JP2001003125A - ニッケルフリー白色銅合金材 - Google Patents

ニッケルフリー白色銅合金材

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JP2001003125A
JP2001003125A JP11171164A JP17116499A JP2001003125A JP 2001003125 A JP2001003125 A JP 2001003125A JP 11171164 A JP11171164 A JP 11171164A JP 17116499 A JP17116499 A JP 17116499A JP 2001003125 A JP2001003125 A JP 2001003125A
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copper alloy
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alloy
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Yasuhiko Sugimoto
保彦 杉本
Norio Kikukawa
範夫 菊川
Taiji Yoshimura
泰治 吉村
Hironobu Wakasa
裕信 若狭
Kazuhiko Kita
和彦 喜多
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 洋白と同等の強度および硬度に優れ、さ
らに延性を加えて加工性、耐食性、白色性に優れ、ニッ
ケルを含まないためにアレルギー問題もない白色銅合金
材を提供するとともに、顧客の要望に応じた細かな色調
の調整が行え、色調と機械的性質を満足する白色銅合金
材を提供する。 【解決手段】 一般式:CuaZnbMncde ただし、MはAl、Snの少なくとも1種、XはSi、
Ti、Crの少なくとも1種、aは残部、0≦b≦2
2、7≦c≦20、0≦d≦5、0≦e≦0.3。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばスライドフ
ァスナーのエレメント、スライダー、止具などあるいは
金属性のボタン、被服の係止具、ペンダント、ブローチ
などの装飾品、眼鏡フレームなどの装身用に適した強
度、硬度、延性、加工性、耐食性に優れ、アレルギーの
ない白色性の高いニッケルフリー白色銅合金材に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来の例えば上記ファスナー用銅合金材
としては、その合金色調が白色である洋白等の銅−ニッ
ケル−亜鉛合金、又は丹銅、真鍮に代表される銅−亜鉛
合金などが用いられてきた。しかしながら、洋白はニッ
ケルを合金元素として含むため耐食性には優れている
が、例えばこれをスライドファスナー用として適用した
場合に、ファスナーは皮膚に接触することが多いので、
ニッケルアレルギーの問題が生じている。また、丹銅、
真鍮に代表される銅−亜鉛合金はニッケルを含まないた
め、ニッケルアレルギーの問題は発生しないが、その色
相が黄色くなり、白色の合金材を得ることができない。
【0003】一方、白色系の合金も種々提案されている
が、これらの合金も成分が多少変化することにより白色
系ではあるが、黄味あるいは赤味がかかり、色調が変化
する。また、顧客の要望もさまざまであり、白色系では
あっても、多少の黄味あるいは赤味を好んで求められる
場合があり、これらの対応が問題となっている。さら
に、合金材は、実際問題として、細かな色調に左右され
ることなく、白色系でニッケルを含まなければ各用途に
求められる機械的性質に基づき提供したいが、従来のよ
うに合金で提供する場合、色調と機械的性質とのそれぞ
れを満足したものの提供は難しいといった問題を有して
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、洋白
と同等の強度および硬度に優れ、さらに延性を加えて、
加工性、耐食性、白色性に優れ、ニッケルを含まないた
めにアレルギー問題もない白色銅合金材を提供するとと
もに、さらに顧客の要望に応じた細かな色調の調整が行
え、色調と機械的性質を満足する白色銅合金材を提供す
ることを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は下記の構成より
なる。
【0006】(1)一般式:CuaZnbMncde ただし、MはAl及び/又はSnから選ばれる少なくと
も1種の元素、XはSi、Ti、Crから選ばれる少な
くとも1種の元素、a、b、c、d、eは重量%で、a
は残部、0≦b≦22、7≦c≦20、0≦d≦5、0
≦e≦0.3で、不可避的元素を含み得る合金からなる
基材上に、Niを含まない白色系の被覆層を形成してな
ることを特徴とするニッケルフリー白色銅合金材。
【0007】(2)MがAlであり、b、c、dが0.
5≦b<5、7≦c≦17、0.5≦d≦4である前記
(1)記載のニッケルフリー白色銅合金材。
【0008】(3)基材及び被覆層の色調がJIS Z
8729にて規定される色調を示すa*値、b*値
が、−2<a*<5、−3<b*<16である前記
(1)または(2)記載のニッケルフリー白色銅合金
材。
【0009】(4)被覆層の色調がJIS Z 872
9にて規定される色調を示すa*値、b*値が、−2<
a*<3、−3<b*<15である前記(1)または
(2)記載のニッケルフリー白色銅合金材。
【0010】本発明の基材の合金組成において、Znは
固溶強化により合金の機械的特性を向上させると共に合
金の価格を低下させる効果がある。22%より多いと耐
時季割れ性が劣化すると共に結晶構造がα+β相とな
り、十分な冷間加工性が確保できなくなる。5%以上の
場合、固液共存温度幅が拡がり、マクロ偏析が激しくな
りやすいとともに熱伝導が悪くなり、鋳造性が劣化しや
すくなる。また、5%未満とすることにより上述の耐時
季割れ性の問題が全く生じなくなるとともに、後述のX
元素を添加してもより安定した状態が維持できる。0.
5%以上とすることにより合金の低価格化及び強化が期
待できる。これらのことより、0.5%以上5%未満の
範囲であることがより好ましい。さらに前記効果をより
顕著にするには、上限が4%以下であることが特に好ま
しい。
【0011】Mnは、固溶強化により合金の機械的特性
を向上させると共に合金の価格を低下させる効果があ
る。又、亜鉛の代わりに添加することにより、耐時季割
れ性を向上させる効果と、銅合金の色調が黄色くなり過
ぎることを抑える効果がある。又、融点を下げる効果が
あり、鋳造性を向上させると共に溶湯からの亜鉛の蒸発
を抑える働きがある。7%より小さいと色調が黄色くな
ってしまう。逆に20%より多いと結晶構造がα+βと
なり、十分な冷間加工性が確保できなくなる。Mnの上
限は15%がより好ましい。
【0012】Al及び/又はSnは、合金表面に安定な
酸化皮膜を形成することにより、耐時季割れ性を向上さ
せる効果がある。又は、固溶強化により合金の機械的特
性を向上させると共に、合金の価格を低下させる効果が
ある。下限は特に限定しないが、0.5%以上であれば
十分であるが、あまり少な過ぎると合金の耐時季割れ性
が不十分であると共に強化量が不足する。又、5%より
多いと結晶構造がα+βとなり、十分な冷間加工性が確
保できなくなる。2%以下がさらに好ましい。
【0013】X元素(Si、Ti、Crから選ばれた少
なくとも1種の元素)は溶解時の溶湯表面に皮膜を形成
する働きがあり、Mnの酸化、Znの蒸発を防ぐ働きが
ある。また、合金表面に安定な酸化皮膜を形成すること
により、焼鈍時の脱Mnの防止、耐時季割れ性を向上す
る働きおよびMnの酸化による色調の経時変化を防ぐ効
果がある。その量の下限は0%を越える量であれば良い
が、あまり少ないと十分な上記効果が得られないので、
好ましくは0.02%以上がよい。0.3%より多いと
組成中の元素と金属間化合物を形成し、冷間加工性を劣
化させる。
【0014】本発明の基材の合金はα相単相であり、十
分な冷間加工性を確保できる。上述の組成範囲を外れる
と結晶構造がα+β相となり易く、加工性が低下する。
【0015】本発明の基材に適用できる合金系として
は、以下の一般式I〜Vのものが適用できる。
【0016】一般式I:Cubal.Mn7〜20 一般式II:Cubal.Mn7〜20Al0.5〜5 一般式III:Cubal.Mn7〜20Zn0〜22(但し、0は
含まない) 一般式IV:Cubal.Mn7〜20Zn0〜22Al0.5〜5(但
し、0は含まない) 一般式V:Cubal.Mn7〜20Zn0〜22Al0.5〜5
0〜0.3 (但し、XはSi、Ti、Crから選ばれる少なくとも
1種の元素であり、Zn及びXにおいて0は含まない) 上記一般式I〜Vにおいて、特に有効な合金系として
は、以下の一般式VI及びVIIがある。
【0017】一般式VI:Cubal.Zn0.5〜5Mn7〜17
0〜40〜0.3 (但し、XはSi、Ti、Crから選ばれる少なくとも
1種の元素であり、Znは5を含まず、Al及びXは0
を含む) 一般式VII:Cubal.Zn5〜22Mn7〜17Al0〜4
0〜0.3 (但し、XはSi、Ti、Crから選ばれる少なくとも
1種の元素であり、Znは5を含み、Al及びXは0を
含む) 機械的特性を考慮した場合、一般式VIのものが最も有効
であり、Alも0.5%以上含むものがより好ましい。
【0018】本発明合金材は、JIS Z 8729に
規定するとL*、a*、b*表色系色度図に基づいて、
−2<a*<5、−3<b*<16の範囲内にある。
【0019】なお、本明細書中でいう色調とは、JIS
Z 8729に規定される物体色の表示方法で表現し
た明度指数L*(明度:エルスター)及びクロマティク
ス指数a*(緑味〜赤味:エースター)、b*(青味〜
黄味:ビースター)の値で示される。特に本発明の特徴
である白色であるためには、無彩色に近い方が良く、上
記のようにクロマティクス指数a*、b*により規定さ
れる。
【0020】本発明においては、より無彩色に近い白色
系が特に好まれ、この場合、被覆層の色調をJIS Z
8729にて規定される色調を示すa*値、b*値が
−2<a*<3、−3<b*<15の範囲内にすること
が特に有効である。
【0021】このような色調の被覆層としては、Snめ
っき層、Crめっき層、Agめっき層、Cu−Snめっ
き層があり、上述のような色調を示すものであれば、前
記めっき層以外でも適用可能である。
【0022】被覆層をめっき層により形成する場合、手
法的には湿式、乾式いずれでも良く、例えば湿式めっき
としては、電解めっき、無電解めっき、溶融めっきなど
が適用でき、乾式めっきとしては、物理的気相蒸着法
(PVD)、化学的気相蒸着法(CVD)などが適用で
きる。
【0023】被覆層の厚さとしては、0.001〜10
μmが有効な範囲である。0.001μm未満の場合、
基材を被覆するための効果が期待できないとともに、例
えばスライドファスナーのエレメントに用いた場合、ス
ライダーの摺動により摩耗する恐れがある。上限の設定
は特に限定されないが、10μmを超えた場合、被覆層
の厚さが大きくなりすぎ、経済性を考慮するとあまり有
用ではないためである。
【0024】また、被覆層の膜厚は、切断、曲げなどの
後加工を施す場合、加工による摩耗、クラック等を考慮
した場合、0.005〜5μmの範囲とすることが好ま
しく、0.005未満の場合、切断、曲げなどの後加工
の際に機械的に剥離、摩耗しやすく、また、5μmを超
えた場合、前記加工の際に、クラック等の発生がしやす
くなるためである。このような後加工を施さないものに
おいては、前記経済性などを考慮し、0.001〜5μ
mの範囲とすることが好ましい。例えば、スライドファ
スナーのエレメントにおいては、断面Y字状の線材を作
製し、これを所定の寸法に切断し、スライドファスナー
テープの一側端に加締め固定を行い、スライドファスナ
ー用チェーンとするが、前記断面Y字状の線材に被覆層
を形成する場合、後の切断及び加締めを考慮し、0.0
05〜5μmの範囲で形成し、スライドファスナー用チ
ェーンのエレメント部分に被覆層を形成する場合、後の
工程を考慮する必要がないので、0.001〜10μm
の範囲で形成する。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、実施例に基づき本発明を具
体的に説明する。
【0026】(本発明の基材)表1に示す本発明の基材
1〜14及び表2に示す本発明の基材は以下のように供
試材を作製し、その評価を行った。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】純Cu(99.9%)、純Zn(99.9
〜99.99%)、純Mn(99.9%)、純Al(9
9.99%)、純Ti、純Si、純Crを使用して、所
定組成に秤量(200cm3)した。これらをAr雰囲
気中(10cmHg)で高周波溶解し、4分間保持後、
銅鋳型(φ40×28)に注湯した。得られた鋳塊(2
00cm3)を長さ約70mmに切断し、押出用ビレッ
トとした。押出は、ビレット温度800℃、コンテナ温
度600℃で行った。得られた押出材(φ8×約130
0)に800℃×1h+炉冷の熱処理(以下熱処理と示
す)を施した。この熱処理を施した押出材(ワイヤー)
を試験の元材とした。
【0030】得られた供試材について、SiC研磨紙、
ダイヤモンドペーストにて鏡面研摩を行い、色彩色差計
(ミノルタ(株)製、CR−300)を用い測定し、こ
れをJIS Z 8729に規定するL*、a*、b*
にて表示した。
【0031】本発明の供試材(基材)は色調が全て白色
であり、ファスナー部品として用いた場合、高級感のあ
る部品を提供できる。特に表2に示すものは、a*値が
3以下であり、表1に示すものより無彩色に近い白であ
ることがわかる。
【0032】また、得られた供試材について、組織観察
を行った。本発明の供試材(基材)は全てα相単相合金
であり、冷間加工が良好な材料を提供できる。第2相が
存在した場合、冷間加工中に割れ等が発生したが、本発
明の基材においては割れ等の発生は見られなかった。特
にファフナーのエレメントとして用いた場合、生地への
取付けの際にY字状のエレメントを加締めて取付ける
が、取付後においてエレメントに割れ等が生じることな
く、強固な取付けが行える。
【0033】硬度(Hv)は25g荷重の微小ビッカー
ス硬度計による測定値DPNで示す。本実施例の材料は
現状ファスナー用部品として用いられている洋白とほぼ
同等あるいはそれ以上の硬度を有し、ファスナー部品と
して良好な強度、硬度等の機械的特性を備えていること
が分かる。
【0034】さらに得られた供試材(基材)について、
冷間圧縮試験により80%の歪を与え、表面の割れの有
無を観察した。
【0035】表1及び2中、○印は表面に割れが存在し
なかったものを表わし、本発明の基材においては全て表
面に割れが存在していないことが分かる。このことから
前述に説明したように、ファスナーのエレメントの場
合、生地への取付けの際に冷間で最大80%の歪を与え
るが、本発明の基材は冷間で80%の歪を与えても何ら
問題がないことが分かる。
【0036】耐変色性は得られた供試材(基材)をSi
C研磨紙、ダイヤモンドペーストにて鏡面研磨を行い、
80℃、90%RH雰囲気に曝露し、恒温恒湿度試験を
行い、その後の供試材(基材)の表面を色彩色差計を用
い測定した。耐変色性の評価は恒温恒湿度試験前後の指
数を下式に代入し、その数値にて行った。
【0037】
【数1】
【0038】(但し、a*、b*、L*は恒温恒湿度試
験前の指数、a’*、b’*、L’*は恒温恒湿度試験
後の指数) 本発明の基材においては前記数値が小さく、耐変色性に
優れた材料であることが分かる。このことによりファス
ナー部品として用いた場合、温水による洗濯に際し、変
色しにくいものを提供できることが分かる。なお、本試
験においてはヨーロッパでの温水による洗濯を基準に行
っている。
【0039】耐時季割れ性は得られた供試材について、
冷間圧縮試験により80%の歪を与え、これを12.5
%アンモニア溶液を使用して、アンモニア曝露を行った
後、表面の割れの発生を観察した。表1中○印は表面に
割れが発生しなかったものを表わし、本発明の基材にお
いては全ての表面に割れが発生していないことが分か
る。このことからファスナーのエレメントとして生地へ
加締め固定しても、導入された歪と雰囲気、環境によっ
て割れ等の問題が生じにくい材料を提供できることが分
かる。なお、表中において、表1及び表2とも耐時季割
れ性が良好であったが、特に表1に示すものは、表2に
示すものに比べ良好であった。
【0040】このようにして得られた供試材の押出材
(ワイヤ)とすれば、断面形状が円形の丸線、断面形状
が矩形状の平角線、断面形状が異形状の異形線などがあ
り、また前記丸線、平角線を多段階圧延して断面形状を
除々に変化させ、断面形状を異形状にした異形線があ
る。このような線材は、直接(被覆層を形成しないで)
ファスナーのエレメント、スライダー、止具などに、あ
るいは、ボタン、被服の係止具さらにはメガネフレー
ム、指輪、ネックレス、ピアスなどの装身用材料とし
て、またボールペンのペン先などといった身体に接触す
る可能性がある材料として提供できる。本発明において
は、さらに外観意匠、機械的特性を考慮し、以下のよう
な基材に被覆層を形成した。
【0041】実施例1 前記基材の作製方法と同様に、Cubal.Zn3Mn13
1Si0.05(wt%)からなる断面Y字状の線材を作
製し、これにSn濃度14〜24g/l、温度48〜5
2℃酸性溶中で無電解めっきによるSnめっきを施し、
被覆層を形成した。
【0042】実施例2 実施例1の線材に、Sn濃度30〜80g/l、温度1
5〜50℃、電流密度2〜100A/dm2の条件で酸
性溶中で電解めっきにより、Snめっき被覆層を形成し
た。
【0043】実施例3 実施例1と同様に、Cubal.Zn16Mn13Al1(wt
%)からなる断面Y字状の線材を作製し、これにAg濃
度0.8〜40g/l、温度20〜30℃、電流密度
0.5〜4A/dm2の条件で電解めっきにより、Ag
めっき被覆層を形成した。
【0044】実施例4 実施例1と同様に、Cubal.Zn1Mn10Al1Si0.03
(wt%)からなる断面Y字状の線材を作製し、これに
Cu濃度10.5g/l、Sn濃度35.0g/l、濃
度60℃、電流密度0.5A/dm2の条件で電解めっ
きにより、Cu−Snめっき被覆層を形成した。
【0045】実施例1〜4については、被覆層を形成し
た線材を所定寸法ごとに切断し、これをエレメントとし
て、スライドファスナー用テープの側端部に加締固定
し、スライドファスナー用チェーンとした。後述する評
価は、前記スライドファスナー用チェーンをもとに測定
した。
【0046】実施例5 前記基材の作製方法と同様に、Cubal.Zn17Mn14
1(wt%)からなる断面Y字状の線材を作製し、こ
れを所定寸法ごとに切断し、これをエレメントとして、
スライドファスナー用テープの側端部に加締固定し、ス
ライドファスナー用チェーンとし、次に、実施例1と同
様の条件にてSnめっき被覆層を形成した。
【0047】実施例6 実施例5のスライドファスナー用チェーンに、実施例2
と同様の条件にて、Snめっき被覆層を形成した。
【0048】実施例7 前記基材の作製方法と同様に、Cubal.Zn2Mn12
1Si0.05(wt%)からなる断面Y字状の線材を作
製し、これを実施例5と同様にスライドファスナー用チ
ェーンとし、実施例3と同様の条件にてAgめっき被覆
層を形成した。
【0049】実施例8 前記基材の作製方法と同様に、Cubal.Zn3Mn13
1Si0.05(wt%)からなる断面Y字状の線材を作
製し、これを実施例5と同様にスライドファスナー用チ
ェーンとし、実施例4と同様の条件にてCu−Snめっ
き被覆層を形成した。
【0050】比較例1 前記基材の作製方法と同様に、Cubal.Zn15(wt
%)からなる断面Y字状の線材を作製し、これを実施例
5と同様にスライドファスナー用チェーンとし、実施例
1と同様の条件にてSnめっき被覆層を形成した。
【0051】比較例2 比較例1のスライドファスナー用チェーンに実施例2と
同様の条件にてSnめっき被覆層を形成した。
【0052】比較例3 前記基材の作製方法と同様に、Cubal.Zn30(wt
%)からなる断面Y字状の線材を作製し、これを実施例
5と同様にスライドファスナー用チェーンとし、実施例
3と同様の条件にてAgめっき被覆層を形成した。
【0053】比較例4 前記基材の作製方法と同様に、Cubal.Zn24Ni
13(wt%)からなる洋白をもとに断面Y字状の線材を
作製し、これを実施例5と同様にスライドファスナー用
チェーンとし、実施例4と同様の条件にてCu−Snめ
っき被覆層を形成した。
【0054】このように得られたスライドファスナー用
チェーン、実施例1〜8及び比較例1〜4について、耐
食性試験、装飾性試験、Niアレルギー性試験を行っ
た。
【0055】耐食性試験は、80℃、90%RH雰囲気
に2時間曝露し、恒温恒湿度試験を行い、その後のエレ
メント表面の色変化を目視により行った。その評価は試
験前後において目視で変色しているものを×印とし、変
色していないものを○印とした。装飾性試験は得られた
一対のスライドファスナー用チェーンにスライドファス
ナー用スライダーを装着し、3000回の往復開閉耐久
試験を行い、被覆層より基材が露出しているか否かを目
視により行った。その評価は、試験後において、目視で
基材表面が露出しているものを×印とし、露出していな
いものを○印とした。
【0056】Niアレルギー性試験は、得られた一対の
スライドファスナー用チェーンにスライドファスナー用
スライダーを装着し、3000回の往復開閉耐久試験を
行い、欧州規格EN1811に基づき試験及びその評価
を行った。その評価は、欧州規格EN1811を満足し
ていないものを×印とし、満足していたものを○印とし
た。
【0057】これらの結果を表3に示す。表3の結果よ
り、本発明の合金材(スライドファスナー用チェーンの
エレメント)が耐食性、装飾性及びNiアレルギー性と
も優れていることが分かる。また、上記スライドファス
ナー用チェーンを被服に縫製し、各種洗いテストを行っ
たが、本発明の合金材が使用されているものについて
は、上記耐食性及び装飾性において、良好な結果であっ
た。
【0058】
【表3】
【0059】さらに、上記スライドファスナー用チェー
ンについて、チェーン横引、折曲げ横引及び突上げ、エ
レメント滑り及び引抜き、摺動抵抗、スライダーロッ
ク、往復開閉耐久度(M級)などのJIS S 301
5で規定されるものを含む特性評価においても、従来か
ら使用されている洋白と同等の特性が得られた。
【0060】
【発明の効果】本発明は、基材が洋白と同等に強度及び
硬度に優れ、さらに延性を有し、加工性、耐食性に優れ
たNiを含まない白色銅合金材であり、この基材に白色
系の被覆層を形成しているので、被覆層により、各種顧
客等の要望に応じた色調のものが提供できるとともに、
基材が白色系であることにより部分的に基材が被覆層を
形成しない部分を設けたり、あるいは万一被覆層が剥離
あるいはクラック等が生じ基材を表出しても、外観意匠
性を大きく損ねることがなく、さらに例えばファスナー
のエレメント、スライダー、止具などに、あるいは、ボ
タン、被服の係止具、メガネフレーム、指輪、ネックレ
ス、ピアスなどの装身用あるいは身体に接触する可能性
があるものとして用いて肌に触れるようなことがあって
も、基材及び被覆層ともNiフリーであるため、アレル
ギーの心配もない合金材を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 喜多 和彦 宮城県仙台市太白区八木山南3−18−8

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式:CuaZnbMncde ただし、MはAl及び/又はSnから選ばれる少なくと
    も1種の元素、XはSi、Ti、Crから選ばれる少な
    くとも1種の元素、a、b、c、d、eは重量%で、a
    は残部、0≦b≦22、7≦c≦20、0≦d≦5、0
    ≦e≦0.3で、不可避的元素を含み得る合金からなる
    基材上に、Niを含まない白色系の被覆層を形成してな
    ることを特徴とするニッケルフリー白色銅合金材。
  2. 【請求項2】 MがAlであり、b、c、dが0.5≦
    b<5、7≦c≦17、0.5≦d≦4である請求項1
    記載のニッケルフリー白色銅合金材。
  3. 【請求項3】 基材及び被覆層の色調がJIS Z 8
    729にて規定される色調を示すa*値、b*値が、−
    2<a*<5、−3<b*<16である請求項1または
    2記載のニッケルフリー白色銅合金材。
  4. 【請求項4】 被覆層の色調がJIS Z 8729に
    て規定される色調を示すa*値、b*値が、−2<a*
    <3、−3<b*<15である請求項1または2記載の
    ニッケルフリー白色銅合金材。
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