白金から成る群から選択される1種以上の貴金属を0.10〜10重量%、銅を0.10〜5.0重量%、ゲルマニウムを0.10〜10重量%及び残部銀から成ることを特徴とする装飾用銀合金。
  3. 装飾用基材表面に、請求項1又は2に記載の装飾用銀合金を被覆したことを特徴とする装飾品。


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